C パート

 

最初に気づいたのはサクラだった、

「はれ? これは」

IFSの高レベルリンク時での夜天光の調整が終わり、アキトに声をかけようとした時、ある計器が目に付いた、正確には計器の示す数値が、だ。

「!? 大変!!」

ナノマシンの作動状態を示すそれは、只でさえ通常の数倍有った数値がそれまでの倍近い数値を示し、更に上昇していた、

そしてそれから考えられる事は、

【 暴走 】

サクラの顔が青ざめる、

「? ・ ・ ・ !!」

そのサクラの様子に気づいたメイが一瞬怪訝そうにするが、次の瞬間には何が起こっているか理解した、

「サクラ!!」

「わかってるっ」

メイが叫んだ時には、既にサクラは凄まじい勢いでコンソールパネルに指を走らせていた。

【やっぱり、無理にでも言ってやめさせておけばっ】

後悔の思いがはしるが、今はそれよりも先にする事がある、

「夜天光へのエネルギーウェーブ、カット ・ ・ ・ 

 内部電源に移行、稼動限界まで、あと34秒」

幸い、整備中だった為に内部電源はほとんど無かったが、それでも30秒あればこの格納庫を破壊し尽くすには充分すぎる、

【強制停止命令を 】

ナノマシンを介しているとは言えIFSで脳とリンクしているシステムを外部から強制停止させる事は多少の危険が伴うが、この場の責任者としてサクラは判断した、

「停止コードを ・ ・ ・ ?」

が強制静止コードを送ろうとしたサクラの手が止まる、

改めてあたりを見回してみる、

「はぇ?」

そこには緊張感も無く普通にそれぞれの仕事をこなしている整備員達の姿があった、どう見ても機動兵器が暴走しているようには見えない、

実際、アキトの乗っている夜天光はそれまで通りハンガーに静かに立っているし、その夜天光に取り付いて整備をしている者もいる。

「ええと?」

戸惑いながらも改めて計器を見る、

数値はナノマシンの活動が暴走時に近い状態である事を確かに示している、

「???」

訳がわからないまま、今度はIFSのリンク係数を示す数値に瞳を移す、

「あっ」

そちらの数値は調整を開始した時と同じ値を示していた、つまり

【 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうゆう事なんでしょう??】

余計に混乱してしまった。

【 ・ ・ ・ 取り敢えず、問題ないって事でしょうか?】

 

 

「!? 大変!!」

それまでボヶ〜と作業の様子を見ていたメイはサクラのいつもとは違う声に、振り返る。

何かを見てサクラが驚いている、そして一気に顔色が青くなる、

「? ・ ・ ・ 」

メイの脳裏に以前サクラが同じような表情をした時の事が思い浮かぶ、

【あの時 ・ ・ ・ アキト 暴れた時!!】

次の瞬間メイは夜天光に向かって走りだしていた。

「サクラ!!」

「わかってるっ」

サクラの返事にこれなら大丈夫と、安心しながら夜天光の足元に駆け寄る、

「? どうかしたんですか」

整備員の1人が駆け寄ってきたメイを不思議そうに見るが、黙殺。

「ッ 」

膝の装甲に足をかけて飛び上がり、胸部前面の装甲に手をかけ体を胸部上方の装甲に引き上げる、

一瞬にメイは10メートル近くの高さを上りきる、

「スゲェ 」

声をかけた整備員がその見事さに思わず見惚れてしまう、がそんな事に構うことなくメイは胸部上面のハッチを開る、

「ん?」

以前アキトが暴走した時は手が付けられないほど暴れ叫んでいた、だから今回もそうだろうと覚悟していたメイだったが、

「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

ナノマシンの活動により全身が銀色に霞んではいるが、静かにパイロットシートに身を委ねていた。

【暴走じゃない?】

訝しげにに首を捻るが、アキトの様子がいつもと違うのは確かだ、ハッチからコクピット内に身を滑り込ませ、アキトと正対するように向かい合う。

「 ・ ・ ・ 寝てる」

顔を覗き込んでみると、今にも寝息が聞こえてきそうな寝顔にしか見えない、銀に光っている事を除いて、

「アキト、アキトッ アキト!」

肩を掴んで揺らしてみるが、アキトはされるがままで目を覚ます気配は無い、

「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」

しばらく無言で何かを考えるようにアキトの顔を見つめる、

「アキト」

やがて、アキトの名前をつぶやきながら両手をアキトの頬に添え、

そして ・ ・ ・ 

 

ずばし!!×弐

 

「いってぇぇぇぇぇぇ!!

