混沌が生まれようとしている。

いや、もうすでに生まれいるのだろうか?

俺にはどうすることもできない。

ただ、見ていることしかできないのだ。

…無力だ。あまりに無力だ。

漆黒の戦神と呼ばれたこの俺がなす術もなく、見ていることしかできないなんて…

目の前の惨状は目も当てられない。

多くの人が傷つき、倒れている。

その原因となったのは…

多分…俺なんだろう。

なぜこんなことになってしまったんだろう。

その理由を思い返そうとしてみる。












「アキト、あけましておめでとう。」


「あけましておめでとう。」


この挨拶からもわかる通り、今は新年。

その挨拶をしているというわけだ。

今の格好は、着物姿。

それにしても、よく着物なんか持ってたな。

ここは軍艦だぞ?

まあ、ユリカは持ち込んでたが・・・

あれ?この前のとは違うような気がする。


「ユリカ、その着物はどうしたんだ?」


「え〜、アキト知らないの?

 ちょっと前に、新年用に新しく入荷されてたんだよ?」


「え?」


「ほら、きちんとリクエストみたいなのに書けばちゃんと入荷されるじゃない。」


「ああ、それでか。」


これで納得いった。

しかし、たったこれだけのためにわざわざ着物を入荷するなんて…

普通の軍艦じゃ考えられないよな。

…ナデシコ自体、世間一般の普通ともかけ離れているがな。


「それで、どうしてきたんだ?」


「もうっ、アキトに新年の挨拶と、着物姿を見せに来たに決まってるじゃない。」


「そ、そう。ありがとう。」


「あ、それとね、明日は、新年会を開くことになったからね。」


「新年会?」


「そ。新年会。

 最近は木星トカゲの方もおとなしいから。」


「それで新年会?

 でも、ナデシコは一応軍艦だぞ。

 俺やルリちゃんたちみたいに未成年ならいいが、お酒も無いのにどうやって宴会なんてするんだ?」


「だいじょ〜ぶい!!

 その辺のことはプロスさんがしっかりやってくれることになったから。」


…大変だな、プロスさんも。


「そういうわけだから、それじゃあね〜。」


「ああ、それじゃ。」


ふう、明日は宴会か。

料理の準備が大変になるな。


ピピ


ん?通信が来た。

誰からだろう。

開いてみると、そこには慌てた様子で、顔を真っ青にしたジュンがいた。


「テ、テンカワ、明日の宴会の話は聞いたか?」


「なんだ、ジュンじゃないか。

 どうしたんだ、そんな慌てた様子で。」


「そんなことはどうでもいい!!」


「そんなことって、お前、顔真っ青だぞ?」


「どうでもいいと言ったろ!!  

 そんなことよりも、明日の宴会で絶対ユリカにお酒を飲ませるんじゃないぞ!!」


「どうしてだ?

 そんなにユリカのやつは酒癖悪いのか?」


「いいから返事は!!
 はいか、イエスか、どっちかしか許さんぞ!!」


「それって、どちらもはいじゃないか・・・」


「へ〜んじぃ〜は〜〜!!」


「は、はい!!」


「よろしい。

 わかったな。明日ユリカには、一滴たりとも酒を飲ますんじゃないぞ。」


そう言って、ジュンは通信を切っていった。

それにしても、ユリカのやつ、そんなに酒癖悪いのか。

あれだけ怖がるほどのような奴じゃないような気がするんだが・・・

でも、一応約束は約束だし、きちんと守らないといけないよな。

でも…あれだけいわれるとなぁ。







そして当日


「みなさぁ〜ん、去年はいろいろご苦労様でしたぁ!!」


ユリカが、代表として挨拶をしている。

皆は、どうでもいいような顔をして、宴会の始まりを今か今かと待ちわびている。

その中には、プロスさんもいた。

…もしかして、プロスさんって実はのんべえ?


「それでは、堅苦しい挨拶は抜きにして、乾杯行きましょう。

 準備は良いですか?

