ま、先週のことは良いとして・・・

お月様の辺りでなんだか怪しい動きがあるとか言われて

私達はパトロール・・・

でもね、何事も無くルーチンのお仕事って良いような悪いような・・・

 

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ Re Try 第19話 明日の『艦長』は君だ! 

 

 

 

 

「宣」

訳も判らずユリカさん。

「伝」

メグミさんは不思議な顔をして

「映」

ミナトさんは少し胡散臭そうな目で

「画?」

ラピスはいつも通りユウタを連れて、ニコニコしながら言います。

「そうです、宣伝映画です。先日の機密漏洩事件以来、艦を降りる人が後を断ちません。

そこで、新たな人材を募集するための映画を作るのです。」

「でも、それって私たちに関係有るの?」

ミナトさんが言います。

「実は・・・代理店からの要望で・・・ナデシコには美人が多いと言う事で・・・」

わざわざ美人と言う所を強調して言うプロスさん。

皆さん、まんざらでもないって顔してますね。

「でも、私たちが出演して何かメリットでもあるんですか?」

「この映画はネルガル系列の映画館で上映されます。

上手くいけば、芸能界デビューなんて話も・・・」

「女優デビューですか?」

「ええ、ついでに・・・出演された人の中から抽選で艦長をやってもらうというのは・・・」

「そうですね、やりましょう。警察だって一日署長とかやってるんだから

一日艦長って言うのも良いですね。うん!やりましょう!」

ま、良いでしょう・・・

「で?どんな物をやるんですか?」

私が尋ねます。

「ですから・・・皆さんのご意見を伺いたいと思いまして・・・」

プロスさんが皆に尋ねます。

「は〜い!皆でゲキガンガー!」

ヒカルさんが言います。

「おぉ!いいなぁ!」

ヤマダさんとヒカルさんが盛り上がっています。

「七人の侍・・・」

アヤさん・・・自分の趣味丸出しって感じです。

「看護婦と医者の愛。」

メグミさん・・・イネスさんまで・・・

「カンフー映画ちゅうんはどうや?」

カズマさん・・・ミサキさんもまんざらでもない様子・・・

と、まぁ皆さん思い思いの事を言っていますが・・・

「は〜い!シンデレラって言うのは?」

ユリカさんが言います。

「そうですね、役はくじ引きで公平に選ぶのなら・・・」

イツキさんが言います。その言葉で皆納得して、シンデレラをやることになりました。

その後・・・色んなところで絶叫があがりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

むかし、ある所にとても美しい少女が居ました。

その少女は美しい黒髪を腰まで伸ばし、利発そうな瞳の輝きを持っていました。

現に、軍の士官学校では主席の成績が取れるほどだったのですから

その実力は押して知るべしです。

でも、そんな少女にも不幸は訪れます。母親が死に、しばらくして

父親は再婚しましたが、程なくして流行り病で死んでしまいました。

「ユリカ!ユリカ!」

一際大きな声をあげているのは、きつい目をしている女性です。

「何でしょう?エリナ義母様?」

「便所の掃除は終わったの?」

「ユリカ!ご飯まだなの?」

ボーイッシュな女性が言います。

「いえ、掃除がまだですので用意していません。リョーコ義姉様。」

「あ〜あ、相変わらずとろいのね〜。」

めがねを掛けた女性が言います。

「あ、ヒカル義姉様の部屋は、掃除が済みました。」

「私の部屋は?」

そばかすが少し残っている女性が言います。

「あ・・・メグミ義姉様・・・まだです・・・」

「何をやっているのかしら?こんなのだったら、そこいらに居るねずみに掃除させたほうが、ましだわ!」

持っていた雑誌をユリカに投げつけます。

「私が頼んでいた風呂場の掃除は?」

「あ・・・イズミ義姉様・・・こんな状態では・・・」

「軍隊を辞める・・・除隊・・・くくっ・・・」

とまぁ、こんな調子で労働基準法違反しまくりの状態でした。

天真爛漫なユリカでさえ、この仕打ちに涙する事がありました。

「ユリカ!あなたに名前があるなんて役人に迷惑が掛かるわ!

