_本日は多忙な中、インタビューに応じていただきましてありがとうございます

 

いいや、構わないよ。私もこの本は見ているし、何時か来るんじゃないかと思っていたんだ

 

_そうですか。それでは自己紹介をどうぞ

 

地球連合財務省財務事務次官シキシマ・エイジ

 

 

 

 

「漆黒の戦神」アナザー

シキシマ・エイジの場合

 

 

 

 

_貴方のような高級官僚と、「彼」との接点が感じられないのですが、知り合ったきっかけは何なんですか?

 

西欧方面へはある仕事で訪れたんだ。家族と一緒にね。「彼」の活躍で木星蜥蜴の勢力も弱まっていたし、たまには家族サービスもしなければ嫌われてしまうしね(苦笑)。ああ、勿論仕事が終わってからだよ

 

_そ、そうですか。大変なんですね

 

まあね。ああ、それよりも知り合ったきっかけだったね。実は、恥ずかしながら道に迷ってしまったんだ。何せその地を訪れたのはこの時が初めてだったし

 

そんなときだった

 

「どうしたんですか?」

 

人の良さそうな青年に声をかけられたのは

 

それで私が道に迷っていることを伝えると、二つ返事で案内をしてくれたよ

 

_それが「彼」だった?

 

そう。でもその時はあの「漆黒の戦神」、その時は「漆黒の戦鬼」と言われていたみたいだね、とは全然わからなかったよ。少なくとも「彼」と「漆黒の戦鬼」が同一人物だとは想像すら出来なかったな

 

_「彼」は貴方の事に気が付かなかったんですか?

 

おいおい、普通役人の顔を覚えている一般人はいないよ。まあ、「彼」が一般人の範囲に入るかはわからないがね

 

 

話が逸れたね。ともかく、「彼」お陰で無事何事もなく目的地にたどり着けたんだ。その時はもう会うことも無いと思っていたんだが・・・・・・

 

_再び出会ったと?

 

(肯く)今度は公人としてだった。ワイアット事件は知ってるだろう? 私の仕事とは、その時に押収された現金、有価証券、貴金属類、土地などのワイアット元少将が不正に得た資産の細かな確認と、ガルン・ヒースロー大佐の名誉回復のための手続き、それと大佐の御息女フレイ・ヒースロー嬢への保証についてだったんだよ

 

何も財務官僚が其処までする必要は無いだろう、と言う人も居たけど、これは政府からのせめてもの詫びなんだよ。私はこれで彼女のこれまでの人生にたいして、少しでも報いたいと思っている

 

私があの事件に直接関与したわけじゃないが、何もしないのは精神衛生上良くないしね

 

「彼」と再会したのはそんなとき、ワイアットを護送していた部隊、「Moon Night」の駐屯地だったな。本当に偶然だったんだ。昼食を取るために食堂に行ったときだった

 

「アキトー! また浮気したのね!!」

 

「酷いわ、アキトさん! あの夜のことは遊びだったの!?」

 

「アキトさん! 私よりこんな年増の方がいいの!?」

 

「あ〜ら、アキトだってこんな乳臭い小娘よりも、私みたいな包容力のあるお姉さんの方がいいに決まってるでしょう?」

 

「あうあうあうあうあうあうあうあう・・・・・・・・・・」

 

三人の美少女と一人の美女に言い寄られている青年が居た。それが誰だったかは・・・言わなくてもわかるだろう?(笑い)

 

_それで声をかけたんですか? いい度胸してますね(汗)

 

今考えると我ながらそう思うよ(汗)

 

「すみません、営業してますか?」

 

「えっ、はいはい! お客さん、何にしましょう!・・・ってこの前のおじさん」

 

「彼」、テンカワくんも私のことを覚えていたみたいだった

 

「あら、貴方は・・・」

 

フレイ嬢も私のことに気が付いたみたいで、私のことを四人に説明してくれた

 

それでテンカワ君たちはフレイ嬢の今後について聞いてきたんだ

 

「フレイさんの裁判はどうなるんですか?」

 

本人以上にテンカワ君がこの事を気にしていた

 

「私は裁判官じゃないから詳しいことは言えないが、多分、懲役五〜十年で執行猶予も付くだろうね。あとそれと、司法取引が行われてもっと罪が軽くなるかもしれない」

 

