機動戦艦ナデシコ 新たなる旅立ち

 

第二話  『男』らしくいこう?

 

 

 

 

「アキトさん!僕のコーチになってください!」
 
ヤマダの弟のケイタが、いきなり俺の部屋にやって来た。
 
「な・・いきなりどうしたんだい?君は十分強いじゃないか?」
 
そうだ。
 
確かにケイタは強い。
 
ガイも確かに強かったが、ケイタはそれ以上だった。
 
「いいえ。まだまだ未熟です。ではアナタは私より弱いと思いますか?」
 
「それは・・・」
 
「それは・・・?」
 
「分かった。わかったよ。連絡をくれたらシュミレーションセンターで訓練しよう。
 それでいいだろう?」
 
ケイタの気合に負けて俺は承諾した。
 
「ありがとうございます。
 時にアキトさん。アナタは格闘術を使うことは出来ますか?」
 
「格闘術?一応できるけど」
 
「できればそちらも平行して訓練してくれれば嬉しいのですが・・・」
 
「何で?」
 
「兄に勝つためです!」
 
「ガイに?」
 
「はい!いつもいつも起動兵器戦では勝つのですが、どうしても生身で兄に勝てないのです。
 理由を聞いても『決まってるだろう。俺が正義のヒーローだからさ!』
 とかふざけたことを言う兄をどうしても負かしたいんです」
 
へー。ガイに勝てないのか。意外だな・・・
 
エステであんな動きが出来るからてっきりガイより強いと思ったけど。
 
「別にいいよ」
 
「ありがとうございます!では早速行きましょう!」
 
「お、おい。今日からかい!?」
 
「あたりまえです。善は急げです!」
 
「分かったよ・・・」
 
そういうと、半ば無理やりにアキトはケイタに引きづられたままトレーニングセンターに向かったのだった。
 
二時間後・・・
 
「「ありがとうございました」」
 
互いに終わって礼をする二人。
 
「十分強いじゃないか。ほんとにガイに勝てないのかい?」
 
事実、ケイタは本当に強かった。
 
十分、上級の動きをしていた。
 
「はい・・・。まだ足元にも及びません」
 
残念そうな顔でケイタは言った。
 
「・・・そうなのか」
 
ケイタが足元にも及ばないって、ガイの奴どのくらい強いんだ!?
 
もしかしたら俺以上、いやそれより強いかもしれない。
 
っていうより、そんなに強かったらムネタケに打たれんなよ。
 
「じゃあ、暇が出来たらまたお付き合いしてください」
 
「ああ、分かった・・・
 ちょっと待って!」
 
立ち去ろうとしたケイタを、俺が呼び止める。
 
「あのさ・・・お願いがあるんだけど」
 
−ナデシコブリッジー
 
「今まで、目的地を明らかにしなかったのは、妨害者の目を欺く必要があったからです。」
 
ブリッジにいた全員を見渡し、プロスペクターは言った。

「以後、ナデシコはスキャパレリプロジェクトの一端を担い、軍とは別行動をとります。
 我々の目的地は火星です!」
 
「そうはいかないはよ!」
 
そういって数人の部下と共に入ってくるムネタケ。
 
「貴様!血迷ったか!」
 
フクベ提督が冷たい視線でムネタケを見つめる。
 
「その人数で何が出来る!」
 
ゴートも表情を変えないで叫ぶ。
 
「バカ」
 
「うるさいわね!こんな人数で来るわけないでしょ!
 私の部下がいたるところを征服中よ!」
 
しかし、モニターに映った映像は、ぼこぼこにされて縛られている男達の姿しかなかった。
 
「なっ!何よこれ!?」
 
予想外の展開に驚くムネタケ。
 
「さぁさぁ、そんな物騒なものはしまってくださいな」
 
突如、ムネタケの後ろから声が聞こえた。
 
「!?」
 
驚いて振り返るムネタケの視界には、アキトとケイタの姿が映っていた。
 
「何よ!あんた等は!?」
 
「パイロットですけど・・・」
 
「コックです」
 
「それは分かってるのよ!
 何?あんたらが私の部下達をこんな目にあわせたの?」
 
「へ〜。あんたからそんな言葉が出るとは驚きだな」
 
俺は、冷たくムネタケに言い放った。
 
「どういう意味よ?」
 
「言葉通りさ。
 あんたにも人を思いやる心があったんだなぁって言ってるんだ」
 
「くっ、言わせておけば!」
 
そういうとムネタケは俺に向けてブラスターの引き金を引いた。
 
しかし、ブラスターの弾は俺に当たることなく壁に命中した。
 
「弾を・・・よけた!?」
 
「頭を狙ったのがまずかったね。
 左右に振るだけで簡単に避けられるから。
 狙うんだったら、やったり心臓だね」
 
俺は笑いながら話しかけた。
 
ムネタケは既に恐怖で、顔が真っ青になっている。
 
俺がムネタケを捕らえようとしたその時・・・
 
『ユリカ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!』
 
謎の怪音波もとい、サリーちゃんの父ことミスマル・コウイチロウの声が館内に響き渡った。
 
ハハハ・・・相変わらずだな、お養父さん。いや、まだミスマル提督かな?
 
