ある日、起こった出来事・・・・・

その出来事は、一人の少年の物語を大きく変えた・・・・・

いや、少年の物語はここで変わる運命だったのだろうか・・・・・・


その少年の物語は、いくつもの「運命」へと、進んでゆく・・・・・・・・・・・・・



 

Destiny
〜交わる事の無い二つの時間〜



Destiny 第三話「ある出来事」


3年前のまだ残暑の残る秋―――――
天川 飛鳥は家で、ケーキを焼いていた。
綺麗な顔立ちで、背丈は高くどこか大人びた感じの12歳の少年だ、今は大人用の黒いエプロンを付けている、
肩あたりまである、綺麗なアッシュブロンドの髪は後ろで束ねている。
ピピピ・・・・ピピピ・・・・
オーブンから音が鳴る、スポンジが焼けた合図だ。
「うん、上手くできたな」
焼き終わったスポンジを見て飛鳥は言う。
その時、玄関が開く音がした、そして足音はキッチンに向かって来ている、
キッチンのドアが開いた、小学校3〜4年生ぐらいの少女がキッチンに入って来た、走って帰って来たのか肩で息をしている、
呼吸に合わせて、飛鳥と同じ肩あたりまであるアッシュブロンドの髪が揺れている。
「お兄ちゃん、ただいま!」
「おかえり、美花」
その少女の名前は美花、飛鳥の妹だ、顔立ちもよく飛鳥に似ている。
「お兄ちゃん、どんなケーキ作ってるの??」
「秘密だよ」
飛鳥は少し悪戯っぽく笑う。
「え〜、教えてよぉ」
「夜までのお楽しみ」
「ぶぅ・・」
「ほら、汗かいてるぞ」
「だって、学校から走って帰ってきたんだもん」
家まで走って帰って来た美花は、汗でびしょびしょになっていた。
「シャワー浴びて、汗流してこい」
「はーい」
そう言って、美花はバスルームに走って行った。
飛鳥は、美花がキッチンを出て行くと、ケーキ作りに取り掛かった。
「美花、驚くかな?」
どうやらこのケーキは、妹の為に作っている様だ。


その日の夕方。
「おじゃましま〜す」
「あ、レナお姉ちゃん」
レナは、飛鳥の家を訪ねていた。
「美花ちゃん、はい!お誕生日おめでとう!!」
そう言って、レナは美花の背丈程ある、大きな熊の人形を美花に手渡す。
「うわぁ!、おっきい!!!」
美花は、驚きながら体のバランスを取る、人形が大きすぎてフラフラしている。
「ただいま」
「おかえり、飛鳥」
そこに、買い物袋を抱えた飛鳥が帰ってきた、買い物袋の中にはクラッカー等、パーティー用の小物が入ってる。
「おかえり、お兄ちゃん」
「なんで、レナがいるんだ??」
「お兄ちゃん、これお姉ちゃんがくれたんだよ」
美花は、嬉しそうに人形を飛鳥に見せた。
「よかったな、美花」
「うん!」
美花はにっこりと笑う、その表情は心から幸せそうだった。
「よかった、美花ちゃんが喜んでくれて」
「ありがとな、レナ」
「気にしないでよ、美花ちゃんが喜んでくれれば私も嬉しいからね」
そう言ってレナは微笑む、それを見て飛鳥は自分でも気付かない程、ほんの少し顔を赤くしている。
「あのさ飛鳥、ちょっと時間空いてる??」
「うーん後は、飾りつけだけだから少し時間は空いてるけど?」
レナは恥ずかしそうにしながら続ける。
「ちょっと、一緒に来てくれない??」
「え?、今から???」
「う・・・・うん」
「べ・・別にいいけど」
飛鳥は戸惑いながら答える。
「じゃぁ、今すぐ行こうっ!!」
「え・・・・ちょっと待てぇ〜〜!!!」
飛鳥は何も出来ないまま、レナに引っ張られていった・・・・・・。
「お兄ちゃん、・・・・行っちゃった・・・・・」
一人残された美花は、小さく呟いた。


