LOST MIND GET AGAIN 第8話
『螺旋、闇を描く人々の心。光を描く……』


MARYU

今日も今日とて人は変わらず……俺は、自室にいた。
いや……正確には監禁されていた。
自室に何故監禁されていたか……それは前回の話を見てもらえば分かるだろう。
「大丈夫か?」
んで、何故かここにいるのはフェイ……
どうやら同じくエリィに監禁されたらしい。
「ああ……俺はな……少し前に、これよりも遥に精神的に酷い目にあったからな……」
冗談抜きで……人生とはこんなに残酷なものだろうかと思ったぞ、俺は。
フェイはそれを感じ取ったらしく冷や汗を大量に流しながら……
「そ、そうか……」
と言った……
「フェイ……しばらくは黄昏させてくれ……マジで……」
俺は、そう言いながら黄昏れるのだった……
その様子を黙っていたがかなり引きつりながらフェイは見ていた。




バルト

「あいつ等……大丈夫か?」
俺は、今日こそ女性を恐ろしく思った事はなかった。
今回の魔龍の御仕置き(ギラリ☆)……いや(汗)、正当な処罰は俺も一緒に見ていたが……
一言で例えるなら……阿鼻叫喚だぞあれは。
はっきり言って一般人だったら過度の精神疲労で死んでるぞ、間違いなく。
「……マル−には逆らわないでおこう……」
俺は心に固く誓うのだった。




エリィ

「さて……被告人、魔龍 銀、前へ出なさい」
私は何故かナデシコ内の裁判所に居た。
で、何故か裁判官の服を着せられて裁判長をやっているってわけ。
でも、誰も訴えていないのに何故……彼が被告人なんだろう……?
と、一瞬常識的なことを考えてしまうが。
ここは、あの、ナデシコなのだ。社会の一般的な常識は通用しない。
……ま、私の生命維持のために精々彼には苦労してもらおうかしら……
だって、相手が……あの、ホシノ=ルリラ2とマリア=バルタザ−ルなのよ?それに、フィセアさんもいるし……
はっきり言って私はまだフェイと結婚してから二年しか経っていないのよ、まだ、死にたくないわ。
「………………」
魔龍は無言で佇んでいる、駄目よ、そんな恨めしそうな顔しても、あなたの運命は変えられないわ。
私は手元にある文章を静かに読み上げる。(作:BYルリ11)
「被告人魔龍 銀は、婦女子暴行罪を行ったと思え、よって……(汗)」
こ、この刑は……(汗)
い……いくらなんでも(滝汗)
「続けてください(にっこり)」
ルリちゃんが冷ややかに言う、口元に極上の笑みを浮かべてるのが怖い。
「……この刑を言い渡す……」
私はそこでしゃべるのを一瞬止める……しばし途惑うが……
「「「「………………」」」」
今度はWルリちゃんの無言の圧力に押される。
「……被告人は、ナデシコ女性人……ホシノ=ルリ(十一歳)、ホシノ=ルリ(十七歳)における人生の無期懲役……つまり終身刑を言い渡すものとする……」
ようは、強制的に結婚しろってことね。
「なにぃぃぃっ!?」
流石にここまで言われるとは思っていなかったのか、魔龍が露骨に驚いた表情をする。
さようなら……魔龍 銀……あなたはいい人だった……これからの人生を……後悔せずに生きてね。
私は、本気でそう思った。




