地の底に眠る白亜の城が目覚める。
それは、贖罪のため?それとも、罰を与えるために?
今分かっていることは、力はなんのためにあるか?ではなく、どう使うか………だろう。

 

 

 

 

クレイのコロニー………ミカエルに来てから三日目。
俺は、着せ替え人形にされていた。

 

「い……嫌だ。いくら何でもそんなひらひらのフリフリは来たくないぞ!!」

 

逃げ腰の俺に向かって、マリーが薄いピンクの幼女趣味な服を持って迫ってくる。

 

「だーめ(ハート)。さあせっかくそれだけ綺麗になったんだから。
 女の子を楽しもう。
  ………ねっ香澄もそう思うでしょ。」

 

背後から香澄が抱きつき、さっき着せられた着物を脱がそうとする。

 

「そうだよー。そのプリチーな服を着た姿をお姉さんたちに見せてー。」

 

「…………香澄。他のにしよう。それだけは………それだけは嫌だーーーー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナデシコ

 

もしも………

 

第二話

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭部を続ける前に、今の状況を説……ごほん!確認しよう。
このコロニー後にあった工場プラント……ミカエルには、現在200弱の男女が暮らしている。
内分けは、男60強。女120弱。最年長者は、24歳。
プラントで稼動しているものは、400人分の食料生成工場(水産・農産・人工蛋白)。
ナノマシン制御装置。自動工場。医療装置。そして、これらの整備システム。
防衛のものは、これまでの戦闘で全滅。
戦力は、エステの個別にカスタマイズしたものが5機。
後、めぼしいものは、対戦車ライフルとシュツゥルムファウスト位なもんだ。

 

今火星に蔓延している病気は、体内から固まっていく症状で、まるで遺跡に取り込まれたユリカだった。

 

さて、話を戻そう。

 

 

 

なぜ、こんなことをさせられているかというと………………
思い出したくはないのだが、昨日の第二回テンカワアキトを祝う会でのことだった。
この会は女性限定で行われているのだが……………最初から嫌な予感はしていたんだ!!
それが現れたのは全員にアルコールが回って頬がほんのり色づいてきたあたりだった。

 

「アキト君!もっとおしゃれしないの?」

 

この言葉が始まりだった。
このときは腰までとどく髪を三つ編みにしていたのだが、服はGパンとよれよれのシャツだった。

 

「そうだよ!格好だけじゃなくて、もっと化粧とかやってみたら?」

 

「そうそう!アキト君だったら目元と髪の毛を手入れすればもっとよくなるよ!」

 

「それにしても形がいい胸だね。サイズ何?」

 

この日は、サイズを取られて解散となった……………次の日に、服の試着を約束させられてしまった。
身長156cm、体重43kg、スリーサイズは…………。

 

 

 

 

 

ここで冒頭につながるわけだ。

 

ミニスカやワンピース、チャイナドレス、着物はまだ好いとしよう。
メイド服やどっかの学校の制服も何とか我慢しよう。
………………しかし、フリフリのドレス(結局着せられた)とか体操服って何だ?
…………さらに、犬スーツ(犬耳、肉球ハンド、しっぽ付きブルマ)やスクール水着、
全身タイツなんかはホントに何なんだ?
それに、それぞれの衣装につきメイクを変えなきゃあならんとは………

 

…………………………
……………………
………………
…………
……

 

まあとにかく…………とにかくだ!
………右見て、左見て……よし!………………………………逃げよう。
とりあえず、着替えだ。猫グッズを脱いで、まだマシだった振り袖を着て……
ショーツはあきらめるしかないか。

 

………極力気配を隠して扉のすぐ前まで無音で移動する。
室内では、次に着せる衣装でもめていてこちらに注意を払っている人間はいない。
……が、外からロックされている。

 

他に逃げるルートはない。こうなったらジャンプ…………は、使えないし。
通気ダクト…………は、狭くて通らないし(胸が)。こうなりゃ強攻突破しかない!!

 

どっかの天の声“次は着るじゃなくて、縛る!とか……彫る!だな。”

 

冗談じゃない!あいつのやることは何時も無茶苦茶なことばっかだ!

 

「あら?誰の何のことなのかしら。じっくり聞きたいなーーー。」

 

「か……かかっかかかっか…かすみ……さん。聞いてたの?」

 

「女の感って恐いわね。……それが無くてもアキト君のことだったら何でも分かるよ。」

 

「あ……あの、香澄さん?逃がしてもらえませんか?」

 

「どうしよっかなーーー。
 あ、それ気に入ってくれたの!嬉しいなーあたしも気に入ってるんだ、ソレ。
 ………でも、帯の柄が気に入らないな。………そうだ!また作ろっと、」

 

なんだか危ない目をしてる…………やばい、ヒッッッッジョウに……やばい。

 

「あ……あのですね、これで終わりにして欲しいんですけど...。」

 

その時、警報が鳴った。

 

『緊急事態発生!幹部と防衛班、整備班、生活班の各班長は講堂に集合。
 ガーディアンエンジェルズは、総員警戒待機。そのほかのものは警戒パターンBにて待機』

 

その後の対応は、流石というか………すぐに解散、それぞれの配置についたようだ。
まあ、それはいいんだが…………

 

「アキトちゃん!!またお洋服デザインするから着てね(ハート)。」

 

…………とか、

 

「次は、下着あわせを中心にするからね。」

 

……………………………とか、

 

「今度、おねーさんと一緒に遊ばない?」

 

などと言って出ていかないでくれよ………おい。

 

 

 

俺もそろそろ格納庫の方に着いたかな、と思ったあたりで。

 

ン?………メールだ。
なになに?会議場までの地図と『来い』の一言か、クレイのヤツだな………まあいい、行くか。

 

