「今回の任務は二つ。

 カナメの救出とテッサの救出。クマガヤ・タクマに関しては後回しよ。

 状況からカナメとテッサは別々の所に捕らわれていると思うわ。

 よって二班に分かれて同時に探索。

 テッサ救出班はあたし、アキト、ヤンの三人。カナメ救出班はソースケ、クルツの二人。

 テッサの方は良いとして問題はカナメの方ね。

 カナメ救出班は受信機を持って探索。とにかく受信機にカナメが引っかかるまでそこら中を走り回って。」

 マオの最後の台詞にクルツは口をあんぐりと開け宗介は訝しげな視線をマオに送る。

 この二人の反応も仕方ないことだろう。どこまであるのかわからない範囲をたった二人で半径数キロしかない発信機を頼りに探すのだ。

 「姐さんさすがにそれは無理だって。」

 「仕方ないでしょ。何所にいるか目星すら着かないんだから。私たちも受信機で探しながら行くからお台場方面は行かないで良いわ。」

 「それにしても範囲が広すぎる。」

 宗介が眉間にシワを寄せる。

 「今のあたし達にはこれだけしか出来ないわ。マデューカス中佐も当てになんないし。」

 マオはため息をつく。

 「…了解した。」

 「それとカナメのほうは例のガウルンが居るということは『ヴェノム』が出てくる可能性が高いわ。」

 「「ヴェノム?」」

 アキトとクルツが鸚鵡返しに聞き返す。

 「ああ、そう言えばアンタたちには言ってなかったわね。順安の時のASのことは作戦会議では『ヴェノム(猛毒)』と呼ばれているわ。

 そいつが居る可能性があるから<アーバレスト>はソースケ、アンタが乗って。」

 「了解。」

 「よし、それでは救出作戦を実行します。質問は?」

 マオはきっかり五秒待つと、

 「今から作戦開始。各自、足の調達。ソースケはさっき言ったけど<アーバレスト>で後の二人はそこらの路駐の車を盗ってきて。」

 「「…マオさん(姐さん)、それ犯罪。」」

 アキトとクルツが同時にうめくように言う。

 「いいのいいの。路駐してる奴が悪いんだから。それとも何?テッサたちが心配じゃないの?」

 マオがアキト達に向かって詰め寄る。

 「「い…いや、それは…」」

 「ならグダグダ言わない!!時間は一分でも惜しいのよ!!」

 「「は、はい!!」」

 アキトとクルツは一目散に校庭を出て路駐の車を探しにいった。

 「さて、ソースケ。どう?」

 『…問題ない。』

 宗介はすでに<アーバレスト>に乗っていた。

 マオが作戦開始と言った瞬間すぐに<アーバレスト>に乗り込んだのだ。

 『マオ、俺は先に行く。』

 宗介はそういうとECSを不可視モードにし、闇夜に姿を消した。

 「ソースケ?……無茶しないと良いんだけど。」

 いつもと様子違う宗介の行動にマオは戸惑っていた。

 彼は明らかに焦っているように見える。

 (ソースケはクルツに任せるしかないか。アイツはアタシよりもあの子の事を良く見てるからね。)

 「さて、アタシも行きますか。」

 そう言うとマオはスルスルとM9を登り始めた。




 それから十分後、アキトの乗るスカイラインが道路を走っていた。

 「ハァ…」

 (今更、犯罪だのなんだの言うのもおこがましいだろうけど。こっちに来てから初めての犯罪じゃないかな?これって…)

