『『『『『『出来ないのかよ!』』』』』』

 すっかり、何時もの調子に戻りながら俺は続けた。

「ふふふ、長い事ベッドの上に縛り付けられてたもんだからな… 溜まったストレスを解消するいい機会だ…」

 ふと、聞き取りにくい声が通信機から漏れた。

「ん? なんか言ったか? オペレーター。」

『いえ、何にも。』

 何やら、少々不穏… って、言うか不安な物を感じながら俺は、ビルの影に機体を隠した。

 赤いマーカーが近づいてきたのだ。

 新型だが、なんだか知らないが今の俺に当たってしまったことは不運だったな。

 全く持って俺は身体こそ不調だが、精神力・気力・集中力・根性・アドレナリンの分泌量は、絶好調を超えた好調絶後だ!

 ん? 自分で言って意味が解らん。

「さぁて… 来るなら着やがれ… こってりとした甘い蜜が取れるようにしてやるぜ…」

 ペロリと、緊張で乾いた唇を舐めて湿らせる。

『おうおう… なんだか知らないが、今日の隊長さんは絶好調らしいぞ。』

『さっきまでは、アンナに暗かったのに…』

『この数時間の間に何か楽しい事でもあったのか…』

 ありました。って! 思わず反応しそうになったな… 危ない危ない。

 しかし、一々指示を出さなくても、向こうが勝手にこっちのやって欲しい事をやってくれている辺り… 俺達も、考える事が似てきたのか。それともチームワークと言う物が完璧になってきているのかは解らんが…

 とにかく、まるで俺の心を読んだかのような行動に感心して俺は言った。

「わかってるじゃないか…」

『そりゃあ、コレが一番楽な方法だからね。』

『敵は地べたを這いつくばっているからな。全くコレが有効だよ。』

『レーダーで見る限り機影はデカイようだが、楽勝楽勝!』

 全員が、全員男笑いをして、ビルの陰に隠れて敵を待ち受ける。

 ドシィ… ドシィと、やたらと重い足音が聞えた…

 ビルの陰から敵機が姿を現す。

 目視した途端、思わず。ヒュ〜と、口笛を吹いてしまった。

 エステバリスは膝ほども無いほどの巨体で、まるで数世紀以上前のテレビアニメの主人公機を思わせるカラーリングとデザイン… しかし、俺にはどう見ても…

「なんだなんだ? 敵は、ドラム缶を組み合わせているのか?」

 敵影を目にした途端。そんな単語を口ずさむ。

『スーパーロボットと言うべきか?』

 と、ヤマダ。

『デカければ良いってモンでもあるまいに…』

 と、ジュン。

『敵にも趣向が変わった奴が居るらしいな。』

 と、アカツキ。

 まあ、無人兵器に趣向が有るかどうかは定かではないけどな。メカにも趣味があるのか?

 それはともかく。

「トラップに侵入だな。」

『結構都合良く行くもんだね。』

 しかし、敵の狙いはなんなんだ?

 どうして、こちら側に着たんだ? 「ナデシコ」の破壊か? それとも都市攻撃?

 俺には、この時に何故こんな新型機が、別段軍事ドック程度しか重要施設の無いこんな場所に攻撃を仕掛けたのか理解できなかった。

 理由など教えられても居ないのだから…

 つまりだ。直ぐそこにある。研究所のことなんて俺は知らない。

 けれど、アレが何の為に来たにせよ。攻撃ならば防衛しなければならなかった。

『もう一機の方も侵入したな…』

『さて… 盛大にご歓迎といきますか。』

 お祭りの始まりだ。

 敵の巨大な足が、コンクリートの上に下ろされた。

 その瞬間。爆発光が視界を真っ白に染め上げる。

「何時の時代のどんな時も、地雷ってのは有効な兵器なんだよなぁ…」

 シンプル・イズ・ザ・ベストって奴だよな。

 地雷ってのは、一番安価で効率的な兵器だ。

 人道には反するけど…

 しかし、そんなモン糞喰らえだ。

 爆発によって、敵の巨体はバランスを崩した。って! それだけか!

「ずりゃぁぁぁぁ!」

 ガガガガガ! と、腰ダメに構えてラビッド・ライフルを発射する。

 だが、高出力のディストーション・フィールドらしく、銃弾のことごとくは軽く弾き返された。

「ちぃ! 計算間違いだ! 全機散開!」

『全くだ!』

 最低でも足の一本を頂く予定だったのに、どうやら敵の装甲を甘く見ていた。

 ローラーダッシュとスラスターを同時に作動させて、ホバリングの様にコンクリートの上を滑るように進ませて機体を後ろに下がらせる。

 敵にも発見された! だが、その場所には俺はもう居ない。ミサイルが前方に注ぐ!

