私は艦の中を彷徨いながら艦内を興味深く眺めていく。

彼が言うにはこの艦は転移艦───異世界から来た艦だという。

初めて乗る軍艦なのでそういった物なのかは良く分からなかった。

ただ先ほどまで居たあの〈はりま〉という戦艦とは違った不思議な雰囲気がある。

艦そのものもそうだけど、乗組員の雰囲気も私が想像していた“軍”というものは違っていた。


───興味深い。


それが私がこの〈金剛〉と言われる艦を見た感想だった。


この不思議な艦に父さんは乗って戦っている。


途中、すれ違う乗組員が不思議そうに私の事を見ていた。

彼らからすれば戦闘艦の中に民間人がいるのは変に思うのだろう、ましてやその民間人が少女では。


私は表に出たくてその中の一人に聞いた。


“・・・この艦で一番高い場所はどこですか?” と。


いきなりの質問だったが彼は丁重に教えてくれた。

その指示に従って前楼と呼ばれる(彼は艦橋と言っていたけど)構造物の一番高い場所にやってきた。

そこから海を見ていると雨がぱらぱらと降ってきた。

私は雨のかからない場所を探して座り込み真っ黒い空を見上げた。


その雨を眺めていると夢を見ているように昔の思い出や今までの事を思い返す。

突風に飛ばされてきた雨粒が頬に当たりぞくりとした冷たさで我に返った。


その冷たさは誘拐されてからどこか夢を見ているような私の心に現実感を取り戻させる。


そう、私は今、父さんと同じふねに乗っていた。

 

 

 

 

連合海軍物語

第22話 瑠璃


─ 〈はりま〉昼戦艦橋・隼人 ─

「お待たせしました、怪我とかはありませんか?」


俺はエリナさんと瑠璃ちゃんに声をかける。

見た限りでは特に酷い傷を負っているという事もなさそうだったが。


「私は特にないわ」

「・・・手首をすりむいただけです」

「我慢できる?」


その言葉にやはり無表情に頷く瑠璃ちゃん。


「貴方は一体、誰なの?」


腰がぬけているのか副長の奥さん・エリナさんは座ったまま聞いてくる。

こちらにも手を貸し立ち上がらせた。


「あ。ありがとう」

「副長、いや旦那さんの乗っている艦の艦長です、救出にきました」

「じゃあ貴方が!」


驚愕に目を見開く彼女。

そんなに驚かれるような立場でもないと思うんだが。

エリナさんのその表情に苦笑しながら自分の官姓名を名乗った。


「双岳隼人海軍少佐です」


瑠璃ちゃんはというとやっぱり無表情が目立つ彼女だが若干目が丸くなったような気がする。

多分、驚いているんだろうけど相変わらずはっきりとは表情に出てこない。


「・・・連合海軍最強の」



「「女たらし!!」」





エリナさんと瑠璃ちゃんの声が重なった台詞は・・・ある意味で俺にとって衝撃的だった。




ズサーっ!!





そしてお約束とはいえ? 俺は倒れる。

この衝撃は今まで味わった事がないほど強烈だった。

なぜだ! なぜ後方の、しかもニホンの民間人にまでそんな噂が流れているんだ!!


くっ、それに俺の何処が女たらしなんだよ(涙)