  ・ ・ ・ あれ? メイ?」

「アキト、居眠りは駄目」

痛みで飛び起きたアキトにメイがいつもの無表情で言う、同時にそれまでアキトに現れていた銀光の紋様も消える。

「??? あれ 俺寝てた?」

「(コクッ)」

今ひとつ記憶がはっきりしない、がメイがコクピットに入ってきた事に気づかなかったのだからそうなのだろうと納得する、

【よかった、うまくいった】

言ってみれば、誤作動しているパソコンを右斜め45°から叩いて直すのと変わりのない事をしているのだ、乱暴な事この上ない。

もっともメイのその一撃でナノマシンの異常作動状態が解除されたのだから、結果的には正しかったのだろう。

「 ・ ・ ・ (じぃ〜)」

「? なに」

「どこか、おかしいところ 無い?」

「おかしいところ? ん〜〜

  ・ ・ ・ 少し頭がぼぉっとしてるけど、これは寝起きだしなぁ」

どうやら、寝ていたと言われた事に何の疑問も持っていないようだ。

「何してたか覚えてる?」

「? また質問か、やっぱり何かあったのか?」

「いいから、答える」

「はいはい、っと確かサクラさんの指示で夜天光のIFS調整してたんだよな?」

「(コク)」

「で、その間暇になったんでぼぉ〜っと ・ ・ ・ 」

そこで何か考えるように、言葉が途切れる。

「ぼぉーっと?」

「 ・ ・ ・ 何か考えてた いや、何かを思い出していた ・ ・ ・ 

 何か ・ ・ ・ 大事な事、を ・ ・ ・ なんだ、なにを ・ ・ ・ 」

再び、アキトに銀光の紋様が浮かびナノマシンが活動を開始し始める。

「! アキトッ」

慌ててアキトに飛びつき、引き戻す。

「っ あ、ゴメン

 よく覚えてないから、そんなに大した事じゃなかったなかったんだよ、きっと

 そのまま、寝ちゃってるし」

「うん、わかった」

銀光の紋様が消えたのを確認すると、安心したようにそのままアキトを抱きしめる、

「無理しなくて いい」

「えっと よくわからないけど、わかった」

よく状況が判らないアキトだったが、もうしばらくメイの好きにさせておいた方がいいように感じた。

 

ピッ

『アキトさんっ 大丈夫です、か ・ ・ ・ ・ ・ ・ はわぇぇ!?』

ウインドウを開いたサクラが奇妙な悲鳴を上げるのはそれから直ぐの事だった。

 

 

 

 

 

「模擬戦?」

「はい」

丁度その頃、ミノリがミユの持ってきた模擬戦の申し込みに眉を顰めていた、

それは、持ってきたミユも同じらしく、戸惑ったような表情をしている、

「北辰の北斗七星と、私達南斗六星で?」

「ヤマサキ博士からも是非にっと、言ってきてます」

手にしている書類に目を通しながら、ミユが付け加える。

「 ・ ・ ・ 

 何かあるわね」

「はい、確実にあると思います」

ミノリ言葉にまじめな顔で頷く。

「 ・ ・ ・ 

 わかったわ、向こうには受けると伝えておいて」

しばらく考えてから、ため息と共に答える、

「いいのですか?」

「わざわざ正式に申し込んできたんだから何か企んでいるわね、

 だからと言って、断ったら断ったでもっと無茶なこと仕掛けてくるだけよ、

 なら始めから受けてた方が賢明だわ」

「はぁ、

 そうですね、いつ仕掛けてくるか判らないよりは、仕掛けてくる時がわかっていた方が対応もできますから」

「そう言う事よ」

「わかりました、そう伝えておきます」

「ただし、”いつ模擬戦を行なうかはこちらで決める”って付け加えておいて」

「了解です」

そう言ってミユは執務室から出て行った。

 

 

 

 

 

「模擬戦  ね

 何を企んでいるのかしら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ(と)がき

 

めるう゛ぃる: ・ ・ ・ (きょろきょろ)

ルリ:どこヘ逝くんですか?(ぐわっし)

め:いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

  ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ、一年以上も更新していませんでしたぁぁぁぁぁ!!これも全て私め悪いんです!スミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマ ・ ・ ・ 

ル:オモイカネ、グラビティー・ブラスト発射

め:ほんぎゃぁ〜〜〜〜〜!!