 ビルや道路の破片が次々と中空に舞った。

「なろぉ! こんな豆鉄砲じゃ、キツイな… 弾薬もあんまり無いってのに…」

 幾ら気力は十分でも、こういう物理的なことまでは、気合では乗り切れない。

 ビリビリと、長らく乗っていなかっ為にGで、全身から悲鳴が上がる。

「!!」

 と、その時だ。敵の機体が何か虹色の輝きに包まれた。

 後に残されたのは、そこにあった空気だけ…

 消えた! あんなデカブツが!

 ビー! と、警報音が高鳴る。

 ハッ! とレーダーを見ると、背後に反応があった。何時の間に!

「な!」

 振り向く間もなく、ドカァン! と、爆発音のような音が響いた。敵の腕が俺の機体に向けて迫ってくる。

「うぉぉぉ!」

 敵に背を向けたまま。思いっきりスティックを我武者羅に動かして、機体を蛇行させる。

 間一髪で回避に成功。

 ズシィンと、超重量が大地を押しつぶした。

 まともに喰らってたらアサルトピットが肉の缶詰になっていた。

 息が上がる。

 再度、虹色の輝きがモニターの隅に写った。

「瞬間移動か! 原理がどうとかは良く解らんけど! 厄介な!」

 Gに弄ばれながらも、俺はレーダーに目を光らせる。

 反応があった。今度は右側だ!

 だが、位置がわかったところで俺が今の装備品では奴を倒す事は無理だろう…

 全部が全部、ディストーション・フィールドに阻まれる。

 いや待てよ… もしかしたら…

 俺は、敵の反応がある方向に向ってラビッド・ライフルを撃ちまくる。

 右側から黒い閃光が迸った。

 大地が割れる。ビルが崩れる。

 グラビティブラスト装備と言っていたな… 大した威力だ。

 けど、解ったぞ!

 ガギギン!

 と、ラビッド・ライフルの弾丸が敵の“装甲”に着弾した。

 俺は、ニヤリと口元が緩むのを感じた。

 つまりだ。前から思っていたことだが、ディストーション・フィールドとは武器を使うに置いては解かなければならない。

 フィールドを張ったままで、ミサイルを撃てばフィールドの中でミサイルが爆発してしまうからだ。

 つまり、敵も味方も攻撃の時においては無防備の状態になる。

 あの新型も、その法則は確かにある。それを証明できた。

 後は…

 再度、虹色の輝きが前方で沸き起こる。

 また、瞬間移動して死角から攻める気か! 何の気なしに使えるモンなのか?

 レーダーに機影! 今度は… 近い! 距離にして約100mだ!

「うぉぉぉぉ!」

 ドゥゥゥと、スラスターが炎を噴いた。

 爆発のような推進力が身体を押す。

 敵から再度、今度は鋼の拳が打ち出された。

 ディストーション・フィールドは解かれた! その一瞬で!

 俺は、フィールドの内側に飛び込んだ! バックパックに背負われた大剣(ディサイア)

 ガキィ!

 装甲を斬り付けた!

 けど、浅い! この踏み込みでか!

 装甲の裏側の機械部分を僅かに露出させただけだ。

「なろなろなろなろなろ!」

 だが、この一瞬に勝負をかけるしかない! 片腕でそこら中のレバーを操作して我武者羅に剣を振るう!

 ミサイルも全弾発射して、止めといわんばかりに反対側の手で切り裂いた装甲の隙間にラビッド・ライフルの銃身を捻じ込んで発射する。

 爆発光が、敵のフィールドの内側で巻き起こる。

「どうだ! これでもか! これでもまだ、堕ちないか!」

 堕ちないんだよ! この野朗!

 敵が、虹色を纏い始めた。

 ドクン… 心臓が高鳴る。

 俺は、コレがなんだかは知らない。

 けど、ヤバイ予感がする。

 コレに巻き込まれたら俺は、二度と帰って来れない場所に行く事になる。

 なんだか、そんな気がした。

「あああ!」

 ガン! と装甲を蹴りつけて、全力でスラスターを噴かせて虹色の光から遠ざかる。

 だが、避けきれない。防壁のような物に阻まれた。

 敵はディストーション・フィールドを展開していた。

 俺は、その牢獄の中に閉じ込められていたのだ!

「ま、まず!」

 虹色の鮮やかな光が、眼前に広がる。

 でも、俺にはまるで地獄の業火の様に見えた。

 何処かに! 何処かに突破口が!

 時間が無い! アレに巻き込まれたら何か嫌な予感がする。

 俺は予感と言うものは大切にするタイプだ。

 こうなりゃ、一か八かだ!

