機動戦艦ナデシコ

ever day


第3話

 

 

 

「では、我が社が誇る新造戦艦ナデシコへご案内しましょう!」

 

そう言ってプロスペクターは俺を伴って歩き始めた。

部屋から出て廊下の突き当たりまで行くと、

 

「ここから直通のエレベーターがありますので。」

 

そう言って俺と一緒に乗り込む。

 

ブーン

 

表示階数が目まぐるしく変わっていく。

どうやら一番深いところにあるようだ。

ハァ。それにしてもナデシコに乗ることになるとはなぁ。

偶然なのか・・・、それともプロスペクターに上手く乗せられたのか。

どっちにしろ、これが俺の運命なのかなぁ。

とにかく、しばらく様子を見るしかなさそうだ。

俺がそんなことを考えていると、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

プロスペクターがじっと俺の顔を見つめていた。

 

「あ、あの・・・、顔に何か付いてます?」

 

あまり熱心に俺を見てるので、心持ち後ずさりながら訊ねる。

 

「・・・・そういうわけではないのですが。実はある方に非常に似ておられると思いましてね。」

 

「は、はぁ。」

 

ある方に似てる?まぁ、そんなに珍しい顔じゃないからな・・・・。似てる奴くらいいてもおかしくはないと思うんだが、それにしてもずいぶんと熱心に見ているなぁ。

こいつ、もしかして俺を狙ってる?(汗)

ま、まさか・・・な・・?

しかし絶対そんなことがないとは言い切れないよな。

結果的に前回と同じになったとはいえ、俺は別の理由でここに来たわけだし。

それにあんな尋問まがいのことも前回はされなかったしな。

微妙に歴史が変わってきているのか?

などと思っていると、

 

ピンポーン

 

どうやら着いたらしい。

エレベーターから出てみると、威風堂々とした白亜の戦艦が横たわっていた。

・・・・・・・・・・・・ナデシコ・・・・か・・。

ここから全てが始まったんだよな・・・。

そしてまた始まるのか・・・?

何で俺、ここにいるんだろう?

これから俺、何をしたいんだろう?

この船はまた木星との和平を目指すのか?

前回、状況に流されてたまたまこの船に乗った俺もそれに同調して・・・。

そして・・・今回も同じ未来を、末路を辿るのか?

 

 

 

いや、そんなことはない!

俺は認めない、あんな未来だけは!

今度こそ俺は・・・・・・オレは・・・・、

 

「幸せになるんだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「テ、テンカワさん?」

 

いきなり声を上げた俺にビビッたのか、焦った様子でプロスペクターが声を掛けてきた。

端から見たらただのおかしい人だもんな、俺(汗)

 

「ど、どうかしましたか?」

 

「あ、いえ。何でもないです。」

 

「そうですか・・・。ところで、どうです?ナデシコは。」

 

「・・・・・変な形ですね。」

 

「ハハハッ。これは手厳しい。まぁ、従来の戦艦と様相が全く異なるのは否定しませんけどね。」

 

そう言いながら、俺達はタラップを上がっていく。

整備員達も避難したのか船の周りには誰もいなかった。

ナデシコ船内に入り、

 

「さて、とりあえずテンカワさんは、調理師補助ということで生活班のブロックに割り当てます。」

 

そう言いながら、懐から取り出した端末を操作している。

 

「本来なら2人部屋を使ってもらうはずだったのですが、ちょうど埋まってましてね。個室となります。」

 

またしても前回とずれが生じた。確かヤマダと相部屋だったはずなのに。

ま、俺としてはこの方が嬉しいけど。

 

「では、これがカードキーです。でもこれは、仮のものですからね。後で私の部屋へ来て下さい。正式な物を用意しておきます。」

 

と言って、俺に仮のカードキーを渡す。

 

「もうすぐナデシコも出航すると思いますんで、テンカワさんは・・・・・・・・・・・、」

 

そうプロスペクターが言いかけた時、

 

ピッ

 

突然、彼のコミュニケが鳴った。

 

「おっと、すいません。」

 

そう言いながら俺から離れていきコミュニケでやりとりをする。

やりとりが終わると、

 

「申し訳ないのですが、私はこれからブリッジに行かなくてはなりません。テンカワさんは部屋で待機していて下さい。」

 

そう言い残すと、スタスタと歩いて行ってしまった。

1人その場に残される俺。

部屋で待機ねぇ。

そう言えば前回はどうしたっけ?などと考えていると、

 

