LOST MIND GET AGAIN
第十話『ロ−ド、そして……』


AKITO

「なにが……おきてると言うんだ?」
俺は、外の様子をみて思わず言葉を漏らした。
ナデシコ外では、すさまじいまでの戦闘が行われていた。
その様子は、火星での戦いよりも規模が大きい。
起きたばかりだけどな……行かないと……
「……イメ−ジング……L・ア−スコクピット……GO!」
俺の叫びと共に、光の粒子があたりを包む。
そして……シュン!!
俺の姿はその場から消えた。




「こらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!誰だ、勝手にL・ア−スに乗ってるのは!?」
ウリバタケさんの声が俺の耳に届く……
もう、随分と聞いていなかったような気がする……本当の人間の声は……
俺はそう思いながら、コミュニケを開ける。
一瞬、唖然とするウリバタケさん……他の整備員も同様だ。
「テ、テ、テ、テ、テ……テンカワァ!?おめぇいつの間に!?」
「……時間がないんだ、ゲ−トを開けてくれ」
俺は、静かに言うとL・ア−スをフル稼働させる。
L・ア−スのシ−クレットモ−ド、『コロナ』が発動する。
「わ、分かった!!お前等!ゲ−トを開けろ!L・ア−スが出るぞ!!総員、緊急避難だ!!」




MARYU

「だぁぁぁぁっ!!」
「はぁぁぁぁっ!!」
ガキィン!!バキィ!!
剣と、薙刀がぶつかりあう。
俺と、デスピア−の戦いは平行線だった。
一対一の対決……お互い、手加減抜きの本気の出し合い。
すでに、問答無用の次元にまで飛躍していた。
数度、剣をまじあわせた後、お互いにすばやく動き後方へと下がる。
スッと、お互い武器をけし小さく、そして大きく魔術の構成を編む。
「全てを貫け、竜牙よ!」
突き出した両手から魔術の黄金の竜がほとばしる!!
「喰らえ!!」
逆に、奴も黒き竜を作り出し放つ。
二つの竜は、互いの力を相殺し消えた。
だが、その合間すらとらずにお互いに行動していた。
俺は、思いっきり大地をけり先程と同じように魔力を込める。
だが、今度は先程とは威力がちがう!
見ると、奴も同じような行動を取りお互い目の前まで来ていた。
同時に手を突き出し、同時に叫ぶ!
「カオス・フレア!」「デス・フレイム!」
赤い炎と、青い炎がほとばしり辺り一体を爆光で包む。
だが、それでもお互い引かなかった、いや、引けなかった。
先程の、魔法を撃った体制のまま力で押しあっていたのだ。
ぎりぎりと大地が震え、大気がすさまじいまでに揺れ動く。
二つの相反する力はプラズマのようにあたりに光を撒き散らす。
戦いは、徐々に激化していった……




AKITO

「とりあえず、調整は済んでいるぞ、そいつはお前専用になっている!!」
ウリバタケさんの言葉に俺は、頷きながら答える。
「ありがとう……でも、安心してくれ」
俺は目を瞑り……そして、見開く。
「絶対に生きて帰る!!」




RURIKO

「ウルトラ旋風!!」
「光の弓!」
私と隊長が同時にゲ−ト技を使う。
「片腹いたいわぁっ!!」
だけど……奴は、それをあっさりと消し去った。
ネクロフォビアはともかく強かった、あの、影山すら全く足元に及ばないといってもいい。
それほどにまで強い……私達が力を合わせても怪我どころか、かすり傷すら負わない……攻撃が、かすらない。
「くっ……タイチョさん!ゲ−トロボしかないネ!」
「悔しいけど……私たちじゃあ歯が立たないわ!」
二人が……凰と、ジュンさんが悲痛な声をあげる……
うっ……
「隊長!お願い!」
私が、悲痛な声で言う。
見ると、雪乃ちゃんも同じような視線を送っている。
「ルリッぺ……みんな…分かった!行くぜっ!オ−プン・ザ・ゲ−ト!!」
そして、隊長の三次元積層立体型ゲ−トが現れる、そのゲ−トは第二段階にいるゲ−トキ−パ−の証だった。
「行くぜ!!」
おおおおおおおおおっ!!
隊長の勇ましい叫びと共に、ゲ−トロボもその言葉に答えるように叫ぶ。
だけど……私は、共に戦えない苦しみに唇をかんだ。