 それでは、今年もよろしくお願いします。

 それでは…乾杯!!」


「「かんぱ〜い!!」」


ユリカの乾杯の音頭とともに、宴会が始まった。

ちなみに、俺は酒を飲んでいない。

未成年だからな。

もちろん、ルリちゃんや、ラピスにも飲ませない。

ハーリー君は男の子だし、大きくなったらいろいろ付き合いとかも出てくるだろうから、温かい目で見守ってやろう。

第一、三人も守れやしない。

あ、早速ウリバタケさんにつかまった。

お〜お〜、泣きながら飲んでるよ。

そんなにおいしいのかな?

いい飲みっぷりだ。


「ア〜キ〜ト、どう?

 楽しんでる?」


「ユリカ、ああ、楽しんでるよ。」


「そう、良かった。

 それにしても、アキトはお酒は飲まないの?」


「おいおい、俺は一応未成年だぞ。」


「んもう、アキトってば硬いんだから。

 でも、そんなアキトも大好き。」


「はいはい。

 で、そういうお前はお酒は飲まないのか?」


「うん、ジュン君が、私はお酒を飲むなって。」


「そうか。それだと宴会の楽しみが減っちゃうな。」


「うん、そうなの。

 だから、アキト、少しだけ飲ませてくれない?」


「だ〜め、俺もジュンからお前にはお酒を飲ませないって約束をしたんだ。」


「う〜。」


「ま、そのかわり、といっちゃあなんだが、俺が作った特製おせちでも食べてくれよ。」


「わ〜、アキトの手作りなの?

 おいしそう。いっただっきま〜す!!」


俺が作った御節をおいしそうに食べるユリカ。


「どうだ?うまいか?」


「うん。

 でも、なんだか少し変わった味がするね。

 お酒見たいんあ・・・」


よし、舌が回らなくなってきたな。

お酒の味がして当たり前だ。

お酒を使った料理を食わせてるんだからな。

ジュンとの約束は破ってないぞ。

だって、一滴も飲ませてはいないんだからな。

御節を食べさせているだけだ。

ただ、普通に使う料理酒の量よりも少し多いだけさ。

御節は料理酒を結構使うからな。

ちなみに、このことは女性陣には先に話してある。

だって、そうでもしなきゃ、特製御節を一人だけにあげたら、お仕置きを食らっちゃうからな。

…ただ、その人数分普通の特性御節を作らないといけなくなって、今日徹夜なのは秘密だ。




「ささっ、もっと食え。

 いっぱいあるからな。」


「うん…」


言いながらどんどん食わせていく。

ユリカの顔はもうすでに真っ赤だ。


「おらぁ、ハーリー、もっと飲めやぁ!!」


「テンカワさ〜ん、助けてくださいよ〜」


おや、ウリバタケさんがハーリー君に無理やりお酒を飲まそうとしているようだ。

と言うか、もうすでに結構な量を飲ませているみたいだ。

ハーリー君、まっすぐ歩けてない。

それにしても、俺に助けを求めるなんて、ハーリー君にしては珍しいな。


そんなことを思っていると、いきなり風が吹いた。

白い風だ。

その風が吹き終わった跡には、ハーリー君とウリバタケさんの姿は消えていた。

そして、向こう側の壁には血まみれになった、肉の塊が・・・(まあ死んでないだろうからほっといても良いだろう。)

そして、その代わりにはユリカがそこに立っていた。

先ほどの白い風の正体はユリカなのか?


「私とアキトの愛の語らいを邪魔するなんざ、1192年早えんだよ!!」


「ユ、ユリカ?」


背後に「天」という字を背負い、仁王立ちしているユリカに恐る恐る声をかける。


「ん?な〜に、アキト?
 私たちの愛を時間を邪魔するくそ蟲どもは、私がちゃ〜んと排除しておいたよ。」


こ、怖い。

いつも通りユリカは無邪気なのに、その笑みは底が知れない。

枝織ちゃんと通じるところがあるが、それ以上に禍々しい。


騒ぎを聞きつけたのか、ゴートさんがやってくる。

だめだ、今来てはいけない!!


