俺は生きているのか?……………………







私は生きているの?……………………






俺(私)が生きていることに意味などあるのだろうか…………


ここにいることに意味はあるのだろうか…………


私(俺)がいることに意味などあるのだろうか…………






この世界にいる自分という存在に意味があるのだろうか…………









存在理由

      Sceneゼロ






すべて終わった。

俺の復讐も終わった。

そして全てが終わった俺に残されたのは大きな虚脱感。
復讐の果てに残ったものは空っぽの自分。
わかっていた事だ……復讐を果たした自分には何もないと……
覚悟していたはずだ……もうユリカの元には返れないと……

しかし意外だったな……こんなにも早く終わるなんて
俺自身こんな事になるとは考えていなかった……

今ユーチャリスのブリッジにいるのは俺一人だけ……
そしてあたりには安っぽい電子音が断続的に鳴り響いている。俺の初めて聞く音だ。
いや、ここ最近では聞いた奴などほとんどいないだろう。
それは空気漏れの危険を知らせる警告音……。さび付いた過去の警告音だ。
空気漏れという事態が過去の遺物となってからずいぶんとたつ。今では空気漏れなどという事態は何重にも管理されたセキュリティにより起こらない。
……いや、起こらないはずだった。しかし今、現に空気漏れは起きている。
この安っぽい警告音……。技術者の間ですら取り外すのが面倒なために残されつづけた、ただのオマケのプログラム……
その安っぽい音が俺の命の残り時間を告げている。


ラピスは不思議に思っているだろう。なぜ急に自分の部屋にもどれと言われたのか。
あの子の部屋は独立した救命ポットになっている。確実にネルガルのドックに着くだろう。

元々俺に空気漏れなど無意味だ。ジャンプで飛べばいいのだから。
しかし何故か俺はジャンプをしようとは思わなかった。
この安っぽい警告音を聞いているうちに、何もかもどうでもよくなった。
もう俺には何もない。
空っぽだ。




空気がなくなってきたのか……


苦しい……


もうすぐ終わるのか……


からっぽの俺の人生……


それもいいかな……





イヤダ!!

オレワイキタイ!!

マダシニタクナイ!!

オレワマダ……

……

……










刻(トキ)を越え、セカイを超える。



「やめてくれ、こんなことに付き合う必要はない!さがれ、来るんじゃない!! 」

「ロンド・ベルだけにいい思いはさせませんよ!」

「しかしその機体じゃ!」


地球付近、大気圏の突入まであとわずか……
アクシズに取り付いたνガンダムの周辺に連邦軍の機体が集まってくる。
絶対的なアクシズの質量。そしてアクシズに設置された核エンジンは、地球に降下したあと核の冬を地球にもたらす。
それを止めるために、人間の生まれた惑星地球を守るために連邦軍の機体が、いや、ネオジオン軍の機体までもがアクシズの表面に取り付く。


「ギラドーガまで……、無理だよ。みんな下がれ!」

「地球がダメになるかならないかなんだ。やって見る価値はありますぜ!」


アクシズの巨大さに比べて取り付くMSは矮小な存在でしかない。
MSの推力だけでアクシズの地球落下など止められるはずがないのだ。
しかしそれでもアクシズの表面に取り付こうとするMSの数は一向に減らない。
それぞれのMSがアクシズの表面にたどり着き、推力を全開にする。地球に向かう小惑星、アクシズの落下を阻止しようと……


「爆走している機体だってある。無理だよ、みんな下がれ!」


その時アクシズの表面に取り付いていた一機のジェガンが爆発した。
摩擦熱とオーバーロードで機体が耐えられず自爆したのだ。


「もういいんだ!みんなやめろ!!」


白い機体から光とともに力がふきだす。その力はアクシズ周辺に取り付いていたMSを排除するように広がっていく。
その力はサイコフレームの共振か、それとも人の意志の力なのか……。
その光は力強さとともに、暖かさを感じさせた。
アクシズの表面にはすでにνガンダムしかいない。他のMSは全てガンダムによって排除された。


