どこまでも青い夏空に、飛行機雲が一本の筋を描いている。

都内の中心部とは思えないほど静かな場所に

時折、アブラゼミの鳴き声が思い出したかのように聞こえてくる・・・

死者達が眠るその地で、一人の女性がある墓に手を合わせていた。

その墓は3年間、供えられている花が枯れたことは一度も無く

また、多くの弔問者が訪れる事で有名であった。

女性は美しい黒髪を肩で切り揃え、その大きな瞳は意志の強さが感じられる。

連合宇宙軍の制服を着ており、大佐の階級章をつけている。

その女性が手を合わせている墓には『天川家之墓』と刻まれている。

「じゃあね、アキト。そろそろ行くね。

・・・ルリちゃんと仲良くやってる?」

連合宇宙軍の制服を着た女性・・・ミスマル=ユリカがすぐ隣にある小さな墓に向かって言う。

その小さな墓には『RURI HOSHINO』と刻まれている。

「ルリちゃんも、あんまりアキトをいじめちゃダメだよ。

今はルリちゃんにアキトを貸しているだけなんだからね。

って、こんな事を言うと『俺は物じゃない!』ってアキトは言うわね。」

フッとユリカは微笑み、スクリと立ち上がる。

「じゃぁ・・・行ってきます。」

ユリカはクルリと後ろを向き、その場を後にし歩き出した。

『ああ、気を付けてな。』

『行ってらっしゃい、ユリカさん。』

何処からとも無く、そんな声が聞こえたような気がして

ユリカは一瞬立ち止まり、後ろを振り向いた。

そこには、誰もいないと解っていながら・・・

 

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ Re Try 第2部 

〜第1話〜  解き放たれた『未来』

 

 

 

 

 

 

漆黒の宇宙を一隻の戦艦が航行している。

連合宇宙軍所属戦艦『アマリリス』・・・

艦長は先の『蜥蜴戦争』で数多くの作戦に参加し、何れも勝利を収めた

機動戦艦ナデシコの副長を勤めていたアオイ=ジュンである。

この3年間で少し大人びた感じが出ている。

そのジュンは、留守番映像サービスの画像を見ていた。

家族や友人からの私信が流れ続け、最後の映像となった。

ジュンは、差出人の名を見て、この場で再生させて良いものか一瞬悩んだが

映像サービスの設定が自動再生になっていたので、そのまま再生されてしまった。

『ちょっと、ジュンちゃん聞いてよ!』

いきなり、制服を着た元気な女の子が現れ大声で言う。

ジュンは、少し慌てた様子で、あたりを見るが職務に忠実なのか、

それとも上官に意見できないのか、こちらを振り返るものは居ない。

ナデシコに乗る前であれば、ブリッジでプライベートな映像を見る事は

軍人として恥ずべき行為だと思っていたが、ナデシコに乗っている時は

艦長以下全員、思い思いの事をして退屈な時間を紛らわせていた。

ファッション雑誌を読んだり、対戦ゲームをしていたりしていたのだ。

良く言えば『仕事と遊びを両立している。』『上手に息抜きをしている。』となるのだが

ある一人の少女は『息抜きの間に戦争をしているだけです。』と言っていたが、まんざら間違いではないだろう。

もっとも、私信なのだから艦長室で見れば良いのだろうが・・・

ジュンは少しボリュームを下げて再びユキナからの映像を見る。

『お兄ちゃんったら、また私の所に来たんだよ?

な〜にが、おまえの事が心配だ〜よ!

まったく、何時まで立ても子ども扱いするんだから。

しかも、私の部屋を勝手に捜索してるのよ!信じらんない!

ミナトさんにもお願いしたんだけど、ジュンちゃんからもお願いしてもらえないかな?

ユキナ、一生〜〜〜〜〜のお願い!

もし、お兄ちゃんが言う事を聞いてくれたら何でもします。

ワガママも、もう言いません。言う事聞きます。

あなただけのユキナになるから。』

ユキナはパンッと手を合わせる。

―おいおい・・・前は確か文化祭の出店に協力してくれって言ったとき

同じ台詞を言ったよな・・・あの時はウリバタケさんやカズマが協力してくれたけど・・・

ま・・・当然、爆発騒ぎを起こしてプルセルさんと二人で方々に謝りまくったな・・・

ジュンはユキナが白鳥夫妻と共にオオイソシティに住んでいた中学の頃、

文化祭で陸上部の出店を手伝って欲しいと頼まれた時を思い出していた。

―しかし・・・こんなところをミスマル総司令やムネタケ参謀総長や秋山参謀に知れたら・・・

連合宇宙軍トップスリーのにやけた顔を思い出し、寒気を覚えてジュンは続きを見る。

『ねぇ、ジュンちゃん。いつ頃帰って来れるの?

帰ってきたら、連れて行って欲しいところがあるんだけどなぁ。』

映像から流れるユキナのお願いポーズ(本人はそう言っていた)を見てジュンは、フッと微笑を浮かべる。

今回は新造戦艦『アマリリス』の慣熟航行と、新米乗組員の訓練を兼ねた定期パトロールだ。

通常であれば3日後には地球へ帰れる。

まぁ、帰ったら帰ったで、ユリカの書類整理を手伝ったり

・・・他人から言わせると、あれは手伝っているのではなく、

強制的にやらされている、という感じらしいが・・・

ユキナのワガママに振り回せれるんだろうなと、一人落ち込みながら

ジュンは留守番映像サービスを終了させ、ジュンがユキナ宛てに

メールを書こうとしたその時、通信士が異常を知らせる。

「艦長!ターミナルコロニー『シラヒメ』から救援信号確認!

攻撃を受けているようです!」

「なに!全艦第一種戦闘配備。最大戦速で『シラヒメ』に迎え!

エステバリス隊は発進準備!急げ!これは訓練ではない!

繰り返す!これは訓練ではない!」

ジュンは、とっさに指示を飛ばす。ジュンの背中には冷汗が流れていた。

もし、これが今世間で話題になっているコロニー連続襲撃事件だとしたら・・・

ナデシコ時代であれば、艦長が特に指示を出さなくても流れるように皆が動いていたのだが

現在は、乗組員やパイロットも新米が多くこの艦は慣熟航行中だ。

それに新米にできる事など知れている。いったいどれだけの事が出来るか・・・

ジュンはそう思い、苛立ちながら目の前のスクリーンを凝視していた。

そんな不安をクルーに見せないようにしながら・・・

 

 

 

 