あんたなんて灰かむりで充分よ!」

フランス語ではシンデレラですね。それはいい考えですわ、お母様。」

「そう思うでしょう?メグミ。」

そう言うと、エリナとメグミはユリカの着ていた服に油性マジックで

『私はシンデレラです。どうか灰をかけてください。』

と書いていきました。

「・・・こいつら、地が出てねぇか?」

「うん・・・そう思う・・・」

「この際、徹底的にいじめようとしているのが見え見えね・・・」

「そこ!ひそひそ話はしない!」

「「「はい!義母様!」」」

こうして、ユリカ改めシンデレラは来る日も来る日も、こき使われていました。

「うぅ・・・イツキお母さん・・・セイヤお父さん・・・どうして死んじゃったの・・・」

シンデレラに与えられた部屋は屋根裏部屋でした。

「ちょっと!いきなり死んでるのは台詞が無いって事でしょう!」

「そうだ!俺達にも何か喋らせろ!」

写真盾の中で、ニッコリと微笑んでいるはずであった両親が、いきなり喋りだしました。

「ああ!お父様とお母様の声が聞こえる!」

「ひょっとして、私達の出番ってこれだけ?」

「くそう!くじ運が悪すぎる!」

と、シンデレラにとって睡眠前に聞こえる両親の幻聴を励みに

日夜、我侭を言う義母や義姉の為に働いていました。

そんなある日の事でした。

 

「シンデレラ!シンデレラ!」

「はい、エリナ義母様。」

「今日は、お城で舞踏会があります。私たちは舞踏会に行きますので、留守中に全ての掃除を済ませるのですよ。」

「はい・・・」

「しっかりやるのよ、これはエリナお母さんが作った契約書よ。」

その契約書には仕事をしておかないと、家財道具と一緒に身柄を売り飛ばすと書いて有ります。

「ふぇ・・・そんな・・・」

「あなた達は、王子様に見初められて玉の輿に乗るのが最終目標よ。」

「わかってるよ、そんなにいきり立つなって。」

豪華なドレスを着たメグミ達は、どうやって王子をゲットするか話しています。

時間になると、立派な馬車が迎えに来て、我侭な女性たちはお城に行きました。

シンデレラは言いつけ通りに仕事をしていましたが、舞踏会の始まる時間が近づくと

「あ〜あ、私も舞踏会に行きたかったな。」

誰にとも無く呟きます。

「その願い、叶えてあげましょうか?」

シンデレラは声のした方を振り向くと、ツインテールで目が金色、黒いローブを着た少女が居ました。

「あ、ルリちゃんが魔法使いなんだ。」

「何の事ですか?それより、舞踏会・・・行きたくないんですか?」

「行きたいわ。でも、こんな格好だから・・・」

シンデレラは自分の姿を見せます。

魔法使いルリはしばらく考え込むと、

「では、こうしましょう。このメモに書いてある物を持ってきてください。」

「え〜っと・・・トランクス、Tシャツ、洗顔フォーム、シャンプー、リンス・・・何?これ?」

「あ、それはアキトさんに頼まれたものでした。こっちが本当です。」

魔法使いルリは慌ててメモを差し替える。

「ルリちゃん、後でゆっくり話そうね。」

シンデレラの顔が少し引きつっています。

「と、とにかく集めてきてください!」

魔法使いルリが言うと、シンデレラはメモに書かれたものを探しに階段を下りていきました。

 

