機動戦艦 ナデシコ

 

星ノ記憶・・・

 

 

 

 

実験コロニー『マサムネ』からのSOSを受け、真っ先に駆けつけたのは、地球統合宇宙軍第三艦隊所属リアトリス級戦艦『アマリリス』だった。

SOSを受けてから十数分ほどで駆けつけられたのは、たまたま近くを巡回中だったからなのだが、『アマリリス』の乗組員が見たモノは、あちこちから炎を吹き出しながら沈んでいく『マサムネ』の最後の姿だった。

 

「『マサムネ』!『マサムネ』!応答してください!!」

通信手が必死に『マサムネ』と連絡を取ろうとするが、聞こえてくるのは空電の無機質な音と、思い出したかのように入るコロニー周辺の生き残った機動兵器や戦艦群の救援要請、『マサムネ』からの返信は無かった。

「フィールドを展開しつつ接近、負傷者の救助を最優先!」

艦長席で指示を出しながら、アオイ ジュン中佐は自分が何かの映画を見ているような感覚に捕らわれていた。

救援要請を受け、ここに・・・『マサムネ』を目視できる距離にくるまでおよそ十数分、それなのに『マサムネ』は既に沈黙し、それを成した敵の姿はどこにもない。

優秀な軍人であれば、こんな状況を信じられるはずがなく、ジュンが一時的に現実感を消失しても仕方のないことだ。

が、現に『マサムネ』は沈んでいる、それは間違いのない事実だ。

ピッピッピッピッピッピッ!!

センサーの一つが警告音を発した。

「ボース粒子増大!」

「何!?」

オペレータの報告に耳を疑う、ボース粒子はボソンジャンプの時に発生するモノ、だがこの辺りにチュウリップは存在していない。では何故?

ジュンの正面にウィンドが開き、センサーが捕らえたモノを映し出した。

「スクリーン拡大します」

ウィンドの中心に映っていたモノが、次々と拡大されスクリーン表示された。

「ん?」

だが、ぼんやりとした光に包まれはっきりとしない。

「センサー切り替え」

「了解」

オペレータがコンソールを操作し、画像か変わる。

それを見てジュンが息を飲んだ。

「!」

そこに映っていたのは虹色の光を纏った、人。

いや人ではない、人型の機動兵器だ、光に包まれ細部の確認はできないが、今 統合軍が正式採用しているエステバリスやステルンクーゲルよりも一回りは大きい。

「何だ、あれは・・・」

それは何をするでもなく、しばらく佇み 次の瞬間、七色の光芒を放ち消えた。

「あれは、いったい・・・」

もう何も映していないウィンドを凝視しながらジュンは、呆然とつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は見ました、確かにあれはボソンジャンプです!」

実験コロニー『マサムネ』での攻防において確認された、正体不明機についてアオイ ジュン中佐は、事故調査委員会に審問を受けていた。

「コロニー爆発の影響で付近の艦、センサーの乱れ著しいとの報告が来ているが?」

事故調査委員長のラルフ ベーコン氏が、報告書を手に懐疑の視線をジュンに投げかけた、他の委員達も多かれ少なかれ、同じような視線を向けている。

「っ、誤認だと仰るのですか?!」

思わず叫びそうになるのを、何とか押さえて反論するが。

「左様、第一考えてもみたまえ、それほどまで長距離のボソンジャンプ可能な全頭8メートルの機動兵器など現時点では、地球も木連も造る技術を持たんのだよ」

委員の一人、クリムゾン・モータース技術顧問のハワード ギネスがラルフの意見に現実的側面の意見を加える。

「ですが・・・」

なおも反論しようとするが。

「それに、あの正体不明機を捉えたのが、『アマリリス』一艦では、それを判断材料にする訳にはいかんのだよ」

「・・・」

こうして、アオイ中佐への審問は本人が予想していたよりもかなり早く終了し、結果『アマリリス』が捉えた正体不明機は、誤認として処理される事となった。

 

 

連合宇宙軍参謀長室

「クソッ!何のための事故調査委員会だ!」

ベゴッ!

怒りまかせに打ちつけた左の拳が、壁を粉砕した。

「最初から信用する気がないなら、わざわざ人を呼び出すなよな!」

「コレコレ、それ以上壊さないでくれよ」

再び、拳を振り上げたジュンに連合宇宙軍参謀ムネタケ ヨシサダが、釘を刺す。

「ですが・・・」

「ハッハッハッ、かくして事件は調査委員会と統合軍の合同捜査と相成って、連合宇宙軍は、蚊帳の外、と」

「参謀!」

お茶を飲みつつ報告書を読み上げるムネタケに、ジュンが食ってかかるが、

「ま、たしかにこのまま黙って見過ごすてわないからね」

「それでは・・・」

「うむ、ボソンジャンプ可能な機動兵器・・・この辺りから探ってみようかね」

 

 