 『発信機がさっきから止まっているわ。場所は青海埠頭。』

 「了解。」

 アキトはアクセルを強めに踏んだ。









「With Mythril」

〜第六話〜









 黒塗りのバン4台が貨物船の前で停車する。

 その車から十五人の男女が降りる。

 二名を除いて揃いの黒い衣装を纏っている。

 「ふぅ。意外と時間がかかったわね。」

 「ごめんなさい、姉さん。」

 それを聞いたタクマが自分を責めていると思ったのだろう頭を下げる。

 「……気にしなくて良いわ。」

 そう言いながらタクマの髪をくしゃっと優しく撫でる。

 しかし、その瞳は悲しげに揺れている。

 「今は休みなさい。今日の昼には作戦を決行するわ。」

 「うん。」

 タクマが笑顔を浮かべる。それは先程まであった姿とは別人かと思わせるほど純粋だった。

 セイナをどれだけ慕っているかよくわかる。

 セイナはそれに微笑み返すと無線を取り出し、帰還報告をする。

 「―――」

 『―――』

 「―――」

 淡々とした報告が続く。

 無表情のセイナ。色が白いせいだろうか、どこか氷の彫像めいた雰囲気がある。

 そんな中、セイナが表情を変えたのは相手の最後の通信だった。

 『――――それと捕らえてある白人の男が目を覚ましたぞ。』

 「!!そう。すぐにいくわ。」

 セイナはタクマに振り向くと、

 「部屋はタケナカに聞いて。私は急用が入っちゃったから。」

 「……わかった。」

 セイナと話がしたかったのだろう。

 タクマはがっくりと肩を落としながらタケナカの後ろをトボトボと歩いていく。

 セイナはテッサに向かって、

 「さて、あなたにはもしものときの人質になってもらうわよ。連れてって。」

 それを聞いたテッサは下唇を強く噛む。

 自分のせいで彼らの任務がより困難になったのだ。

 (あの時、私にもう少し運動神経があればこうして人質になることもなかった。

 それにテンカワさんが死ぬことも…)

 男がテッサを連れて行こうと腕を引くが、テッサは項垂れたまま動かない。

 「歩け。」

 男が太く低い声で言いながらテッサの背中に硬いものを押し付ける。

 それは感触から銃だとわかる。

 テッサは任務の邪魔になるなら、いっそのことここで逆らって死んでしまおうかと思ったが止めた。

 ここで死んだら彼女のために一生懸命戦ってくれたアキトと宗介に申し訳なかったからだ。

 テッサはそのまま誘導に従い、殺風景な部屋に監禁された。




 セイナたちが到着する少し前。

 「…」

 カリーニンは目を覚ました。

 彼の体には余す所なく包帯が巻かれており、さしずめ即席ミイラ男といったところだろうか。

 周囲の気配を探ると自分の足側に人の気配がする。彼の見張りなのだろうが、張り詰めた感じはしない。

 多分、彼が起きることはないと思っているのだろう。

 実際、彼の傷は酷く常人なら体を動かす気力も湧かないほどだ。

 しかも彼の右腕は頭の上に上げられパイプベッドの上端に手錠でつながれている。

 脱出は無理だろう。しかし何時までもここに寝ている気はない。

 見張りにばれないように最小の動きで体の動作チェックをして行く。

 ばれないに越したことはないし、意識が戻ったと同時に拷問にかけられる恐れがある。

 指先…OK、肘…OK、足首………

 右足首を動かしたときにふくらはぎに激痛が走る。

 だいぶ深い傷があるようだ。

 常人なら叫び声を上げるような痛みだが、カリーニンは戦闘のプロフェッショナルだ。

 呻き声の一つ上げない。

 しかし、条件反射までは止めることは出来なかった。

 彼の体がピクリと震える。

  ジャラ

 その弾みで手錠の鎖が音を立てる。

 (くっ、しまった。)

 その音に見張りからの注意が高まる。

 見張りが椅子から立ち上がる音が聞こえる。

 (見張りを倒して銃を奪い、手錠を破壊して逃走。)