AKITO

「ア−ス・ブレイク!!」
俺は、L・ア−スに装備されている剣を握り締め、振るう!
しかも、この剣には特徴があった。
ようは、地球……フォ−ス・エレメント【四大元素】を操る力だ。
これも、魔龍の記憶のなかを夢と言う形で見たおかげで得た知識だった。
だが……敵は多い!
以前の火星の戦いの時なんかよりも遥に多くの敵がでてきている!!
しかも、ナデシコ級戦艦も投入されているらしく、たった三隻では太刀打ちできない。
「ならば…『コロナモ−ド』!!『プロミネス』発動!!」
ブワァァァ!!
L・ア−スの後ろの部分に付いているパ−ツが前方に倒れる。
ボディの部分にくっつき、蒼い流線的なボディを覆い隠す。
両肩に鎧のような形の肩ア−マ−が出、フットパ−ツは鋭角な形になる。
ア−ムパ−ツは先程まで装備していた剣が右腕にくっつき左手には銃が装備される。
ブゥン……
蒼かったアイが黄色く変色する。
そして、それを最後にL・ア−スのボディ赤く輝きだす、その光は名前の通りプロミネスだった。
炎でL・ア−スが包まれる。
そして……この『プロミネス形態』の必殺技!!
掲げた右腕が炎を強く帯び、徐々にその炎は竜の形を取ってくる!
その竜の炎はついに頂点に達した!!
「行くぞ!炎竜十爆殺【えんりゅうとうばくさつ】!!」
グォォォォォォォガァァァァァァァ!!!
すでに暴走としか取れないような凄まじい音が轟きわたる。
ビュン!!
その様子は……さながら、太陽のごとく……
L・ア−スが紅き炎をまとい木星の兵器群を破壊して行く。
グガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
断続的に続く爆発の山……だが……




MARYU

「うぉぉぉぉぉ!魔闘鬼神流 奥義 北辰一点 光昇爆裂撃断呀ァ!!【こうしょうばくれつげきだんが】」
「その程度の攻撃……なんでもないわぁ!!奥義 破神滅消!!」
ズドガァ!バガァァァァァン!!
一撃一撃が全ての波動によって飲み込まれるかのごとく破壊力を生み出す。
そう、これが俺と奴との戦い……虚しいだけの戦い……
「……ッ!!」
俺はグッと両手を前に突き出す!!
「カオスティック・エン……!」
俺がそこまで言った時だった!
「貴様ぁ!馬鹿にしているのか!?」
そう言い、俺の懐に現れたのはデスピア−だった。
……ッ!!
ボガァン!!
「ゴホッ!!」
ズガガガガガガガガガ!!
腹に一発……今のはかなりいてぇ……
俺はよろよろと立ち上がる……
「けっ……馬鹿なこといってんじゃねぇ……手加減…なんざ……できるわきゃねぇだろう……!」
「ふん……その割には、仲間を庇いながら戦っているようだな!?」
デスピア−はそう言いながら、憎憎しげにはき捨てるように言った。
だが、次の瞬間妙案が浮かんだように顔を輝かせた……残酷な笑みを。
「くくく……これはいいわ……フォビア!」
「ハッ!」
ネクロフォビアが戦いながらも敬礼を交わす……とは言え、シ−ルド内にいるのだが……
「魔龍がもしまた変な風に手加減するようだったらそこにいるの全部殺していいわよ?そうすれば気も変わるでしょうから」
「デスピア−!!てめぇ!!」
俺は、遂に奴に怒りを覚えた。
「そうよ!怒りなさい!もっと怒り、私との戦いに集中しなさい!!」
「ゆるさねぇ……他人を巻き込んだ……てめぇだけは!絶対にゆるさねぇぇぇぇっっっ!!!」
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
風が、大地の全てが……俺のなかに力を注ぎ込む!
俺は、右手を掲げた!!
「我が右手に運命なる究極!!」
右手に現れる、アルティメット・ブレ−ド。
「我が左手に必然なる虚無!!」
左手に現れる、カオス・ブレ−ド。
「くくく……そうだ……全ての力を出せェェェェ!!」
そう言い、奴もその端正な顔を歪ませ言う。
やがて二本の究極の剣が光りだす。
その光は、やがて一つに収束して行く!
それは、ファ−ストとの戦いの時に生まれたあの剣だった。
「運命と必然……そして、その力を超える奇跡よ!我に、大いなる力を与えよォォっっ!!」
そして、遂に生まれる究極剣!!
「カオス・アルティメットブレェェェェェェェドッ!!!」