「ふみゅう……」
が、その騒乱の中に突如乱入してきた少女がいた。
その少女の名はエメラダ=カ−リム……つまり、今回の事件の発端とも言うべき人物だ。
その少女は眠そうに目をこすっている。
当然だ、昨日は多分眠れなかったのだろうから……
……あ、そう言えば!
「魔龍 銀、被告人!!彼女……エメラダ・カ−リムへの……」
と、私が言った時だった。
いきなりエメラダが声を発した。
「なにやってるの?みんな?」
全員が一瞬唖然とする。
当然だ、彼女がされた事に対してこう言うことがおこっているのだ。
ミナトさんも冷や汗を流しながら言う。
「あのね、エメラダちゃん……」
「みゅう……?」
眠そうに目をこすりながら答える。
「エメラダちゃん、昨日……魔龍君と、寝た?」
ストレ−トなその言葉に……
「うん」
と、嬉しそうに頷くエメラダ。
……(汗)
ルリちゃん達の視線が殺気のこもったものになる……ううん。
視線で人が殺せたら殺せるだろう……て、言う感じになる。(汗)
魔龍は……冷や汗を流しどうやら自分の運命准じるべき運命を感じているようね。
ま、自業自得みたいなもんだけど。
しかも……エメラダの一言はどれもとどめみたいなもんだし。
「温かかったよ……すっごく」
「「「「!!??(殺)」」」」
今度は、魔龍さんに視線が集まる。
もう、自分の運命を完全に悟ったらしい、どこか遠い目をしている。
おそらく、彼の心情はこうだろう……
運命の……バカヤロォォォォォ!!!
と。
「(汗)」
全員が沈黙し静かになる。
私がなにか言おうとした……が、またエメラダによって遮られる。
「でも……起きたらいないんだもん……結構、ベットに運ぶのに苦労したのに……」
≪!!!!????≫
場の空気が一瞬凍りついた。




MARYU

……この……やり場のない怒りを俺はどうしたらいいのだろうか?
俺は、そう思いながら拳を堅く握っていた。
周りからみても俺の周りに相当やばい空気が集まっているのが分かるだろう。
ルリちゃん達も先程とは打って変わって冷や汗をかいている。
「ふふふふふ……」
俺は、極上の笑みを浮かべる。
今の一瞬で全員の背中に冷たいものが走っただろう……
「てめぇら……マジで覚悟は出来ているよな?」
俺は、後ろを見、凍てつくような笑みを浮かべる。
「えっと……」
エリィが少しばかり声を出すがそれを俺は無視する。
当たり前だ、まだ未遂なのに……(しかも無罪)で、地獄を見せられたんだからな。
俺の髪の毛がゆらゆらと揺れている……周りの空気が一気に変化しているのは傍目にも分かっているだろう。
……ただ一人、エメラダは状況がわかっていないようだが……
まぁ、気にする必要はない。
「スペシャル……お仕置き位は……覚悟しておいてもらおうか?」
≪!!??≫
全員が凍りつく。
エメラダは未だに状況がつかめていない。
まぁ……彼女は除外するが……
すでに退去しようとしている人物も何人かいるが……
俺は、強制的に魔力で扉を閉めアストラル・サイドに結界を張る。
つまり……ここは完全な密室になったわけだ。
「ふふふふふ……」
俺は、静かにみんなの元へと歩いて言った。




「ふ〜……すっきりした〜」
俺は、周りを見てみた……
そこには、男女問わず皆が、精神的ダメ−ジで倒れていた。
エメラダには耳栓をしてもらったので大丈夫だろう。
勿論、俺もしている。
ま、ダ・サイダ−のダジャレ、オンパレ−ドに耐えられる奴はいないだろう(笑)
マキ=イズミだけは平然としているが……まぁ、あいつなら納得。
第一、あいつは今回の件には関係ないしな。
「んで、エリィ俺は有罪か?無罪か?」
そう声をかけると裁判長こと、エリィはよろよろと立ち上がって震える声で言った。
「無……無罪…(ガクッ)」
俺は、その様子に満足の笑みを浮かべながらナデシコ裁判所を後にした。
「さぁ、エメラダ行こうか?」
俺は、そう言いエメラダの手を引く。
ふっ……正義は勝つ!




RURI(11)

その後……私達はナデシコ裁判所で半日も寝ていました……
今度から、迂闊にあの人に手を出すのは止めよう……それこそ、死活問題にかかわりますよ……
私は、頭に手をやりながらそんなことを考えていた。
ですけど……この瞬間、辛いような楽しいような時間は終わりました。
ビ−ッ!ビ−ッ!ビ−ッ!
警報です、この警報は……!?
私は慌てて体を起こしました。
―――オモイカネ、どうしたの?
私がそう問い掛けるとオモイカネはすぐに答えました。
『謎の戦艦が、100隻ほど着ています』
「百隻!?」
私は、オモイカネの報告に驚いてしまいました。
205万……以前、そんな大軍隊が送られてきました……
ですが、その大半……確か…撃沈数は204万9980隻は破壊したはずです。
その状態で……百隻の艦を送ってくるなんて……
私は驚きを隠せませんでした。
「おいっ!てめぇら!とっととブリッジに来い!」
魔龍さんがコミュニケを開きながら言います……
……この状況を作ったのはあなたでしょう……?
……とは、とても恐ろしくて言えません。
「はい」
私は立ち上がりブリッジの方へと歩いて行った。
ちなみに、他の皆さんはまだ立ち直れないでいます。