 そう考えた瞬間、カリーニンの右足に激痛が走った。

 見張りはカリーニンに近付かずに彼の怪我がある右のふくらはぎにサブマシンガンの銃口を押し付けたのだ。

 先程の激痛よりも遥かに痛い激痛が走る。

 呻き声はかろうじて出さないものの、体が再び反応する。

 「起きたようだな。おい!聞いているんだろ!!」

 銃口をグリグリとカリーニンの傷口に押し付けるが、彼は一切口を開かない。

 その後、二、三分同じように刺激を与え続けたが彼は口を開かなかった。

 「……まぁ、いい。」

 そういうと見張りは無線機を取り出す。

 「あ〜、こちら五号捕虜室。捕虜が起きたみたいだ。」

 『みたい?起きたのか起きてないのかはっきりしろ!』

 「起きたんだが、傷口を痛めつけても呻き声一つ上げねぇんだよ。」

 『余りの痛みに気絶したんだろ。』

 「いや、筋肉のつき方を見てもこいつは軍人だ。それもとびっきりの。

 それに拷問の痕もある。これぐらいの痛みで気絶するかよ。」

 カリーニンに聞かせるように声を大きめにして言う。

 『あんまり痛めつけるなよ。セイナが帰ってくる前に死なれでもしたら、うるさいぞ。』

 「わかってるよ。それでセイナたちはうまくやってるのか?」

 『今タクマを連れてこちらに向かっている。あと一時間もしたら着くだろうよ。』

 「そうか、取り戻せたか。あとは計画通り進めるだけだな。」

 『あぁ、もう報告はないな?切るぞ。」

 「OK。」

 通信を切ると見張りは最初に座っていた椅子に座り、カリーニンを見る。

 「早く来ないかねぇ。」

 狸寝入りを決め込んでいるカリーニンとベッドと椅子、自分以外にはこれだけしか存在しない窮屈な空間に彼はため息をついた。




 それから四十分後。

 五号捕虜室の扉がノックされた。

 見張りがドアの窓越しに相手を確認してから、扉の鍵を開ける。

 「よぉ、セイナ。捕虜は起きているみたいだぜ。」

 「みたいってどういうこと?報告はハッキリするようにいつも言っているでしょ。」

 見張りは再び同じ事を言われて思わず苦笑する。

 「すまない。四十五分くらい前に起きたはずなんだが、刺激を加えても反応一つしない。

 こいつがそこら辺の奴なら気絶したんだと思うんだが、こいつはどう見ても常人じゃない。」

 「同感ね。私は彼に話があるから外してくれる?終わったら呼ぶから。」

 「ヘイヘイ。それにしても意外だな。セイナの好みがオジサンだったと……

 し、失礼しました!すぐ出て行きます!!」

 セイナの睨みつけるだけで人を殺せるような視線に見張りは慌てて部屋を出る。

 その後姿が扉から出て行くとセイナは小さくため息をつく。

 このあと他の仲間からどんな揶揄が飛んでくるかと考えただけで頭が痛くなってきた。

 彼女は周りから『氷の女』と呼ばれ続けていた。

 自分を慕っている弟を犠牲にし、仲間の安全よりも任務の達成を優先した作戦を組む。

 そんな彼女が敵、しかも男を本拠地であるこの船に連れて来たのだ。

 タクマを取り返して少し気の緩んでいる、周りの連中がセイナをからかうのは当然だろう。

 「さて、あなたの名前はなんと言うのかしら?」

 セイナは椅子に座りながら子供に問いかけるように聞く。