「ディストーション・フィールド… 全開!」

 目の中に虹色の砂粒のような光が生まれる。

 俺の目の中で、その輝きは徐々に光を更に増していく。

 思いっきり飛び退るようにスラスターを連発で噴かせる。

「うぉぉぉぉぉ!」

 出力的には此方が圧倒的不利だ。

 でも、なんとか! なんとか…

 バヂバヂ! と、ディストーション・フィールドのぶつかり合いの音が響く。

 此方の方のディストーション・フィールドは、球状に展開するはずの物が拉げて装甲に当たりそうだ。

 肩の部分の緑色の塗装が剥げて、金属の色が現れる。

 俺の、目の中の輝きが更に光を増した。

 少しだけ、少しだけディストーション・フィールドの出力がジリジリと上がっていく…

 その瞬間。僅かに敵のディストーション・フィールドが拉げた。

 ガスゥ! と、大剣(ディサイア)

 大剣(ディサイア)

 そのまま、袈裟狩りに敵のディストーション・フィールドを引き裂く!

 その隙間から発射されるように俺は、ディストーション・フィールドの牢獄から抜け出した。

 ホッとしたのは、つかの間だが、その間はブレーキなんて効く筈が無いし、油断している。直ぐそこにあったビルに機体の頭部から突っ込んでしまった。

 で、でも助かった…

 アレの光が良く解らないけど… ひょっとしたら全然無害な物なのかも知れないけど…

でも、確かに助かったような気がする。

「ふぅい…」

 とにかく、ビルに突っ込まれた状態の機体を立ち上げる。

 少々関節から火花を走らせながらも立派に立ち上がり、コンクリートの道路の上に降り立った。

「ん?」

 手に持った大剣(ディサイア)

 脱出時のディストーション・フィールドの袈裟狩りの為か、半分ほど刃こぼれを起こしていた。

 不味いな…

 今度は、関節からバラバラにしてやろうと思っていた矢先だってのに… これじゃぁ…

 って、まて俺! 一難去らせても、気を抜いて敵から目を放しちゃ不味いだろ!

 その思いに違わず、ミサイルが此方に向っている。

 警報がようやく鳴った。

 鳴るのが遅い! 避けられないぞこれは!

『スタンドプレーの代償だ! 一個貸しとくぞ!』

 そんな事を視認した途端。そんな、通信が入った。

 ドカドカと、前方のミサイル群が撃墜された。

 た、助かった。

 冷や汗が、ダクダクと流れ落ちる。

『このヤマダ・ジロウ様の稼ぎを横取りしようとした罰だ! どうやら、天も俺に貴様を大活躍させるなと仰っている様だな!』

「ぬわにぃ!」

 礼を言うべきだが、思わずそんな反応を返してしまう。

『まぁまぁ、向こうは今出撃してきた女性さん達と、アカツキさんがウハウハで戦っていますから、コッチに二人着ても大丈夫です。』

「そうか、残念だったな。どうせジャンケンポンで決めたんだろお前ら… 誰が残るかを…」

『『畜生! この恨み! 貴様にぶつけてやるぅ!』』

 ひょっとしたら、この台詞は俺に向って言った言葉かもしれない。

 まあ、今は戦闘中だ。ドカドカと爆炎が煌いている。

『お前は、殆ど弾薬が尽きているだろ! 補給に戻れ!』

 しかし、ヤマダの言葉は突如デカク表示されたウインドウによって、顔も声も掻き消された。

『阿呆! ヘボパイロットどもが勝手な事を抜かしているんじゃない! 今日は主に部品の補給中だったんだ! 弾薬などの補給は明日の予定だったんだぞ! もう、予備の弾薬なんてあるかぁ!』

 そんな、でっかい顔して威張っているような口調で言ってくれるウリバタケさん。

「それは、物凄いピンチって事じゃないですか…」

 ノーテンキな口調での会話だが、内容自体はかなり危機的だ。

 俺の武器は、後はエステバリスの二本の腕と足。それとディストーション・フィールドだけか… ヤマダとジュンを合わせても到底火力が足りない。特に俺には武器自体が無い。

 さて、どうする… アイツをぶん殴るしか方法は無いか…

 しかし、装甲は向こうの方が明らかに厚い。一撃では決められないだろう。けれど早々何度もチャンスがあるとは限らない…

 せめて、大剣(ディサイア)

「………待てよ。」

 思わず、レバーから手を放して、ポンと手を合わせる。今思った事を口に出してしまった。

「ああ、なんだ。簡単な事だ。刃こぼれしていない刀身の根元の部分で斬れば良いんだな。」

 てなわけで…

「再度突貫!」

 弾なんて殆ど残っていないラビッド・ライフルを投げ捨てると、俺は半分刃が欠けた大剣(ディサイア)

 フレアが背後から青白い光を放つ。

 推進力が身体を押した。

 向こうまで一気に跳躍してやる!

 しかし、この納得の仕方は無茶苦茶かつ無理矢理な気がする。

「まあ、良いか…」

『で、オイオイ! 刃が欠けた剣一つで敵に突っ込んでいく馬鹿が居るか!』

「ははは! ウリバタケさん! 世の中とは不思議に満ちている物ですよ!」

『そんな、無茶苦茶な不思議がそこら中に満ちていてたまるかぁ! 戻れ! この発情気真っ盛り野朗!』

 ビクリ、と思わず反応してしまった。

 見られて… 無いよな…

 ああ、恐らくからかいだろう。そうだから冷静に返さないと…

「あははは! そんな、下品な単語でのカラカイは、止めて欲しいですねぇ。」

『ん? 何か口調が可笑しくなっているぞ…』

 不味い! 感づかれたか!

