ようやくたどり着いた火星で

生き残りの人たちを回収し

ついでに出てきたのは説明おばさん改め説明お姉さん

しかも愛人宣言まで飛び出して

この先一体どうなる事やら・・・

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ Re Try  第7話 いつかお前が『歌う詩

 

 

 

 

イネスさん達を回収した直後に私達は木星蜥蜴による一斉攻撃を受けて

ナデシコは自力で宇宙にあがる事が出来ない状態になりました。

そこで現在当初の予定通りオリンポス山に向けて進路を取っています。私は・・・

「アキトさん、チキンライスをお願いします。」

「お兄ちゃん、私は中華丼をお願い。」

イネスさんと二人で食堂に来ています。

「ホント、イキイキしてるわね。料理しているときのお兄ちゃん。」

「そうですね。」

「あの頃からは想像もつかないわね。」

考えてみればイネスさんも相当ハードな人生を送ってきています。

「はい、チキンライスと中華丼お待ち。」

私達はアキトさんの料理が食べられる。

それだけで今は幸せです。

「おいしい、お兄ちゃんまた腕を上げたわね。」

「ああ、いい師匠がいるからな。ナデシコには・・・」

ホウメイさんのことを誉めています。

イネスさんがアキトさんに擦り寄っていき顔を近づけて

「ねぇ、後で私の部屋に来ない?お兄ちゃん。」

ムカ。

私が文句を言おうとすると突然コミュニケのウインドウ通信が開きました。

『二人とも近づきすぎ!プンプン!』

現れるなり文句をいうユリカさん。

グットタイミングです。

「どうした。」

『あ、ルリちゃんとイネスさんはブリッジまで来てください。もちろんアキトもね。』

どうやら、見つけたようですね。

 

 

 

『センサーに反応。護衛艦クロッカスです。生体反応・・・ありません。』

「そんな、信じられない!

クロッカスは確かに地球でチューリップに吸い込まれたはず!!

なのにどうして!?」

私たちがブリッジに入るとルビィの報告にユリカさんが質問しています。

「そうね、なぜ地球に居た戦艦が火星にいるのか聞きたい?」

イネスさん、何ワクワクしているんですか・・・

私はとりあえずルビィと交替しオペレーター席に座ります。

「何かわかったことがあるのか?フレサンジュ。」

ゴートさんがイネスさんに説明を求めてしまいました。

あ〜あ、知〜らないっと。

「今の段階でいえることは私達がチューリップと呼んでいるあれは

一種のワームホールだといえるわ。」

「つまり、ワープ装置だといいたいんですか?」

ジュンさんが質問します。

「そうね、そう考えても良いけれど先程の・・・

え〜っと・・・ルリちゃん、名前なんだったっけ?」

「ルビィですか?」

「そうそう、あなたの願望を最大限表しているわよね。

あんなにスタイルが良くなると思っているの?」

「イネスさん・・・喧嘩売ってるんですか?」

私とイネスさんの間に瘴気が渦巻きます。

「まぁまぁ二人とも・・・それで続きを。」

プロスさんが間に入って私達を諌めます。

「そうね、ルビィの報告によりクロッカスの中に生体反応が無いことを考えれば

単なるワープ装置だけではないようね。」

いけしゃあしゃあと説明するイネスさん。

確かに今の段階ではこれ以上情報を与えるわけには行きませんね。

「とにかく今我々が出来る事といえば火星を脱出する事です。

研究はそれからでも遅くはありませんからね。」

プロスさんの言葉に私達は頷きます。

「それには先ずオリンポス山のネルガル研究所に行かないとな。」

ゴートさんの提案によりエステバリス隊による先行偵察が行われる事となりました。

もちろん私もついていきますけれどね。

 

 

 

