かつて未来と呼ばれる過去の中で彼はナデシコと呼ばれる戦艦に乗っていた。
 けっして楽しいことばかりではなかったが、彼にとってそこはかけがえのない場所であった。

 そして戦うことを終えた後、彼は自分の夢を家族と一緒に叶えようとした。  
 
 しかし、その夢は叶うことなく家族は引き裂かれていった。

 そして彼は復讐のために闇の王子に姿を変える。
 
 復讐が終わった後に居場所を感じることが出来ず、愛しい者から逃げていたとき
 
 奇跡は起こった。
 
 彼の精神は過去へ逆行し、また一握りの者も彼と共に跳んだ。

 そして彼は未来で起きた惨劇を繰り返さぬために、彼は戦い抜いた。
 
 新たな仲間との出会いと別れ。新たな敵との出会い。

 そうして、ようやく終わろうとしていたときにそれは起きた。
 
 世界を変えた代償だったのか、彼は別世界に跳ばされてしまった。
 
 彼の名はテンカワ=アキト、漆黒の戦神と呼ばれた者である・・・・・・・


融合せし世界の中で

 第三話 もっと貴方が知りたくて(はあと)・・・つぅーか知り尽くす!!


 (注)今回はディータびいきのお話なのでそれをしっかり理解した上でどうぞ


 艦内でのアキトの立場は正式なクルーとして認定されてめでたしめでたしと言うのが前回までの
 話であった。
 
 男と女が手を取り合っている・・・それはタラークやメジェールに住んでいる人達には想像も
 つかないことである。でも良いではないか、それが本来の人間のあり方なのだから。

 何処かの心ない方がバーネットの人生はアキトの話だけで覆せるのか?といった
 心の無いことを言ってきましたがそんな心無い方は放っておきましょう。
 あくまで此処はアキトの介入により平行世界になってしまっているのだから・・・・

 ただ・・・・やはりちょっとしたハプニングは付き物であろう・・・・・・



「ふわぁぁぁぁぁあっと、うにゅぅぅぅ・・・・もう眠たいですぅ・・・・・・」

 さすがに戦闘の疲れが出たのかディータがこれまた眠たそうに瞼をこすりながら言った。

「ディータ、お頭の前だぞ!しっかり姿勢を正していろ。」(ゴシゴシ)

 そうメイアが言うが彼女も眠たそうである・・・仕方のない話である、
 実際彼女たちはペークシスの中で他の人達よりも長く行動していたのである。

 そんなメイアを見ていたら他のクルーも眠たくなってきたのか瞼をこすっている。

「やれやれ・・ま、今日だけでいろいろありすぎたからねぇ。ここらで各自解散と行こうかい、
 それじゃぁ皆お休み。ブリッジクルーはしっかりと索敵などをしてから休むんだよ。
 あ、そうそうヒスイは私の部屋に一緒に来ないかい?」 

「うん、ありがとう・・・・アキトは?」

 そのマグノの言葉と共にみんなが気怠げに返事を返し各自の部屋に戻る・・・・・筈だった。

      ・・・・・・ブザムがちょっとしたことを言うまでは・・・・・・・

「フム・・・・ヒスイの言うとおりだな、アキトや他の男・・・確かドゥエロやバートとか言った
 か、は何処の部屋を使って休めば良いんだろうか・・一応監視をつけなければいけないしな・・」

 その言葉にはマグノとガスコーニュが答えた。

「あぁそれだったらドゥエロってのはドクターらしいからそこに備え付けのベッドで休ませること
 にしといよ。あそこには一応監視システムがついているしね。」

「それとあの馬鹿はとりあえずはお仕置き部屋・・ま、何にもない倉庫のほうに送っといたよ・・  抜け出そうとしたらレーザーが発射される仕組みになってるから脱走はしないでしょ」

  ・・・・・・・・そして・・・・・・・・・

「あれ、それだったらアキトさんって何処に行くかまだ決まってないんじゃないんですか?」

 ・・・・・セルティックの呟きがとても大きく聞こえたような気がする・・・・・・

        静か〜な、とっっっっても静か〜〜な沈黙の後・・・・・

「アキトさぁぁぁぁん!!ディータの部屋で一緒に寝ようよ、ね?」「え、ええええ!!??」

 先程の眠気が何処に行ったのやら途端に元気になったディータがアキトの腕をくんだ。

 それが引き金だったらしい、怒濤の如く訪れてきた。

「ねぇアキト、こんなお子様放っておいてジュラの部屋に来ない?」

「アキトさん私の部屋に来ませんか、あ、でもコスチュームが散らばってるし・・・・」

「ねぇアキト、私の部屋は片づいてるから一人ぐらい増えても大丈夫だけどこない?」

「私は保安クルーですからそう言ったことに関しては・・・・」「えぇ私も〜」
     ・・・・・・・エトセトラエトセトラ・・・・・・

 先程自分の持ち場に戻ったはずの保安クルーや他のクルーまで数名来ている(笑)

 ・・・・・どうやってきたんだあんたら、まさかボソンジャンプ?

 前回並の修羅場である。只違うのは今回はあくまで敵対心はアキトに向いていなく仲間に
 向いていることであった。

 てなわけでここに「ときめき★アキト君と一緒に寝る権利は誰の物?」大会が実施された。 

 ルールは簡単、いかなる手段を用いてもアキトをゲットすればいいのである。
 はい、Ready・・・・・Go!!!!!!!

「アキトさんはディータの部屋で一緒に寝るの!!」「何言ってるのジュラの部屋で一緒に!!」
「ジュラの部屋物多くてそんなスペース無いじゃない!!」「宇宙人だらけよりましよ!!」
「※*&£$¢♂℃¥◎!!!!」「♀#♪♭Ŷ∀∂⊆∈⇔◇◎〓■」

 
 おおっとまず混沌の中心に踏み込んだのはディータだ!!
 さすがというかアキトにアプローチをかけている、しかし此処でジュラが参戦、
 すごい言い合いだ。これにはさすがの保安クルーその他クルーも耐えきれない!!
 
「「「「「さすがにあれに勝てるほどの強い精神力は持ってないわ・・・・・・」」」」」(無念)

 此処で脱落だぁ!!

 おおっと数が減ったところで今まで動かなかったアマローネ、ベルヴェデール、セルティックが
 戦場に躍り出た。

 で・・・そのアキトはと言うト・・・・・・

「いや・・・俺は空いている部屋で良いんだけど・・・・・・」

 そう呟いている。やっぱり俺は何処に行ってもこうなるのかなぁと言うのが顔に見える。

 だが某同盟とは違っている点があった。アキトの言葉を聞いて争っている5人が答える。

「だめだよアキトさん、何にもない部屋に一人なんて寂しいよ。」

「それに手入れもされてない部屋しかないし・・・・」

「空調システムも利かないようになってるわよ、使ってない部屋は。」

「そんなところにアキトを置いておけるわけがないでしょう、ねぇ?」

「そうそう、だから暖かくて住める私たちの部屋においでよ。」

 その言葉を聞いたアキトは心うたれた。この娘達は自分を心底気遣っているのである。
 風邪なんかをひかないように、寂しくないようにと。

 まだ知り合ってから一日も経っていないのに此処まで自分を心配してくれて今こうなっているの
 である。
 

 それが分かったらアキトに止めなければと言う気持ちが薄らいでいった。

 止めなきゃ結局は誰かの部屋に行かなければならないが・・・・いいのか?(汗)

 そうして感動していると後方より声がかかった。

「アキトは誰かの部屋に行くことによって迷惑をかけるのが嫌なのか?」

 メイアであった、そう言えば彼女は参戦していなかった。

「それも有るんだけど・・・・ほら、その、何て言うか、そう保護観察みたいなモノだから
 俺だけじゃなくてその娘の行動まで自由を奪われるじゃないか。ね?」(アセアセ)

 しどろもどろになりながら答えるアキト、根本的に男と女が一緒の部屋で寝ると言うことの
 意味が分かってない人に「男と女が一緒に寝るのは」なんて答えたら自分が信用していない
 ように思われるので、とりあえず理由を作った。かなり苦しいが(汗)

 しかしメイアはそのままアキトの言葉を受け取ったようで、少し悩んだ後、

「アキト、一応しばらくの間あまりしたくないのだが保護観察が必要なのだ、分かって欲しい・・・
 確かに行動に支障が出るかもしれない、だが本人がいいと言えば構わないのではないのか?」

 と、しっかりとした答えが返してきた。

 そしてその言葉について考えているとメイアが赤くなりながらアキトに申し上げてきた。

「しかし・・・その・・・何だ・・・私としてもアキトを信頼しているので必要はないのだが・・
 ・・・私は部屋に帰った後、することもないので別にアキトが来ても困ることはないし・・・
 見られて困る私物も差し当たって無いから・・・その・・私の部屋に来ないか・・・」(///)
 
 おおっと!!此処でダークホースのメイア嬢が参戦だ!!さぁ〜てどうなるのか行方は!!

「えっ・・・・!?」

「や・・やはリ・・・駄目か・・・すまない、忘れてくれ・・・」

「いや、驚いただけで・・・そのメイアちゃん・・・・・・・」

 その言葉と共に視線が絡み合う、これはこれはひょっとしてそうなってしまうのか!?
 見つめ合っています。そして・・・・・・・ 

 「「だめぇっ」」

 おおっとこの雰囲気を察知したのかディータとジュラが割り込んできた!!

