Cパート

 

チュン チュンチュン ・ ・ ・

唐突ですが朝です。

隣の部屋で寝ているアキトさんを起こさないように、音を立てないように布団から抜け出し、大きく伸びをひとつ、

寝間着用の大きめのTシャツを脱いで普段着に着替えて、髪を簡単に結い上げます。

アキトさんと暮らすようになって一番変わったことがこれ、

低血圧だった私が朝しっかりと起きられるようになった事、 

え? 理由ですか 秘密です。

今日は ・ ・ ・ 7月6日

 

ドクンッ

 

「!っ」

なに? 今の感じ、 何か変な感じが ・ ・ ・ 

「えっと あっ、 朝食の準備をしないと」

取り敢えず、さっきの事は後で考えましょう、キッチンに入って冷蔵庫の中をのぞいて ・ ・ ・ 

今朝は何をつくりましょうか?

近頃朝食はいつも私がつくっています、最近アキトさんは日々平穏だけでなく

新たにラーメン屋台を引きはじめたので、朝はなかなか起きてくれません。

あ、もちろん出しているラーメンはテンカワ特製ラーメンですよ、

苦節2年、ようやく完成したアキトさんご自慢のラーメンです。

と言うより、特製ラーメンが完成したのでアキトさんは屋台をはじめたんですけどね。

「さてっ と」

朝食のメニューを決め(と言ってもそう大したものはつくれませんが)て、早速準備にかかります。

 

トントントン、        カタカタカタ ・ ・ ・   コトコトコト

 

暫くすると、お鍋からいい匂いが漂ってきました、今日のお味噌汁はなかなかの出来です、

ご飯も炊きあがって保温の状態に変わっています。

そろそろいいでしょうか?

火を止めて、寝ているアキトさんを起こしましょう。

そっとドアを開けて中に入ると、まだぐっすりと寝ていますね ・ ・ ・ 

二十歳の男性には失礼かもしれませんが とても可愛い寝顔です、たとえて言うなら天使の寝顔でしょうか?

艦長やメグミさんがいくら頑張ろうとも、この寝顔を見ていられるのは私だけなんですッ!

 

ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

はっ いけません思わず見入ってしまいました。

このまま見ていたい誘惑に駆られますが ・ ・ ・ そう言う訳にはいけませんね、

「アキトさ ・ ・ ・ 」

起こそうとした私の脳裏に、数日前のアキトさんとラピスの映像がいきなりフィールドバックっ

 

『はいアキトっ あ〜ん』

『ラ、 ラピス!?』

『アキト、口開けて?』

『あ、あ〜ん』

 

クッ らぴすぅぅぅぅぅ、

意外な強敵出現です、正面から迫ってくる相手には免疫ができているアキトさんですが、

搦め手から迫ってくるタイプには無防備っ、

一緒に暮らしていることで最近少し油断していましたね、

ここはアキトさんに誰が一番かしっかりアピールしなければ、

っと いけない、取り敢えずアキトさんを起こさないと

 

そっとアキトさんの耳に口を寄せて ・ ・ ・ 

「アナタ ・ ・ ・ 朝ですよ 起きてください」

同時にふ〜〜っと息を吹きかけます。

 

「っ!? なんだっ 」

効果覿面、一発で起きてくれました。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ そ、それにしても、これは思っていた以上にハズカシイですね ・ ・ ・ 

「お、おはようございます アキトさん そろそろおきてください」

「え? あ、おはようルリちゃん」

どことなくとまどっていますね まぁ 私もそうですけど、

「朝御飯 できていますよ、早く来てくださいね」

「わかったよ、着替えたらすぐにいくから」

なるべく、アキトさんと顔を合わせないようにして部屋から出ていきます、

そうしないとアキトさんに私の顔が赤くなっている事を気づかれてしまいますから。

 

「う〜ん、なんだったんだろ?

 何か ・ ・ ・ ”いい”言葉が聞こえたような気が        夢でも見たのかな?」

顔を洗ってきたアキトさんが首をひねりながらイスに腰掛けます。

「はい、アキトさん」

そのアキトさんに、ご飯をよそったお茶碗を差し出します、

「ん、ありがとう」

受け取ってそのまま食べはじめようとするアキトさんを、じぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜

「えっ と、ルリちゃん そんなに見つめられると食べにくいんだけど」

「アキトさん いつも言っていますが食べる前には『いただきます』ぐらい言うものです」

「 ・ ・ ・ いただきます」

「はいっ(くす♪)」

私も自分の分の朝食に手をつけます、こう言うのもたまいいですね、背中が少しこそばゆいですが、

小さな幸せです。

贅沢かもしれませんが、こんな幸せがずっと続いたらいいですね ・ ・ ・ 

 

ドクンッ

 

私が居て、アキトさんが居て、艦長やメグミさん、ラピスにホウメイさん、みんなが一緒に居られたら ・ ・ ・ 

 

ドクンッ

 

いつまでも、一緒に ・ ・ ・ 

 

ドクンッ

 

へ、変ですね、私は頭痛持ちではないのに、どうしてこんなに頭が響くんでしょう?

