時ナデ・if
<逆行の艦隊>

第17話その4 Summer of War




「その質問に対する回答は、YesでもNoでも私に分が悪い」



黒服はたっぷり、それこそ某銀色と赤基調の正義の宇宙人なら活動限界を迎えてしまえそうな沈黙の後にそう答えた。

しかし、その沈黙の長さが言葉の正しさを裏付けている。



『今回のことを仕組んだのはお爺様ですね?』



アクアはそう言った。

つまり彼女には何らかの心当たりがあるわけだ。



例えば?

可能性の話でしかないが、クリムゾンも完璧に一枚岩ではないということか。

大いにありえる話ではある。

現に木連や、敵対関係にある地球連合も内部では様々な思惑と利権が絡んだ派閥争いが繰り広げられていた。

木連では特に元老院と四方天の対立が顕在化しつつあった。



実質的に木連の内治と戦争を取り仕切っているのは四方天だったが、外交に関しては元老院の手にゆだねられている。

戦後に開戦のきっかけを作ったのはこの元老院による外交の失敗だとも言われるようになる。

ただし、はじめにミスを犯した(木連を国家として認め、国交を正常化すれば過去のことは問わないと言う申し出を黙殺した)のは連合側だったのだが。



「冥土の土産に、などと言うつもりもありません」



「サービス悪いぞ。

 こんな時は『最期に教えておいてやろう。 実は……』とか言って黒幕を暴露した挙句に

 何の脈絡なく助っ人に来た仲間に倒されて、でも、人質とって『動くなッ!』とかやってから

 きっちりと止めを刺されるのが筋ってもんだろ」



本気なのかそれともただの軽口なのか判断に困るようなセリフを吐くロイ。

確かにそんなご都合主義にでもすがりたい状況ではある。



「……ゲキガンガーじゃないのよ」



「『アニメじゃない、ほんとのことさ』ってわけだな。

 ところでアクアも何か言葉を遺しておくか?」



「字が違います。

 私は死ぬつもりはありませんから」



「失礼ですがお嬢様、死とは自分の意志ではなく、他から強制されるものなのですよ」



黒服が慇懃無礼な態度を崩さないまま告げる。

優位に立っているもの特有の余裕の笑みを浮かべて。



「私は言いたいことは自分で伝えます。

 ただ、あなたが生きて帰れたらおじいさまとシャロンお姉さまによろしく伝えてください。

 ………『またご挨拶に伺います』と」



「伝えましょう。 遺言として」



「あー、やっぱりオレも数に入ってるのか?」



今さらのようにロイが呟く。

黒服としては何を今さらといったところだし、答えてやるつもりもなかった。

無言で銃を向ける。



「これでも善行を重ねてきたんだけどな。

 いまどき珍しいほどいい人って近所の奥様方にも評判で、

 深夜通販でも大変ご好評を頂いておりますなのに!?

 

 ああ、しかも考えてみたら27年生きてきて恋人いた試しないし。

 ナデシコの半分は女性クルーでできてたのに!?

