体が熱い

 

頭が痛い

 

気持ちが悪い

 

関節が痛い

 

さて、ここまで言えば賢明な皆さんはもうわかっっているだろう。

そう、風邪だ。

風邪といえばこのような症状が思い出される。

ほとんどの皆さんも一度くらいは経験しているだろう。

そして、今現在、ナデシコで風邪にかかっているのは、イツキ・カザマという女性であった。

 

 

「う〜〜〜、頭が痛い・・・」

 

そう言いながら、ナデシコの通路の壁に手をつきながら歩く。

つい先程、(あまり気は進まなかったが)医務室に行ってきて診察を受け、薬をもらって部屋に帰る途中なのだ。

普通なら、他のクルーにうつらないよう、そのまま医務室で寝ているのだが、空いているベッドが無かったのだ。

何故空いているベッドが無かったのかは各人の想像にお任せする。

 

とまあ、そういう訳で、風邪で辛い体に鞭を打ちながら部屋に帰っている途中なのだ。

そうこうしているうちに部屋に着く。

面倒くさいが、今着ている制服を脱ぎ、パジャマに着替える。

そのままベッドに倒れこみたい気分だが、この風邪を理由にできることをしようとする。

 

「ふふ、でもこれで風邪の看病って理由で先輩を呼び出せる。」

 

そう言ったところであることに気付く。

 

「もし、私の風邪が先輩にうつったらどうしよう。」

 

今の今まで全然思いつかなかったことだが、考えてみるとそれはまずい。

ユリカはこの艦の艦長である。その艦長が風邪になる原因をわざわざ増やすわけにはいかない。

それだけでなく、ユリカは自分の尊敬の対象だ。

それなのに、風邪をうつしたからといって嫌われてしまうわけにはいかない。

イツキは泣く泣くこの案を没にすることにした。

 

「しかたない、他の人に頼もう。」

 

そういって、仲間であるパイロット(当然女性)にコミュニケで通信する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

「何でみんな用事があったりするのぉ!!」

 

この言葉を聞けばわかるが、風邪の看病を頼んだ途端、顔色を変えて急な用事を思い出したりするのだ。

他の仲間(男性のパイロット)は女性である以上当然頼めない。

整備班などは頼めば飛んで来そうだが、そのような危険を冒すわけにはいかない。

 

このまま寝てしまうのが一番だろう。

 

そう思ったが、いつもは全然何も感じなかった部屋が、やけに広く感じる。

 

寂しい…

 

そう思ったら、とある人にもう通信していた。

 

「ん、何?イツキちゃん。」

 

コミュニケの画面に現れたのは、コック兼パイロットであるテンカワ・アキトであった。

 

イツキは一瞬何故この男に頼もうと思ったのか不思議に思ったが、すぐに理由を見つけた。

 

コックであるこの男性ならば病人に料理を作ることも簡単だろうし、風邪も簡単にはうつりそうもない。

さらに、女性である自分にも手を出さないだろう。

これだけの理由があれば、看病をこの男に頼んだって不自然じゃない。

 

そう思って、アキトに看病を頼もうと口を開ける。

 

「助けてください・・・」

 

風邪で弱気になっていたのだろうか、自分でも予想にしなかった言葉が出た。

すぐに自分が言った言葉に気付き、真っ赤になりながらその言葉を取り消そうとする。

 

「な、な、な、何でもないです!!すいません、変な事言って。

 仕事の邪魔になりますね、気にしないでください。

 それじゃ。」

 

そう言って、アキトには何も言わせず、コミュニケの画面を切る。

 

「ふう、何であんなこと言っちゃったんだろう。

 せっかく看病をしてくれそうな人だったのに、これじゃあ、もう頼めないよ。」

 

そう言って、少し自分の気持ちが落ち込んでいることに気付く。

その自分が落ち込んでいるという事実を消そうと、少し頭を振る。

 

・・・・

 

当然、こんなときに頭を振るのは良くない。

目の前の世界が歪む。

 

「あれ?あれれれれれれ。」

 

その歪みに耐え切れず、イツキはそのまま倒れ、意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いい匂い

 