辺りを見渡すと、ルリちゃん以外のみんなが耳を押さえながら床に倒れていた。
 
「久しぶりだな〜〜ユリカ」
 
シクシクなきながらユリカを見つめている提督。
 
「何言ってるんですか?
 今朝、お別れしたばかりでしょう?」
 
「うむ・・・そうだったかな?」
 
おいおい、ボケんなよ。
 
「それよりお父様。なんの用ですか?」
 
「うむ。機動戦艦ナデシコに告ぐ!! 地球連合宇宙軍提督として命じる!! 直ちに停船せよ」
 
「おや、軍とは連絡はついていたと思っていたのですが?」
 
今の軍は、そんな高性能の戦艦を黙って火星に向かわせるほどの余裕はないんだよな。
 
「アキトさん、どうするんですか?」
 
「う〜ん。とりあえずこのキノコも送っていかないといけないしな・・・」
 
「そうですね。ってもう艦長マスターキー抜いたみたいですよ」
 
ホントだ。だんだんと船が低下していくのが分かる。
 
「じゃ、アキト!一緒についてきてよ!」
 
「え、俺?」
 
過去と違った展開に戸惑うアキト。
 
「だってアキト強いじゃない。これでユリカも安心安心!」
 
「そうですなぁ。テンカワ君は十分強いですし、ここはテンカワ君についてきてもらいましょうか」
 
って俺の意思は?
 
何故か副官のジュンの代わりに、俺が連れて行かれることになってしまった。
 
まぁ、これでジュンと戦わないですむからいいんだけどさ。
 
「まぁ、すわりたまえテンカワ君」
 
「はい。では失礼します」
 
提督はじっと俺の顔を見ている。
 
「失礼かもしれないが君は本当にテンカワ・アキト君かい?」
 
「ええ、そうですけど」
 
「そうか・・・。
 よほど苦しいことがあったんだな。
 でなければそんな目をするはずがない」
 
「・・・確かに辛い日々でした」
 
俺はゆっくりとつぶやく。
 
「でも、そんな辛い思いをしたからこそ俺の仲間にはそんな目にあってほしくありません。
 もし軍がナデシコに危害を加えたら・・・・」
 
「くわえたら?」
 
「俺は軍を潰します」
 
普通の人が言ったら笑われるだろうセリフをアキトははっきりと言った。
 
『軍を潰す』
 
目の前の青年なら実行できる。
 
ミスマル・コウイチロウは本能的にそれを感じとっていた。
 
「そうか・・・わかっ・・・」
 

ドオオオオォォンンン
 
突如、大きな振動が室内を襲った。
 
「どうしたんだ!!」
 
「チューリップです!海底からチューリップが現れました!!」
 
「何だと!?」
 
「護衛艦バンジーとクロッカスがチューリップに吸い込まれていきます!」
 
頃合か・・・
 
俺は混乱している提督の部屋を出て、別室にいるユリカのもとに行った。
 
「ユリカ!ナデシコに戻るぞ!!」
 
「え、ちょっとまだケーキが」
 
「あとで好きなものなんでも作ってやるから!!」
 
そういうと俺は、駄々をこねているユリカを連れてナデシコに戻っていった。
 
『なはははは!俺の時代がやって来た!!!』
 
ナデシコに帰る途中にすれ違う機体があった。
 
ガイのエステバリスだ。
 
って、あいつ骨折中だろ!?
 
『待てよ、兄貴〜〜〜』
 
後ろからケイタも追いかけていってる。
 
今回は二人とも空戦フレームで出撃してるんだな。
 
俺はそんなことを思いつつユリカをナデシコに連れていった。
 
その後、過去と同じようにナデシコはチューリップ内部からグラビティブラストを打って勝利したのであった。
 

 

あとがき―
 
こんにちは、初めまして。
 
のほほんです。
 
今回ナデシコの逆行物を書いております。
 
う〜ん、まだまだって感じですね。
 
これから直していきたいと思います。
 
呼んで感想などがあってら是非是非送ってください。
 
それではまた会う日まで

 

管理人の感想

のほほんさんからの投稿です。

そうか、ガイは格闘も強いのか・・・

それにしても、あのガイの弟とは思えぬ礼儀正しい弟ですね(笑)

今後、どのように成長していくのか、楽しみです。