 さらに言うなら今までハーレム状態だったのに!?」



黒服が眉をしかめる。

よくしゃべる男だ。

単に混乱しているだけかもしれないが。



「こうなったらこの際姐さんでも構わないからその胸の中で死なせてくれー!」



『こうなったら』だの、『この際構わない』だのとかなり本人が聞きとめたら明日の朝日以前に

今日の夕暮すら見られなくなりそうな発言だったが、役にはたった。

ここまでムダに騒がれると対処……と言うかリアクションに困る。



それが時間稼ぎだと分かりきっていてたとしても。



「――― ッ!?」



一瞬、眼前からロイの姿が消えた。

しかし、問題はそんなことではなかった。



自分と似たような黒服が銃を抜いている。

行為そのものは自分も同じようなことをしているので意外性はない。

が、その銃口は紛れもなくこちらを向いていた。

男の目に剣呑な光が宿る。



サングラスをかけた相手の顔に見覚えがあった。

確か、アクアが自分たちとは別に雇っていた……



「――― ヤガミ・ナオ!」



それが生涯で最期の言葉となった。

散文的な言葉。

それが彼の“遺言”となった。





○ ● ○ ● ○ ●





「遅くなりました、お嬢さん」



倒れ伏す男たちと同じような黒服が軽く一礼する。

はっきり言って没個性だが、それ故に紛れ込むこともできたわけだ。

妙にサングラスが似合っているが、赤道下の強い日光の対策だけと言うわけでもなさそうだ。



「いえ、助かりました、ヤガミさん」



ナオはアクアが独自に雇い入れていた専属ボディーガードの一人らしい。

“の一人”と言うからには他にもいるのだろう。



倒れている黒服の数は10人。

対するこちらの損害はゼロ。



「………姐さん、いい加減に足どかしてくれ」



訂正。

損害、一名。



リーダー格の黒服がナオの銃弾によって倒れた隙を舞歌たちは見逃さなかった。

本職の軍人から見れば銃口を押し付けると言った稚拙な行動(恫喝にはなるが、同時に銃口の位置を教えてしまう)もあり、

さらに大人数で囲っていると言うのも彼らには災いした。

この状況で下手に発砲すれば敵にも当たるかもしれないが、仲間にも当たるということに気付くだけの理性はあったらしい。

対して舞歌たちは銃を持ってきていない(アクアとの接見前に預けた)ので素手と言うことになるが、

こちらは木連式柔や短杖術などを軍の教育課程でみっちり仕組まれている。



舞歌はロイに突き飛ばされ……もとい、押し倒されながらも片手を付いて完全に倒れこむことを防ぐと、

とりあえずロイを蹴り飛ばして黒服の一人にぶつけた。

バランスを崩し、銃口がそれたところでその銃身を掴んで捻りあげる。

軽く、しかし不快な感触と共にトリガーにかかっていた指が折れた。

理解しがたいと言うように呆けた男は、しかし、焼けるような痛みに声を上げかけ、だが、それより早く鳩尾に打ちこまれた拳によって悶絶した。

腹を押さえてうずくまる男の顔面に容赦ない蹴りを入れてすぐさま舞歌は次の相手に移った。

時間を与えず、奇襲に近い心理上の有利を徹底的に活かす。

そして1分が経過するころには立場はまったく逆転していた。



「何か聞こえた気がするわ」



足に力を込めてグリグリとえぐりこむ。



この際、姐さんでも〜の発言はしっかり聞こえていた。 ロイは自称貧乳同盟マンセーらしいが、それでも腹は立つ。



黒服は10人中3人はナオによって射殺されていたが、残りの6人は骨折程度で済んでいた。

できれば艦へ連れ帰って詳しく尋問したいところだが、そんな余裕はなさそうだ。



「アクア・クリムゾン。 事情を説明してもらうわよ。

 もうすぐ迎えが来るから」



アクアは頷き、ナオが眉をひそめた。

舞歌の口調は友好的なものではなく、暗に断れば拘束すると告げている。



「ヤガミさん。 現状の把握は?」



「どうもこうも。 混沌の一言に尽きますね。

 まさか俺たち以外の全員が敵にまわるなんて思ってませんでしたから」



「わかりました。 では、残りの方に連絡を。

 『護衛の任務を停止。 以後は各人の判断でこの島を脱出してください』」



「お嬢さん!」



「ヤガミさんも、ご苦労様でした。

 心配なさらないでも、アルフレッドがお給料は振り込みますので」



遠雷のような音が聞こえた。

それが2機の人を模った機械の駆動音だと認識するのにやや時間が必要だった。

見た目よりも遥かに軽やかに着陸した2機の機動兵器。

その手の中には人員輸送用のコンテナがある。



「では、ごきげんよう」



ナオが引き止めるより早く、アクアは優雅に微笑んでその身を翻した。





○ ● ○ ● ○ ●





見れば見るほど奇妙な風体の男だった。

時代掛かった編み笠に、同じく古臭いマント。

何の意味があるかはわからないが、異様さという意味では十分に際立っている。

場所を間違えればコメディアンか大道芸人にも間違われそうなスタイルではあったが、