JYUN・S

「カオス・アルティメットブレェェェェェェェェドッ!!!」
魔龍の叫びが木霊する。
その叫びはなぜか悲痛そうなものでありながら、私達に絶対的な安心を与える。
……これが、信頼できると言うことなのだろう。
だが……私達の方が好転したわけではない。
「そろそろ……飽きたな」
ネクロフォビアが言う……それは、私達にはとてつもなく屈辱的な言葉だった。
でも……認めるしかない事実。
力の差は、天と地ほどあった。
それこそ、像と蟻が戦っているようなものだ。
「くっ……あきらめるなみんな!!あきらめたら……そこで終りだ!最後の最後まで……どんなに絶望的でも抵抗するんだっ!奇跡を信じて!!」
隊長が隊員を叱咤する、そして……私も含めて皆諦めていなかった。
でも……本当に、立派な隊長になったわね……浮矢……
「ええっ!!」
ルリ子の生命のゲ−トが光り輝く!
「はいっ!」
かおるの、迫撃のゲ−トが輝きを帯びる。
「……オ−プン」
静かだが、不屈の闘志見せる操。
「やるしか……ないネ!」
小さいが皆と同じように大きな心を持つ少女……凰の百獣のゲ−トが彼女の前に開く。
「行きますよぉぉぉぉ」
麗子がのんびりだが心強く言う。
「………全ての戦いを終わらせるため」
ふぅっと……氷雪のゲ−トから冷たい風が吹く。
「まだ……終われないデ−ス!!」
赤い、爆熱のゲ−トがフランシ−ヌを真っ赤に染める。
「やるしか…ない!」
私の声を引き金とし皆のゲ−トが強い光を帯びる。
そして、全員の声が重なる!
≪オ−プン・ザ・ゲ−ト!!≫
その全てのゲ−トが、隊長のゲ−トロボの前に集まる。
「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
全ての力を隊長が注ぎ込み敵に命中させる!!
ボガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
土煙がおき、視界が遮られる。
どうなっているの……?勝ったの……?
全員がそう思っただろう。
だが、それは認めたくないが事実だった。
煙の中から影が現れる。
全く……そう、全然それこそかけらも傷ついていなかった。
ブォォォォォォォ!!
風が巻き起こる、それは隊長が与えてくれる安心できる優しい風ではなく厳しく冷たい極寒の風だった。
「終りだぁぁぁ!!」
奴の瞳がカッ!と開かれ闇がこちらに迫ってくる!
ボガァァァァァァァァァァァァァン!!
誰もが死を覚悟した……




MARYU

沈黙、静寂、緊張、集中。
今の俺と奴の……デスピア−の状況はこうだった。
お互い、プレッシャ−を掛け合いながらも相手の隙を見つけようとする。
無論、お互いそんなものがないのも分かっている。
だが、落ち着いている奴に比べ、俺は逆に冷静さを欠いていた。
理由は簡単だ、相手が失うものがないのに対し、俺には失うものが多すぎるからだ。
しかも、その全てが今消えるかもしれないのだから……冗談じゃねぇけどな!!
すでに、お互い封印が完全に解けている。
今の状態で、一撃を放つのは……相当危険だ。
ここが、宇宙空間で周りに何も無ければ……いいのだが。
今、俺がいる場所はシェバトだ……ここで本気を使うわけには行かなかった。
しかし、この静寂が敗れたのは意外な形であった。
ボガァァァァァァァァァァァァァン!!
その音が聞こえた瞬間、ほぼ一瞬だが、俺の注意がそれた。