ターミナルコロニー『シラヒメ』・・・

『ヒサゴプラン』によって建造されたボソンジャンプの中継拠点である。

このターミナルコロニーはネルガル・クリムゾングループ・明日香インダストリー・マーベリック社が

共同出資しているターミナルコロニーの一つである。

各社がボソンジャンプの実験を行っており、コロニー内では諜報戦が繰り広げられている。

・・・このコロニーで、研究者として赴任してきたからにはプライベートは一切無くなる。

それこそ、下着の色からトイレの回数まで・・・そんな噂が立つほどだ。

さすがに、誘拐や殺人などの犯罪は行われていないが・・・あくまでも公式には、である・・・

だが、このコロニーで各社の諜報部が、どうしても調べられない場所が一ヶ所だけあった。

クリムゾングループのジャンプ実験室である。クリムゾングループの全容は、いまだに謎の部分が多いが

このコロニーにおいて、一般的な部署の情報はたやすく手に入るのだが

さすがにジャンプ実験室だけはどうやっても、内部で何が行なわれているのか、知ることが出来なかった。

逆に、この実験室を調べようと近づいた諜報部員が、次々と行方不明になっていったため

いつしか、触れてはならない場所として、黙認される事となったのである。

そして、このコロニーには統合軍の守備隊が駐留しているが、

規模も装備も錬度も精鋭とは言えない、いわば寄せ集めの艦隊と言っても過言ではない部隊だ。

もっとも、大戦中のナデシコや、木連の優人部隊と比べては可愛そうだと言う意見もあるが・・・

そんな中をたった一機、紅色に染まった機動兵器が守備隊をものともせず、

それこそ邪魔だと言わんばかりに、砲撃の中を突っ込んでいっていた。

守備隊の指揮系統は混乱しており、各人が勝手に謎の敵に攻撃を仕掛けていた。

「このっ!このっ!」

『第3中隊!下がれ!』

通信機から撤退命令が入るが、その言葉も聞こえないほど動揺している。

謎の機動兵器は、一直線に守備部隊へと突撃する。

「ぐわぁぁぁ!」

先ほどまで攻撃していた男は、コックピットへの直撃を受け爆発に巻き込まれる。

その隙に守備部隊は謎の機動兵器により簡単に突破されてしまった。

当初は、たがが一機の機動兵器に・・・そんな感じで攻撃を仕掛けていた統合軍ではあったが

味方が次々と撃ち落されて行く中で、次第に冷静な対処が出来なくなり、現在のような醜態が繰り広げられている。

また、多数の民間人の命を預るコロニー責任者、統合軍駐留艦隊司令のトクナガ少将は

民間人に情報を提供しようとはしなかったが、敵機動兵器によりコロニー自体が危機にさらされると態度を一転させ、

謎の機動兵器襲撃ではなく、『大規模なテロ組織』によるコロニー襲撃が起こった、としてコロニー内に警報を発令。

この時、ようやく事態の深刻さに気が付いたコロニー市民達は、我先にと宇宙港に殺到したが、

戦艦やシャトルは、すでに統合軍の高官たちが脱出した後で残っておらず、

脱出カプセルに人々が殺到し、ついには脱出カプセルをめぐって暴動が起こり始めていた。

そして、コロニー襲撃の報は各社のボソンジャンプ実験室にも知らされており

その中の一つ、クリムゾングループが実験を行っている実験室では

研究者とおぼしき白衣を着た男たちと、編み笠に茶色いマントを身につけた男たちが対峙していた。

編み笠をかぶった男により、研究者の一人はすでに銃で撃たれ絶命している。

「ま、待ってくれ!我々が居なければ研究が・・・」

研究者の一人が慌てていう。

「・・・機密保持の為だ・・・」

編み笠をがぶった男達の一人がそう言うと、研究者達の体に次々と銃弾が撃ちこまれる。

そこに、謎の機動兵器が壁を突き破って進入してくる。

「遅かりし復讐人よ・・・未熟なり・・・滅!」

光と共に男達の姿が消え、研究室は爆発を起こす。

研究室だけでなく、コロニーの各所から爆発が連鎖的に起こり始めた・・・

 

 

 

 

 

 

宇宙軍戦艦アマリリス・・・

突然の事態に混乱しているのは統合軍だけでなく、こちらも同じであった。

しかし、統合軍と違うのは指揮官が冷静であったことだろう。

混乱していた乗組員達に、的確な指示を送るジュン・・・

「シラヒメに呼びかけつづけろ!」

ジュンは、いらついた声で呆然としている通信士に怒鳴りつける。

「は、はい!・・・シラヒメ!シラヒメ!応答願います!シラヒメ!・・・」

「エステバリス隊は、避難民の救助を最優先で行なえ!」

「ボース粒子反応増大!何者かがジャンプアウトしてきます!」

レーダーを見ていたオペレーターが報告する。

「何っ?スクリーンに映し出せ!」

「はい!」

スクリーンに映し出されたその姿に、ジュンはハッと息を飲む・・・

「あ、あれは・・・まさか!」

そのシルエットは、自分がよく知っている機動兵器のシルエットに近かったからだ。

「・・・センサー切替!」

ジュンは、その正体を確かめようとオペレータに指示をだすが、ジャミングが酷く

はっきりとした姿を確認する事は出来なかった。

やがて、そのシルエットはコロニー爆発の影響でゴミが多くなり

その姿はセンサーから消えてしまった。

「・・・シラヒメ、爆発しました・・・」

先ほどまでシラヒメに呼びかけていた通信士が青い顔で報告する。

「引き続き避難民の救助を最優先・・・爆発のゴミに注意しろ・・・」

ジュンは、かろうじて指示を出すと艦長席に座り込んだ。

「・・・バカな・・・アイツは・・・死んだはずだ・・・テンカワ・・・」

避難民の救助活動を行なっていたブリッジは騒然となっており、

ジュンが発したその言葉に誰も気が付かなかった・・・

 

 

 

 

『コロニー連続襲撃事件!』

『被害者は1万人に!』

『問われる統合軍の責任!』

『宇宙港での惨劇!』

『謎の機動兵器、アオイ中佐が目撃。今回の事件に関連が?』

電子新聞の見出しにはコロニー襲撃事件の事が大きく載っている。

特に、衆人の関心を寄せたのは統合軍の責任問題と

ジュンの報告にある、アマリリスが検知した謎の機動兵器のことであった。

いわく、コロニー被害者の幽霊だとか、前大戦のパイロットの怨念とか

某企業の実験兵器であるとか言われ、いつしか『幽霊ロボット』と呼ばれるようになった。

「宇宙を巡る大螺旋!ヒサゴプラン!その内3つのコロニー!

それら全てが襲撃を受けたのですよ!誰が!何故!」

スーツを着た政治家が熱弁を振るっている。

「今度は土星蜥蜴ってのは無しですよ?」

木連の白い制服を着た男が、批判混じりに言う。

「どういう事だね?」

ピクリと眉を動かし、熱弁を振るっていた政治家が言う。

「話によると某国の陰謀ではないかとの見方がある・・・

確か・・・あなたの国では深刻な失業率だって言う話じゃありませんか。」

「何だと!蜥蜴野郎!てめぇらだって何か企んでいるんだろう!」

コミュニケのウインドウが大きくなる。コミュニケのウィンドウは感情に左右されるため

感情が高ぶっていると、そのウィンドウは比例するかのように大きくなる。

「やるってのか!」

「表へ出ろ!」

感情的になっている木連の男と、政治家の一言で議会は大混乱となり

無数のウィンドウが議会場に所狭しと映し出される。

「皆さん!静粛に!静粛に〜!」

議長の声がむなしく議会場に響き渡っていた。

そして、映像がストップしウインドウが小さくなる。

「以上、地球連合総会の映像でした。

次に、行列の出来るおいしいラーメン屋の話題です。」

と、画面では金髪の女子アナが、地球連合総会での出来事を冷静に伝えていた。

 

 

 

 