俺は部屋の隅でいじけたい気持ちを必至になって止め、大きな誤解をしている彼女たちに釈明することにした。


「それはデマです」

「でも・・・あなたの身近にいて良く見ているあの人の手紙にはそう書いてあったんですけど」

「・・・(副長、あとでお仕置き!)」


俺は沸き上がる怒りを抑えつつ、今は釈明を諦め脱出することにした。

はっきり言えばこんな事をしている余裕はなかったんだが、多少気が抜けたのかもしれない。

とりあえず倒したヤツの部下はエリナさんから借りたハンカチを使い手を縛って拘束しておく。

あとで誰かに回収にこさせよう。

それと彼らが使っていた拳銃を奪っておいた。



ピーピー



小型通信機の呼び出し音が鳴った呼び出しは彩ちゃんだった。


「こちら隼人」

【隼人ちゃん? 彩よ。今、内部に突入したわ。これから内を制圧して拿捕に移るわ】

「そうか、こちらも暁副長の家族を救出した。艦隊司令が見つかっていない、探してくれ。

それとCICに首謀者の田代中将がいる。身柄を確保だ」

【了解】


続いて呼び出し音が鳴った、今度は陸戦隊長の土方中尉。


【土方です、今内部に突入しました。ですがニホン海軍の抵抗が激しいです。どうしますか?】

「そうか、弾は何を使っている?」

【暴徒鎮圧用のショック弾】

「なら遠慮なしにやって構わない。残敵を掃討しつつ通信施設、射撃管制室、機関室を確保だ」

【了解】


通信を切りエリナさんと瑠璃ちゃんに声をかける。


「急ぎましょう、援軍が来るとまずいので」

「わかりました。あの・・・あの人は?」


走り出しながらエリナさんが聞いてくる。

あの人、やっぱり副長の事だろう。

ちなみに体力がなくて足の遅い瑠璃ちゃんはすぐに力尽きたので“お姫様抱っこ”だ。


「副長には艦に残ってもらっています。いろいろ立場もありますので」

「そうですか」

「でも、貴方たちの事を助けると真っ先に飛び出そうとしたんですよ。それを私が無理に引き留めました」

「なぜですか?」


訝しげな表情をしてエリナさんが聞いてくる。


「冷静さを欠いた状態で戦闘に望むのは危ういからです。

せっかくあなた方を助けたのに副長に死なれたら洒落になりませんから」

「そうですね。あの人そういう状態だと周りが見えなくなるから」


さすが幼馴染み、暁副長の性格をよく分かっている。

それでも寂しそうにつぶやくエリナさんだった。


その寂しそうな横顔を見つつ思う。

実際は副長に助けに来て貰いたかったんだろうな、俺は何となくそう思った。

やはり助けに来てくれるなら好きな人の方が良いだろうし。

そんな事を考えつつ下を見ると抱きかかえられている瑠璃ちゃんが俺を見つめていた。


「なに?」

「・・・重くないですか?」

「ぜんぜん平気だよ、軽くいらいだ」

「・・・良かった」


ほっとしたように息をつき四肢の力を抜く瑠璃ちゃん。なるべく俺の負担にならないように四肢を突っ張っていたらしい。

逆にそんなことをすれば抱っこしづらいだけなんだけど(苦笑)


俺たちは出口に向かって通路を移動していく。見つかると面倒なのでニホン海軍の兵がいた時は隠れてやり過ごす。

俺一人なら強行突破をし脱出する所だが女性二人を守りながらとなるとどうしても無茶は出来ない。

ようやく前楼出口が見えてきたので走っていると曲がり角・・・殺気!


俺はエリナさんに体当たりして、庇うように身体を投げ出す。



ぼよん!




ドン!




間一髪間に合いエリナさんを押し倒した状態で銃弾が俺の左頬をかすめる。

片腕に瑠璃ちゃんを抱えているので空いている方の手で銃を抜き、敵に向かって撃つ。



ドンドンッ!!



瑠璃ちゃんが腕の中で両耳を押さえ縮こまった。

銃弾が命中してのけぞる敵。どうやらニホン海軍の兵ではなかったようだ。


やれやれ、危ないな。他に敵がいないか確認して瑠璃ちゃんとエリナさん見る。

瑠璃ちゃんに怪我はないようだ。エリナさんは・・・。

思いっきり俺が押し倒した体勢(汗)。


「ありがとうございます、大丈夫ですか?」


俺の顔を見上げ、心配そうに銃弾の掠った頬を触ろうとする。

心なしか瞳が潤んでいるような・・・なんかヤバいシチュエーションだ。

俺のカンがそう言っているが硬直状態で動けない(汗)。


「隼人ちゃん! ナニしてんの?」


突然声をかけられ、俺は瞬時にエリナさんから飛びすさった。

助かった。俺は声の主を確認する。


「彩ちゃん! 無事だったか」

「あたりまえでしょ、ワタシは大丈夫だけど、隼人ちゃんはナニしてんの、敵地で」


冷ややかな視線が俺に突き刺さる。


「いや、敵が襲ってきたんで、エリナさんに体当たりして・・・」

「敵? どこにいるのよ?」


そう言って見回す彩ちゃん。


「え? だってそこに・・・アレ? いない」


その場所には撃たれたはずの敵はいなかった。

チっ、あの野郎逃げ出したんだな。確実に殺っておけばこんなピンチは迎えずに済んだのに!


「本当なんだって! 第一、瑠璃ちゃんがいて、こんな敵地で襲う訳ないだろ。それこそ変態だろうが!」


俺は焦りまくりパニックになりかけていた。


「じゃあ、瑠璃ちゃんがいなくて、敵地じゃなかったら襲う訳ね?」

「そっ、それは揚げ足取りだろ!」


「ふぅ、邪魔しないで欲しかったんだけど」


エリナさんが服のほこりを叩きながら溜め息混じりで立ち上がる。

つーか、なんて事を言うんだ! この女性は。


「ああああ、エリナさん、火に油を注ぐような事を!」

「・・・やっぱり」


かちゃりと銃を抜く彩ちゃん。ヤバい、あの目は本気マジだ、られる。

俺のこめかみに一筋汗が流れる。


「・・・隼人さんはそんな事しませんよ?」


絶対絶命の危機に陥ったその時、援軍が現れた。

ああ、ありがとう瑠璃ちゃん、君だけだよ俺の味方をしてくれるのは(感涙)


「ぷ・・・ぷっ・・・あははは、ゴメンナサイ。冗談だからそんなに慌てないで」

「へ?」


エリナさんの言葉にかしげる彩ちゃん。


「こういう時にそういう趣味の悪い冗談はやめてくださいよ、洒落になりませんから(涙)」


俺はこんな安心できない状態にも関わらず、ブラックなジョークを飛ばすエリナさんに恐れ入る。

こんな人だからこそあの暁副長の奥さんを務められるのかもしれない。

似たもの同士な2人なんだろう。


「だーってねぇ、戦っている貴方と今の貴方ってとても同一人物とは思えないんだもの、可愛くって。くっくっく(涙笑)」


そう言って笑いを堪えている、しかも目の端に涙まで浮かんでいるし。


「隼人ちゃん、完全に遊ばれているね」


彩ちゃんも呆れと苦笑が入り交じった顔で俺の無罪を認めてくれた。

くぅ、純情な青年をからかいやがって(涙)


そこへ暁副長が走り込んできた。


「艦長! ご無事でしたか。エリナ! 瑠璃!、お前たちも無事か!」

「あなた!」

「・・・父さん」


ん? 瑠璃ちゃんの顔がなんとなしに曇ったな。どうしたんだろう?