SYUN

誰もが死を覚悟していた……が、助けは意外な所から来た。
「いやぁ、間に合った!間に合った!」
その男は、俺と同じぐらいの年だった。
特徴的な、真紅の髪、真紅の瞳……
肩の小龍……
「どなたですかぁ?」
麗子さんがいつもの調子で聞く。
男は、ふふふ……と笑いながら。
「援軍だ、僕の名前はクレセリア・フィルだ」
男……クレセリアが言った。
「これでも、魔龍一味(笑)の一人なんだ」
……ようは、マスタ−クロスの人間ってことか。
クレセリアが、そう言ってそのままネクロフォビアの方を向く。
「随分と変わったなぁ、ネクロフォビアさん。君は前は騎士道精神溢れる性格だったのにねぇ」
「……ただ単に、私の存在理由が薄くなっただけだ。大いなる始めを創りし者にに創られし者よ」
大いなる始めを創りし者に創られた者?どう言うことだ?
でも、クレセリアは表情を全くかえなかった。
「ふ〜ん、そう言うってことは……僕の存在がどんな存在か知ってるんだ、『絶望の称号』を持つものに教えられたんだな」
「その通りだ」
そう言いながら、クレセリアは銃を持つ……あれは、ピ−スメ−カ−だ。
似てるけど……でも、よくよく見てみると少しフォルムが違うような……?
そんな風に考えていた所だった。
彼は、銃を両手に構える。
二丁!?
「あらら、私と同じですね」
フランシ−ヌも意外そうに言う。
「いっくぜ!」
バン!
だが、俺達のそんな言葉は完全に無視する形で銃の一発目を撃つ。
だが、その一発目は簡単に避けられる。
「とりゃ、よっと!」
バンバンバンバンバン!!
立て続けに何発も撃つがどれもかわされてしまう。
フランシ−ヌも真っ青な連射速度だ。
「貴様……馬鹿にしてるのか!?」
「そのとおり!!」
にやりと笑いながら言う。
そして、ピ−スメ−カ−を腰のホルスタ−にしまいながら、サッと服の下に隠していたナイフを抜く!
奇麗な、青龍と朱雀の彫刻を施されているナイフだ。
……何故に朱雀と青龍?
「……て、のは冗談で、ただの小手調べ……でも、ここからが本番だ!」
ボォ……と、ナイフが薄く強く光る。
その光は、澄んだ空のような青と燃えるような赤の神々しい光だった。




AKITO

「くそ!動け、動けっ!!」
これがゆういつの『コロナ』モ−ドの弱点だった。
『プロミネス』モ−ドの『コロナ』は一度使うと、エネルギ−が切れてしまうのだ。
送転移エンジンと同レベルの物を使っているとは言え、すっからかんになれば意味がない。
貯めるのにも数十分が必要だ。
……それは、シ−ルドも何もない敵を倒すには十分な時間とも言える。
その証拠に、L・ア−スの周りには無人兵器が漂っている。
『こんな所で終われるか!!』
だが、俺のそんな心の叫びとは反対に無情にも機体はなんの反応しない。
木星蜥蜴が……コクピット部分を狙う。
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
俺は、目を瞑り自分の力の無さを悔やんだ。
「させねぇぜ!」
ボガァァァァン!!
だが、木星蜥蜴は俺に攻撃を加える前に壊れた……散った。
「ふう……間に合ったぜ」
その男は、微笑みながら汗を拭った。




