星の数ほど人がいて

 

星の数ほど思いがあって

 

そして・・・別れ・・・

 

 

 

でもね・・・

別れがあれば再開することもあるわけで・・・

 

 

 

西暦2204年・・・

木星と地球を混乱の渦に巻き込んだ火星の後継者による一連の事件も一段楽し

私達の長い航海が終わりました。

アキトさんは一連の事件の首謀者として捕らえられましたが

高度な政治判断とかですぐに釈放されて

ようやく元の生活に戻ろうとしていました。

そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ Re Try プロローグ1 『聖夜』の奇跡、だって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・リ・・・ルリ・・・ルリルリ・・・」

 

 

 

 

ミナトさんが私を呼ぶ声がする。その声で私は目がさめた。

「あ・・・ミナトさん・・・ごめんなさい、少し眠ってたようですね。」

「もう・・・根を詰めすぎよ。そりゃあ慣れない作業で手間取るのはわかるけれど体が一番なんだよ。」

諭すように言うミナトさん。

「少し休みな、まだ時間あるんだから・・・」

「いえ、大丈夫です。もうひと頑張りですから。」

「そう?じゃあ、頑張ろう。」

そういって作業を再開する私達・・・ミナトさんはユキナさんのためにマフラーを編んでいる。私は・・・

「ほら、ルリルリそこ間違ってるわよ。」

「あ、すみません。」

私は今セーターを編んでいる。あの人のために・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

私が慣れない手芸をしているのはミナトさんがマフラーを編んでいるところを見たからだ。

最初は見ている私を相手に色々と話をしていたミナトさんが少しやってみる?と誘われるままに

手を出したのが始まりだ。その時ミナトさんの

「これでアキト君へのクリスマスプレゼントは決りだね。」

と言う言葉で私の決心がつきました。もちろん愛のこもったプレゼントといえば手編みのセーターです。

定番だろうとお約束だろうと言っても男の人は手編みのセーターに必ず感激します。これはナデシコクルーにアンケートを取った結果によるものです。

ですからクリスマスまでにセーターを編んで綺麗にラッピングしてアキトさんに手渡す。

ちなみに編み方などはオモイカネによるサポートを受けていますからすでに名人級の実力を得ることが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一つ聞いてもいい?」

ミナトさんが口を開く。

「なんでしょうか。」

私は手を休めてミナトさんのほうを向く。

「アキト君にセーターを渡す場所は何処にしたの?」

ミナトさんは興味津々と行った表情で私に聞いてきました。

当然オモイカネに人気のスポットから穴場までありとあらゆる場所を探してもらいました。

セーターを渡す場所はすでに考えてあります。しかし最大の障害でもある

ユリカさん、メグミさん、リョーコさん、イネスさん、エリナさん達を何とかして排除して

クリスマス中はアキトさんと二人きりになれるようにしなくてはいけません。

この第二次アキトさん争奪戦に勝利する為には手段を選んで入られません。前回はユリカさんに勝利されましたが

戸籍のなくなっているアキトさんはもうユリカさんと夫婦でも恋人でもありません

「ピースランドの公園です。」

「え、でもあそこはルリルリの・・・」

「でもあそこにはアキトさんとの思い出がありますから。」

「そうね。」

そう、あそこは私の両親がいる。でもそんな事は関係ない。アキトさんが私を守ってくれたところ。私に水の音を思い出させてくれたところ・・・

アキトさんと二人きりになるには入国制限がしっかりしている国でないと邪魔が入る恐れがあります。その為にはピースランドなら私の皇女としての立場がものをいいます。

ちょっと卑怯かもしれませんがそれでも念のために邪魔者たちを排除しておかないとなりません。

まずユリカさんですがミスマル提督とアオイ中佐にお願いして私に回ってきた宇宙軍幹部のパーティに出席してもらうことにします。

さすがに佐官以上しか出席できないので代役を立てるわけには行きませんしミスマル提督のお供として行く訳ですからサボることも出来ないはずです。

ミスマル提督はユリカさんが戻ってきてからは常に自分の手元に置いておこうと後方勤務に回していますし

『ユリカさんのドレス姿を見てみたくありませんか?』と言う私の一言で喜んで協力してくれました。

メグミさんは事務所のスケジュールをハッキングしたところクリスマスイベントと年越しライブの準備があってまず抜け出すことが出来ないと思いますし

リョーコさんはサブロウタさん(下僕1号)を監視につければオッケーですね。ま、あの二人もナンダカンダいってうまくいってるようですし・・・

エリナさんはオモイカネの情報操作によってネルガルの仕事が大量に発生するはずです。

しかしイネスさんはどうしましょう。A級ジャンパーでもあるイネスさんなら単独でボソンジャンプが出来てしまいます。

プロスさんとセイヤさんにお願いしてイネスさんと一緒に火星にでも行って貰いましょうか。イネスさんは一度研究に入るとしばらく出てきませんから。

これで後は私がアキトさんを連れ出してピースランドまで行けば良いですね。

すでに休暇を取ってありますし何かあってもハーリー君とラピスがいますから大丈夫ですね。

もちろん、二人が申請していた休暇は上司でもある私が即座に却下しましたから二人に邪魔をされる心配もありません。

もっともナデシコのマスターキーは私しか扱えないようにセイヤさんが改造しました。

 