 精一杯のポーカーフェイスを用いたのに!

 糞! 俺のポーカーフェイスはまだ甘いというのか!

「ああ、そりゃあ、こんなGの中ですから。」

 誤魔化せるかな…

『そうか。』

 完璧だ!

 内心で、ガッツポーズを取りながら、俺は今更気が付いた激しいGに顔をしかめる。

 と、その時警報音が高鳴った。

 鳴る方向を見つめる。ミサイル接近などとは少々音の高さが違っていた。

 機体の異常の部分を示すモニターの部分の一箇所が赤く染まっていた。

 瞬時に電源が落ちた。コンソールから光が消える。けど異常部分を示すモニターは、内臓電池なので、写ったままだ。

 ガスゥ… と、推進力が一気に落ちる。

 元々、陸戦フレームの為にジャンプの為の推力なのだが、機体が動かないのでは着地のフォームが取れない。

 ヤバイ! 予期せぬ事態と言う奴だ。

 体勢が取れていないために、機体の予想外の運動に目が霞んでしまう。コレじゃ被害状況を示すモニターを見ても何が原因なのかわからない!

 ヒュゥゥと、放物線を描いて、機体は下降を始めた。

「コン畜生! もうちっと踏ん張れ!」

 ガチャガチャと殆ど盲目の中で、位置は身体に刻みこまれているレバーやらスイッチ類を叩くが、全く応答しない。何が起こったんだ!

 変な角度で着地したら、アサルトピットを押しつぶされてしまうかも知れん! そんな事は勘弁だぞ!

 カメラの電源が落ちても見る間に地面が近づくのが、感覚で解る。

 なにが…

 !!

 動力部からの電気供給が出来ていないのか!

 堕ちる中で閃いたのは、その単語。

 恐らく、点検前の導線が度重なる全開使用に参ってしまったんだろう。

 なら、補助の奴を使えば!

 バチン! と、補助動力のスイッチを入れる。

 ギュィィン! と、動力が舞い戻った。

 エステバリスのメインカメラとコンソールに光が灯る。

「大当たりぃ!」

 出力を取り戻したエステバリスを動かして、瞬時に着地の態勢を取る。

 ガギィン! と、少々バランスを崩したが、着地した。

 戦場に到着だ!

 ゴミ収集所の屍を踏み潰しながら、肩の部分だけが金属の素肌を晒した緑色の巨体は二本の足で、大地を踏みしめた。

 整備の行き届いていなかったらしく、大きくなった駆動音が… だが、それが雄叫びのように… いや、遠吠えの様に町中に響く…

 俺は、この頃散髪をしておらず、ボサボサになって前に垂れてきて視界を塞がんとする前髪を右腕で払った。

 外気温との温度差で機体から陽炎が立ち昇る…

『うぉぉぉ! てめぇ! 描写といい何といい! 決め過ぎだ!』

 ガクッと、シートに座った俺の体が斜めになった。

『まあ、格好つけはコレくらいにしといてください。』

「心配するな。コレに懲りた。」

 俺は、そう言うと大剣(ディサイア)

 と言っても、正規の構えなんて俺は知らないから完璧な我流だ。

 と、言えば聞こえが良いが早い話が当てずっぽうである。

 とりあえず、何となく早く動けそうな構えである。

 映画の一騎打ちで、騎士が取るような前に縦に構えた状態だ。

 目の前の更なる巨体に向けての挑戦状を叩きつけるように、エステバリスの目が光った。

「おいおい、挑発してくれるな。」

 と、何となくそうなった事が解ってしまう。

 それは、乗りなれた為に付いた一種の絆のような物かも知れない。

 眼前の巨影が、虹色の光を放つ。

 消えた!

 何処だ! 何処から来る!

 レーダーと睨めっこしながら、俺は感覚を研ぎ澄ませた。

 相手が現れるまで、実際は数秒だ。だが、何分にも感じられた。

 そして、敵が現れた方向は…

「後ろとは… セオリー通りにも程があるぜ!」

 前方に向けてスラスターを噴かせる。

 出来るだけ手早く済ませる必要がある。使っているのは補助動力だから、重力波ビームでのエネルギー供給が出来ない。

 この機体が通常機動で動かせるのは後10分程度だろう。

 全開で動かせるのは5分あるかないかだ…

「だぁぁぁぁ!」

 敵が、グラビティブラストを発射する。俺は、姿勢制御して出来るだけエネルギーを使わないようにしながらギリギリで回避する。

 なんて、器用な芸当が出来る訳はないんだった… 左腕持って行かれちまってる…

 離れた左腕が接続されていた部分から火花が舞い散る。

 左腕への電源供給カット!