その手に握られた抜き身の短刀は冗談で済まされる域を頭一つ分ほど抜けている。

その鈍色の刀身に滴る赤い液体の正体を容易に想像できるから。



「こっちも行き止まりってことは同じね」



「追いつかれてしまえば変わりませんよ」



イネスの言葉に答えるジュンの息も荒い。

全力疾走の一歩前を続けていたのだから無理もない。

むしろ、ばてたのはイネスの方が先だった。



「……撃つしか、ないのか」



手の中に納まるブラスターがひどく重く感じる。

実際には素材工学の発達もあって本体は700g程度しかない。

安全装置は信頼性を追求した機械式。

宇宙空間でも使用できる特殊な装薬を用いる宇宙軍の標準装備だった。



もちろんジュンは軍の士官育成過程において銃の扱いは学んでいる。

得意とは言いがたいものの、銃口を向けて撃つことくらいはできた。

また、宇宙軍士官にとってはそれで十分ともいえる。

実際に使う機会などそうそうあるものではないはずだった。

銃は道具であり、それだけだった。

それが今、道具から凶器になろうとしている。



編み笠が動いた。



「くッ!」



とっさに銃口を向けるが、引き金が重い。

間の抜けたことにセーフティーを解除していなかったことに気付く。

映画でもよく銃を向けられた主人公が「セーフティーがかかったままだ」と言って相手の気を逸らして銃を取り上げるシーンがあるが、

それ以上に抜けた話だった。



死を意識する瞬間、スローモーションで走馬灯がながれると言うが、ジュンに限って言うならそんなことはなかった。

全てはほとんど一瞬が連続して襲い掛かってきたようなものだった。



視界を埋め尽くす編み笠と、ゾッとするような予感めいた死の確信と。

そして反転する視界。



足払いをかけられたと言うことには気付いたが、その相手まではわからない。

それでも受身を取って後頭部の打撲を防げたのは我ながら大したものだと思う。



「アオイさん、銃を!」



ジュンに足払いをかけた当の本人であるカイトが叫ぶ。

声に応じて顔を上げると、SFちっくな光景があった。

ルビーが素手で短刀を止めている。



「アオイさん!」



再びカイトの声にほとんど反射的にブラスターを放る。

カイトは手馴れた動作で受け取ると、安全装置を解除。

が、銃口を向けるその前に編み笠は離れていた。



「遺伝子細工の人形が」



それがジュンの聞いた編み笠の男の初めての肉声だった。

平坦な発音の日本語ではあるが、その声は陰湿な冷たさがこもっている。



「ヤマザキには生かして連れて来いと言われたが………」



そこで唇の端に笑みをのせる。



「生きていれば、まあ、よしか」



『ヤマザキ』の所でイネスの表情が変わったが、その意味するところはわからなかった。

それよりも眼前の脅威に対抗せねばならない。





○ ● ○ ● ○ ●





汗をかく。

緊張と焦燥の入り混じった汗が手の平を濡らす。

唾を飲み込んで銃を持ちなおした。

通常は刀剣よりも銃の方が有利とされる。

射程において勝り、扱いは刀に比べれば容易で、携帯性も高く、それこそ子供でも人を殺せる。

だが、それでもカイトには目の前の編み笠の男に勝てる自信がなかった。



フェイントも混ぜてだらりと下げた腕を振り上げ、ほとんど狙いもつけずに発砲。

それでも熟練のなせる技か、運が良かっただけか、その銃口は胴体の肝臓部分に向かっていた。

無論、ブラスターの9mm弾とはいえ、当たれば致命傷になることは疑いようもない。

相手はボディーアーマーすらつけていないのだから。



しかし、その銃弾は撃ち出されるのとほとんど同時に目標を見失っていた。

基本的に直進するしかない銃弾はその運動エネルギーを背後の木の幹に開放する。



「……狙いを読んでいるのか」



今さらながらに自分の相手しているのがどんな化け物かを悟る。

銃の欠点(と言うほどでもないが)に銃口の向きにしか銃弾は飛ばないというものがある。

ならば銃口から狙いを読んで発砲の直前に回避に入ればかわせる、というものだが、

理論はともかく、容易く実行できることではない。

撃ち続けるが、そのことごとくをかわされる。

まるで昔の映画に出ていたエージェントのようだ。



……このままだと弾が先に切れる。



そう思い、トリガーにかけた指をわずかに離す。

それはほんの刹那のことだった。



「な?」



そして次の瞬間には目の前に細い腕があった。

一拍置いて背後の名前も知らない木の幹に小さなナイフが突き立っていた。



「……ダメ。 撃ち続けないと、反撃がくる」



ルビーのその言葉を聞いてようやく自分が命拾いしたと悟る。

ほんの刹那に銃撃を緩めた、まさにその瞬間に編み笠はスローインナイフを投擲したのだった。

ルビーが気付いて弾いていなければ、位置からして喉笛に突き立っていただろう。



「ほう、面白い。



 楽しめそうだな」

こちらは楽しくもなんともないのだが。

