機動戦艦ナデシコTV版再構成

≪The bell of fate ≫

〜運命の鐘が鳴る時〜

プロローグ



少年の目の前には、白い白衣を真っ赤に染めた両親がかばいあうように倒れていた。

もう二度とその手で頭をなでてくれることのない、もう二度と温かい料理を作ってくれることはない。

冷たいからだ。その鼓動を聞くことももう二度とない。

「父さん・・・・・・・・母さん・・・・・・・・・・・う・・・ うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

少年の叫びだけが、哀しくあたりに響いていった。

















10年後――――――――――


『未知』なる兵器による侵略。

それは、木星の方からやってきた。





ドゴォォォォン


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「な、なんだこいつら・・・・・・・・・・くるなぁぁぁぁ!!」
「やめて!や、やめて!もう、いやぁぁぁぁ!!」


轟く爆音。飛び交う銃弾。逃げ惑う人々。火星は今、絶体絶命の事態に陥っていた。

『未知』なる兵器。俗にチューリップ、バッタ、ジョロと呼ばれるものの攻撃を一身に受けてる。

宇宙軍も迎え撃ったものの、圧倒的な技術の差の前には成す術もなく敗戦を帰した。


そして、コロニーの一つにチューリップを落として、とっとと地球に引き上げてったのだ。

そう、数多の火星の市民を、戦場に残して――――――――――







「ママァ!ママ!助けてぇぇ!!」


一匹のバッタに少女が追い詰められていた。

成す術もない。本来市民を守ってくれるはずの軍はとうに引き上げてしまっていたのだから。


バッタのモノクロアイが少女をとらえた。


「いやぁぁぁぁぁ!!」


バン、バン、バン、バン、バン!!