ズズゥゥゥン

 

船体全体が揺れた。

どうやら、木星蜥蜴の攻撃が激しくなってきたようだ。

 

「ま、ここにいてもしょうがないよな。」

 

俺は荷物を下ろすために部屋に向かうことにした。

その後エステに乗ることになるかもしれないが、まずはこの荷物を下ろしたかった。

 

「えーと・・・・・・・・、ここか。」

 

割り当てられた部屋に着き、カードキーをスリットに通す。

 

プシュー

 

圧縮空気が抜ける音がして、扉が開いた。

入ってすぐの所に自転車を置き奥へと進む。が・・・・・、

 

「!!」

 

人が居る!暗くて誰が居るのか分からないが、明らかに人の気配がする。

俺は、そっと荷物を置き戦闘態勢をとった。

間違えて入ってしまったという可能性もなくはないが、俺がカードキーを持っている以上それも考えにくい。

俺が来ることを知ってたか、又は別の奴を待ってたのか。

とにかく、警戒を怠らないようにして灯りのスイッチに手を掛ける。

 

パッ

 

部屋が一気に明るくなった。

そして、侵入者が誰なのか確認する。

しかし、予想だにしなかったその姿に、俺は目を見張らんばかりに驚いた。

 

「ル、ルリちゃん!?」

 

俺の家族ともいうべき人が、ベッドに座ってこちらを見ていた

 

「遅いです。テンカワさん。」

 

「!」

 

ルリちゃんがそう口にした瞬間、何か違和感を覚えた。

見た目はルリちゃんそのものだ。

彼女も逆行してきたらしいが、俺とは違いナデシコCの士官服を身に着けている。

どうやらナデシコCに搭乗していた16才のルリちゃんのようだ。

でも、本当に逆行者なら俺のことを「アキトさん」と呼ぶと思うんだけどな。一緒に暮らしてた時はずっとそうだったし。

だが、「テンカワさん」と苗字で呼んだ。

ということは、彼女は逆行者ではなくこの世界の人間なのか?

とすると、まだ面識のない俺の名前を知ってるのはおかしい。

どういうことだ?

俺はわけが分からなかった。

 

「君は誰だ?ルリちゃんじゃないのか?」

 

「私はホシノ・ルリではありません。この姿は便宜上のものです。」

 

「そうなのか・・・・。で、何者だ?何故俺の名を知ってる?」

 

俺は彼女を鋭く睨み付けながら問う。

向こうが何かアクションを起こしたらすぐに対応できるよう体勢も崩さない。

 

「私が何者であるか今は言えません。ですが・・・・貴方と敵対する気はありません、今のところ。」

 

「今のところ、ね。」

 

俺は「フッ」と鼻で笑った。

今のところということは、将来は敵となる可能性もあるわけだ。むしろその可能性の方が大きいだろう。

 

「で、俺に何の用?」

 

「貴方を手助けするために来ました。」

 

「手助け?」

 

「はい」

 

わけがわからない。何を助けるんだ?

 

「いきなりそう言われても・・・。何を助けるんだ?」

 

「ここが、過去であることは分かってますよね?」

 

「・・・・まぁ、ね。」

 

「ですがそれも正しい表現ではありません。より正確に言うのなら、貴方が元いた世界に限りなく類似した世界の過去ということです。」

 

「つまり、パラレルワールドってこと?」

 

「厳密には違いますが、まぁそんなところです。」

 

「で?」

 

「ここがどこかはともかく、貴方の性格なら困ってる人や不幸になると分かってる人を見捨てることが出来ないだろうと。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それを回避するためにきっと尽力をなさるだろうということで、私がそのサポートに来ました。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「お分かりになりました?」

 

「・・・・・・・・・・・・一応は。」

 

「他に訊きたいことはありませんか?」

 

「まぁ、山ほどあるんだがとりあえず一つだけ。」

 

「どうぞ。」

 

「俺にその気がない時はどうすればいい?」

 

「は?」

 

「だから。別に困ってる人がいようが俺には関係ないってこと。だって俺の目標は、自分の幸せを掴むことなんだからな。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・まじ?」

 

「まじです。ついでに言っちゃうと、ナデシコに乗ったのだって偶然だし。俺、最初は乗る気無かったもん。それに途中で降りようかなぁ、と思ってるくらいだしさ。」

 