「リーダー、何どさくさにまぎれてるんですか!!」「漁夫の利を狙うなんて・・・さすが。」

「いや・・・その・・・・・・」

 よく見てみると奥にはブリッジ三人娘が重なり合って倒れてる。どうやら負けてしまったようだ。 そして今度はメイアに集中砲火だ!!

 そう言えば前回にてヒロインクラスの称号をゲットしたバーネット嬢はどうしているのか・・・・ ちょっと覗いてみよう。

「あの、えっとアキト・・私もアキトだったら・・でもジュラ様が・・・・・」(板挟み状態) 

 そう言って頭を抱えて悩んでいる。どうやら自分もアキトを自分の部屋に入れたいと思っている
 ようだがジュラも狙っているのでそれを主張できないと言う板挟みになっているようだ。

 ・・・・・・・・・・難儀な方です、はい、本当に・・・・・・・・・・・・・
     (それでも人気は漫画版の場合、堂々たる一位なのだが)

 さてさて、どうやらバトルは佳境の方に進んでいったみたいだ。
 最初からずっと同じペースのディータ、ジュラ、そんな二人の集中砲火を耐えきったメイア、
 そして未だに悩んでいるバーネットが残ったようである。
 バトル開始から早数十分、勝負は意外な方法で決着を迎えることになった。



「「「「じゃんけん!?」」」」


 思わず声をそろえる四人。

「そうさじゃんけんさ、知らない訳じゃないだろう?ほら、さっさと勝負決めちまいな。」

「いえ・・・そのじゃんけん自体は分かるのですが・・・何故にじゃんけんで・・・・」

 メイアが当然といえる疑問をマグノに問う。

 するとマグノは果てしない笑顔を向け、肩を震わせながらその疑問に答えた。

「決まってるだろう!?・・・・・あんたらが何時までもやってるからさ・・・・・だから
 さっさと決着の付いて後腐れのない方法をあたしは選んだつもりなんだけどね〜〜・・・・・・
 
 素晴らしい威圧感である・・・メイアの知る限りここまで怒っているマグノは今までに仲間が
 タラークに捕まったとき以来である。

 でも、どうしてここまで怒っているのかが分かりかねる。するとすぐに答えが分かった。

「・・・・お頭・・・・・眠い・・・でもうるさくて眠れない・・・・」(グシグシ)

「あぁ〜ごめんねヒスイ、すぐに終わらせるからねぇ。ほら!!さっさと決める!!!」(怒)

 すっかりいいおばあちゃんである。傍目から見ると祖母と孫にしか見えない。

 このまま怒らせては命に関わるかもしれない・・・そう判断した全員はさっさと勝負を決めて
 しまうことにした。

 
 そしていざじゃんけんに移ろうとしたところで意外な人物がここで勝負に乗り出してきた。

「・・・・待って下さい・・・・私もやります・・・・・」

「「「「えっっっ!?テンホウ(orテンちゃん)!?」」」」

 なんとこの最終決戦前になんと穴馬のテンホウ嬢が参戦だぁ!!この争奪戦はルールと呼べるモノ はただ一つ、《いかなる手段を用いてもアキトをゲットしろ》である。即ち、別に最初勝てそうに なかったら出ないことにしておいて自分でも勝てそうなときに参戦することが出来るのだ!!

((((し、しまったぁぁぁ!!!))))

 思わず心の中で絶叫する四人。
 しかしそんなことお構いなしにすでにテンホウちゃんはじゃんけんをする気満々だ!!
【脳味噌も使わなければ只の味噌】誰が言った言葉であろうか、この瞬間それはとてつもなく
 輝いている。

 てなわけでLet`s じゃんけん大会!!

 じゃんけん・・・それはとても不思議な文化である。
 石をかたどったグー、ハサミをかたどったチョキ、そして紙をかたどったパー、それを片手で
 互いにつくって出し勝負を決する。

 グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝ち、そしてパーはグーに勝つ。
 たったこれだけの単純なゲームである。しかしこのゲームには創始者と呼べる人がいない・・・・

 何故か!?答は簡単、世界各地に文化の交流がなかった時代から有ると言われているからである。
 民族、種族、意志、言語、宗教、全てが他とは違う文化の中でこれだけは世界共通なのである。

 初めて見知らぬ異国の地に旅行した人がいた。
 しかしその地で道に迷い仕方の無いからその地に住む人に片言で話しかけてみる、するとその人は 勝負師肌の人で勝負に勝ったら教えてやると行って来た。
 仕方の無いからその勝負に乗ることにしたが考えてみると自分はその地の文化を知らないことに気 付く、そうして慌てているとその男はこういってきた。
「さあ、勝負しようぜ!じゃんけんでな。一回限りだから覚悟しれよ!!」

 こういった話があるほどに世界レベルでポピュラーなのである。(実話)

 そして今この融合戦艦の中でもまた次元を越えて作られているのであった。

「はい、それじゃあ恨みっこ無しで行くわよ・・・・・・それじゃぁ・・・・・・・・・・・・」

        「「「「「じゃ〜んけん・・・・・・・・」」」」」

                   ・
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                   ・
 
                  そして


「キャッホゥゥゥ〜!!アキトさんと一緒に寝れるんだぁ〜い。ディータの部屋はこっちだよ〜〜」

 全員が30回連続でグーを出すと言った確率上931322574615478515625
 分の一(5分の一の30乗)と言った素晴らしいあいこの後ディータがくしゃみのはずみと共
 に手を開いてパーにして周りが反応できなくてディータの一人勝ちになったわけである。

 で、その果報者のアキトはと言うト・・・・・・

「うぅぅーむ・・・・これで良かったんだろうか・・・・結局女の子の部屋に泊まっちゃうん
 だよなぁ・・・・しかしだからといってディータちゃんの好意を無碍に出来ないし・・・・
 それに今日をしのいでもまだ結局4人あとにいるんだよなぁ〜〜〜〜」

 そうなのである。別に勝った人のみがアキトと一緒に寝られると言ったわけではない、あくまで
 今日はどうするかと言った話し合いだったのである(話し合い?)
 その事に気付いた負けた4人がその後の順番決めじゃんけんになって少なくとも五日連続で
 女の子の部屋に泊まることになったのである。(果報者ぅっ!!by某究極超人の先輩風に)

 ちなみに一緒に寝るための証明としてお頭承認のチケットまである(笑)

 そしてそんなことはとりあえず頭の中から追い出しておく・・・・どうせもう決まってしまった
 事なのである。ディータと話をしながら通路を進み、そして・・・・・

「ハ〜イ、到着ぅ〜〜〜〜。ここがディータの部屋だよアキトさん!!」

 その言葉と共にドアが開く。 

 シュィィィィィィィン

 ン〜〜〜、その・・・・何というかどうにもコメントしにくい部屋である・・・・ていうか・・・
 強いて言うならエキゾチックな部屋である、しかもかなりの!!

 まず天井には昔懐かしい形のUFO の模型が多数浮いている。続いて壁を見るとそこには神秘の
 宇宙大ロマンという言葉がよく似合うポスターが貼られてある(宇宙人が何故か手を振っている)
 更に棚を見てみるとそこにはこれまた懐かしのタコ型エイリアンやらいわゆるグレイと呼ばれる
 モノのやら後何故か某大正浪漫ゲームの降魔のぬいぐるみがあった。

 訂正・・・・・エキゾチックていうか・・・・濃ゆい部屋である・・・・かなりの・・・・
 そんな部屋を見たアキトはさすがに部屋にはいるのをためらった。(誰でもそうする)

 部屋の前で固まっているアキトを不思議に思ってディータが声をかける。

「あれ?アキトさん、どうしたの・・・別に遠慮しなくても良いんだよ。」

「はっ!・・・いや、ちょっと個性的な部屋だな〜と思ってね。はは、それじゃあおじゃまさせて
 もらうよ・・・・・」(内心かなりいろんな意味でドキドキ)

「はい。いらっしゃいませ!!」(満面の笑み)

 まぁ、人の好みも色々だなぁ〜と達観したら対して気にならなくなるモノである。
 只でさえ適応能力の高いアキトである、それでも10分ほどしたら慣れてしまった。

 時折、宇宙人の素晴らしさに対して同意を求められるの以外は(笑)

「それで、この宇宙人さんは絶対にピースフルな宇宙人さんだと思うの、ほらすっっごく目が
 可愛いし!!」

「は・・・はははは、そうだね。確かにピースフルな感じがするね・・・」(ミッ○ーマウ○!?)

 何故か某千葉にあるのに東京にあると誇張された某テーマパークのマスコットについて目を
 輝かして話すディータになかなか真実を話せないアキトであった。(何で有るんだろう) 

 そのほかにも某サ○リオのキャラクターやス○ーピー、ミッフィ○などが出てきたのは
 言うまでもない。(宇宙人!?)