そう反論する前に男の手が翻った。

一拍置いて金属同士がこすれあったような耳障りな音と共にナイフが地面に叩き落される。

ルビーが展開したDFによって再度投擲されたナイフも同じ運命を辿る。



これでは千日手だ。

こちらの攻撃も当たらないが、向こうの攻撃も当たらない。



「ふん、なら、これはどうだ」



男の手の中にナイフが現れる。

手品でも見ているかのように唐突に。

その数は両手の指の数より多い。



「カイト、ごめん避けて!」



珍しく切迫したルビーの言葉に反射的に横へ跳ぶ。

それが結果的に命を救った。



「ルビー!」



イネスの悲鳴に近い叫び。

ナイフの半数以上は先程と同じように叩き落された。

だが、今回に限って言うなら例外があった。



「だいじょうぶ……すごく……痛くないから」



白い服の上にじわりとルビーの瞳と同じ赤い色が滲んだ。

彼女が無理をしていることはわかる。

そもそも日本語が矛盾してる。



「やはり、時間差では防ぎきれないようだな」



露悪的で嫌悪感しか生み出さない笑みを編み笠が浮かべた。



DFを展開できるルビーの能力にも欠点はある。

そもそもDFの展開自体に相当なエネルギーを要するために、普段からそれを貯蓄しておく必要があること。

そして、展開する時はそれでも足りないこと。

長時間、あるいは効果範囲を広げて全身を覆うなどのことをやるとすぐにエネルギーが尽きる。

そこで彼女の場合はピンポイントで手や足に収束させつつコンマ数秒の単位で展開することで極力効率的に使うようにしていた。

結果としてそのような使い方だと、飽和攻撃や時間差攻撃に弱くなる。



編み笠の男はカイトとルビー以外にもイネスやジュン、イツキの方まで狙っていた。

両方をガードできるほど展開範囲を広くすると、展開できるフィールドの効果時間は短くなる。

しかも体力の消費も大きく、回復するまで立っているのがやっとの状態になってしまう。

やむなくルビーは両手のピンポイントで持続時間を若干延ばした状態のDFで初撃を弾いたが、

第2撃目は集中力が持たなかったのと、疲労から弾ききれなかった。

致命傷になりそうなものだけ防いだものの、両腕と右足は使えそうもない。



編み笠の男はそのルビーに無造作に近付き、同じように無造作に蹴り倒した。

肩口に突き刺さったナイフの柄を踏みつけ、痛みに押し殺した呻きを洩らすルビーを無感動に見下ろした。



「あなたッ!」



「つまらんな」



視線で殺せるなら編み笠相手でも2回はできそうなほどのイネスの視線を軽く流して呟く。

ジュンも砕けるほどきつく奥歯を噛み締めていた。

怒りに任せて特攻したところで無駄死にするだけだと彼の冷静な部分は告げている。

自分にできるのは考えることだ。

死ぬことではない。

生きるために考えることだ。



「しょせん人形だな」



「貴様ッ!」



カイトが樹木の影から飛び出した。

ほとんど同時にブラスターを発砲するが、同じくかわされる。

カイトも元より当たるとは思っていない。



それは賭けだった。

しかもかなり分の悪い。



さらに数発撃った段階で、ブラスターを放り出す。

代わりに先程拾っておいたスローインナイフを握り締めた。

編み笠が呼応するように短刀を抜き放つ。



ここまでは予想通りだった。

これでナイフを投げつけられたらかわしようもなかったのだが、腕に自信があるのか、

それとも単に同じ殺すでも人を“斬る”方が好きなのか……多分両方だろう。



短刀の届く距離は素手と大差ないだろう。

そのわずかに外側からナイフを投げつける。

銃弾すらかわすような非常識な相手に刃物の扱いに関しては素人に毛が生えた程度のカイトのナイフが通用するはずもない。

片手であっさりと弾かれる。

これでカイトの武器はなくなった。



――― そう、思ったのだろう。



編み笠の狙いは正確だった。

短刀でも絶対に致命傷となる頸部を狙ってくる。

それもカイトの予想の範疇だった。

というか、暗殺者が狙うとしたら頸部を切り裂くか、心臓を突くかするのが一番効率がいいという一般論から考えてだが。

非常識な振る舞いの割にそういう点ではセオリー通りといえる。



ゆえにカイトでもそれを防ぐことはできた。

既に斬撃を予想して左腕を掲げている。

対して右腕は心臓を守るように。

これで右から斬撃がきたらどうしようもないのだが、特にそこまで捻ることもなく編み笠は右手に持った短刀でそのまま斬りつけてきた。



衝撃に左腕が痺れる。

男の予想に反してカイトの腕で刃は止まっていた。

カイトが先程拾っておいたナイフは一本ではない。

余分に拾った何本かをカイトは両腕の袖の中に仕込んでいた。

それが必殺となるはずだった一撃を辛うじて……ほんとうに辛うじてというレベルで受け止めたのだった。



カイトは2つ目の賭けに勝ったことを感じていた。

空いている右手で相手の手首を掴み、そこから両足で相手の腕を極める。