少し気になったが今は状況を把握しなければ。


「状況は?」


俺は彩ちゃんと副長に聞く。


「〈はりま〉の制圧は完了しました。

まあ一部例外はいましたがもともと脅されて従っていた人間たちだったので説得で武器を捨てました。

それと説得をしてくれたニホン海軍の少尉がいて助かりましたよ」


そう言って副長は報告を終えた。

そうか・・・新宮寺少尉も頑張ってくれたみたいだな。


「それとニホン艦隊が到着し、〈はりま〉を包囲しましたので、私がここにきました」

「そうか、無駄な犠牲を出さずに済んでよかった」


暁副長の報告に俺は安心できた。


「それと隼人ちゃん、艦隊司令は艦長室に監禁されていたわ。身柄は確保、怪我もなく無事よ。

CICだけど・・・飯田艦長が田代中将を渡すのを渋ったのと、私たちへの迎撃命令を彼が単独で出したらしいんでちょっと・・・テヘっ」


そう言って彩ちゃんは誤魔化すように笑った。あ〜あ、〈はりま〉艦長はボコボコにされたな、こりゃ。

俺はまず間違いなくそういう運命を辿ったであろう艦長に軽く目を瞑り黙祷を捧げた。


「田代中将は無事?」


あの時は余裕がなかったので思いきり殴打して気絶させたので少し心配になった。


「ええ、大した傷はないから大丈夫」

「副長! 家族を連れて〈金剛〉へ退避。それと出航準備を進めてくれ。

いつまでも残っているとニホン海軍に因縁をつけられかねないからな」


その言葉に暁副長は頷くと家族を促した。


「了解です。さ、行こうか、エリナ、瑠璃」

「ええ・・・瑠璃、行きましょう」


副長に肩を抱かれようやく安心した笑顔を見せたエリナさん。

だけど瑠璃ちゃんは・・・。


「・・・私、隼人さんと一緒にいる。母さんたちの邪魔したくないし」

「おいおい、なに言ってるんだ」

「瑠璃、邪魔って」


その言葉に困惑した表情を見せる暁夫妻。

瑠璃ちゃんの行動、どうも親子関係に問題があるようだな。

仕方ない、しばらく一緒にいて仲直りのきっかけを探すか。


「瑠璃ちゃん、いいのか?」

「・・・隼人さん、いこ」


瑠璃ちゃんはそっけなく言うととてとてと歩き出してしまっている。

その姿を心配そうに見るエリナさんと暁副長。


「副長、しばらくまかせてくれないか?」

「わかりました、お願いします。私たちは〈金剛〉に戻ってます」

「そうしてくれ」


そうして副長とエリナさんは〈金剛〉に戻っていった。


「隼人ちゃん、CICに来て。艦隊司令と田代中将が待っているわ」

「分かった、行こう。瑠璃ちゃん、いいね?」


その言葉に小さくこくりと頷くと俺の脇に来る。

俺は念のため周りを警戒しつつ彩ちゃんの後に付いていく。

瑠璃ちゃんは隣にいて物珍しそうに周りを見ている。

まあ普段は見られない戦艦の内部だけに物珍しいのかもしれない。

 

 