その匂いで意識が戻ったというわけではないだろうが、最初に思ったことはそれだった。

そしてそれはすぐに疑問に変わる。

 

「何で、いい匂いがするの?」

 

その声が聞こえたのか、部屋にあるキッチンの方からこちらに向かってくる男性。

 

「あ、イツキちゃん、目が覚めたんだね。」

 

それは、エプロンをかけたテンカワ・アキトだった。

 

「な、な、な、何でこの部屋にいるんです!!」

 

慌てるイツキ。

目を覚ましたらいきなり男性が自分の部屋にいれば当然驚くだろう。

 

「いや、通信で助けてっていうから心配になって・・・」

 

「心配、してくれたんですか・・・」

 

「あ、うん。」

 

二人の間に沈黙が流れる。

その沈黙は、あまり長くは続かなかった。

 

「って、どうやって私の部屋に入ったんです!!」

 

少しきつめに問い掛ける。

当然の疑問だろう。

今まで気付かなかったのは、寝起きであるのと、風邪のせいで頭がうまく働かないせいだ。

 

「通信をもらってすぐにこの部屋に来たんだけど、いくら声をかけても返事がないから何かあったのかと思って、

 今日のオペレーターのハーリー君に通信して、オモイカネに頼んでイツキちゃんがどうなってるか調べてもらったんだ。

 そしたら、部屋の中で倒れてるっていうから、またオモイカネに頼んで部屋の鍵を開けてもらっったんだ。」

 

「そうだったんですか。

 すいません、心配してもらったのに・・・」

 

自分を心配してもらったのに、きつく言ったことを後悔する。

 

「いや、イツキちゃんも女の子なんだから勝手に入った俺の方が悪いんだよ。

 無神経なことして本当にごめん。」

 

「いえ、そんなことないです。」

 

「ははっ、ありがとう。

 そう言ってもらえて良かったよ。」

 

そう言って笑うアキト。

普通の男だったら、せっかくの好意でしたことをこのような形で返されたらほとんどが怒るだろうが、

この男はそれを自分の責だと言って逆に謝ってくれる。

その優しさに

 

(何で今までこの人を意識せずにいられたのだろう)

 

と顔を真っ赤にさせながら思うイツキ。

当然、そのような女性の気持ちなどわからないアキトは、イツキの病人食を作りにキッチンへ戻っていった。

イツキは自分の心のうちをばらされないですんだのだが、

内心ほっとしているのか残念がっているのかわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、おまちどうさま。テンカワ特製お粥だよ。」

 

そう言って、アキトはお盆に載った小さな土鍋を開けた。

そうすると、先程まで以上においしそうな匂いが部屋に広がる。

 

「わあ、いい匂いですね。本当においしそう。何処が特製なんです?」

 

「いや、特製って言ったって、ちょっと出汁をとっただけなんだけどね。」

 

アキトは小さな器に移しながら答える。

移し終わったらベッドにいるイツキに渡そうとする。

しかし、イツキはその器を取ろうとしない。

 

「ん?どうしたの。」

 

そうアキトが聞くと、イツキは少し頬を赤らめながらにやりと笑う。

 

(やばい!!)

 

某同盟の女性達によって鍛えられた対女性専用の第六感が働く。

しかし、目の前にいる病気の女性を見捨てることなどアキトには出来ない。

びくびくしながら、イツキが口を開くのを待つ。

 

「あ〜〜ん、ってしてください。」

 

予想通りの答えにアキトは心のうちで涙しながらレンゲでお粥をすくってイツキの口へと運んだ。

 

「はい、あ〜〜ん。」

 

アキトの顔は真っ赤だ。

 

「あ〜〜〜ん。」

 

ちなみにそれを受けるイツキの顔も真っ赤である。

 

「どう?おいしい?」

 

「はい、とってもおいしいです。」

 

「そうか、それはよかった。」

 

自分の料理を褒められることは嬉しいのだろう。

まだ多少顔は赤いが、すぐに次のお粥をイツキの口に運ぶ。

それをイツキが食べる。そしてまたアキトが口にお粥を運ぶ。

それを繰り返しながら、お粥はなくなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、俺はこれで。」

 

食べ終わったあと、そう言って立ち上がって帰ろうとするアキト。

だが、イツキの顔色が優れない。

それを疑問に思い、アキトは尋ねる。

 

「どうしたの、イツキちゃん?」

 

そのといにイツキは何かを言おうとするが、結局は顔を伏せてしまう。

 

「いえ、何でもないです。

 今日は本当にありがとうございました。」

 

何でもないようには見えないイツキの落ち込みようにアキトは心配する。

 

「どうしたの?