「ゴメンね・・・、急にこんな所に連れ出して」
レナは何か思い詰めた様子だった。
今、飛鳥とレナは高台の上にある大きな木の下に二人で座っていた。
「ああ・・別にいいけど、ところで話って何なんだ??」
「うん、あのね・・・・私ね飛鳥の事が・・・・・・・・・」
レナはそう言って、黙り込んでしまった。
「レナ??どうした??」
「う・・・・・うん、あのね・・・・・」
レナは、少し恥ずかしそうにに続けた。
「私ってさ、飛鳥と昔からよく一緒に遊んだよね・・・・・」
「幼馴染だからそうだけど・・・・」
「私ね、何時も飛鳥の事見てたんだよ、知ってた???」
「そうだったのか??」
「・・・・本当に何時も飛鳥の事見てたんだよ・・・・・・・・・」
そう言ってレナは飛鳥に少し寄り掛かる、飛鳥は体を離そうとしたが何故か出来なかった、
レナの体が寄り添う事を飛鳥は心地良く感じたからだ。
「それでね、飛鳥・・・・・私ね自分の気持ちをね、飛鳥に言おうって・・・・・決めたの」
「レナの気持ち??」
ここまで聞けば、レナが何を言おうとしているのか見当が付くはずなのだが、飛鳥にはレナが何を言いたいのか全く分かっていない、
飛鳥は鈍感なのだ。
「あのね、飛鳥・・・・・・・私・・・・飛鳥の事が・・・・好きなの!」
「・・・・・」
「・・・・・
少しの沈黙の後。
「え!?・・・・ええええ〜〜!!!!????」
飛鳥はレナの言葉を聞いた途端、悶絶してしまった、どうやら本当に気付いてなかったみたいだ。
「まさか、全然気付いて無かったの??」
「う・・・・うん・・・・全然」
飛鳥は恐る恐る言葉を返した。
「はぁ、やっぱり・・・・、飛鳥はどうなの?」
「俺は・・・その」
飛鳥は、今までこんな事考えた事も無かった。
レナは自分の幼馴染で小さな頃からよく遊んでいた、互いに相談にのってあげてたりしてたが、
今までレナの事を、どう思っているなんて考えた事も無かった。
飛鳥は戸惑っていた、今までこんな事考えた事なかったから、レナの事をどう思ってるなんかなんて、
だた一つなんとなく思う事があった、レナと一緒に居ると―――――――と、いう事。
なんなのだろうこの気持ちは?。
「レナと一緒に居ると・・・・・楽しいかな??」
その事を聞いた途端レナが、キョトンして答えた。
「え?、それって、その・・・・・オッケーって事で良いの??」
「まぁ・・・・そういう事になるのかな???」
「もう!!!・・・・飛鳥の・・・・バカァ!!!!」
そう言った途端、レナは飛鳥に抱きついた。
「うわっ!!、レナ!!??」
「もう・・・飛鳥のバカ・・・・でも凄く・・・・嬉しい」
今にも泣き出そうな声で、レナは続けた。
「ねぇ・・・・、飛鳥ずっと一緒に居てくれる??」
飛鳥は戸惑いながらも優しい声で答えた。
「ずっと・・・・・一緒に居る」
「本当に?」
「本当・・・・に」
飛鳥の言葉を聞くと、レナは微笑んだ。
「そろそろ帰らないとな」
「そっか今日、美花ちゃんの誕生日パーティー開くんだよね?」
今日は飛鳥の妹、美花の誕生日だ。
天川家では毎年誕生日になるとパーティーを開くのがしきたりの様なものだ。
「そうだ、レナも来ないか、パーティー?」
「ううん私はいいよ今日は久しぶりに、お父さんとお母さん帰って来るんでしょ?」
飛鳥と美花の両親は、ナデシコを所有している企業ネルガルの研究所で研究員として働いている、
「表」には出来ない、研究だが。
その事を飛鳥達は知らない、この事が悲劇を生みということも。
「そっか、じゃぁ家まで送るよ」
「ありがと、なんだか照れるな・・・」
飛鳥とレナは、手を繋いで丘を降りて行った。