―やれやれ・・・特別軍事調査委員会・・・か・・・

ジュンはウンザリしながら統合軍のトップから質問を受けていた。

シラヒメから逃げてきた人たち・・・

と言っても、民間人のほとんどはシラヒメの爆発に巻き込まれたのだが

・・・を月に降ろしたが、その中で避難民の身分照明や事情聴取

宿泊施設の確保、アマリリスの補給などジュンは多忙を極めていた。

このあたりの緻密さ、心配り、対応の素早さなどはナデシコの乗組員であった事を

充分裏付けるものであり、若い乗組員達に尊敬の念を抱かせるのに充分だった。

ところが、ようやく月での仕事が終わったと思えば統合軍のトップより召集を受けた。

いや、召集と言うより連行と言った方が良い扱いであった。

何しろ、突然銃を持った統合軍兵士がアマリリスのブリッジにやって来て

ブリッジクルーを拘束。アマリリスの機能をすべて停止させ

その上で艦長であるジュンを拘束したのである。

―まったく、早く終わってくれないだろうか・・・書類も溜まっているだろうし・・・

こんな時まで仕事の事を考えるのは、ナデシコ時代から苦労してきた苦労人の面目躍如である。

しかしジュンは、暗い部屋に統合軍の高官たちが自分を囲っている光景は、

まるで自分が軍事裁判にでもかけられた気分になって少し不安になっていた。

やがて、一人の男が口を開く。確か、統合軍の提督だったとジュンは思い出した。

「君が見たと言う、全高8メートルで単独ボソンジャンプが可能な機動兵器だが・・・

そんなモノが実在していたのは前大戦までだ。あくまでも非公式に・・・だがね。

今では条約により、単独でボソンジャンプが出来る機体は厳重な管理化にあるし、

その時間A級ジャンパーによるジャンプは、公式記録では行われていないのだよ?」

―確か・・・統合軍の駐留部隊は壊滅状態って言ってたよな・・・

逃げ出した高官達も行方不明って言ってたからな・・・

守るべき民間人を見捨てて逃げて情報すら持ち帰っていないとは・・・

ジュンはそんな事考えながら統合軍の面々を見ていた。

確かに、統合軍はシラヒメを守っていた。いや、守っていたのは自身のプライドであろうか?

それとも名誉だろうか。いずれにしても、戦場ではそんなものは何の役にも立たない物である。

しかし、突然の不意打ち、旧式装備とは言え一個艦隊規模の軍隊が壊滅したのである。

それも、たった一機の機動兵器によって・・・そんな事が出来るのはジュンが知る限り二人しかいない・・・

いや、正確には”二人存在していた”のであったが・・・

―テンカワにスメラギ・・・あの二人だったら可能かもしれないがな・・・

ジュンは二人の”闘い”を思い出す。そして、ある一人の少女の事も・・・

あの時は戦いの中に身を置きながら・・・いつ死ぬかも解らない状況の中で精一杯生きていた。

毎日がお祭り騒ぎの中、ナデシコに乗っていたすべての人たちが見た『平和』と言う未来・・・

そして、今はバラバラになってしまったが、時折連絡を取り合ってバカ騒ぎをするその時

ナデシコに・・・そして、失われたあの時に帰ってきたと感じる・・・

そして、それは自分達にとって、かけがえの無い人物を失ったと言う後悔と共に

その平和な時を維持するために頑張っている自分達を励ますのだった。

それは他人から見たら傷の舐め合いかもしれない・・・

何時までも『ナデシコ』と言う『時間』から卒業できないだけかもしれない・・・

だが、ナデシコのメインコンピューターであるオモイカネの言葉を借りるなら

『あの忘れ得ぬ日々、その為に今を生きている』との言葉どおり

大切な想いは忘れられないからこそ・・・いや、あの火星での最終決戦・・・

そして、その後起きた悲劇を誰が忘れる事が出来るだろうか?

だが、自分達は生き残っている。木連優人部隊に所属していた一人の男の言葉によると

『生き残ったものが勝者だ・・・』

そう言う事になるらしい。しかし、目の前に居る男達はどうだろう?

何れの人間も、前大戦時には安全な後方で、兵士達に死ねと命令していた者達ばかりだ。

そして、戦後は旨く立ち回り今の地位を手に入れただけの『権力者』である。

戦争終結に向けて努力したナデシコクルーや、木連優人部隊は目の前の男達により監視されていた。

誰しも、自分より優れた人間は嫉妬の対象となるのであろう。

当然、ジュンやエステバリスパイロット達・・・

果ては、食堂勤務だったホウメイや、

整備部に所属していた人間達にも監視はついている。

特に、艦長をしていたミスマル=ユリカには厳しい監視の目があり、

統合軍、クリムゾングループ、木連強硬派等が監視していると

ネルガルシークレットサービスより知らされていた。

「左様・・・聞けばコロニー爆発の影響でセンサーの乱れが激しかったとの事だが?」

明らかに見下した表情で統合軍の幕僚が言う。

その一言でジュンは我に帰る。

「・・・誤認だとおっしゃるのですか?

確かに、コロニー爆発の影響でセンサーの乱れはありました。

そして、我々はコロニーから脱出した人たちや負傷者の救助で

手一杯の状態でしたから・・・おっと・・・この事は統合軍の方が詳しく知ってますよね?」

ジュンは極力冷静な声で皮肉を言う。

この3年間で少しは大人の世界をのぞいてきたつもりだ。

以前のジュンであれば、萎縮してこんな皮肉など口が裂けても言う事は出来なかったであろう。

「・・・まぁ、この件は我々で引き続き調査を行う。以上だ。」

ジュンの皮肉に一瞬たじろいた統合軍のトップはジュンに退室を命じる。

憮然とした表情でジュンは敬礼をしてその場を後にした。

 

 

 

 

「くそっ!!」

バキィ!!

ジュンは統合軍からの嫌がらせを受け、さすがに苛立ち壁を殴り付ける。壁は、ミシリとへこみヒビが入る。

何しろ、ジュンが調査委員会から帰ってくると、アマリリスは統合軍が調査を行うため接収されてしまったのだ。

そうなると乗組員達はどこかの部署に転属させないといけないのだが

乗組員達の勤務評定を行い、人事部と協議して転属先の決定をするのは艦長であったジュンの仕事だからだ。

言うならば、余計な仕事が増えた・・・そう言うことである。

それに加え、軍事特別調査委員会なる不可解な委員会が

宇宙軍に『これ以上の詮索は無用』と直接ミスマル司令に”命令”してきたのだ。

これには、さすがのジュンも憤慨した。

「これこれ、器物破損だぞ?」

電子新聞を読みながら宇宙軍参謀、ムネタケ=ヨシサダは言う。

統合軍司令長官室には4人の男達がいた。

「何なんですか!奴らは!」

「彼らも、自分達のミスを帳消しにするだけの手柄が欲しいのだよ。」

同じく、宇宙軍参謀の秋山 源八郎が達観した表情で言う。

「解っていますけど・・・」

「それでは、改めて君の見解を聞こうか?アオイ君。」

宇宙軍司令、ミスマル=コウイチロウは机の前で手を組み言う。

「はい。」

途端に、ジュンをはじめ秋山とムネタケの表情が引き締まる。

「この機体は月の『オモイカネ』で分析してもらったところ

84%の確率で『例の機体』だと判断しています。」

ジュンは、月のネルガル宇宙船ドックで建造中のナデシコCに

搭載される予定であるメインコンピューター『オモイカネ』で

分析してもらった資料を次々に提示しながら言う。

この資料は月に到着する前に分析したものである為、統合軍に渡した資料と別物である。

そして、ジュンは旧ナデシコクルーの皆に、この事を伝えるべきかどうか判断しかねて悩んでいた。

「ふむ・・・やはり・・・と言う事か・・・」

コウイチロウは口ひげをなでながら言う。

「ええ、アカツキ会長からの極秘情報はウソではなかったと言うことですな・・・」

ムネタケ参謀長はお茶を一口含んでから言う。

その言葉にジュンは驚きを隠せずにいたのであった。

つまり、この件についてネルガル・・・いや、ネルガルのトップであるアカツキは情報を持っていた。

―アカツキは・・・何をたくらんでいる?