 何でもないようには見えないよ。」

 

「いえ、本当に何でもないんです。」

 

そこまで言って、アキトはある可能性に辿り着いた。

 

「まさか、ただの風邪じゃないんじゃ・・・」

 

そのことを聞いたイツキの目が点になる。

ただ、イツキはアキトが帰ってしまうのを寂しがっていただけだ。

それが何故そのようなことになってしまうのか。

そのことを疑問に思いながらも、イツキはこの勘違いを利用することを思いついた。

そのために、まずアキトの思い込みが本当であるように思わせるため、顔をさらに伏せる。

 

「やっぱりそうなんだ。どんな病気なの?

 聞くことぐらいしか出来ないけど、良かったら話してくれない?」

 

第一段階クリアー

 

「もしかしたら、死ぬかもしれないって・・・

 他の病気を誘発させることもあるって。」

 

「死ぬ!!そんな重い病気なら早くもっと設備のそろった病院に行かなきゃ!!」

 

第二段階クリアー

 

「ううん、行っても無駄ですよ。

 この病気には例えどれだけ設備がそろっていたって、ここにいるのと大差ないんです。」

 

「嘘だろ・・・」

 

第三段階クリアー

 

「そうだ!!イネスさん、イネスさんだったら何か良い薬を持ってるかも!!」

 

「ううん、イネスさんがどれだけの名医でも、この病気の特効薬は持っていません。

 実際、もう医務室に行って診察を受けてきたんです。」

 

「それじゃあ・・・」

 

「ええ、イネスさんももう既にこの病気に対しては自分は何も出来ないと言ってました。」

 

「そんな・・・」

 

第四段階クリアー

 

「俺は、何も出来ないのか・・・」

 

悔しそうにするアキト。

そのアキトに最終段階をクリアーする為の言葉をかける。

 

「いえ、テンカワさんにしか出来ないことがあります。」

 

「それは、何なんだ?」

 

「明日までずっと私の傍にいて、手を握っていてください。」

 

「そんなことで良いのかい?」

 

「はい、アキトさんにしか出来ないことですから。」

 

「わかった、それじゃ手を握るよ。」

 

そう言って、イツキの手を握るアキト。

 

最終段階クリアー

 

アキトの手に安心したイツキはそのまま眠ろうとする。

 

「お休みなさい。テンカワさん。」

 

「ああ、お休み。」

 

そうやって、イツキは眠っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝

 

イツキが目を覚ますと、誰かと手をつないでいることに気付いた。

さらには、その誰かがベッドの中に入り込んでいるのにも。

一瞬悲鳴をあげかけたが、その誰かがアキトだとわかり、苦笑する。

おそらく、傍にいる最中に眠ってしまい、半分寝ぼけたままイツキのベッドに入り込んでしまったのだろう。

勝手に女性のベッドに入るのはマナー違反だろう。

だが、わざとではないし、その状態でも手を放さないでいてくれたのが嬉しかったので、怒るのはやめにした。

 

「おはようございます、テンカワさん。」

 

自分のすぐ横にある顔に向けてそう声をかける。

その声にアキトは寝ぼけ眼のまま答える。

 

「ん〜〜、おはよう。もう朝?」

 

漆黒の戦神と呼ばれているのが信じられないような子供っぽい声を出す。

その様子が可笑しく、イツキは思わず笑ってしまう。

その声で完璧に目が覚めたのだろう。

アキトは目を見開いてベッドから出て、いきなり謝る。

 

「ごめん!!本当にごめん。

 わざとじゃないんだ。ただ寝ぼけてて・・・

 イツキちゃんには何もしてないから!!」

 