─ 双胴戦艦〈はりま〉CIC ─

「双岳隼人少佐であります、ご無事で何よりでした」


初めて会うニホン海軍連合艦隊司令・田中大将に敬礼し申告する。

大将も敬礼を返してくる。


「日本海軍大将・田中信昭だ。助けてくれた事には礼をいう、ありがとう。だが貴官は誰の指示でこの行動を行った?」

「小官たちは連合海軍中将・沖田提督から直接の命令を受けました。それと連合海軍中将御統中将の要請でもあります」


その問にわざとナーウィシアの名は出さず連合海軍の方を使った。下手にナーウィシアの名を出すと面倒が起こる可能性が高いからだ。

それに陸戦隊の兵たちに言ったように俺はこの任務をナーウィシアではなく連合海軍の任務として認識している。


「御統め、余計な事を。わざわざ身内の恥をさらしおって」


同じニホン海軍の御統提督も関わっているという事を知って苦々しげに呟く田中大将。

迂闊にも拉致された身で、こんな事を言えるとは・・・。


「それと兵達の不問に関しては?」

「それも御統中将からです」

「勝手な真似を!!」


御統提督の独走に堪忍袋の緒が切れたのかついに激怒する。

俺は呆れかえるしかなかった、こんな人間がニホン海軍では大将をやれるのかと。

冷ややかな視線に気づいたのか田中大将は怒気を納める。


「すまん、取り乱した。この事は日本に帰還してから直接御統中将に・・・」

「その必要はありませんよ、田中大将」


田中大将の言葉を遮ってCICに入ってきたのは堂々たる偉丈夫。

立派なカイゼル髭に意志の強そうな瞳、黒髪は短く切りそろえられていたが頭の脇の部分が後方に少しだけハネている。


白い日本海軍の軍服に襟元の階級章はベタ金で桜が2つ。海軍中将だった。


「御統中将、なぜ君がここにいる!」


その言葉に驚き中将を見る。

彼がニホン海軍御統中将、そして沖田提督の同僚でありしつこく勧める見合い相手の父親。


「〈はりま〉の奪還と貴方を救出にきたんですよ。もっとも仕事は第七戦隊かれらに先を越されてしまいましたがね。双岳少佐、見事な手際だったな」


そう言って御統中将は俺の方を見る。

その後ろには俺の見知っている大佐ともう一人の見知らぬ大佐が控えていた。


「ありがとうございます。それと荒々木大佐、ご無沙汰しています」


その二人に頭を下げる。


「久しぶりだな、双岳大・・・じゃなかった少佐。相変わらず活躍しているじゃないか」

「初めてだな。俺は秋山源八郎だ、戦艦〈しなの〉の艦長をしている」


我が事のように嬉しそうに喜んでくれる荒々木大佐と手を差し伸べてくる秋山と名乗った大佐。

俺は彼の手を握る。分厚くて何か格闘技でもやってそうな手だった。


「いえ、そんな事はありません。皆に助けられてます」

「あまり活躍するなよ、私の活躍する場がなくなってしまうからな」


その言葉を聞いた秋山大佐は「わははははは」といった調子で笑う。

その様子を見ていた御統中将は田中大将に向き直る。


「で、田中大将。貴方にお聞きしたい事があります」

「聞きたい事だと? それはこっちの台詞だ!

君が勝手に出した兵達の不問やナーウィシアへの奪還依頼など自分の階級以上のやり方だと思わないかね?」

「小官は首相閣下から追撃艦隊司令、いえ本日をもって大将に昇進、日本海軍総司令に任命されました。

命令に問題はないかと思いますが?」

「ばかな! 貴官が総司令だと? 田島総司令はどうした」

「ご心配なさらなくてもすでに逮捕されていますよ」

「た、逮捕? ど、どういう事だ!」


御統中将いや大将の言葉に動揺しどもる田中大将。


「〈はりま〉には民間人が誘拐・監禁されています。知っておられますか?」

「い、いや初耳だ。何時の間に・・・」


狼狽した田中大将の表情を見る限り本当に知らないようだ。


「この誘拐事件の容疑で捕まった軍閥会社の人間が白状しましてね、利権で彼と繋がっていた者達は軒並み拘禁命令が出ていますよ。日本海軍から田島派は一掃されますな」


そう言って御統中将は田中大将に向けにやりと笑う。


「知らん! ワシはそんな事は知らんぞ!!」

「いい加減諦めたらどうですか、見苦しい。あげくに拉致され・・・この不始末」

「くっ・・・!」

「田中さん、貴方こそ日本海軍に泥を塗ったのだ・・・恥を知れぃ!!


御統中将の大喝に田中大将はがっくりと膝をついた。


「荒々木! 秋山! 田中大将を拘禁せよ!!」

「「はっ!」」


荒々木・秋山両大佐が御統大将に向かって敬礼し田中大将を拘禁する。


「ただし礼を失わないようにな、大将閣下であらせられる。もっともその称号が相応しいかは自身が証明してくれた訳だが」


御統大将の痛烈な皮肉を背に浴びて荒々木・秋山大佐に両脇を挟まれ田中大将はCICから連れていかれた。

彼はその様子を苦々しげな顔をして見ていた主犯、田代造船中将に向かって声をかける。


「田代造船中将」

「なんだね?」

「貴方は日本に帰る気があるかね?」

「どういう意味だ、御統大将」

「なに、貴方には現場に返り咲いて欲しいと思っている。日本海軍設計陣の至宝だからな。

まあここまでの騒ぎを起こしたんだ、それなりの罰は受けてもらうが」

「ふん、良く言うな。その至宝とやらをつまらぬ部署へ押し込めたのはどこのどいつだ」


このことが余程腹に据えかねていたのだろう田代中将の語気が荒くなった。


「貴方を押し込めた連中も今頃は後悔しているだろう」

「やつらもそうだったのか?」

「ああ、貴方は軍閥系に〈はりま〉の建造を依頼しようとしなかっただろう?」

「当たり前だ、あそこの規模はデカイが仕事にムラがありすぎて安心して仕事を任せられない。

仕事の出来る中小造船所を使ってブロック工法で建造でした方が良い物が出来る」

「で、どうする? ウィルシアに亡命するというなら止めんよ。もっとも〈はりま〉は置いていってもらうがな」

「御統大将、私に何をやらせようと言うのだ?