「どうしたんだこの騒ぎは!!
 艦長、きちんと説明して―――!!」



また、白い風が吹いた。

今度は、はっきり見えた。

ユリカが、音も無く地面を蹴り、半瞬でゴートさんに詰め寄った。

そして、あごに掌底を食らわし、わずかに浮かび上がったその体に、強烈な前蹴りを叩き込んだのだ。

そして、ゴートさんの巨体は、そのまま吹っ飛び、お酒を飲むのに夢中になっていたプロスさんを巻き込んで、壁に激突した。

…恐ろしい。


「だから、私とアキトの愛の一時を邪魔するんじゃねえって言ってるだろうが!!

 しまいにゃ、脳漿ぶちまけるぞ!!」


しかも、言葉使いも怖くなってる。

お前、良家のお嬢様だろう(泣)


「どうしたんだ、テンカワ!!」


助かった!!


「ジュン、助けてくれ!!」


「まさか…ユリカにお酒を飲ませたのか?」


「違う!!俺はただ御節を食べさせただけだ!!」


「…その御節、まさか料理酒をたくさん使ってないだろうな?」


「ぎくっ!!」


「やっぱり!!
 あれほどユリカにはお酒を飲ませ――――」


「ごちゃごちゃごちゃごちゃ、うっせーんだよ!!」


ズドムッ


ドン ドン ドン


ガシャン!!



解説すると、まずはじめにユリカの打撃。

次に、ジュンが吹っ飛ばされて、床を転げる音。

そして最後に、宴会をしていた酒瓶の山に突っ込んだ音。

以上説明終わり。

って、違う!!


「ジュン大丈夫か!!」


ダメだ。完全に白目をむいている。

一応呼吸はあるが…

それにしても、頭から酒瓶に突っ込んだせいで、思いっきり酒を浴びているな。


「ア〜キ〜ト、そんな影の薄い男のことなんて忘れて、一緒に楽しみましょ♪」


影の薄いってお前…


「どうしたんだ、アキト。」


「ナオさん!!
 
 ナオさん、助けてください!!
 
 ユリカの奴が、御節に使った料理酒で酔っちゃって…」


「そういうことか…」


「ナオさん危ない!!」


ガシッ


「なるほど、こりゃ、ゴーとの旦那が倒れている訳もわかるもんだ。」


ユリカの突きを、肘でブロックするナオさん。
…ユリカの奴、拳痛めないのかな?


「アキト!!
 
 少し手荒になるぞ!!いいな!!」


その言葉も終わらないうちに、ユリカとの間合いを詰めるナオさん。

まずはローキックで、右足を狙いに攻めていく。

そのローキックに対し、右足を軽く浮かせ、ナオさんの足にすねを向ける。

ローキックに対して、もっとも有効な受けだ。

もっともナオさんもその反応は予想していたのか、そのままは行かず、膝をわずかに曲げて、ユリカの足を素通りする。

そして、そのままの勢いで裏拳を放つ。

しかし、ユリカもなかなかのもので、ロークックがフェイントとわかると、すぐさま腰を落とし、飛びのいて背後に下がる。

結果、ナオさんの裏拳は不発に終わる。


「へえ、ただのお嬢さんなだけだと思ってたが、なかなかどうして、やるもんだ。」


予想よりも鋭いユリカの動きに、ナオさんが賞賛の声をかける。


「お嬢様なだけ?
  
 はっ、笑わせる!!
  
 私はこう見えても、昔はSnow Whiteの名で、恐れられたもんさね!」


「何!!