         ・・・・・・・・そして数十分後・・・・・・・・


    心労によってすでにくたくたになっているアキトがそこにあった。(笑)

「ディ・・ディータちゃん・・・とりあえず・・宇宙人の話は・・また今度にしようよ・・・・
 今日はもう遅いし・・」(ある意味イネスさんの説明並だった)

 するとディータがは〜いと肯定の返事をしながらぬいぐるみを片づけ始めた。

 助かったと思い、手伝うよと言って立ち上がろうとしたときに今までとはトーンが違う
 ディータの声がアキトに向けられた。

「ねぇ・・・アキトさん・・・・ディータ、聞きたいことが有るんだけど・・・・・」

 その声はあまりにもディータらしくなかったので思わず警戒して聞き返すアキト。

「!!。何だい?・・・・・俺に答えられるモノなのかな、それは?」

「・・・・・・うん・・・アキトさんにしか答えられないと思う・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・アキトさんって・・・タラークの人じゃないよね?・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「えっ!?」

 一瞬ディータが何を言っているのか分からなかった。
 しかしディータは続ける。

「あんまり覚えてないんだけど・・・・・ディータのドレッドとアキトさんのヴァンガードが合体
 したときに少しアキトさんの記憶の中に入ったような気がして・・・・・そのときに見えたよう
 な気がするの、さっきバーネットに言ってた時の様子が・・
 アキトさんがヴァンガードに似た青いロボットに乗ってて大きいロボットと戦ってる様子が・・・ タラークでもメジェールでもない何処か大きな星の上で・・・・それでアキトさん、怒りながら
 メグミって言う娘に言ってた・・・【これは僕たちの戦争なんだよ】って・・・・・」
 
「・・・・ディータちゃん・・・・・」
 
「あ、でも、そんなことあるわけないよね。ごめんねアキトさん、変なこと言っちゃって・・・」

 自分の言ったことが曖昧になってきたのか訂正して話を終わらせようとするディータ。
 しかしそれは曖昧なことではなかった。

「そうだよ、俺はタラークじゃないんだ・・・・・」

「えっ!?」

 今度はディータが驚く番であった。

「それにディータちゃんの言ったことも全部合ってる・・・・俺はタラークやメジェールとは
 違ったところから来たんだ・・・」

「それじゃあやっぱりアキトさんは宇宙人さんなの!?」

「厳密に言うと違う・・・・ディータちゃんは地球・・・テラっていう星を知っているかい?」

 ディータは宇宙についての記憶をまさぐってみるが何処にもその単語はなかった。

「ううん・・・・・知らない。」

「そうか・・・やっぱりそう言った教育になっているのか・・・・・・・・・・・
 地球って言うのはさっき話していた植民船が発進された最初の場所・・・・
 つまりタラークやメジェール、そして恐らく他の植民船が辿り着いた星に住む人の故郷なんだ。  俺はそこからやってきたんだよ。もっとも別世界の地球だけどね。」

「別世界!?ええ〜とアキトさんは私たちのご先祖様でそれで〜〜と!?」 

 どんどん衝撃的なことを話すアキトにすでにディータの頭の中はパニック状態である。

「ディータちゃん、落ち着いて。続きを話すけど良い?俺は元々この世界の人間じゃないんだ、
 俺はこの世界のイレギュラーなんだよ。」

「イレギュラー・・・・・」

「ああ、ディータちゃん・・・俺はボソンジャンプと呼ばれる一種の時空転移によって
 この世界に来てしまったんだ、遺跡に取り込まれながら・・・・・・・・」

 アキトが遺跡という単語を出した後それは突然に起こった。


「遺跡・・・・遺跡・遺跡・・うっ・い・・痛い!!あ・頭が・・・割れる・・痛いよっ!!」

 突然ディータが頭を抱えて苦しみ始め、意識を無くしたのである。
 それを見て駆け寄り、ディータの肩に触れたアキトにも異変が起きた。
 
 パァァァァァァァァァァッ

 突然自分の手の甲に着いているIFS が反応したと思うと突然意識が遠のいていった。

 


 そしてアキトが目を覚ますとそこは融合戦艦の中ではなくて何処かの町の中であった。

『此処は一体・・・・・・何が起こったって言うんだ・・・・』

 慌てて周りを見渡すと女性しか目に付かなかった・・・・いや、女性しかいなかったと
 表現すべきであろう。 

『まさか・・・此処はメジェールだというのか・・・・はっ、ディータちゃんは一体!?』

 意識がなくなる前に一緒にいたディータを探すが何処にもいない。

 それでも必死に探していると自分の後ろより明るい声が聞こえた。

「うわぁぁぁい!次はディータの鬼だよぉ!!!」

 振り向いているとそこには今よりかなり幼いディータが子供と遊んでいるのが見えた。

『あれはディータちゃん!!・・・此処はまさかディータちゃんの記憶の中なのか!?』

「その通りだよアキト・・・・此処はディータの記憶・・・・・・」

『ヒスイ!?』

「アキト・・・・今からアキトはディータの全てのトラウマを知る・・・・・・」



 そのころディータもまた自分の知らないところにいた。

『此処は・・・あのときの・・・・アキトさんの記憶の中!?』 

 場所こそ違うモノの一度経験しているので雰囲気で分かった。

『・・うぅ〜ん、思いだしてきた。あのときはアキトさんがあの大きなロボットと戦ったところで
 終わったんだった、で、確か此処はナデシコって言う戦艦の中で・・・・・』 

 そこまで思いだしたところで、思考回路を中断しておいた。いや、しざるを得なかった。
 いきなり音波兵器級の声が聞こえてきたからである。

「アァーーーキィィーーーートォォォーーーーー!!!!!!」

 思わず耳をふさぐディータ、そして声のした方向に振り向く。そこには以前見た記憶の中にも
 必ず登場していた人・・ミスマル=ユリカがいた。

「ねぇねぇアキト〜ちょっと一緒に来て欲しいところがあるんだけどぉ〜〜〜」

「ちょっと待てユリカ!!今スープを作ってるのが見えないのか!?」

「そんなんどうだっていいから来てよアキト。」

 そう言ってアキトを引きずっていくユリカ、そんな光景を見て何処か不機嫌になるディータ。

 しかし不機嫌になってばかりもいられないので後をついていく。

 そしてその後に見えた光景はメジェール出身のディータにとって珍しいモノばかりであった。

 男と女が共存する世界、それが普通だと言うことがこの艦を見ていると分かるような気がする。 

 共に食事をし、共に遊び、そして笑っている。

「ウリバタケさん!!また隠しカメラ設置したわね!!」「な、何の事やら(汗)」「殺」

 今、何か聞こえた気がするが意識的に排除(笑)

 でも、一つだけ分からないことがあった。

 アキトである。此処にいるアキトは自分の知っているアキトではないように思える。

 何というか・・・・このアキトは自分と同じくらいであると思えるのだ。(精神年齢が)
 そう思っているとディータの周りの空間が歪み別の景色が現れる。

「九十九さん」「ミ・・・ミナトさん!!」

 この人達もディータは知っていた。男性の方は以前アキトさんと戦っていた人であって
 女性の方は確かナデシコの操舵士だったはずだ。

『戦っていたのに・・・・そっか仲直りしたんだ!!復讐なんていけないもんね!』

 戦っていた原因はディータも記憶を見ていれば分かった。しかし蜥蜴戦争は復讐のためだという
 部分だけだったが・・・・・・

 その後何故かゲキガン祭の部分は省略無しであった。

「うおおおぉぉぉぉ!!!!ゲキガン・フレアァーーーッ」「ジョー、しっかりしろジョー」

『うっ、うっ、ジョーが〜ジョーが〜死んじゃったよ〜〜』

 あ〜あ〜・・・・・ハマっちゃったよディータちゃんっと。

 そして調印式の場にて・・・・・・

「この文書の撤回をお願いします!!」」

「理由を述べろ、白鳥少佐。」

「彼らもまたゲキ・ガンガーを愛している。それが理由です!
 私は此処に来る前、彼らと共に改めて【ゲキ・ガンガー】を見ました。素晴らしいアニメです。
 友情、努力、勝利、そして愛。人として大切なものが、あの作品には込められている。
 彼らもそれに気付いたからこそ和平を求めてきたのです!!」


「正義は・・・・・正義は一つのはずです!!!」

「そうだ。君の言うとおり、正義は一つだ。」

 バンッ

 そのときディータには何が起きたか分からなかった・・・・突然襖が光ったと思ったら九十九が
 倒れたのである。

 そして悲鳴の後、ディータは人が撃たれたのだと分かった。

『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!』

「どうして撃ったんですか!?仲間なのに!」

「悪の帝国は正義によって滅ぼされる。
 それが、ゲキ・ガンガーの結末でもある。
 悪の帝国は滅びて当然!!
 それが、あの作品に貫かれていたテーマだ。
 即ち!我々を弾圧し木星に追いやった地球は滅んで当然!!」


 そしてまた景色は変わる。

 ピーーーーーーーーーーーーーー 

「いやぁ白鳥さん!!白鳥さん!!」「お兄ちゃん!!」

 ディータには信じられなかった・・・どうして同じ人間なのにこんな事が出来るのか。

 そして更に景色が変わる。

 モニターの前で一人の女性が話していた。確かイネス・フレサンジュと言う人だ。

「今から十数年前、ネルガルは火星極冠に遺跡を開いたの、その地下に埋まっていたのがいま
 みんなが見ている遺跡。この遺跡・・・・・・・・・・・・・・」

 遺跡・・・・その言葉には聞き覚えがあった。そう、自分の知っているアキトさんが言った言葉
 である。一体それがどうしたというのか?

