ナデシコINゴーストスイーパー
第五話
GS御用達福部堂
とある日、東舞歌は事務所ではなく、自分の住む高級マンションで寝込んでいた。
そのことで事務所にいるアキトに電話をしている。
ちなみに、枝織はニットの本を読みながら何かを編むのに悪戦苦闘中。
「というわけで、風邪ひいて仕事できそうも無いから今日は休みにするわ。」
「そうですか、それじゃあ俺も帰ります。後でお見舞いに行きますよ。」
「ありがと、でもその前に注文しておいた道具が今日届くのよ。店まで行って受け取っていてちょうだい。場所は…」

そして、数十分後…
「呪的アイテム専門店福部堂……この辺だって言ってたけど…」
『あ、あそこのことじゃないの、アー君?』
枝織の指差した先には「福部堂」の看板を掲げた和風の建物が建っていた。
「こんにちはー。」
戸を開けて軽く挨拶しながら店の中へ入っていくアキト&枝織。
その先には…
白髪に同じく長い白髭のアロハシャツを着て小脇にウクレレを抱えながらTVに夢中で見入っている老人がいた。
注()内はTVの声です。
「おおっ」
夢中でTVを見ているためアキト達に気づいていない。
(勘定奉行、悪山獄左江門!余の顔を見忘れたか!?)
(う、上様!?)
ちゃーちゃちゃーちゃららーちゃちゃちゃららー←BGM
(ええい、かようなところに上様がこられるわけがない!!ええい、曲者じゃ!出会え、出会えぇぇい!)
「ええい、往生際が悪いのう!観念せんか!!」
どうやら、時代劇のようだ。見た目はファンキーだが、老人らしい趣味もあるようだ。
(仕方ない…。斬る!!)
BGMが激しくなり、鍔迫り合いや、斬撃の音が鳴り響く。
「よーしそこじゃ!!」
(くっ、おのれいっ)
(成敗!!)
ザシュウッ ズバァッ
(ナレーション:悪党退治を終え、心晴れやかに政務に取り掛かる吉旨であった…。)
「ふう、やはり暴れん○将軍は面白いのう。」
「いやほんとっすねー。」
老人と息の合ったアキト、実は時代劇が好きな渋い趣味も持った男である。
「ん?」
ようやくアキトに気づいたようだ。
「おぬし、いつの間に店に入った!?この福部に気配をさとらせぬとは只者じゃないな!!」
「あんたが気づかんかっただけだろうが!」
といったやり取りがあって十分後…
「なんじゃ、舞歌嬢ちゃんのとこの人じゃったか。あの子はこないのか?」
「ええ、まあ。」
「何故こんのじゃ?今日もハッピーか?相変わらずご機嫌ふぃーばーかの?」
「なかなかにファンキーな人だなー、あんた。」
「これ注文の吸魔護符と霊体ボウガンの矢じゃ。全部で十億以上するから落とすんじゃないぞい。」
「じゅ、十億…!!」
そんな高価なものを唐草模様の風呂敷に包みむぞうさにアキトに渡す福部。
「ところでお若いの。いいもの欲しくないかの?」
そうアキトに話し掛ける福部。
「わしゃあ魔道の世界に広く通じておっての。いろんなルートで超強力なアイテムを入手するんじゃ。」
「へー、そうなんですか。」
「普通これは数千万円以上するんじゃ。しかしまあわしと君は趣味も合うようじゃし、お近づきに少しばかり分けてしんぜよう。」
そういって小型金庫の中から「カタストロフ―A」と書かれた薬のようなものを取り出した。
そのパッケージには「薬事法違反品」の文字がくっきりと書かれている。
「どんな者でもサイキック・パワーが宿る薬での。裏ルートでもめったに手に入らない貴重品じゃて。」
「うーん、どちらかというと「梅太郎侍」のビデオ全巻とかのほうが…」
「わしも持っておらんのじゃ、無いものねだりを言うでない。」
そんなことを言いつつ箱からカプセル剤を取り出す福部。
「これを使えば一粒で300秒、君でもエスパーになれるのじゃ。わしはこの道のプロじゃ。信用せい。」
「…なんかうさんくさいんですけど…。」
そういうアキトの口に薬を放り込む福部、コントロールは良いようだ。
「つべこべ言わずに試してみなさい。」
「!!」ゴックン
「なんてことすんですかっ!飲んじまったじゃないですか!」
「だいじょぶ、だいじょぶ」
「う…!?な…なんだ!?変な感じだ!!この感じは…パワー、力がみなぎってくる!」
髪が逆立ち、身体から陽炎のような気が立ち昇るアキト。
さしずめ効果音は「ゴゴゴゴゴゴゴゴ…」といったところだろう。
そんなアキトの脳裏に東舞歌除霊事務所のイメージが浮かぶ。
「事務所か…なんだかあそこまで行けそうな…。」
シュンッ!アキトの身体が突然消えてしまった。
『アー君!?』
「ほお、瞬間移動じゃな。」
『えっ!?幽霊の枝織でも難しいのに…あっそれより追っかけなきゃ、アーくうん!!』
そういって福部堂から飛び出していく枝織
「…問題は副作用なんじゃが、あの若いのが無事ならうちで売ることにしようかのう。」
のんきに商売を考える福部。
その頃舞歌は…
「ふふふ。アキト君がお見舞いに来てくれるなら取って置きのにしておこうかしら。」
などと言いながら「勝負用」と書かれた引出しを物色しさらに熱を高めていった。