ルリちゃんもどきは、俺の回答を聴くと呆然としていた。

自分の期待していた答えと真逆の言葉が返ってきたみたいだし。

 

「というわけで君のサポートは必要ない、と。分かったらおうちに帰りなさい。お兄さんはこれでも忙しいんだからね。」

 

ま、こんな奴とは関わらない方がいいよな。

さっさと追い返そうとすると、

 

「ま、待って下さい!」

 

ルリちゃんもどきは焦った様子で俺に食い下がる。

 

「何?」

 

「貴方それでいいんですか!?貴方の仲間達じゃないですか!家族じゃないですか!あのミスマル・ユリカさんやホシノ・ルリさんも乗ってるんですよ!!」

 

「ふ〜ん。で?」

 

「その・・・・で?って言われても・・・。」

 

「何で俺がそんなことをしなくちゃいけないの?」

 

「何でって・・・・やり直せるんならより良い方向に未来を持って行くのは当然じゃないですか!それとも貴方はあの未来が良かったとでも言うんですか!!」

 

「そんなことは言わないけどさ。じゃあ、またユリカと結婚しなくちゃいけないの?」

 

「当たり前です!!」

 

「え〜」

 

「なんですか!?「え〜」って!!」(怒)

 

「だって、どうせやり直せるならさ。もっと違った人生を歩いてみたいと思わない?」

 

「違った人生って・・・・・・・」(絶句)

 

「ユリカはユリカでいいと思うんだけどさ。ほら、例えばミナトさんと結婚するとか。いいと思わない?あの人見た目によらず家庭的だし。」

 

「よくありませんっ!!」

 

「むぅ。じゃあホウメイさんあたりを・・・」

 

「ダメですっ!!」

 

「・・・・・・・・けち。」

 

はぁ。この子は何を考えているんだ?本当は俺に何をさせたいんだろう。

 

「ま、冗談は置いといて。」

 

「冗談だったんですかっ!?」

 

「本当は俺に何をさせたいの?」

 

「ですから、先ほど言った通り・・・・、」

 

「それなら、俺が君の言った通りのことをするとして、君に何のメリットがあるの?」

 

「え?」

 

「だって何の見返りもなく、他人を助けようとなんて普通しないでしょ?」

 

「わ、私は。ただ貴方がかわいそうに思い・・・・・」

 

「つまり、ボランティアってところかな?」

 

「えーと、大体そんなところです・・・・・・。」

 

「ボランティアねぇ・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ルリちゃんもどきは俯いてしまった。

必死に言葉を探してる様子だ。

 

「でもね。ただより高いものはないって云うじゃん。」

 

「・・・・・・・・え」

 

顔をこちらに向ける。その表情には先ほどまでの勢いが失われていた。

ふふふっ、なんか俺って獲物をいたぶる猫みたいだな。実はSだったりして(笑)

 

「悪いけど、そんな甘い話を素直に受け入れるほどお人好しではないんでね。」

 

「そ、そんな・・・・」

 

「理由は分からないが、君としては俺が前回と大きく逸脱した行動を取ると困るわけだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「まだ、君が自分のメリットを話してくれていたらねぇ。君のことを信じる信じないは別にしてとりあえずは、君の言った通りの行動をしたかもしれないのになぁ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「利害が一致した、いわゆる同盟ってやつかな?」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「少なくとも、ボランティアだ何だよりよっぽど信憑性があったのに。」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「俺としても悪くない話だったのに残念だなぁ〜♪」

 

「ひ、ひどい・・・・」

 

クククッ。俺は心の中で嘲笑っていた。

どちらにせよそんなことする気など、1ミクロンも持ち合わせていないがな。

しかし、そんな俺の考えなど露知らず、ルリちゃんもどきは泣きそうな顔をしている。

 

「・・・・・交渉決裂、だな」

 

とどめを刺す。

その瞬間、彼女の目が大きく見開かれた。

 

「ま、待って・・・・・・・」

 

弱々しい口調で俺を引き留める。

 

「あん?まだ何かあるの?」

 

「お願いです・・・。せめてこの船に残って下さい・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「何もしなくていいですから。お願いです・・・・。」

 

「うーん」と俺は考える素振りを見せる。そして、

 

「いいよ。」

 

あっさりOKを出す。

 

「え?」

 

提案をした彼女自身でさえ戸惑っているようだ。

 

