赤い焔に彩られたスペースポート.そこに立っていた。
「父さん・・・・母さん・・・?」
―――――――お前なら、人の為に使ってくれるだろう―――――
そういって渡された、四角いプラスチック片と青い石.でも、渡してきた人はもうい
ない.―――――こんな所に居たくない!!―――――そう思った瞬間・・・・・光が満ち、
そして暗転.   次に目を明けた時、見えたのは――――いかめしく、でも朗らか
な――――ほほえみ。

The Prince Desire Peace


Writer&You

カッポーン・・・・・パチッ。鹿威しの音に将棋のコマが弾かれる音が重なる.
「・・・・・そういえば、ツキシリーズとか言っていたな.貴様の機動兵器」
パチン。スッ
「香車、いただきです.・・・・・ええ。そちらが製作中のジンタイプは強力です
が、小回りはききませんので。それを補う必要もありますし.現在プロトタイプのゲ
ツ型が自分の機体を含め11機・・・・・そろそろ量産の頃合でしょうかね」
パチッ

パチッ

パチン.スッ。


パチッ
「そちらこそ、どうです?有人跳躍――――成功されました?」

パチンッ!

「天川(あまのがわ)――――貴様の艦だが。・・・・偵察用無人兵器が酷似した艦を地
球側に発見した。確認されたのは六週前らしいが・・・・・・データ流出の可能性は?」

「ありませんよ.天川のもとになったのは、火星の研究者だった本当の両親のデータ
.同じデータが地球にあっても不思議ではないですし。・・・・やられましたか」

「ふん、まだまだ貴様にやられるわけにはいかんよ.・・・・如何なる場所においてもな」
                                  
 .... 
「そろそろ部隊の方に帰還せねばならぬので.宜しいでしょうか、草壁春樹中将閣下」

                            .... 
「ごくろうだった.またの対戦,楽しみにしているぞ、草壁明人准将殿」


「遠慮させて頂きます.・・・・・あと1手、届きませんでしたか」
パチンッ!

「ム・・・」

「では失礼させて頂きます.義兄上」その言葉どうり,部屋から出ていく.

残された,草壁春樹。
「くえん男よ・・・やはり彼奴が最大の障壁となるか、「テンカワ アキト」・・・」

明人は確かに詰まれていた.負けは負けである.しかし最後の1手が間に合っていれ
ば・・・結果は逆転していたことだろう.それ自体は珍しいが,そこまで驚くことでもな
い.問題なのは・・・春樹がそれに気がつかなかった、と言うことだ。



Kusakabe Akito

(今更だけど兄貴との話は疲れるな〜。お互い腹の探り合いがずっと続いちまう.)
それは,穏健派の象徴と急進派の象徴と言う立場である以上、仕方の無いことではあるのだろうが。
「・・だけどまぁ、兄貴も・・・」

ガサリ

「しつこいったら・・・・」

ガシャン

「ないよな!!」

ドゴン!!一気につめより,物陰に隠れた相手に一撃食らわせてやる。

「!!、クッ」

(まだやる気か)
銃はちゃんと落としてやったんだが.まぁ兄貴の部下なら当たり前かな、とも思う。
そのままとどめの一撃を放ち、気絶させる。

(兄貴の暗部、全部で・・・・十人?・・・・単なる嫌がらせか。あいつは・・・やっぱりいる
か)塀の影ー――誰もいないようにも思える――に向かって言い放つ。
「北辰!そっちの5人任せる。早く終わらせるに越した事は無い.言って置くが,殺すな,よ?」

「ご随意に」
相手さんは言われて始めてあいつに気づいたらしい.草壁家に代々つかえる武門の当
主――――――こいつの気配の消し方だけは、まったくもって真似できない.・・・本
当なら,拾われ子の俺じゃなく,実子の兄貴の護衛になるはずだった。いや、人の話
では実際昔は兄貴の護衛だったらしいが、養父が俺付きに変えたらしい。

(と、一応そんなこと考えてる場合じゃないか)

瞬時にもう一人,二人と気絶させていく.―――――苦し紛れの射撃など,当たる筈
も無い。さらに三人,四人,五人。流石に兄貴も人材不足か.以前より全体的に質が
落ちている.

(あっちは・・・とっくに終わってるか.ちょっと時間かけすぎたかな?)

「ごめん,ちょっと遅れた.――――機体は?」護衛のこいつを離れさせたのは機体
を持ってこさせる為に他ならない.今,天川は今宇宙に出してる。機体が無きゃ帰れ
ないんだよね・・・・.

「無論―――そこに」北辰が指し示した林に分け入り,俺の機体―――リュウゲツに
乗り込む.

「帰還するよ北辰」

「・・・・・御意」




Shiratori Tukumo


「・・・・以上の事から、草壁中将は地球の企業――クリムゾンとか言うそうですが、と
の癒着を視野に入れているようです.これは十分弾劾の材料になりえますが」
地球に対し,和合を唱えている明人隊長ならまだしも(と言っても大差ないかもしれ
んが),徹底抗戦を唱えている草壁中将なら、裏切りととられても仕方が無い.