「ただいま」
「お兄ちゃんおかえり!、遅いよぉお父さんとお母さん帰って来ちゃうよ!!」
飛鳥が家に帰ってきたのは、結局家を出てから一時間後だった。
「そうだったなごめんごめん、早く準備しないとな」
「早くしよ!お兄ちゃん」
「えっと、料理の下準備はすませてあるから後は飾り付けだけだな」
「お兄ちゃん、美花も手伝ってあげる」
「ありがとう、美花」
「えへへ、どういたしまして」
飛鳥と美花は、二人でパーティーの飾り付けを始めた。
「お兄ちゃん、ここ届かないよぉ〜」
美花は天井に壁を付ける飾りを付けようと、必死に背伸びをしていた。
「はは、届かないだろ、お兄ちゃんがやってやるから」
「やだ〜!、私が付けるぅ〜!」
美花は手をバタバタ動かして駄々をこねている、それを見た飛鳥は小さくため息をついた。
「ほら、抱っこしてやるから」
「やった〜、早く抱っこしてお兄ちゃん♪」
そんな調子で、飾り付けは進んでいった。


「ふう、なんとか終わった・・・・」
飛鳥と美花の二人は、両親が帰ってくるまでになんとか、パーティーの準備を終わらした。
今飛鳥と美花は、二人並んでソファーに座っていた。
「お父さんとお母さん、ビックリするかな??」
「絶対ビックリするさ」
「そうだといいな〜」
そう言って美花は、微笑んだ。
「そろそろ、帰って来る頃だな」
ピンポーン・・・・・
インターフォンが鳴った。
「あ、帰って来たよ」
美花は玄関の方へ走って行った、その後飛鳥も玄関に向かった。
「お帰りなさい、お父さんお母さん!」
「おかえり、父さん母さん」
玄関には飛鳥と美花の両親が立っていた、父の名前は天川 良介、母の名前は天川 優子、二人とも優しい両親だ、
手には美花への誕生日プレゼントなのだろうか二人とも、大きな箱を抱えている、
天川家が久しぶりに全員揃った。


「これ全部、美花と飛鳥二人で準備したのか?」
「うんそうだよ」
父の問いに飛鳥が答える、今四人は飛鳥と美花が飾り付けしたリビングにあるテーブルに四人向かい合って座っている、
テーブルの上には、飛鳥の作った様々な料理が置かれている。
「じゃぁ、そろそろ始めようか」
「ええそうしましょう」
美花の誕生パーティーは、四人で盛大に行われた。
この時は誰も想像もしなかっただろう、これからこの一家を引き裂く出来事が起こる事など・・・・・・。


美花の誕生日を祝っている最中、家のインターホンが鳴った。
「ちょっと出てくるね」
飛鳥は席を立とうとするがそれを、優子が止めた。
「それぐらい、母さんがやってあげるわ」
そう言って優子は、玄関に向かった。
「ねぇねぇお父さん、お兄ちゃんの料理美味しいでしょ?」
「凄く美味しいよ、相変わらず飛鳥は料理が上手だな」
「ありがとう、父さん」
飛鳥は照れたように、顔を少し赤くした。
「レナちゃんは、元気かい??」
「うん相変わらずだよ」
「ははそうか」
瑞樹家と天川家は、飛鳥とレナが幼馴染だという事もあって、昔から交流があった。
「ねぇお母さん、戻ってくるの遅いね?」
「言われてみれば、そうだな」
「お父さん、ちょっと行ってくるよ」
そう言って、良介は玄関に向かった、飛鳥は何か嫌な感じがした。
「ねぇ・・・お兄ちゃん、お姉ちゃんと何話したの??」
「レナと話した事??、うーん・・・・告白、されたのかな?」
「・・・やっぱりそうだったんだね、お兄ちゃんは何て答えたの???」
「え・・・・」
「・・・・・・・あのね、美花もね・・・・お兄ちゃんの事・・・・・」
美花が何かを言いかけたところで、誰かの悲鳴が家の中に響き渡った。
「えっ!?・・・!!」
飛鳥は立ち上がって、悲鳴の聞こえた玄関に向かった、玄関に来て飛鳥は絶句した・・・・。
なんと玄関には、数人の男と良介そこには、ついさっきまでは優しい母だった死体が転がっていた、
優子の衣服は血で真っ赤になっていた。
「お・・・お母さん!!!」
キッチンから、美花が玄関にやってきた。
「お兄ちゃん!!、お父さん!!なんでお母さんが・・・!!!!」
美花は変わり果てた母の姿を見て、恐怖に顔を歪めていた。
玄関に入って来た美花と飛鳥に気付いた、良介は叫んだ。
「飛鳥!!!早く何処かにっ!!!・・・・」
そこで良介の声は途切れた、数人の男達の中の一人が良介の首を小刀で切り裂いたのである、
壁には吹き出た血が、飛び散った。
「「父さん!!!(お父さん!!!)」」
二人が同時に叫んだ、美花は目の前で起こった事が理解できていない、
飛鳥は変わり果てた両親の姿を見て呆然としていたが、本能が飛鳥を現実に引き戻した、そして飛鳥は美花の腕を掴み家から飛び出した。
男達の中の何人かが、二人を追おうとしたが、爬虫類の様な笑みを浮かべながら一人の男がそれを止めた。