「あのなぁ。」

 

と、俺は苦笑いをした。

 

「俺のことを鬼や悪魔なんかと思ってないかい?」

 

「・・・・・・・・・・・少し。」

 

「ふぅ。あのねぇ、目の前で死にそうな人がいるのにそれを無視して通り過ぎるようなことはしないよ、いくら俺でもね。だけどさ、人の力には限界ってものがあるだろ?漫画やアニメの主人公じゃないんだから、自分の身を挺して人をかばったり、自分の力ではどうしようもないことにまで首を突っ込む気はないってことだよ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

う。ちょっと罪悪感(汗)

いくら何でも初対面の子を泣かしちゃいけないよなぁ。

ルリちゃんと同じ姿ということもあって、始めはちょっとからかってやろうかなと思っただけなのに。

 

「ま、少し俺も悪ふざけが過ぎたようだな。謝るよ、ゴメン。」

 

「・・・・・・・・いえ。」

 

「とにかくさ、先のことは分からないんだから。気楽にいこうよ。」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「ね?」

 

「・・・・・・・・・・・はい。」

 

よかった。少しは機嫌直してくれた、かな?

自分から進んで人間関係こじらすこともないもんな。

 

「テンカワさんって・・・・、」

 

「ん?」

 

「・・・・・・・・前の歴史の時と性格変わってません?」(ジト目)

 

「うーん、どうなんだろう?ま、どこかで頭でもぶつけたんじゃないのかなぁ。ガハハハハハハハ」

 

そう言って俺は豪快に笑う。

彼女は呆れたような表情でそれを見ていた。

 

「とにかくさ、これからよろしくね。あ、君の名前は?」

 

「私は名前がありません。」

 

「えっ無いの?それにその姿、変えられない?知り合いと同じっていうのはちょっとね・・・」

 

「この姿で固定されてますので変えることは出来ません。ですが、他の方は私を見ることが出来ないので関係ないのではないかと。」

 

「それってどういうこと?幽霊?」

 

どうみたって、実物に見えるんだけどな。

 

「いえ、実体を伴ってます。まぁ、無くすこともできますが。つまり・・・、モノが視覚に入っても脳がそれを認識しない限りそのモノを見ることは出来ないですよね。」

 

「まぁ、ね。」

 

「そういうことです。私は、椅子や机と同じなんです。ただの物体にしか見えないんです、他の方からは。」

 

「でも、俺にだけは見えると?」

 

「はい。私から貴方の脳に働きかけたので。私から働きかけない限りこの姿を見ることは出来ません。」

 

「ふ〜ん。」

 

「いわば、実体を伴った幽霊ってところです。」

 

「実体を伴った幽霊ね・・・・。」

 

それって幽霊じゃないと思うんだが、とは口に出さずに胸の中にしまっておく。

 

「よくわからんが・・・要するに俺が我慢すればいい、と」

 

「はい」

 

納得。

 

「見た目はそれでいいとして、名前が無いと不便だと思うんだけどな。」

 

「そうですね。」

 

「じゃあ、何と呼べばいい?」

 

「お好きなように。」

 

「何でもいいの?」

 

「ええ」

 

       ゴッドファーザー        
うーん俺が名付け親かぁ。

やっぱりイカス名前がいいよなぁ。

そうだな・・・・・・・・・・・・・・・、決めた!

 

「ポポロビッチ・キースロー・アレクサンドル・インスパイダー3世ルリ、というのはどうだ?」

 

「何ですか!その無意味に長い名前は!?」

 

「気に入らないか?」

 

「当たり前です!大体そんなに長くては呼びにくいじゃないですか!!」

 

「むぅ。それならポポロビッチ・キースロー・アレクサンドル・インスパイダー3世でどうだ?」

 

「略すのはそっちじゃないでしょう!!!」

 

「怒りっぽいな。カルシウムが足らんぞ?」

 

「誰のせいですか!!」

 

ハァ、ハァ、ハァ。彼女は荒く息をしている。

せっかくナイスな名前だと思ったんだが・・・。

 

「じゃあ、どんなのがいいんだ?」

 

何でもいいと言ったのに。贅沢な奴め。

 

「それはやっぱり、女の子らしいかわいい名前を・・・」

 

「かわいいねぇ・・・」

 

そう言われても。漠然としすぎてるよなぁ。

 

「希望はないのか?」

 