「・・・・・・・・ではなかったわ。遺跡は、今なお稼働していたの。しかも、その遺跡は
 チューリップから物体が出現する瞬間、あるいはボソン・ジャンプと言われる現象が起こる瞬間、 活発化していたの。」


「その遺跡を解明、独占すれば、将来くるであろうボソンジャンプ大航海時代に、関連の利益を
 独占できる。そう考えたネルガルは、極冠遺跡の存在を秘匿し、密かに研究を始めた。
 ナデシコで使われている相転移エンジンやディストーションフィールドなどの技術は、
 その遺跡を研究して得られたモノなの。このナデシコ・・・・・・・・・」

 そして別のモニターが開く。そこに移っていたのはエリナ=キンジョウ=ウォンと言ったはずだ。

「ネルガルが遺跡を独占すれば、戦争終結への目途も立つわ。遺跡を占有することは地球側が
 一方的にボソンジャンプが使える。そうなれば地球はこの戦いに勝つことが出来るわ!!」

 それを聞いたときどうして蜥蜴戦争が起きたのかという本当の意味が分かってしまった。 

 ようはただ利益を求めるためだけに始まり、今もそれが続いているのである。

『お金のためだけにいっぱい人が・・・・どうして、どうして・・・・・』

 再び景色は無情にも変わる。

 ディータは赤い大地の上に浮いていた。火星である。

 まだショックがおさまらないディータが見た者は仲間と戦っているアキトの姿であった。
 アキトと戦っているのはアカツキである、どうして戦っているかは分かるであろう。

「どんな人間にも立場があるように、それぞれの正義をもっているものさ。
 だから戦争も起こる。・・・・・・・・・・」

 その言葉を聞いたときディータは思わず叫んでいた。

『そんな正義や立場なんて言う自分勝手なもので関係ない人達まで殺しちゃうの!?
 何でそんなことが出来るの!?』


 しかし当然の事ながら返事は帰ってこない。そうしているとアキト機が被弾して墜落していくの
 が見えた。それをしとめようとアカツキ機が近寄り、武器を構えて・・・・・・

『アキトさん!!』

 しかし予想したことは起きなかった。アキト機が虹色の光を出して消えたからである。 
 そう、ボソンジャンプをしたのである。

 安堵と共にまた景色が変わる、今度は何処か早く、まるでパラパラ漫画みたいに流れていった。

 その後の木蓮艦隊の到着、カキツバタの撃沈、遺跡の最下層への退避、そしてナデシコを
 爆破して終わらせようとユリカが言い、少女・・ホシノ=ルリがそれを止めて、イネスが
 遺跡ごと跳ばしてしまおうといった意見が出るまでそれは続いた。

 そして遺跡を跳ばすと言うところでディータは思った。

『そっか、この後アキトさんだけ遺跡に取り込まれてしまっちゃったんだ』・・・と

 現実は違っていた。その後アキトとユリカのキスによって遺跡とナデシコのみが跳んだ。
 しかしアキトには何の異常も起こっていない・・・・ディータが不思議に思っていると
 再び目の前の景色が変わった。

 その後映った景色はまさに平和そのものだった。アキトとユリカ、そしてルリが三人で平和に
 暮らしていた。たまにナデシコクルーが尋ねてきてハプニングを起こす、平和だった。
 平和すぎて何処にも遺跡なんて言うモノが関わってこない・・・・・・

『何で・・アキトさんは遺跡に取り込まれたから私たちの所に来たって言ってたのにどうして・・
 ・・・・』

 再びパラパラ漫画のように景色が変わっていく。

 屋台の出店、アキトのプロポーズ、ラーメン一本勝負、そして結婚式。

 結婚式に舞台が移ったときディータは胸が痛く感じた。メジェールには女性しかいないとはいえ
 結婚という定義はある。そしてその結婚をアキトが今しようとしているのだ。

 自分の声が聞こえないのを忘れて間に割り込もうとする、しかしそれより早く景色が変わった。

「ねぇアキト、新婚旅行は火星だけど・・・・お金足りたの?」

「(ぎくっ)いや実はネルガル負担にしてもらって・・・・・」

 そんな光景をディータが呆然と何も言えなくみていると突然に災難はやってきた・・・・・

シャリィィィィィィィィン

 突然に錫杖の音がした。ディータがその音の方向を向くとそこには編み笠をかぶった男達がいた。

「な・・・・何アレ!?」

 周りの人は何かのイベントだと思っているようである。しかしシャトルアナウンサーの女性が
 何事だとばかりに男達を詰問しようと前に出ている。これもイベントかな〜と思っていたときに
 いきなり何かが降ってきた。

 グチャ・・・ゴロゴロゴロゴロ

 それはシャトルアナウンサーの生首であった。男がはね飛ばしたのである。

 狭い機内に悲鳴がわき起こる。次々に他の乗客も殺されていく。

「ふん・・・・女ごときが我の邪魔をするでない・・・・・・・・・・」

 ディータは見てしまった。その男の顔を・・・爬虫類じみた顔を・・・

『い・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!』

 その男はアキト達が座っている席まで近づいていく。ディータが逃げてと言おうとしても震えて
 声が出ない。

 銃を向けているアキトとユリカに向けて男が話しかける。

「汝らがテンカワ=アキトとミスマル=ユリカだな。汝らは我がラボにて跳躍の栄光ある礎に
 なってもらう・・・・・」

「くるな!撃つぞ!!」

「愚か者が・・・・・」

 そう言ってアキトの肩の骨を砕く、そして当て身を喰らわせて気絶させる。
 ユリカもまた同じようにして気絶させられた。

 そして景色が変わる。再びパラパラと・・・・・・・・・

 火星の後継者のラボにて時間刻みに死んでいく人、人、人、体を切り刻まれ、手足をもがれ、
 次々に薬が投じられ体が悲鳴を上げ、そして絶命していく。
 泣き叫び、許しを請う、しかし実験は止まらない。
 ディータがいくら目を閉じ耳を塞いでもそれはしっかりと網膜に焼き付き悲鳴は聞こえてくる。

『こんな・・・・こんなのも・・アキトさんの記憶なの・・・どうして・・・どうして・・・』

 声を震わせながら自分が狂ってしまわないように必死に声を出すディータ。
 すると自分の知っている人の悲鳴が聞こえてきた。

「くそぅっ何で貴様らはこんな事をするんだ!」

“煩いなぁもう少しナノマシン入れちゃおっと”

プスッ


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

『ア、アキトさん、嫌だよ、嫌だよ』

 そして次にめくれたところは何処かの台の上であった。横にオブジェのようなものがある。

 死んだようなアキトがベッドに寝かされている。

“おい、いい加減死んでるんじゃないのか?”

“ま、流石にもう弄くるところは無いね。
 そう言えば奥さんに会いたがってたな。
 最後に一目会わせてあげてから、いつものように処理しておいてよ。
 これまで研究の手助けをしてくれた、優秀な人材だからね。
 それくらいのご褒美はあげないと。
 僕って優しいよね。”

 その言葉と共にディータの横にあったオブジェのようなものが光る。
 そして中から現れたのは遺跡と融合したユリカ。

 ディータはそれでも自分を保っていた。以前ナデシコクルーもこれを体感したのだがそれに
 耐えきれないものが殆どであった。何故ディータが耐えられるのか?





 それはディータもまた心に大きな傷をもっているからである。






 アキトはヒスイと共にディータの記憶の中を彷徨っていた。
 ディータはアキトの記憶を映画のように見るだけなのだがアキトの方はヒスイがいるので
 自由に記憶から記憶に飛べるのである。

 ・・・・まぁ、そのおかげでディータの入浴シーンを跳ばすことが出来たのだが・・・・(笑)

 そしてアキトの方はディータの最も大きなトラウマの原因になるところまで来た。

 その日はディータ達にとっていつもと変わらぬような始まりだった。
 いつもと変わらぬ空気、いつもと変わらぬ人達、いつもと変わらぬ笑顔。
 しかしこの三つが変わるとはその日、誰が予想できたであろうか?

 
 ディータはショッピング街を歩いていた。その足取りは軽く歌まで歌いそうなほどであった。
 その理由は簡単、お小遣いをもらったからである。
 たかが小遣い、されど小遣い。
 両親が亡くなってからずっと孤児院暮らしだったディータにとって年に一度の小遣い日だったので ある、喜ぶのも当然である。

『ヒスイ、この後にそれは起きるんだね・・・・・・・・』

「うん・・・・・・・・」



「あ〜〜〜〜あったあった!!対外気圧、対真空、対衝撃、対光化学兵器用の宇宙服!!
 欲しかったんだ〜〜〜〜〜〜」

 普通の年頃の女の子だったら見向きもしないものに歓声をとばすディータ。

「すっご〜〜い!!酸素がこの一着だけで丸一週間ももって中にその分だけの携帯食料に水まで
 ついてるんだ〜〜〜何でこんなにすごいのに99・9%オフなんだろう?」

 誰もそんなん買わないからよ・・・周りからの突っ込みは聞こえたであろうか?

 そして目当てのものを買って着ながら帰るという普通の服だったら誰でもやりそうなことを
 宇宙服で実践するディータ。

 周りの視線がきついのは気のせいと言うことにしておこう・・・・・・・・

  しかしその行動がディータの命を救った。

                 プツッ

       突然に今さっきまでディータがいた店の電気が消えた。

    プツップツプツプツプツプツプツプツプツプツプツプツプツプツプツ

 いや、その店だけじゃない、艦のディータ達が住んでいるDブロック全ての電気が消えている。

      ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!

