そんな私を止めたのは、上空からのライフル斉射だった。
 私の拳程はある巨大な銃弾が虫型戦闘機を次々と粉砕し、破壊していく。
 銃弾が止んだ後には鉄の山と化した虫型の群れと、そこに映る巨大な影があった。

「エステバリス?!」
 巨大な重力場発生装置を背負った青いフレーム……高々度空中戦に特化した“空戦フレーム”とかいうタイプだ。
 だが、このフレームは飛行能力を追求したせいで装甲が紙の様に薄い筈だ。
 そんな脆弱な機体で低空飛行をするとは……パイロットは余程の命知らずなのだろう。

『大丈夫か?!』

 外部スピーカーから発せられる声に、私は片手を挙げて返事をした。
「一応ね……わき腹に一発貰っているけど」
 聞こえない程の声で呟いた筈なのだが、エステバリスは躊躇う事無く着陸してきたではないか。
 何て耳のいい……。

「今何とかします!」

 アサルトピットが開け放たれ、そこから救護セットを持ち出してパイロットが飛び出してきた。
 黒髪である所を見ると日系か。木連の優人部隊にいても違和感が無いような、真面目そうな青年だ。
 彼は私の傷を見ると、てきぱきと消毒やら止血やらをこなしていく。
「よかった。弾丸は貫通している」
「随分と手馴れているわね……傷病兵出身?」
「今は軍人やってますけど、僕はレスキュー志望ですから」

 そうしている間にもう一機のエステバリスが上空に現れ、旋回しつつ様子を見ていた。
『ブレード1! 脆弱な空戦では重力下戦は不利だと言っただろう!! 直に上昇しろ!!』
「タイラント少尉! 逃げ送れた民間人がここにいます! 最寄のシェルターはここからだとかなり遠方で……」  
『何! クソっ! 直そこにカトンボが来ているんだぞ!』

 耳を澄ますと、遠方から相転移炉の作動音が響いて来ていた。
 それにしてもカトンボって……恐らくレーザー駆逐艦の事だろうが随分な名称である。
 だが名前とは裏腹に今の戦力では強敵だ。
 トンボクラスとなればこんな町如き瞬時に火の海にする事が可能だろう。
 それではシェルターに避難しているあの少女も……。
 そもそもこのエステの母艦はどうした? ネルガル重工の機動兵器“エステバリス”は母艦と抱き売り……もといセットで運用するのを前提にして設計されているというのに。

「すいません……護衛ミッションの途中で無人兵器を追撃したばっかりに……」
『気にするな准尉! ここを見捨てられなかったんだろ?』
 ……ほう。
 連合の軍人にしては中々骨のある人物だ、彼らは。
 自らの危険を顧みず、態々余計な敵を相手にするとは……連合の軍人は無能ばかりかと思っていたが、末端にはまだまともなのが残っていたようだ。
 彼らなら任せてもいいと、私は思った。

「……同乗させてくれない?」
「え?!」
 准尉は私が何を言っているのか判らないといった表情をしていた。
「私はこれでも木……星トカゲの兵器に関しての研究をしている技術者なんだ。弱点ぐらい教えられる」
「しかし……」
『准尉、それが一番いいかもしれん……どの道そんな所に彼女を置き去りにはできまい』
「……了解。じゃあこっちに!」

 准尉は私の手を握ると、座り込んだ状態のエステ内部に導いてくれた。
 んー、よく考えれば男に手を握られたのは久しぶりだ。
 火星に出撃する前に、月臣さんに挨拶した時ぐらいか……。
 内部は相当手狭で、人間二人も入ったらかなり狭苦しい。
 だが、コクピットの内壁が全てモニターとなっており、圧迫感は感じられない。
 ……こういう所は積尸気もクーゲルも見習うべきなのかもしれない。
「ブレード1離陸します!」
 ふわっと上品な機動で浮かび上がったエステバリスは、全身にフィールドを纏い、空気抵抗を限りなくゼロに近づけて高速機動を開始した。