 だが、再度ディストーション・フィールドが開いた隙に、俺は内側に飛び込む事に成功した!

 そして、敵が瞬間移動をする前に…

 右腕を振り上げる。

「御首下させてとっとと…」

 相手の、首の関節に向って大剣(ディサイア)

 手ごたえが、返ってくる。

 躊躇わずに振りぬいた!

 片腕の為に、右腕のモーターが負荷の限界値を超えた… 関節部から火花と悲鳴を迸らせる!

 だが、一瞬で勝負は付いていた。

 敵機の首と胴が分かれる。

 接続部から、漏電の為に、鮮やかな青い稲妻が走った。

 爆発…

 敵機の頭部が爆発した…

 なんだ…

 俺は、何をした…

 俺は、木星蜥蜴を撃破した…

 だが、妙だ。なんだこの感覚は…

 何となく、俺には判別できるようになっていた。物を壊した時と人を殺した時の感覚と言うものが…

 それは、錯覚なのかもしれない。

 いや、そう思いたかった。

 だって、今の感覚は… 何なんだ…

 このまるで、人を殺したかのような感覚は…

『ちっ! やっぱし、大将首はお前のものか!』

『ああ、糞! ブランクのある今日こそが、君の戦果を越えるチャンスだったってのに…』

 冗談を返せない。

 なんだ。アレはなんだったんだ?

 あの巨大な機動兵器には何が… いや、誰が乗っていた!

 俺には、知る由も無い事だ。

 だが、この事が後の歴史に少なからぬ影響を与える事は、語らずとも解るだろう。

 完璧に、完全にこの世界は変わったのだ。

 此処からは完全に一つの独立した歴史を歩んでいく事になる。

 だが俺には、そんな事が解る筈が無かった。

『コッチも、カタが尽きそうだ! よし! コレで止めだ!』

 この通信が、ボウけていた俺の頭を冷やした。

 ドォォン! と、何かが着弾したような音が響く。

 もう一体の巨体が、ビルを打ち破って此方から視認できる位置に倒れた。

『止めを滑ったなロン毛! コイツは俺のモンだ!』

 と、その時だ…

 危険な香りがする甲高い音が、冬の乾燥した大気を振るわせる…

『な! 何だこの音は!』

 その音は、心なしか今倒れた巨体から発せられているように思えた。

 どうやらかなりの熱を放出しているらしく。大きな陽炎が結界の様に立ち昇っている。

 周囲の雪が蒸発した。

 なんだ?

 その解答を見つけたのは、今までレーダーと睨めっこしていただろうオペレーターだ。

『敵機の熱源体の反応が上がっています! コレは… 完全にオーバーヒートです!』

「何!」

 敵陣中央での… オーバーヒート… これは、事故か…

 そう思いたい。だが、思っても今から起こる事が俺の、いや俺達の頭の中で殆ど解っていた。

『この反応は… 敵は、どうやら周囲の空間を相転移するつもりだな… この程度の街なら一瞬にして吹き飛ぶぞ… いや、持ちされれると言うべきか…』

ゴートさんが、何やら知っているような口ぶりでそんな事を話す。

『どうするんだ! 時間なんてそうは無いぞ! 今から避難なんて到底間に合わん! それに街ごと消し飛ぶんじゃ、俺達だって逃げられない!』

 ヤマダが、俺の言おうとした事を言ってくれた。

 通信回線に沈黙が流れる…

『総員… 退艦して頂戴。』

 沈黙が不意に破れた…

 追放提督の声でだ…

『退艦… 提督… 何を… それは、艦長として…』

『いいから、とっとと総員を連れ出して、艦の外へ出なさい! 出来るだけ遠くへ行くの! いい!』

『良いも何も! 艦長としては…』

『プロス…』

『はい、わかっておりますよ。ゴートさん。』

 ドス!

『と、少し眠っていてください艦長。』

『通信士! 退避勧告を出せ! シャトルの準備だ!』

 通信じゃ状況が良く解らない… いや、認められないだけか…

 数秒時間が経った。

『そ、その、整備員さんたちから… 脱出用のシャトルの総数が一機ほど… 足りないそうです…』

『エステバリス隊を呼び戻せ! あいつ等が足りないシャトルの代わりだ!』

『は、はい! 全員急いで帰還してください!』

『カタパルトになんて着艦するなよ! 甲板に乗れ!』

 俺は、殆ど放心状態だった。

 無意識に身体が、命令に従っていたことだけが解った…

 ガキィン…

 俺は、甲板にエステバリスを乗せた。

「残りは、コッチだ! 早く乗れ!」

 ゴートさんが、先導して残った乗組員をエステバリスのアサルトピットに無理矢理詰め込むようにして乗せていく… 先頭から順番だ。恐らく乗る機体の好き嫌いも言わせないだろう。そんな暇が惜しいのだ。