 

 

「・・・・・ルリルリ?」

ミナトさんが少し引いたような感じがします。最近の私は感情表現を表に出しすぎる傾向があるみたいです。私の顔を見ながら

「な、何百面相みたいに顔がコロコロ変わってるの?」

ミナトさん顔に縦線が入ってます・・・

「あ・・・気にしないで下さい。少し考え事をしてました。」

「そ、そう・・・」

こうして私のアキトさん争奪計画はスタートしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマス当日となり今までの努力が実りアキトさんとピースランドの公園に来ることが出来ました。

ちなみに辺りにはクリスマスだというのに人影がありません。これはネルガルのシークレットサービスとピースランドの警備隊に警護させているからです。

ネルガルのシークレットサービスはアカツキさんに少しお願いしました。

もっともアカツキさんのプライベートファイルを私が公開しますよと伝えただけで私に快く協力してくれました。

「ルリちゃん。」

アキトさんの優しい声が私を呼びます。もちろんセーターは出来上がっています。

相変わらずアキトさんはバイザーと黒いマントをしています。ネルガルの現在の技術ではアキトさんの体から5感を取り戻すことは出来ませんでした。

かろうじて視覚や聴覚・触覚はホンの僅かですが取り戻していますが相変わらず味覚は元に戻りません。

「ア・・・アキトさん・・・」

アキトさんに私が作ったセーターを手渡します。

「これ、ルリちゃんが作ったの?」

私はコクンと頷きます。だんだん心臓の鼓動が早くなっていってます。

「ありがとう。」

アキトさんは私が知っている笑顔でお礼を言いました。

「ここ、懐かしいね。」

アキトさんが私に言います。アキトさんと一緒に買い物をしてピザを食べて喧嘩になって・・・

「そうですね・・・アキトさんが私を守ってくれたところ・・・」

「ルリちゃんが俺と一緒にピザを食べたとき俺とまったく同じ感想を持っていたこと・・・

ユリカやメグミちゃん、リョーコちゃんだとあのピザをおいしいと感じたかもしれないけどな。」

と言って少し苦笑いをするアキトさん・・・確かにあの3人の料理はもはや料理というものではなく一つの殺人兵器ですね。

私の味覚はアキトさんやホウメイさんのおかげでそこら辺にいる料理評論家より遥かに確かです。

「・・・」

「・・・」

お互いに黙ってしまいました。アキトさんにはもう味覚を取り戻すことは出来ません。

「アキトさん・・・わたし・・・」

「ルリちゃん、俺はもうあの頃には戻れない・・・楽しかったあの頃に・・・」

「でももう一度やり直せば良いじゃないですか。ユリカさんも戻ってきたし・・・」

私は心にも無いことを言う。本当はユリカさんじゃなく私を選んでほしい。そう願っているのに・・・

「・・・ユリカは・・・あいつは俺の事を愛していたんじゃあない。」

「え・・・」

初めて聞く意外な真実・・・

「あいつは俺を好きではあったが愛していたとは言えない。あいつは・・・ユリカとは

・・・世間一般で言うところの・・・その・・・」

アキトさんが言いにくそうにしている。

「男女の関係ということですか?」

私が冷静にフォローする。やっぱりアキトさんはあの頃と本質的に変わっていない。

「まあ、そういう事・・・俺が求めてもあいつは俺を拒絶するかのように・・・寝てたんだ。」

「・・・」

ユリカさんらしいと言うか・・・ボケボケと言うか・・・まあ、あの頃私と同居していたんだからチャンスは少なかったと思いますがそれでも

私は涙を飲んで二人の為にミナトさんの家に泊まりにいったりしていたのですが・・・

まさかアキトさんが手を出さなかったんじゃあなくてユリカさんが手を出させなかったと言うことですか・・・なんか妙に納得しました。

「それで・・・俺はユリカが俺の事を本当は愛していないんだなと感じ初めて・・・この間ユリカが入院していたときにこっそり会いにいったんだ。

そしたらユリカのやつ・・・」

アキトさんが握っていたこぶしに力が入る・・・アキトさんの顔が苦渋の表情を浮かべそして体内のナノマシンが活性化して光を放つ。

「『あなたはアキトじゃあない。アキトは何処?』といったんだ。あいつにとって俺みたいな復讐鬼はあいつの中にいるテンカワアキトではないということさ。」

この話は本当。アキトさんがユリカさんを救出したあと入院していたときに私達がアキトさんが今まで何をしていたか、そして

ユリカさんを救い出した後どこかに行ってしまった事を話しましたがユリカさんは

『アキトはそんな事しないよ。アキトは戦争が大っ嫌いなんだから。』

と言い私達の話を聞いてくれませんでした。

「でもアキトさんはユリカさんのために北辰達と戦ったんでしょう?」