「魔龍さん、どうですか?」
私はブリッジで辺りの様子を魔龍さんに聞く。
魔龍さんは後ろを振り向き……
「どうやら……敵艦は全てナデシコ級艦らしいぜ……」
!?……ナデシコ級艦!?
それも……百隻も……!?
私は余りの事に一瞬硬直してしまった。
「今は、ニュ−とウリバタケが合同で作ったディスト−ション・フィルタ−で騙し騙しやってるが……そう、長くはもたねぇな……」
「ディスト−ション・フィルタ−……?」
と、私が囁くとバンッ!と、後ろからなにかが出ました。
「はい、説明しましょう!」
私たちが振り向くと……いたのはイネスさん……(汗)
あなた、いつの間にいたの?
どうやら、魔龍さんも気付かなかったみたいです、冷や汗かいてます。
「ディスト−ション・フィルタ−とは、このナデシコとガ−ベラ、それにユグドラシルX世に新しくつけられた物です。その正体は小型送転移エンジン搭載の中国の四聖獣の名前を冠した四つの、ま、衛星みたいなものね」
「……四聖獣…てぇと、北の『青龍』南の『朱雀』東の『白虎』西の『玄武』……か?」
「ご名答!」
イネスさんが嬉しそうに頷く……説明できたのがそんなに嬉しいんですか?
でも、いつの間に作ったんでしょう?
「それで、それぞれの物にはガ−ベラクラスのデスト−ション・フィ−ルドの効果があって、それを相乗効果によって本来のディスト−ション・フィ−ルドの出力を16倍にもしたものに最終的になるのよ」
「「16倍!?」」
……出力系が無茶苦茶な値を示していたのはそう言うわけですか……
ですけど……?
「はい」
「なに、ホシノ=ルリ」
「ですけど、それほどの出力があるのならグラビティ・ブラストの百や二百、受けても大丈夫なんじゃないですか?」
私はそう言う……ですけど、イネスさんは溜息をつきながら……
「そうね、百や二百なら大丈夫でしょう……でも、今ので合計攻撃回数……グラビティ・ブラストだけで何回か、分かる?」
イネスさんがそう言ったので私は計算を始めます……
………あっ(汗)
「合計、攻撃回数……グラビティ・ブラストだけですけど……ナデシコに6000、ガ−ベラに8201……ユグドラシルX世は……7452です」
……よく持ったものですよ、ホント。
「新装備でもかろうじて持ちこたえているようなもんなのよ」
そう言い四聖獣のパラメ−タ−を見て見ます。
……朱雀、50%。玄武が62%です……青龍48%、最後に……白虎だけど、34%……確かに、よく持ちこたえている方です。
「でも、このままじゃジリ貧だな……」
魔龍さんが焦った声で言います。
イネスさんはその言葉に答えました。
「そのとうりね」
……と。
て、冷静に返している暇じゃありませんよ。
………………
「しゃあねぇ……出るか、俺が……」
魔龍さんはそう言うと、ブリッジを出ようとします。
「ちょっとまってください!」
私は慌てて魔龍さんに声をかける。
魔龍さんは振り向く。
「なんだ?」
「勝算はあるんですか!?」
私が言った言葉に魔龍さんは沈黙します。
……やっぱり……
「無理……しないでくださいよ……」
私は静かに言う。
魔龍さんはそれを黙って聞いていた。
「あなたが……倒れたら……皆さんは何をよりどころにすればいいんですか?」
「………………」
「あなたがいない間……ナデシコ内がすごく静かだったんですよ……!どうしてか、分かります?」
私は、静かに言います。
でも……魔龍さんは、私が言う一言一言にどれほどの感情がこもっているのか……気付いているみたいです。
「……テンカワさんと魔龍さんがいなくなった時……私達は、ものすごく落ち込んだんです。その時、気付いたんですよ……私達の元気は、魔龍さんやテンカワさんを中心にあったものなんだって……」
「………………!」
少し驚いたような顔をします。
私は魔龍さんの黒い瞳をじっと見つめました
……しばらく、沈黙が落ちます。
それから、しばらくしてから不意に魔龍さんが口を開きました……苦笑しながら。
「はは……まさか、ルリちゃんにそう言われるとはな……でも、安心してくれ」
言わないでください……私自身、ナデシコに乗ってから……魔龍さんと出会ってから、すごく変わったって分かってるんですから。
「第一、死ぬつもりなんてねぇぜ、俺が死んだら……みんなが悲しむのは分かってるからな……」
魔龍さんの言葉に安堵すると同時に、私は無力感に囚われていた……
そう……いつも、結局はこの人に頼っている……
「正直……あれは、使いたくなかったがな……」




