『あの機体は初めから自爆プログラムされていたらしいわね。
  相転移エンジンを暴走させたエネルギーを使うようだから……
  この街ぐらい簡単に吹き飛んでしまうでしょうね』

 「どうすんだよ〜!?そうだこのまま一気に破壊して……!」

 『止めた方がいいわよ。誘爆を誘うようなもんだから。』

 「ちくしょ〜どうしたらいいんだよっ!!」

 ナデシコパイロット達が目の前の状況をただ見ているだけしか
 できなかったとき、敵機がいるすぐ隣のビルの屋上にアキトが現れる。
 そしてトランクを開き青いクリスタルを敵機に投げつけると
 《キィィィィィ!!》という耳をつく音と共に青い光が強まり
 アキトと敵機は発生した黒い穴に吸い込まれてしまった。

 「テンカワッ、テンカワー」

 「落ち着きたまえ!リョーコ君!」

 「この馬鹿ロンゲ!こんな時に落ち着いていられるか!!」

 虹色のボソンの光芒が残る戦場に、叫び声が響き渡った―――

 

 

「Blank of 2weeks」

 

 


 (なんかボーッとするなぁ、今日の仕込みは何だったっけ?
  えーっと…ん?そうか俺はナデシコを降りたんだった。
  じゃあいいや、もう少し寝よ………)

 「ナデシコッ?」
  
  アキトは自分が敵と共にボソンジャンプをしたことを思い出し跳ね
 起きる。そして自分が見たことのない部屋にいることに気がつく。
 (あれっ?ここは…俺は生きてんのか?あの時ボソンジャンプしたよな?)
 と自分を取り巻く状況の矛盾に首を傾げていると不意にドアが開く。

 「おっ気がついたか。」

 「あなたは?」

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 「そうか、お前も大変だったんだなぁ。そうだ確かコックやってたんだってな?」

 「そうっス」

 「そのナデなんたらって奴に連絡がつくまで家で働いてみるか?」

 「いいんですか?」

 「おうよ。まぁ最近、雇ってたアルバイトを首にしちまって手が足りねぇんだ」

 と目の前の男性、タナカ=タカシさんは照れくさそうに頬をかきながら
 見ず知らずの俺の話を信用し、さらに雇ってくれると言ってくれた。
 
 
 
  瞬く間に3日間が過ぎた。何故か俺はあのボソンジャンプで2週間前の月に来ていた。
  ナデシコは俺の記憶が間違っていなければ、今はおそらくオモイカネの事件が終わってヨコスカに向かっている頃だろう。
 一緒にボソンジャンプをしたゲキガンガーもどきのことが気になったが、タカシさんの話によれば俺が月にきた時に謎の爆発事故があったらしい。
 運の悪いことに、その爆発によって月の通信機器に異常が発生してその修復作業に、後1週間もかかるらしい。緊急回線は無事だったらしいが、木星蜥蜴の活動が活発化しているため軍が緊急回線を使っていて民間は使用不可能な状態だ。ネルガルの月支社に行こうとも思ったが社員証がなかったし、それにボソンジャンプの人体実験をやるような所は信用できなかった。
  
 「おーい、アキト出前に行ってきてくれ」

 「あ、はーい」

 幸いタカシさん夫妻はあまり深く詮索してこなかったし、タカシさんの娘のクミちゃんも優しかった。
 
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  それから9日程が経ち、予定より大幅に遅れた通信設備の修復が終わった時、
 ナデシコにヨコスカの事件の事を伝えようとしたが、既に遅かった。ナデシコのヨコスカの入港は軍事機密扱いになっていて、通信を封鎖されて連絡をとることができなかったからだ。
  そしてやっと連絡が繋がったのは戦闘が終わってからだった。みんなに自分が月にいることを告げ、通信を閉じた。みんなの無事を確認できて嬉しかったが、ボソンジャンプに巻き込まれ死んでしまったイツキ=カザマさん、破壊されたヨコスカの街。その日は忘れかけていた火星の悪夢を再び思い出した。

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  今日はナデシコが月に到着する予定だ。出前から戻った後、タカシさん達と食事をしている時、突然地震のような揺れが襲ってきた。そして避難サイレンが鳴り響く。
  外に出てみるとあのゲキガンもどきが暴れていた。四方にグラビティブラストを発射し月面都市が破壊されていく。
  俺の脳裏に悪夢が蘇える。燃え上がるシェルター、守れなかったアイちゃん、
 赤いセンサーを向けるバッタ、死んだガイ、破壊されたヨコスカの街…
 体が震えてくるのがわかり、悲鳴を上げそうになった瞬間、サセボで別れ際に言われたサイゾウさんの言葉を思い出した。