 そのまま十秒ほど待つがカリーニンの返事はない。

 「……喋る気は無いようね。私は別に良いけどテレサ・テスタロッサさんが虐められるわよ。」

 テッサの名を聞いたカリーニンの眉がピクリと動く。

 「やっぱり、あなたの知り合いだったのね。」

 カリーニンは自分の一瞬見せてしまった反応を苦々しく思いながら黙秘を続ける。

 「いいのかしら?私が無線に向かって一言言うだけで彼女の耳が飛ぶわよ。」

 彼女の指が無線機のスイッチにかかる。

  カチッ

 通常だったら音は聞こえないのだが、カリーニンに聞かせるためにセイナは強めにスイッチを入れる。

 彼女が口元に通信機を持っていこうとする所で、

 「……アンドレイ・カリーニンだ。」

 先に折れたのはカリーニンだった。

 テッサが捕まっていると確信したわけではないが、捕まっている可能性も高い。

 個人的なことで彼女を危機にさらすわけにはいかなかった。

 しかし、もしミスリルに関する情報を問われたらテッサには申し訳ないが犠牲になってもらうしかない。

 「私はタチカワ・セイナよ。

 別にあなたの組織の事を聞く気はないわ。

 ただ、あなたと話がしたいだけ。」

 「私に誘導尋問は無意味だ。」

 「関係ないわ。もし、あなたが自分の事を隠しているのなら別だけど。

 あなたは家族はいるの?」

 「もうすでに居ない。」

 カリーニンは注意しながら答える。

 彼女の言っていることが信用できないのだ。

 カリーニンにとって敵との対話は情報の探りあいでしかない。

 世間話をするというのは誘導尋問のためだとしか彼には考えらなかった。

 「そう。私には弟がいるわ。義理のだけどね。」

 そう言ったセイナの顔に悲しみの色が出るのをカリーニンは見逃さなかった。

 「弟とはクマガヤ・タクマのことかね。」

 カリーニンが揺さぶりをかける。

 「そうよ。」

 「君は弟を悪魔への生贄にするつもりか。」

 カリーニンがそう言った瞬間、セイナの体がピクリと震える。

 「……あなたには関係ないわ。」

 「……」

 少し沈黙が続く。

 「あなた、武知征爾って知っている?」

 「いや。」

 「彼は傭兵でね。ベトナム戦争で初めて戦争に参加。

 その後、紛争地帯に赴いて戦い抜いてきた戦士よ。

 偵察、サバイバルのスペシャリストだった。」

 セイナの声がわずかに弾む

 「そんな彼が第五次中東戦争を最後に帰国してある事業を開いたわ。」

 「警備会社か何かかね。」

 「福祉事業よ。<A21>という名のね。

 内容は非行少年の更正。いろんなろくでなしが集められたわ。

 そして彼はそいつらを無人島に連れて行ってサバイバル技術を叩き込むの。

 どんな悪ガキも真面目に話を聞いたわ。

 食料も飲み水も自分で探さなくてはいけないから。」

 「それは効果的だな。」

 カリーニンはここに居ない武知征爾に賞賛を贈る。

 「しかし、何所から嗅ぎつけたのか、潜入したマスコミが無断で設備をいじってドカン。

 七人もの死者を出したわ。

 そのあとは最悪。勝手にいじったと言うのに『テロリストの巣窟』と世間に流されたわ。

 構成されている子供達の過去とともにね。」

 彼女の瞳が憎しみに燃える。

 「私のことも。あの子のこともね。」

