機動戦艦ナデシコ





A Story after the Movie...





“E”s from Venus






第6話 エステバリス3人娘











アユムはまずは格納庫に顔を出した。荷物やらをアユムに与えられた部屋に運び込まなくてはいけない。


「ひさびさ〜、ウリバタケさん」


格納庫に顔を出したアユムはウリバタケに挨拶をする。


「おお〜、アユムちゃんか!久しぶりだなぁ」


ウリバタケはエステを整備中だった手を休めて、下に降りてきた。


「ええ、ほんまに久しぶりやわ。で、どないです?ウチの機体は?」


「ふん、まあ大体見りゃあわかるって、俺くらいになればな。こいつは、アルストロメリアの発展型と見たぞ?」


そういってアユムの乗ってきた機体に目をやる。見ただけでただのアルストロメリアではないと判断したのは流石ウリバタケ。


「ああ、そやそや。アサルトピットの交換ができて、さらにパーツパーツに分かれてるから砲撃支援、近接戦闘とオールラウンドに戦闘状況に対応できる優れもんつうわけ。詳しくはこのディスクん中」


アユムはウリバタケにディスクメディアを手渡す。


「そういうわけやから、ウチのエステのメンテはよろしく!」


任せろってんだ。プロトタイプなんて滅多に触れない珍品中の珍品!技術者魂が燃え上がるってもんだぜ!!


そういってガッツポーズをとるウリバタケ。周りの整備班の連中もかなり大っぴらにガッツポーズをしている。別な意味でのガッツポーズも少なからず含まれているようだが・・・。
一糸乱れぬその動きに『整備戦隊ウリバタレンジャー』とアユムが命名していたのはまた別の話である。


「あはは、それでこそ嫁入りにきた甲斐があるゆうもんですわ。ところでリョーコさんたちは?」


冗談を飛ばしながらリョーコたち3人娘の所在を聞いた。


「ああ、エステん中で調整中だ。そろそろ終わるはずだが?」





プシュー





そういった矢先、コックピットハッチの開く音がして3人娘の声が上から降ってきた。


「ああ!アユムじゃねぇか!」


「アユムちゃ〜ん、ひっさしぶり〜!」


「ひさしぶり。ひさし、ぶり・・・。うぅん・・・・」


見上げると3人娘がそろってハッチから顔を出したところだった。
どうやらエステの調整が終わったらしい。


「ウリバタケ〜、調整終わったぞ!反応速度もうちっと上げられねえのか?」


「私のエステちゃんは照準がちょっとぶれるよ〜。きちんとしといてね、ウリピー」


「ケロ○ン・・・オールケロ○ン・・・オール桶・・・クククっっ」


「そりゃあ無理だ、リョーコちゃん。反応速度はそれで限界だ。照準がずれるってのは直しとくぜ、ヒカルちゃん。イズミちゃんはどうやら問題ねえな」


3人の調整結果を聞くと、それに対しての返答をして的確な指示を出す。


「で、アイツは何なんだ?」


下に降りてきたリョーコがアルストロメリアを指す。


「ああ、アユムちゃんが乗ってきてたもんだ」


ウリバタケがそういってアルストロメリアに顔を向ける。
リョーコ、ヒカル、イズミの3人もその方向を眺めた。整備班が取り扱いディスクを起動させながら整備を始めている。


「で、アユムちゃんがアレに乗るの?」


「と〜ぜん!ウチ以外に誰があの機体を扱えるちゅうねん?」


ヒカルの投げかけた質問に、当然のように答えるアユム。
確かにこの機体を扱うには相応の技術が必要である。アユム以外には乗れないと言うわけではないのだが。


「言ったな、アユム!なら俺と勝負して、勝った方が乗るってのはどうだ?」


リョーコはアユムに勝負をふっかける。腕をコケにされたようなことを言われ、ちょっとムキになっているようである。


「やめとけやめとけ、リョーコちゃん。このスペックを見てみろよ」


ウリバタケがリョーコ、ヒカル、イズミにディスクで確認したスペックを教える。


「な、何だよこのバケモンみたいな出力は・・・」


リョーコが驚くのも無理はなかった。

このアルストロメリアは、形はそれに酷似してはいるもののボソンジャンプユニットが取り付けられてはいない。
代わりに、その空いた部分に取り付けられたものはジェネレーター、重力波ユニットである。有り体に言えば、重力波ユニットが3つ取り付けられているわけであった。
単純計算で言うなれば、エステ・カスタムが2つの重力波ユニットをつけているので、その1.5倍の出力となるわけであった。
もっとも、その3つ目のユニットは他の2つに比べて出力の大きなものなのだが。

