ある日のお昼時……


「あ〜……誰か、俺にメシ作ってくれないかな〜……」

「テンカワ!! 手がお留守だよ!!」

「は、はい! ……はぁ〜……」



いつも通りの、ナデシコの食堂での師弟の会話……

ただ、違っていたのは、5人の女性の目が爛々と輝いていた事だけ……









嗚呼、幸せな日常?












ぼんやりと周りを眺める。

公園の一部では子どもたちがサッカーで遊んでいたり、

反対側のベンチで恋人同士が楽しそうに話している。



ガンガンガン

「アキトォ〜、ここに居るのは分かってるんだよ!!」



犬の散歩をしながら走っている人や、

3、4人くらいのおばさんが、話しながら笑いあっている。



ゴンゴンゴン

「アキトさ〜ん。今、出てきてくれたら許してあげますよ〜。」



泣いている赤ん坊をあやしてる人や、

シャドーボクシングをしながらランニングをしている人もいる。



ガンガンガン

「アキト君!! 出てきなさい!! ホウメイさんが呼んでるわよ!!」



…………

クレープ屋や、たこ焼き屋など数件の屋台が出ていて、どれも美味しそうだ。



ドンドンドン

「テンカワ君! プロスさんが出てこないと、減給だって言ってるわよ。早く出てきなさい!!」



公園をぶらぶら歩いていると、途中で仲の良さそうな老夫婦とすれ違う。

俺も恋人と、いつまでもあんな風に……



バンバンバン

「おい、テンカワ!! 今日は訓練だって行っただろ!! 早く出てこい!!」



歩き疲れたので、さっき座っていたベンチでコーヒーを飲みながら一服。

……嗚呼、平和だなぁ〜。



コンコン


「……テンカワさん、ココ開けますよ? ……いいですね?」


ピッ!


ルリちゃんの申し訳なさそうな声と共に、シュミレーターの設定が強制終了し、扉が開けられた。



――ニゲロ、ニゲロ、ハヤク、ハヤクニゲロ


逆光でよく見えなかったが、人影はルリちゃんを含め六つ。

しばらくして、光に目が慣れると、人影が誰だかわかってきた。

前の方からユリカ、メグミちゃん、イネスさん、エリナさん、リョーコちゃんだ。

どうやら、それぞれが、ナニカもっているようだ。



――ミトメルナ――


頭の中で俺の理性が最大の警告音を鳴らす。



――ミトメチャイケナイ――


「はい、コレ、アキトのために作ってきたんだよ。たくさん食べてね。」


ユリカが、緑と紫のマーブル模様のナニカをご飯にかけた物を、



――ミルナ――


「アキトさん。いつもお疲れさまです。これを飲んで頑張って下さい。」


メグミちゃんが、赤、青、黄色がほどよく混じりあったカラフルなドリンクを、



――ニオイヲカグナ――


「アキト君。ホウメイさんがコレを食べてゆっくりしなさいって。」


イネスさんが、真っ黒なナニカを、



――ウケトルナ――


「テンカワ君。アナタ、この前も倒れたそうね。あんまり働きすぎないで、コレでも飲んで休みなさい。」


エリナさんが、煙を吹いているドリンクを、



――コレラヲ、『    』ト、ミトメチャイケナイ――


「テ、テンカワ、訓練前に食っとかねぇと力はいんねぇから、コレ食って力つけとけ!」


リョーコちゃんが紅色になっているご飯を、



――コレラヲ、『リョウリ』ト、ミトメチャイケナイ――


それぞれが、一生懸命作ったであろう料理を渡してくれた。


「み、みんな、ありがとう。……ははは……うれしいなぁ〜。

……えっ!? 今、全部食べるの!?

で、でもほら、全部は食べられないかな〜なんて………はい……美味しく頂かせていただきます。」




――タベチャ……ダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、

タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、

タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、

タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、

タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、タベチャダメダ、……タベルナ!!! ――




何で、こんな事になってしまったかは、わからない。

でも、みんなが一生懸命作った料理がある以上、やるべき事は……ただ一つ。



(……漢には時として、やらなくちゃいけない、ひいてはいけない時がある。今が……その時!!)



クワ!!



スプーン持って、料理が盛り付けられている皿を持って……いざ!!








――覚・悟・完・了――







「い、いただきます!!!」









パク















「グハァ!!」



バタ


























テンカワアキトハ、クチハテタ
























「……」
「……」
「……」
「……」
「……」



アキトが白目をむき、ビクビクと痙攣している中、彼女達5人は顔を見合わせた。

そして、無言のまま彼を見つめ、頷きあい口を開く。















「「「「「おお、アキト。しんでしまうとはなさけない。」」」」」

















はじめまして、六角 形(むかく けい)と申します。

このサイトの方々の作品の素晴らしさに、感動し、

自分自身も、こんな素晴らしい作品をいつか書いてみたいと思い、

何とか、ベタなネタの短編を書き上げてみました。

SS書き初心者の私ですが、これからも、どうぞよろしくお願いいたします。





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代理人の感想

うーん。オチが弱い。

まぁ、こんなもんといえばこんなもんかもしれませんが。