ワイアット事件の生き証人でもある彼女には、司法省から司法取引の話が来ると思っていたんだ。彼女の方もワイアットの悪事を暴くためにそれに応じることも予想できた

 

その後、予想通り彼女の罪は減じられたよ。今は執行猶予中でかたぎの暮らしをしているらしいね。・・・・・・ああ、知っているか

 

 

 

彼女たちが用事で居なくなって、私とテンカワ君の二人きりになったとき彼は徐に訊ねてきた

 

「シキシマさん、何故フレイさんの為にあそこまで骨を折ったんですか?」

 

「何のことだい」

 

「彼女の為に色々画策している奴がいる、此処の隊長のシュンさんが言っていましたよ。貴方でしょ、シキシマさん」

 

テンカワ君にはこの時点でばれていたらしい。これでも隠密理にやっていたつもりだったんだけどね

 

「我々の先達が犯した事に対する償いさ」

 

「それは官僚としての言葉でしょう。俺は貴方個人、シキシマ・エイジとしての言葉を聞きたいんですよ」

 

嘘やごまかしは許さない、そんな目をしていたよ

 

「ヒースロー大佐は私にとって恩人のような人だった。だが、彼が無実の罪に貶められたとき私は何も出来なかった。だから、せめて大佐の遺児である彼女を何としてでも助けたかった」

 

これが私の本音だった。公私混同もはなはだしい、自分でもそう思っているさ。でも、彼女のことを知ったとき、何としてでも彼女を助けなければと思ったんだ。あの時の様ないやな思いはしたくなかったから・・・

 

「貴方は俺が知っている中では一番まともな役人ですよ」

 

あれはテンカワ君にしてみれば最高の誉め言葉だったんだろうね

 

 

 

_それで「彼」とはそれっきり?

 

ああ。でも、帰る日の前日にさよならパーティー開いてくれたんだ。私も最初は遠慮したんだが、隊長のオオサキ少佐が

 

「まあ、みんなあんたをだしにして騒ぎたいだけなんだ。それにあんたにはアキトたちが色々と世話になったみたいだしな。何だったら家族の方も誘ったら」

 

と言われた。

 

パーティーと言ってもそんなに大それた物でもないらしかったんで、家族も誘って一緒に参加したんだが、

 

_何かあったんですか?

 

ノーコメント(笑い)。テンカワ君の名誉のために黙秘させてもらうよ

 

_わかりました。仕方ありませんが

 

 

_では、最後に「彼」に向けて何か一言

 

じゃあ一言、色々な意味で、頑張ってくれ。それと「例の話」真剣に考えてみないか・・・・・・こんな物だね

 

_はい、本日はどうも有り難う御座いました

 

 

 

 

 

民明書房刊「新説 漆黒の戦神、新たなる軌跡」2巻より抜粋

 

 

 

 

 

「普通・・・・・・ですね」

ルリが呟く。特に以上が見つからないのだ。

「戦神シリーズ」の最新刊をチェックしていたのだが、浮気をしているような事が書かれていないのだ。

「そんなはずはありません! オモイカネもう一度チェックしてください!」

『わ、わかったよ、ルリ』

何故に彼女が此処までやっているかと言えば、

 

「これじゃあアキトさんにお仕置きが出来ません!!」

 

と言うこと。

 

「良いじゃないルリルリ。偶にはまともな本が出ても」

ナデシコの良心、最後の常識の砦と言われるミナトのフォローが入る。

「でもミナトさん」

「アキト君だって毎回毎回、女の子の事が絡むわけじゃ無いんだから。ね」

「・・・そうですね。仕方ありません、今回は無しにします」

納得できたわけではないが口実が無いから仕方がない。

「そう言えばルリルリ、このシキシマって人どういう人なの?」

ミナトが何時までもお仕置き無しの件で落ち込ませたくないので話題を変える。

「そうですね、オモイカネ、シキシマ・エイジさんについての簡単なプロフィールを」

『オーケー、ルリ』

 

 

シキシマ・エイジ  48歳 男  日本国籍

地球連合財務省財務事務次官  財務省のナンバー2  実質的に財務省を仕切っている人物。

戦争中にも関わらず未だに健全な経済活動を維持し続けているのはこの人物の功績が極めて大きい。

「連合の金庫番」の異名を持つ。

 