CRECERIA

二本のナイフを俺はゆっくりと構える。
そして、その二本のナイフを交差させる。
奴も僕の実力が分かったのか今度は真剣に刀を構えなおす。
奴が使っているのは見るも禍々しい邪念を凝り固めたような刀だった。
その刀を正眼に構え俺を睨めつける。
そして、僕も本気で今度は睨みつける。
ダッ!!
先に動いたのは僕だった。
その様子は……まさに疾風!!
瞬時に奴の懐にまで来る。
「なにっ!?」
奴も驚いている。
とりあえず、スピ−ドだけなら実は現在の状態の魔龍よりも速い。
即座に、クロスさせたナイフを敵に向かって……斬り付ける!!
「はっ!はっ!」
「ぐぅ!!」
だが、ぎりぎりで体をそらして避ける。
だが、俺は即座に追撃する。
ズバァ!!
今度は見事に命中し胸の部分と腕にかなり深くダメ−ジを与える。
「ぐおわぁ!」
奴の悲鳴……所詮……この程度か。
「とどめ……だぁ!!」
俺は、そう思いながら一気に切りつける!!
「僕の技、受けてみろぉ!!」
二剣双覇 奥義……
「巫震戯!!【むしんぎ】」
ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!!
凄まじい勢いの黒い塊が奴の中から出る。
これは……風の力。
そう、僕の力は風を使う事を許されている。
「ぐあああああああああああ!!!!」
奴の絶叫が轟いた。




MARYU

「隙あり!!」
「!?」
しまった!?
と、思ったが遅かった。
すでに奴は攻撃態勢にはいっていた。
即座に俺のところに来るだろう。
俺は、慌てて構えようとした。
……だが、しかしいつまで経っても敵は……デスピア−は来なかった。
「?………!!なっ!?」
その時になってやっと異変に気づいた。
回りの時間の流れがおかしいのだ。
……遅い、間違いなく、それも……格段と。
例えるなら……ビデオをスロ−にしているようなものだ。
ど、どう言うことだ!?
とは言え、攻撃を防がないわけにはいかない。
即座にそう判断するとアルティメット・ブレ−ドを振りかぶる。
「無技 螺旋!!」
ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!
俺の言葉どうり、螺旋を描きながら敵を屠る魔闘剣。
そして……その時になって、時間がやっと元通りに動き出した。
「!?なに!?」
デスピア−は驚きの表情で横に避ける。
「貴様、いつの間に!?」
「知るか!!」
俺が、そう言うともう一度改めて俺も奴も剣を構えなおす。
……今度ははっきりと分かった。
なるほど……力が漏れていたのか。
だが……力が外に漏れているだけで時間にこれほどにまで影響を与えるとは……
もしや……!
「魔闘鬼神流 風炎水雷地!!」
一辺に全ての魔闘鬼神流の技をかける。
……けた違いだった。
技の威力が違う。
そこに存在するだけで、力が……全てに影響を与えている。
「くぅ……」
その範囲内にいる者はたまったもんじゃない。
デスピア−はすでに苦悶の表情を浮かべている。
「終りだ……デス……ピア−!!」
俺は、剣を構えた。




DESSPIAR

初めてだった。
これが、こんな感じがするのが恐怖なのだろうか?
私は、怖くて恐ろしくて仕方なかった。
今目の前にいる男が……『希望』の力を持つ男、魔龍 銀が……
いや、今すでにあの男には……『希望』と『奇跡』だけではない。
いまや、あの男は『必然』や『運命』の力すら持っているのだ。
故に、私は恐れているのかもしれない。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「!!!」
私は、声にならない悲鳴をあげた。




MARYU

なぜか分からなかった……
自分でもどうしてか分からなかった。
俺は……彼女に当たる寸前で、剣を……引いていた。
フッと……剣が消える。
俺の中から戦意がなくなったのに答えたのだろう。
そして、その理由は……彼女の怯えた表情に合った。
「…な…ぜ、とめた…の……?」
デスピア−がそう問う……いや、『ネメシス=ティアリィズ』がそう問う。
ネメシス=ティアリィズ……リィズは彼女の本名だった。
「……リィズ、てめぇの目から、戦う気が失せたからだ」
俺は、そう答えた。
事実そうだった……今の彼女の目は……追い詰められた、小動物の目をしていた。
「わりぃが、いかせてもらう、俺のほうもやる気が失せた。じゃあな」




RIIZU

「……久しぶりに、本名で呼んでくれたわね」
……懐かしかった、その名前を聞くのが。
そして、どこかで私の中でなにかが溶けていくような気がした。
『デスピア−』その意味は……『絶望』
私にはまさにそれがふさわしかった。
でも……この名前は本当は嫌いだった……
リィズ……か。
私はしらずのうちに微笑んでいた。
今まででも、最高の。