私の作った戦艦はたった1隻の重巡に遅れをとり無力化された、そのような艦しか作れぬ私に!」


その言葉に失礼とは思いながらも口を出す。俺が乗っているのが転移艦〈こんごう〉でなければ、普通の重巡だったとしたら・・・とてもこの作戦は成功しなかっただろう。


「田代中将、〈金剛〉はただの・・・重巡ではありません。あの艦を沈める事のできる戦艦はそう多くないと思います。

それに無力化され、おくれを取ったと言われましたが、潜水艦の援護があってのことです。単独だったらどうなっていたかは分かりません」

「つまらん話は止せ、戦艦と重巡を同じレベルで比べる方が間違っている。

それに拿捕する為に潜水艦を使ったんだ、撃沈破しようと思えばあの重巡だけで成せたはずだ。だが・・・」

「だが?」

「あの重巡の戦闘を見て分かったよ、あの艦は・・・転移艦だろう?」


その言葉に田代中将の鋭さを感じてしまった。

〈金剛〉の存在は転移艦という事情もあり今のところ軍機に指定され各国には公開されていない。

一少佐が勝手に公開してしまって良いものなのか迷う。

この場で田代中将に嘘をつき、後から公開された場合を考えるとナーウィシアとニホンの関係に問題が出るかもしれない。

ならこの場にいる人間には公開して沖田提督にフォローを入れてもらった方が良い。


「・・・良く分かりましたね」

「あの艦は異質するぎるからな、外観にしても攻撃にしても」

「なに、あの艦は転移艦だったのか! じゃあ超兵器なのか?」


俺の台詞に御統大将が驚いた表情を見せる。


「いえ。ある意味では超兵器と言えますが・・・ウィルシアの使う超兵器とは別物です。ですが転移艦には違いありません。

申し訳ありません、御統大将。事情は沖田提督の方から話がいくと思います。ですがこの事は内密にお願いできないでしょうか?」

「きちんと説明してくれるならそれは構わんよ。なに、各国それぞれに事情がある。

ワシらも黙って〈はりま〉を建造していた訳だからな・・・ナーウィシアを責められん」


御統大将は苦笑する。


「私も構わない。その代わり・・・」

「〈金剛〉とそのデータを見せろ、ですか?」


俺は少し意地が悪いと感じたが彼の言いたい事を先読みし言う。


「ふん、良く分かっているじゃないか」


田代中将は俺に台詞を奪われた事に苦笑する。


「小官も造船をやっています。中将の気持ちは良くわかります、非常に興味深い艦ですよ」

「そうか君は沖田中将の造船の弟子でもあるんだったな」


瑠璃ちゃんが造船という言葉に反応し俺を見る。


「ええ、沖田提督からだけではなく他の方々からも教えられてます」

「そうか良い環境だな。御統大将、私は日本に帰る事にするよ。面白い金剛おもちゃも見つかったしな」

「そうか、それはなによりだ。貴方には罰を受けてもらった後、次期主力艦の設計に携わってもらう」

「ほう、楽しそうな仕事をやらせてくれるじゃないか。ならさっさと罰を終わらせないとな」


その言葉に嬉しそうに田代中将は笑う。根っからの造船官なんだ、この人は。

御統大将は俺の方を向いた。


「今回はいろいろ手間をかけさせたな」

「いえ、小官は命令に従っただけです。それと拉致された人質ですが・・・」


そう言って俺の隣に立っている瑠璃ちゃんを見る。


「そうだな・・・日本に帰国するなら艦隊に乗せていくぞ。その場合、身の安全は私の名前をかけて保障する。

ただ彼女たちは第七戦隊の関係者でもあるのだろう? 出発するまでまだ時間はある。それまでに帰国するかどうか返事をくれれば良い」


瑠璃ちゃんを怖がらせないようにする為か少し屈んで彼女を見る。

その格好はとても威厳ある海軍大将に見えず、むしろ孫娘を見るおじいちゃんといった雰囲気だった。

御統大将は外見だけ見るとおっかないところがあるが、見かけによらずそういう細かいところまで気の回る人なのかもしれない。


「了解しました。〈金剛〉に戻り次第、ご返事します」

「では我々も艦に戻ろう。しかし・・・荒々木の報告にあった通りの男だな。

今度日本に来たらウチに寄ってくれ、娘が君に逢うのを楽しみにしている」

「・・・は、はぁ」


大将のその言葉に後ろから突き刺さるような視線を感じる。

こんな時にそんな事を言わなくてもいいだろうに。

俺の周りには沖田提督も含め本当に食えない性格の将官達が多くて困る。


「わはははははは。そんな顔するな、別に取って食おうって訳じゃないぞ!

じゃあ沖田提督によろしく言っておいてくれ」


しゅたっ、と手を挙げると呵々大笑しながら御統大将と田代中将は去っていこうとした。

しかし・・・活きの良い大将おやじだったな。

だが田代中将はCICを出かけたあたりで足を止め再度CICの中に入ってくる。


「あ、御統大将、双岳少佐に話が残っている。先に行っていてくれないか?」

「分かった。兵は残していくぞ」

「分かってる」


田代中将は俺の目の前にくると真剣な目をして問いかけてきた。


「双岳少佐、沖田中将は私について何か言っていたか?」

「特には。ですがライバルがいなくなるのは寂しいものだ、と」

「ライバル・・・ね」


そう言って田代中将は半分苦笑気味に口元を歪める。


「まあ、今回はそういう事にしておくか。少佐、ひとつ仮定の話をして良いか?」

「なんでしょうか?」

「君は・・・沖田中将が反乱を起こしたら止められるか?」

「え?」


仮定の話? 俺は田代中将の言いたいことが想像できなかった。

さらに中将の口から出た内容に度肝を抜かれた。


「彼は一種の天才だ、私のやっかみも入っていると思う。

だが彼の才能と忠誠が連合海軍以外に向けられた時、どうなるか想像できるか?