「νガンダムの力はこんなものじゃ!」


そうアムロが叫んだとき、新たな光が咲いた。












     刻(トキ)を越え、セカイを超える。



それは日本。

太正の冬。

銀座に人型蒸気が舞う。



「どうなっているんですの!まったく数が減りませんわ!!」


霊子甲冑『神武(じんぶ)』のパイロット神崎すみれが悪態をつく。
その声に隊長の大神一郎が答える。


「みんなもう少しだ。敵の数は確実に減ってきている、このまま劇場に敵を近づけるな!」


銀座大帝国劇場。そこに降魔と呼ばれる醜悪な姿をした生物が集まってきていた。
だがそれも帝国華劇団の対降魔部隊、花組によって撃退されようとしていた。


「これで最後ぉ!!」


隊員の一人、霧島カンナの神武が最後の降魔を倒す。


「よし、任務完了だ。みんなご苦労様。」


大神が隊員たちにねぎらいの言葉をかける。


「隊長!あやめさんが!!」


その時、マリアから通信が入る。
見れば劇場の屋根を副指令の藤枝あやめがフラフラと歩いている。その姿はまるで存在感がなく、意志の力が感じられない。その行く先にはあろうことか葵叉丹が立っている。


「あやめさん、戻って!!」


そういいながら大神は、あやめの手がアタッシュケースを持っていることに気づいた。
あのアタッシュケースは……!!


葵叉丹まであと半歩というところで、突然あやめの足が止まる。
そして体がガクガクと震えだし、叫び声に近い声を上げる。


「大神君!…う、撃って!…は…やく!」


大神はその言葉で思い出した。自分にはあやめから一丁の拳銃を渡されていたことを。
大神にとって昨日は夢のような一日だった。帝国華劇団に配属されてから密かにあこがれていた藤枝あやめへの淡い恋心がついに実ったのだから。

早朝になりみんなに見つからないうちに自分の部屋に戻ろうとしたとき、隣で寝ていたあやめがおきて大神に少し待っているようにいった。起きたばかりのあやめはその身に何もつけていなかった。
その身体は美しく、まるで女神を思わせた。その後姿を見ていて大神は昨日の行為を思い出し、顔が赤面しそうになった。
あやめは自分の机の引き出しから拳銃を一丁出してきて大神に託した。大神はその拳銃をお守りのように今朝からずっと持ち歩いていた。
それは二人が結ばれた記念のように大神には感じられ、ずっと大切にしようと今朝誓ったばかりだ。
しかし今朝、確かにあやめは言ったのだ。



「もし私に何かあったら、ためらわずにそれで私を撃って…………」



大神は神武から降りて、あやめに向かって拳銃を構える。だがその銃口は震えている。

(違う!俺はこんなことをするためにこの拳銃を持っていたわけじゃない!!)

しかしこのままあやめを葵叉丹に渡すわけにはいかない。彼女のアタッシュケースにはこの世界を滅ぼしてしまうかもしれない、重要な物が入っているのだ。それを葵叉丹に渡すことなど断じてできない。
だからといってあやめさんを撃つわけには……

(俺はどうすればいいんだ!)

昨日からの幸せなど微塵も残っていない。
自分が下す決断は自分の女を守るのか、それとも世界を救うのか。

もしもこんな決断を下さなければならないと知っていたら、絶対に拳銃などあずからなかっただろう。
今朝の自分に伝えられるのなら言ってやりたかった。

そんなモノ預かるんじゃない!……と。


しかし時間は残酷に過ぎていく。だんだんとあやめの体の震えが収まってきた。


「は…早く……して。…もウ……カラ…ダが…」


大神は拳銃を構えなおす。
しかしトリガーにかかる人差し指は動こうとしない。このままでは……

そしてあやめが気力を振り絞って言った。



「う、撃ちなさい!大神少尉!!」



そして大神は軍人として動いた………………










あとがき


どうもパコパコです。プロローグ改変しました。
前の物より大分書き加えられてます。
当社比5割増しです(笑)

さて、ここで整理しておきます。
まず存在理由はシリアスです。笑いが取れるシーンも入れたいと思いますが、基本的にシリアス一直線です。(人によってはイタイと感じるかたも)
主人公は一応黒アキトです。
ルリがヒロインの大半を占めている現在ですが私の作品ではルリではありません。

以上のことを踏まえて読んでもいいよという方は続きをお読みください。
ちなみに感想メールでだいぶ執筆速度が速くなります。


ついでに言っとくと私は二○ロ系作品が大好きです。
ニト○系が好きそうな方は熱く語り合いましょう(笑)

 

代理人の感想

・・・いや、プロローグからして痛そうな感じなんですが。

まぁ、こ〜ゆ〜オープニングからコメディに繋げる技も無くはないんですが、多分違うだろうし(笑)

 

「自覚はないが他人には言われる」と言うことからして

おそらくパコパコさんシリアスを書くと自然に痛くなるタイプと見ましたが如何?(爆)