「そうですね・・・。ルリルリというのはどうでしょう?」

 

「却下」(0,1秒)

 

「な、何故です!?女の子らしくてかわいくて、おまけに呼びやすいじゃないですか!」

 

「それは本物のルリちゃんに使うから。」

 

「な・・・・・・・・・」(絶句)

 

そうなのだ。一度でいいから呼んでみたかったのだ(はぁと)

 

「というわけで、別の候補は?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

他には考えてなかったらしく、彼女は口をつぐんだ。

 

「じゃあ、ルリツーというのは?」

 

「ルリツー?」

 

「そう。プルツーみたいでいいかなと思って。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それともルリ弐号機とか?でもあれって、量産型なんだよな。量産型というとやられ役っていうのが相場だし。ははっ、ジムみたいにすぐやられちゃうかもね、ズボッて感じで(笑)」

 

「・・・・・・・・・・・・・死ね。」

 

ドゴッ、バキッ、ガスッ、

 

痛ひ。軽いジョークなのに。

見た目はルリちゃんだが、どうやら本当に中身は別人のようだ。

ルリちゃんなら俺を殴ったりしないもんな。しかもグーで。

 

「じゃあ・・・・・、」

 

と言い掛けて止まる。

次真面目に言わなかったら殺すといった目つきで俺を睨んでいたからだ(汗)。

 

「・・・・・・・・・・アリスというのはどう?」

 

「アリス?」

 

「そう、アリス。不思議の国のアリス、さ。鏡の国でもいいけど。」

 

「アリス・・・・」

 

彼女は考え込んだ。どうしようか迷ってるみたいだ。

 

「ここは君にとって違う世界みたいだし。悪くないと思うんだけど?」

 

「・・・・・・そうですね。それでいいです。」

 

「じゃあ。改めて初めましてかな、アリス。テンカワ・アキトだ。」

 

俺はニコッと笑って手を差し出した。

 

「・・・・・こちらこそ。アリスです。よろしくお願いしますね。」

 

彼女、アリスもクスッと笑って俺の手を取る。

ひんやりとしていて、とても小さな手だ。

それがやけに俺の印象に残っていた・・・・・

 

 

 

 

続く

 

後書き

何でこんなに話が進まないんでしょうね。新キャラ、アリス嬢との会話だけで終わってしまいました(汗)

実は、この3話はもっと進むはずだったんです。少なくともナデシコは出航させるつもりでした。

ですが・・・1,2話の時はそんなこと無かったのですが、3話の途中でいきなりモチベーションが下がりまくって、書くのが嫌になってしまったんです。

何でSSなんて書いてるんだろう?どうして読むだけにしておかなかったのだろう?と本気で思いました。

その原因は、自分の思い描いているシーンが上手く文章に出来ないいらだち、というところです。

どんどんずれていき、それと比例するかのごとくモチベーションも下がる一方で本当に大変でした(涙)

 

ところで、アキト君の性格ですがEVAのミサトさんをイメージしてます。

表面上は人当たりよく付き合ってるように見えますが、決して自分の感情を露わにしようとしない、そんな意地っ張りな感じを出したいなと思ってます。

アリスさんにはああ言いましたが、これからナデシコでの生活でどうアキト君が変わるのか(変わらないかもしれませんが)を出したいです。

アリスさんはアキト君と逆ですね。

表面上はクールを気取ってるけど、実は感情を隠すのが下手という感じです。

彼女の方もどう変わっていくか、私自身楽しみです。

 

次は4話です。原作なら今頃宇宙ですが、ナデシコ起動すらしてません(汗)

次回は、アキト君の大活躍!黒い王子様再び?が書ければいいなぁと思ってます。

では、またお会いしましょう。

 

 

代理人の感想

あ〜、言い替えると琥珀アキトと翡翠ルリ幽霊と(爆死)。

(しかし「ルリ幽霊」なんて言うと「居酒屋ゆうれい」みたいだな(爆))

 

しかし、アキトくん人をいぢめる事に快感を見出すようになってきていますね(笑)。

途中でまだ残っていた良心が辛うじて発動したようですが

あのまま行っていたらどうなった事やら(笑)。

 

でも鬼畜や外道にならずに自然体でやりなおしを楽しんでるアキトってこれはこれでいいなぁ(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>いきなりモチベーションが下がりまくって、書くのが嫌になってしまった

ぎくっ!