優しさなんてまやかしだ!

 みんな、その便利の言葉を好き勝手に使ってるんだ!!

 椿 綾都(色の無い景色 主人公の言葉より抜粋)

 

 

 

 

夢幻回天

 

 

 

 

〜 起 〜

 

 

 

 

 ふと、街中で懐かしい姿を見つけた。

 

 

 黒尽くめで黒いバイザーをかけていて、

 近寄るんじゃねえよオーラをバリバリに放っている男。

 

 むかついたので背中に跳び蹴りを食らわしてやった。

 

 驚いた感じでこちらを振り向く。

 久しぶりと言おうとして、思い直し、言葉を変える。

 

「初めまして、アキト」

 

 

 

 

 

 俺は今、何をしているんだろう。

 

 事実だけを言うなら簡単なことだ。

 女の子と喫茶店でパフェを食べている。

 だがそれにいたる過程に関しては俺では説明しきれない。

 

 

 

 火星の後継者への復讐………

 そのためだけに生きる俺にとって、

 休息を取ろうなどと思っていなかった。

 だがこの前の無理を心配したのだろう。

 エリナやイネスさんがうるさく進めたからな。

 とりあえず格好だけでもと思い、街に出て、

 いきなり跳び蹴りを喰らってしまったんだ。

 なぜだろう、それは親友とふざけあうような、そんな蹴りだった。

 だから喰らってしまったのだろうか……

 

 そして、振り向くと女の子がいた。

 

 年の頃、18ぐらい。

 黒いスカートでジージャンを羽織り、

 真っ黒な髪を肩で大雑把に揃えている。

 活発そうで、それでいて美少女と言ってはばからない容姿だった。

 

 そして女の子は俺に言った。

 

「初めまして、アキト」と………

 

 

 茫然としている俺を、

 

「とりあえず話しはパフェでも食べながらっ!」

 

 とか言いながら強引に喫茶店へと引っ張って行ったのだ。

 

 

 

 考えてみればおかしな話だ。

 本当にまったく見覚えの無い人に蹴られた挙句、

 向かい合わせでいきなりパフェを食べているなんて。

 第一、こんな黒尽くめの怪しい男に声をかけるなんて…、

 

「アキトのファッションセンスに関しては、何も言えないんだよね。

 友達にも趣味悪いって言われているから、僕」

 

 突然、女の子が愚痴っぽくそう言い出した。

 まるでこっちの心を読んだように。

 

「そういえばさ……パフェ食べないの?」

 

「あっ、……その……」

 

 食べてもどうせ俺には………

 

「味がわかんないからって食べないのはもったいないと思うよ」

 

 俺はとっさに身構えた。

 この子、どうしてその事を……

 

「君は……一体何者なんだ」

 

「ただの虚言癖のある一般人!」

 

 なぜか自信満々にそう言い放った。

 

 

 

 

 結局、女の子はパフェを二個も平らげてしまった。

 やっぱり、俺が代金を払うんだろうか……(汗)

 

「ごめんね、アキト。

 なんか僕だけ楽しんじゃったみたいで」

 

 満足そうな顔でそう言ってくる女の子。

 結局、何を聞いてもはぐらかされて、

 名前すら教えてもらう事ができなかった。

 

「あっ!もうこんな時間か。

 じゃっ、そろそろ帰ろうか」

 

 そういってレジの方に駆けていく。

 やっと解放される。

 精神的に疲れた身体を起こす。

 

 パフェ代は自分で払ったみたいだ。

 入り口で俺を待っていてくれていたが、

 

「今度逢った時にはよろしくね!!」

 

 笑顔でそういうとさっさと行ってしまった。

 

 

 

 本当になんだったのだろうか。

 不可解な事だけを残していった彼女。

 だが、不思議と嫌な気は起こらなかった。

 

 

 

 俺と、親友みたいに接してくれたから、……かな………

 

 

 

 

 

〜 承 〜

 

 

 

 

 黒の王子は時を駆け、

 過去へと遡る。

 

 

 

 二度目の始まり。

 過去の修正のために、

 もがく現在。

 そして……歪む未来。

 

 新たな出会いと、更なる悲劇と、

 変わりつづける流れに、ただ翻弄されていく。

 そして、一つの幕が下りようとしたその時、

 

 

 

 漆黒の戦神は、再び時を駆ける。

 

 

 

 

 

〜 転 〜

 

 

 

 

 頬に風を感じ、

 草木の匂いを嗅いだ。

 

 それは、まちがいなくあの時の、

 ………二回目のあの場所だった。

 

 

 

 俺は一体どうすればいいのだろう。

 俺一人ではどうにもならない事を、

 二回目の体験でいやと言うほど思い知らされていた。

 もう一回あがいた所で、悲劇が増えるだけじゃないのか……

 

 いったい、どうすれば………

 

 

「ねえ、こんなところで何してるの?」

 

 突然の声に俺は後ろを振り向く。

 振り向くと、女の子がいた。

 

 年の頃、17ぐらい。

 黒いスカートでジージャンを羽織り、

 真っ黒な髪を肩で大雑把に揃えている。

 活発そうで、それでいて美少女と言ってはばからない容姿だった。

 

 なぜだか、見覚えが有った。

 昔、何処かであったような………。

 

 いや、それよりも二回目ではこんな子には会わなかった。

 この時代は……あの時とは違うのか?