辺りに砂煙が巻き起こる。何もかもが砂に埋もれるように。


少女は閉じていた目をゆっくりと開けた。


「え?!」


目の前には、先ほどまでいたはずのバッタではなく、何か大きなロボットのようなものだった。


「な、なにこれ?」

バシュウ


ロボットの頭の部分が開いて、パイロットの男が出てきた。

「大丈夫だった?」

少女に向かって話し掛けているようだ。

そして、ゆうに5,6mはあろうロボットから軽々と、少女の前に下りてきた。



「よかった、無事みたいだね。ケガとかしてない?」


少女の目線に合わせて、男はひざを曲げて訊いた。

まだ状況がよく分からないのか、少女は呆然としている。


「あ、足。血がでてるじゃん。」

少女のひざの辺りに擦り傷ができていた。おそらく、バッタから逃げているときできたものだろう。


男はズボンのポケットから、ハンカチを取り出し少女の傷口にそっとあてた。

きゅっと、ハンカチをひざに巻きつけた。


「こんなもんでいっかな。本当は消毒とかしないといけないんだけど・・・・・・・ん?」


ひざに巻かれたハンカチをじっと見つめる少女。


「あ、もしかして痛い?ごめ・・・・・・・」

「ううん、そうじゃないの。えっとね。ありがとうお兄ちゃん!」


にっこりと、男に向かって少女は微笑んだ。

「わたしね、アイって言うの。今度デートしよ。」

「へ?」

目が点になっている男。

だが、目の前の少女――アイはどうやら真剣のようだ。



苦笑する男。


「ハハ、まいったなぁ。誘ってもらえるのはうれしいけど――――――――」


視線を上空へと移す。バッタが絶えず飛び交っている。

男の顔が厳しいものへと変わった。


「今はまず、逃げるよ!」

男はアイの手をひこうとする。






「いや!」


男の手から逃げるように少女は拒んだ。

拒まれるとは思わなかったらしく、男は驚いている。





「・・・・・・・ってるの。」

「ん?」

「ママを待ってるの。ここで待ってなさいって、ママが言ってたから。

だから、わたしここにいなきゃいけないの。」


最後の方は声を大きくして男に必死に訴えた。


アイは母を待っていた。どんなに危険な所だと分かっていても、母は帰ってくると信じていたのだ。

だが、肝心の母は帰ってきてはいない。


「そっか・・・・・・・・・・・」


視線を下へと落とす。


「でもね、アイちゃんがもしさっきのようにバッタに襲われでもしたら、ママはきっと悲しむよ。

ママだって、アイちゃんが生きてなきゃ帰りようがないよ。」


言い聞かすように、男は言った。

アイの母にどんな事情があったのかは知らないが 何にせよ、少女を助けなければならない。

やろうと思えば無理やり連れて行くことはできる。でも、できるだけ少女の意思でつれて行きたかったのだ。


それでも アイはまだ納得はできないのか、動こうとしない。




「ん〜〜〜、ママはどんな人だい?」

「え、え〜っとねぇ、髪は短くて、茶色いの。背はこんくらいで。それで、美人で・・・・・・・.」


「その人なら、軍基地で見かけた気がするなぁ。」

「ほんと?」

「ほんとほんと。きっとママはねぇ、君のところに帰るに帰れなくなったんじゃないのかなあ。

だから、君も早く逃げないと、ママ心配してるよ。」

「うん、分かった。」


アイは素直に男の言うことを聞いた。

男の言うことを信じたのだ。

だが、男が少女の母を見たと言うのはまったくの嘘だった。

こうでも言わないと、少女は動きそうになかったから、仕方ないものだった。


「行くよ。」

少女を抱きかかえ、ロボットに再度乗った。


そして、軍基地へとまっすぐに向かった。

















軍基地――――――――――


<第3シャトル、発射する。>

<了解!・・・・シャトルが発射するぞ!気をつけとけ!>


メガホンを片手に、若い男が叫んでいる。

今ここにいる人々はすべて軍人ではない。

軍が残していったシャトルを使い 火星の人々が力を合わせなんとか脱出を図っていた。




エステバリスのパイロット席――――――――――――

本来パイロットスーツを着て乗っているはずだが、今はTシャツにジーパンと言った格好になっている。

もちろん、このパイロットも民間人の1人だ。

「ふぅ・・・・・・・。」

たまった汗を拭く。さっきから護衛やらなんやらで、働き通しとなっているのだ。

と、男の目の前にウィンドウが開いた。


<すまない。俺らだけが逃げるようで・・・・・・・>

シャトルのパイロットだ。 視線を下へと落とした。

そう、火星の市民だけとなった今逃げることも大事だが、この戦場の中を逃げるには誰かが護衛として、守ることをしなければならないのだ。

当然、その人たちは逃げれないと言うことになる。


「いや、気にすんな。俺らは俺らにできることをしてるまでだ。

それに俺らだって死ぬ気なんてさらさらねぇ。後でうまく脱出するに決まってるだろ。」

明るく、パイロットは言ってのけた。

どこか人を安心させる笑顔を浮かべて。


「さ、早く行きな。護衛は任せとけ。」

<ありがとよ。>

短く礼をいい、シャトルのパイロットは通信をきった。


<たいした自信ね。サトシさん。>

別の通信が開いた。今度は女性である。


「なんだ、アヤメ聞いてたのか。」