 彼女の声には怒りが込められているが、瞳は再び悲しみに揺れる。

 「どうしてあなたにこんな話をしたかわかる?」

 「いや。」

 「あなたから武知征爾と同じ匂いがするからよ。」

 別に体臭が同じと言っているのではなく、雰囲気が似ているのだろう。

 このときになってカリーニンは彼女が自分と話に来た真意がわかった。

 彼女はタクマを犠牲にすることに踏ん切りがつかないのだろう。

 だけど、計画を中止するわけにいかない。

 だから彼女は誰かにすがりたかったのだ。

 しかし彼女は仲間にすがることが出来ない。

 彼女がそれなりの立場にいることはカリーニンがここにいることからも想像が出来る。

 ただの構成員ではこんな勝手は許されないだろう。

 そんな地位にいる人物がこれからの計画のことで弱音を吐くことは直接士気に関わる。

 そこで白羽の矢がカリーニンに当たったのだ。

 「もしあなたがペテン師呼ばわりされて殺されたとして、あなたの部下達がその仇を討とうとしたらどう思う?」

 「どうも思わんな。私は土くれに還っている。土くれは何も思わない。」

 「つまらない答えね。…だけどそれが正しいのかもしれないわ。」

 セイナは自嘲気味に呟く。

 「そう思うなら復讐など止めるべきだな。」

 「復讐ではないわ。

 ……ただ平和ボケしたこの街を私たちの色に染め上げたいだけ。」

 セイナはカリーニンから視線を逸らし、部屋から出ようと扉に手をかける。

 「武知征爾は今どうしている?」

 「死んだわ。刑務所で首を吊って。」

 そう答えるとセイナは部屋を出る。そしてセイナに代わって先程まで見張りをしていた男が入ってくる。

 カリーニンは先程の話を整理し始める。

 彼女の弱点は決意の弱さだ。

 彼女がタクマの事を話すときに悲しみに染められた瞳を見せるのは彼に対する罪悪感からだろう。

 実際、先程軽く揺さぶりをかけただけで彼女は過剰に反応した。

 そして武知征爾の存在。

 カリーニンにも彼が自殺した原因は想像できた。

 話によると屈強な男のようだから自分の信念が認められなかったぐらいでは自殺しないと思う。

 たぶん、自分の施設のせいで過去を暴露された子供達に申し訳なくて首を吊ったのだろう。

 彼女もそれぐらい想像できただろう。

 だからこそ彼女の心は揺れているのだ。

 これをうまく利用すれば事態を好転できるかもしれない。

 カリーニンは目を閉じて説得する方法を考え始めた。




 テッサはベッドの上に横になったまま空中を見つめていた。

 目を閉じるとあの光景――アキトがライフルで集中砲火を受けている瞬間が目に浮かぶので目を閉じることが出来なかった。

 報告で自分の部下が死んだと伝えられたことはあったが死ぬのを目の当たりにしたのはを初めてだった。

 自分がどれだけ『死』を甘く見ていたかが思い知らされた。

 実際、人が目の前で殺されたのを見たのはアキトが敵を射殺したのを見るのが初めてだったのだ。

 (その気になれば万単位の人を簡単に殺せる立場にいるというのに……)

 自分のような立場にいる人間は部下の死で立ち止まってはいけないと理性ではわかっているのだが感情が言う事を聞かない。

 (私はバニの死を乗り越えたのに……)