 

「あの、ちょっと聞きたいんだけど」

 

「なに?スリーサイズは教えられないよ」

 

「………(汗)そうじゃなくて、

 今の年月日と時刻を聞きたいんだ」

 

「ずいぶん変な事聞きたいんだね。

 まっ、いいや。えーと、今は2196年……」

 

 その子から出た日にちは………俺がナデシコAに乗る一日前だった。

 

 

 なぜ?遺跡はどうしてこんな事を……、

 いや、もしかしたらこれは俺が望んだ事なのか?

 

「ねえ、もしかして訳あり?

 なにかすっごい事情があるとか?

 なんだったら僕の家が近くだからそこで話さない?」

 

「えっ?いや、そんな……悪いよ………」

 

 確かに事情はあるがはっきり言って話せるようなことじゃない。

 

「ほら、俺みたいなのが来たら家の人とかが迷惑……」

 

「大丈夫!僕、一人暮らしだから」

 

 それは別の意味で悪いぞ!!

 

 そんな風にまごついてる俺を苛立ったのか、

 

「ああっ!!もうっ、来るったら来る!!

 はいっ、行く!!

 わかったっ?!!」

 

「……………………はい」

 

 なんて強引に押し切られてしまった(泣)

 

 

 

 彼女の家に行く途中、

 

「あっ!そういえば名前聞いてなかったね」

 

「あっ、俺は……テンカワ アキト」

 

「じゃあ、アキトって呼ぶね。

 僕はトキトウ イサミ。イサミでいいよ!」

 

 

 

 

 

 

 僕は笑顔でそう言った。

 それが僕の、アキトとの出会いだった。

 

 

 

 

 

〜 結 〜

 

 

 

 

「…………終わったね」

 

「…………そうだな」

 

 

「どうだった?三回目の気分は」

 

「さあ、………どうだろうね」

 

 

「………幸せにはなった?」

 

「さあ、………それも、わからないな」

 

 

「どうする?四回目をやる?

 それとも………ここに残る?」

 

「………君は、どうする?」

 

「僕は………行くところがあるから」

 

「そっか………」

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

「今度会ったら、跳び蹴りの一発も食らわすからね!!」

 

「あはは、お手柔らかに頼むよ」

 

 

「………………………」

 

「………………………」

 

 

 

「じゃあ、さようなら! 親友!!」

 

「さようなら、……親友」

 

 

 

 

 

 

infinity revolution

 

 

 

 私はただひたすらに死を望む。

 願わくば、この本を読んでいる君がそうならないことを祈る。

 椿 綾都(白い匣の中で 後書きより抜粋)

 

 

 

 

 

後書き

イサミ:やっほ〜!こんにちは〜!初登場〜ブイッ!!

無識:ああ、うるさい!!

イ:それにしても、最初と最後について弁明は無いの?

無:うぐぅ、椿は出したかったんだよ〜。あまりにも不憫だったから。

  それに72歳で病院でもできる仕事って作家しか思いつかなくて〜。

  ちなみに童話作家です。

イ:そういえば「転」と「結」の間の話ってないの?

無:タイトルだけなら電波で届いたんだがな。

  「王子様とお姫様」っていう。

イ:………お姫様って、僕?

無:うむ。

イ:テヘヘ〜、なんか照れるな〜〜。

無:いっとくがマジでタイトルだけだ。

イ:そんなっ!じゃあ、僕の今後の出番は!?

無:さぁーなぁー(遠い目)

イ:ひどいわ、使い捨てなんて!どうせ私は捨てられる運命なのよっ!!

無:おのれは、なにもんじゃぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

代理人の感想

 

いや、と〜て〜童話の文章に見えないよ、とツッコミを入れてしまった人、手を上げて(爆)。

それはともかく・・・イサミって年を取るのが遅いんでしょうか。

 

ほら、2196年に「十七歳」であるにも関わらず、

2199〜2102年の間でも「年の頃十八くらい」でしょう(笑)?

どう考えても通常人より加齢速度が遅いとしか・・・・・・

 

・・・・・・なるほどわかりました!

イサミはキラキラ星の高等生命体に違いありません(爆笑)!

いや〜、それなら納得納得(笑)。