私はアキトさんに問い掛ける。アキトさんはゆっくりと首を振った。

「違うんだルリちゃん。俺は俺の体をこんな風にしたやつらが許せなかっただけだったんだ。」

「でも・・・」

「・・・ルリちゃん、君は気付いていたんだろう?君にネルガルシークレットサービスが護衛していたことを。」

アキトさんが事故に会った後暫くしてゴートさん直属の部隊が私を護衛していることは気付いていました。

「おれはやつらの実験後にゴートさんや月臣に助けられて真っ先に心配したのがルリちゃんだったんだ。」

「え・・・」

私はびっくりしました。このことはゴートさん達からは聞いていません。

「その時俺は復讐を決意した。ユリカを取り戻すんじゃあなく俺自身の復讐の為にユリカを口実にした。」

「アキトさん・・・」

「俺は北辰達の手からラピスを救い出した。その時ルリちゃんが狙われている事を知った俺は北辰達を倒す為やつらを追いかけた。」

「アキトさん・・・」

「そして月臣にルリちゃんを何としてでも守ってくれと頼んだんだ。

ルリちゃんの所に高杉がいるのもルリちゃんを護衛するために月臣に頼んで送り込んでもらったんだ。」

そういえば高杉さんは私の事を守っていましたね。

最初は護身術のつもりで高杉さんに木連式柔を教えてもらいもしました。

今では高杉さんを軽く投げ飛ばすぐらいの実力があります・・・

「アキトさん・・・私は・・・アキトさんが生きていることを知った時・・・本当に・・・良かったって・・・そう思ったんですよ。」

何時の間にか私の瞳から涙が出ていた。

「ルリちゃん・・・俺はルリちゃんが北辰に狙われていたから・・・大切なものを守るために戦ったんだと思う。」

「私もアキトさんが生きてるって気づいた時、アキトさんの手助けが出来れば・・・そう思ってナデシコCで戦う事を決意したんです。」

アキトさんが私の涙をそっと拭ってくれました。

「ルリちゃんに久しぶりに会ったときに言えなかった事があるんだ。」

あの時イネスさんの墓の前でアキトさんに再開した時の事ですね。

「ルリちゃん・・・その・・・綺麗になったね・・・」

ドクン

アキトさん・・・私の顔が赤くなるのが自分でもわかります。

「私もアキトさんにずっと言えなかった事があるんですよ。」

私は微笑みながら

「私はアキトさんのことがずっと好きでした。今は・・・アキトさんのことを愛しています。」

ドクン・・・ドクン

とうとう言っちゃいました。少し早口だったかなと思ったのですが・・・心臓の鼓動が大きくなっています。

「ルリちゃん・・・いやルリ・・・愛してるよ。何時までも・・・」

「アキトさん・・・」

ドクン・ドクン・ドクン

私とアキトさんの顔がゆっくりと近づいていき私は目を閉じた。

そして唇にやわらかい感触が伝わり・・・私達は光に包まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

作者:皆さん始めまして、M・H・Kです。

ホシノルリ(以下ルリ):こんばんは、ホシノルリです。・・・なんか・・・某国営放送局みたいですね。

作者:スミマセン

ルリ:ところで良いんですか?こんなにはっきりと『私はルリ属性です!』って宣言しちゃって。

作者:いいの、いいの。どうせならここではっきりと言っておいたほうがいいと思って。

ルリ:はぁ、そんなもんですか。

作者:そう!はっきりと私はルリ属性の人間だとはっきり言っておいたほうが敵は少ないだろう!

ルリ:かえって敵を増やしそうな気が・・・

作者:そんなことよりこのSSは一応時代逆行物を地でいく作品になると思う。

ルリ:まぁ私としては最終的にアキトさんと・・・

作者:あぁあ、トリップが始まったよ・・・まぁこの先ナデシコクルーが勝手に一人歩きしてしまうかもしれないし・・・別キャラとくっつけようかな・・・

ルリ:・・・ってもしかして某破壊神に移ってしまうとでも!!

作者:あ、それも面白いかな?・・・って何かな?その手にもっている四角い物体は・・・

ルリ:(ニッコリ)あぁ、ただのスタンガンですよ。

作者:ウリバタケ改って書いてあるんだけど・・・

ルリ:最初から書いて有りましたよ(ニッコリ)

作者:(・・・逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。・・・って逃げなくっちゃダメだ!

ルリ:さあ、覚悟は良いですか?

作者:フルフルフルフル・・・

ルリ:それでは皆さん、次回『過去へ・・・』をお楽しみに!

作者:さわやかに言うな〜!

 

 

 

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!

 

 

 

 

 

・・・以下あまりの惨劇のため現場からのリポートを終わります。