沖田中将はやると決めたら徹底的にやる、それが彼の良さであり悪いところでもあるんだが」

「ですが・・・」


俺のあまりにも鈍い反応に話を急き過ぎたと感じたのか田代中将はひとつ頭を振ると話を切り上げた。


「すまん、話が唐突すぎたし彼に近い君には想像できないかもしれん。

私は感じるんだ。彼は私と同じ、自分の理想を成す為ならいかなる手段をもとり是が非でも成し遂げようとするだろう」

「貴方と提督が同じ?」

「ああ。それ故に彼の才能は政治家や文官たちに恐れられているという事を忘れるな。

それだけだ、それと〈金剛〉だったか、約束違えるなよ?」


そう言って田代中将は去っていった。

だが俺の頭の中はそんな事を気にしている余裕はなかった。


沖田中将が反乱? そんな事が有り得るのだろうか。

それに提督が恐れられている? 文官や政治家たちにって。

あまりにも突拍子もない話が田代中将の思い込みで済んで欲しいと思う。


それに正直いって提督と戦う自分の姿を想像でもしたくはなかった。

今の自分と沖田提督では差が有り過ぎる、才能にしても経験にしても。



俺は頭を占めかけた嫌な思いを振り払うように頭を振る。


さて、俺も帰還しなきゃな。

そう思っているとツンツンと袖を引かれる。

誰かと思ったら瑠璃ちゃんだった。何か言いたいことがあるらしい。


「・・・隼人さん、造船官もされていたんですか?」

「そうだけど・・・なに瑠璃ちゃん?」

「・・・コレ」


と言って腰につけていたポーチから数枚の大容量ディスクを取り出した。

一見は音楽CDだがどこか手作り風になっており正規版には見えない。


「これは?」

「・・・私が作った“ワンマン・オペレーション・システム”」


そう言って彼女は手を伸ばしディスクの表面についていたラベルをペリっと剥がした。


「・・・もう1つは自己推論型AI“思兼”、その基礎データです。

O.O.S.と“思兼”に対応した改装を行えば、自動化が進み一艦あたりの乗組員を大幅に減らせます」

「は?! それが本当ならと〜っても凄い事なんだけど(汗)」


俺は瑠璃ちゃんの言い出した事は途轍もなかった。

手渡されたディスクを見る。これが・・・彼女がHLG-61をハッキングしてまで作っていた物?

そして作っていた物が無人艦の設計って・・・あまりにも中学生という存在から懸け離れたテーマだった。

俺はてっきりふくちょうの軍艦好きな影響を受けて遊びで戦艦でも作っているのかと思ってたんだが・・・遊びどころか大マジの代物だっとは。


「・・・ええ」

「じゃあ部屋に籠もってパソコンに熱中しているっていうのは?」

「・・・空いている時間を全部です」

「ありがとう、あとでデータをシミュレーションしてみるよ」


俺は目の前のディスクを見る。1枚目のディスクには丸っこい文字で“わんまんおぺれーしょんしすてむ”と書かれている。

その少女らしい可愛い文字と無人艦の設計という凄まじいギャップに自然に冷汗が流れ出す。

本当に女子中学生が作ったものなのか、コレは。


「・・・シミュレーション、終わってます」

「もうシミュレーションまで済んでいるんだ(大汗)」

「・・・はい。ちょっと軍の・・・」


ここまでくると俺は何も言えなくなった。

副長、貴方の娘さんは天才かもしれないです(汗)。

それにしてもやっぱり彼女がそうだったんだ。


「・・・やっぱり瑠璃ちゃんが犯人だったんだ」


俺のその言葉を聞き彼女からほんの少し動揺する雰囲気が伝わる。

それもすぐに消え冷え冷えとした冷たい声色で瑠璃ちゃんが聞いてくる。


「・・・知ってたんですね、だから私を助けた。どうしますか?」

「どうもしないよ。俺は上官に君を、いや君たちを最優先で助ける事を命じられた。

その後の事は詳しく説明はされなかったけど君にナーウィシアの研究所に来て欲しいと言っていた」

「・・・研究所?」

「ああ、葛城研究所というところ」

「・・・知ってます。私は構いません」

「でもお父さんたちにも相談しないと・・・」

「・・・私は一人ですから」


相変わらず彼女の表情は変わらないが、その言葉に寂しさを感じた。

 

 