「ふぇ〜、集まったよ〜。」

シンデレラが集めてきたものには、顔に暑苦しい顔が描かれているカボチャ

関西弁を喋るネズミ蝶ネクタイをしているトカゲでした。

「ちょー待てい!何でワイがネズミなんや!それに、普通4匹くらいおらんか?」

「まだ良いぞ!俺なんかカボチャ役だぞ!」

「なぜ私が・・・」

「はい、カズマさんもヤマダさんもプロスさんも、くじで決まったのだからおとなしくしてください。」

「どうするの?ルリちゃん。」

シンデレラが魔法使いに尋ねます。

「決まっているじゃないですか。魔法使いは魔法を使うのが仕事です。」

「そうだけど・・・」

魔法使いルリは両手を怪しく動かすと

オモイカネ、宜しく。

「ちょっと、ルリちゃん!今のは何?」

呪文です。

魔法使いルリが言うとカボチャ・ヤマダは立派な馬車に、ネズミ・カズマは赤い馬に

トカゲ・プロスは立派な御者になっていました。

「ほら、見ろ!プロスさんは人間の姿になれるじゃないか!俺なんか馬車だぞ!」

「せや!ワイの姿を見てみい!馬の顔の下に本当の顔が有るんやで?こんなん恥ずかしいわ!」

「なぜ私が・・・まぁ私は姿が人間になれるだけでも・・・」

乗り物トリオはそれぞれ嘆きながらも、魔法によって姿を変えました。

シンデレラも純白のドレスにガラスの靴、きらびやかな装飾品を身につけ

町を歩けば10人のうち9人は、確実に振り返るのではと言うくらいの美人になっていました。

「どうです?私の魔法は。」

「すっご〜い!これで舞踏会に行けるわ!」

「いえ、これも仕事ですからお構いなく。それから、これを持って行って下さい。」

「へ?何これ?」

「オモイカネで作った偽造招待状です。これが無いとお城に入れませんよ。それから・・・」

「ありがとう、ルリちゃん。これでアキト・・・じゃなかった。王子様に会えるのね!」

そう言うと、シンデレラは馬車に乗り込みました。

「私の出番はこれだけですか?」

「しゃ〜ないやろ!こんな役回りやし・・・」

「やっぱりゲキガンガーの方が良かった・・・」

乗り物トリオは愚痴を言い合いながらお城に向かうのでした。

馬車の中では、シンデレラが

「待っててね、アキト!」

シンデレラは既に周りが見えなくなっているようでした。

 

 

