ラスト・ユニバース 〜時の流れに〜 IF

第壱話 出会い

 ザザー
 静かだ、実に静かである。あたりには波の音しか聞こえない。周りには青い海と空しかない。
「……………………」
 そこへたたずむ一人の少女。
 少女は赤い髪、赤い瞳をしていた。両方とも燃える炎を思わせるような赤だ。体は幼いながらも、鍛えられていた。でも、女性の部分はちゃんと女性らしく出ていたのである。
 少女はその長い髪を後ろで纏め上げ、海の中へ糸をたらしていた。釣りである。彼女は船釣りをしていたのだ。
 しかし、その船は普通の船より大きかった。いや普通の船ではなく軍艦である。彼女が乗っているのは巨大空母であった。しかも、その大きさはかつて日本海軍が誇った世界最後にして最強、最大の戦艦、大和の約2倍の大きさなのである。そんな空母の上で彼女は釣りをしていた。
「……………………」
 ピクッ
 彼女の眉が一瞬動いた。
「……よし、かかったぁー―!!」
 そう少女―AIマルス・E・エレクトラは叫ぶと、リールを巻き始めた。…が、なかなかリールが回らない。かなりの大物のようだ。
「うぉ!!お、重い…」
 マルスはそう言いながらも、魚をどんどん引っ張っている。
 とその最中、
『本体、本体…』
 と言う呼びかけがマルスの頭の中に聞こえてきた。
「なんだ、いま忙しいから後にしろ」
 マルスはうざいから消えろっと言った感じだ(実際そうなのだろうが)。
 ちなみにこれはマルスサブ1、マルスのサーポートを行うAIの一つである。しかし、AI自体はマルスから分離し、マルスが本来やるべき仕事をやっているだけなのだが…(つまり、マルスほどの能力は無い)。
『でもですねぇ』
「なんだ、さっさと言え。そして早く帰れ」
『時空管理システム(遺跡)に人が飲みこまえました』
…………なにぃーーーーーー!!!!!!!!!!
 プチツ
「あっ」
 マルスが叫んだ途端、糸は切れた。
「…………で、どうなった?」
『はっ?』
「はっ?じゃねぇ、飲み込まれ奴はどうなったと聞いてるんだ」
『飲み込まれた青年は、テンカワ・アキト…年齢は25歳?いえ20歳?』
「なんだ、そのはっきりとしない言い方は」
『ともかくそのテンカワ・アキトが時空の女王に見初められちゃって連れて行かれちゃったんです!!』
「父さんには知らせたんだろうな?」
 父さんとはもちろん栄治のことである。
『はい、もちろん』
「わかった、もう職務に戻れ」
 マルスはそう言うと艦を最大戦速の300ノットをだし、港へ急行した。

 場面は一気にぶっ飛び、いきなり時空管理システムの中である。
 そこでは、二人の男女が
実に楽しそうに追いかけっこをしていた。
「あ〜ん、アキトまってェ〜」
「いやだーーー!!!誰か助けてくれー―!!!!!!」
 いやぁ、
実に楽しそうである(どこが)。
「女王陛下、お話があります」
 マルスがそこに切り込むが…、
「あ〜ん、アキトぉ〜〜」
「俺は…俺は…皆のところに変えならくてはならないんだぁー――!!!!」
 全く持って無視。
「おいこら(激怒)」
 マルスは切れる寸前まで行った(なんともまぁ、気が短いことで…)。
「あらぁ〜、マルスちゃんじゃないのぉ〜。どうしたのぉ?」
「(た、たすかったぁ〜)」
「女王陛下!!その者は、誤ってここへきてしまったのです。すぐに返してください」
「え〜、でもわたしぃ〜まだ全然遊んでないしぃ〜」
「女王陛下!!!」
 マルスが女王陛下を叱咤する。
「わかったわよぉ〜。でも、アキトが帰りたいって行ったらね」
「だ、そうですがどうなのですか、テンカワ・アキト殿」
「帰ります、すぐ帰らさせていただきます」
 アキトの顔が輝いた。
「あらそぉ、残念ねぇ」
「では、テンカワ殿。とりあえず我々のところへ着ていただくがよろしいか?」
「いや、出来ればすぐに帰りたいんだけど…」
「それは出来ませぬ。最低でも事情聴取をしなければ、今後の管理にも関わることなので…。心配にはございません。事情聴取をしたならばすぐに地球圏へお送りいたします」
「いや、しかし…」
「それともここにずっとおいでになるか?」
 マルスの後ろで時空の女王が手招きをしている。
「…わかりました」
「うむ、手数をかけるな。では女王陛下失礼いたす」
 マルスとアキトは、時空管理システムの中から帰っていった。

