時には違った未来を「No Title」〜prologue〜


・・・ナンダ

・・・カゼ

・・・オレハ

・・・ソウダ

・・・アノトキ

「アキトさん、帰ってきてください」

「だめだ」

「どうしてですか?ユリカさんも地球でアキトさんの帰りを待っているんです」

ルリの悲痛な叫びがアキトの耳に届いた。

しかし、「あの時、俺は言ったはずだ」

そう、確かに彼は彼女に先の火星の後継者との戦いのときこう言っていた。

「君の知っている天河秋人は死んだ・・・」と・・・。

そして彼は火星の後継者の裏に位置する実働部隊、北辰を倒し彼の妻であった、

天河ユリカを救出後、姿を消してしまった。

それが現時間軸の4ヶ月前のことである。

どれだけ沈黙が続いたのだろうかそれはもしかすると短い時間だったのかも知れない、

もしかすると永遠のような長い時間だったのかも知れない。

そんな沈黙を打ち破るかのように、彼はこう呟いた。

「ラピス、ジャンプする、ジャンプフィールドの形成を頼む。」

『うん』

ルリはそれに気づいたのかナデシコBに新たにつけられた、通信をこじ開けるため、ハッ

キングを行うために新しく装備されたワイヤーアンカーをユーチャリスに打ち込むの

だった。そして、このアンカーにはもうひとつの顔があった。

それは、ボソンジャンプのジャミング機能である。

『アキト、大変・・・ジャミングのせいでジャンプフィールドが暴走してる・・・
このままだとランダムジャンプしちゃうよ』

「なんだと!」

彼は一瞬驚いた後に冷静な判断を行った。

「ラピス通信をつなげてくれ、接続先はナデシコBだ」

『うん』

「ルリちゃん、アンカーを早く切り離すんだ、このままだとナデシコも巻き込んでランダムジャンプする。」

「え、え?」

「駄目だ・・・もう間に合わない・・・」

そんなことが彼の思考をよぎったとき、彼らの意識は途絶え、今まで彼らが存在した場所には、何もなかった。

あるとすれば、それは漆黒の闇につつまれた宇宙のみだ・・・

そして、ここに物語は動き出す・・・