「と言うことで、ボソンジャンプ可能な機動兵器を造っていいそうなトコロにやって来ました、おじゃましま〜す!」

「「どわぁ!!」」

いきなりドアを開けて入ってきた女性に部屋の中にいた軟派な外見のロンゲ男と、クールな感じのキャリアウーマンが盛大に叫んで、コケた。

「どーしたんです?二人とも」

そんな二人の様子に、相変わらずのボケボケを発揮するのは、ミスマル ユリカ大佐御歳25歳。

「ど、ど、どうしたじゃないわよ!あなたいったいどうやってここ(会長室)まで入ってきたの!?」

いち早く、立ち直ったキャリアウーマン、ネルガル会長秘書エリナ キンジョウ ウォンがユリカに詰め寄るが。

「どうやってって、普通に廊下を通ってだけど?」

「普通にって、セキュリティーはどうしたの?!ガードマンとかいたでしょ!!」

「アハハハハ、そんなこと気にしちゃだめですよ」

「そぉ言う問題じゃないでしょ!」

ニコニコボケボケのユリカにエリナが一瞬にしてきれる。

「まぁ、まぁ、エリナくんあんまり怒ってるとシワが増えるよ」

ようやく復活したロンゲ、ネルガル会長アカツキ ナガレ。

「そうですよ、せっかくエリナさんきれいなんだから」

「あんたね・・・」

こめかみを押さえ、いつもの表情を作ると、

「それで、統合宇宙軍の大佐さんが、どう言うご用件かしら?」

それでも、口元がひくついている。

「そうでした、と言うことで、教えてもらいたいんです」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・あのねぇっ」

「・・・はい?」

「何について聞きたいのか言ってくれないと、答えようが無いでしょうが!」

「それは、話の流れで何とか・・・」

「わかるわけないでしょう!」

きれそうになるのを今度は自制心で何とか押さえ込む。

「エリナくん、押さえて押さえて・・・  

 で、ユリカくんが聞きたい事って、コレの事かい?」

そう言うと、アカツキはウィンドを一つ開く、そこには先の『マサムネ』攻防戦で『アマリリス』が捉えた、正体不明の機動兵器が映し出されていた。

「ああ、これこれ これのこと聞きたかったんです」

「・・・アナタ、変わらないわね・・・」

ハフッとエリナがため息をついた。

「それで、コレの何が聞きたいんだい?」

「ズバリお聞きします、これを作ったのネルガルですか?」

それまでのボケボケした雰囲気が消え、替わりに凛とした厳しいものに変わった。

「いや、ウチじゃこんなの造ってないよ」

即答するアカツキ、

「第一襲撃されたコロニーには、ウチからの出向していた社員もいたんだよ、もし造ったとしても、どうしてそんな事するんだい

 ちょうど良かった今、これについての報告受けてたんだ、君も参加するかい?」

そう言うと、アカツキはエリナに目配せした。

「・・・それでは初めから、報告しなおします」

ユリカが同意したのを確認すると、エリナは持っていた書類に目を落とした。

「まず、アオイ中佐の『アマリリス』が捉えた正体不明の機動兵器ですが、これは今まで各コロニーを襲撃したものと同一であると思われます・・・」

ウィンドが開き『アマリリス』が捉えた映像と、それまでに撮られた襲撃機の映像が表示された。

「『アマリリス』のデータが不鮮明なため100パーセントとは言えませんが、ほぼ間違いないでしょう。

 それと、この・・・」

『アマリリス』が捉えた映像のウィンドが拡大される。

「機体を覆っている光ですが、間違いなくボース粒子です」

「その機体がどこの物であれ、単独のボソンジャンプが可能って事は間違いないってことか」

やれやれと言った表情でアカツキが肩をすくめた。

「それも、これ以後コロニー周辺のどの艦のセンサーにも探知されていないところから、かなりの長距離ジャンプが可能のようです」

「今、統合軍にあるジンタイプよりも小型で、遙かに長距離のジャンプが可能な機動兵器か〜、事故調査委員会のヒト達が信じないのも無理ないかな?」

頬に手を当て、ウィンドに表示される情報を見ながらそんなことをつぶやく、

現在、統合軍が所有している単独ボソンジャンプ可能な機体は、木星連合が所有していたジンタイプ(通称ゲキガンタイプ)と、そのヴァージョンアップ(終戦後、統合軍が強化改造)である真・ジンタイプのみ、そしてそのどちらも今回の襲撃機より三倍強の大きさを持ち、ボソンジャンプもせいぜい200〜2000メートルと短距離、一回のジャンプで戦艦に搭載されているセンサー及びレーダー類の探知範囲外にジャンプアウトする事は不可能。