ル:落ち着きましたか?

め:(プスプス)ルリちゃん、酷い ・ ・ ・ 

ル:確かに一年間も更新停止していたのは酷いと思いますが。

め:(ザクッ)う゛う゛ぅ、

  ルリちゃん冷たい ・ ・ ・ もしかして出番が無かったから怒ってる?

ル:わかってるなら ・ ・ ・ わかってますね?(ニッコリ)

め:ルリちゃん、瞳が笑ってないけど(汗)

ル:私、笑ってませんから

め: ・ ・ ・ 

  善処します。

ル:善処?

め:(ガタガタガタ)か、かか必ず出させていただきます!!!

ル:よろしいです、

  それにしても今回はオリキャラがかなりでましたね

め:おう、もっとも最初から出す予定だったけどね。

  そんなで、軽く紹介。

ル:いいんですか?ネタバレしますよ

め:そこまでしないから大丈夫、まず

 

クサカベ・ミノリ少佐 23歳

ウェーブがかった黒髪をなびかせる、知的美人。

アキトの直属の上司で『南斗六星』のリーダー

苗字が示すとおり、草壁春樹の関係者。

 

テン・ミユ少尉 18歳

セミロングの鳶色がかったストレート、真面目な優等生。

ミノリの副官で『南斗六星』の一員

趣味はお菓子作りで、作ってはみんなに配っている

 

メイ 実験体ナンバー053 推定18歳

腰ほどもある流れるような黒髪の無表情無口無感情少女

『南斗六星』の一員でアキトの同僚

ヤマサキの実験により記憶を無くしている。

 

スズナギ・サクラ 21歳

腰ほどもある黒髪を三つ編みにしている、心優しい女性。

『タギリ』の機動兵器整備班長

にこやかなマッドエンジニア。

 

め:こんなところでしょうか。

ル:そうですね、ところで『南斗六星』ってなんです?

め:ミノリ率いる機動兵器部隊、構成メンバーが6人だから『南斗六星』、ちなみに北辰率いる部隊は『北斗七星』あっちは7人だからね。

ル: ・ ・ ・ 単純ですね。

め:ぐぁ

ル:あれ?でもアキトさんとラピスを入れても5人しかいませんが

め:ハッハッハッ(汗) 実はもう1人いるんだけど、今回出せなかった ・ ・ ・ 

ル:未熟者

め: ・ ・ ・ ゴメンサナイ

  紹介ついでに前々回登場のメノウちゃんも、

 

コウゲツ・メノウ少尉 14歳

ルリと同じく瑠璃色の髪の少女

ナデシコA+のオペレータ、もちろんマシンチャイルド

そこに居るだけで場を『ほんわか』させてしまう特技を持つ。

 

ル:それにしても、

め:?

ル:メイさんとサクラさんって ・ ・ ・ 

め:あははは〜(汗) 多分想像どうりです、ハイ

ル:重ねて、未熟者

 

 

 

 

 

め:で では、次回第7話でお会いしましょう〜

 

 

 

 

 

ル:出してくださいよ

め:はい(汗)

 

 

 

 

代理人の感想

なんかユリカは綺麗サッパリ忘れ去られてる様ですな(核爆)。

(ど〜考えたって「少女」じゃないし)

 

>南斗と北斗

北斗七星が死を司る星であるのに対し、南斗六星は生を司る対極の星であると考えられていました。

それを考えると部隊の性格も反対かなとも思うんですが、

「火星の後継者」という組織の性格上任務には大して違いがないようで(笑)。

あるいは「生に執着する者達」の部隊なのかもしれませんが。

 

しかし北斗と南斗と来るとどうも大脳皮質が刺激されてしょうがないですね(笑)。

草壁直属の部隊で「元斗星」とか言うのがあったりして、とか色々と・・・・おっとっと。