 Snow Whiteだと!!」


「何ですか?
 そのSnow Whiteって?」


聞きなれない言葉に、驚いた様子のナオさんに尋ねてみる。


「昔俺たちが戦った真紅の牙の前身となった、クリムゾンの特殊部隊を倒した奴がいた。
 
 一時期、たった Snow White と名乗るたった一人の女に倒されたと噂が立ったが…
 
 眉唾だと思っていたが、まさか本当だったとは・・・」


「まさかっ!!
 ユリカがそんなことできるわけ無いでしょう!!」


「あ〜、そんなこともあったけな。

 ちょっと運動不足だったんで、軽〜く相手をしてやったんだが。
 
 あいつらはダメだな。準備運動にすらならなかった。

 その点、お前は合格だ。
  
 それなりに楽しめる。」


「へっ、そいつは光栄だね。
 
 じゃあ、もっと楽しくしてやるよ!!
 
 Snow White だとわかった以上、手加減は必要ないからな!!」


もしも〜し、ナオさ〜ん。

その人、一応艦長なんですけど…

もしものことがあったら、地獄見せてあげますよ。

…ユリカを倒した後でね。


「はっ、だが所詮手前は、前座!!
 
 あたしを楽しませられる器じゃない!!

 あたしを楽しませられるのはアキトだけ!!

 見せてやるよ、私の本気を!!」



そういったユリカの体が乳白色に光りだす。

まさか、昂氣!?


「ダメだ、ナオさん!!」


「おおおっぉおぉぉっぉおぉ!!」


俺の呼びかけも聞こえていないのか、気合を上げながら、ユリカに突っ込んでいくナオさん。

無茶だ!!


「はっ、いい度胸だ!!
 
 この私に真正面からぶつかってくるとはねぇ!!

 かかってきな!!」


ユリカも迎え撃つ体勢は万全だ。

後五歩で互いの間合いに入る。


後四歩


三歩


二歩


一歩


…入った。


ミシッ!!



骨の軋む音がここまで聞こえた。

だが、した音はそれだけだ。

床を転げ回る音も、壁にぶつかる音もしない。

…完璧に打撃としての威力が、相手に伝わっている証拠だ。

吹き飛ばすことに、少しもエネルギーを使わずに、攻撃の打撃のすべてを相手にただ叩き込んだだけ…

しかも、双方互いに走り合っていた。

その上、同時に攻撃に転じた。

つまり、交差法としての威力もバカにならないということだ。

それだけの威力を受けたのは…ナオさんだ。


バタッ


そのままナオさんが倒れ込む。

しかし、あれだけの威力を受けたはずなのに、まだ立ち上がろうとしている。

その目には、もう光は見えない。

もう意識は失っているはずだ。

しかし、ナオさんはそれでもまだ立ち上がろうとしているのだ。

…人の執念か。


「ふっ、お前が前座ってのは取り消すよ。

 お前は十分、私を満足させた。

 まあ、アキトには届かないけどね。

 お前は、アキトの次に私を満足させた。…お前のことは忘れないよ。」


倒れたナオさんに向かってユリカが声をかける、と同時にナオさんの首筋に手刀を放つ。

それを受けたナオさんは、さすがに完全に意識を失った。


「また、今度ファイトしようぜ。

 私が暇なときにでもな。」


「ユリカ・・・」


「ア〜キ〜ト〜、待たせてごめんねぇ。

 私ばっかり楽しんでちゃアキトにも悪いよね。

 だから―――」


や、やば。

もしかして…


「アキトも私とファイトしようよ!!」


「いやだぁぁぁぁ!!」


「ねえ、良いじゃない!!

 さあ、アキトも一緒に気持ちのいい汗かこうよ!!」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待て!!
 
 お前、その言い方はちょっと語弊があるよ!!」


と、その時だった。

もう一人の悪魔が目覚めたのは。


「気持ちのいい汗だとぉ〜〜〜!!」


「ジュ、ジュン!!

 気がついたのか。助けてくれ!!

 このままじゃユリカに襲われる!!」


「ユリカを襲うだとぉ〜〜〜!!」


「ち、違う!!
 
 俺が、ユリカを襲うんじゃなくて、ユリカが、俺を襲うんだ!!」


「問答無用!!