MARYU

「何を考えてるんですか!?あなたは!?」
俺の言った言葉にニュ−は怒りの表情で答える。
全員が、あの、温厚なニュ−が大声を出しているのに目を見開いてみていた。
だが、誰も口をはさまない。
「危険は百も承知だ、けどな、あれを……L・Dを使わなきゃならねぇんだよ」
「あなたが直接出ればいいでしょう!?L・Dなんかに乗るよりかはよっぽど生存率が上がりますよ!?」
ニュ−が一件無茶苦茶な事を言っているように思えるだろう……が、それは事実だ。
俺は、大抵のギアなんかよりもよっぽど強いしむしろ、あれに乗るのは自分に枷をかけるためなんだから……
「……それでも、あれを出してくれ」
「ロ−ド・ディスティニィ【L・D】は、確かにあなた専用のギア・パ−ラ−ですっ!ですけど、あの機体には通常とは違う欠陥があるんですよ!?それもとんでもない……人の命を吸って力に代えると言う欠陥がっ!!」
その言葉に、周囲がざわめき始める。
だが、俺はあえてそれを無視した。
「確かに、な……でも、大丈夫だろう」
「何を根拠に言ってるんですか!?以前は、全く失敗してるのにっっ!あれで、一回死にかけたのを忘れたんですか!?五百年前に!」
……そう、以前はあのことを全く知らなかったから本気で死にかけた。
ラカンを……みんなを救うために……俺は、捨て身の一撃を放った……
機体自体は無傷だった、けど……搭乗者である俺は、生命力を取られて……
「……まさか、あの時の機体か!?」
フェイも驚きの声をあげる。
「……そうだ、ぐっ……」
一瞬……胸に痛みが走る。
『俺』は、すっと格納庫に本来あるはずのないこの機体を見上げる。
これは、ニュ−が以前封印したものだった。
二度と……使う事がないように、と。
「ともかく!L・Dに搭乗する事だけは絶対に許しません!!」
ニュ−はきっぱりと言い切った。
「……ならどうするんだよ!?」
『俺』は、思わず声を張り上げた。
その声の音量に全員が驚きの表情を見せる。
「確かに……ニュ−、てめぇの言うことも一理ある!だがよ、アキトはいない、そして、アキトクラスのエステバリスライダ−はここには俺とフェイしかいない!だが、はっきり言って、その二人では全部が殲滅しけれねぇ!?出来たとしても……誰かが死んでる!一人も仲間を犠牲にしないでどうやって戦うって言うんだよ?!」
その言葉はとっさに出てしまった言葉。
……そのときの『俺』にはこの言葉がどれだけきつい言葉かは一瞬理解できなかった。
否、出切る筈がなかった。
「……魔龍さん……ですが……」
「もう……嫌なんだ……!」
『俺』は、感情を押し殺して言う。
「俺のために……誰かのために……大切な何かを失うって言うのは……!!だから、だから!!最も、生存率の高い、俺が行こうって言ってるんだ!」