木連式柔では『蔓(かずら)』と言われる変形型の十字固めの一種だった。

全体重をかけて相手の腕をへし折ると言った技である。



「……惜しかったな」



だが、それは完全には極まらなかった。

いかなる筋力によるものか、男は片腕でカイトの体重を支えている。

ナデシコにおける半入院生活で体重が落ちたとはいえ、50キロ台の後半にあるカイトの体重をである。



「死ね」



空いている方の左手が腰の後ろからもう一本の短刀を引き抜いた。

離さなければそのまま焼き鳥のように串刺しにされるだろう。

どの道、離しても同じだろうが。



だからカイトは最後の賭けに出た。



「アオイさん!」



その瞬間は、ジュンは宇宙軍士官としての教育の一切を忘れていた。

ただほとんど無我夢中でカイトの投げ出したブラスターに飛びつく。

安全装置は解除されたまま。



「うわあぁぁぁ!」



カイトに当たるかもという考えはなかった。

それどころではなかったと言うのが正しい。

無様に転びながら、それでも銃を構え、銃口を向け ――― 引き金を引く。



乾いた音が連続した。

映画やテレビのよな派手さはない。

パンッというだけの、風船が弾けたような乾いた音。



それで全てが終わった。

終わって、しまった。





○ ● ○ ● ○ ●





オレンジ色の曳光弾が敵機をかすめて虚空へ消える。

アキトは何度目になるか分からない舌打ちをしつつ、空戦フレームを全力で上昇に転じさせた。

その足元を薙ぐようにフィールドランサーが通過していった。



「きりがないな……」



敵機……二式局戦<飛電>は見れば見るほど夜天光に酷似していた。

装飾的な要素を極力省く傾向にある兵器において、外見が似ていると言うのは、その設計思想や運用思想も似ていると言うことになる。

つまり、多少の性能差はあれども大体どんなものかは予想がつくということだ。

その予想は違わず、ターレットノズルを装備する飛電は格闘戦重視の機体だった。

運用もいたってシンプルに敵の背後をとる典型的なドッグファイト。



ただし、ラピッドライフルを装備してはいるが、ほとんど使っていなかった。

エステのように強固なDFを装備する機体が相手では遠距離の射撃戦では一撃必殺と言うわけにはいかないからだ。

対するアキトの方も、エステのFCSが飛電を捉えられずにいた。

傀儡舞に近いトリッキーな動きをパターン化できずに追従しきれていないのが主な原因だった。



それともう一つ。



「くそッ、反応速度が!」



突き出された槍の穂先が空戦フレームの翼の一部をもぎ取っていく。

かわしたつもりでも、機体の反応がひどく鈍い。

なまじに人型であるためにそのイメージと機体の反応の誤差はさらにもどかしく思う。

サレナやブローディアに慣れていたために、逆にロースペック(あくまで比較)なエステは扱い辛い。

せめてテンカワsplかアルストロメリア、あるいはスーパーエステならまだ良かったかもしれない。



「しかもこの動きか!」



敵の反応は異常だった。

動きを読んで発砲しても、その直前に回避に入っている。

撃たれる瞬間にそれに反応しているとしか思えない動きだった。

北辰や北斗あたりはむしろこちらの狙いを先読みしてかわす。

そういう意味でこの敵はまた異質だった。



しかし、傀儡舞に“耐えられる”人間がそうそういるとも思えない。

前回のサレナの強化案(ブローディアの試案)の一つに夜天光や六連のようなターレットノズルを追加するという案はあった。

アキトもシミュレータで試したことがあるのだが、あれは普通の人間がやればすぐに上下感覚の失調をきたす。

サレナで高機動には慣れていたはずのアキトでさえ酔ったくらいの代物だった。

加えて、加速はそれほど激しくないものの、上下左右にめまぐるしくG変化が掛かるために肉体的な負担も大きい。

メリット(敵を撹乱できて射撃に当たりにくい)とデメリット(機構そのもののが複雑で重い。 精神的肉体的消耗が大きい)を

考えた結果、ブローディアは運動性能より機動性能を重視し、防御は小型相転移エンジンの高出力からくる強固なDFがあれば十分で、

ターレットノズルをつけるくらいならその分のリソースを武装にまわすほうがいいとの結論から採用は見送られた。



そんないわくつきの装備ではあるのだが、戦闘開始からこの方、相手に消耗は見られない。

逆にアキトの空戦は所々に攻撃を受けていた。

DFSと空戦フレームの相性が悪い(DFSを使っている間はDFが弱まって空気抵抗が増すために機動力が落ちる)こともある。

距離をとってかわしようがないほどの奥義級の技を放てばすむ話ではあるが、それをやると地上に当たった場合、脱出した面子を巻き込みかねないのと、

射角によっては停泊中のナデシコに当たりかねないという問題があった。

そう言った事情からアキトはドッグファイトという相手の土俵で勝負しなければならなかった。



DFSを胴めがけて振り払うが、その時すでに敵機はその位置にはいない。

が、これは織り込み済みだ。