「父さん、ただいま戻りました」
「君がテンカワ・アキト君か?」
 マルスの目の前には、アキトと同じ年ぐらいの少年が立っている。栄治である。
 栄治はジャングル探検をするような服装をしていた。
「あ、はい。俺がテンカワ・アキトです。あの、あなた方は?」
 栄治の隣には、シークもいた。これまたジャングル探検をするかのような服装である。
「俺は竹内 栄治。今回はすまないことをした、どうか許してほしい」
 そう言って、栄治は深々と頭を下げる。
「私はシーク・E・エレクトラ。よろしくね」
「あ、はい。こちらこそよろしく」
「ここで立ち話もなんだから、移動しよう」
「あの、ここは?それにあなた方は一体?」
「ここは、地球から約10光年ほど離れた星系にある一つの惑星です。私達は惑星E-4と呼んでいます」
「まぁ、とりあえず君もいろいろ聞きたいことがあるようだから、お茶でも飲みながら聞こうか」
 栄治達は一つのテントの前にいた(イメージ的には軍の野戦キャンプで使われるようなテント)。
 ガバッ
「今帰ったよ」
 栄治がテントの中に入ると、二人の少女が将棋を指していた。
 
「お、お姉様その手待ってください」
「駄目、これで私の14連勝。彩子、もう少し戦略を勉強しなさい」
「お、お姉様の意地悪」
 ちょうど勝負が終わったようである。
 負けた方の少女は翡翠色の髪をツインテールにしたのが特徴の彩子。勝った方の少女は黒い髪を腰まで伸ばしたのが特徴の姉の那美子である。
「あ、お父様お帰りなさい。早かったですね」
「まあな、それよりお茶の用意を頼む」
「なにしますか?」
「俺は紅茶」
「そこにいる方は何します?」
「あ、コーヒーお願いします」
「綾子は何にするの?」
「オレンジジュース」
 彩子はいまだ将棋で負けたことをすねていた。
 カチャ カチャ
 栄治とアキトの前に飲み物が置かれる。
「どうぞごゆっくり。彩子行くわよ」
「はぁ〜い」
 那美子達はテントから出て行った。
「さて、まずは君の質問を聞こうか?」
「まずはここは何年なんですか?」
「そうだな…シークわかるか?」
「地球時間で西暦2198年7月4日です。それくらい覚えておいてください」
「(俺が取り込まれた、すぐ後か)…あの、何で俺は取り込まれたんですか?それにブローディア……ディアとブロスは?」
「ブローディア?ディア?ブロス?マルス、知ってるか?」
「知らん。ちかくに機動兵器は見たような気がするが、人は見なかったぞ」
「それです!その機動兵器がブローディア、その中にディアとブロスはいるんです!!」
「機動兵器に子供が乗っているのか!!?」
「違います。ディアとブロスはブローディアのAIです」
 その後色々とアキトに聞かれた栄治だった。
 ちなみにディアとブロス(ブローディア)は明日マルスが迎えに行くことになった。
「おっと、もうこんな時間か。すまないが俺は席をはずさせてもらうよ。飯をまだ食べていないもので、いい加減腹が減った。テンカワ君はどうする?俺の料理でよっかたら作るが…」
「あ、よかったら俺に作らせてくだい。それと俺のことはアキトでいいですよ」
「では、アキト君いいのか?まだ疲れていると思うのだが…」
「大丈夫です。それに皆さんにご迷惑かけてるし…」
「(迷惑だったのは君だろう)そうか、じゃあお言葉に甘えるとしよう」
「調理室はどこですか?」
「ああ、こっちだ」
 栄治とアキトは調理室があるテントへと向かった。
「うわぁ〜。すごい食材の量ですねぇ~」
 アキトは冷蔵庫の中を見て感嘆した。
「ああ、うちの連中が取ってきたものばかりだ」
 この星―惑星E-4は栄治達が発見した惑星の中でも特に地球に酷似しており、植物とかも地球のものによく似ているのだ.
 冷蔵庫の中には、いのししや野生の大根やきゅうり等のさまざまな食材があったが中でも目立つのは、
立派な本マグロが一匹丸ごと存在していたことである。
「では、この本マグロを使いましょうか」
 そう言ってアキトは本マグロを
軽々と持ち上げて特製まな板の上に移動させた。
「ああ、そのマグロはいいぞぉ~。
マルスが釣ってから今日で三日目で一番うまい時だ」
「そうでしょう。
匂いが違いますからね」
 こうして、
人道離れた会話をする二人。
 こいつらの脳は腐っているじゃないか?
「さてと、まずは解体しないと」
 そう言ってアキトは
素手でマグロを切り分け始めた。
「アキト君、包丁いらないのか?」
「ええ、こっちの方が
使い慣れているもので
 いったい、どういう料理人生活を送ってきだんだ君は!!!???
「そうだな、
刃物は人によって違うからなその方がいいだろう」
 テメーもなぜ
包丁と言わず刃物と言う。
 しかも、素手で切ることに疑問の一つも浮かべ無いし…。
 絶対この二人脳みそが腐ってる。
 こうして
人道離れた料理が続くこと一時間。
 アキトのマグロ尽くしの料理は完成した。
 しかし、
人道離れた料理方法ながら某艦長や某元声優の通信士や某○ステバリスパイロットみたいに、地球外生命体で無いことは確かである。どれもじつに美味しそうだ。