『き、キツイ… でも、幸せ〜』

 アカツキが、オペレーターと通信士をアサルトピットの中に入れた状態で顔を赤らめてそんな事を言って退艦して行った。

『うぉぉ! せ、狭いぞ…』

 ヤマダが、整備員二名を乗せて退艦した。

『うわぁ、ちょっとジュン君!』

『ああ、気が付いたか艦長。とと! 外へ出すわけには行かないんだよね… んじゃ!』

 ジュンも退艦。艦長が愚痴っようだ。まあ、責任者だし…

『て! なんで、俺の機体にこんなのが乗ってくる! さわんじゃねぇ!』

 あああ、通信機の向こう側でのアサルトピットの中は血の海だな。物理的な威力で。

 ウインドウを開く気になれんけど、大体予想が付く。

 モニターが捕らえたのは、整備班の残りの面々だ… 乗ったのは赤い…

 ああ、解っただろ! これ以上言わせるな!

『すいませ〜ん。』

『どうぞ〜』

 黄色いのに乗ったのは、コックの残りの2人の面々か。

 ぬ? 名前なんて殆ど知らんぞ!

『さて、残るは……… 私が、其方に乗ろうか…』

 なんだ? ゴートさんのこの台詞は…

『と、言うわけだ。マキ少尉。スマンが私が此方に乗る事になるらしい。』

『あの子達に危ない事を教えてあげようと思ってたのに…』

『………どうやら、正解だな。感謝しろ、犬河。』

「は? なんで俺なんです?」

『ハッチ開けてろ。残りの二名はお前が連れてけ。』

 パシュウと、言われた通りにハッチを開く。

「「おーい、照一〜!」」

 ああ、なるほど…

 目の前の光景を見て、瞬時に理解してしまったぞ…

「せ、狭い…」

「我慢しろ、楽花。」

「ちょっと! もう少し詰めて…」

「コッチもギリギリ! そっちこそ詰めて!」

「だぁぁぁ! こんな狭い中で、口でも喧嘩は止めてくれ!」

 乗ったのは、無論楽花と燈子だった。図ったな! ゴートさん。

 糞… マニュアル操作だってのに、腕が自由に動かない…

 ローラーダッシュで、前に動かすのが精一杯だ。

 しかし、Gに慣れてきた途端に口喧嘩をされては此方の身が持たん。

 身一つ動かせば、なんだか微妙な所に身体が当たるのが困る。

 必然的に俺はシャキッとした姿勢であった。

「で、提督はどうする気なんだ… 俺達を逃がしてよ…」

 だが、何となくソレがどういうものなのかは予想が付く。

 俺の質問はオープン回線で流れた。

『なに… 末期の酒を飲むだけさ… 少々被害を減らしてな。』

 真面目な顔で、図った人が言う。

「末期の酒を残したら、俺の地獄行き! って言いたいですね!」

『それを言ったら残すわけには行かんわな。』

 ふ… と、苦笑が溢れる。

『して? その方法は?』

 アカツキの質問が回線に流れる。

『艦のディストーション・フィールドで敵を包み込む。それで、ある程度だが効果範囲を少なく出来るはずだ。これをやると言う確証は無いが… いや、目の前に確証があるな…』