空戦の基本は『こっそりと後ろから闇討ち』すること。

妙なところでセオリーに従っているのか、敵の動きも基本的にそれだった。

さすがに何回も繰り返されれば気付く。



DFSに機体を覆うDFの全てを収束。

防御力はほとんどないに等しくなるが、どのみち相手の武器がフィールドランサーでは大差ない。



「はッ!」



振り返りざまに一閃。

ほとんど同時に敵機のフィールドランサーが背中の安定翼を切り取った。

揚力と推力は重力波スラスターから得ているとはいえ、安定翼を破壊されればバランスがとれなくなる。

対する敵機も肩のターレットノズルの一部をDFSによって切り飛ばされていた。



結果、盛大にバランスを崩した2機はもつれ合うようにして急降下を開始する。

いや、それは俗に墜落と言われるプロセスだった。





○ ● ○ ● ○ ●





さすがに墜落で機体に歪みが出たらしい。

真っ赤なエラー表示が視界を埋め尽くす中でアキトは座席の横に取り付けられた昔から変わらない黄色と黒の縞模様のレバーを引いた。

予想よりは大人しい音をたてて緊急脱出用の装薬により前面装甲とアサルトピットハッチが吹き飛ばされる。

傾いたコクピットから、それでも危なげなく脱出すると、10mほど離れた地点に仰向けに転がっている敵機を目指す。

武装はパイロット用に備え付けられているブラスターがある。

もっとも、北辰クラスが相手なら対戦車ミサイルでも不足なくらいだが。



敵機も墜落時の衝撃でどこか壊れたのか、動く様子はない。

一般的にコクピット周囲は衝撃吸収機構があるために無事ですむ場合が多いが、他の箇所に比べれば複雑で壊れやすい関節などの駆動系はこの手の衝撃に弱い。

木連製の機動兵器がどの程度その辺に気を使っているかはアキトは知らなかったが、エステと同程度と考えた場合、無傷と言うわけにはいかないだろう。

木連のパイロットはヘルメットをつける習慣が浸透していなかったから、脳震盪くらいは起こしているかもしれない。

それでも用心深く周囲にも細心の注意を払って近付く。

前部ハッチは開いていない。



「………開けてみるか」



意を決して深紅の機体をよじ登る。

機構的にはエステに酷似する部分が多いように思われた。

もしかしたらと思ったのだが、案の定、ハッチの横に緊急用の開放スイッチがあった。

パイロットが気絶、もしくは意識不明の重体などに陥った場合の救出用だ。

拳を叩きつけてボタンを押すと同じように炸薬によってハッチが吹き飛んだ。



「動けば撃つ」



我ながら捻りのないセリフだと思いつつ銃をパイロットの座席と思しき場所へ向け ―――



「……なんだよ、これ」



それは予想のどれとも違うものだった。

同時に非常識極まりない動きにも納得がいった。



<あ、ようやく繋がった。 アキト!>



「何なんだよ」



<アキト? どうしたの、アキト?>



「何でこんなものが!」



<アキト!? ねぇ、どうかしたの?>



通信が回復したらしく、コミュニケからユリカの声が響く。

が、アキトはそれに答えなかった。

その余裕がなかった。

とっさにコミュニケをサウンドオンリーへ切り替えただけだった。

なおも心配するユリカに、「すまないが、あとで話す」とだけ一方的に告げて通信を切った。



パイロット座席に人間はいなかった。

見覚えのある……確かヤドカリと呼ばれていた小型の機動兵器と、その背に括り付けられた箱。

衝撃によって破損したその箱からは中身がこぼれている。

滴り落ちる水音が耳障りだった。



「………ヤマザキッ!」



打ち付けられた拳によって装甲板が歪む。



それはひどく悪夢的な光景だった。

あるいはブラックユーモアと言うべきか。

箱の中に収められていたのは、人間の脳だった。



『信頼と実績のヤマザキラボ』



むしろその所業を誇示するかのように箱に刻まれたその文字がひどく悪趣味だった。





○ ● ○ ● ○ ●





時間帯的にはそろそろ夕焼けが見られるころだろう。

宇宙艦艇には部屋に窓が付いていないので残念ながらそれを確認できそうもない。

次に太平洋の水平線に日が沈むのを見られるのがいつになるか分からない現状では、ひどく損をした気分だった。



「私にはお爺様のほかにもう一人、身内がいます」



「それがシャロン・ウィードリン?」



一応、それくらいは調べてきている。

確かアクアとは腹違いの姉に当たるはずだ。

クリムゾンの姓を名乗らず、母方の旧姓を名乗っているあたり複雑な事情が伺える。



「ええ、公式には異母姉、ということになっています」



「引っかかる言い方ね」



公式には、それでは非公式には?

舞歌にはそこに何か今回の任務の裏があるように思われた。



「正確には、私の叔母です」



「……………は?」



叔母というと、あれだ。

父母の妹と言うことになる。

ということは、シャロンのほんとうの父親は?



「まさか、ロバート・クリムゾンの娘!?