見渡す限り雪原の上を私達は進んでいます。

偵察メンバーはリョーコさん、イズミさん、ヒカルさんと私達です。

ヤマダさんは最初納得してくれませんでしたがアキトさんの

「ガイ、ナデシコを守れるのはお前だけだ。」

という言葉を受けて

「おうさ!研究所は立派に守りきってやるぜ!だから安心して行って来い!」

と相変わらず頭の中はゲキガンガー一色。

でも最近のシミュレーションではリョーコさんに迫る実力を持ち始めていますから

ナデシコの護衛としては最適の人です。

ちなみにリョーコさんは砲戦フレーム、

イズミさんは空戦フレーム、

ヒカルさんはエステバリスカスタム、

私とアキトさんは前回使用したエステバリス強行偵察型に乗っています。

私達は完全に凍り付いている湖の上を走っていました。

「!策敵レーダーに反応!」

私がソレを見つけたとき皆はすぐに戦闘態勢を整えました。

「こっちのレーダーには何も反応が無いよ?」

ヒカルさんが言います。

「いえ、確実に居ます。接敵まで残り200・・・150・・・100・・・」

「リョーコちゃん!下だ!」

アキトさんが叫ぶのとムカデもどきの無人兵器が

リョーコさんを襲い掛かるのは同時でした。

うわぁぁぁぁぁぁ!

機動力の低い砲戦フレームでは無人兵器の機動力に敵うわけも無く

あっという間にリョーコさんは倒れてしまいました。

さらに無人兵器の顔からドリルみたいなものが迫ってきました。

「う、ウソだろ?おい!マキ!ヒカル!・・・テンカワァァァァ!

ドン!!

アキトさんの放った蹴りが無人兵器を吹き飛ばしました。

そして、イズミさんとヒカルさんの連携により無人兵器はあっさりと片付けられました。

「た、助かったぜ・・・」

「大丈夫か?リョーコちゃん。」

アキトさん、だからその笑顔は反則ですよ。

「す、すまねぇな。」

ほら、リョーコさん顔を真っ赤にしてるじゃあないですか。

「ふふ〜ん。」

ヒカルさんがリョーコさんにウインドウ通信を入れていますね。

「聞いちゃったぁ〜。」

「な、何だよ」

「テンカワァァァァ!」

リョーコさんの顔がさらに真っ赤になっています。

当然この通信はアキトさんに見せていません。

「「テンカワ、テンカワ、テンカワ、テンカワ、テンカワ、テンカワ、テンカワ、テンカワ、」」

「うるせぇ!」

いつまで続くんだろう?この漫才・・・

 

 

 

 

「すると・・・研究所の周りにはチューリップが5つあるというのですね?」

私達が偵察の報告をするとプロスさんが確認してきます。

「はい、研究所を中心に5つのチューリップを確認しました。

これではいかに強行偵察型のエステバリスでも近づく事は容易ではありません。」

私の報告に皆が考え込みます。

「一つ・・・手があるわ。」

イネスさんにみんなが注目します。

「チューリップを通って地球に帰る。

これ以上建設的な意見は無いと思うのだけれど?」

「しかしそれでは・・・」

プロスさんが何か言おうとしています。

それをさえぎったのはユリカさんでした。

「私はもうこれ以上皆が傷つくのを黙ってみていられません。

たとえそれが艦長の責務だとしても皆が無事に帰っていく事を望みます。」

「しかし、あなたはネルガルの社員でもあるのですよ。

わが社の不利益となるような事は慎んでいただきたい。」

「プロスペクター君。」

今まで黙っていたフクベ提督がプロスさんをとめます。

「艦長、やってみたまえ。

それにドクターには何か勝算があるのではないかね?」

「流石ですね。クロッカスには生体反応が無かった。

ナデシコにあってクロッカスに無いものといえば・・・」

「ディストーションフィールド・・・ですね。」

「その通りよ、艦長。」

「そうなるとナデシコがチューリップに入るまでの囮が必要だな。」

フクベ提督がなにやら悲壮な決意をしています。

「俺がやりますよ。」

アキトさんの言葉に皆が注目します。

「いかん!君はまだ若い!