 

「そう言えば、アキトさんは今日、非番ですよね?」

「うん、そうだけど ね」

「?  どうかしたんですか」

「アハハハ  はぁ〜     実はユリカとショッピング ・ ・ ・ 」

 

ドクンッ

 

何か脂汗流してますね、また艦長に無理矢理約束させられたのでしょう、

免疫が出来たと言っても押しに弱いのは相変わらずですね、

「むっ  そうですか、でもテンカワさんそう言うことは前もって教えてください」

「ごめん  急に決まったもんだからさ 言いそびれて ・ ・ ・ 」

残念です、今日は私も非番ですから一緒にどこかに出かけようかと思っていたのに、

「わかりました、ではあまり遅くならないようにしてくださいね」

仕方ありません、私も前もって言っていませんでしたし、

艦長には日々平穏での噂の件もありますから大目に見ましょう。

 

ドクンッ

 

「ごめん、ルリちゃん」

「いえ、いいですよ別に それよりいいんですかのんびりしていて? 待ち合わせに間に合いますか?」

 

イカセテハ、ダメ

 

「大丈夫だよ、 待ち合わせは10時だから ・ ・ ・ 」

「テンカワさん 今 9時21分ですけど」

「                                       え゛っ!?」

 

ドクンッ

 

「わぁぁっ 遅刻だぁぁ!!」

「ご愁傷様です」

そんな約束があるなんて知りませんでしたから、いつもより起きるの遅くしていましたもので、

 

あきとサンヲ

 

 ・ ・ ・ なんでしょう? 頭痛に続いて、何か”声”が聞こえてくる ・ ・ ・

悲しそうな、聞いているだけで辛くなってしまうような”声”が、

 

ドクンッ

 

「急がないと、ユリカ怒ってるよなぁ」

いつものポロシャツとジーンズに着替えたアキトさんが部屋から出てきました、

 

ハヤクトメナイト

 

どこまでも悲しげな”声” 私の内側から響いてくる ・ ・ ・ 

これは、私の”声”!?

 

ドクンッ

 

「ごめんルリちゃん、朝からドタバタしちゃって」

何故、アキトさんを行かせてはいけないの?

 

ジャナイト ・ ・ ・

 

「ぐあぁ  今からだと、本当に遅刻だな ・ ・ ・ 」

じゃないと?       アキトさんを止めないと ・ ・ ・ どうなるの?

アキトさんを止めないと ・ ・ ・ ?

アキトさんを止めないと ・ ・ ・ 

アキトさんを止めないとっ

アキトさんを止めないとっ!!

 

あきとサンガシンデシマウッ!!

 

!!

そうです、今日アキトさんは艦長と一緒に私の誕生日プレゼントを買いに行って

そして、その帰りにテロ事件に巻き込まれ ・ ・ ・  !!

いけないっ!! アキトさんを止めないとっ!!

「じゃぁ ルリちゃん行って来るからね」

行っては駄目ですっアキトさん!!        っえ!? 声が  でない?

「はい、気をつけて行って来てください」

!? 違うっ  私が言いたいのはそんな言葉じゃ     ないっ!!

「うん、じゃぁ行って来ます」

扉を開けて、アキトさんが ・ ・ ・ 

「いってらっしゃい、アキトさん 艦長によろしく伝えておいてくださいね」

 

駄目っ!!     アキトさんっ    行かないでっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ・ ・ ・ アキトさんっ!! 行かないでくださいっ!!」

アキトに向かって伸ばした手は虚しくなにもない虚空を掴み、その指はなにも触れるものはなかった。

「 ・ ・ ・ あ 」

虚空を掴んだ手を目の前でゆっくりと開きながら、あたりを確認する。

ここは、アキトさんと2年間一緒に暮らしたアパートではなく、ナデシコB艦長室のベットの上。

ここにいるのは13歳のホシノ・ルリではなく、16歳のホシノ・ルリ ・ ・ ・ 

「ゆ  め !?」

ポツリと呟くと、ゆっくりと起きあがり、もう一度部屋の中を見渡し、

「 ・ ・ ・ 夢」

ドサッ とベットに倒れ込んだ。

 