EMERADA

「魔龍さん……」
全員が、魔龍さんを見つめている。
魔龍さんは、強い瞳で言った。
「それに俺は死なねぇ!いや……死ねねぇ!俺にはまだ遣り残した事が、ある!」
魔龍さんはそう言い剣を握る。
後ろにある、長い剣……を……
「黒神の剣!それをどうするつもりなんですか!?」
ニュ−さんはそう言いながら、魔龍さんに近づきます、魔龍さんはそのニュ−さんを睨みつけながら言った。
「てめぇの望み通り、俺が生身で戦ってやるよ!本気でな!!」
そう言い、クルリと後ろを向きます。
「魔龍 銀、出る!!」




RURI(17)

全員がその光景に唖然としてしまいました……
魔龍 銀……単体で……
確かに、英雄や……大いなる希望……そう言う風に言われていましたよ……ですけど!
100隻……全滅。
「信じられない……!」
ユリカさんがそう言います。
ですけど、これは現実なんです。
しかも、です。所要時間が3分……
「これを……見せたくなかったんですよ、あの方は……!なのに!」
フィセアさんがニュ−さんを睨みつけながらいいます。
「分かっています!……ですけど、あの人が……死ぬよりかは良かったじゃないですか!?」
「分かっていません!!あの方は……!あの人は……!うっ……」
フィセアさんが何を言いたかったのかはなんとなく理解できました……
確かに……これほどの力を持っているなんて……
「……あの人は……自分だけを、特別視されるのを嫌がっていた……どうして、こんな力があるんだろう、て……後悔もしていました……!なのに!ニュ−さんあなたは煽ったんですよ!」
「………………」
今度は、ニュ−さんが黙ってしまいました。
「大丈夫ですよ……」
私は囁くように言う…あの人の作り出した光景を見ながら……
「大丈夫ですよ……あの人は……」
「ルリ……さん……」




「魔龍 銀、ブリッジ・イン」
いつもの調子で、あの人が帰ってきました。
別に、変わった様子はありません。
「なぁ……率直に聞くが」
≪えっ……?≫
一瞬硬直するブリッジ、ですけど魔龍さんは気にせずに言った。
「俺、どうして宇宙にいたんだ?」




………………………
場の空気が、ある意味重くなっています。
全員の瞳が魔龍さんを呆れ気味に見ます。
流石にその視線には複雑なものを感じたのか、魔龍さんは眉をひそめます。
「お〜い、おめぇら返事ぐらい……ぐぅ……!」
すると、魔龍さんが胸を抑えた。
今度は全員が驚いた表情で魔龍さんを見ます。
「大丈夫ですか?!」
マリアちゃんが魔龍さんに駆け寄ります。
「ちっ……ああ……大丈夫だ…それにしても、やべぇな……」
マリアちゃんが安心した表情になります。
どうやら、今回の発作は一瞬だけだったみたいです。
私は安心してしまいました。
「どうやら、刻印が力を発揮したらしい……俺の意識は、L・Dを見上げようとした所で途絶えたんだが……」
そこで、また唖然とします。
……でも、あの刻印って。
「前回は説明が足りなかったな……前のときは、この刻印は『俺を殺す』そう言ったよな?」
「はい」
魔龍さんの言葉に私達は頷きます、確かにそう言いました。
「そう……あの刻印は俺の『感情』を一時的に『破壊』するものらしいんだ」
≪!!??≫
感情を……破壊!?
「て、言っても俺の意識を完全に絶って、本来なら言うはずもない事を言ってしまうようなもんだ……これを解く方法は二つしかない」
魔龍さんは指を折りながらいいます。
「一つは、呪術師本人を殺す事……だがこれは、実質上不可能に近い」
「……えっ!?」
先程見せられた力を見たら、そんな事は簡単な事に思えます。
ですけど……
「俺達のような特別な存在は消える事がない。消えたら、それこそ世界が壊れる」
「なぜ、だ?」
リコさんが疑問符を浮かべながらいいます。
でも、本当にどうしてなんだろう?
魔龍さんは溜息を付きながら……
「例えばだ……俺の存在が消えたとしよう、それはつまり、『奇跡』と言う力が完全に消えてしまう事を意味するんだ……」
≪ええっっ!?≫
驚きです、魔龍さんが全ての奇跡の根源だったなんて……
「同様に、デスピア−の存在……つまり、『絶望』と言う概念が消えてしまう事もない。それに、だ、もし……もしも、世界に本来あるはずのものが消えたら……今まであった、『法則』が壊れる事になる。それは、あってはならない」
それはつまり……運命や必然、奇跡や絶望と言った表しきれない存在【もの】達が『存在』できなくならないための事……なのでしょうか?
「つまり、結論から言えば、デスピア−が死ぬことは、絶対にない」
重々しくその言葉を紡ぎます……
「では、もう一つの方法とは?」
ユリカさんがいいます。
……正直、最近のユリカさんは元気がありません、心配です。
やはり……アキトさんのことが……?