あの、にやけた顔を思い出しながら一瞬考える。

―問い詰めてもあの男は喋らないだろうな・・・

「ですが、このまま何もしない・・・と言う訳ではないでしょう?」

ジュンはふと浮かんだ疑念を振り払いコウイチロウに尋ねる。

「むろん、我々としても黙って指をくわえて傍観するほど無能ではないよ。」

「だから早速行ってもらったよ。ユリカ・・・いや、ナデシコにね。」

コウイチロウとしては、娘が艦長をしているナデシコにあまり出て行って欲しくないのだが

現在の宇宙軍にとって実験戦艦とは言え、貴重な戦力であり能力は一級品である。

「じゃぁ、ユリカはナデシコで?」

「うむ・・・そして、アオイ中佐・・・」

嫌な予感を覚え、ジュンは一歩後ろに下がる。

「いつも通りミスマル大佐は多忙らしくてな・・・」

秋山は気の毒そうにジュンを見る。

その表情で、ジュンは秋山の言いたい事が解ってしまう我が身を呪った。

「・・・書類整理・・・まだ終わってなかったんですか・・・」

「コホン・・・あ〜、我が娘ながら書類整理が苦手・・・

と言うか君に頼りっぱなしになっているらしい・・・すまんね。」

さめざめと泣くジュンの肩を叩きながら、コウイチロウは謝罪するのであった。

 

 

 

ネルガル会長室・・・ここには、会長であるアカツキと

会長秘書のエリナ、そしてプロスペクタ―がそれぞれ深刻な表情をしていた。

「以上が、ジュンさんの報告をオモイカネで分析した結果です。」

ジュンが持っていた資料と同じ物をエリナはアカツキとプロスに渡す。

「・・・やはり・・・と言う訳か・・・」

「ええ、ナデシコBが既に調査に向かっているようです。」

「アマテラス・・・ですか・・・あそこは統合軍の主力がいる所です・・・

いかにユリカさんと言えど、持ち帰れる情報は少ないでしょうな。」

プロスは資料を読み終えて言う。

「ふむ・・・エリナ君、ナデシコCの方はどうなってる?」

「はい、月ドックからの報告では現在90%ほど進んでいるとの事です。

最終調整など細かいところは残りますが、

ナデシコAとナデシコBのデータをフィードバックさせる事で

対応は出来ますし、なにより搭載するA.I.はオリジナルを載せます。

また、ラピスちゃんに最終調整をお願いするつもりですから・・・」

「即実戦投入は可能・・・と言うわけか・・・」

オモイカネシリーズはナデシコ級各艦に搭載されているが、感情を持ったのは

結局ナデシコAに搭載されていたオリジナルのみであった。

前大戦時、バックアップをエリナが保管し、それ以降は月のネルガルドックに収容されていた。

ナデシコBはオモイカネのコピーを使用しているが

マシンチャイルドが居ない今、その能力は最低限の物となっていた。

「で、艦長は誰にしますか?引き続き、ミスマル=ユリカに?」

「ああ、そうしてくれ。」

アカツキはニヤリとしながら言う。

「なぁに?また何か企んでるの?」

エリナは呆れ顔でアカツキに言う。

「いや・・・これは内緒にしておいたほうが良いからね。」

「コホン・・・よろしいですか?」

プロスは軽く咳払いをする。アカツキは軽く手を挙げプロスの話を促す。

「それから、統合軍内部に不振な動きがあります。」

「クーデター?」

エリナは間髪入れずプロスに尋ねる。プロスはゆっくりと頷く。

「それに加え、A級ジャンパーの誘拐計画も・・・」

「まさか!?」

エリナは青い顔でアカツキを見る。

「ふむ・・・クーデターを計画しているのは統合軍というより、

クリムゾングループ・・・もしくは木連の草壁派かい?」

アカツキは確信をもって言う。

「はい、ユリカさんの所にも何度か現れ

やつらのエージェントと接触しましたから・・・」

プロスはわざわざ”接触”と言う。

エリナは、戦闘があったのであろうと推察していた。

そして、事態は思ったより進んでいる事を感じずにはいられなかった。

「ユリカ君の護衛は万全だろうね?」

アカツキの問いにプロスが答える。

「御心配なく。信頼出来る人物に依頼しましたから。」

プロスは何時ものポーカーフェイスで答える。

「そこまで君が信頼する人物なら大丈夫だろうね?」

「はい、それは保証しますよ。彼女ならね。」

なにしろ一度痛い目に合わされてますから、とプロスは心の中で付け加える。

「彼女?女性なのかい?僕も知ってる人?」

「いえいえ、私個人の知り合いですよ。」

「君の恋人かい?」

アカツキはニヤニヤしながら言う。しかし、プロスはゆっくりと首を横に振る。

「いえいえ、違いますよ。」

「で?結局統合軍のクーデターはどうするの?」

エリナは、プロスの知り合いの女性に、多少なりとも興味を抱いていたのだが

話が脱線しそうな雰囲気だったので、話を元に戻す為アカツキに尋ねる。

「・・・ふむ・・・この際だからウミを全部出してしまおう。」

アカツキは真剣な顔で言う。前大戦時で地球側の最大勢力であった連合宇宙軍は

地球と木連の緊張緩和により、その規模をかつての半分以下に縮小され

同じく連合陸軍、連合海軍、連合空軍も、その規模を縮小されている。

変わって地球側と木連側の双方が抱えている軍を統合したのが統合軍である。

この中には木連の徹底抗戦派も含まれており、統合軍内部で地球側と木連側の

争いは毎日のように起こっている。統合軍の発足は時機尚早とアカツキらは反対したのだが

事前に根回しをされており、押し切られる形での発足となった。

「統合軍とクリムゾングループへの調査は進んでいるんだろうね?」

「はい、現在ゴート君が調査を進めています。

・・・ところで会長、月臣さんと出かける回数が最近多くなってませんか?」

「あ、それは私も聞きたいわね。」

プロスとエリナはアカツキに詰め寄る。

「余計な詮索はしない方がいいよ。」

アカツキは鋭い目でエリナとプロスをにらむ。

エリナはその目を平然と受ける。

「・・・この業界に住んでいますと、死んだはずの人間に良く出会いますからなぁ。」

プロスは少しとぼけた感じで言う。

「え・・・それってどういう・・・」

「プロス君!」

プロスに問いかけるエリナの言葉を制しアカツキが鋭い声で言う。

「余計な詮索は無用だといったはずだ。」

「いえ、これは私の経験上の事ですから。」

プロスは一礼して会長室を後にしようとする。

「プロス君・・・ナデシコCのクルー選抜は君に任せるよ。」

プロスはその言葉に一瞬立ち止まり、

「・・・ちょっとした同窓会・・・でよろしいですかな?」

「ああ・・・そうしてくれ。」

アカツキはニヤリと笑いながら言う。

プロスが退出しようとしたその時・・・月臣 元一朗が真っ青な顔で会長室に駆け込んできた。

「つ・・・九十九が・・・さらわれた・・・」

 