ネルガル王国・・・豊かな大地と繁栄を続ける商業地を持つ新興国である。

現在国を治めているアカツキ国王は、領民からも慕われている中々の人物です。

その、国王の一人息子であるアキト王子の結婚相手を舞踏会で選ぶと宣言したのでした。

アキト王子は武術の達人で、戦に出ると必ず勝利して帰ってくる、国の英雄でした。

また、領民からも絶大な人気を誇っており、アカツキ国王以上の人気が既に有ります。

そんな王子と結婚できるとあって、お城の大広間では、思い思いに着飾った娘達が集まっていました。

「あら、ミナト様。お久しぶりです。」

金髪でスタイル抜群の女性が、胸元を強調したドレスを着た女性に言います。

「ああ、プルセル様。ごきげんよう。あなたも王子様が目当てなの?」

貴族の娘であるミナトは、家族ぐるみで付き合いのあるプルセルに言います。

「そ、そんな・・・私なんかが、そんな大それた事なんて・・・」

プルセルは少しもじもじしながら言います。

「あら、そこにいるのはミナト様とプルセル様じゃないの。久しぶりね。」

そう言いながら現れたのは、金髪を結い上げてどこか理知的な顔立ちの女性です。

「そう言うイネス様こそ・・・今日は白衣ではないのですね。

「せっかく、衣装を出してくれるんですもの。楽しまなくっちゃ。」

と、まぁ他にも賭けの胴元になっている人や、これがチャンスとばかりに

やってきた娘に声を掛けている人たちがいます。

でも、女性陣は王子様が目当てなので、相手をする人は居ません。

「おや、ミナト様。久しぶりね。」

お城で給仕長をしているホウメイがミナトに声を掛けてきました。

「ホウメイさん!ホント久しぶりね。」

ミナトが言うと、5人の娘達も現れ声を揃えて

「「「「「私たちも居ます!」」」」」

と言います。お城では、ホウメイの手伝いをしている給仕の娘達と言う事で

ホウメイガールズと呼ばれています。

「そうだねぇ、最近は出番も無いし、この子達なんて出番どころか名前すら忘れ去られて・・・

「「「「「ホウメイさん・・・」」」」」

ホウメイガールズは一斉に泣き出しました。

「け、結構深刻なのね・・・」

ミナトは頑張ってねと声を掛けていきました。

まぁ・・・キャラクター達の愚痴は放って置いて・・・

「国王、並びに王子のお出ましだ。」

背丈は2m近くあり、何故か茶色の背広を着ているこの国の大臣であるゴートが宣言すると

集まっていた娘達は一斉に王子の所に殺到しました。

王子は女性に頼まれれば断りきれない性格をしているので大変困っていました。

「いやぁ、やはりモテルねぇ・・・」

「はい、わが国の未婚女性99%がこの会場に来ていますが、アキト王子の支持率は95%を超えております。」

「99%?僕は全員招待しろといったはずだぞ?」

「はぁ、それがエリナ女史の義理の娘が来ていません。」

「ふん、まぁいい。王子をここへ呼んでくれ。」

「はい。」

アカツキ国王はアキト王子を呼びました。

「どうだ、王子。気に入った娘はいたか?」

「いえ・・・それが・・・」

「どうした?お前の王妃になるのは、美人で頭が少し悪いが笑顔が綺麗な娘が良いぞ。」

アカツキ王子が意地悪く言います。

「国王、それは色々と拙いだろう・・・」

女性陣の凍りつくような目をバックにアキト王子が言います。

「・・・そうだな・・・先ほど挨拶に来たエリナ女史の娘達はどうだ?」

アカツキ国王が尋ねます。

「国王、先ほど衛兵に連れて行かれましたが・・・」

「ゴート君?何か粗相でも?」

「いえ、王子を誰が射止めるかで口論となった挙句、喧嘩を始めてしまったので牢屋に入れました。」

「誰も怪我しなかっただろうね?」

「はい。」

「大体、舞踏会で花嫁を決める風習なんて意味有るのか?」

アキト王子がずっと疑問に思っていたことを言います。

「いやぁ、それが8代前からの風習なんでねぇ。」

アカツキ国王はカラカラと笑っています。

アキト王子は大きくため息をつくのでした。

そんな所に、ドレスを来た美しい少女がやってきました。

純白のドレスにきらびやかな装飾品、ガラスの靴を履いたシンデレラでした。

舞踏会に参列している人たちは

「綺麗ねぇ」

「私もガラスの靴履いて見たかったなぁ。」

と思い思いの感想を口にしています。

シンデレラは得意げに歩いていきますが、そこに・・・

説明しましょう。ガラスの靴の強度はどのくらい有れば良いかというと

履いている本人の体重がムゴォ

「イネスさん、体重は女性の秘密事項ですよ。」

シンデレラがイネスの口元を押さえ、鼻をつまんでいます。

イネスは息が出来なくなったので慌てて頷いています。

「解れば宜しい。」

「は、早かったわね・・・」

「あの靴ってユリカさんの為に、イネスさんが徹夜で強度計算をしたって言うものでしょう?」

「ミナトさん、プルセルさん・・・」

ゴゴゴゴゴゴという擬音が、どこかから聞こえてきそうな迫力で迫ってくるシンデレラから、慌てて逃げ出すミナトとプルセルでした。

「ホントに・・・それよりも、アキト!アキトはどこ!