 テッサが一年前に死亡した彼を思い出す。



 二年前、当時テッサはまだ大佐ではなく研究員だった。

 最愛の兄がミスリルを抜け、テッサは悲しみに落ち込んでいた。

 彼女は兄の背に隠れて、周りとの接触を嫌っていたのだ。

 そんな彼女に手を差し伸べてくれたのがバニ・モラウタだった。

 それまで兄の友人としか見ていなかったバニを初めて一人の人間として認識した瞬間でもあった。

 同じ年であり、同じウィスパードである彼にテッサが心を許すのに余り時間は必要なかった。

 話しかけられて一週間でテッサはバニに笑顔を見せるようになっていった。

 そして彼を起点にして彼女は初めて外の世界と言うものに目をやった。

 そのときが彼女にとって本当の人生が始まったといっても過言では無いとテッサは今でも思っている。

 周りの世界は驚くようなことばかりであった。

 料理のときのちょっとしたコツ。

 数字では表すことの出来ない喧嘩の勝負の行方。

 生きた人以外の生物。

 全てが全て新鮮だった。

 そして出来た友達。

 それから一年は彼女にとって今まで生きてきた中で最も充実していた。

 その間にテッサは前々から作っていた<トゥアハー・デ・ダナン>を完成させ、大佐になっていた。

 しかし、幸せな時はもろく崩れ去った。

 それがバニ・モラウタの死である。

 彼女は何もやる気がなくなり食事もせず、ずっとベッドに仰向けになって寝ていた。

 来客が来ても反応せず、ただひたすらに天井と自分との間にある空間に視線をさまよわせていた。

 そんな状態が一週間も続いた。

 何をしても反応しないテッサには栄養補給のための点滴がつけられていた。

 誰もが諦めかけたとき、それを打開できたのが半年の間に友達になったマオであった。

 彼女はそれまで周りはもちろん彼女自身も触れなかった『バニの死』を再度告げたのだ。

 その瞬間テッサの目から涙が溢れ、マオにすがって泣き尽した。

 その後のマオの説得により、彼女は立ち直り降格寸前だった大佐をしっかりと果たせるようになるまで回復した。



 『彼をあなたを廃人にした悪者にしたいの?』

 あの時マオが言ってくれた言葉が頭に響く。

 テッサはガバッと身を起こし、顔を両手でパチンッとはたく。

 そして頭から悩みを飛ばすように軽く振る。

 もう一度、マオの言葉を頭の中で思い出す。

 (このままくよくよしていたら天国にいるバニとテンカワさんに怒られてしまいますね。)

 二人の顔を頭の中で思い浮かべるが不思議と暗い気持ちにはならず、逆にやる気が湧いてくる。

 (見ていてくださいね、二人とも。)

 テッサは心の中でガッツポーズをとった。






 後書き

 作:やっとのことで達成、二週間更新(私としては三週間たってなければ二週間更新(爆))!!

 か:言うことはそれだけかァァ!!

    どぐっ

 作:ぐはぁぁ

 か:私が出てないじゃない!!しかも面白くないし!!

 マ:本当にね。今回は思いっきりつまらないわ。

 作:二人して酷い……

 か:だって動きが全くないし。

 マ:原作とさして変わらない少佐とセイナの話し合いがメインだしね。

   正直言って、読者が飽きるわよ。これは。

 作:ううう、私もそう思ったんだけど今回の話は後々それなりに重要になってくるから……

 マ:なら、もう少し長くして動きがあるのを持ってくれば良いじゃない。

 か:私の出番もね。

 作:いや、なんか書いててここが区切りが良いかと思って(汗)

   それにかなめは当分出番が……

    どすっ

 か:そんなこと許されると思うなぁぁ〜〜〜!!!

 マ:ま、あたしが出たから今回は許すとして。

   今回も後書きに書くようなことないの?

 作:………

   あはは、後書きに書く内容が本当になくなってしまった(汗)

 マ:本編もだけどこっちも問題よね〜。

 か:二話連続でこれは悲しいわね。後書きに四苦八苦してるのってアンタだけじゃない?

 作:本編も四苦八苦だけどな(苦笑)

       …………

 マ:補足説明でもするしかないかな?

 か:そう、それですよ。

   今回出てきたバニさんですか?あの人は何者なんですか?

 作:原作によるとウィスパードの一人でARX-7を作った人。

   テッサが昔好きだったようなことがチラホラ書いてある。

   あと、発狂死したらしい。

   こんだけかな?

 マ:と言うことは今回のあのエピソードは一応オリジナルってことね。

 作:うん。テレビ版でどうなってるか分からないから、それが心配だな〜。

   ま、小説を基準にということで(汗)

 か:あとは………こっち(補足説明)も品切れ?

 作:あうう。

 マ:原作と話がほとんど変わりないからね。

 か:こんなんでこのまま続けられるの?

 作:大丈夫!!もうあと数話したらオリジナルに入るから!

 マ:どうせ口先だけでしょうけど。

 作:う…

 か:実際、ちゃんとした二週間更新も出来なかったしね。

 作:ぐふっ

 マ:……なんか後書きが収拾つきそうにないからこれでお開きということで。

 作:こんな作品を読んでいただいてありがとうございました。

   感想を送ってくださった、すあまさん、浅川さん、谷城さん、v&wさん、危険地域さん、ノバさん本当にありがとうございます!!

   皆さんのお陰でこうして書くことが出来ます!!!

 か:それでは、また〜〜

 

 

代理人の個人的な感想

ま、インターミッションには伏線と解説と回想が付き物(笑)。

「おいおい、ここで回想入るのか?」ってなもんで(謎)。