機動戦艦ナデシコ ifストーリー
<黒き牙を継ぎし者>
WOLF・ FANG

 

 

 

 

   プロローグ

 

 

                        ドウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ

 

 

遠くから聞こえる爆音。その直後に地下シェルターが僅かに揺れる。_______
「はー・・・・・、やっぱりだめみたいだな、こりは・・・・・・・」
黒のTシャツに、黒のジーンズという黒を基本とした服装の18歳くらいの少年___
テンカワ・アキトは、みかんの最後の一欠けらを口に放りこみながらぼやく。
(今の爆発の大きさからして母艦クラス、いやそれ以上の戦艦が落ちたな・・・)
実際にはチューリップが落ちたのだが、そんな事アキトが知る由もない。
(やはり今の連合宇宙軍には時空歪曲場や、重力波砲に対抗できるだけの技術力はないみたいだな)
その事を確認するかのようにアキトは少し離れた__15mほど__ハッチの隣に目をやる。

 

 

「ブリッジ、応答願います!ブリッジ、ブリッジ!」
迷彩服を着た中年の兵士が先ほどからトランシーバーに向かって叫んでいる。
「だめなんじゃない?地下がこれじゃ、地上は全滅だよ」
なおもトランシーバーに向かって呼びかける兵士に、酔っ払いが横から口を挟む。
「・・・・・・・!!」
兵士が言い返そうとするが、先ほどから反応のないトランシーバーがその事を物語っている。
「・・・・・・・くそ!」
兵士は思いっきりトランシーバーを床に叩きつける。

 

(あっ、壊した)
その出来事を見ていたアキトはそんな事を思いながら、自分が場違いな感想を述べた事に苦笑する。

 

<アキトってさ、どっかずれてるよね。独特の価値観を持ってるってゆーか・・・・
 例えるなら、猿のくせに犬っぽいよーな感じ?>

 

昔、友人の妹に言われた言葉。例えの意味はよく分からなかったが、けなしていないと思う
・・・・・・・・たぶん。
その時は、俺は普通だぞ、と言って皆に「「どこかだ!!!」」と、突っ込まれ、
心の底から拗ねて友人たちを困らせたのを今も覚えている。
(まっ、それも俺だからな)
今ではそーやって割り切っている、ってゆーか自分に言い聞かせている。

 

 

 

 

「さて、そろそろ潮時かな?」
天井から落ちてくるほこりを気にしながら、最後のひとつ、と荷物の中からみかんを取り出しながら
立ち上がる。
「?」
と、自分を見ている視線に気付き、その出場所に目を向ける。
その視線は、隣のシートに座っている___家族であろう___20代前半くらいの女性といっしょに
いる綺麗な金髪に近い茶髪をツインテールにして纏めている7、8歳くらいの少女の物である。
その少女とアキトの目が合う。
「・・・・・・・・・・・・!?」
少女はかなり大袈裟に慌てて俯いてしまう。が、目は名残惜しにアキト___の、みかんを見ている。

 

                      じいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

 