<最後の方をちょっとね。それより・・・・・・・・・・・>

「ああ、わかってる。今はそれどころじゃないからな。」

厳しい顔になり、上空を見つめた。

シャトルが飛び立つ。

周りには多数のバッタがうろついている上空へと向かって。


「さ、いくぞ、アヤメ。」

<ええ、サトシさん。>

2体のエステバリスが、シャトルの周りを固めた。

なみ寄るバッタを次々と倒している。


無事シャトルは宇宙へと旅立った。


<あらかた、市民は避難したようね。>

<あぁ、後はあいつの到着を待つのみだな。>

一段落したのか、サトシとアヤメはエステバリスから降りていた。


<パパ、ママ、到着したみたいだよ。>


2人に、少女から通信が入った。


ドォォォォオン

「サトシさん、アヤメさん。」

エステバリスからアイを抱き、男が降りてきた。

「コロニーの方に、この子がいたんです。それで・・・・・・・・・」


「細かいことは後でいい、早くその子もシャトルに乗せるんだ。」


男の言葉をさえぎるように、サトシは言った。

時は一刻を争う。

いつバッタたちがこの基地に気付き襲ってくるとも限らないのだ。


「お兄ちゃん。」

「?!」


唐突に、少女が男に抱きついた。


「大好きだよ。誰よりも。」


「あ、ああ、・・・・・・・・おれだって、カエデのことは大好きだよ。」


男にはカエデの言っていることが分からなかった。

なぜ今、そんなことを言うのか。


「さ、アイちゃん。早くシャトルに乗って。」


アイをシャトルへと、連れて行く。

「ママにはきっと、地球で会えるよ。」

「うん。」

アイを乗せ、男はその場を離れようとした。



ドスッ

「な!?・・・・・・・」

「お前も一緒に乗っていくんだよ。」


振り返った瞬間に、男のみぞおちにサトシの右ストレートが見事に決まった。

徐々に、男に力がなくなっていく。


「な・・・・なんで・・・・・・・・」


サトシの腕の中へと、男は沈んでいった。

「ゆっくりと寝な。起きた頃にゃ、すべて終わってるさ。」


意識のない男にそう語りかけると、シャトルの中へと放り込んだ。

「お嬢ちゃん、そんな顔すんな。大丈夫さ、コイツは。じきに起きるからよ。」

男を心配し、駆け寄るアイに声をかけた。

サトシをむすっとしてみていたアイは、その言葉に笑顔になった。

「分かった。バイバイ、おじちゃん。」

「ああ、バイバイ。」


シャトルの入り口が閉じる。

辺りには、3人の姿しかない。

ほかはすべて、先ほどのシャトルで避難していった。


「さて、最後の大仕事かたずけるとするか!」

「ええ、」

「うん!」


3人は、そう言うと、それぞれの持ち場へともどった。

サトシとアヤメはエステへ。カエデはオペレート席へ。








「ん・・・・・・・・・う・・うん・・・・・」

「お兄ちゃん?」


シャトルの中。男は目を覚ました。

「ここは・・・・・・・・・・・そうだ!」


男は慌てて、シャトルの窓へと駆け寄った。

眼下には爆発を続ける軍の基地があった。

バッタの大群が空を被い、地面がよく見えない。


「カエデ!サトシさん!アヤメさん!」


未だその場にいる3人のことが心配でならない。


「くそ・・・・・・・・」

窓を叩き、顔を下にしてうつむく。


ドゴォォォォオン


「キャアアアアアア!!」



シャトル前方から悲鳴が聞こえた。


見てみると、ばったが一匹そこにいた。

火星脱出のとき、シャトルにくっついていたのだ。


「うわぁぁぁぁぁ!!」
「逃げろ!」
「逃げるったって、どこへ逃げろっていうんだ!」

シャトル内は騒然となっていた。

緊急ランプが光り、血のように赤くシャトル内は染まっていた。


「お兄ちゃん!」


アイが男の足元にしがみついてきた。

子供なりに、今がどういう状況か理解しているのだろう。


まさに、絶体絶命である。


「アイちゃん。大丈夫さ、心配しないで、」

腰をかがめアイの視線に合わせ、優しく微笑みかけた。


その間にも、バッタは人々を血の池へと沈めていった。


バッタの動きが止まった。

「お兄ちゃん!」

「大丈夫だから、アイちゃん、」

男は、しっかりとアイを抱いてやった。


そして――――――――――――――背中のミサイルが一気に放たれた!


ドォォォォォオン




1隻のシャトルが、火星の空へと消えた。



―――――――――火星は完全に蜥蜴の手におちた。











あとがき

え〜っと、はじめましてでしょうか。
紅トンボと申します。赤とんぼではなく、紅(くれない)トンボですのでお間違いなく。
初めて小説を書きました。
はっきり言って、緊張しております。
もう、メールを送るときに送ろうか送らないか、かなり迷ってました。
約35.6秒ほど・・・・・・・・・・・・
ですが、決死の覚悟で投稿させていただいた。
今もたぶんドキドキしております。
できれば、これを読んでの感想など送っていただけるとうれしいです。
ま、気が向いたときでかまいませんが。

では、また次回に。

 

 

代理人の感想

ん〜む、TV版の再構成と言うことで逆行とかはないんですね。

 

「アキトが親切な一家に育てられて、血の繋がらない妹がいる」というのはそれなりにあるパターンだけに、

どこかで差別化が欲しいところです。

ではまた次回。