「わかってますよ、わざとじゃないことぐらい。

 それに何かあったとしても、テンカワさんなら別に構いませんよ。」

 

「へ?」

 

イツキの大胆な告白にアキトは目を点にする。

 

「それにしてもいい気分。

 アキトさんが看病してくれたおかげで、もう体の調子は完璧です。

 風邪も治りました。看病してくれて本当にありがとうございました。」

 

その言葉にアキトはさらに狼狽する。

 

「え、だって昨日。」

 

「私は風邪じゃないなんて一言も言ってませんよ。」

 

「でも、『死ぬかもしれない』って。」

 

「風邪をこじらすと死ぬ人だっています。」

 

「『他の病気を誘発させる』って。」

 

「風邪は万病の元って言います。」

 

「『設備がそろっていても大差ない』って。」

 

「風邪は本人が治すものですから。」

 

「『特効薬はない』って。」

 

「風邪の特効薬は本当にありませんよ。」

 

「『イネスさんも自分が出来ない』っていうのは。」

 

「イネスさんも言ってましたよ。

 『あとは本人次第、私ができることはもうないわ。』って。」

 

「そんな・・・

 それじゃあ、俺がしたことは。」

 

「そんな気を落とさないで下さいよ。

 実際、テンカワさんにしか出来なかったんですから。」

 

「でも、ちょっとこれはやりすぎだ!!

 俺がどれだけ心配したと思ってるんだ!!」

 

「ご、御免なさい。

 でも、寂しかったんです。

 風邪をひいているのにこの部屋に独りぼっちでいるのは・・・」

 

そう言ってしゅんとなるイツキ。

その様子にアキトも言い過ぎたかと思って慌ててイツキを慰める。

 

「いや、もうこんなことをしてくれなければいいんだ。

 それに俺も子供の頃、風邪をひいた時に親父もお袋もいなくて寂しい思いをしたことがあるんだ。

 だからイツキちゃんの気持ちも分かるよ。」

 

「そうなんですか・・・」

 

「ああ、だから反省さえしてくれれば後は本当にどうでもいいから。」

 

「はい、わかりました。

 本当にすいませんでした。

 テンカワさんの優しさを利用するようなことしちゃって。」

 

「いや、俺は別に優しくなんか・・・」

 

「いえ、テンカワさんは優しい人です!!」

 

「そうかな?」

 

「そうです!!」

 

「そうか、それじゃあそういう事にしておいて。」

 

「はい、それと、今回のことに関してのお礼と謝罪なんですが・・・」

 

「ああ、それは別にいいよ。

 困った時はお互い様ということで。」

 

「いえ、それじゃあ、私の気が晴れません。

 私のためと思って受けてくれませんか?」

 

少し上目づかいで見上げるイツキ。

アキトはその誘惑に負けた。

 

「あ、ああ、わかった。

 それで、何をするんだい?」

 

「少し屈んでくれません?」

 

「ああ、わかった。

 これぐらいでいいかい?」

 

少し屈んで、イツキに聞くアキト。

だが、その瞬間、イツキの顔がアップになったかと思うと、頬に柔らかい感触を受けた。

 

「な、な、な、な、」

 

壊れたように「な」を連発するアキト。

それを見てイツキは

 

「ふふっ、これがお礼と謝罪です。

 これからもよろしくお願いしますね、アキトさん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、とある場所では・・・

 

 

 

「うわ〜〜〜、僕が何をしたっていうんだ!!」

 

十字架に貼り付けにされている少年。

叫んではいるが、助けが入る様子は全くない。

その少年に向かって、ツインテールの女の子とが進み出る。

 

「何をしたかですって。本当に覚えていないとでも?」

 

その様子に一瞬びくっとする少年だが、すぐに自分が助かる為の言葉を紡ぎ出す。

 

「ええ、本当ですよ。

 僕は何もルリさん達に怒られるようなことはしてませんって!!」

 

