逆行者+突破者

第十話「交錯÷回想」

 

 

 ……燃え盛る炎……

 ……焼けつく痛み……

 ……草の匂い……

 ……凍えるような静寂……

 ……血の味……

 

 その久しぶりに見る夢は、

 僕の記憶に無いものだった。

 

 

 

 あのナナフシ戦の後、僕は二日も眠っていたらしい。

 アイツが無茶してくれたおかげで僕はナデシコでかなり有名になってしまった。

 しかし、あの姿を目の当たりにしてまだ僕を人間扱いしてくれるのは、

 改めてナデシコがすごいと思った。

 それに………

 

「あっ、アヤト。いらっしゃい!」

 

「およようございます、アキトさん。ちょっと遅いですけど朝食できます?」

 

「ああ、大丈夫だよ。何食べる?」

 

 ……アキトさんとも大分打ち解けることが出来るようになった。

 初めは僕に負い目を感じていたみたいだが今は自然に話せるようになっている。

 この場合、アイツに感謝するべきなのかな?

 

 

 

 さて、今日もナデシコは連合軍の先頭に立って戦っている。

 木星蜥蜴の第一目標にされてしまったからしょうがないんですけどね。

 

「エステバリス全機、出撃しました」

 

「全機攻撃開始!!」

 

 艦長の号令の元……

 エステバリス隊の攻撃が始まった。

 

 敵味方に向けて。

 

 

 ………あれ?

 

 

 

 ミサイルを敵に発射しても発射した後にマーカーが味方に移ってしまう。

 これは僕だけじゃなくアカツキさんやリョーコさん達も同じ事に陥っているみたいだ。

 あっ、アキトさんだけはDFSでチューリップを破壊しに行っている。

 しょうがない。ミサイルが役に立たないから素手で雑魚を倒しますか。

 

 

 

 その後、アキトさんがチューリップを破壊しましたが連合軍の被害は甚大でした。

 いや、損害額よりもプロスさんの怒りの方がリアルに怖かったです(汗)

 

 それで今回の原因なのですが、どうやらオモイカネが原因だそうです。

 しかし、だからといってシステムを全消去するのは理不尽だと思いました。

 絶対服従のAIなんて面白くないですしね。

 まあ今回の件についてはアキトさんとルリさんが動いてるみたいですから、

 大丈夫でしょう。そう思い僕は安心していた。

 

 

 だが、災難は予想もしないところから、突如として起こった。

 

 いきなり見せられた命令書。

 そこには僕とアキトさんの徴兵命令が書かれてあった。

 

「どういうことなのか、わかるように説明して欲しいですね」

 

「どうもこうないわ。私はあなた達を連合軍に紹介しただけよ」

 

 なるほど、今回の失点を庇うために僕達を売ったわけですか。

 

「そんなことで僕が従うと思ってるんですか?

 アキトさんだって従わないと思いますよ」

 

「あ〜ら、そんな事言っていいのかしら?

 あなた達が行かないとナデシコが連合軍の敵とみなされるわよ」

 

 なっ?!こいつ!!

 ……たしかに、そう言われたらアキトさんは行かざるをえない。

 

「せいぜい、地獄で頑張りなさい」

 

 そういって立ち去る背中に言葉を放つ。

 

「運が良かったですね。

 もしアイツの前に立ちふさがっていたら殺されてましたよ」

 

 そう冷ややかに告げてそこから立ち去った。

 

 立ち去らなければ僕が殺してしまいそうになるから………

 

 

 

 ……そして今、シャトルにアキトさんと二人で座っている。

 

「アキトさん、オモイカネの方はどうでしたか?」

 

「……大丈夫だよ。上手くいったから」

 

 そう言うアキトさんはひどく辛そうな表情をしていた。

 だからかもしれない。その時話してみようと思ったのは。

 

「……もう五年ぐらい前の話なんですけどね」

 

 そして僕は静かに語り始めた。

 

 

「その時僕は両親と車で山奥に行く途中でした。

 そこで、事故が起きたんです。なんでもない転落事故。

 車は炎上。両親も即死だったそうです。

 けれど僕は生きてました。森に投げ出されたのが良かったようです。

 けれど、その事故がきっかけで……アイツが突破したんです」

 

「……突破?」

 

 訝しげにアキトさんが聞いてくる。

 