そんな擬音が聞こえてきそうなほど、少女はみかんを見ている。
アキトは苦笑するがすぐに、
「はい」
と、少女の前で膝を曲げ、みかんを差し出す。
少女は顔を上げると、可愛いらしい笑顔をアキトに向けながらみかんを受け取る。
その笑顔を見ていたアキトの顔にも思わず笑顔が浮かぶ。
「すいません」
隣に座っている女性が少女に変わってアキトに礼を言う。
「いえ、配達の途中でしたから・・・・・・・んっ?」
そのやりとりを見て自分がまだアキトにお礼を言ってない事に気付いた少女が、アキトの服を引っ張る。
「どうしたの?えーと・・・・・」
「お兄ちゃん、みかんありがとう!あのね、あたしね、アイっていうの!こっちはね、ママ!」
「アイちゃんか、いい名前だね」
「お兄ちゃん、結婚しよ!」
「うん、いいよ・・・・・・・・って、え゛!?」
そー来るとは思っていなかったアキトは思わず変な声を上げてしまう。
「・・・・・・お兄ちゃん、アイと結婚するの、嫌なの?」
目を潤ませながらアキトに尋ねるアイ。
「え、い、いや、そーいう訳じゃ・・・・・・・」
思わずうろたえてしまうアキト。アイの隣では母親が笑いを堪えている。
その間にもアイのうるうる攻撃は続いている。
(どーしろってんだ、俺に?)
アキトは視線を宙に逃がしながら言葉を探す。
が、その瞬間何かを感じたアキトは二人に向かって叫ぶ。
「伏せろ!」
「?」
「ど、どうしたの、お兄ちゃん?」
しかし、二人はいきなり大きな声を出したアキトに驚くだけである。
(ちっ!)
アキトは二人の反応に一瞬苛立ちを覚えたが、それは仕方ない事だと自分に言い聞かせ
二人を床に押し倒す。

 

その直後、シェルター内に爆音が鳴り響く。

 

 

 

「「うわああああああああああっ!!」」

 

「「きゃああああああああああああっ!!!」」

 

「「嫌ああああああああああああああっ!!!!」」

 

突然の爆発に驚く者が、その爆発で大切な人を失った者が叫ぶ。
(こんなに早くくるとは・・・・・・・、くそっ!俺のミスだ・・・・・・・・・・
 いやっ、いつ来るかが解っていてもこれだけの人数を跳ばすのは無理に決まっている・・・・・)
アキトは壁の、爆発で出来た割れ目から出てくるジョロに気を配りながら、ハッチの方に顔を上げる。
「皆さん落ち着いて。すぐにハッチが開きます」
兵士が脅えてハッチに群がる人達をそう言いながら宥めている。その後ろではさっきの酔っ払いが
ハッチの緊急開閉スイッチと格闘している。
(・・・・・・・おかしい、二陣が来るのに時間差がありすぎる・・・・・・)
その光景を見ていたアキトの脳裏に疑問がよぎる。
(本来、攻撃用の虫型兵器は群れを作り、フォウメーションを組んで行動するはずだ・・・。
 単体で行動する時は特別な処理を受けている時か・・・・・・・・、おとりの時!?)
敵の狙いに気付いたアキトはハッチの方に叫ぼうとする。
「!?」
だが、ハッチに走りよる二人を見て背筋に冷や汗が流れるのを感じる。
いつのまにかアキトから抜け出していた母親がアイを抱えてハッチに向かっているのである。
「だめだ、二人とも!アイちゃん、戻って!」
アキトは二人に向かって叫ぶ。アキトの瞳にアイが振り向く姿がはっきりと映る。
「おーい、開くぞー!」
酔っ払いの後ろにあるハッチが少しずつ開く。
しかし、ハッチの隙間から見える物は希望でも何でもない、冷たい鉄の塊の虫型兵器。
「ひっ!?」
誰かがそんな声を上げる。そして、それが合図であるかのようにジョロの目が一斉に輝く。

 

 

                   ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

 

 

二度目の爆発がシェルターを襲う。

 

 

そして煙が晴れた後、その場に残った物は幾つもの動かなくなった肉の塊と虫型兵器のみ・・・・・。

 

 

 

 

「くそ、くそっ、ちくしょー!」
アキトは床に拳を叩き付けながら叫ぶ。
「助けなられなかった!助けられたのにっ!クソオッ!」
なおも床を殴りつける。その時、アキトの視界の端で何かが動く。
「?・・・・・・・・・!!!」
アキトは僅かに目を細めそれを見つめるが、それが何なのか理解したとたんそれに向かって走り出す。

 

 