 ユリカは俺のもんじゃ〜〜!!」


ドガシャッ


「何勝手なことってんだ!!」

ユリカの怒声とともに、ジュンがまた吹っ飛ぶ。

ちなみに昂氣つきだ。

そのままジュンは近くにいた、ガイと、その先にいたアカツキを巻き込んで、近くの宴会場を襲撃した。



「誰があんたのもんだ。

 私は髪の毛の一本一本すべて、小指の爪の先までアキトのもんだ!!

 少しでも私に相手して欲しかったら私よりも強くなりなッ!!」



「その言葉、忘れんじゃねえぞ!!」


何!!

あの一撃を受けて立ち上がったぞ。

昂氣だけでなく、体重も十分に乗った突きだったのに!!

…体がなにやら良くわからない光で覆われているような…

まさか、ジュンも昂氣を!!

…それにしても、昂氣までもが薄いな。

そんなことを思っていると、ジュンがいきなり倒れているガイの襟をつかみ、ユリカに向かった投げ始めた。


「熱血バカクラッ〜シュ!!」


ユリカは慌てずに、そばに落ちていたナオさんを盾にする。


「ヤクザバリア〜!!」


ぶちゅっぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅ


うげろっ

詳しい描写は避けたいが、二つの陰が一つになったとでも言っておこうか。

そのままユリカは盾に使ったナオさんを捨てる。


「はっ、そんな攻撃じゃあたしは倒せねえぜ!!

 さっきのヤクザのほうが強かったぐらいだ!!

 所詮脇役はその程度なんだな!!」


「うるせぇ!!
 
 まだまだこれからよ!!

 喰らえ!!

 魔球、極楽ヤゴスペシャル!!」


ちなみにヤゴとはアカツキのことだ。

第二章で極楽トンボなら、序章では極楽ヤゴだという単純な理由だ。

そのアカツキを回転を投げたのだ。

さっきと変わってないな。


「ふんっ、ワンパターンは嫌いだね!!

 これが本物の魔球というものだ!!」


そう言って、落ちているガイを拾い、何を思ったか、いきなりガイの胴体を握り締める。


「くらいな!!

 これが私の100パーセントだ!!

 分裂ガイナッコォ――――!!」


「な、何!!」


驚くべきことに、ユリカが投げたガイは分身しながらジュンへと向かっているのだ!!

そのことに対し、ジュンの反応がわずかに遅れる。


ズドムッ


そして、ユリカがジュンの投げたアカツキをよけられたのに対し、ジュンはよけられなかった。


「このままでは終わらんぞぉぉおお!!」




ダン ダン ダン


これは、ジュンの吹き飛んだ音だけでなく、そのままガイもジュンを吹き飛ばしたまま飛んでいった音も含まれてる。

それにしても…


「はっ、せっかくの昂氣も、使用者が影が薄い雑魚じゃ世話ねえな!!」


いや、違う。

ジュンの影が薄いのは事実だが、決して弱いわけではない。

むしろ、ユリカが強すぎるのだ。

あのナオさんをも倒したのだから・・・

俺でさえ、本気を出してかからないと危ういかもしれない。


「さあ、アキト。
 
 邪魔が入ったけど、続きをしようか。」


…これは、覚悟を決めるか。


「さあ、それじゃあ…い…く………ょ…」


ポテ


「すう、すう、すう。」


あれ?


「ど、どういうことだ?

 誰か説明…ってしまったぁ!!」


「説明しましょう!!」


「うどわぁ!!」

予想はしていた。

しかし、その予想はイネスさんが出てくるというものだった。

説明といえばイネスさんだろう?

だが、出てきたのはパイロットの同僚のイツキちゃんだった。

まったく予想もしていなかった人物の登場のおかげで尻餅をついてしまった。

そんな俺の様子を知ってかしらずか、イツキちゃんは説明を続ける。

 
「先輩はアルコールを多量に摂取していた。

 その後、激しい運動をしたため、お酒が回ったものと考えられます。

 かく言う私も、結構お酒が回ってきています。

 というわけでお休みなさい。」

ポテ


「すう、すう、すう。」


………え?