 

 

 

白鳥 九十九・・・かつて木連軍の優人部隊に所属しており

『蜥蜴戦争』時には地球側との和平を提唱。

あくまでも徹底抗戦を仕掛けようとした上層部に、平和こそ真の目的として

同じ目的だった地球側の戦艦ナデシコと共同戦線を張る。

その時、手と足を失う大怪我をしたのだが、ナデシコ医療班及び科学班の手により命をとりとめた。

戦争終結間際、木連において若手将校による『熱血クーデター』を画策。

中心人物として何度も命を狙われていたが、義手と義足に『勝手に』取り付けられた武器と

親友の月臣 元一朗から、護衛としてつけられた人物のおかげで、無事クーデターを成功させる事が出来た。

そしてクーデター成功後に、元ナデシコ操舵手のハルカ=ミナトと同棲生活を送る事となる。

最近、ようやく結婚式の日取りが決り周囲から祝福を受けていた。

だが、九十九は木連の外務次官として各コロニーや月、火星、地球と忙しく飛び回っており、

ミナトもオオイソシティで教員をしているので、二人が会えるのは一月に一度程度であった。

しかし、本人達はそんな事で仲が悪くなるどころか、いっそうお互いの絆は深くなっていった。

そんな白鳥 九十九が、L−3の開発コロニーである『X−18999』に向かったのは『シラヒメ』襲撃事件の前日である。

コロニーには、資源開発を目的としたコロニーや畜産や農業を専門に扱うコロニー、

そして、増えすぎた人口を収容する為の居住コロニーが存在していた。

これらのコロニー群は大戦中、木連の攻撃を幾度か受けていた為

開発途中で放棄されたコロニーが多数存在し、その多くは治安の悪化や経済不安などにより

廃棄されて宇宙海賊の根城になったりと、深刻な社会問題になりつつあった。

『X−18999』は大戦の前に完成したコロニーで、入居者を募集している最中に

戦争が始まった為、建設途中で放棄されたビルや雑草が伸び放題の公園が存在していた。

そして、治安も良くないため経済が発展せず、新たな入居者も増えない。

不安定な経済が人口増加を抑制し治安が悪化するサイクルを繰り返す・・・そんな状況になっていた。

「・・・ですから、我々としては地球と木連双方に経済援助を求めるのです。」

資料を提示して説明しているのはコロニー連合代表団の一人だ。

この部屋には、コロニー連合代表団と木連外務次官の白鳥 九十九が

丸い大きなテーブルを囲むような形で席に着いて居た。

本来であれば、地球側の代表も来る予定であったのだがシャトルが遅れている為

この席にはまだ到着していない。九十九はそう説明され、案内された部屋で話を聞いていたのだった。

「しかし、それはコロニーの治安問題が解決しないと経済援助は難しいでしょう?」

九十九はコロニー連合代表団を見渡しながら言う。

「独自に自警団を組織しては居ますが・・・中々効果が挙がらないのと、我々のような素人に

取り押さえられるような連中ではありません。警察組織でも押さえきれないので

後は軍に出動してもらうしかないのですが、こんな辺境宙域では軍隊の数も少ないので

手が回らないのが現状です。それに、軍の司令官にも問題がありまして・・・」

「どう言うことだ?」

「・・・はぁ・・・その・・・まことに申し上げにくいのですが・・・

この方面の統合軍司令官は松山大佐なのです。」

コロニー連合代表団の一人が言いにくそうに言う。

「松山大佐・・・か・・・」

九十九は松山の人となりをよく知っている。

徹底的な官僚主義者で部下からも評判が悪く

クーデタ派が優勢と知るとあっさり草壁を裏切った小役人だ。

噂では賄賂や軍の物資を横流しして、私服を肥やしていると聞いた事がある。

また、宇宙海賊との癒着も噂されている。

「ですから、我々としてはコロニー連合をより強化して

地球や木連に対抗できる強力な人物に指導していただきたいのです。」

「そう、『熱血クーデター』を成功させた白鳥中佐の名声と手腕があれば・・・」

男達は一斉に九十九を見る。九十九は、軽い苛立ちを感じていた。

―どうして、そんな安易に支配される事を選ぶのだろう・・・

目の前に置かれたお茶に目をやる。九十九は気分を落ち着かせるため

お茶を飲もうと湯飲みを手で持ち、手のひらで回しながらコロニー連合代表団に言う。

「あなた方は支配される事を望んでいるのですか?」

「いや・・・そう言うわけではないのですが・・・

もちろん、我々も直接統合軍本部に報告しましたが・・・

相手にされてないのです・・・こんな現状だと我々コロニー市民は

強力な指導者に登場していただくほか無いのです。」

しどろもどろに男が言う。確かに、コロニーに対する差別が存在しているのは知っている。

だが、ここまで酷いとは思ってなかったのだ・・・

「このままではコロニーの存続に影響するのです。

経済援助が受けられないのであれば、宇宙海賊と手を組み

武力蜂起をも辞さない考えです。」

興奮した様子で男の一人が言う。

九十九はやりきれなくなり、お茶を一気に飲み干す。

「残念です・・・折角・・・手に入れた・・・自由と・・・平・・・和・・・な・・・の・・・・・・・」

体の力が抜け、意識が薄れ行く中で九十九はコロニー代表団を見る。

―笑ってる・・・まさか・・・

そこで九十九の意識は無くなり、椅子に座ったまま眠っている。

「ようやく飲んでくれたか。」

コロニー代表団の一人が言う。男はホッとした表情で言う。

白鳥 九十九を手に入れる為、彼は連日徹夜で今回の資料を作ったのだ。

よく見ると目にクマができている。

「しかし、これでようやく閣下にお出まし頂けますな。」

「ああ・・・すべては『新たなる秩序』の為に・・・」

男の一人がそう言うと、赤とクリーム色を基調とした軍服を着た男達が部屋に入り込んでくる。

「丁重に連れて行け。これから役立って貰わんといかんのだからな。」

「はっ!」

兵士達は九十九を担架に乗せ、連れて行く。

「矢はすでに放たれた・・・後は突き進むのみ・・・」

男はニヤリと笑い、そして部屋を出て行くのであった・・・

 

 

 

 

 