「どうしたのママ?ねえ、起きてよ、ママア」
「アイちゃーん!」
床に倒れて動かなくなった母親に呼びかけているアイにアキトが走り寄る。
「あ、お兄ちゃん、ママったらね、ひどいんだよ。ドカンとなっちゃったら皆と寝ちゃうんだよ」
何が起ったのか理解していないアイは、頬を膨らませながらアキトに抱き着く。
「アイちゃん・・・・・・・」
アキトはアイを抱き上げながら、自分の周りに集まりつつある虫型兵器を見渡す。
(アイちゃんを守りながらコイツらの相手するのはちと厳しいな・・・・・)
アキトはTシャツごしにネックレスとして身に付けているCCを握る。
(無理して倒してもすぐ次が来るだろうし・・・・・・・・、跳ぶしかないか)
アキトはネックレスを外し、アイの空いている方の手に握らせその小さい手を優しく包むように
自分の手を重ねる。
「お兄ちゃん、これ何?」
アイはアキトの手に包まれている自分の手を見つめる。
「秘密。それよりアイちゃん、楽しかった事、将来の夢、何でもいい。
 自分が幸せだと思う事を考えて」
一瞬きょとん、とするアイ。が、すぐに、
「うん!それじゃあたしね、お兄ちゃんと結婚式したいからその事考える!」
「ははっ・・・・、よし、それじゃ目を瞑って」
「うん!」
アキトとアイをボース粒子の淡い光が包む。同時に、二人の体内にあるナノマシンが輝き出す。
(よしっ、とりあえず・・・・・・・・・)
アキトは子供の頃、自転車で走った草原を思い浮かべようとする。が、
「むぐっ!?」
突然唇に柔らかい物が重なりイメージが霧散する。目を開けるとアイの顔が正に目と鼻の先にある。
「ア、アイちゃん!?」
「結婚式じゃね、こうするんだよ」
えへへ、と頬を赤らめながら笑う。妄想爆進モードで母親の事は頭から消えているらしい。
その間にも光は強さを増している。
(えへへ、じゃなーーーーーい!まてっー、跳躍やめーーー!中止ーーーー!)
アキトの心の叫び虚しく、僅かなボース粒子残しその場からアキトとアイの姿が消える。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・ここは・・・・・・・、どこだ?」
気が付いたアキトの目に飛び込んできたのはアイの顔ではなく、夜空に広がる満天の星空だった。
「アイちゃん?アイちゃーん!」
原っぱに寝ている事に気付いたアキトは体を起こし、周りを見渡しながら叫ぶ。が、返事はなく、
聞こえるのは風が揺らしてできる木々のざわめきだけである。
「・・・・・・・・アイちゃん、絶対見つけて上げるよ。信じていれば、必ず会えるから・・・・・」
夜空に向かって誓うアキト。だが、そばに誰かいれば気付いているだろう。
その時のアキトはシリアスで何かを誤魔化していた事に・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

続く

 

 

後書き

 

 

ういーっス。始めまして、琴音祐希っス(^^)
祝、初投稿!ってゆーか初めて本格的にSS書いたっス。
それもこれもBenさんの小説がおもろすぎるからやーーーー!(笑)
つっても自分の書いた小説をおもしろいって言ってくれる人がいるかどうか・・・・・
(おらんかったらどないしょーーーーー!!(T_T)
しかも「続く?」とか書いちまったーーーーーーー!

 

まっ、ええわ(笑)

 

ほなっ、次があるかどうか解りませんがよろしくお願いするっス。
P・S   わいの生まれ故郷はなんと、兵庫県・曽根町だったりする

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

琴音祐希さんからの初投稿です!!

いや〜、投稿有難うございます!!

しかも、連載作品!!

もう、感謝感激ですね!!

Benの同郷の人ですしね(笑)

しかし・・・意味深なアキトですね〜

逆行・・・では無いですけど、ジャンプに詳しいですし。

それに、どうやらイネスさん(アイちゃん)とラブラブ?

おお、そのカップリングは珍しいぞ!!

是非とも続きを読みたいですね!!

 

では、琴音祐希さん!! 投稿有難うございました!!

 

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