「突破というのはですね、内に在る可能性が器を破ること。

 簡単に言うと、人ならば人でなくなること。

 けどこれは、進化でも、退化でも、突然変異でもない。

 なぜなら突破の鍵は、矛盾と矛盾の狭間に在る歪みだから。

 ………世界法則的に存在してはならないものだから。

 わかったでしょ。アイツは、人でなしで、化け物で、鬼なんです」

 

 アキトさんは理解しかねるといった表情をしている。

 当然だろう。どう聞いたって荒唐無稽な話しだ。

 けれど僕はかまわず続ける。

 

「そういうわけでアイツは僕を殺すんです。

 それが存在してはならないアイツの生きるすべだから。

 普通なら僕の心はアイツの心に殺されて終わりなんですが、

 僕は生まれつき難儀な能力がありましてね。

 たとえ心が死んでも肉体から心が浮かび上がる。

 つまり、死んでも死んでも心は生き返るんです。

 幸いというかなんというか、肉体は突破しなかったから能力は健在。

 かくして死に続ける無限地獄の出来上がり、というわけです」

 

 今、僕はどういう表情をしているのだろう。

 この誰にも味わえない感覚を話している僕は……

 

「……だけど話しはこれで終わらないんです。

 不思議な事に僕は段々アイツを殺せるようになったんです。

 強くなるには傷が必要だ。でも死は傷じゃない。

 死はそこで終わりということだから。

 矛盾しているでしょ?

 つまり、僕も突破しているということなんです。

 死に続けるという矛盾の中で少しづつ突破していたんです。

 ………認めたくないですね。自分が人じゃないなんて………。

 その後ね、同類のお仲間さんの組織とかと知り合いになったりして、

 結構、楽しい日々を過ごしてたんですが……

 逆にいえば、そういう中でしか生きられないんですよ、僕達は………」

 

「……どうして君は、その話しを俺にしたんだ?」

 

「アキトさんはなにか途方もないことをやろうとしている。

 けれどそれをやってしまうとアキトさんは………突破する。

 そんな矛盾だらけの体にさらに大きな矛盾を重ねると、

 まず間違いなく人でなくなります。

 僕のエゴですけどね。アキトさんは人でいて欲しいんです。

 だから……僕が手を貸す。

 在りえない僕が干渉すれば在りえないことが起きても矛盾にはならない。

 この論法、結構便利なんですよね」

 

 アキトさんはずっと真剣に聞いてくれた。

 よかった。笑われるんじゃないかなって思ってたから。

 

「さて、僕の話しはこれで終わりです。

 よければアキトさんの意見を聞きたいんですが?」

 

 しばらくの静寂の後、

 静かにアキトさんが口を開いた。

 

「君は……過去に戻ったらどうする?」

 

 

 そして僕は過去と現在と……そして未来の話を聞いた。

 時に翻弄された、ある一人の話を………

 

 

 

 

 信念、希望、懺悔、苦悩………

 それぞれの思いと新たな絆を胸に………

 新たな土地へ二人は旅立つ………

 ……待つのは絶望か、それとも………

 

 

 

 

後書き

無識:ついに!ついにアキトと手を組むことができましたぁぁぁぁ!!

アヤト:十話かけてやっとだね。しかも僕達の秘密まで。

無:ふふふ、実はあれで全てではないのだ!!

  ツバキ突破のメカニズムから、突破する前のツバキ アヤト!

  さらに謎の組織の実態とはいかに、などなどまだ謎はいっぱい!!

ア:けどそれ、完璧にナデシコじゃないね。

無:……………そうなのじゃ。だからオリキャラ紹介などで出そうかと。

ア:無茶苦茶長いあの話しを?

無:少しづつ書いていくような形で……。

  そんなわけでオリキャラ紹介はナデシコでなくなる可能性大なので、

  代理人様、不都合があればなんなりとお申し付けください。

ア:さて、次回は西欧編だけど?

無:新たなオリキャラが登場!!はたしてどんな奴か?

ア:僕達レベルでおかしな人というのは確定しています。

 

 

 

 

代理人の感想

 

不都合? なにそれ(爆笑)?

 

謎解きOK!

面白ければ全てOKです(笑)。

オリキャラ主役でナデシコキャラの出てこない話なんてわんさかありますし、

外伝と言う形なら問題はないでしょう。

・・・あんまり外伝の比重が大きくなりすぎるとそれはそれで問題ですけどね。