 その通りの事を、背後で「ナデシコ」がやっていた。

 敵の新型機を、自身のディストーション・フィールドで包み込んでいる。

 確かに、アレは命を捨てなければならない。

 人間で言うならば時限爆弾を抱え込んで、周りの人間を守るような事だ。

『さて… 準備は出来たみたいだし、最後の会話と行きましょうか?』

「最後じゃないさ…」

 俺の言葉に、視線が集中するのを感じた。

 そこには期待が篭っている。

 だが、俺はそれを粉々にしてやった。

「あの世がある。」

 通信機から微かに響いたのは、怒声ではなく苦笑。

 希望が完璧に砕かれると、人は笑うものなのだ。

 尤も、それは確実に幸せな笑いでは無いが…

『ふふふ… 犬河中尉… 末期の酒って美味しいわよ。』

「一滴でも残してみろ。俺の地獄行きだ…」

『そりゃあ、残すわけには…』

 そう言って、ウインドウの向こうで提督が、瓶を掲げた…

 閃光が… 辺りを染めた…

 光が、ジリジリと俺の機体に向かって来る。

 規模が少なくなったとは思えないほどの爆発だ。

 だが、このままの速度ならば振り切れる…

 そう、“このまま”ならば何事も無く終るはずだった。

「え… なんだか… スピードが落ちてない…」

 一番最初にそれに気付いたのは燈子だった。

 良く見れば、徐々に風景が流れるのが遅くなっている。

 速度を示すメーターがドンドンと下へ下がっていく…

「ちょっと! 止めないでよ!」

「何言ってんだ! ペダルは、一杯に踏んでるんだぞ! こんな時に故意に止める馬鹿が居るもんか!」

 くそ! と、毒付くのも仕方が無い。

「そうか… エネルギーが…」

 補助の奴を使っていたのを思い出した。

 そんなに量がある訳も、戦闘した後で余裕が有る訳も無かった。

 もしやと、メインに切り替えるが、機体は更に速度を下げただけだ。

 機体は、慣性だけで前に進んでいる。

 背後から、圧倒的過ぎる力が迫ってくる。

「なんとかできる?」

 楽花が、そんな事を言う。

「知らんよ。」

 俺は、そう言って返した。

 眩いばかりの光が、エステバリスの装甲を照らし上げる。

「ここで、死ぬってのも良いかもね…」

 燈子が、そんな言葉を言う。

 俺は、少し迷ったが…

「嫌だな。」

 と言った。

 そして…

「走って逃げるか。」

「「馬鹿野朗。」」

 俺は、ハッチを開けた。

「さて… まあ、時速300kmも出せば生き残れるだろ。」

 俺は、そう言ってハッチの外へ出ようとする。

 死ぬ気なんて全く無かった。生きる事を諦めても居なかった。

 走るだけ走って、そして何処か身を隠せる場所に飛び込んで… 後は運次第。

 そうする気だった…

 全く、俺の心の中は生きるという事しか考えられていなかった。

 “この二人を連れて…”

(なんでさ…)

 心の中に、そんな言葉が思えた。

 また、俺の中の醜い部分が出てきやがったのか…

(なんで諦めないのさ…)

 俺は、二人が傍に居る事も忘れて叫んだ。

「んなもん決まってるだろうが…」

 ただ一つの、何よりも純粋で何よりも理不尽な理由でだ… そうだ!

犬河照一だからに決まってるだろうがぁ!」

 なんで、叫んだのかは解らない。

 中の声へ黙れと言わんばかりに叫んだのかもしれない。

 そうしなければならないという気がしたからかも知れない。

 俺の突然の叫びに、脇の二人は唖然としたような顔になる。

 だが、コレが俺の真実だ。

 俺が、犬河照一でなければ此処まで生に執着などしなかっただろう。

 俺が、犬河照一であったから、俺はここまで生きたいと思う。俺が犬河照一であるからここで死にたくなんて無いと思う。

 俺が、犬河照一以外だったら… 俺は、俺ですらない。

 全ては、俺が犬河照一であるから。俺が俺であるから。

 俺がしたいと思っているから、こう思う。

 ただ… それだけの事…

 俺は、響いた声に向ってそう言ったのだ。

 俺が、犬河照一である以上決してこの心理は曲げないと。

「馬鹿だね…」

 呆れたような声が聞こえた。

 え… 聞えた…

 確かに、鼓膜に届いた… 声が。

 この場の誰でもない声が…

 四人目の声が…

「へ?」

「は?」

「ほ?」

 俺、楽花、燈子の順序で三者三様の驚き振りを示す。

 だが、周りには誰も居ない。

 どうやら気のせいと、安心して俺は再度逃げようとする。

「幻聴か… とうとうヤバイ… うぉぉぉぉ!」

 だが、それは叶わなかった。破壊の光が直ぐ後ろに迫っていた。

「馬鹿! モタモタ叫んでるから!」

「なこといわれても!」

「阿呆! 神様にお祈りでもしとけ!」

 最早、運任せと俺はハッチを閉めた。

「シートに… て、無いか… 何かにしがみ付いてろ! うぉ!」

 お、俺にしがみ付いて来るな二人とも! ん? まて俺! こんな状況で“アソコ”が立っちまうのは異常じゃないのか!

 まあ、とにかくシートに身を伏せてやれるだけの事はやらないと…

 光が、直ぐ傍まで迫っていた。

 あの光には、破壊と言う法則しか無いのだろう。

 だから、これは運任せ。

 生き残れるかどうかも解らない大博打。

「生きて… やるさ…」

 見えない恐怖が俺の心を冷めさせる。

 だが、何かは理解できないけれどソレよりも熱い物が俺の中に雪崩れ込んでくる…

 しかし、そんな物は、ただ死に入るのを楽にするだけなのかもしれない。

 でも、それでも良かった。

 俺は、人並み以上に死を恐怖する人間だったから…

 人並みの恐怖しか考えられなくなって… 俺の心は軽くなった…

 でも、やっぱり…

「い… や… だ… な…」

 真っ白に視界がそま… バツン!