「・・・諜報部からの報告では、我が社を含めあらゆる企業で、あのような機動兵器を製造したと言う記録は見つかりませんでした」

「だろうね〜、ウチの諜報部が察知してるぐらいならユリカくんがココに来る必要性無いからね」

「あら、そんなこと無いですよ〜、ネルガルの情報網は宇宙軍より優秀ですもの」

「宇宙軍の大佐サンがそんなこと言ってもいいの?ヘタをすれば進退問題よ」

あきれたようにエリナが言うが、

「大丈夫!今更見栄を張っても仕方ないですし、エリナさん達が告げ口しない限りばれませんっ!」

気にすることもなくニコニコしながら問題発言をボロボロしているが、まぁ問題ないだろういつもの事だし・・・

「ハッハッハッ、確かにそうだけど、ユリカくんには宇宙軍の諜報部より頼りになる情報網があるだろ?」

「あ・・・ルリちゃんですか?」

「そうそう、『電子の妖精』だっけ?かなりの人気らしいね彼女、今度ウチのCMに出てもらえないかな〜」

最近落ち目のネルガルグループとしては、少しでもイメージアップを謀りたいところだが。

「だめ!」

「あらま、早いね・・・」

しかしある程度予想してたのか、落胆した様子は無い。

「でも、その様子だとルリくんも何もわかって無いようだね」

「ええ、まあ・・・」

実のところ、宇宙軍、ルリ共に幾つか怪しい所を見付けてはいるのだが、確かな確証が無くそれ以上調べられ無い状態になっていた、ネルガルが一番怪しい、と言うのとも含めて。

「ヤレヤレ、全く手がかり無しか、いったい何が目的何だろうね〜この正体不明機くんは?」

「ダイレクトメールでも送ってくれればいいんですけどね」

手にしてたファイルを閉じながらエリナもため息を一つ。

「そのうち解ると思いますよ」

エリナとアカツキが、え?とした表情を向ける。

「何の目的も無しに、こんな事するはずがありませんもの、今までの襲撃で目的らしい事が果たされた形跡が無いから・・・」

「またどこかのコロニーを襲うって?」

「そうです、そしてその目的を達成した時に、私達は知ることができます・・・その目的を

 と言っても、これは最悪の場合ですけどね」

最後はおちゃらけたように付け加えた。

「それまでに、犯人見つけて捕まえちゃえばなーんも問題ナシナシ!

 と言うことで、協力お願いしま〜す」

ビッと、アカツキ達に大まじめな表情で敬礼する、が雰囲気はヤッパリおちゃらけていた。

「ちょ、ちょっと、何で私達が協力しなくちゃならないの?!」

やっぱりそう来たか、と言う表情のアカツキ。

それとは正反対に、ユリカにエリナが噛みつく。

「・・・今、ネルガルが最有力候補なんですよ」

「何のよ?」

「コロニー襲撃の犯人」

「なっ!」

別にユリカに言われるまでもなく、エリナもそのことは知っているが、面と向かって言われるとやはり言葉を失う。

「協力してくれたら、疑いもある程度ですけど軽くなりますよ」

「それはそうでしょうけど・・・って、宇宙軍は捜査権無いじゃないのよ!」

「あっ」

そうでした、とユリカ手を打つ。

「いいじゃないか、エリナくん。

 ネルガルとしてもここで断って、大事なお得意先を無くすようなことはしたくないし、それに、今は”アレ”も在ることだしね」

「ハァ・・・」

ちなみに”アレ”というのは、今『ナデシコB』で実働テスト中の次期主力機動兵器候補『アルストロメリア』と、同じくテスト中のエステバリスの最終形態である『サレナ』の事、要するに、情報提供する替わりに次期主力機動兵器採用の際に後押ししてくれ、と言ってる訳だ。

それからシークレットラインやらなんやらの打ち合わせを軽くしてから。

「ご協力感謝します。ビシッ」

いつかの時のように、ビッと敬礼するとユリカは会長室から出ていった。

「ふう、相変わらずだね、彼女は、それじゃエリナくん後は頼むよ。ボクはしばらく休ませてもらうから。」

「分かりました、ですが2時間後に会議が一つ入っていますので忘れないでください」

そう言うと、自分の仕事をするために部屋から出ていった。

(フゥ・・・)

椅子に深々と身を沈め、目の下辺りを軽く揉む、表面には出さないものの最近の激務のせいか、かなり疲労している。

(いったい何をする気なんだ・・・彼等は・・・)

統合軍や事故調査委員会、宇宙軍もまだ知らない彼等の存在、いや存在自体は知ってはいるだろうが確認できていない存在。

アカツキ自身、三年前の”あの事件”が起こるまで察知できていなかった存在。

(何をする気か知らないけど、これ以上暴れられるとウチとしても迷惑だから・・・潰させてもらうよ)

と、そこでアカツキは一人苦笑した、ネルガルのためではなく”あの事件”で殺された仲間のためと思えない自分に。

 

 

西暦 2203年    再び、時代は流れようとしていた

 

 

 

 

 

                              続く

 

 

管理人乱舞(コマンドは秘密(爆))

 

めるう゛ぃるさん!! 投稿有難う!!

いや〜、この一言から始まらないとね。

コンボに繋がらないから(謎)

 

まあ、馬鹿な事えお言うのはここまでで・・・

BenのHP、初めての連載投稿です!!

めるう゛ぃるさんは昔から感想掲示板にカキコをして下さった方なのでよ。

その方から投稿して頂けるとは・・・感謝!! ですね!!

ストーリーも何やら劇場版のようで、劇場版では無い。

・・・ふふふふふ、これは楽しみにですね。

やっぱり、ハーリーとラピスは出るのでしょうか?

そしてルリはやっぱり軍人?

続きが実に楽しみにですね!!

 

 

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