 駆逐艦はたかが二機と舐めてかかっているのか、迎撃ミサイルの数もまばらだ。
 無人兵器は、相手の実力を単純に数字で考える所がある。
 だが戦争は兵器のスペックや数だけで決しない。兵器を操る人間の力も、戦争を動かす重要な要素だ。

『完全に舐められてるな……准尉、ミサイルもライフルも当てにならん! 危険だが、衝撃波を直接ぶつけて叩き落す!!』
「は、はい!」
 タイラント少尉のエステバリスと歩調を合わせ、機体の限界一杯までスピードを出す准尉のエステ。
 コクピットの中にガタガタと不気味な震動が響くが、准尉は歯を食い縛って真っ直ぐ駆逐艦へと突っ込んでいく。
 大した度胸だ……。
 この行動に流石に危機を感じたのか、駆逐艦が小口径のレーザーを撃ってくる。
「大気中での光学兵器など気にするな! そのまま行って!」
 彼の後押しをする形で私は叫ぶ。
 どの道ここまで接近してしまったなら、後は駆け抜けるしか道は無いのだが。
 そして二機のエステと駆逐艦がすれ違った途端、衝撃波とフィールドの干渉波により駆逐艦の表面は見事に削り飛ばされてしまった。
 フィールドの出力も下がり、内部構造が所々で剥き出しになっている。
「西方向に誘導してからありったけの弾丸を亀裂に叩き込んで! そうすれば沈む!!」
「やってみる!」   

 准尉機とタイラント少尉機は駆逐艦の同じ破損箇所にライフルとミサイルを全て命中させた。
 そこを中心として次々と誘爆を起こし始めた駆逐艦は、町とは反対の山にゆっくりと黒煙を上げながら墜落していった。


「……ほー、あんたクリムゾンのシークレットサービスなんかやってるんだな」
「臨時だけどね。それにテストパイロットとかも兼業してるから」
 仮設設営地にてタイラント少尉からコーヒーを渡され、私はようやく一息つく事ができた。
 その合間に事情を説明しているのだ。
 少女は准尉に手当てを受けてもらっている。 
 あれから直に回収部隊が降下して来て、バッテリー切れで動かなくなったエステや虫型の残骸などを手早く片付けている。
 欧州方面軍にしては装備が充実していると思ったが……何と彼らは地球低機動艦隊所属のパイロットだった。
 地球低機動艦隊については私は地球で初めてその存在を知った。
 たった一隻の外惑星圏空母で構成されたお飾りのような艦隊だが、旗艦である“ベクトラ”は撫子を除けば地球圏最大最強の戦闘能力を持つ。艦載機の数も然ることながら、大型核融合炉六基を有したこの船の艦砲は易々と歪曲場を貫くほどの出力を持っている。
 だが幸いな事に、その余りに大きな戦闘力を恐れた政治家らによって、建造以来地球軌道から離れた事は無いという。
 敵ながら何と勿体無い話か……。
「でも何で低機動艦隊所属の貴方達が地上に……」
「護衛ミッションの関係で出撃したはいいんだが……撃ち漏らした無人機がこの町に逃げ込んだので追撃したって訳だ」
「……欧州方面軍に任せればいいと思うのだけど」
「欧州方面軍がおっとり刀で駆けつけた時には全ては終わってただろう……准尉は、アンダースンはそれが許せなかったんだ」 
 と、言っている側から准尉が少女の手を引いてこちらに歩いて来る。
 少女の体のあちこちに巻かれた包帯が痛々しいが、私の顔を見てパッと表情変えて准尉を引っ張るようにして駆け寄ってきた。

「お姉ちゃん!」
「元気になったみたいね、お寝坊さん」

 私がくしゃくしゃと頭を撫でてやると、少女は照れ笑いを浮かべていた。
「……妹さん、ですか?」
「うーんそれが違うのよ。話せば長くなるんだけど……所で自己紹介がまだだったわね。私は天道ウツキ、今はクリムゾンのSS見習って所ね」
「タクナ=S(シンドウ)=アンダースン准尉です。あの、さっき手当てした場所は大丈夫ですか?」
 そう言われてそっと自分の傷口に触れてみるが、まだジンジンと鈍い痛みが。
 あまり激しい運動をしなければ大丈夫そうだ。
「そんなに血も減ってないし大丈夫よ……ありがと、心配してくれて」
「いえ……所で、一体何があったんです? よろしければ教えてくれませんか?」
 私はアンダースン准尉に短く頷くと、仕事の関係で欧州に来た所から少女救出劇、謎の鉄板落下から無人兵器襲来までを一気に話した。
 途中ふとタイラント少尉が席を立ち、外の兵に何やら指示していたが、やがて新聞をもって戻ってきた。