「…説明はありがたいんだけどさ、何で俺の膝の上で寝るんだよぉ!!」




終わりよければすべてよし。

というわけで終わり。









後日談


「ミリア〜誤解だぁ!!
 
 俺はヤマダとなんかキスなんかしていない!!」


「へ〜、それじゃあ送りつけられてきたこの画像はなんなんです?」


そう言って出したのはナオとガイのキスシーン。

ちなみに、顔だけのアップなので、盾にされた情況は載っていない。


「それにしても、ナオさんにこんな趣味が合ったなんて・・・

 私のことは浮気だったのね!!」


「ミリア、本当に誤解なんだ!!」


「しかも、この期に及んで嘘までつくなんて…

 ナオさん最低!!」


ブツン

そう言って、映像が切れる。


「ミリア〜〜〜〜」


その状態にナオは男泣きする。

そしてしばらく後、ガイの悲鳴が聞こえた。

そこに駆けつけてみると、真っ白に燃え尽きた状態でナオさんがそばに座っていた。

そこから復活するのに一週間かかった。

さらに誤解を解くのにもう一週間かかった。



さらに余談


西欧のとあるバーで、紫色の光を纏った女性が暴れたそうな。

その名は…わからない。

ナンパをした男性は事ごとくのされ、その人たちに事情を聞いても


「知らねえ!!俺はそんな女知らねえ!!」


と言って、入院先の病院のベッドで布団に包まったまま震えるだけだったのだ。

怪我をしていない関係者も似たような反応だ。

ただ、その女性のことは、この町での伝説となり、ずっと謎として残っていくのだろう。



今度こそ終わり






後書き


復帰一作目!!

昨年は、思えばいろいろなことがあった。

PCにジュースをこぼされ、使い物にならなくなった。

しかも修理には一ヶ月(泣)

その後、犬に追いかけられました。

え?犬ぐらいどうって事無いって?

はっはっは、皆甘いな。

どんな犬かって言うと、


1.よく犬ぞりなどに出ている


2.狼に似ている


3.左右の目の色が違うのもいる。


というわけで本気のシベリアンハスキーに追いかけられました。

なんつーか、のび太君なんか目じゃないくらい怖かったですよ。

何とか近くのワンボックスに飛び乗って事なきを終えたものを…

その後飼い主が異変を聞きつけてやってくるまで俺は車の屋根の上ですよ!!

さらに、その二日後には、金色の大型犬。

そう、ゴールデンレトリバーです!!

こちらは、犬の散歩中でした。

しかも、近くには車なんて一台も無い農道です。

さらに、なぜかうちの犬やる気満々です。

うちの犬は雑種の中型犬。

このあほ犬がぁ!!

無理やり引っ張って、その家の犬の前まで逃げていって、飼い主に何とかさせました。

このことは以前掲示板にも書いたんで、これぐらいにしときます。

他にもいろいろとあったんですけどね。

しかし、一番酷いのは、このことを話した友人全員が笑うことです!!

誰一人として心配してくれません。

社交辞令で「大変だったなぁ」の一言もありません。

ここに来ている人が、心優しい人たちであることを願います。

それでは、さようなら。

 

 

管理人の感想

 

大変だったみたいですね。

 

いや、まあ、私としては同情より何故か親近感を抱きましたが(苦笑)

大丈夫ですよ、生きていれば時たま良い事も有りますから(笑)

 

しかし、酒乱のユリカに負けるのか・・・ナオさん(汗)

ジュンも何気に性格が変わってるし。

それでも弱いところが、ジュンですね(苦笑)

たまに何時もと違う行動をすると、ろくな事にならないと言いますが。

 

・・・・そのまんまだな、アキト

 

自分から墓穴を掘るあたり、流石だ(笑)