 話はまたぶっ飛び食後である。料理はもちろん美味しかった。そのあまりの美味しさに声が出せなかったほどである。
 カチャ カチャ
「すまないな、後片付けまでやってもらって」
「気にしないでください。後片付けまでが料理人の仕事ですから」
 そしていま食堂内にいるのは栄治とアキトの二人だけだった。
「そういえば、あの翡翠色の髪の女の子、何で俺を観察してたんですかね?」
「ああ、彩子か…。その件については悪いが触れないで貰いたい。でも、危害を加えるようなことはしないから」
「そうですか、なら聞きません」
「…君は面白い奴だな。どうだ、一杯やらんか?」
 栄治はアキトが洗物を終わった頃を見越して言った。
「俺は未成年ですよ」
 精神は十分大人だろうが…。
「かまわんさ、ここには法律と言うものは無いからな」
 そう言う問題じゃネェだろ。
「なら、いただきます」
 この夜二人は色々なことを話した。アキトのナデシコでの生活(ただし、ルリ達のお仕置き記録、女関係などは除く)、栄治の今までの宇宙探検話やら。話はかなり盛り上がり深夜まで続いた。しかも、酒をかなり飲んでだ。もちろん二人は明日二日酔いになった。

五日後
 今日ですべての事項は終わった。事情聴取や事件の検証、後は明日アキトを地球へ送るだけである。
「チェック」
「う〜〜、また負けたぁ〜〜」
 ディアが悔しそうに言う。ディアは銀髪の髪を終わりの方でロールに巻いた少女―アリス・フォートとチェスをしていた。結果は見てのとおりである。
 だが決してディアが弱いわけではない。この勝負は経験の差である。アリスもまたAIである。AI同士の戦いは経験によるところが大きくなってしまうのだ。経験で言うならば、すで150年近く生きているアリスのほうがディアに比べてかなり上である。
「アキト兄、魚とって来たよ」
「へへ、大量だぜ」
 そこへブロスとつんつん頭の銀髪少年―イジス・フォートが入って来た。イジスももちろんAIである。ブロスが魚を取れるか?と言う疑問はこの際捨ててもらおう。
 もはやこの二人すっかりなじんでいる。ディアなんかラピスとガイに付き合わされないし(コスプレは嫌らしい)、これはブロスも含まれるがルリとラピスに
脅迫されないため、逆にこっちの方が気に入っている節さえある。思えば、オモイカネはルリの言いなりだし、ダッシュはアニメオタクだし、この二人の回りにはまともな人間はいなかったんだな。というか、ナデシコの99%はまともな人じゃねえな、うん!!