「それって……この事か?」
 その新聞は今朝の物だったが、矢張り突如出現した鉄板についての記述が一面トップであった。
 ざっと目を通したが、どうやら鉄板が落ちたのは欧州だけでなく、世界各地に大小様々な鉄板が打ち込まれたようだ。
 材質その他一切不明。敵性も無く、只何もするでなくそそり立っているだけの奇妙な物体。
 特に豪州の砂漠や沿岸部に集中的に打ち込まれたらしい。
 恐らく木連の物なのだろうが、一体何の為にこんな物を……。
「ま、それはともかくとしてだ。問題はこの三面記事なんだが……」
 そう言ってパラパラと紙面をめくりタイラント少尉が指したのは……。

「“死亡告知”……これが何か?」
「今のご時世死人が出るのはそう珍しい事じゃない……だが欧州は漆黒のなんたらとか言うエースのお陰で戦死者や民間の犠牲が極端に減っている……それだけに妙に引っかかっていたんだ」
 そこにはメティス=テアと言う少女がただ一人、木星蜥蜴との戦闘に巻き込まれ死亡したと書かれている。
「幾ら何でもトカゲと戦って死者一名ってのは怪しいと思って気になってな……それにその場所が、例の鉄板落着地点に近い……」

「……! ね、ねえ! そういえば名前聞きそびれてたわね?!」
 私は高鳴る胸を抑えつつ、側の少女に名を尋ねた。
「え? あ、私メティって言うの!」
「メティ……フルネームはメティス=テア、かい?」
「そうだよ? あれ、おじさん何でメティの事知ってるの?」
 その言葉を聞いたタイラント少尉の反応は早かった。
「准尉! この新聞の出版社は?!」
「え!? 確かクリムゾン系列の……ってまさか?!」
「それだ! ウツキ、あんたクリムゾンの上層部にコネはあるか?!」
「強力なのがあるわ! 通信機を貸して!!」
「大事の前に小事は掠れちまう事が多いが……今回は運が良かった!」
 私達は一斉に立ち上がると、それぞれの目的の為に走り出していく。
 私は通信車に、アンダースン准尉は移動手段の調達に、そしてタイラント少尉は動ける人員をかき集めに……。
「え? え? 何? 何でメティだけ仲間はずれなの〜!」

 何も知らないメティは幸せ者だ。
 これは完全にスピード勝負となるだろう。
 私の“同業者”が、誘拐やら記事捏造を行ってまでこの子を狙ったのだ。
 彼女の家族に危害が及ばない訳が無い!
 おおかた取引の為に弱みを握る必要があったのだろう……にしてもこんな小さな子供を!!

 私はクリムゾンの汚い部分を垣間見た事で、ようやく自分のやっている事に責任感を感じるようになってきた……。


『……そいつは“真紅の牙”だな』
 衛星通信を通じて豪州と回線を結んだ私は、敵の特徴をドナヒューさんに報告、その対処法を探ろうとしていた。
『隊長はカタオカ=テツヤ。“英雄”やら“聖人”など、とにかく他人に認められる人間を陥れて苦します事を至上の悦びとする変態だ』
「そんなのがよくクリムゾン最強部隊を率いているわね……」
『能力さえ良ければ性格は二の次、裏稼業なんてそんなものだ』

 その裏稼業の大ベテランである彼が言うのだから尚更説得力が増す。
 一体この男は何が目的でメティを……。

『どうやら奴は“漆黒の戦神”をスカウトすべく行動していたらしいが……その過程で戦神と親しい間柄にあった父子家族の子供を誘拐したらしい』
「ちょっと待って。どうしてスカウトするのに交渉をすっ飛ばして脅迫しようとするの!」
『テツヤはそういう人間だ……』
 ああもう頭が痛い……。
 ってあれ? 頭どころか肩も腰も胸もとにかく全部が……