ピッ

『ルリさ〜〜ん ・ ・ ・ !!  ルリさんどうしたですの!?』

満面の笑顔でウインドウを開いたメノウは、真っ暗な室内でベットの上に倒れているルリを見て表情を一転させた。

「あ メノウちゃん、 どうかしましたか?」

そんなメノウの様子を気にすることなく、ルリは起き上がる、

『え?  でも、ルリさん、 泣いてるの? ・ ・ ・   ユリカさんの目が覚めたから、

 3時間後に艦長会議をナデシコA+ でするの、 その連絡なの』

「そうですか、わかりました ではそれまでに『アメノムラクモ』での事をまとめておきます」

『ハイなの、よろしくですの』

「さて、それでは ・ ・ ・ どうかしたのですか?」

まだ、ウインドウを開いているメノウに訝しげな表情を向けた。

『 ・ ・ ・ ルリさん、元気出してくださいの』

ブンッ

ウインドウを閉じる瞬間に、ニコッと人なつっこい笑顔を向けた。

「!     くすっ  いけませんねメノウちゃんに励まされるようでは」

しばらく消えたウインドウのあった辺りを見ていたが、自嘲気味に笑みを浮かべ呟くと、

「そうです、いつまでも沈んではいけませんね ・ ・ ・ 」

【それに、今は敵なのかもしれませんが、アキトさんは生きていたんです、

 生きているならいつか必ずまた会えるのですから】

 

 

制服の上から胸の辺りを、何か確かめるかのようになぞる、

「ですよね        アキトさん」

その手に、あの日アキトが14回目の誕生日プレゼントとして送った瑠璃石のペンダントが

確かな存在感を返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あ(と)がき

前回の更新からもう四ヶ月近くたっていますね ・ ・ ・  

みなさま、覚えていられますか? めるう゛ぃるです。

え?  忘れた

ぐぁぁぁっ そんなぁぁぁ〜〜〜〜    私にもイロイロあったんですよぉぉぉぉぉ〜〜〜〜(号泣)

               

 

さて(立ち直りが速い)、

今回はもまた、あちこち場面が飛びまくりましたが、如何でしたでしょうか?

しかし、以前も書きましたが、心理描写ってムズカヒイ ・ ・ ・ 

ルリちゃん主観で書いていて何度発狂しかけたことか(笑)

結局、書きたかった事の1/3も書けなかった  シクシクシク

もうこれは、どこぞの師匠でなくても

『だからお前はっ アホなのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

と言いたい気分、        あうぅ ・ ・ ・ 

 

次回は、もう少し速く出来るように頑張りますので、見捨てないでください〜〜〜

 

 

少し補足

誕生日プレゼントを買った帰りにテロ事件に巻き込まれ、遺体も残らなかった

(本編中に書かれていませんがアキト君、欠片も残さず吹き飛んだことになっています)のに、

何故プレゼントがルリの手に有るかというと。

そのまま買って帰れば、アキト君のこと絶対ルリちゃんに見つけられてしまいます、

そうすればせっかく驚かそうとしていた計画も水の泡、

彼もそのことはわかっていたらしく、プレゼントはユリカに預けていたんですね。

 

 

 

それでは、次は第6話で、お会いしましょう〜

28+26+19KB ・ ・ ・ 新記録だ、次回は短縮しよう(汗)

 

 

 

 

 

 

 

                               続く

 

 

管理人の感想(・・・)

 

めるう゛ぃるさん!! 投稿どうもです!!

めるう゛ぃるさんが復活されました!!

皆さん、感想の言葉と一緒に、お祝いを言いましょう!!

なにやら、私生活で大変だったらしいので。

 

・・・俺もか(ボソッ)

 

ま、まあ、その事は置いといて(;´∇`A

う〜ん、だんだん容量が増えてられますね〜

アリ地獄の経験者第一号としては、歓迎しますが(爆)

しかし、今回はアキトが誘拐されるまでのお話・・・

で、ルリちゃんの奮闘記ですか!!

可愛いですね、このルリちゃん。

管理人の書く、ルリちゃんと同一人物とはおもえません(自爆)

でも、一部は似てたけど・・・

やっぱり、魂の色は同じということか?

 

では、めるう゛ぃるさん 投稿有難うございました!!

 

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感想は作者の原動力ですから!!

いや、本気で(苦笑)

 

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