AKITO

流れ込んでくるような感覚……これは、夢?それとも、現実なのだろうか?
俺にはこの不確定要素を理解しきる事が出来なかった……
ただ、いえるのは……魔龍 銀と言う男がなんとも悲しい運命を背負ってきたと言うことだろうか。
『改めて……自己紹介しようか』
『……はい』
俺は魔龍 銀と言う男の視点からその少女を見ていた。
その少女の名は……ティナ・ハ−ヴィ……
今はもういないであろう少女だ……
魔龍の人生の歴史を見れば見るほど戦いと言う概念で縛られていると言うことが分かった。
『俺は魔龍 銀……魔龍って呼んでくれ』
『ティナ・ハ−ヴィです、多分。……よろしくお願いします』
魔龍ははにかんだような笑みを見せる。
時にはこのように人を救った魔龍……だが、お前は救われているのか?
俺は、やりきれない思いを抱いたまま新たなる魔龍の記憶を記憶しにいった……
一体実際の時間ではどれほどたったのだろう?
俺は、魔龍の余りに長い歴史を……数では表しきれぬほどのドラマを見ていた。
それは……俺が、目覚めてない事も、また暗示していた。




MARYU

「ふう……」
心から、疲れたとしばらくぶりに感じられた……それは、一種辛いものなのかもしれない。
まるで、自分の気持ちが混沌としたものになったような気分だ。
辛かった……目の前にいる、大切なものがこんなに重くなるなんて……
先程までの楽しかった時間……あれが、嘘のようだった……
確かに、結構辛い、精神的攻撃は受けた……でも、それでも平和だった。
だから……それがなくなったとき、俺は一種の喪失感を味わっていた。
そう考えるのが、辛かった。
プシュ−。
不意に扉が開く。
俺の部屋は今、ロックされているはずだった。
なら……こんな事ができるのは……
「ルリ……か?」
俺は、囁くように言う。
俺の言葉に、彼女は予測どうりの言葉を返した。
「はい……そうですよ……『魔龍』さん」
「……ああ?」
俺は、少しばかり疲れていたのかもしれない。
……だから、多少なりとも気付かなかった。
彼女のその決心したような表情に。
「覚えてますか、魔龍さん……私とあなたの出会い方を……?」
少し、怯えた用に言う彼女に俺は頷いた。
「勿論だ、確か……雪の日、だったな」
「……はい」
彼女は静かに頷く。
あの日、俺はアキトを守りきれなかった……そして、その足であいつの遺言の一つである『自分の家族を守ってくれ』を実行に移した。
そして……電子の妖精と呼ばれる少女に出会った。
「あのときから、私はあなたの事を『お兄さん』と呼んでいました」
「そう言えば、そうだった、な……」
俺は、思慮深くその言葉を返す。
無論、彼女はそんな事を気にしない。
「でも、今はあなたの事を『魔龍さん』と呼んでいます、それがどう言うことか分かりますか?」
「……………?」
考えた事もなかった、確かにそうだ。
「それは、私があなたの事を『一人の男の方』として見たからなんですよ……昔は、『優しいお兄さん』だったんですけどね……」
「………………」
彼女の肩が振るえている、言葉を紡ぐのが恐ろしいかのようだ。
だが、それでも彼女は言う、俺のために……
そして、俺もその言葉の後は大体予測が出来た。
「私は……あなたの事が本当に好きです……愛…してます」
後半の方は聞き取りにくかったが、その言葉に俺は少なからずともショックを受けていた。
……さっきのあの騒ぎはふざけていたと言うのもあって余りそう言うことには意識が変換できなかった。
だが……彼女のその潤んだ瞳が……怯えたような視線が、それを俺に真実だと確定させていた。
彼女はなおも言葉を紡ぐ、俺に近づきながら……
「私なら……いつでも…その……いいん、ですよ」
彼女の言っている言葉の意味は俺にはすぐに理解できた。
頬がほんのり赤く染まっている少女……自分の妹だと思っていた少女……
だが、その少女は秘めていた思いを口にした時、俺の妹ではなくなった。『一人の女』になったのだ……だが。
「……わりぃ……」
俺は、そう言った。
なるべく……彼女を傷つけないように言葉を選びながら……
「ルリ……お前は、俺の逃げ場になろうとしてくれてたんだな……」
「違います!そうじゃなくて……」
だが、俺は首を振った。
「分かっているさ、でもよ……もし、このままお前を抱いていたら……それは、俺がお前を逃げ場にしている事になる」
俺はきっぱりと言い切る。
それは愛じゃない、それは恋じゃない……だから……
「だから、俺は……お前が、本当に愛するべき人になった時……その時こそ、お前を……抱きしめたい」
……これは、俺の本心だった。
そして……感謝の気持ちだった。
……俺は、自分が思っていたよりも、もっとこの大切な人たちに助けられていたんだ……
それが改めて自覚できた、その事に対する……感謝だ。
「……はい……」
ルリはちょっと残念そうに、そして……嬉しそうに俺の言葉に頷いた。
そして、俺はその様子を優しい気持ちで眺める事が出来た。