『こっちも何とか手を打ってみよう。今のお嬢様はそれなりの……どうしたウツキ!!」

 ……駄目だ、身体に力が入らない……。
 わき腹を見るとそこからドス黒い液体が滴り落ちている。  
 大声出しすぎて傷が開いたか……。
「準備できたぞ……! 大丈夫かしっかりしろ!! アンダースン! 直来い!!」
『話は聞きましたよウ……っつ!!』
『お嬢様しっかり! あの程度でウツキは……』

『許せない……許せないわテツヤ!! 私を敵に回した事を死ぬほど後悔させてあげる! いや、殺してやる!!』

 ……何やら不穏なアクアの発言が耳に入ったが、その真偽を確かめる前に視界が無くなった。



「もー、怪我人はじっとしてなきゃ駄目じゃない! お姉ちゃん!!」
「あ、あはははははははは……」


 誰のせいでこうなったんだ、とは流石に子供相手に怒鳴る事は出来ない。
 そう言うメティもまだ包帯取れていないくせに……。
 あれからもう数日が経った。
 今回はあらゆる意味で運がよかった。
 まず私の傷がそれほど深刻なもので無かったと言う事。
 私は死ぬのは怖くなど無いが、残されたアクアやメティが嘆き哀しむのは目に見えている。
 もう私は軽々しく命を捨てる事はできない。例えそれが木連の為でも……。
 次にメティの家族の救出が間一髪で間に合った事。
 タイラント少尉率いる部隊が到着した時には、既に真紅の牙がメティの家に押し入っている段階であった。
 今正に父親に引き金が引かれようとした瞬間、タイラント少尉らの自動小銃が背後から火を噴いた。
 結局銃弾は放たれてしまったが、銃弾が逸れたお陰で父親は一命を取り留めた。
 あの時は一刻を争う事態だったので、アンダースン准尉が父親をつれて病院に駆け込んだそうが、それが不味かった。
 メティの姉であるミリアがカタオカに煽動され、命を賭けて説得しようとしたヤガミを庇ってカタオカに撃たれてしまったのだ。
 辛うじて生きてはいるそうだ。
 ……どうもヤガミは漆黒の戦神周囲のガードについていて、その過程でミリアと懇意の仲になっていたようだ……世間は広いようで狭い。


 この時点でヤガミの周囲には、メティとその父親の生存を知る人間はいなかった。
 真紅の牙が手を引くまでは事実を公表するのは危険と判断したのだが……それが残された人間をここまで追い詰めてしまった。
 そして怒りに狂った漆黒の戦神とヤガミは単身カタオカのアジトへと攻め入った。
 幾ら彼らと同じく鬼と化したアクアによる軌道上からの衛星砲及びマスドライバーの援護射撃があったにしても……跳躍門八つと膨大な数の無人兵器をたった一人で殲滅するなど人間業ではない。
 正に鬼か悪魔……。
 こんなのを相手にして生き残れる筈も無く、カタオカは瓦礫の下敷きになって死んだ。
 因果応報自業自得。
 馬鹿の末路としては勿体無いぐらいだ。
 どんな想いでその心を憎悪に染めていたのかは私には判らない。知りたくもない。
 己の境遇を呪い、醜い嫉妬で小さな希望をも踏みにじる様な奴は……屑だ。
 そんな事をするぐらいなら、果たせなかった想いを子供達に託し、それを叶えてくれる事を祈るべきだ。
 そうアクアに話したらまるで母親みたいだと笑われた。
 私はまだ子供を生むつもりは無い……そもそも今の状況じゃあ相手も期待できない。
 もし永遠にその機会が無いとしても……私はメティのようなちっぽけな可能性を守っていきたいと想う。
 この罪無き笑顔を守る事が……いつか平和に繋がるだろうから。


 ……私が退院し、同時に欧州から去る日が来た。
 私は豪州行きのシャトルに乗るべく、空港のロビーにいた。
 見送りはクリムゾンの研究員達にメティと父親、それにタイラント少尉にアンダースン准尉だ。