 キィィィン…

 高い音が響く…

 世界が、凍った…

 周りの時間が閉ざされる…

 背後の光がスローモーションになる…

 これは… これは… この感覚は…

 火星の時と…

 眼前のモニターに光が灯る…

Limit――― Ignore――― System―――

 三つの単語が、赤い文字で目の前を踊った。

「なんでだ… エネルギーが切れているんだぞ…」

 俺は、スイッチを押してもいない。と言うよりもスイッチの位置は俺は知らない。

 ウリバタケさんが、危険だからと何処かにやってしまったのだ。ひょっとしたらもうスイッチなど付いて居ないのかも知れない。

 偶然、この中の誰かがスイッチに触れたのか…

 いや、そもそもコレはどう言う物だった…

 エネルギーを大量に消費するから… 1秒しか使えないと言っていた…

 でも、今はバッテリーなんて空だ。なんでコレが起動する。

「照一…」

 楽花にとっては、軽く囁く様に言ったのだろう。

 だが、鼓膜に響いたのはまるで巨象の足音のようだった。

 確実に、限界を超えている。そして、その感覚の中で動いているのに、普通に反応で着ている楽花も燈子も…

「楽花… 燈子… 喋るな。腕に力を込めるな… 楽にしろ。」

 楽花と燈子にも、本当に囁く様な言葉がはっきりと… 寧ろ大きすぎるくらいに聞えたらしい。

「呼吸は優しく吸え… 吸わなくても苦しくならないかも知れんが…」

 この状況で指一本動かすだけでも、ひょっとしたら指を落してしまうかもしれない…

 破壊の光が、ユックリと機体に触れてくる…

 俺は、ディストーション・フィールドを静かに張った。

 僅かな… 本当に自分では僅かと思っているが、ディストーション・フィールドはこの爆風を軋みもしないで耐える…

 寧ろ物足りなそうだ…

 実際の時間で20秒は過ぎただろうか… その時に、機体が爆風を抜けた…

 ………耐えきった瞬間。機体が膝を付く…

 この反則の効果が消えた…

 そして、その反則の代償が支払われる。

「ブハァ…」

 俺は、肺から出た血を吐き出した…

「ゲハゲハ…」

「ゴブ…」

 楽花と燈子も似たような事になっている…

 だが、この程度で済んでいる… 良かった。

 ギシィ…

 機体が、軋みを上げて崩れ落ちていく…

「やば… ゴフゲフ!」

 俺は、口を開くのを止めて、ハッチを開く。

 そのまま、楽花と燈子の首根っこを引っ掴んで飛び降りた…

 緑色の巨体が、ソレと同時に横に倒れる。

「うぉぉ!」

 俺は、自分の体をクッションにするようにして二人の身体を抱きとめた…

 4・3mからのヒモなしバンジーでも怖い事を学習… でも、受身が良かったのか… パイロットスーツのお陰か… どちらにしても骨には異常は無い。

「はぁ… はぁ… ははぁ…」

 俺は、爆心の方向を目で追った。

 着地のショックで楽花と燈子は気絶したようだった。でも、命には別状は無いだろう。

 外的出血は見られなかった。

「ははは… ははは…」

 俺が立っている場所は、コンクリートが残っていた…

 エステバリスが盾になったからだろう。

 だけど… だけど…

「はは! はははははは!」

 笑いが止まらない… だって…

 風が吹いた…

 砂埃が舞い上がる…

 目の前からは何もかも失せていた。

 そこだけが、世界の終末を迎えたようだった。

 俺が、この状況で何故笑ったか。それは前に言っただろう。

 目の前には、欠片も本当に何も無かったからだ。

 目の前には、隕石が落ちたような巨大なクレーターが出来上がっていたのだから…

 これじゃあ、だめだ… 犠牲者の数なんて半端じゃない! そうだ。コレは…

 俺達の… “敗北”だよ…

 全身から、ふっと力が抜けた… 立っていられず俺は座り込んだ。

 人生最悪のクリスマスは、これで終った。

 そして… その次の日の新聞のトップはこうだ…

 2197年12月24日未明。ネルガルの製作した新造戦艦である「ナデシコ」が“撃墜”された… と…

 勿論、このニュースが今日のTVの視聴率を掻っ攫った事は疑いが無い…

 それは、号外が出るほどの… “吉報”だった…

 殆どの人間が“感涙”しただろう。

 俺は、これ以上は何もいえない。言いようが無い。

 頼むから誰か教えてくれ… この戦いは何処に行くんだ…

機動戦艦ナデシコ

英雄無き世界にて…

第十九話 下

END

第二十話へ続く…

 

 

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代理人の感想

うわ、九十九殺して横須賀壊滅させやがった(爆)。

 

>そうだ。現在では全世界人口の約半分が、軍人だ。

ちょっと待てー!

この世界では全人類の50%だけで残りの50%の軍人を維持できるのか!

50%つったら人口ピラミッドにより多少上下はしても、20歳〜50歳までの男女全員にほぼ等しいんですが(爆)!

ちなみに軍人の人口に占める割合は「あの」北朝鮮ですら常備軍は5%、子供から老人まで狩り出したWW2末期のドイツ軍で10%。

軍人の使う兵器、食べる飯などは誰かが作らないとならないわけで、これはもう人間以外の手によって産業が維持されてるか、軍人が8〜100歳までの男女を含むとでも解釈するしか!