一応、事実である。

アキトから通信を受け、そのことについて調べた後、これはチャンスだと思いはしたが、

ハーリーがしたことは、間違ってはいない。

せいぜい、イツキが倒れたことをイネスに知らせなかっただけのこと。

ただの風邪だということはオモイカネから聞いていたので、イネスを呼ばなかったことはあまり重要ではない。

後は、そのことをアキトには伝えなかっただけだ。

いつもの組織の行動に比べれば、大したことはしていない。

だが、その結果はいつもとは大違いだ。

ライバルが一人増えてしまったのだ。

しかもアキトの近くにいることのできるパイロットというポジションの。

色々と苦心した策よりも、結果が良いのが組織の一員としては少し納得できないところはあったが。

 

「しかし、イツキさんはアキトさんに惹かれているようです。

 これは黙認できない事実です。」

 

「そんなの、偶然ですって!!

 僕が仕組んだことじゃないんです。」

 

そう言って、嘯く少年。

 

「そうですか、そこまで言うのなら信じても良いかもしれませんね。」

 

そう言って、十字架から少年を降ろす。

少年は、許されたと思い喜びそうになったが、周りの雰囲気がおかしい。

未だにプレッシャーは続いているのだ。

 

「あの〜〜、もう僕はこれで帰っていいんですよね?」

 

ほとんど期待せずに呟く。

もう既に、自分の身の危険を疑っていない証拠だ。

 

「いえ、まだハーリー君は帰ってはいけません。

 ハーリー君が嘘をついてないかどうか調べる必要があります。」

 

「そんなのどうやって調べるんですか?」

 

少年は内心、喜んでいた。

嘘発見器対策ならば、組織の幹部ならば全員受けている。

ウリバタケ特製嘘発見器で、血のにじむような思いをして、それクリアーしたのだ。

ちなみに、それをクリアーできない者は、組織においてある程度の地位を得ることはできない。

ということで、少年にはあまり嘘発見器は効果がないのだ(自爆することは多々あるが)。

しかし、同盟がもってきた方法は、少年の予想をはるかに越えていた。

煮立ったお湯を持ってきたのだ。

 

「あの、こ、これは?」

 

「説明しましょう。

 これは盟神探湯といって、古代日本で使用された裁判方法なのよ。

 煮立ったお湯に石を入れ、それを無傷で探し当てることが出来たらその人の身は潔白、

 出来なかったら有罪、という風にししていたの。」

 

金髪の白衣を着た女性が説明する。

 

「いやだ〜〜〜〜!!

 何でそんなことしなくちゃならないんだ。

 そんなの絶対に火傷するに決まってる!!

 そんなことしてさらにお仕置きを受けるなんてあんまりだ〜〜〜」

 

「なるほど、火傷すると認めるということは、自分が有罪であるということを認めるということですね?」

 

「認めます、認めますからそんな危ないことやめてくださいよ〜〜」

 

そこまで言って少年は気がついた。

 

(はめられた!!)

 

少年に始めから逃げ道はなかったのだ。

もし、少年が罪を認めなくても、盟神探湯で少年を有罪ということにしてさらに少年にはお仕置きができる。

盟神探湯を恐れて、自白してもお仕置きができる。

さらには、一瞬助かったと思わせるという罠もあり、後のお仕置きの効果を増大させることもできる。

このようなことを考え付くのは、某胸のない通信士しかいないだろう。

その通信士を見るとかなり怒っているようだ。

そのままこちらに近づいてくる。

 

(何故だろう。)

 

そう思うと、親切にも桃色の髪をした女の子が解説してくれた。

 

「ハーリーって馬鹿だね。

 考えてること口に出しちゃってるもん。」

 

「そ、そんな馬鹿な。

 や、止めて、止めてください。 

 本当のこと言っちゃってすいません。

 謝りますから許してください。」

 

そう言うが、火に油を注ぐ形になった。

怒れる通信士がさらに近づいてくる。

 

 

「う、うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

 

その声はナデシコ中に聞こえたという。

 

合掌

 

 

 

 

 

 

後書き

 

風邪って面倒ですよね。

毎年、今年の風邪は性質が悪いと言いますが、今年も聞くことができるでしょう。

皆さんも、風邪には気をつけてくださいね。

 

 

 

代理人の感想

 

断言しよう。

風邪より同盟の方がよほど性質が悪い!(核爆)