二人は必死に走っていた、二人が向かった先は丘の上にあるあの木の元。
「はぁ・・・・はぁ・・・ここまで来れば・・・・大丈夫かな・・・」
未だに飛鳥は何が起こったのかを、理解していなかった、それは隣にいる美花を同じだった。
「お兄ちゃん・・・お父さんと・・・・お母さんが・・・・・・」
美花の声は恐怖で今にも泣き出しそうな声で言った。
「ここまで逃げるとは、・・・・・おもしろい」
「え・・・?」
二人の顔が冷徹な声によって再び恐怖に歪んだ、気付けば二人は家に現れた男達に囲まれていた。
その声が聞こえた瞬間―――――――
飛鳥の隣にいたはずの美花が一人の男によって引き離されていた。
「美花!!」
飛鳥が叫んだ瞬間、飛鳥の体に衝撃が走った、
乾いた銃声と共に、銃弾が飛鳥の体を貫いたのだ。
「うっ・・・!」
「お兄ちゃん!!やだ、離して!!!お兄ちゃんが・・・・お兄ちゃんっ!!!!!!」
美花の目の前で飛鳥の体は倒れた。
「引き上げるぞ」
「男の方は、連れて行かなくてよろしいので??」
「ああ、一人いればそれでいいそうだ」
「お兄ちゃん!!!・・・」
男達は美花を連れてその場を去った。


その場に倒れたまま飛鳥は微かな意識の中、自分の無力さを悔やんでいた。

自分の妹を守れなかった――――――

妹の笑顔を守れなった―――――――

「ちくしょう、間に合わなかった・・・・」

消えていく意識の中、飛鳥が最後に目にしたものは自分よりも少し年上の少年――――――――


第四話「買い物」へ続く――――――――――――――


どうもDestinyを読んで下さっている読者の皆様、作者のkurisuです。
今回は少し長めに書けました、後シリアスっぽく。
でも・・・やっぱり上手く書けない・・・(;^^)
この三話は飛鳥の記憶の中に残っている、忘れられない事の一つという事になっています、
まだ飛鳥が普通の生活を送っている頃ですね。
えっと前回の後書きで、書けなかったキャラクター紹介を簡単にしたいと思います。

主人公はご存知のとおり、天川 飛鳥ですね、
アキトと本当に似ています、鈍感な所とか、料理が上手な所とか。

ヒロインは分かりにくいと思いますが、瑞樹 レナです、
飛鳥とは生きている時間が違いますが「思い出」という形で、飛鳥と関係があります。

もう一人のヒロインというか、飛鳥の妹の様な存在、そして自分が守ると決めた人、天川 美花です、
なんで飛鳥の妹と同じ名前かというと、それは後ほどDestiny短編で詳しく書きます。

管理人のBenさん、いつも感想ありがとうございます。
まだまだ未熟者ですので、うまく表現できてない所も多々ありますが、
少しずつ、改善していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。


それではこの辺で――――

 

管理人の感想

kurisuさんからの投稿です。

飛鳥の過去話でしたね。

何故、飛鳥が美花を守ろうとするのか、その理由が垣間見えたわけですが・・・

最後に本人が出てきてますし、ナデシコに何故乗り込んでいるのか、等など疑問点は残されています。

今後の話の展開に期待していますね。