 遠くから大きなシャッターの閉まるような音が聞こえてくる。

         その音の意味するものを知った一人が叫んだ。


     「もしかして、私たちのブロックは切り離されたの!!!???」

             その一言が引き金になった。
 
   次々に光を求める人、人、人、押されて倒れたまま動かなくなっている人、
   狂ったように喚いている人、誰かが手にした光を奪おうと暴動を起こす人。

      その光景は今までディータの見たことのないモノであった。
       しかしそれはすぐに彼女にも降りかかっていった。

“この娘宇宙服着てる・・・ずるい・・・一人だけ助かろうとしている・・”“本当だ・・”

     “私も欲しい”“欲しい”“奪っちゃえばいいじゃん”

   “““““““““奪え奪え奪え奪え奪え奪え奪え奪え””””””””””

 そう言ってディータの周りを囲む人々。未知の恐怖に晒されるディータ。

「い・・・・嫌・・・・・・・」

 そして一斉に飛びかかろうとして・・・・・・・出来なかった・・・・・・・・

“ク・・・・苦しい・・・・”“く・・・空気がもう無くなったっていうの・・・・”
“嫌だよ・・・まだしたいこといっぱいあるのに”“酸素を・・・酸素を・・・・”

 そう、切り離すときにブロックに搭載していたスペア酸素と空気清浄機は取り外されていたために 急激に酸素不足になったのである。
 そして最後まで気付かなかったであろう・・・・かわりに毒物が流出されていたのを・・・・

 次々に酸素不足、そして毒によって絶命していく人達、少し前までは元気だった人達が
 今は物言わぬ死体となっているのである。
 
「嫌・・・・みんなが悲しいままで・・・・嫌だよ・・・・・」
 
 ディータはもし自分が宇宙服を着ていなかったらと思うと背筋に寒気が走った。
 そして目の前で果てていった人達を見て泣いていた。
 このことは彼女の心に消えない傷を作った。


『これが・・・・ディータちゃんの言っていた星から捨てられると言うことなのか・・・・・・』

 アキトが呟く。それと共に視界がブラックアウトして何処か大きな空間の中に行く。

「この後四日後にディータはお頭に助けられる・・・・幸いなことに何処にも異常は見つから
 なかった。だけど・・・・・心に大きな傷を負った」


『ヒスイ、ディータちゃんのあの明るい態度はひょっとして・・・・・・・』

「うん、多分そのトラウマの反動だと思う・・・・・・」

『そんな、この記憶をどうにかすることは出来ないのか!?』

 アキトがヒスイに問う、すると予想もしなかった返事が返ってきた。

「出来るけど・・・・・・そうしたら今アキトの記憶の中にいるディータは耐えられないと思う・
 ・・・この記憶のおかげで耐えているから・・・・・」


『ちょっと待てヒスイ、もしかして今ディータちゃんは俺の記憶の中にいるのか?
 そして俺の記憶を見てしまっているのか!?あれは普通の人には耐えられない、発狂しても
 おかしくないんだぞ!!今何処まで見ているんだ!?』

 すごい剣幕で詰め寄るアキト、しかし冷静に返すヒスイ。

「アキトの五感が無くなったところまで・・・・・・・・」

『クッ!!と言うことはもう既に北辰や山崎、草壁を見てしまっているのか・・・・
 いや、まだ間に合うはずだ。ヒスイ!!今ディータちゃんのいるところまで行けるか!?』

「うん、行けるけど・・・・行かなくてもディータなら大丈夫・・・・・・・」

『大丈夫だって!?あれに耐えるのは・・・・』

 ディータちゃんでは無理だと続けようとしたがヒスイが口を挟んだ。 

「説明していなかったけど・・・・・今日の戦闘の時にアキトのヴァンガードとディータの
 ドレッドが合体したことを覚えてると思う・・・・あれは私がやったのではなくてアキトと
 ディータが自分からやったんだよ・・・・・・・・」


『そんなことを今言ってる場合じゃ!!』

「聞いて!!あのとき、アキトは消えたくない、守りたいって思っていた。
 そしてディータは失いたくない、無くしたくないって思っていた。
 消えそうだったアキトの意識、それをつなぎ止めようとするディータの意識
 その二つの意識は一つの思いに変わった・・・・・・・・」


『それがあのクリスタルの巨人だというのか・・・・・』

「そう、だけどあの合体は選ばれた人・・・・可能性を秘めた人にしかできない・・・
 お互いを受け入れあえる人達にしか・・・・・・・・・・・」


『互いを・・・・・受け入れあえる・・・・・』

「アキトは気付いてないかもしれないけど先程見たディータの記憶、あれも殆どの人は受け入れ
 ない記憶。だけどアキトはディータのトラウマを受け入れられた。
 ・・・耐えたのでは無くてアキトはディータを受け入れたの・・・
 そして今ディータもアキトの記憶を耐えるのではなく受け入れていっている。
 それが出来ない人にはそもそも私の中に入ることが出来ないのだから・・・・・・・
 だから信じてあげて・・・・ディータは自分を受け入れてくれると・・・・・・・・」


 自分を受け入れてくれる。その言葉はアキトにとってずっと求めていた言葉である。
 黒の王子様となって大量虐殺を行い、愛する人達から遠ざかっていった。
 しかし本当は求めていた。心から休める場所を・・・・・・・・
 逆行した後もずっと他人からは一歩離れて接してきていた。知られるのが怖かったから。
 知られて自分を恐れるのが怖かったから。
 自分の過去を知られてもそれは続いた。根本的にそれは受け入れたのではなく耐えきったと
 言うだけなのだから・・・・・・
 しかし今この世界で出会った女の子は自分を受けいられるという・・・・・・

『本当に・・・・・大丈夫なんだな?』

「うん。」




 そのディータはと言うと・・・・・・

 闇の王子様の記憶を見ていた。月臣との訓練、ブラックサレナとの出会い、ラピスの救出、
 ターミナルコロニー連続襲撃、その全てを見ていた・・・・・・・・・・

 それは本来正視に耐えることの出来ないようなモノばかりであった、普通ならば絶対にアキトに
 対して恐怖、または嫌悪感を覚えるであろう。

 しかし、ディータは違っていた、完全に冷酷になったと思えるアキトにも所々でアキトの持つ
 本来の優しさが見え隠れしていたからである。

 愛する者を助けるために血反吐を流しながら訓練し、自分の体のぎりぎりまで酷使して
 ブラックサレナの調整をし、本来見捨てても良かったはずのラピスを救出していた。

 それにターミナル連続襲撃でも実質アキトは必要最低限の人間しか殺していない・・・・・
 その後のコロニー爆破は証拠隠滅のために北辰がやったモノである。

 そしてその優しさはある場面でひとしお輝いて見えた。

「私、こんな物もらえません。それはアキトさんがユリカさんを取り戻したときに必要な物です」

 自分と同じくらいかそれとも下かというぐらいに成長したルリがアキトに言う。

「もう必要ないんだ。」

「・・・・・・・・・」

「君の知っているテンカワ=アキトは死んだ・・・・・・
 彼の生きた証、受け取って欲しい。」

「それ、カッコつけてます。」

「違うんだよルリちゃん。」

「・・・・・・・・・・・」

「奴らの実験で頭ン中掻き回されてね。それからなんだよ・・・・・・・」

 そう言ってバイザーを外すアキト

『「!!」』

 ディータは知っているのだが、それを見せると言うことに驚いていた。
 決して他の人には見せようとしなかったモノを敢えて突き放すために見せているのだ。

「特に味覚がね、ダメなんだよ・・・・感情が高ぶるとボーッと光るのさ、漫画だろ?
 もう君にラーメンを作ってあげることは出来ない・・・・・・・」

「・・・・・・!!!!!」

 それを見たときディータは完全に分かった、どんな姿をしていてもこの人はまだ会ってから
 一日も経っていないけど私の知っているアキトさんだと。
 しかし、まだ何処かが違う・・・上手く言い表せないが違うのだ・・・・・・

 その後火星極冠にて火星の後継者を滅ぼし、北辰を倒し、そして・・・・・・・・・・・・・

「・・・俺とユリカの道が交わることはもうあり得ない。
 そうルリ、君と同じ道を歩むこともない。
 もし、全てが・・・・
 よそう、それは言っても仕方が無い事だ。」


「よし、ジャンプ先は・・・・・・」


「させません!!」

ドガッッッンン!!!!!

「くっ!!何が起こったんだ!?」

 そのときディータが状況に似合わない間抜けな声を出した。

『ア・・・・・アンカ〜〜〜〜〜!?』

 アキトの記憶を見る限りでは冷静沈着だったルリがいきなりジャンプフィールドを形成している
 ユーチャリスにアンカーをぶち込んだのである。
 驚くなという方が無理であろう。

 そして・・・・・・・・

ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!