 『おまえ、今のままじゃなんもなれやしねぇぜ。逃げてるうちはよ。』
 
 (そうか俺はまだ逃げていたんだ。)
 体の震えは止まり、俺はネルガルの月ドックへ駆けだしていた。

 「月面フレームは小型の相転移エンジンを積んでいるため単独での行動が可能だ。その分図体がでかいから反応速度が鈍い、気をつけろよ」

 「わかりました」
 
 とネルガルの研究者が助言してくれる。
 アキトの乗る月面フレームはエレベーターで上昇中だ。アキトは自分が今までになく集中していることを感じていた。そしてエレベーターが止まり、敵機を確認したとき無意識のうちに叫んでいた。





「俺は…俺はもう逃げないっ!」




 


管理人の感想

モケモケさんからの投稿です。

しかし、これは「空白の2週間」の補完とゆうより・・・歴史そのままのような気が(苦笑)

せっかく久美ちゃんのお父さんを名前付きで出したのですから、もうちょっとストーリーとの絡みが欲しかったですねぇ

あと、久美ちゃんにも活躍の場を(爆)

 


代理人の感想

 

次回に続くっ!

・・・いや、なんとなくそう言う雰囲気じゃないですか。
アニメだとセルから止め絵に変わって「じゃかじゃんっ!」って効果音が鳴るシーン(笑)。
連続物のヒキか、はたまた宇宙の騎士テッカマン最終回(古っ!)か。
まぁ、なんにしろ続かないんですがw

 


別人28号さんの感想

んー 呑気と言うかなんと言うか・・・
なんか淡々とした話です

アキトが後悔し戦争と向き合う事を決意する、というのはわかるのですが



ぶっちゃけ


もう少しアキトを苦しめて欲しかったかな?(邪悪)
血の涙流して慟哭しろとは 流石の私も口に出しては言いませんが(笑)

 


ゴールドアームさんの感想

むー。
残念ですが、『小説』になっていません、このお話。
別の人の感想でも同じ事を言っていた気がしますが、テーマに沿って事実を羅列し、結論を導いても、それだけでは『小説』にならないんです。
ここに何か一捻り、作者ならではのアイディアがないと。
もう少し精進を期待します。

 


龍志さんの感想

まず最初に思った疑問。
アキトは何処で目がさめたのでしょうか?
民間人があっさり入れるような場所で寝ていたって事っぽいですが。
いきなり現れた機動兵器のパイロットを助けて放置する民間人…怪しすぎます。これは無いですね。
というかTV版から見ても最初ネルガルに保護されたのは間違いないようですから、何故そこにタナカさんが入ってこれたのが謎でした。

そしてなによか、展開がTV版と一切変わってないです。

もう少し工夫しましょう(苦笑)

 


プロフェッサー圧縮氏の感想

プロフェッサー圧縮inカーネギー・ホール(嘘)の日曜SS解説・特別版

はいどーも、プロフェッサー圧縮でございます(・・)
今回はAction1000万ヒット記念企画と言うことで、解説役にゲストをお招きしておりマス。
圧縮教授「?」←世界一短い疑問、あるいは問いかけ
ハイ、では作品の方を見てみましょう( ・・)/

「・・・うーむ。何と言うか、何も言えない作品じゃのう」
そうですねー、ってあのー。それって職務放棄じゃ・・・・・・
「いやそうは言うが、作者が何を描きたかったのか何にも伝わってこないのじゃよ」
それはそうですが。
「最後の一文がもしかしたらそうなのかも知れんがなあ。それにしても『何から』逃げないのか良く分からん」
戦争とか、戦う事からじゃないんですか?
「そうと取れないこともないが、文中のイベントが全て等しい『重み』しかないので特定出来んのじゃよ」
しかもそれがあっさり過ぎると。
「そういうことじゃ」

はい、では次の方どうぞー( ・・)/


日和見さん

 ……アキトが前向きになったのは、サイゾウさんから別れ際に言われた言葉を思い出したからというだけでおしまいですか?

 なんというか、状況の羅列だけで終盤までだらだらと進んでいってしまっている感じがします。ひとつひとつをもう少し膨らませて、丁寧に描写していけば、最後の一文

>「俺は…俺はもう逃げないっ!

が読者の心に響くようになると思います。

 


皐月さんの感想

短かったからなのかは分かりませんが、アキトの意識変化の途中描写無く、最後の台詞が唐突過ぎる気がしました。
その為、B2Wならではの、という味が無く、他の話でも多少台詞と文を変えるだけで使えそうな内容になってる気がします。