故に、アユムはこの機体をアルストロメリアと呼ばずにエステと称する。最大の売りであるボソンジャンプができないからだ。


「うわ〜。こんなの乗るくらいなら、慣れてる自分の機体の方がいいよ」


「・・・そうね・・・こんなのあたしには扱う自信ないわ」


イズミもシリアスモードになって辞退する。至極当然な判断である。


「と、取りあえずシミュレーターで試させろ!お、俺が結論を出すのはそれからだ」


そういって強がってはいるが、リョーコの声はうわずっている。心なしか顔も引きつっている。


「なら、ついでやから久々にバトろや?みんなの腕が鈍ってないか心配やしぃ〜」


挑発するように軽口を叩きながら、対戦を提案するアユム。こんな手にひっかっかるなど、今時いないだろうに・・・。


「何だと!俺の腕が鈍ったとでも言う気か?よっしゃ、勝負だ、アユム!」


訂正。いや、いた。よく言えば直情径行、悪く言えば単細胞か?


「ムリムリ〜、直進的なリョーコなんて箕面のサル以下やで〜♪」


「力押しばかりのゴリゴリリョーコなんかメじゃないよね〜♪」


い、い、い、言いやがったな!あとで吠え面かくんじゃねえぞ!!」


ヒカルとアユムはリョーコをからかいながら、格納庫を出てシミュレータールームへと向かっていったのであった。










その後、シミュレータールームでは決戦が起きたことは言うまでもない。

結果は3戦ずつ行い、リョーコがヒカルとアユムに1勝2敗ずつ。ヒカルはアユムに1勝2敗であった。
そしてアユムのエステのシミュレーターに乗ったリョーコは、・・・酔った。

シミュレーターのハッチを開けるなり、蒼い顔をしてトイレに駆け込むのを数名のクルーが確認している。


「ゼッテーあの機体には乗らねぇ・・・。頼まれたって乗るもんか・・・」


というのを、リョーコ本人がブツブツ言っているのが数人から証言がとれている。

出航前のナデシコは、かなりほのぼのとした時間を送っていたのであった。










〜あとがき座談会〜

こーそんおう「さてさて、第6話をお送りしました」


リョーコ「リョーコ応援組合の副長にしては俺の扱いが滅茶苦茶軽いんじゃねえか?おい」


こ「そ、そげなことねえべさ。こ、こげん扱いがひくいいうんじゃったらば、ミナトさんなんでどげんなっとね」


リ「滅茶苦茶怪しいぜ、オイ。田舎臭い方言なんか使ったりしてよぉ?」


こ「そ、そんなこと無いですって(汗)」


リ「しかも、『箕面のサル以下』なんてよく言ってくれたよなぁ?」


こ「こ、言葉のアヤというものでして・・・」


リ「シミュレーターでは乗り物酔いするしよ。で、箕面ってどこだよ?」


こ「ああ、それはイングラムに乗ったようなもんだと思ってください。箕面は大阪府の北部にある地方都市」


リ「へぇ。とにかく俺としては、権利の向上を申請するぜ。いいよな?」


こ「わかりました。ごめんなさい。すみません。許してください」


リ「・・・何か弱え作者だな」


こ「リョーコ様に逆らうことは、局中法度で詰まされますので・・・」


リ「つ、詰める、かよ・・・?」


こ「もしくはリョーコ様の料理でのラマダーン・・・」


リ「う、うるせえ!!りょ、料理は関係ねえだろ!!」


こ「まあ、そう言うわけで、今回はここいらまで。
感想、誤字・脱字・誤植、批判等意見はお気軽に出して下さい〜。
リョーコ応援組合の加入者も募集中です」


リ「ったく、どういう訳だよ。ま、俺のファンはこの組合には必ず入るようにな!」

 

 

 

代理人の感想

 

リョーコ応援組合
局中法度

一、リョーコ道背くまじき事。

一、組合を脱することを許さず。

一、勝手にサブとくっつけるべからず。

一、勝手にリョーコSS以外を取り扱うべからず

一、私のカップリングを許さず。

上条条相背き候者は
詰め若しくはリョーコ手料理によるラマダン申しつくべく候也

 

 

 

・・・・こんなもんでしょうか(爆)。