U・FEI

「帰るのか?」
おれの問いに、バルトは頷いた。
「ああ、とりあえず、やるべき事は終わったからな。恩も返したし」
そう言いながらバルトは笑みを見せる。
リコがその言葉を続ける。
「……それに、俺みたいなのが行けばまずくなるのは目に見えているからな」
そう言い、少し機嫌がわるそうに言う。
まぁ……なんとなく分かるけど……
「それに、お二人とも国政がありますしね」
フォロ−するように先生が言う。
……苦労人だな、先生。
「それじゃあ、またな、フェイ!」
「またな」
「じゃあな!!」
俺は、そう答えると手を振る。
バルトも手を振るとユグドラシルの中に入っていった。
しばらくすると、ユグドラシルが動き始める。
「ありがとな――!」
俺は、もう一度言った。




FEI・F

「あやや!あなた強いね!」
呆然としているみんなから一番最初に立ち上がれたのは私だった。
でも、本当にこの人強いね。
私達が全員で向かって行っても倒せなかった相手をあっさりと倒すなんて……
「あははは、まぁね!伊達に鍛えていないよ?」
おどけた様子で言うね……でも不思議な感じのする人よ。
「あ、ああ……俺からも礼を言わせてもらうぜ」
そう、タイチョさんがいう。
その言葉に、少し照れて……
「でも、お礼ながら魔龍に言ってくれよ。援軍をこちらによこしたのはあいつなんだから」
そう言いながらも頭をかく。
よっぽど照屋なのね。
「ま、それはともかく。ありがとう、おかげで助かったわ」
ジュンがそう言う……
「うん、そうね。本当に助かったわ。ありがとう」
これは……ルリ子ね。
「本当にありがとうございました!助かりましたよ!」
これはかおるね。
「ありがとぉございますぅぅ」
……麗子ね。
「あり……がとう」
操がいつもの調子で言うね。
「…………………」
じ〜と、ユッキ−が見つめている。
「アリガトウございマシタ!!」
フラッペが元気よく言うね。
「シェイシェイ!」
私も北京語でアリガトウをいいわらいましたね。




AKITO

俺は、L・ア−スから降りた。
そして……自分を救ってくれた男のいる方に向かった。
その男の搭乗している機体は……あった。
俺は、コミュニケを開こうとした。
が……それは叶わない事になる。
「アキトォォォォォォォ!!」
ガァン!!
俺は、ユリカの協力なタックルをくらい……気絶した。




MARIA

「外が騒がしいですね…どうしたんでしょうか……?女王様」
「……分かりません。ただ、魔龍さんのことが心配です」
女王様がそう言い首を傾げます。
それと、やはり心配なのでしょうか?
……かつて、自分が好きだった人が。
でも、私の気分はなぜか晴れ渡っています。
すごく、すっきりした気分です。
「マリア……逃げなさい!!」
「えっ!?」
女王様が突然大声を出します。
私達の前には……
「きゃあああああああ!!」




MARYU

「きゃあああああああ!!」
!!!!!!!
その悲鳴に、俺達は波打ったように一斉に宮殿の方を見る。
「しまった!!」
俺は、慌てて階段のほうへと向かった。
ネクロフォビアが……いねぇ!!




MARIA

「あ、あなたは誰ですか!?」
私は後ろに一歩引きながら聞いた。
その男の形容は……いえ、すでに男かどうかも怪しいです。
ぐちゃぐちゃの顔……泥粘土をこねくり回したような体……
それはおおよそ人間から遠いものだった。
「殺す……」
そう言い、男が剣を振りかぶります。
「逃げな…さい。マリ、ア……」
一太刀目を浴びてしまった女王様が苦しげに言います。
「い、嫌です!!女王様を置いていけません!!」
私は激しくかぶりを振る。
そして、その男の剣が私に浴びせられようとした。
「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バァン!!
後ろの扉が思いっきり開きます。
「魔龍さん!?」
私は助けにきてくれた人をみて瞳が潤みます、が。
ズバァ!!
無情にも……太刀……は……