 今までにアキトの記憶を覗いてきたディータにも信じられない光景が映った。

『そ・・・そんな・・・過去に戻ってる・・・・』 

 そう、逆行したアキトがそこに映っていた。

 再び景色がパラパラとめくれる・・・・・かなり早く

 再びナデシコへの乗船、逆行したルリとの出会い、前回助けられなかった人の救出、
 新たなる力DFS、そして前回の歴史とどんどん違っていった。
 テニシアン島でのヤガミ=ナオとの出会い、西欧への出向、
 そこであった悲劇、そして新たな仲間、ブラックサレナの製造、再び九十九との戦い
 婚姻届もった女性達に追われるアキト(笑)・・・まぁそれは排除しといて・・
 北辰との再会、優華部隊との出会い、そして最強のライバル北斗
 ブローディアの誕生、ムネタケ提督の再びの死亡、ゴートが狂ったこと(笑)
 一番星コンテスト、ブーステッドマンの来襲、コロニー落としetc・・・・

 パラパラと流れていく景色を見てディータは思った。
 どんどん自分の知っているアキトさんになっていっていると。

 特にこの牛に乗ったおばちゃん(メグミの母)に追っかけられてるところとかもう完璧(笑)
 
 舞台は終焉へと・・・・・・・・

 大量の無人兵器を束ねる木蓮との決戦、六連の撃破、極冠でのブースッテドマンとの決着

 そして再び遺跡をどうにかしようとしたアキトが行ったところでそれは起きた。 

『「アキト(さん)!!」』

 ブローディアが遺跡に取り込まれた。そしてそのままでのボソンジャンプ。
 アキトを救おうとする人を危険だからと言う理由で払い、そして・・・・・

「アキト!!
 また皆を置いていくの!!
 あの火星の後継者との戦いで、私とルリちゃんを置いていったみたいに!!」

「ユリカ!!俺が何時、諦めると行った!!
 皆は地球に帰るべき場所がある、だからこそ俺は一人で消える!!
 それでも!!」

 にっこりと笑った後、

「俺が帰るべき場所は・・・ナデシコだ!!
 
 皆が揃っているナデシコだ!!

 何処に跳ばされようと、俺は絶対に帰って来る!!

 例え、遙かな距離だろうと、時を越えてもーーー」  


 
 パシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!! 



 そしてまた移り変わり、そこにはイカズチの資料室があった・・・・・・

『そっか、そういうことだったんだ・・・・・・・・良し、決めた!!』

 何かを意気込むと共に目の前が真っ白になっていく・・・・・・・・



「う・・・・うぅぅぅぅぅん。此処は・・・・ディータの部屋?・・そっか戻ったのか」

 見ると自分の目の前にはアキトがいた。少し躊躇いながら声をかけてきた。

「・・・その・・・ディータちゃん、俺の記憶・・・見られちゃったよね・・・・・・
 俺がコロニーを連続襲撃してた事とか、はは、やっぱり俺のこと怖いかな・・・・
 ごめん・・・・やっぱり此処には俺の居場所はないようだし・・・・・・・・」

 そう言って出ていこうとしようとしている。しかし・・・・・・・・・

ゲキガン・パ〜〜〜ンチ!!!!」倒れたところで「超・熱血切り!!

 バキィッ  ズバシイィッ

「ぐはっ!!!」

 ディータの鉄拳+居合い切りによって止められた。(ご愁傷様)

「アキトさん!!今日は絶対にディータと一緒に寝る約束でしょ。なのにどうして出ていこうと
 するの!?今度はゲキガン・フレアしちゃうぞっ!!」

「あいたたたた・・・・ディ、ディータちゃん、俺のことが・・・・その・・怖くないのかい?」

「そんなの理由にならないもん、今日はディータと一緒に寝るの!!それにディータの記憶だって
 覗いたんだからおあいこでしょ。」

「でも、俺は・・・・・・」

「確かに、草壁や北辰、山崎って言う悪いのは怖いよ。だけどアキトさんはアキトさんだよ。
 ラピスちゃんを助けたり、メティちゃんのために涙を流したり、アキトさんだって確かに
 今とは違って冷たい格好してた時だってあったよ、だけど・・・・だけど・・・・・・」

「ディータちゃん・・・・・・」

「だけど、全部ひっくるめて私が好きなアキトさんなの!!だから、いいの。ね?」

 このとき完全にディータはアキトのことを受け入れていた。そのうえでアキトに対して
 好感以上の感情を抱いていた。

 そしてそれに気付いた(前半のみ)アキトはディータに心から礼を言った。


「・・・・ありがとう・・・・本当にありがとう・・・・・・」

「ほらほらアキトさん、もう遅いから寝ようよ。
 明日はアキトさんに艦を案内してあげるんだから!!
 そうだ!!お料理好きなんだったらカフェ:トラペザに行ってみようよ、
 きっとみんな大歓迎で迎えてくれるよ。」

 そうして今度こそ長い一日が終わろうとしていた。
 アキトが床で寝ると言ったのをディータが強制的にベッドに連れ込んだのは言うまでもない・・・
 何か言われる前に注釈して置くがその日は一切二人に何もなかった。
(ディータとアキトは布団に入ってから幾ばくも立たない内に睡魔にやられた)


 それから約八時間後・・・・・・


「ふわぁぁぁぁぁ、よく寝た〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。ア、アキトさんおはようぅ〜」(ニコ)

「あ、あぁディータちゃんおはよう・・・・・(ム・・・胸元が・・・・)」(ドキドキ)

 実に分かり易い起床である。

 ディータはあの後寝てから朝までぐっすり熟睡だったのだが・・・・・・・・・・

 アキトの方はと言うとそれより二時間ほど前に早く起きてしまったためにディータが起きるまで
 理性との葛藤をしていたのである(笑)
 早起きとはやはり料理人である。

 しかし・・・・アキトにも誤算があった

 ディータが起きてからが勝負だったのである・・・・・・なぜなら・・・・・・・

「うわぁぁい!!アキトさんと一緒に寝ちゃったんだ!!ディータ感激ぃぃぃっ!!!」

ダキッ ムニュッ

「ディ、ディータちゃムグッ!?」

 起床一発いきなり抱きつくディータ、平行世界の彼女を知っている者なら(漫画版)分かると
 思うが、抱きつくのは一種の彼女の愛情表現なのである。

 但し、今回のはアキトの顔を胸に埋めて抱いている・・・彼の理性は何処まで持つであろうか・・

 理性との葛藤・・・アキトはそれを約二時間続けて何とか煩悩に勝ったが
 第二ラウンドは勝てるであろうか・・・・・・

 私としてはまだ裏ページ向けのを書く気はないのでアキトの理性の勝ちとさせてもらう
       ・・・・・・・・・ご理解の程を・・・・・・・・・

 まぁ、その後もディータの生着替えショーなどもあったのだが、流石にそれは省かせてもらう。

 そうしてアキトは朝もはよから幸せな災難に悩まされたのであった・・・・・・


 しばらくして・・・・・・

「あ〜お腹すいたねぇアキトさん。そう言えば昨日のお昼からなんにも食べてないんだった、
 もうお腹ぺこぺこ。」

「えと・・・・俺はそう言えば火星極冠での決戦前にカグヤちゃんの作った
 おにぎり一個食べたきりか・・・・どうりで腹が減るわけだ・・・・・・・・」


 二人の意見が揃ったところで少し遅めの朝食・・・・イブニングランチを取りに行くことにした。

 そうしてトラペザに向かおうとしたら前方からバーネット、ジュラ、そしてメイアが歩いてきた。 よく見るとどことなく不機嫌そうである。

「あ〜〜〜リーダー達だ〜〜おはようございま〜す!!」
「やあ、おはよう。」


「ああ、ディータにアキト、おはよう。」

 声にも何処か覇気がない、それを不審に思ったアキトが尋ねてみる。

「メイアちゃん達一体どうしたの、元気がないみたいだけど。ひょっとして寝不足?」

 するとメイアのかわりにジュラが答えてきた。

「どうもこうもないわ・・・・朝ご飯食べようとしたらトラペザが閉まってたの・・・・・
 何でもペークシスが厨房内に浸食しちゃってるみたいで撤去するまで入れないって・・・
 ・・・・・・あ〜〜もうお腹減った〜〜〜〜・・バーネット〜貴女が頼りよ〜〜・・・」

 そのジュラの言葉にバーネットが続ける。

「それで仕方がないから今から調理室の方に向かうところなの、あそこは何とか難を逃れてるって
 聞いてるから。あ、でもとりあえずは食料庫の方に行かないと材料を揃えれないか・・・・・・
 ところで二人とも向かう方角を見るとトラペザに向かう途中だったようだけど、私たちと一緒に
 来る?ディータにも手伝ってもらいたいし。」(ジュラ様とリーダー料理できないし)

 それを聞いた二人はと言うト・・・・・・・・キラーン!あ、アキトの目が光った。 

「うん、それだったら俺も手伝うよ。俺も料理はそれなりに出来るし!!」(ウズウズ)

「アキトさんの料理か・・・・うん、そうしようか、食べてみたいし!!」(わくわく)

 かなりの勢いで賛成のようだ、事情を知らない三人は鳩が豆鉄砲喰らったような顔してるが・・・
 
           「「「アキトが料理!!!???」」」


 その後食料庫に向かい、食材をゲットした後・・・・・いざ厨房!!