ネルガル会長室は重苦しい雰囲気に捕らわれていた。

「・・・なるほど・・・それで、護衛に付いていたシークレットサービスは・・・」

「・・・残念ながら・・・」

月臣が言う。彼の部下は木連時代からの戦友である。

二人が九十九の護衛に付いていたのだが

一人は死亡、もう一人は事件の概要を命からがら持ち帰ったのだが

重態で今も集中治療室での療養が続いている。

月臣の握り締めた拳からは、血が流れ始めていた・・・

「・・・奴等の目的は何でしょうなぁ?」

プロスがアカツキに言う。アカツキは暫く考えていたが、やがて口を開いた。

「・・・おそらく、プロス君が言っていたクーデター計画に関係があるのだろう。

白鳥君は木連の英雄なんだ。利用できるものは利用しよう・・・そう言う事だろう。」

「そうね・・・ところで、ミナトさんには誰がこの事を伝えるの?」

エリナはアカツキたちを見る。その事実に皆は口をつむぐ・・・

「ユキナちゃんにも連絡しておいたほうが良いだろう・・・」

月臣は重苦しく言い、ため息をつく。

「・・・ミナトさんには、ミサキさんを護衛として付けよう。エリナ君、手配のほう頼むよ。

それと、ユキナちゃんはアオイ中佐にお願いしよう。月臣君、君がバックアップするんだ。」

アカツキはそう言うとエリナに手配を頼むと言う。

「チョッと待ってくれ!九十九の救出作戦を行うのではないのか?」

月臣は血相を変えて言う。月臣は命令があれば直ぐにでもシャトルに乗り込み

『X−18999』に向かうつもりでいたからだ。

「・・・事態がここまで動いた以上、元ナデシコクルー・・・特にブリッジ要員だった者や

白鳥 ユキナの警護を強化する。そんな中で救出作戦を行える余裕など無いはずだよ。」

アカツキの言葉に月臣はグッと口をかみ締める。

今や自分は優人部隊でなくネルガルシークレットサービスの一員なのだ・・・

個人の感情で行動するのではなく、全体を見て行動する立場なのだ・・・

月臣はイヤでもその事を認識した。

「それに、白鳥君の救出作戦は僕に任せてくれ。」

アカツキは月臣の目をジッと見て言う。

「ま・・・まさか・・・」

「そう、そのまさか・・・」

冷汗を流す月臣にアカツキは楽しそうに言う。

「ちょっと、何2人で納得してるのよ!私たちにも説明して頂戴!」

エリナが少し苛立ちながら言う。

「エリナ君、詮索は無用と言ったはずだよ。

それから、白鳥君の誘拐は少数の人間しか喋らないようにしてくれたまえ。

事態がややこしくなりそうだからね。木連の連中にはダミー情報を流そう。

多少は時間が稼げるし、連中の反応を見たい。

プロス君もナデシコクルーの選抜を大急ぎでやってくれたまえ。」

その言葉で月臣は会長室を飛び出していき、エリナは後でたっぷり説明して頂戴と言いながら会長室を後にし、

プロスはアカツキをジッと見ていたが、やがて静かに退室していった。

「・・・すべては予想通り・・・か・・・」

アカツキは会長室から沈む夕日を見て一人つぶやくと

ある人物に秘話回線で通信を繋げる。SOUND ONLYの表示がアカツキの目の前に現れる。

「ああ、僕だ。久しぶりだね・・・<お久しぶりです。アカツキさん。>

実は、困った事が起こってね・・・<白鳥さんが誘拐された事件ですね?>

相変わらず素早いね。ああ、その事だ。・・・<ミナトさんには伝えたのですか?>

いや、これから伝えるところだ。ミナト君にはミサキ君が護衛に付く・・・<ミサキさんですか、なら安心ですね。>

それから、ナデシコCの調整でラピス君を月に連れて行く・・・<そうですか・・・じゃぁ、白鳥さんはどうするのですか?>

残念ながら今のところ救出作戦に割くだけの人員が居ない・・・<そうだろうと思って、早速準備を始めてます。>

お、やってくれるのかい?・・・<最初から、そのつもりだったんでしょう?>

ははは、まぁその通りだけど・・・<以後は定期メールでこちらから状況を送信します。>

ああ、そうしてくれると助かる。・・・<気をつけてください、奴等の目的・・・おそらく・・・>

解っている。それと、例の物は準備完了との事だ。・・・<解りました。ではアカツキさん、何か情報がありましたら何時もの方法で・・・>

ああ、今週の暗号はチキンライスで良いのかな?・・・<違いますよ、オムライスじゃないですか。>

大して変らないと思うがね、まぁ気を付けてくれたまえ・・・<はい。では・・・>

じゃぁ、報告を楽しみにしているから。」

アカツキは、その通信を切ると再び何処かに通信を繋げる。

そして、この日・・・アカツキが会長室から出る頃には日付が変っているのであった・・・

 

 

 

 