 

「へー、ただのお役人じゃないんだ」

「そうですね、この人が居なければとっくに地球の経済は破綻しています」

「でも、アキト君の知り合いって結構色々肩書き持っている人多いわねー」

等とやっている間に一通のメールが届いた。

アキト宛に。

ご存じの通り、アキト宛のメールは全て妖精姉妹が一度目を通している。勿論浮気を防ぐためとアキトに余計な気を使わせないためだ。ちなみに前者の理由が8割を占めているのだが(笑い)。

「普通の応援のメールみたいですね。女性の方から来たみたいですけど(怒)」

確かにそれは特に変哲もないメールだった。

だが、爆弾は最後の最後に仕掛けられていた。

 

“PS 約束通り付き合ってね。ア・キ・トくん(はーと)  貴方のカスミより”

 

 

 

 

ががーーーん!!!

 

ルリは後頭部にラグナ・ランチャー食らったような衝撃を受けた。

 

 

 

 

「っ!!」

オメガフォースのコマツ・コウジはふっと顔を上げた。

「何やってるんだコマツ」

隣にいたヒラオカが訊ねる。

「いや、何だか急にこれを持たなけりゃならないと思ったんだけど」

コマツは手に持っている物を示す。

其処には“ががーーーん!!!”のロゴ入りのプラカードがあった(爆)。

「そんなことよりも、早く仕上げてしまおうぜ。折角サークル参加が通ったんだから」

「そうだな。入稿の締め切りまで、あと12時間しか無えしな」

「そう言うこと。・・・どこまで終わった?」

「32ページ目・・・。・・・・・・もうちょい。・・・・・・・・・よし! 終わった!!」

思わずガッツポーズをする。

ちなみに原稿のタイトルは「漆黒の戦神、その軌跡 18禁バージョン其の三、格納庫での秘め事」である。

「じゃあ、早速イケダ少佐の所に持っていく。早く挿し絵も描いてもらわねえとな」

コマツたちをこの世界に引き込んだのは彼らの上司のイケダ少佐。この道15年のベテランである。

ダッシュで部屋を出ようとするが、頭がクラクラ、足下がフラフラして体が思うように動かなかった。完全徹夜三日目ともなればこうなるだろう。

「ジャングルの中、フル装備を担いで徹夜で戦争するよりもきついかもしれない」

頑張れサークル『御芽画堂(おめがどう)』。コ○パの締め切りまであと12時間だ。

 

 

 

 

「そ、そんな。アキトさんが以外の人と付き合うなんて・・・・・・」

ルリの魂がどこかに飛んでいってしまったようだ。

それでも自己主張を忘れないのはさすが。

「ちょ、ちょっとルリルリ! ルリルリってば!!」

ミナトが必死に蘇生を試みる。

そのかい有ってルリは生還した。

「どうしたんだ、何か騒がしかったけど」

ブリッジの上からカズシが降りてきた。

「あ、カズシさん。居たの?

 

     グサッ!!

 

「い、居たよ。さっきからずーっと」

ごついオヤジのいじけている姿は、かなり不気味だ。

「じょ、冗談よ、カズシさん」

ミナトが慌ててフォーローする。

 

「それでこの女の子からのメールを読んで、ああなっちゃたの」

そう言ってそのメールを見せる。

「ん、カスミ? どこかでウゲッ!」

「誰ですか、カスミって! アキトさんとはどういう関係なんですか! 答えて下さい、カズシ補佐官!!」

夜叉の形相でカズシを問いつめるルリ。襟首を締め付けすぎてカズシの顔を紫色に変わってきたのは気のせいではないだろう。

「ブクブクブク(口から泡が出てきた音)」

「ルリルリ、首絞めたら喋れないわよ(汗)」

「はっ、私としたことが。大丈夫ですか、カズシ補佐官」

返事がない、ただの屍のようだ。

「勝手に殺すな!」

カズシ復活。

「それで、誰なんですカスミって」

ルリが今度は落ち着いた様子で訊ねる。

「カスミ君はシキシマ次官の娘さんで・・・」

「それってこの本の人?」

「それじゃあ「例の話」って・・・」

「『息子』にならないかって。彼女もその気があるみたいだったし」

 

 

      ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

「ふふふふふふふ、やっと尻尾を掴みましたよアキトさん」

地の底から聞こえてくるような声だった、と後にカズシが語っている。

「浮気だけならまだしも、結婚の約束までするなんて。くすくすくす」

ルリは幽鬼の様にユラリとブリッジから出ていった。

 

 

同時刻。

 

          ゾクッ!!