東舞歌除霊事務所にて
ヒュンッ!瞬間移動してきたアキトが事務所に降り立つ。
「すごい…!舞歌さんでもこんなに力は強くないぞ!」しゅー、へなへな。
そう呟いた途端に力が抜けるアキト。
「ん…薬が切れたのか?」
だが、次の瞬間先程とは違う力が溢れ出すアキト。
「ぐ、っぐおおおおっ!!」ドゴッ
叫ぶと同時に後頭部に痛みを感じたアキトはそのまま意識を失った。
その後枝織が事務所に入り見たものはどこかのボクサーのごとく真っ白になってなぜか後頭部にたんこぶをつくって燃え尽きてるアキトの姿だった。
枝織が舞歌を呼んできて事情を説明したところ…
「福部さんのことあらかじめ言っておけばよかったわね。あの人普段はちょっとファンキーなおじいさんなんだけど、変わった品を手に入れるとお客で実験する癖があるのよね。」
『ふーん。でもなんでたんこぶできてんの?』
「さあ?どこかにぶつけた様子は無いしなぜかしら?」
その頃空のどこか…
「ふう、危ないとこでしたですー。まさかあんなことで封印が緩むなんて…」
白い翼を背中から生やした少女が何か呟いている。
「とりあえず、ミカエル様から教えてもらった方法で封じ込めてメタトロン様の発明品で記憶の改ざんはしたけど…あの人いったいなんなんですかー?人間なのにすごい力を秘めてたし…でも魂も綺麗で顔もドミナの好みだったし細かいことは気にしないです。」
どうやらアキトのたんこぶの原因はこの少女「ドミナ」の仕業らしい

その時の再現…
「はうー、ミカエル様の言われて様子見にきたら何か大変なことになってるです。とりあえず急いで力を封印しなきゃ。今のうちならドミナでも抑えられそうですし。」
そういうと少女は両手を胸の前で合わせなにやら呪文を唱えだす。
「大いなる天の父よ…我と御身の力を持ちて荒ぶる力と魂を持つこの者を鎮めたまえ…天の理、聖なる律により封じ戒めよ…天聖封力方陣!!」
眩い光と共にアキトから溢れていた力が治まっていく。
「ふう、何とかなったです。後はこのメタトロン様の発明品でこの場所に来てからの記憶を改ざんすればおっけーです。」
そう言いながら何やらポシェットから取り出した。
「よーし、これです。記憶改ざんマシーン「忘れろ君1号」!!」
まるでドラ○もんのようなノリで取り出した物はピコピコハンマーに何かの調節ねじついたものだった。
ついでにいえば、「忘れろ君1号」ではなく「ゴンザレス1号」とある。
メタトロンという人物はネーミングセンスはいまいちのようだ。
ドミナのネーミングセンスもベタベタはあるのだが…
「改ざん範囲をここに来てから数分にして…えーいっ!!」
パキョオオオンッ ドゴッ
見た目と裏腹に硬い素材のようだ。
「………何か痛そうだけどよしとするです。」
そういって道具をしまい事務所を出て行った。
再現終了…

「さあ、早く天界に帰ってミカエル様に報告してご褒美のお菓子を貰うです。」
少女はそういいながらどこかへと去っていった。

後日談1
枝織に連れてこられた舞歌は風が悪化してさらに数日寝込んだ。
その際いろいろあってアキトが見舞いにこなかった為すねた舞歌を数時間後に回復したアキトが手料理を作り食べさせたりしてご機嫌をとっていた。

後日談その2
「次はこれなんかよさそうじゃ。あの若いのなかなかに使えるのう。」
怪しげな品々を手にとりつつ福部が何かを企んでいた。

後日談その3
「全くあなたという子は!あの方の力を封じ込めるだけでよかったのになんでメタトロンの発明品なんて使うの!!」
「あうう。だってミカエル様…メタトロン様が「これも使って記憶の改ざんをしたほうがいい」て言ったんですからドミナが悪いわけじゃないですよう。」
「あの術は力を封じると同時にその瞬間の記憶を封じる効果があるのだからなにもしなくてよかったの!」
「そんなこと聞いてないですよー。」
「言い訳無用!ご褒美のケーキはなしです。」
「あうう…(涙)」
天界で謎の少女ドミナが上司の4大天使長の一人ミカエルに怒られへこんでいた。
その後ミカエルと天界一の(マッド)科学者メタトロンの間で口喧嘩があったという。



あとがき
試験が終わったものの風邪ひいて試験を一日休んだため追試になった間抜け混沌の覇王です。
今回、オリキャラを出して見ました。
名前はドミナという主天使です。
性格はちょっと天然ボケ気味ののんびりや、見た目はKa○onのあ○とA○Rの観○を足して2で割った感じ。
後のミカエル、メタトロンは神威師匠からのアイデアで本名は別にあります。
その設定はまた後の話で…
あとアキトに何か隠された力がありますがこれも後の話で…
だけど今言えるのはアキトは文句なしに最強クラスの力をもつ存在になるということです。
おまけに人間の法律からもはずれるのでハーレムは公認されます。
それでは