MARYU

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は、今までにも何度も感じたが抑えきれなかった感情をまたふき出させる。
俺の怒りはそのまま強大な魔術へと変わる。
「絶望の剣で切られたものにはいかな回復魔法も効かぬわ!!我が……願いは…受理…さ…れ…た」
その魔術をまともに受け……奴は、ネクロフォビアは消滅した。
だが、こんなの無視だ無視!!
「マリア!!ゼファ−!!」
俺は二人に慌てて駆け寄った。
やべぇ!傷が深い!!
「くぅっ!フィ−リング!!」
慌てて回復魔法を使う……しかし、傷は一向にふさがりそうも無かった。
くそっ!!
俺は、改めて自分の力の無さを悔やんだ。
「ケアルガ!!ベホマズン!!エイペックス!!リヴァイヴァ!!生命のゲ−トよ!!」
ありとあらゆる手を尽くしてみるが……駄目だ、傷はふさがる兆しすら見せない。
「もう……いいよ」
「そう…です」
「馬鹿野郎!!諦めんじゃねぇ!!」
俺は、それでもなお魔法を使いつづける。
全ての回復魔法使い、それを複合させたものも使うが……駄目だ。
アイテム使ったが駄目。
だが……俺は……諦めねぇ!!
「必然、運命、希望、奇跡!!なんでもいい、俺に力を貸せェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」
俺の絶叫が響いた。




MARIA

「う……うん」
私は、目を覚ました。
不思議な事に先程までの痛みは無かった。
ここが天国なのかな……?
一瞬そんな事を考えるが、その考え自体を自分で否定する。
だって……そこは間違えなく見慣れた王宮なのだから。
それに、よくみて見ると傷を受けた所の部分は服が破けているし……
私は改めて周りを見てみる。
あっ!!
「魔龍さん!?」
私は慌てて駆け寄った。
そして、魔龍さんの頭を膝の上に乗せる。
「良かった……」
私は、ほっと溜息をついた。
そして……
「ありがとうございます……魔龍さん」
チュッ
最後まで、この人が希望をもって私達のことを治してくれていたから……私達は生きているのだと痛感した。
だから……私は、魔龍さんの唇に軽くキスをした。
「初めてなんですからね……」
少し頬を赤くしながらも、私は他のみんなが来るまでずっと魔龍さんの顔を見つめていた……




第二章終了における座談会INナデシコ限定!!


魔龍:どうも、魔龍 銀だ!!
銀:どうも、作者です!!……て、なんでキャラの君がいるの!?
魔龍:気にすんな、主人公権限だ。
銀:主人公権限って……まぁいいや、と、まずはお詫びを……
このたびは、執筆が遅れてまことにすみませんでした。
執筆が遅れたのは作者が遠出したいたせいなんです、すいません。
魔龍:で、おわりだな?
銀:まぁね。
魔龍:じゃあ、死ね!!
銀:へっ!?
魔龍:破邪龍聖流 超技 光王黒竜乱舞殺!!
ズガガガガボガガガガガギギギギギギギギ!!!!!




魔龍:マリアのキスのおかげで……またお仕置きされそうだ……(泣)
ルリ11:……大丈夫ですよ、今回だけは(−−#
ルリ17:……ええ、そうですよ。(^^#
ラピス:二人とも、怖い……(ギュッ)←魔龍にしがみつく音。
ルリ11:ラピスは駄目ですよ!離れなさい!!
ルリ17:そうです、離れなさい。
魔龍:勘弁してくれぇぇぇェ!!




アキト:相変わらず、大変だな。
ユリカ:そうだねぇ(^^)
ミナト:本当ね、でも……やるわね、マリアちゃん(にやり)
A・ジュン:……やっぱり僕って……(泣)
P・三人娘:許さん!!作者!!
イネス:私をないがしろにするなんて……いい度胸ね!




次の3章からは……遂に、あの人が登場!!
そう、落ち目の女たらしとその秘書が!!
そして……次の話では前回の予告の奴が……!

でも、提督は出てこないかもね。




THE・END. 2ND MISSION

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

魔龍さんからの投稿第十話です!!

やっと火星編が終りましたね〜

ハッピーエンドで終った第二部・・・

さてさて、第三部ではどのような展開になるのでしょうか?

個人的にはアカツキとエリナさんの登場に期待大です!!

 

では魔龍さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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