「本当に……ありがとう」
「お姉ちゃん、オーストラリアに着いたら手紙ちょうだいね?」
 私と同時にテア親子もようやく退院する事ができた。
 これからタイラント少尉らに送られてヤガミらと対面するつもりだ。
 面食らうあの男の姿が目に浮かぶ……。
 事前に伝えようとも考えたが、クリムゾンの名前を出すときっと警戒してしまう。
 いや警戒どころか問答無用で張り倒される危険性が大だ。
 研究員達には絶対に頼めない。だからタイラント少尉らに任せることにした。
 噂では漆黒の戦神は極度の軍人嫌いだと言うが……本当に大丈夫だろうか? 不安だ。

「それにしても准尉、折角上がってきたのにもう地球(した)に降りる事になるとはな……災難だったな」
「いえ、今まで色んな事を知っているつもりでしたが……いい経験になりました」
 アンダースン准尉は私に片手を差し出すと握手を求めて来た。
 私はそれを親愛を込めて強く握った。
「短い間だったけど、ありがとう」
「こちらこそ准尉には助けられた、今後の活躍も期待しているわ……幸運を」
 次会う時は敵同士かもしれない……。
 例えそうなっても互いに生き残り、また平和な世界で再会したいものだ。
 

 思わぬ長期滞在を余儀なくされたが、私にとってはとても意義のある出来事であった。
 ……恐らく、私は決して忘れない。
 どれだけ長く生きようとも、誇りを持って思い出せるだろう。
 そう思いつつ私は、名残惜しそうに眺める彼らに別れを告げ、ゆっくりとゲートに向かって歩いていった……。
  


 数時間後……。
 シドニーの空港から直接アリス・スプリング行きの連絡便に乗り換えた後、私は再び豪州の赤い土を踏んでいた。
 木連では離れたコロニーでも半日と掛からない。
 それだけ生活圏が狭く、何処も似たような風景が続く。
 だが地球は……ほんの数時間、どころかほんの数分歩いただけでもころころ情景が変わる。
 見ていて飽きない所だ……。

「ウツキ……」
 アリス・スプリングの発着場はお世辞にも広いとはいえないが、そんな中ポツンと一人立つアクアのせいで空間が広がっているような感覚を覚えた。

 一人? いや違う!
 一人どころかこの狭いロビーのあちこちに、かすかな気配が点在している……。
 しかも外にもかなりの人数が配置されているようだ。
 この数は……アリス・スプリングの全戦力を投入したのか?!
 幾らアクアが重要人物とはいえこの物々しい警戒は一体……。

「うっ……うう……!」
「ちょ、ちょっとアクア?!」

 突如アクアはペタンと座り込んでしまった。かすかに肩が震えている。
 満身の笑顔で迫ってくるか、怒気をはらんで詰め寄ってくるかのどちらかを想定していただけに、この事態に私は大いに困惑した。
 だがアクアの方が遥かに困惑しているのは明らかだ。何に困惑しているかは今の私には知る由も無いが。
 私はすぐさま駆け寄って、両手で顔を覆ったまま嗚咽を漏らすアクアの肩に手を置いた。

「一体何があったの?! アクア!!」
「……お父様……お母様……お爺様……ウアアアアアアアアアッ!!」  

 彼女の慟哭はガラスを震えさせ、彼女の涙は私の服をどんどん重くしていった。
 私やアクアを置いてけぼりにして、事態だけが先へ先へと進んでいた……。
 

 

 

代理人の感想

メティちゃんがらみの話は置いといて(今回正史のサイドストーリーっぽかったですからね)。

モノリス?

クリムゾン一族壊滅?

まぁ、「エグゾセドライブ」なんて単語が出てきましたから

同様にコミック版に出てきたモノリスが登場した事にはあまり驚きはありませんが、

(コミック版ではチューリップと同じく敵の兵器を吐き出す「門」でした)

クリムゾン一族がいきなり壊滅と言うのはちょっと驚き桃の樹山椒の樹。

まさかとは思いますが前回超博士が言ってた「悪巧み」なんでしょうか、これ?