─ 双胴戦艦〈はりま〉外 ─

「副長も派手にやったみたいだな」


俺は〈はりま〉の外に出て迎えにきたランチに乗り込み〈金剛〉へ向かっている。

窓の外から見た〈はりま〉は艦尾に魚雷を受けて推進装置を破壊され、

自力航行ができず〈すおう〉級戦艦〈ながと〉〈しなの〉の2隻に曳航される準備をしていた。

それ以外にも主砲以外の兵装とレーダーマストを破壊され結構損傷が激しい。


「あのねえ・・・副長も、じゃなくてこの作戦を立てたのは隼人ちゃんでしょ。副長はそれに従っただけでしょうが」


俺の言葉に呆れたように突っ込みを入れる彩ちゃん。

彼女は今回、グアム第三陸戦隊の指揮官だったがすでに指揮権を副指揮官に委譲し、また俺のSPとして〈金剛〉に乗り込むようだ。

指揮権を無理やり押し付けてきたようで、俺を見る彼らの視線は殺意に満ち溢れていたのが気にかかるんだが・・・勘弁してくれ。

瑠璃ちゃんもぽかんと口を開けて〈はりま〉を見ている。無表情の彼女にしては稀有な表情だ。


「・・・あんな大きかったんですね」

「あれ、外側見てなかったの?」

「・・・ええ。乗せられる時、目隠しされてましたから」

「そうなのか。あれが瑠璃ちゃんが乗っていた〈はりま〉だよ」


傷つきながらも〈はりま〉は圧倒的な存在感を示している。

乗っている時は感じられなかった遠目からの駆逐艦との比較。

あまりの巨大さにそばにいる駆逐艦が小船のように見えた。


俺は〈はりま〉から視線を外しランチの先にある俺の、いや俺たちの家〈金剛〉を見る。

あの艦に比べればとるに足りない大きさだが内包する力は決して巨艦に劣らない。


「瑠璃ちゃん、あっちのが俺の艦〈金剛〉だよ」


俺は〈金剛〉を指で指し示す。それを見た瑠璃ちゃんは小さな声で一言ぽそり


「・・・変なかたち


瑠璃ちゃんの手厳しい感想にちょっとショックを受ける(苦笑)

確かに〈こんごう〉本来のデザインとは異なった装備を改装時に乗せ変えている為、

傍目からから見るとデザインがちぐはぐで非常にバランスが悪い。

造船官としては〈こんごう〉のデザインに合った主砲を乗せたかったのだが、そんな戯けた事が通じる訳もなく。

結局は重量バランスや整備性が優先されこの形に落ち着いた。


「いや〜、これは手厳しいね、瑠璃ちゃん。あれでもナーウィシアの最新の技術を・・・」

「・・・?」


俺の口は途中で止まってしまった。

あれ? このやり取りどこかで・・・。


(いやはや、これは手厳しい。この戦艦は───)


言葉の止まった俺を不思議そうに見る瑠璃ちゃんと彩ちゃん。

俺は誤魔化すように笑う。

まただ、あの白いロボットを見てからますます俺の知らない記憶が思い浮かぶ。

やはりこの記憶は───のものなのだろうか?


そんなことを感じている間にランチは〈金剛〉に接舷した。俺はタラップを上り逆光に浮かぶ〈金剛〉の巨大な艦橋を眺める。


───生きて自分の家に帰ってこれた。


俺はその思いを胸に大きく深呼吸し身体を伸ばす。


「さ、行こうか瑠璃ちゃん」


俺の隣で同じように〈金剛〉を見ていた瑠璃ちゃんに声をかけた。

 

 

─ 第七戦隊旗艦〈金剛〉会議室 ─

俺と副長、エリナさんと瑠璃ちゃん、それに愛さんがおり今後の身の振り方を相談している。

ナーウィシアに行くにしても到着まで1週間はかかる。その間の泊まる部屋や着替えなどを準備する必要があった。


2人ともシャワーを浴び着替えていた。

エリナさんは体格の似た瑞葉クンの服(若干、胸がきつそうだが)を借り、

瑠璃ちゃんは小柄な女性兵から私服を借りていたがそれでも少し大きいようで袖のあたりや襟元がだぶついている。


「そうね、最近働き詰めだったし。バカンスと洒落込むのも良いかもしれないわね。向こうの人間は苦労をかけるけど」


エリナさんの一言でおおよその方針が決まった。


瑠璃ちゃんは瑠璃ちゃんでナーウィシアに移住も厭わないという態度を崩さず両親を悩ませている。

何がそんなに彼女を意固地にさせているんだか。


結局、瑠璃ちゃんを放っておけないエリナさんもナーウィシアに寄り、その間に瑠璃ちゃんを説得してそれから日本に帰国する事になった。


「・・・お話は終わりですね」


そう言って瑠璃ちゃんは会議室を出て行く。

その華奢な後姿を見送り副長に沖田提督から伝えられたことを話す。


「副長、実はな・・・」


俺は沖田提督に言われていたことを話した。

今回のハッキングの件で分かった娘さんの優秀さを認め葛城ラボに迎え入れたいという事。

瑠璃ちゃんが心配だろうからネルガルごとこちらに移住するなら、永住権と会社用施設、日本にあるドックより大きな物を提供する用意がある事。

沖田提督の提案は海軍国であるナーウィシアにとって建造ドックや造船会社はは幾らでも必要な為の措置だった。


「瑠璃を葛城ラボにですか? それは光栄な事ですが、あの子はまだ中学生ですし・・・」

「それは俺も分かっているよ。提督の人材収集癖もここまでいくと行き過ぎのような気がするんだがな」

「そうですね、できれば高校を卒業するまで日本にいさせたいのですが」


暁副長の心配は親として当然の事だろう。

会社も日本にありエリナさんはその社長だ、移住するにしても他の社員の都合もあるだろうし。

瑠璃ちゃんは瑠璃ちゃんでこっちにくるにしても友達もいない環境でどれだけやっていけるか。

だが悪い事ばかりじゃない、身近に瑠璃ちゃんがいれば構ってあげられなかった副長の心配も少なくなるんじゃないか?

今まであまり構ってあげられなかった事を気に病んでいたようだし。


「副長、ナーウィシアにいるというのは悪い事ばかりだけじゃないと思わないか?