 孫じゃなくって!?」



「医学の進歩は日進月歩ですから」



皮肉をにじませながら告げる。

ロバートはもういい年のはずだから、逆算すると50代くらいのときの娘と言うことになる。



「当然、そのころにはお爺様の息子……私の父が正式な後継者としていました。

 それに愛人の娘ですから、スキャンダルになったでしょう」



「それで自分の息子の娘としたってわけ?」



「でも、その数年後には私が生まれました。

 私の母もそれなりの企業の娘でしたから。 ええ、政略結婚ですが。

 とにかく、そこでまたシャロンお姉さまは日陰者とされました。

 父の愛人の娘として」



「ちょっと待って、整理するから。

 ロバート・クリムゾンは孫のあなたではなく、血縁上は娘のシャロンを後継者にしたがっていた。

 だけど大っぴらにはそれはできない。 で、今回のことをいい機会としてアクアを消そうとした。

 そうすればクリムゾンの血筋はシャロンしか残らないから」



本当だとすれば呆れ半分、恐ろしさ半分の話だ。

娘のために孫を殺そうとするとは。



「気付いてたの?」



「薄々は。 ですから自衛のために別口で人を雇っていました。

 クリムゾンの社員ではなく、私的ボディーガードです」



「だからって、付き合いいいわね」



そう言って部屋の隅のサングラスの男に視線を向ける。

完全に武装解除されたヤガミ・ナオは嘆息しつつ応じる。



「ああ言われたら余計に気になる。

 どうせお嬢さんのところを首にされたら当てなんてないし……」



「まあ、地球人が一人二人増えたところで構わないけど」



実際は構う。

艦艇は食料や水の備蓄にさほど余裕があるわけではない。

巡航艦として居住性に余裕のある陽炎でなければ、とても面倒を見切れたものではない。



「で、どこかにあてはある?

 悪いけれどクリムゾングループの協力が得られないなら用無しよ、あなた」



きついことを言うようだが、慈善事業をしに地球へ降りてきているわけではない。

250余名のクルーは木連の国益のために危険を冒してこの任務に参加しているのだ。



「欧州に、母の生家があります。

 それに信頼できる人もいますから」



「………そう。

 それじゃあ、とりあえずそこまでの付き合いね」



「……スカーレット、と仰いましたね」



一瞬、何のことかわからなかったが、すぐに思い出す。

クリムゾンとのパイプに使うためにでっち上げた会社だ。

この任務が失敗に終わったとあっては無用の長物になるが。



「ええ、それが?」



「私に、任せていただけませんか?