子供達の歓声が辺りに響く中、事務服に身を包んだ金髪の女性がコミュニケで話をしている。

コミュニケの相手はネルガル会長秘書のエリナだった。

『・・・と、言うわけで2週間後にはナデシコCが完成するわ。

そこで、オモイカネの調整にラピスちゃんを月まで連れて行って欲しいの。

もちろん、あなた達全員に行ってもらうわ。ラピスちゃんの護衛を兼ねてね。』

ラピスは、クリムゾングループや木連の草壁派から狙われているので

護衛としてプルセル達にも月に行くように言う。

「解ったわ。明後日になると夏休みに入るから、それ以降になると思うけど・・・」

エリナは頷きながら、片手で端末を操作し3日後のシャトルを手配する。

時間的にもナデシコCの最終調整が始まるのは、そのくらいだろうと判断した。

『ところでプル・・・あんた少しやつれた?』

ふと、プルセルを見たエリナは心配そうに問い掛ける。

エリナが話している金髪の女性、プルセル=キンケードは元々ネルガルで社長秘書をしていたのだが

紆余曲折あり、今ではネルガル総合学園で事務員兼英語教師をしている。

しかし、同僚からは『R11特別対策本部長』と呼ばれている。

これは、学園内に在籍するある少女と、兄妹教師が巻き起こす

騒動によって発生する苦情その他を、一手に処理する役目を

自動的に請け負ってしまったためだ。

「ちょっと・・・ね。ところで、報酬の件だけど・・・」

プルセルは引きつった笑いを浮かべながら、エリナに詳細を聞こうとするが、突然の呼び出しに遮られた。

ピンポンパンポ〜ン

『キンケード先生、至急視聴覚室までお越しください。

R11発生です。繰り返します、R11発生です。』

プルセルの表情が一瞬にして変る。

『あ・・・あの〜、プル?』

エリナは豹変したプルセルの顔に恐怖を覚える。

「ふっふっふっふっ・・・ラピス・・・今日と言う今日は許せないわ・・・」

―もし、これが漫画だったらプルの回りには炎が立ち込めてるんだろうな・・・

そんな事を考えていたエリナは、今日はこれ以上話す事は出来ないと判断する。

『じ、じゃぁ詳しい事はメールで送るから。じゃぁね。』

エリナは慌てて通信を切るのだった。

ネルガル学園では、かつて経験した事の無い『災厄』に悩まされつづけていた。

それも、たった一人の少女『薄桃色の破壊神』こと

ラピス=ラズリによって引き起こされる『人災』に対処すべく

少女の保護者である『野獣』クサナギ=カズマと

『女剣士』クサナギ=アヤを教師として採用したのだが

『かえって騒動がひどくなった』との意見が職員会議で度々出た為、

ネルガル会長に直談判する事となった。

そこで、ネルガルより派遣される形で来たのがプルセルである。

彼女はクサナギ家のヒエラルキーにおいて、頂点に位置する立場の人間であった。

これは、彼女がクサナギ家の家事を一手に引き受けており、

彼女に逆らう事イコール食事にありつけない、と言う事実により

少女とその保護者達は、しばらくおとなしくなった。

ところが、彼女にとって最大の問題点はあまりにも有能であった為、

職員会議の資料作りから教育委員会への根回し、

PTAへの対応等きわめて多忙となってしまった事である。

この辺は元社長秘書になりえた有能さだろうが・・

こうなると、少女を押さえつけるものが無くなり始め、

『野獣』と一緒に刹那を生きていると言わんばかりに

様々な騒動を巻き起こし始める。

もう一方の保護者『女剣士』も止めに入るのではあったが、

何時の間にか『野獣』と『女剣士』の”死合”となってしまい

かえって騒動が大きくなると言う、1+1が10にも20にもなって学園を巻き込むのであった。

一方の、『薄桃色の破壊神』の相棒であるオカクラ=ユウタは

そんな家庭環境に育った為か、はたまた幼年期をナデシコクルーと一緒に育った為か

その騒動をむしろ喜んで『傍観』している。

ユウタにとっては、この騒動もコミュニケーションの一つと考えているからだ。

しかし、学園長が3年の間で8人代わり、近所に教職員全員で謝りに行った事は、

両方の指では収まらないほどとなっていた。

ちなみに、この騒動に『近所の改造屋』や『極楽とんぼ』が絡むと

さらに被害が拡大するのは周知の事実であった。

しかし、『近所の改造屋』は中等部及び高等部で技術講師として生徒達に

電気・電子・機械を教えており、ナデシコに乗っていた経歴は偽りではなく

その技術力と知識は、本職の教師を凌駕している。

特に、実習では職人としての心構えから教えるため、卒業生の中には

優秀なエンジニアになった者も数多く居る。

だが、『極楽とんぼ』はネルガルの会長でもあり、ネルガル学園の理事長でもある為

あまり邪険に扱う事が出来ない。その為、『会長秘書』に何度も『出動』してもらった事がある。

その時の『極楽とんぼ』は、まるで死刑が確定した囚人のようだったと、現場を目撃した生徒が語っていた。

プルセルが現場にたどり着くと、案の定『女剣士』と『野獣』の”死合”が始まっており、

ラピスとユウタがはやし立てている・・・周りの生徒達は何時もの事と言わんばかりに見ている。

目の前に広がる光景に愕然としながらも、プルセルは意を決して二人の元に行く。

「ちょっと!アヤ!カズマ!何してんの!」

その言葉で、ピタリと動作が止まり、周りもシンと静まる。

そんな中、アヤとカズマの二人はゆっくりと首を向ける。

ギギィと言う擬音がピッタリだと、プルセルは密かに思う。

「プ・・・プル・・・あなた出張って言わなかった?」

アヤが自分の背中に、慌てて木刀を隠しながら言う。

「ええ、たった今あなた達のお陰で取り止めにしたわよ。」

「し、仕事なんやから、行ったほうがええで。」

「そ、そうそう。やっぱり仕事は大切よね。」

今まで死合っていた二人とは思えないほど、見事な連携でプルセルを説得しようとしている。

「そうね、私も仕事は大切だと思っているわ。」

そう言うと、プルセルはラピスの元にツカツカと歩み寄る。

慌てて逃げ出そうとするラピスの腕を、ユウタはしっかりと握って離そうとしなかった。

「ユウタ!離して!」

「ラピ姉、観念した方が良いよ。」

「ユウタ!私を売るの?」

「仕方ないよ、晩御飯をおいしく食べる為には仕方ない事なんだ。」

「そう、私は売られていくのね・・・あぁ!ドナドナが聞こえる・・・」

ラピスは崩れ落ちるようにへたり込み、持っていたハンカチを口にくわえる。

何故か周囲は暗くなり、ラピスにスポットライトがあたっている。

そんなラピスの隣でドナドナを歌うユウタ・・・

「お前らホンマに小学生か?」

ラピスとユウタの漫才を聞いていたカズマが軽く突っ込む。

「ふう・・・何があったかは後でゆっくりと聞くから・・・

皆いるんだったら、丁度良いわ。大事な話があるの。」

プルセルは4人を従えて視聴覚準備室に移動すると、

盗聴器が仕掛けられていない事を確認し、エリナからの依頼内容を家族達に話した。

彼女にとって家族と呼べる人は、共に死線をかいくぐった彼らだけだった。

たとえ血は繋がっていなくとも・・・

「・・・オモイカネにあえるの?」

「ええ、終業式が終われば、直ぐ月に向かうわ。」

「みんな?」

ユウタが不安げに聞いてく。ユウタにとって”一人ぼっち”になることは耐え難いものになっている。

それは、幼い頃の体験がそのままトラウマとなっているのである・・・

母親を、目の前で失ったショックで言葉を失ったのだから・・・

「ええ、そうよ。」

プルセルはやさしく微笑む。そして、カズマはユウタの頭に手を置き

「たとえダメや言うても、ワイがつれてったる。」

「あら?兄さんの小遣いで、月まで行くお金が出ると思ってるの?」

アヤは皮肉たっぷりに言う。カズマの給料は飲み屋へのツケで

給料日翌日には無くなっているからだ。

それでも生活できているのは単にアヤやプルセルのおかげと言っても良い。

要するに『ヒモ生活』をしているのである。

「そんなん、アカツキの奴に言うたらええやん。」

「そうね、今回の仕事はネルガルの仕事だから

必要経費として請求しましょう。」

プルセルは、今回の仕事をネルガルからクサナギ探偵事務所が受けた仕事とする事にしていた。

実際、エリナにそう言おうとしていた。

「カズマ・・・アヤ・・・月まで頼むわね。エリナの話じゃ、やばい連中がいるそうだから。」

「あなた達の用心棒が私達・・・って訳ね?」

アヤは自分が持っている木刀を見ながら言う。

「ええ、頼りにしてるわ。」

こうして、歴史の流れは一時の平穏から騒乱の時へと加速していくのだった。

 

 

 

 

おまけ

 

「ところでラピス・・・お仕置きね・・・」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

プルセルの無慈悲な一言がラピスを精神崩壊に追いやる。

「可哀相やけどしゃぁないわな。」

「ええ、そうね・・・」

「何言ってるの。あなた達も同罪よ。」

ピシィ!!