日本にいるより瑠璃ちゃんと逢える時間や会話する機会が増えないかな?」

「・・・うっ! それはそうですが。今まで放っておいた分、できる限り話をしたいのは山々なんですが」


悩んでいる副長を見てそれまで黙って聞いていたエリナさんが副長に声をかける。


「ねえ、アナタ、向こうは私に任せてまず瑠璃を構ってあげて。

それに移住も悪くないと思うわ、今回の件で日本には愛想が尽きたし。

ナーウィシアでいちから頑張って故郷に錦を飾るのも悪くないわよ」


エリナさんがにっこり笑い副長の負担を軽くしようとしている。


「だけど会社が・・・」

「心配しなくても大丈夫よ。私を誰だと思っているの? これでも辣腕社長と言われているのよ」


エリナさんはある種の凄みを利かせた笑みを浮かべる。

その顔を見た副長は諦めにも似た苦笑を浮かべた。


「わかった、君の辣腕ぶりは良く知っているさ。それに強情さもね、子供の頃から困らされたものだ」

「良く言うわね、強情なのはアナタもでしょう? 大体、会社を放っておいて軍艦に・・・」


俺は痴話喧嘩を始めた暁夫妻を見、愛さんと共に苦笑する。

まあ仲が悪いより余程良いことなのだろうけど。

愛さんに後のことを任せ、俺は会議室を出ていった瑠璃ちゃんを探す事にした。


会議室を出て窓の外を見ると雨雲が立ち込めていた。嵐にはならなそうな雲行きだったが一雨はきそうだった。

 


− あとがきという名の戯言 −

瑞葉:お馴染みのご挨拶デスけど、最後まで読んでいただきありがとうございます!

隼人:ありがとうございます。

瑞葉:あーやっぱりアタシ出られなかったデスね。

隼人:だから前回の戯言で言ったろ。

瑞葉:そりゃそうデスけど・・・まあしょうがないです。今回は御統提督が登場しましたネ。

隼人:まあ御統提督はいずれ出るキャラだったんで。今回のイメージは水戸黄門だね、助さん(荒々木)、角さん(秋山)を引き連れて懲悪(笑)。

瑞葉:水戸黄門って一体(苦笑)。作中で娘うんぬんって言ってますけどこの御統提督はあの親馬鹿じゃないんデスか?

隼人:そうだね、親馬鹿だけど、元ネタになっているミスマル提督ほど逝き過ぎた親馬鹿じゃないよ。

瑞葉:あの逝き過ぎた親馬鹿加減が彼らしいと思うんですケド。じゃあ、やっぱり娘さんは・・・?

隼人:さて、どうかな(笑)。でも作者が頭を抱えて苦戦しているよ、25歳だからね。あの性格を受け継ぎつつも色気のある大人のイイ女として書きたいみたいだけど・・・書きあがった物を見るとまるで彼女じゃないみたいだって(汗)。

瑞葉:はぁ〜、彼女は特殊デスからねえ、苦労もするでしょ。

隼人:必死になってキャラ構築をやり直しているみたいだけど・・・どうなるやらだ。

瑞葉:ま、自分が悪いんデスからね、作者には死んでもらいましょう(笑)。話は変わりますケド、前回代理人さんの感想で狙撃について書かれてましたね。

隼人:あ、アレ? 遅動信管の爆裂弾っていう設定。向こうの世界の機材はDFがあるのが当たり前なので普通の信管じゃDF命中時に早過爆発が起こる。なので機動兵器や艦船の弾は大体がこれになっているよ。爆裂弾なのはエステの装甲は薄いからDFを突破できれば徹甲弾を使用するまでもないんで。

瑞葉:へ〜、そうなんですか。

隼人:書き方が悪かったのかもしれないけど。

瑞葉:じゃあ次回はどうなるんデス?

隼人:瑠璃ちゃんのキャラ立て話、インターミッションだよ。

瑞葉:と、言うと?

隼人:瑠璃ちゃんが雨が好きな理由と小さい頃の暖かい思い出。それと横須賀での学園生活と今回の誘拐事件の経過だね。

瑞葉:ナルホド、今回の誘拐事件は変に複雑でしたからね。

隼人:まあ日本海軍首脳陣の利権問題までは書かないけど。

瑞葉:そうなんですか? そういう部分って大事なような気もしますが。

隼人:あくまで瑠璃ちゃんのキャラ立てがメインなんで。

瑞葉:そうなんデスか。まあ作者には頑張ってもらうという事で。

隼人:じゃあ時間もきた事だし。

瑞葉:ハイ、じゃあ次回連合海軍物語二十三話「インターミッション・瑠璃」でお会いしましょう。

 

 

 

 

 

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代理人の感想

>爆裂弾

エステを吹き飛ばすほどの爆発が!

んな至近距離で起こって!

剥き出しの人間が無事で済むわけあるかーっ!(爆)

 

まぁ、百歩譲って「全周囲にDF展開中で、DFの中からの爆風は遮られた」と考えることも可能ですが、

(月臣のマジンをYナデシコのフィールドで閉じ込めたことからしても、DFは内部からの外部への物体の移動も遮断します)

それだと「エステバリス」が吹き飛ばされることはありえないので、やっぱり矛盾が生じますね。

爆裂弾である以上機体を丸ごと吹き飛ばすほどのノックバックはありえませんし

(DFで弾かれたなら爆風がそのまま運動エネルギーに変化することはありうるかもしれませんが)、

全周囲にDFを張っていて主人公たちへの影響がなかったとするなら、爆風で機体が移動することも無い(コップの中の嵐です)からです。

まー、些事ではありますがやっぱりツッコミどころには突っ込みたくなるもんなんでご容赦。