雪が降っている

 

その雪があたりを一面銀世界にしていた。

 

その雪の中を二人の男女が歩いていた。

男性の方はコートを着ている。

しかし、女性の方は、この雪の中では少し少しきついだろうと思われる服装だった。

 

「寒いですね。」

 

「そうですね。」

 

問い掛ける男性に女性が答える。

 

「火星に住んでた頃はこれぐらい全然平気だったんだけどなぁ。」

 

どうやらこの男性は昔火星に住んでいたようだ。

 

「私もです。木星に住んでいた頃はもっと寒さには強かったはずなんですけど・・・」

 

「そうなんですか。寒いのはちょっと嫌ですけど、千沙さんと一緒ならそれも少しは良いかもなぁ。」

 

「もうっ、いきなり何言い出すんですか!!」

 

男性の言葉に千沙と呼ばれた女性の顔が真っ赤になる。

 

「はは、でも冗談抜きで、こういう風に寒さを感じられるのもいいと思いますよ。

 俺はもうこんなことを感じられること無いと思ってましたし、

 千沙さんも木星ではこんな風に寒さを感じられることも雪を見ることも無かったでしょう?」

 

「そうですね。」

 

そう言って、二人は空を見上げる。

 

「くしゅん。」

 

いきなり女性がくしゃみをする。

 

「大丈夫ですか?」

 

「はい。でも、やっぱり少し寒いですね。」

 

「そんな格好でいるから・・・」

 

「そんなこと言われたって・・・

 舞歌様がいきなり呼び出してくるから、きちんと準備する時間が無かったんですよ。」

 

「舞歌さんにも困ったもんだなぁ。」

 

「ふふ、昔からこうなんですよ・・・っくしゅん。」

 

「本当に大丈夫ですか?」

 

「ええ、でも、急いで帰らないと風邪をひいてしまいそうです。

 もっと、降ってくる雪を見ながらこの寒さを感じていたいんですけど・・・

 特にアキトさんと一緒に。」

 

その言葉に、アキトと呼ばれた男性の顔が赤くなる。

 

「ふふ、アキトさんの顔、真っ赤です。」

 

「うっ、そんなこと言う人は――――」

 

「言う人は?」

 

「こうしてやる!!」

 

「きゃあ。」

 

そう言って、アキトは千沙に覆い被さる。

 

「ほら、こうすれば寒くないでしょ?」

 

「・・・いきなりだったからビックリしたじゃないですか!!」

 

今、千沙は、アキトのコートに包まれている。

その顔はまたもや真っ赤だ。

 

「はは、ビックリさせてごめん。

 でも、こうすれば、二人とも寒くないとし、一緒に雪も見てられると思ったんだけど・・・

 嫌ならやめるけど?」

 

「やめないでください!!」

 

その言葉を聞いて、アキトはニヤリとする。

その笑みに、千沙は自分が何を言ったのか悟り、さらに顔を真っ赤にする。

 

「そう言われると、やめられないなぁ。

 それにしても、千沙さんも意外と大胆ですね。」

 

「・・・そんな事言うと先に一人で帰っちゃいますよ?」

 

そう言って、千沙はアキトのコートから出る。

 

「す、すいません!!少し調子に乗っちゃいました。

 謝りますから機嫌直してくださいよ!!」

 

「じゃあ、私の言うこと一つだけ聞いてくれますか?」

 

「え、それは・・・」

 

「じゃあ、いいです。先に帰っちゃいますから。

 夜も一人で寝てくださいね。」

 

「わ、わかりました!!何でも聞きますよ!!

 聞きますから・・・」

 

「ふふ、それじゃあ―――」

 

「それじゃあ?」

 

「さっきみたいにして、一緒に帰りましょう?」

 

「・・・・・・・・」

 

「返事は?」

 

「わかりました。お姫様。

 私などの胸でよかったらいくらでもどうぞ。」

 

「ふふ、なんです?それ。」

 

「いや、特に意味はないですよ。」

 

「そうですか・・・

 それにしても、いくらでもと言いましたよね?」

 

「え、ええ・・・」

 

「だったら、これから外出する時はいっつもこうしていようかしら?」

 

「そ、それは勘弁してくださいよ。」

 

「嘘、ついたんですね?」

 

「いや、嘘って・・・」

 

「い〜え、嘘をつきました。

 私、嘘をつく人は嫌いですよ?」

 

「それじゃあ、どうすればいいんですか?」

 

「そうですね・・・

 もう一つ、魔法使いさんに私の願いを叶えてもらいましょうか?」

 

「ふう、わかりましたよ。

 それで、今度は何です?」

 

「私にキスしてください。」

 

「へ?」

 

「聞こえなかったんですか?

 キスしてくださいと言ったんです。」

 

「わかりました。わがままなお姫様。」

 

「わがままな女性は嫌いですか?」

 

「そうですね。普通は嫌いですけど・・・千沙さんは特別です。」

 

そう言って、雪の中二つの人影が一つに重なった。

 

 

 

 

後書き

 

だめだ。背筋に寒気がする。

こういうの、俺には向いてないようです。

独り身ですし・・・(泣)

さらに、こんなこと友人と話しているような奴ですから

 

俺「麻薬ってさ、人の心の隙間につけ込むっていうよな。」

 

友人「ああ。」

 

俺「でも、お前心狭くて隙間なんて無いから大丈夫だな。」

 

友人「お前もな。」

 

以下略

 

この後、しばらく馬鹿な話ばかりしてました。

 

 

 

代理人の感想

いい話・・・と言うことにしておきましょう(爆)。

もちろん、「どっちが」なんて言うのは決して聞いてはいけない事です(更爆)。