 アキトは燃えていた・・・最後に包丁を触ったのはもう火星の決戦の五日前にレイナちゃん達の
 夜食を作ったとき以来である。

 その滾る思いはどうやらアキトの中のナノマシンカスタムにも届いたらしい、瞬時にアキトの
 手の中に包丁が形成される。

「作れる・・・・作れる・・・・料理が作れるんだ!!」(既に周りが見えてない)

 その様子を横目で見たディータがバーネットに声をかける。

(チョイチョイ)「ねぇバーネット・・・私たち、必要ないと思うよ・・・・」

「はあ!?それってアキトが全部作るって事?五人前って結構、量あるし
 それにアキトの料理のスキルも分からないのに・・・・・・・・・・」

「でも・・・・・あれ・・・・・・・・・・」(ピッ)

 ディータの指さす方向を見てバーネットは固まった。

 そこには本当に幸せそうに料理をしているアキトの姿があった。しかしそれならば
 別に構わないのだが問題なのはその手際だった。

「嘘・・・・・・!?」

 バーネットも多少は料理の腕には自信を持っている。
 その腕は他人からも賞賛されるほどで調理クルーから時々ヘルプが来るほどである。
 だが、今彼女が目にしている光景はそんなことを忘れそうな光景であった。

 人参が一瞬の間に切り刻まれ、触ってるところが見えないのに割れて、フライパンを片手で
 3〜4本操り、っつーかアキトの手が見えません〜〜〜(泣)

 愕然とその光景を見ていたら動きもそのままにアキトが声をかけてきた。

「バーネットちゃん、メニューを確認するけど主食はハムトースト、惣菜はツナサラダとオムレツ、 デザートがリンゴで、飲み物がカフェオレで良かったよね?
 あ、でも昨日から何も食べてないんだったらもうちょっと増やした方がいいかな。」

「う・・・うん、メニューはそれで合ってるけど・・・・すごいわねアキト・・・・・・」

 すごいとしか言いようのない、メニュー自体はシンプルなものの全く無駄のない動きである。

 しかも・・・・・・

「アキトさ〜〜ん!!デザートはリンゴも良いけど、此処にゴマとジャガイモがあるから
 ゴマ団子もできるよ〜〜!!これだったらお腹具合にもちょうど良いし。」

「よし、それだったらディータちゃん作り方は分かるよね。そっちは頼んだよ。」

「は〜〜い!!ディータ、頑張っちゃいます!!」(アキトさんが作ってたし)

 ディータ・・・・あんた何時の間にゴマ団子なんて言うメニュー覚えたのよ・・・・・・ 
 それにアキトの腕を信じてるみたいだし・・・・昨日一体何があったの?

 流石に異様すぎる光景なのでとりあえず同じく事情をつかめてないであろうメイアとジュラが
 座っている席に向かった。

 するとそこには・・・・・・・・

「アキトは料理が出来る・・・・ディータも料理が出来る・・・・だけど私には出来ない・・・・・ 私も覚えた方がいいのか・・いや、以前覚えようとして失敗した・・私には出来ないのか・クッ、 こんな事になるのであったら母さんの言うことを聞いておくべきだった!!」(悔)

「ばたんきゅ〜〜〜〜」

 自分は料理が出来るのかと言ったある意味哲学的なことを自問自答しているメイアと
 既に空腹の限界で倒れているジュラがそこにあった。

 それを見たバーネットは思った。

(どんなに異様でも関係ないか・・・私は料理は人並みに出来る、うん、それで十分じゃないか。
 ・・・・・こうなっている人達に比べたら・・・・・・・)

 ある意味悟りを開いてるバーネットにもアキトより声がかかった、とりあえず主食と惣菜は
 出来たから皿をもってきて欲しいというものだった。

「はいはい、このセット皿で良いかしら?」(私はこっち側の人間でいよう)

 こうして多少(著しく)、料理が出来る人と出来ない人の間に溝が入ったが料理は完成した。

「後はお団子に串を刺して・・・と、よし、かぁんせいぃ〜」

「アキト、お茶は私が入れとくから出来たもの運んでおいてくれる?」
 
「分かったよ、バーネットちゃん。」

 そうして食卓に着き、

「「「「「いただきます!!!!!」」」」」

 そのかけ声は既にどの世界も共通なのかと言ったことは突っ込まないで下さい。

 まぁ、それはともかく皆様にアキトの料理は好評のようだ。

 ディータは満面の笑顔でハムトーストをかじり、メイアは口に含んだ瞬間もう一度思考が
 ループに入ってしまったようである、何処か意識が上の空である、それでも食べてるけど(笑)  
 ジュラは・・・・・その、何というかすごい・・・・・・・

 人間腹が減ると周りが見えなくなると言うのは本当のようである。
 
 常日頃、「女の子はエレガントに」。
 
 この何処かの誰かが言った言葉を愛して実行している彼女であるが今回は実行していない。
 
 ・・・・っつーか今の彼女の場合フードバトルに出場しても優勝がねらえる。

 バーネットはそんなジュラを必死にして元に戻そうとしている。

「ジュラ様、はしたないですよ。もう少しゆっくりと・・・・・・・・」

「ガルルルル!!キシャーー!!」

 訂正・・・今の彼女の場合「遭遇!神秘の森で出会った獣女!?」の方が合ってる。

 アキトはそんな光景を見て微笑んでいる。何時の世も料理人は自分の料理を喜んで食べてもらう
 のが一番嬉しいものである。

 そうしていると匂いにつられたのか調理室に人が集まり始めてきた。

「うっわ〜〜すっごいいい匂い〜」「あ〜〜!!ちゃっかり自分達だけご飯食べてる〜」
「バーネット〜探したわ〜料理作るの手伝ってぇ」「おいしそう・・・ね、少し分けて?」
「調理クルーは一体何処に行ったのよ〜〜」

 おやおやとアキトが思っていると椅子の後ろから声をかけられた。

「アキトさん・・・おはようございます・・・・」

「やぁ、テンホウちゃんおはよう。どうしたの、ひょっとしてテンホウちゃんも
 朝ご飯食べてないの?」

「はい・・・・それでここに来たんですが・・・少し遅かったようですね・・・もう食べ終わり
 そうですね・・・・」(切なげに微笑み)

 ズキュゥゥゥゥゥゥン!! テンホウはアキトに会心の一撃を与えた。
 お腹が空いてても健気な微笑みを返す少女
 はっきり言って萌える。(アキトの場合は料理人として)

「・・・仕方有りません・・・非常固形食でも・・・・・・」

 そうして一礼して去ろうとした次の瞬間アキトががっしと両手をつかんできた。

「俺に任せて、テンホウちゃん。どんな料理だろうがすぐに作ってあげるから!!」

 一瞬驚いて顔を赤らめながらも思考を整理して聞き返す。

「へ・・・・?アキトさんが作るんですか?」

「あぁ、和・洋・中・ついでにお菓子までリクエストがあったら言ってね、テンホウちゃん
 ぐらいの子は食べ盛りなのにそんな非常食なんて食べてちゃ駄目だよ。それで何が食べたいの?」

 正直以外だった。自分の知識の中では男の食べ物はペレットという栄養重視の固形食品だけだと
 聞いていたけど今アキトは和・洋・中を作れると言っているのだ。

 そこまで考えたところで考えるのをやめた。そんな考えるのに無駄なエネルギー使うより
 今は食べるのが最優先だと思ったからである。

 少し何を頼もうかと迷った後・・・

「それでは・・・・今アキトさん達が食べてたのと一緒のものをもらえますか・・・」

 無難な方向に落ち着いた。それを聞いたアキトはすぐに出来るからそこに座って待っていてと
 言って厨房の方に消えた。

 そうして座って待つこと約五分ちょい、アキトが湯気の立ち上る皿をもってきた。

「はい、お待たせ。出来たばっかりで熱いと思うから気をつけて食べてね、あ、それと飲み物の方
 だけどカフェオレとコーヒー、それと紅茶が出来るけどどれがいい?」

「(いえ・・・全然待ってないんですけど・・・)・・・それでは紅茶をもらえますか・・
 本当にすみません・・・・こんなに色々してもらって・・・・」」(ペコリ)

 素直に礼を言うと、アキトが紅茶を入れながら返してきた。

「いやいや、いいって事だよ。俺が好きでやってることだし。」(ニコ)

 ひゅぅぅぅぅぅぅ ボムッ

 はい、本日一発目のテンちゃん花火があがりました。

「あれ、どうしたの?顔赤いけど、昨日も赤かったから風邪でもひいてるの?」(天然) 

「い、いえ(///)別に何でもありません・・・それではいただきます」(イソイソ)

パクッ モグモグ ゴクン

「あ・・・・美味しい。すごく美味しい・・・トラペザのモーニングセットより・・・」(驚嘆)

「本当!?良かった〜〜テンホウちゃんにそう言ってもらって良かったよ。
 勝手に押しつけて置いて不味かったらすごく俺としても嫌だし・・・・・・」(安堵)

 そうしてテンホウとしては純粋な喜び、アキトとしては料理人としての喜びを堪能していると
 アキトは突然背中に異様な気を感じた。

 そう、食欲という何よりも強い本能の気が・・・・・・・

「な・・・何か・・背中の辺りが寒いような・・・・・・」

 ・・・・・ギギッ・・ギギギギギ・・・・・・

 錆び付いた人形のようにゆっくりと振り向いてみるとそこには・・・・・・・・・・


「「「「「「「「「「「アキト(さん)、私にも作ってぇぇぇ!!!!」」」」」」」」」」」」
        
 既に食欲魔人と化した特殊技能に料理というスキルを持っていないクルーがそこに集団でいた。

 皆異常な目つきである。もしこの場に舞歌がいたならば全員優華部隊にスカウトするくらいの
 鬼気を出していた。修羅と化したクルーであった。

 十分後・・・・・・

「ディータちゃん、次二番席と四番席のオーダー取りに行って!バーネットちゃん、これとこれは
 一番席と廊下席整理券ナンバーEの人の所へお願い!!」

 調理室周辺・・・・半径三十Mは戦場と化していた。
 オーダーが飛び交い、ウェイトレス姿(レジクルーからリース)のディータとバーネットが
 行き交い、ドレッドリーダーとして威厳のあるメイアが騒ぐクルーをなだめるといった元旦の
 神社横にあるファミレス並である。
 ちなみにジュラは逃げた(ヲイ)