 当面の資金は西欧につけばなんとかなります」



「考えておくわ」



そう答えたものの、決定権は四方天と首相の草壁にある。

個人的には溝に棄てるよりは、と言ったところか。



「それと、ヤガミ。 あなたはこっちよ。

 男は別室用意してあるから」



「おい、俺はお嬢さんの護衛……」



反論しかかったナオだったが、耳元に舞歌が囁く。



「……わかった。 もしやとは思うけど、倉庫の隅とかいうオチはないだろうな」



「あら、よくわかったわね」



「おい!」



2人の足音が遠ざかるまで、アクアはじっと壁を見つめていた。

その視界が不意に滲む。



ただ、悲しかった。

それが何に対する思いなのかわからない。

でも、ただ重い鉛のような悲しみだけが残った。



――― 泣く時くらい一人にしてあげなさい



そう言った舞歌の気遣いが今はありがたく思う。

発作的に笑いを起こしかけ、すぐにむせて咳き込んだ。

それでも肩の震えは収まらない。

握り締めたスカートの生地に涙と皮膚に喰いこんだ爪によって滲んだ血が染みをつくる。



孤独な嗚咽は静寂を許すことなく続いた。





○ ● ○ ● ○ ●





日差しが眩しい。

ここが連合軍の太平洋における拠点の一つだと言うことを忘れてしまいようになる。

色とりどりの水着姿は、まるで熱帯の花のように鮮やかに蒼い空と海に映える。

だが、ジュンはそのなかに入る気にはなれなかった。

自分が彼ら、あるいは彼女らと別の生き物のように思える。

少なくとも無邪気に休暇を楽しむ気分にはなれない。



「泳がないの?」



水着の上に白衣という、さすがにどうかと思うような恰好のイネスが問う。

ジュンはそれに首を振って答えた。



「イネスさんこそ」



「怪我人の面倒見なきゃならないから」



そういうイネスの視線の先にはワンピース姿のルビーがいた。

両腕に巻かれた包帯が痛々しい。

スカートに隠れているが、足にも同様に包帯が巻いてあるはずだった。



「大人しくしていなさいって言ったんだけどね。

 どうしても海が見たい、行ってみたいって譲らなくて、ね」



困った娘ね、と言いつつその声は嬉しそうだった。

さすがに海には入れないため、今はルリと一緒に砂浜で築城に勤しんでいた。

どちらかというと年下のルリが付き合ってあげているといった感じだ。



「あの娘、JPよ」



不意にイネスが告げる。

なんでもないかのように。



「JP……ジャケット・パーソンですか?」



「さすがは士官学校次席ね」



「からかわないで下さい」



JPはクローンや医療目的以外の遺伝子操作と同様に国際法で禁止された、いわば連合の汚点の一つだった。

SPやシークレット・サービスの思想をさらに昇華……と言うか、極端にした発想である。

機械的装置、あるいは薬物によって洗脳をほどこされたJPは対象を護衛する。

それだけなら単なるSPと変わらないが、JPはその名のとおりいざという時は護衛対象の防弾衣(ジャケット)となることを求められる。

通常の防弾衣で防げるのは拳銃弾程度で、狙撃に使われる高初速のライフルなどには役に立たない。

しかし、同じく防弾衣を着た人間を一人貫通した上ではその威力は大幅に落ちる。

つまり、その状態のライフル弾なら通常の防弾衣で止められる。

そう言うことだ。



「考えてみればそう、当たり前よね。

 ディストーションフィールドは元々防御用の装備だし。

 身体能力はともかく、IFS適応能力は常人と大差ないんだもの」



「普通なら、怒りを覚えるべきなんでしょうね」



イネスの話を信じるなら、ルビーは誰かの盾となって死ぬことを目的として造られたということだ。

ただ、そのためだけに。



「ネルガルはホシノ・ルリを研究していた。

 今でも多分、マシンチャイルドの研究を行っている。

 クリムゾンも………方向性は違うようだけれど」



「唾を吐きたくなるような話ですね。

 ……どうしました?」



イネスが意外そうな表情を見せた。



「アオイくんがそんな言葉を使うなんて、ちょっと意外だったから」



「あっ、すいません」



反射的に謝るが、イネスはむしろ好感を持ったようだった。



「いいわ。 むしろ奇麗事ばかり聞きたくないもの。

 でも、医者として一つだけ奇麗事を言わせてもらうと、命は重いわ」



「はい」



異論はない。

命は重い。

失えば、戻らないから。

奪ってしまえば、取り返しがつかないから。



「でもね。 私はこうも思うのよ。

 命の重さは平等じゃない」



「でも、それは……」



「主観によって変わると思う。

 たとえJPとして生み出されたとしても、私はルビーの命が大切。

 もちろん、カイトくんも、イツキさんも、私自身の命も」



ジュンの言葉を遮ってイネスは続ける。



「正誤じゃないのよ、きっと。

 でも、あなたが撃ったからみんな生き延びられたのよ」



「そうかもしれません。 でも、僕は、割り切れないんです」



軍人となったときから、人を撃つことに覚悟はあったつもりだった。

ときには人を殺すことが必要とされることもあるだろうとも思っていた。

しかし、それら全ては知識と知っていたに過ぎないとわかった。



「僕は、殺したんです、人を。

 明確な殺意を持って、撃ったんです」



イネスの言うこともわかる。

撃たなければ、確実にあの場の全員が殺されていた。

ジュンたちが来た道には数人分としか数えられない死体が転がっていた。

それはジュンたちを追ってきた黒服だろうと辛うじて判別できた。

完全武装のシークレットサービスを苦もなく皆殺しにする相手に手加減など出来るはずもない。

現にルビーやカイトは重軽傷を負っている。

それでも……



「引き金は、軽かったんです。

 でも、そのあとに背負うものが重いんだ」



「……………」



イネスは何も答えなかった。

ジュンとしても何かの返答を求めていたわけではない。



「イネス、ジュン、ご飯」



気がつくとルビーが紙皿を持って立っていた。

アキトたちがバーベキューをやると言っていたから、そこからもらってきたのだろう。

銀色のアルミホイルに包まれた、魚のホイル焼きらしい。



「ありがとう」



「うん」



ルビーから受け取り、ホイルを開く。

タラか何かの白身魚だった。

2人とも一口箸をつけ……固まる。



「頑張ってつくった」



ニコニコと嬉しそうに告げる、ルビー。

ジュンは全身の気力を振り絞る。

じゃりじゃりと魚にあるまじき食感を伝えてくる物体を何とか咀嚼して飲み込んだ。



「ワイルドな味だね」



「うん。

 ところでイネス、ホイル焼きってどうやって作るの?」



「そういうことはつくる前に聞いてね」



魚から血のような味がするのは気のせいではないらしい。

ルビーの指に巻かれた包帯の存在に気付くべきだったかもしれない。



「……まあ、とにかく。

 アオイくん、あなたが守ったのはこういうものよ」



イネスは涙目だった。

それがおかしくて、久しぶりにジュンは心の底から笑う。

少なくとも後悔だけはしないように。





<続く>






あとがき:


どうも、実に一月ぶりの投稿となります、黒サブレです。
ナオさんはちょこっとだけ出ました。
アクアとかメインなので、本格的活躍は西欧編まで持越しです。

次回はクルスクでナナフシ戦となる予定です。
それでは、次回また。

 

代理人の感想

ジュン君、一皮剥けたかなぁ?

取りあえずご褒美がアレというのは割に合うんだか合わないんだか微妙なところですがw

 

しかし、シャロン実は娘説ですか。

・・・・・うーむ。

年を取ってから出来た子は可愛いというけど、孫もそれを言ったら似たような物。

にもかかわらずその一方を引き立てるために一方を殺すわけですから・・・・

不遇な子ほど可愛くなるってヤツなのかな。

 

追伸

舞歌が履いてたのはハイヒールでしたっけ?w