 

 

 

 

 

少し狭い会議場には、30名ほどの男女がいた。
上座に6人分のテーブル付きのイスがあり、
その向かいに20脚ちょっとの同じようなイスがおいてある。
クレイは、上座の左端に座っていた。
会議自体は小休止中のようだ。ちらほらと集まって何事か話し合っている。
その内のいくつかのグループは、こちらをチラチラとのぞいているようだ。
そんなに着物が珍しいのだろうか?
端の方にさっきいた女達が小さくなっている。

 

なんか、クレイが手招きしている。しかも薄笑いの表情な気が………なんか嫌な予感。

 

「おお、よく来てくれた!マイシスター、アキト。」

 

「なんの用だ?」

 

さっきのことで疲れて反論する気がしない。とりあえず殺気を少し出しながら睨んでおく。

 

「そんな恐い顔するな。折角綺麗に着こなしてるのに、もったいないぞ。
 ………………俺が悪かった。だから帰れないでくれよ。」

 

むう、行動を読まれた。こいつに先手を取られたと思うとむかつく。

 

「さて、アキトが来たところで解散!!………エターナルマイフレンド、現状を教える」

 

クレイのその声に残っていた者はすぐに持ち場に戻っていくようだ。
どうもクレイは信頼が厚いらしい…………いまいちそうは見えないけど。
くすんだ少し長めの金髪を首の後ろで一本にまとめ、彫りの薄い淡泊な顔に陰険そうな表情
(アキトの主観)。
身体はがっしりとしているが、マッチョ…………いわゆる伊達筋ではなく、細身でありながら
素早く力強い野生獣の筋肉。
余裕のある雰囲気(とんでもないことを考えていそう)。
それに、人をおちょくることが好きで、それ以上に7歳にして女に手を出すのも早かった。

 

「マイスイートハニーは、そこで聞いていてくれ。」

 

ぶちっ

 

「誰が、ハニーだ!!」

 

さすがに蹴りはだせん……下、はいてないし。……袖で叩きつける。
たかが袖と思う無かれ、あるタイミングでたたけば袖の長い、振り袖だ。
本気なら鉄板を貫ける…………手加減はするが。

 

ぼぐぅ。

 

……ボキッ…………………どんがらがっしゃん(黒板壊した音)

 

あ、少し強かった。…………まあクレイだから大丈夫だろう。

 

顔面に当たり、かなり派手な(首の骨が折れた?)音がしたわりには元気そうに飛び起きた。

 

「んー。もうちょっと捻りが足りないね。」

 

などと言い、その後ろでは黒板の破片を黒子が鮮やかな手並みで片付けてしまった。

 

「…………………良いから、先進めてくれ。」

 

さすがに疲れた。

 

 

 

 

 

 

このコロニーは、かなりでかい崖の壁に張り付くように作られている。
その崖の底にある未完成な船のエンジンによって電力供給しているらしいのだが…………。
何でも、このコロニーはその船のエンジンが暴走しかかっているらしい………と言うか、暴走している。
昨晩にかなりの電力が消費され、さらに、リミッターをカットしてあった。
どうも、衣料品プラントで行われたことらしいのだ。
後37時間後に重力子崩壊を起こす。
さらにかなりの高エネルギーが検出されているので、無数の無人兵器や有人機が集まって来ている。
無人型エステが60機弱、エアバレルが120機余、有人型が20機強ってとこだ。
対するこちらは、無人機が20機弱、有人機が5機。

 

 

 

 

あ…………頭が痛い。これでなんとかなったら……………鬼籍だな。
(鬼籍=死ぬってことさ:カヲル調)

 

現状説明を聞いた俺は、正直逃げたくなった。

 

俺の機体を合わせても総数24機。
それなりのディストーションフィールドは張れるが、敵は岩石を弾丸とするのリニアレールガンを
装備するエアバレル(木連が使っていた無限砲のような物)は、
ホバー型の戦車でそれなりに足が速く、一秒間に100発ほど発射してくるから、
機動兵器のディストーションフィールドなど紙くず同然だ。
無人機もうっとうしい。
一機を楯に、敵を殲滅する………動きが止まった瞬間に味方ごと集中攻撃。
へたしたら特攻かけてくるからな。
それに、俺の機体は最優先破壊目標に設定されているからなぁ。

 

「……で、俺は何すりゃあいいんだ?」

 

「囮」

 

「無理だ。俺の機体は、10分しかもたん。」

 

「エネルギーだろ。
 それなら策がある、船の暴走エネルギーを周囲のアンテナに放出するから共鳴効果で
 半径30kmをカバーできるはずだ。」

 

「ソレだと出力が、かなり不安定になる。だいたい俺には遠距離兵器がない。」

 

「大丈夫だって。素手で機動兵器を潰した人間がなに言ってんだか」

 

妙に自信たっぷりに……芝居がかって言う。

 

「嫌。」

 

「ああ!このままでは、ここにいる子供達がどうなるのだろう。」

 

「イ・ヤ・ダ」

 

「きっと皆殺しだろうな。」

 

「絶対に、嫌だ!」

 

 

 

…………………………
…………………
…………

 

 

 

後書き

 

読んでくれてありがとう
次は、下手なりに戦闘シーンだ!!

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

 

小舞子さんからの連載第二話の投稿です!!

・・・たとえ、女のの姿でも女難は変わらないのか(爆)

もう、宿命ですね、業とも言いますが(苦笑)

しかし、振袖姿で戦うアキト・・・

絵になるような、ならないような(笑)

でも、どんな理由で女性になったんだろう?

 

それでは、小舞子さん投稿有難うございました!!

 

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