シンデレラの対アキト専用レーダーがフル稼働します。

やがて、アキト王子を見つけたシンデレラは、一直線にアキト王子まで走ります。

「アキト・・・じゃなくって王子様!私と踊っていただけませんか!」

シンデレラの勢いに押されて、まぁ踊るだけならと了承するアキト王子でした。

「ゴート君?あの娘は誰だ?」

「はっ・・・直ぐに調査させます。」

「王子には内緒だよ。」

アカツキ国王がそう言うと、ゴート大臣は下がっていきました。

さすがに、優秀な部下が多いのか、シンデレラの素性は直ぐに判りましたが

面白い事が大好きなアカツキ国王は、そのまま王子には黙っておく事にしました。

当のアキト王子はシンデレラに振り回されっぱなしでした。

ワルツから始まって、世界中のありとあらゆるダンスを付き合わされて、ヘトヘトになってしまいました。

「アキト!楽しいね!」

シンデレラは、まるで疲れを知らないかのように踊り狂っていました。

やがて、踊りも演奏する側のレパートリーが尽きたのか、盆踊りになっていました。

その時、12時を報せる鐘があたりに響き渡り始めました。

ごーん、ごーん・・・って・・・どうして僕が・・・」

半泣きになりながら鐘の音を出しているこの国の名物ジュンの鐘が12時を報せます。

しかし、そんな些細な事などお構いなしにシンデレラは、踊りつづけていました。

「シ、シンデレラ・・・もう夜中だ・・・って・・・」

シンデレラの姿は鐘の音が収まると同時に、元々着ていたボロボロの服になってしまい、

あれほど煌びやかに輝いていた宝石も、ただの石ころになってしまっていたのでした。

「ん?何、アキト・・・きゃあ!」

シンデレラは自分の姿に気がつき、慌てて外に走り出しました。

「逃がすな!私の許可無く退場など出来ないぞ!」

アカツキ国王が宣言すると、お城中に警報が鳴り響きました。

程なく・・・シンデレラの足では逃げきれるわけでもなく、二人の女性衛士に連れられてきました。

「アカツキ国王、アキト王子・・・連れてきました。」

「こんなものも持っていました。偽造招待状です。」

そういったのは、可愛いと言うより美人、美人と言うよりはハンサムと言ったほうが良いような女性と

美しい黒髪を腰まで伸ばしたスタイルのいい女性です。

「ふぇ・・・あの・・・私・・・どうなるんですか?」

「本来は、そのような格好で王城に出入りする事など許されん。

もう二度と、王城に足を踏み入れるな。いいね?それとも、僕の妃にでもなるかい?」

アカツキ国王が優しく言います。しかし・・・

アキト!一緒に駆け落ちしましょう!

シンデレラは王子を誘拐しようと王子に飛びつきますが・・・

「衛兵!その者を取り押さえよ!」

あっさりとふられたアカツキ国王は衛士に素早く命令します。

「ごめんなさいね。」

「これもお仕事なの。」

二人はあっさりとシンデレラを取り押さえると、シンデレラを連れて行きました。

「あ〜あ、人の話を聞かないから・・・」

王子の隣に、何時の間にか魔法使いルリが現れました。

「魔法使いルリ、来てくれたんだな。」

「はい、王子・・・この間の話・・・承りました・・・」

魔法使いルリは頬を赤らめて言います。

「王子・・・どう言うことだ?」

「父上、私は魔法使いルリと結婚いたします。

「なに!ゆ、許さんぞ!」

「ならば、勘当・・・と言う事か。」

「そうだ。」

「ルリ。」

「はい、国王・・・あなたの個人資産はすでにアキト様のものです。あなたの自由に出来る物などこの世にはもうありませんよ。」

魔法使いルリはアカツキ国王の資産を全てアキト王子のものに書き換えてしまっていました。

「くっ・・・」

アカツキ国王が悔しがっています。

こうして、アキト王子と魔法使いルリは結婚し、ネルガル王国は益々栄えるのでした。

二人には、薄桃色の髪をした少女と、聡明な王子が生まれるのですがそれはまた、別のお話です。

 

 

 

ちなみに、その後のシンデレラは・・・

「シンデレラ!あんた仕事サボったでしょう!」

「ふぇ・・・」

「残念だけど・・・この家も、家財道具も売り払ったから。」

「あんたの身柄も高値で売れたわ。」

「お、俺達は南の島で悠悠自適に暮らすからよ。」

「ごめんね〜。」

「そ、そんな〜。」

こうして、義母達は南の島で生涯幸せに暮らし、

シンデレラは一生こき使われました。

「こんなのシンデレラじゃな〜い!」

 

 

 

 

 

 

キャスト

 

 

シンデレラ
ミスマル=ユリカ

王子
テンカワ=アキト

魔法使い
テンカワ=ルリ 

義母
エリナ=キンジョウ=ウォン

義姉
メグミ=レイナード

義姉
スバル=リョーコ

義姉
アマノ=ヒカル

義姉
マキ=イズミ

国王
アカツキ=ナガレ

大臣
ゴート=ホーリー

貴族
ハルカ=ミナト 

貴族
プルセル=キンケード

貴族
イネス=フレサンジュ

衛士
ナグモ=ミサキ

衛士
クサナギ=アヤ

給仕長
リュウ=ホウメイ

給仕
テラサキ=サユリ

給仕
ウエムラ=エリ

給仕
サトウ=ミカコ

給仕
タナカ=ハルミ

給仕
ミズハラ=ジュンコ

ネズミ
クサナギ=カズマ

カボチャ
ヤマダ=ジロウ

トカゲ
プロスペクター

シンデレラの父
ウリバタケ=セイヤ

シンデレラの母
イツキ=カザマ

鐘の音
アオイ=ジュン

特別出演
ラピス=ラズリ
オカクラ=ユウタ

 