「・・・いや、だめだよ。普通の人ならそこで詰みだろうけど、兄貴の人心掌握術は物
凄いからさ、下手したら「味方の振りをされて騙された被害者」に自分をまつり上げ
かねない.その後も流石に表立っては無理だろうが,裏から手を回すことは十分可能
・・・・それこそ和平派もとりこまれかねない。」疲れているのか、執務机に突っ伏した
まま、苦笑をうかべる隊長。

そこまでは気がつかなかった.・・・・はっきり言って単なる被害妄想な気もする
が.・・・・・彼なら出来るかもしれない―――草壁春樹なら。


「すると今後は?」どのような展望を抱いて居られるのかな、隊長閣下は。


「そうだな・・・対抗して,こっちも地球の企業と思いっきり癒着する,とか」

「「「「え?!」」」」その言葉に、この場にいる全員―――俺,元一郎,源八郎,
そして補佐官の三郎太―――が声を上げる.あ、北辰殿も居られたな.彼は反応して
いないが。


「どうせ戦後のことを考えるなら,地球で影響力の大きい企業と癒着するのも悪くな
いと思う.和平の意思を地球側で広げるのにも有用だしね。その、クリムゾンだっ
け?そこの事を快く思ってない企業も少なくないはずだしさ。」

なるほど,それもまた有効かもしれないが・・・・かなり危険を伴うのではなかろうか。
そこまで考えた上で癒着を行うとなると,いざと言うときにも切り捨てられなくな
る.下手したら共倒れだ.

「ま、あくまで可能性の問題だよ.現実問題として,今すぐ役に立つもの―――技術
や資金がないとお話にならない。当面は・・・・火星にでも行って見るか」


たしかに、独立部隊である我が隊は単独行動が許容されているが・・・・・・。
「火星、ですか?しかし,極冠遺跡の取得には時期尚早と、一週間前におっしゃられ
たばかりでは・・・」そう、隊長の本当のご両親の研究や、遺跡からのデータから、最
重要機器である事がわかっている火星極冠遺跡.しかし、木連内部で草壁中将率いる
急進派と隊長派が牽制しあっている為に,現時点での取得は、利点よりも圧倒的に
害が多い。取り合いになって、木連そのものが脆弱化してしまう。


「違うよ.・・・・兄貴から出た情報だから信憑性は微妙だが,天川によく似た艦が地球側
にいるらしい。おそらく実父母のデータから作られた艦みたいだ.・・・・一見の価
値はあると思うよ.それに・・・おそらくは地球軍の艦だろうけど,製造が企業であるな
ら・・・さっき言った癒着も視野に入れられる,かと思ってね」


さすが隊長.しかし一つ疑問を憶える。
「そうですか・・・・しかし、何故その艦が火星に向かっていると?」
普通に考えて地球にとどまると思うのだが.

「ん・・・。だって、地球、もしくは月だとかだったら、いる可能性は高いけどさ。あ
る意味天川の兄弟とも言える艦だよ?かなりの戦果を上げているはず.そうなれば,わ
ざわざ兄貴からでなくとも直接俺の所に情報が来るよ.となると、戦闘領域が形成さ
れていない地球と火星の間にいるとしか思えない.・・・・ま、普通にドックに入ってる
可能性もあるけど、強力な艦を休ませておくほど,地球軍には余力がないはずだよ.火
星と言っても,多分偵察だから降りてはこないと思うけどね」



「了解いたしました.母艦は天川ですね.単体での次元跳躍が可能なのは隊長,北辰殿
と六連の皆様だけですが・・・次元跳躍門もありますし,天川の時空歪曲場なら大丈夫で
しょう。それと思いつきで理由言わなくていいです」
そう、草壁中将派に対する圧倒的な優位として,火星から次元跳躍したと思われる隊
長の遺伝子をもとに、時空歪曲場なしでも―――耐えられるだけで能動的なジャンプ
は長期の準備が必要だが―――次元跳躍できると言うことがある.さらにオリジナル
である隊長がいれば,瞬時の跳躍が可能であるのだ。


「いや、六連は連れていかない.北辰は連れていくけどね」


「え、何故です?!」これは元一郎。
いや、お前が六連と一緒に行動したい理由はわかるが、そうがっつくな。

「六連には内通者の洗い出しを頼む.なんか兄貴の方に情報がもれてるんだよね・・・・
今はまだいいけど,もし地球の企業との癒着がうまくいった時・・・洒落にならない事態になる」

「それは・・・仕方ないですね・・・.」肩を落とすな元一郎.見苦しい.

「じゃ、補給急いでくれ.一週間後、火星に跳ぶ」


「「「「はっ!」」」」「了・・・.」



Kojou Renya

(なんだっても〜俺が搬入の指揮をさせられてんだ!くそ、終夜め・・・・一人で逃げや
がって・・・どうしてくれようか)犬猿の仲の双子の弟に恨みを募らせつつ,ツナギを
着て声を張り上げる.