 しかしディアとブロスが楽しんでいる頃、アキトは一人悩んでいた。
 もちろん、
女性関係でだ。
「(いよいよ、明日戻れるけど…ああ、どうしよぉ〜〜〜〜〜〜!!!)」
 このまま帰ったら間違いなく
同盟所属の全員と結婚させられるだろう。普通の男ならまず喜ぶだろうが、アキトにとっては地獄そのものである。なにしろ、同盟に所属・参加している人達は全員に共通点がある。それは、嫉妬深過ぎることだ。アキトと結婚するためならば地球を壊すのも是としないだろう。それほど彼女たちは嫉妬深いのである。しかも、やろうと思えば出来ると言うのが恐ろしい。漆黒の戦神も彼女たちには勝てないのだ。
 アキトは六時間考えたがいい案が浮かばず、栄治の元を尋ねた。
「おう、アキトかどうしたんだ?」
 栄治はアキトが来たのがわかると今まで書いていたレポートをしまった。
「じ、実はちょっと相談に乗ってほしいことが…」
「うん、まぁそこに座れや」
 その後、アキトは栄治にすべてをぶちまけた。今まで話せる相手がいなかっただけに、その勢いはかなりすごかった(ナデシコにはこういう話の相談相手はいなかった)。しゃべりだしたら止まらないのである.。栄治はそれに時たま頷いたりして、アキトの話をさえぎらなかった。
「…って訳なんですよぉ〜。俺はどうしたら…?」
「…はっきり言うが、すべてお前のせいだな。」
「…………………」
 アキトは無言だ。
「すべてはお前の優柔無断さだろう」
「で、でも俺は……」
「人の心を傷つけたくないか?」
「………………」
 アキトは言いたいことを、言われて再び黙ってしまった。
「確かにお前のここは納得できるよ。しかしなぁ、それじゃあいかん時もあるだろう。はっきり聞こう。お前は誰が好きなんだ?」
 栄治はいきなり核心をついてきた。
「…………俺には選べない。いや、選ぶ資格すらないんだ!!!」
 アキトはいまだ過去の行いを許せないでいた。
「はぁ〜」
 栄治は呆れた。
「お前がそう思っているんじゃ、いつまでたっても変わらんぞ。大体、すでに彼女たちはお前の正体を知っているんだろう。それでも、お前が好きだと言うだから、お前には選ぶ資格がある。いや、選ぶ義務がある」
「それでも俺は自分を許せない」
「選べないならしばらくここにいろ。正史と比べても三年の余裕がある。この三年の間に決めればいい。ただし、三年経っても決められない場合は地球に強制送還するからな!!」
「いいのか?」
「かまわん、ただし仕事はしてもらうぞ。それがここに滞在する条件だ。ディアちゃんとブロス君は本人の希望があれば地球へ返してやる」
「すまない」
「そんな言葉が出せる暇があったらさっさと決めろ」
 アキトはテントを出て行った。
 その後アキトはディアとブロスのところに言った。二人の考えを聞くためである。
 二人の答えは「「アキト兄がいるなら私(ボク)もいる」」と言うものであった。と、いうより帰ったら帰ったで間違いなく尋問される事が目に浮かぶ、それならばここにいたほうがましと言うのが二人の決断だった。

 さて、三年の間にアキト君は一体誰を花嫁に決めるのでしょうか!?
 
第弐話へ続く!!!
ノ(藤林 ノイル):わぁぁぁあああはっはっは!!!ついにやってしまいました
ア(アキト):おまえなぁ
ノ:おや、女たらしのア……(アキトがすごい形相で睨みつけてきたので、思わず言葉が止まる)
ア:なんかいったか?
ノ:いいえ、何にも言ってません、はい
ア:大体誰が素手で本マグロを捌くって?
ノ:いやぁ、だって昂気なら出来そうじゃ無いですか
ア:出来てもやらんわい!!!
ノ:それはそうと君は結局誰を選ぶんだ?
ア:な、なんだきゅうに話を変えて(汗だらだら)
ノ:いやぁ〜、一読者として気になってね。アキト×北斗のNATOO(スペルこれでいいんだっけ?)や、メグミ至上主義のグループもあるし、しまいには全員となんてものもあるし、気にならないほうがおかしいしょッ。そんで、ここで本人の意見をずばり!!!
ア:ううっ(アキトは逃走した)
ノ:あ、こらまて!!(ノイル追っかける)
ア:(ボソンジャンプで逃走)
ノ:ちぇ、逃げられたか
?:おい、ノイル
ノ:あ、あなたは○○様!!!
?:貴様本当に書くんだろうな?
ノ:もちろんですとも!!昔はアキト×○×△□主義でしたがここではあなた様が一番でございます!!!(力説)
?:そうか、なら楽しみにしてるぞ(?顔を赤らめる)
ノ:この方の登場は次回ッス!!!
  おわり(なげぇ後書きだなぁ)