 

「ん、どうしたアキト」

食堂で食事をしていたナオが、何やら浮かない顔をしているアキトに声をかけた。

「いえ、何か物凄く嫌な予感がしたんですけど」

「また何かやったのか?」

「俺は何もやっていませんよ」

「ホントか? 何でもまたあの本が出たみたいじゃないか。今度もやばいことが書いてあったんじゃ無いのか」

「別にやばいことは書いてませんでしたから(あの事がばれたら、またお仕置きされてしまう。いいや、最悪の場合!)」

婚姻届けを持った十数人の夜叉たちが迫ってくるのを想像してしまった。

そんなときカズシからコミニュケで通信が入った。

「アキト、スマン」

「ど、どうしたんすか、カズシさん」

「例の事がばれた」

「!!!!!!」

「今ルリ君がそっちに行った」

「カ、カズシさん・・・・・・(泣)」

「今の俺には頑張れとしか言えん。じゃあ」

カズシの言葉によって真っ白に燃え尽きたアキト。

だが、アキトにはそんなことをしている余裕さえ与えられていなかった。

「ア・キ・ト・さ・ん(怒)」

「今ルリちゃんから連絡が来たんですけど(怒)」

「また浮気したみたいですね(怒)」

「そのことでお話が有るんですけど(怒)」

「少しお付き合いできます?(怒)」

ホウメイガールズが問いつめてきた。

「俺に拒否権は有るのかな」

思わず聞いてみた。無駄だと知りつつも。

 

「「「「「有ると思いますか?!(怒)」」」」」

 

「・・・・・・いいえ、思いません。はい」

 

 

 

「オオサキ提督、結局彼女の約束とは何だったんですか?」

プロスペクターは、これからお仕置きで起こるであろう経費を計算しながら頭を抱えていた。

そして、偶々近くにいたシュンに事の真実を訊ねた。

「ああ、今度機会があったら一緒に食事に『付き合う約束』をしただけだよ」

「やっぱり・・・。そんなことだろうとは思っていましたが。はあ、また経費がかさみますなぁ」

再び頭を抱える。

「何ならプロスさん、あの娘たちを止めてみるかい?」

「私、まだ死にたくはありませんよ」

美しき破壊神達を止めるものはどこにも存在していなかった。

 

 

 

 

 

 

「さあ、アキトさん、お仕置きの時間ですよ(はーと)」

「アキト、大丈夫だよ、優しくするから(はーと)」

 

「(信用できるかーーーーーーーーーーーーー!!!)」

 

しかし言葉には出せなかった。彼は本当に強いのだろうか?

 

 

 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

あとがきみたいな物

 

久しぶりに書いては見たものの・・・・・・

なんじゃこりゃー! by松○優○

です。

お目汚しな物を書いてしまいました。

 

シキシマ・カスミさん。彼女のモデルはときメモ2の九段○舞○さんです。名前はアレですが(笑い)。

ちなみにシキシマ・エイジさんのモデルはワニノベルの小説「青き波濤」の主人公だった敷島英二内閣総理大臣で、羅門祐人氏が書かれた架空戦記物の小説に出てきた人物です。どこかの首相と違って有能です。

 

別人28号様、フレイ・ヒースロー嬢の登場許可を頂き有り難う御座いました。

 

最後に、このような駄文にお付き合い頂き、有り難う御座いました。

 

 

 

カズシもこれだけ出番が有れば本望だろう。

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

ペテン師さんからの投稿です!!

・・・ま、アキト君の事ですからナニかがあったと予想していましたが(苦笑)

しかし、今度は事務次官の娘さんですか?

着実に人脈を広げてますね〜

このままだと一国を起こしそうだな・・・この男(爆笑)

それとカズシ、死後も活躍してるな〜

結構人気あったんだよね、コイツ(苦笑)

 

それでは、ペテン師さん投稿有難うございました!!

 

さて、ペテン師さんには感想のメールを出す事が出来ません。

ですから感想は、この掲示板に書き込んで下さいね!!