プルセルの一言で、アヤとカズマが石のように固まる。

「そうね・・・締め切り間際のヒカルさんを手伝うのと、

メグミさんの料理を試食するのはどっちが良い?」

プルセルは、探偵事務所に来ていた依頼を思い出して言う。

最近は、ほとんど『何でも屋』と化してはいるのだが・・・

「ヒカルさんを手伝うわ!」

「あ、ずるいで!」

間髪入れずアヤはヒカルの手伝いを選択する。

「じゃあ、アヤさんがヒカルさんの手伝いっと。さっそく行って頂戴。

あ、アシスタント料は家計に入れさせてもらうから。」

うん、うんと思いっきり頷いてから、脱兎のごとく逃げ出すアヤの背中に

文句を言っているカズマの背後へ、プルセルが幽鬼のごとく立つ。

「じゃぁ、カズマさんはメグミさんの料理を試食して頂戴。

何でも料理番組への出演が決まったそうよ。」

「ち・・・ちなみに拒否権なんてモンは・・・」

「無いわ。それと、逃げ出してもネルガルが総力を挙げて追い詰めるそうよ。」

プルセルはキッパリ言うと、コミュニケを操作しメグミに連絡を入れる。

「番組プロデューサー出て来いっちゅうねん・・・」

「あの料理を知っていたら・・・」

「あれは料理ちゃう・・・あんなん食うくらいやったら、アヤの料理が御馳走に見えるわ・・・」

「そうだよねぇ・・・」

カズマとラピス・ユウタはしみじみと言う。

かつて、最強と言われた彼らの仲間ですら、その威力にダウンし、

厨房を1週間、殺菌・消毒する為に閉鎖した出来事を思い出す。

「メグミさん、喜んでたわ。あ、ちなみに今回作るのはカレーだそうよ。」

「カ・・・カレーか・・・アレやったらよっぽどじゃない限り大丈夫やろ・・・

最悪の場合レトルトでも・・・」

フラフラと、希望めいた願望をつぶやきながら、カズマはその場を後にした。

「さて、あなた達へのお仕置きね・・・・まずはココを片づけてもらうわよ。」

「「え〜〜〜っ!」」

視聴覚室は、先ほどの二人が暴れたお陰で、見る影も無いくらいになっている。

「横暴だよ!ココをラピ姉と二人でなんて!」

「あら、誰が二人でって言った?」

「え、じゃぁ誰か他にも手伝ってくれるの?」

「ラピス一人で片づけるの!」

プルセルはピシャリと言い放つ。

ネルガル学園にいる間は、学園全体をネルガルシークレットサービスが護衛しているため

学校にいる間、ラピスの身辺は安全である。

「そんな〜〜〜!」

ラピスは抗議の声を上げる。しかし

「嫌なら、カズマさんと代わっても良いのよ。」

その一言でラピスはビクッと肩をすくめ、慌てて周りの残骸を片づけ始める。

「ユウタは、ユキナさんに付き合ってあげて頂戴。」

プルセルはユウタに向き言う。

「・・・プルは僕に死ねと・・・」

ユキナと買い物に行くと、完全に荷物持ち扱いになっているジュンを、

何度も見ているユウタは露骨に青ざめた表情で言う。

「あぁ、今回は買い物じゃないから安心して。」

「え?」

「何でも、最近出来た遊園地に行きたいんだけど、ジュンさんが仕事で忙しいから

代わりに付き合ってって言われてたのよ。」

「もっと最悪の方向に行ってるよ。」

がっくりと肩を落としながらユウタは言う。

「あ、ユリカさんは居ないそうだから、最悪の一歩手前ってところかしらね。」

「それは良かった・・・って思わないといけないのかなぁ・・・」

しばらくして、やって来たユキナに引きずられながらユウタは

―今度からは、もうちょっと旨く隠れよう・・・

と、思うのであった。

プルセルは3人を見送ると、月へ向かうために仕事を全て片付けない事を思い

うんざりとしながら、職員室へと向かうのであった。

 

 

 

三日後・・・月へ向かうシャトルの発射口では

「う〜〜〜・・・連載を5本も、かかえているなんて、聞いてないわよぉ・・・」

ヒカルの漫画を手伝わされたアヤは、3日間の徹夜作業で目にクマを作り

ヒカルの家を出る時にヤマダから渡された缶コーヒーを飲む。

「うぅぅぅぅぅ・・・私は、頭脳労働専門なんだからぁ・・・」

視聴覚教室の片づけ・・・と言うより修復を、一人でやり遂げたラピスは全身筋肉痛になり

着替えが入ったバッグをベンチ代わりにして座っている。

「ジュン兄はすごいよ・・・あのパワーは子供でも付いていけないよ・・・」

そんなラピスと背中合わせに座ったユウタは、ユキナにたった一日付き合っただけではあるが、

ジュンを尊敬の目で見るようになっていた。

「これが皆のチケットよ。時間無いからもう行かないと。」

3日間で自分の仕事をすべて終わらせたプルセルは、

栄養ドリンクを飲みながら・・・既に5本目であるが・・・皆の搭乗手続きを済ませていた。

そして、カズマは・・・荷物扱いでダンボールに詰められていた。

「ちょ〜待てぃ!なんでワイがこないな扱いうけなあかんねん!

待遇の改善を要求するで!」

メグミに引き摺られて、向かった部屋に到着するなり

クロロフォルムを嗅がされ、気が付くと手足を椅子に縛られた状態で座らされ

メグミのカレーを強制的に食べさせられたのだ。

その拷問と言うより、死刑執行に近い苦行に耐え切った後・・・

カズマは3日間、生死の境をさまよい続け

目を覚ましたらダンボールの中に詰められていたのであった。

なんでも、番組の趣旨はアイドルタレント達が料理の腕を競う番組で

いかに不味く作れるかで王者が決定する・・・と言うものだった。

ちなみに、メグミが登場したこの番組が放映されることは・・・ついに無かったと言う。

 


作者:お待たせしました!第2部再開です。

ジュン:なんか、いきなり目立ってるんだけど・・・

作者:何か問題が?

ジュン:最初だけ出番があって後はカズマ達が全部持ってったんだけど・・・

作者:・・・

ジュン:良いんだ。僕は・・・

作者:あ、いじけた・・・まぁ、諦めてくれ。『希薄な存在』と言われた男なんだから。

ジュン:そんな薄っぺらな称号より出番の方が欲しいよ。

作者:う〜ん・・・この後の出番は・・・期待できそうに無いね。

ジュン:そんな〜

作者:まぁ、『忘れ去られた存在』になるよりマシなんじゃないの?

ジュン:う・・・それは確かに・・・それより、白鳥 九十九・・・あれは・・・

作者:WガンのOVA編をそのままパクリました。

ジュン:モロ『X−18999』ってなってるからな。

作者:だって、それしか思いつかなかったんだから。

ジュン:それと、締め切り間際のヒカルさんを手伝うか、メグミさんの料理を試食するかって・・・

作者:本当はメグミを取るかユリカを取るかで悩んだんだけど、時系列的にメグミしか居なかったから・・・

ジュン:・・・また、メグミファンを敵に回して・・・

作者:しょうがないだろ?他にお仕置きとして成り立つ物といえば、ウリバタケの実験に付き合うとか・・・

ジュン:・・・手足を改造されそうだな・・・

作者:だろ?イネスさんが健在なら、まさに究極の選択・・・だよね。

ジュン:ユリカ、メグミ、リョーコの内、誰かが作った料理を食べるか・・・

作者:ウリバタケとイネス、どちらの実験に付き合うか。

ジュン:・・・選ぶのか?

作者:考えただけで恐ろしいけどね。

ジュン:多分・・・料理ならユリカ・・・実験なら・・・ウリバタケさんかな?

作者:・・・料理は誰を選んでも一緒だと思うけど、実験はどうして?

ジュン:・・・説明を聞かなくてすみそうだから。

作者:・・・確かに・・・でもその時点で人間ではなくなってそうだよね。

ジュン:こんな事もあろうかとって、ロケットパンチが飛んでいくとか?

作者:ありえるかも・・・それでは次回!機動戦艦ナデシコ Rry 2部 第2話 をお楽しみに!

ジュン:今度は何ヵ月後だ?

作者:・・・努力します。

 

 

―さあ、誰か一人の料理を食べなくてはなりません。あなたなら誰の料理を食べますか?

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・・「究極の選択」(爆)?

 

まぁそれはともかく。

 

良くも悪くも芸風はお変わりになってないようで。

ある意味では安心してみていられる・・・のかな?