アキト……ナデシコのみんなは確かに生長しているぜ。
強く……そして、優しく『人として』




座談会INマリア


銀:どうも!魔龍です。
マリア:こんばんは、マリア=バルタザ−ルです。
銀:おやぁ……(汗)随分と不機嫌ですね。
マリア:ええ(にっこり)、ルリさんとエメラダちゃんにあれだけいい役が回ってきているんですから。
銀:は、はは……あ、安心してくださいよ!一人一役は用意していますから!
マリア:本当ですか?
銀:はい!それが、今回の『刻印編』の醍醐味ですから。
マリア:『刻印編』?
銀:あっ!その説明をしていませんでしたね。その、『刻印編』とは……
バッ!と証明が落ちる。ガァン!と、言う音が一つ……そしてあかりがつく。
イネス:はい!そこから私の出番ね!『刻印編』とはなにか?説明しましょう!
マリア:(汗)……あの、作者さん……頭から血を出してますよ、それに……そのハンマ−は……
イネス:マリアちゃん、世の中には気にしちゃいけないことが一杯あるのよ。
マリア:は、はぁ……(汗)
イネス:それじゃあ、もう一度説明しましょう!
『刻印編』とは……つまり、魔龍君の刻印が取れるまでの編ね……前の、六話までが『火星編』それで、この次が『復活編』詳しい事は話せないらしけど……それで、最後に『最終決戦編』ね、つまり、大まかに分けて『四つの編』で構成されているわけ。
マリア:はぁ……?
イネス:ま、そう言うわけだからじゃあね。












おまけ

「魔龍様ぁ(泣)」
「な、なんだよ?」
俺は、いきなり自分の部屋にきた少女にビックリしながら言葉を返す。
だってな……瞳から大粒の涙をたくさんだしているんだもんな。(汗)
「ルリさんがさっきここにきたって本当なんですかぁ!?」
「うっ……だから、なんなんだよ?」
俺がそう言うと……後ろから、底冷えするような声が聞こえた。
「私も聞きたいですね」
「る、ルリちゃん!?」
そして……二人は俺に近づき……
がしっと、腕をホ−ルドさせる。
「「さて、行きましょうか!」」
「勘弁してくれぇぇぇェェェェェェェ!!」
俺の声がナデシコに内に轟いた。




「はぁ……本当に、ばかばっか……」
緑色の髪の少女がそう囁いたのは言うまでもない……
だが、これは銀色の髪の毛を持つ十一歳の少女の台詞だろう?

 

 

 

管理人の感想

 

 

魔龍さんからの投稿第八話です!!

う〜ん、アキト君は目覚めませんね〜

今後の展開ではどうなるのでしょうか?

それにしても、生身で100機撃墜って・・・

どうやって戦ったんだろう?(苦笑)

 

では魔龍さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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