「ああ、セキゲツを手荒に扱うなっ!北辰様に殺されるッ・・・・・あ、終夜のリョクゲ
ツはてきとーに宇宙にでも投げとけ」

本来なら六連―――北辰様の私兵であり実質、明人閣下の部下ー――のする事ではな
いが,今回の作戦には六連は同行しない。そのために重要ではあるが誰もが嫌がる搬
入指揮なんぞをやらされているのだ.(・・・・・俺らが選ばれた理由はあみだクジだ
が!)

端で馬鹿が騒いでるのが見えるが気にせんっ。




「ナニをしてるんですか〜月臣殿・・・・」
「いや、明殿,これは、その・・・」
「お父様、落ち着きください,ただ単にお食事に誘われただけですよ?しかも断らせ
て頂きましたし・・・本当に申し訳御座いません月臣様」
「い、いやこちらこそ。ではこの作戦から帰ってきたら・・・」
「ッ月臣殿〜〜っ」ガスッ
「ぐはっ・・・うぅ・・・・連夜どの・・・助けてくれ・・・・」




だ〜も〜うるさい!仕方がないな・・・.

「明殿、勘弁してやればよろしいのでは?月臣殿も反省しているようですし・・・」
科森 明、六連内部でのリーダー、主任のようなものだ.温和で有能なのだが・・・・・微
笑みながらキレるのは辞めてくれ.特に同じく六連に所属している令嬢の六花(りっ
か)殿―――どちらかと言うと技術担当だが―――のこととなると・・・・・。月臣殿
も、どうせ六花殿も閣下にオとされているのだし諦めればよいものを
・・・.


「・・・・まぁいいでしょう、その代わり、連夜君の代わりに搬入指揮しなさい」
をを、さすが明殿!

「え、そんな・・・」「よっし!任せたぞ月臣殿!」

何か言われる前に勢いのまま走って逃げる。天川の格納庫から出たと同時に、そとか
ら天川を眺め見る。

天川――――明人閣下の実のご両親のデータを元に作られた大型戦艦.両舷側から突
き出した刀のような形状のものは時空歪曲場の発生装置.通常の艦と異なり、両舷側
のその装置の前面にに重力波砲の発射口が取り付けられている.別に連装型と言うこ
とではないが、発射位置を分散する事で、射程そのものは短くなるものの、より広角に
面に対する攻撃が可能.現在の出力では使用できないものの、設計者の閣下だけが
知っている秘密兵器もつんであるらしい.単独での作戦遂行が出来るよう、その他
様々な改良が施されている.


(出発は明日、か・・・)天川が出発すれば、依頼されている任務を始めなければなら
ない.裏切り者の洗い出しってのは、精神的にかなり疲れるものがある.また上層部
・・・・・少なくとも補佐官以上に閣下に近しい人間に間諜がいることもはっきりしてい
るものの・・・未だに尻尾を出さない.閣下はこの相手に対してはそこまで危険視して
いないそうだが・・・・・その理由もわからない以上、手を抜くわけにも行かないだろう.

(まぁ、今日は家でだらけよう・・・・)


古城連夜32歳、ただいまやさしい彼女募集中・・・。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
始めまして。ナガレツキと申します.あらすじだけを担当したものはいくつかありま
すが、自分で書くのは始めてです.本当は三人称で、嫌になるほどの描写がしたかっ
たのですが・・・馬脚をあらわさないために描写は極力削っています(苦笑.一話当た
りの量が少ないのは、無理やり全26話にするためです。我ながら萎える書き方して
ますし、これらの事情とも言えない事情もありまして、扱いとしてはパイロット版、
と言うことにしてあります.見て頂いた方の言葉を元にして、未熟な自分の腕を誤魔
化す為に(爆。

アキトが木連、北辰は忠臣、草壁は義兄、微妙な設定だと思いますが、もしよろしければ
お付き合いください.

ちなみに下はネタバレ。重要人物ですが、細かく説明させる気はないので。

草壁冬野介 享年65歳
第一次火星会戦の寸前に死亡。暗殺との話もある.そのカリスマ性から木連内部には
今も支持者が非常に多い.春樹の実父でアキトの養父。「謝罪するならともに歩も
う」の通信を送ったのはこの人.木連と地球の和合を目指していた.しかし、地球側
は結論の引き伸ばしに出、さらに木連>地球の力関係でなくてはならないと考える春
樹の暴走によって、失敗。失意のうちに倒れる.

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

うーん・・・発想や設定は面白いと思いますが、現状設定倒れ(爆)。

句読点があちこち「.」や「,」になってるのも頂けません。

またカッコの中のカッコは二重カッコにするとか、会話文のすぐ後ろに地の文を入れないとか、

そういう色々を差し引いてももちっと文章力の向上が欲しいなぁと。