目を覚ますと――――――

「 ・ ・ ・ 青空が見える!?」

まず目に入ったのは問答無用で青く澄みきった、青空だ。

それも大気の汚れきった地球やテラフォーミングした火星の青空とは比較にならないほどの ・ ・ ・ 

「って、じゃぁここはどこなんだ!?」

慌てて飛び起きあたりを見回し、

「エ?」

硬直した。

どこまでも広がる青い空、そして視界いっぱいに広がる草原と森林、

見渡す限り人工の建築物は見当たらない。

「 ・ ・ ・ 此処、どこだ?」

そうつぶやくテンカワ アキトの問いに答える者はいなかった。

 

 

機動戦艦ナデシコ ファンタジーストーリー

『Welsh』

 

第1話『目覚めると』

 

 

 

 

 

とりあえず、状況を理解しようと頭をフルに働かせる、

「えっと、昨日は確か ・ ・ ・ 

 いつものように『火星の後継者』の残党狩りをして、追っかけてきたルリちゃんを振り切って月基地に戻って、イネスさんの定期検診受けて ・ ・ ・ 最後は自分の部屋のベットで眠った、

 うん、いつもと同じ普通の日だったはずだ」

どこが普通だっ!の突っ込みは取り合えず置いておきましょう、彼も混乱しているので。

「じゃぁ オレはなんでこんな所にいるんだ?」

何度頭を振って見直しても、周りの風景は自分の部屋には戻らない。

「 ・ ・ ・ 」

 

むぎゅぅぅ

 

「いへへへへっ」

頬を思いっきり抓る、ものすごく痛い ・ ・ ・ 夢じゃないようだ。

となると、可能性としては寝ているあいだにどこかにジャンプしたのだろうか?

「でもなぁ」

澄み切った青空と空気が、此処は地球じゃないと自己主張しまくっているし、火星には此処まで自然が溢れていない。

ならば残る可能性は ・ ・ ・ 

「イネスさんか」

疲れたようにつぶやいた、

新型のヴァーチャルシステムか何かを寝ているあいだに付けられてた、と言うのが一番納得できる答えだろう。

「ふぅ ・ ・ ・ 」

納得できる答えが見つかると、それまでのコトが嘘のように落ち着きを取り戻すアキト、

取り合えずラピスと会話を試みるが、

「 ・ ・ ・ 話せないか、ラピスを言い含めるか一時的に回路を遮断してるな」

細かい事まで気を回しているなと苦笑する。

続いて自分の装備をチェックする、

闇色のバイザーにマント、そして個人用ディストーション・フィールド内臓のボディーアーマー、

此処まではいつもの装備だが、なぜか愛用のブラスターの変わりに日本刀を腰に挿している。

「?」

と、その時になって気がついた。

「くんくん ・ ・ ・ 嗅覚がある?」

おもむろにバイザーを外す、

「よく、見える」

バイザーが無い分周りが明るく見える。

耳を澄ましてみる、

「 ・ ・ ・ 小鳥の囀りが聞こえる」

風の音もはっきりと。

「触覚は ・ ・ ・ たしかめたし」

ついさっき抓った頬をなでる。

「味覚は ・ ・ ・ 」

じっと足元の草を見つめ、おもむろに口に運ぶ、

「ぐへっ ぺっぺっぺっ!!」

苦い思いをしたが味覚が戻っていることを確認。

どうやらこのヴァーチャルワールドの中では五感が戻っているようだ、一瞬イネスさんに感謝をしようとするが、

「そう言えば、イネスさんに放り込まれたんだっけ」

思い直したようだ。

「で、問題はこの世界で何をさせたいかだけど ・ ・ ・ 」

どこかでモニターしている筈だから、こちらの声は聞こえている筈、

「けど、答えてくれるわけは、ないよなぁ」

大きく息を吐く。

「まぁ しばらく付き合うしかなか」

既にあきらめモードに入っているアキト、長年振り回され続けただけのことはある。

 

 

 

「さて、どうしよ「キャァァァ!!」 って早速きたか」

待っていましたのタイミングで響いてくる女性の悲鳴に、走り出す。

 

ガサッ

 

草むらを飛び越えた先に見えたのは、

「 ・ ・ ・ コボルト!?」

今にも女の子に襲いかかろうとしているモノ、どう見てもファンタジーによく出てくる犬顔のモンスターにしか見えない。

『 ・ ・ ・ ヴァーチャルワールドだから何でもありか』

女の子の方もファンタジーによく出てきそうな村人のような服装だ、

「伏せてろ!」

刀を抜き放ちながら叫ぶ、

「え? は、はいっ」

アキトに気づいた女の子がしゃがむと同時に、

ゴキャァ!

アキトの一撃がコボルトを吹き飛ばす。流石に女の子の前で切り伏せる訳にはいかず、峰打ちだが、

「こぼぉ〜 ガク

コボルトはあっけなく気を失った、峰打ちとは言え骨の二、三本は折れているだろう、

「むぅ、この手ごたえ、本物と変わらないな ・ ・ ・ イネスさんいい仕事してる」

そんなコボルトの様子を見ず、アキトは手に残る感覚に感心する、

「剣士さま、後ろです!」

「おわ!!」

もう一匹残っていたコボルトが仲間の仇と振り下ろした剣を寸前でかわす、

「っと、油断したな」

気配を隠す事すら知らないコボルトの存在に気づいていなかったのを油断の一言で片付け、刀を構えなおす、

「こぼぉぉー!」

気合の抜けるような雄たけびを上げてコボルトが飛び掛ってくるっ

「はっ!」

キィィン! ガスッ!!

刀で剣を弾き鳩尾に掌打を打ち込む、声も無く昏倒するコボルト。

「 ・ ・ ・ 肋骨、折れたな」

やり過ぎたかなとは思ったが、所詮仮想現実世界問題無いだろう、

チィンッ

「ふぅ」

刀を鞘に収め、振り返る。

「大丈夫かい?」

バイザーを外しながら、女の子に声をかける ・ ・ ・ 

 

 

 

ファーストミッション、コンプリート

次はなんですか? イネスさん。

 

 

 

 

 

第2話へ

 

 

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・む〜(笑)。

これはなかなか面白いシチュエーションですね。

本当に夢なのか、それとも異世界に飛ばされたのか。

どちらにせよはっきりするまではイロイロと楽しめそうです(笑)。