ナレーター
ルビィ

 

ロケ地
ピースランド

 

 

 

脚本
オモイカネ

 

 

 

監督
ルビィ

 

 

end

 

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

映写室に沈黙が流れます。

「なぁ・・・結局・・・ナデシコの宣伝映画になっていないんじゃ・・・」

アキトさんが誰にとも無く言います。

「ルリちゃん・・・」

「ルリ・・・」

「ホシノ=ルリ・・・」

ユリカさん達が私に詰め寄ります。

「どうしたのですか?皆さん怖い顔をして。」

「ルリちゃん、最後のテロップで名前がテンカワになってたのは何故?」

くっ・・・気付かれましたか・・・

「お前ら贅沢やで!ワイらなんか人外になっとるやんけ!」

「カズマはまだ良い方だ!僕なんか声だけだぞ!こんなの認められない!如何して僕が鐘の音役なんだ!」

ジュンさんも叫んでいます。

くじで決まったんですから・・・

「ルリ姉・・・私は台詞すら貰えないの?」

それぞれが文句をいっています。特に人外の役をやった人たち・・・

「ま、まぁ皆さん・・・とにかく、これで一度クライアントに出してみますよ。

ボツになれば、また撮りなおしということで・・・」

プロスさんが納得のいかない皆に言います。

「そうね、駄目なら今度は明治時代に生きた剣客の話にしましょう。」

「大正時代の歌劇団なんてどう?」

アヤさんとヒカルさんの言葉で皆、思い思いの企画を話しています。

私の周りには・・・怖い顔をしたユリカさん、エリナさん、メグミさん、リョーコさん、ミサキさんが取り囲んでいました。

絶体絶命・・・ですね。

「あ、あの・・・芸名・・・と言うのは・・・」

「「「「「却下します!」」」」」

 

 

 

その後・・・テロップを一部変更した映画は、全国の映画館で上映される事になりました。

「いやぁ・・・今までに無い斬新な切り口と言う事で・・・うけちゃいましたね。」

プロスさんの額から汗が出ています。

興行収入もかなりのものになっているそうで・・・

皆も凄く不思議な顔をしていました。

私は・・・

「オモイカネ、ありがとう。」

今回の功労者に、お礼を言うのでした。

 

 

 

おまけ

結局、新艦長には私が選ばれましたが・・・辞退しました。

「ねぇ、ルリルリ。どうして辞退したの?」

「艦長になれば忙しくなるじゃないですか。そうなればアキトさんに会う時間がなくなります。」

「ふふっそうね。」

ミナトさんは目を細めて

「好きな人に会えるんだから今はそれで良いわよね。」

「はい。」

私は心の中でミナトさんの幸せを祈るのでした。

え?新艦長ですか?

やっぱりユリカさんが『じゃんけん当選』しました。運だけは良いですね。

 

 

 

 


 

ルリ:全員名前が出たのって初めてじゃないですか?

作者:・・・そうだね。

ルリ:それに、シンデレラパニックのパクリじゃないですか。

作者:最初は正統派のシンデレラでやろうとしていたんだけれど・・・

ルリ:面白くないし、最初の段階でシンデレラがユリカさんで決まっていたからですか・・・

作者:そう、ユリカがくじ引きでシンデレラ以外の役を引き当てる事なんて無いと思ったから・・・

ルリ:まぁ、今回はテンカワ=ルリと言う事で、皆さんに認知してもらいましたから良しとしましょう。

作者:あれ?芸名じゃなかったの?

ゲシィ!

ルリ:さて、次回 機動戦艦ナデシコ Re Try 第20話 深く静かに『戦闘』せよ お楽しみに!

 

 

―今回の不幸度No.1は・・・ジュンですか・・・

 

 

代理人の感想

・・・西洋の鐘でよかったねぇ、ジュン君。

梵鐘だったら撞木でドツかれ続けなきゃいけないところだった(爆笑)。

 

 

・・・しかし、ええんかこれで(笑)。