それにルリ君たちを残して行くと言うのかね?」

「まだ、死ぬと決まったわけではありませんし・・・

俺自身まだ死ねないですからね。

それにここは俺の生まれ育ったところです。

隠れ場所くらい幾らでも知っています。」

そう言ってアキトさんは私の頭をなでてくれます。

「それに、贖罪のつもりですか?提督。」

「知っていたのかね。」

「俺にはすでに恨みはありません。

火星の生き残りの人たちも解っています。

あなたを恨んだところでコロニーの人たちが蘇る事はありませんから。」

「・・・私は取り返しのつかない事をした・・・

作り上げられた英雄・・・そんなもの欲しくは無かった・・・」

「だからこそ・・・あなたは生きるべきなんですよ。真実を知る者として。」

「・・・すまない。」

そう言うとフクベ提督はいすに座り込みました。

「アキト・・・」

ユリカさんが私たちのほうに向かってきました。

「ユリカ、お前が艦全体の事を考えるのなら反対はするな。」

「でも!」

「以前言った事があるな。お前は艦長として俺に死ねと命令する事が出来る。

それでナデシコが助かるんだからな。」

「それでも私は誰一人として死なせたく無いよ・・・」

ユリカさん・・・少しうつむいています・・・泣いているのでしょうか?

「大丈夫だ・・・ユリカ・・・おれは死なない。そう信じていれば大丈夫だ。」

「テンカワ・・・」

「アキト君・・・」

「アキトさん・・・」

リョーコさん、ミサキさん、メグミさんがアキトさんを見ています。

「お兄ちゃん・・・」

「イネス、ルリ達を頼む。」

「解りました・・・」

皆泣いています。

私とアキトさんは静かにブリッジをあとにしました。

「アキトさん・・・」

「8ヶ月のお別れだ。」

「そうですね。でも皆泣いていましたよ?」

「少し・・・やりすぎたかな?」

「いいえ、でもあれくらいやらないと皆さん納得しないでしょう。」

「そうだな。俺の芝居も中々堂に入ったものがあるだろう?」

「そうですね。

その調子で浮気を誤魔化されたらどうしましょうか?」

少し笑いながらアキトさんに言葉を返します。

「これ、個人用のジャンプフィールド発生装置です。

それから妹を頼みます。」

「ああ、解ったよ。」

「では、もう少し茶番劇を続けましょうか?アキトさん。」

「アキト君も演技が上手くなったわねぇ。」

「ええ、そうですよね。イネスさん。」

イネスさんが近寄ってきていたことは気配でわかりました。

「イネス、後の事は上手く誤魔化してくれ。」

「わかったわ、でも・・・」

何ですか?その意味ありげな視線は・・・

「ご褒美が欲しいな。」

「・・・考えとく・・・」

アキトさん、浮気はだめですよ。

「じゃあ、行って来る。」

「行ってらっしゃい。

ご褒美楽しみにしてるから。」

そう言うと私達は格納庫へと向かいました。

 

 

 

 

『まもなくチューリップに突入します。

総員第一級戦闘配置についてください』

ウインドウに現れたメグミさんは少し目が赤いですね。

私はアキトさんに最後の別れを告げていました。

もちろん演技ですけどね・・・

「アキトさん・・・」

私はアキトさんの腕にしがみ付き少し潤んだ瞳で言いました。

「ルリ・・・大丈夫だ。

エステバリスカスタムは俺とルリとウリバタケさんがアイデアを出し合って

ルリがサポートソフトを作り上げたんだ。

レールカノンとフィールドランサーだけでも大丈夫さ。」

そう言うとアキトさんは私にキスをしてきました。

普段なら何か邪魔が入るのでしょうが

悲壮な決意を見せるアキトさんとそれを黙って送る私という雰囲気に

圧倒されたように静まり返っています。

「皆、行ってくる。」

アキトさんは艦内に通信を開いて笑顔で言いました。

「アキト、俺が整備したエステだ!ありったけの武器も積んである・・・

壊れたら直してやるからちゃんと帰ってくるんだぞ!」

セイヤさんも少し声が震えています。

必死に涙を見せまいとしているようです。

「アキト君、これは私の家に伝わる大切な物よ。

あなたに一時預けるから。必ず返してよね。」

そう言ってミサキさんはCCにも似た青いペンダントを渡します。

中には凡字でしょうか?何らかの模様が入っています。

たぶんイミテーションか何かでしょう。

『テンカワ、まだお前はあたしから言わせれば半人前なんだ。

まだまだ教えていない料理が山ほどあるんだ。』

ホウメイさんはあくまでも笑顔です。

『だからしっかりやんな!

ルリ坊を泣かすんじゃあないよ!

もし泣かしたら私が許さないからね!』

ありがとうございます、ホウメイさん。

『そうよ、アキト君。ルリルリはあんたの帰りを待ってるんだからね!』

ミナトさんも・・・

「テンカワ!俺のお守りだ!後で返せよ!」

そう言ってリョーコさんはアキトさんに成田山のお守りを渡します。

「アキト君、帰ってくるわよね・・・」

ヒカルさんは涙でグチャグチャになっています。

「アキト君・・・死に急いでるって事は無いわね。」

イズミさんが珍しくシリアスモードに突入しています。

「アキト!俺もついていく!お前一人を行かせはしないぞ!」

ヤマダさんが叫びますがアキトさんはゆっくりと首を横に振り

「皆、ありがとう。俺のいない間ナデシコを頼む。」

そう言うと皆黙ってしまいました。

「アキトさん・・・お早い・・・お帰りを・・・」

私がそう言うとアキトさんはエステバリスに乗って出撃していきました。

 

 

 

 

 

 

「アキト・・・」

ユリカさんがアキトさんの戦いを見守っています。

私がブリッジに行くとすでにアキトさんと木星蜥蜴の戦いが始まっていました。

「ユリカさん、私達はアキトさんの思いに答えなくてはいけません!」

「そうね、ルリちゃん。ミナトさん、チューリップに向かい前進・・・」

ユリカさんが苦渋の表情を浮かべています・・・

「アキトさんから通信です!」

チューリップにナデシコが吸い込まれていくとき、

アキトさんからの通信をメグミさんが受けナデシコ中に開きます。

『皆、心配かけてるみたいだね。

でも大丈夫、俺は死なない。

何とかなるさ。』

「アキト!今からでも間に合うよ!ナデシコに帰ってきて!」

ユリカさんが必死に叫びます。

『ユリカ・・・お前には艦全体の事を考える義務がある。

今ナデシコに俺が帰るにはディスーンションフィールドを解除しなくてはならない。

そうなればナデシコはどうなる?全滅するかもしれないんだぞ!』

アキトさんの指摘にはっとするユリカさん。

『じゃあな!みんな!

また会おう!・・・ルリ・・・む・・・』

画面が砂嵐に代わりました。

「・・・全員・・・この先何があるか想像がつきません・・・

それぞれの部署を離れないでください・・・」

ユリカさんが搾り出すように声を出しました。

 

 

 

アキトさん・・・しっかりやってください・・・

では、8ヵ月後の月に向かって

・・・じゃんぷ。

 

 

 

 


 

ルリ:逆襲のシャ○ね。この後書きを見る前にわかった人っているのかしら?

作者:好きなんだよね〜。これを見る前に解った人って相当『通』だよね。

ルリ:そのうち敵となったヤマダさんとサツキミドリ2号をかけて戦ったりして・・・

作者:『ガイ!何でこんなものを地球に落とす!これでは地球に人がすめなくなる』ってね〜

ルリ:しかも似合わないシリアス路線なんて・・・

作者:『ならば愚民どもにその英知を見せてみろ!アキト!』燃える展開だね〜。

ルリ:私とアキトさんのラブシーンなんかも・・・

作者:『少しでもオモイカネのサポートが受けられるほうがアキトさんに有利になるんです』そう言って飛び出していく修理中のナデシコBとルリ。

ルリ:いい加減戻ってきてください!

作者:『ああ、ガイの命が吸い取られていきます・・・』泣けるね〜。

ルリ:今回は精神汚染されてるみたいですね。お仕置きは止めましょう

作者:『サツキミドリをナデシコで支えてください!・・・アキト、あなたはまだサツキミドリに居るの?』呟くように言うユリカ。

ルリ:それでは次回 機動戦艦ナデシコ Re Try 第8話 温めの冷たい『方程式』 お楽しみに!

作者:『ブラックサレナの力は伊達じゃあない!』そしてアキトとガイは宇宙の光になった・・・

 

 

・・・本当にやってみようかな・・・

 

 

代理人の感想

・・・それはそれで見てみたいですが(笑)。

 

>いつまで続くんだろうこの漫才

ルリのしてることも傍から見たらそうは違わないと思うのですが(笑)。