「はい、おまたせぇぇぇ!!」「うっわ〜おいしそう」「こっちまだぁ?」「今行くわよ!!」

 そんなことをしていたら、

「おやおや、こりゃすんごい状況になってるねぇ・・・いったい何の騒ぎだい?」

「うわ・・・・・(アキトのせいだなぁ)」

「これは一体・・・・・・」

「まったく何時の間に食堂が新しくできてたのかねぇ。」

 
 言ってることは立派だが周りと同じく腹が減って匂いに誘われて
 マグノ、ブザム、ガスコーニュの艦内三代幹部とマグノに連れられてきたヒスイが来た。

「あ〜!お頭〜いらっしゃいませ〜すぐに専用の席作りますねぇ〜」

「あ、あぁすまないなディータ。ところでおまえが此処にいると言うことは料理を作っているのは
 バーネットか?今調理クルーは全員厨房内での総チェックに当たっているのだが・・・・・・」

 そう言いながら新しく作られた席に腰掛けるブザム。しかし・・・・・

「それではオーダーを取りますが何がよろしいですか、一応大体のものは出来ると思いますが・・
 ・・・」

 そのバーネットがオーダーを取りに来た。フリフリのレジクルーオーダー着用で(萌)

「おやぁ?あれほど着るの渋ってたのに・・・・こういう時は着るのかい、バーネット?」

「ガスコさん、茶化さないで下さい!!それで御注文の程は!?」(照)

「ガスコじゃないよガスコーニュ!!・・・っと注文だったっけ、
 それじゃパエリア出来るかい?あ、もちろんサフランの花入ったやつね。」

 そこはかとなくホウメイさんを思い出させる会話もそこそこにブザムがバーネットに聞いた。

「ちょっと待てバーネット・・・・一体誰がそれを作ってくれるんだ?パルフェではないことを
 期待するぞ・・・以前ビストロマスターというモノで死にかけたからな・・・・・」

「あ、それはもちろん違いますよ。作ってるのはアキトですよ、流石にパルフェに作らせるような
 命知らずはこの艦にはいません・・・だから安心して下さい!!」

「「「何だってぇ!!!」」」

 いきなり大声なアルト声の三連唱によって耳を押さえるバーネット。

「痛たたた・・・・きゅ、急に大声を出さないで下さいよ。耳がキーンって・・・」

「そんなことはどうでもいい!!今アキトが作っていると言ったのか!?」

「え、えぇ・・・シェフ顔負けに美味しいんですが、どうかしたんですか副長?」

 まだ耳が痛いらしく耳を押さえながら問い返すバーネットに、ますます勢い込んで話すブザム。

「どうしたもこうしたもない!一体何故アキトが料理を作れるのだ!?タラークには料理という
 概念がないんだぞ!!!」

「あぁ、そいつはあたしも昨日知った。男の食料庫の中にびっしりと非常用固形食みたいなのが
 詰まってたよ。ドクターに聞いたところペレットって言って男の主食だそうだねぇ。」

 ガスコーニュの意見まで入って白熱している話の中でバーネットは思った。

(あぁ・・・・副長もガスコさんも料理作れないんだなぁ・・・・・・・・)と

 ちなみに正解である(笑)ついでにマグノも(爆笑)

 そんなことを思っているとヒスイから声がかかった。

「オーダーしてもいい?・・・バーネット・・・・・・」

「あ・・あぁごめんねヒスイちゃん。で、一体何にするの?何でも言ってね。」

 もし満願全席と言ってきたらどうするのだろぅと言った愚問はさておきヒスイが
 注文を口にする。それはアキトにとって特別な注文であった・・・・・・・・・

「・・・・・炒飯をお願いします・・・・・」

「はいはい、アキト〜!!ヒスイちゃんからのオーダーで炒飯入ったよ〜。え、何?待って?」

「・・・・・はい・・・その・・・・・(ぼそ)・・・大盛りで・・・・・」

「アキト〜!!やっぱその炒飯大盛りで〜〜!!で、お頭達も注文お願いします、後が
 詰まってるもんで。」

 その後とりあえずブザムがピラフ、マグノが朝粥(玉子つき)を注文することになった。


 そして十分後・・・・・・・・

 何処かからBGMが聞こえてきてもおかしくないほど見事な料理がテーブルの上に並んでいた。
 少なくとも調理クルーがしっぽ巻いて逃げ出す出来の。
 特に炒飯が力入っている。
 それを食している四人はと言うと・・・・・・

「BC、そのピラフも美味しそうじゃぁないか・・・少し分けてくれないかい?」

「お頭、この間ピラフは食べ飽きたとおっしゃられていませんでしたか?」

「そんな昔のことは忘れたよ。ところでガスコーニュのもまた絶品だねぇ少し・・・・」

「分けませんぜ、お頭。」

「お頭、私のを少し分けてあげる・・・・」

「おぉ、ヒスイ・・あんたはこんなひねくれた大人になるんじゃないよ。」(しみじみ)

「「お頭が言えた台詞ですか!!」」

 
 うん、問題なし(笑)


 ・・・・・・・・男が料理云々はもうどうでも良くなったらしい・・・・・・・・
 優秀なコックが一人増えた、うん、それで良いじゃないかという具合に落ち着いたらしい。
 
 結局その後何とかオーダーを全てさばききり、艦全体の空腹を満たし終えて皿洗いなどは
 有志が集ってしてくれることになってアキト達が調理室を出た頃には既に昼近くになっていた。

「うっわ〜もうお昼になっちゃったねぇ〜。おつかれさまアキトさん、それに皆も。」

「はは、朝食を食べに行ったはずなのに結局お昼になっちゃったね。とりあえず昼食はまた後と
 考えてこれから俺はどうしたらいいのかな?」

「と、とりあえず・・・・何処かで休みましょうよ・・・・私は流石に疲れたわ・・・」

「私もそれに賛成する・・・・あれだけのクルーを統率するのには骨が折れた・・・・・・」

 心労と過酷な肉体労働によってくたくたになっているメイア、バーネットと何・故・か
 汗一つ書いてないアキト、ディータの差がはっきり取れる一コマである。

 そして、アキトと艦内見学に行くことにしたディータと泣く泣く見送ることになった
 メイア、バーネットに分かれることになった。

「ハーイ!それじゃぁ今日は私ディータ・リーベライがアキトさんにこの艦を案内してあげま〜す! それじゃあ行こう、アキトさん!!!リーダーとバーネットまたね〜」

「ちょ、ちょっとディータちゃんそんなに腕をひっぱんなくても!!それじゃあ二人とも
 また後で!!」

 そう言い残して去っていった二人を見て残されたメイアはとりあえず同じく残された
 バーネットに話しかける。 

「なあ・・・・バーネット・・・」

「何?・・・リーダー・・・・・」

「あの二人は・・・・本当に我々以上の働きをしてたのか?」

「ええ・・・アキトはもとよりディータも私以上にオーダーに走ってたわ・・・・・・」

「・・・・そうか・・・・・・」

 こうしてある意味黄昏ている二人に気付かずにアキトとディータは艦の中、クルーが働いている
 場所の見学に行くことにしていた。

「それじゃあ、まずは一番近いエステクルーの見学に向かおうかアキトさん。」

「へぇ・・・エステが有るんだ・・ってちょっと待った!ディータちゃん・・一つ聞きたいことが
 有るんだけど・・・・・そこってもしかしてお風呂と一緒にあったりなんかする?」

 エステという単語を深読みして念のため尋ねてみるアキト。

「うん、もちろん!!それがどうかしたの?」(無邪気)

「ディータちゃん・・・俺の記憶を見たんだったら分かると思うけど・・・・本来女性の裸は気安く 男性は見ちゃ行けないの!!お互いの了承無しで!!」

「でもルリちゃんとかは自分からアキトさんに見せに行ってたけど、それはいいの?」

「いや、あの娘はある意味特別な娘で・・・頼むからあの娘を標準に思わないで・・・」(泣)

 その後アキトの懸命(必死?)の説得によってエステスタッフの職場見学はとりあえず保留と
 言った形になった。

 そして・・・・・・・

「「「「きゃ〜〜〜〜アキトさんスカート似合うわ〜〜このカチューシャも着けましょう」」」」

「今更だけど、仕事をするときにコスチュームまで変えなきゃいけないの!?」

 アキトが只今職場見学兼職場体験させてもらっているのは通称イベントスタッフと言われる
 部署である。

 この部署は呼んでの如く艦内のありとあらゆるイベントを取り仕切っている部署である。
 前話でガスコーニュが触れたとおり葬儀や結婚、つまりは冠婚葬祭関係もする。

 但し、そんな堅っ苦しいのばかりではない。正月、花見、クリスマス、果ては歓迎会・個人感覚
 の誕生会と言ったモノまで取り扱っているのである。 
 それで今は明日艦内で誕生日を迎えるのが三人いるというのでその準備をしていると
 言ったわけだ。

 そう、彼女たちは艦内の少ない娯楽の確保のために日々活動しているプロフェッショナルなので
 ある!!その凛々しさを見よ!!!

「「「「当然です!!ねぇ口紅誰かもってきて、アイラインも引かなきゃ!!」」」」

「スカートをはかせるのは成功したから・・・・次は上半身よ!うふふふふふふふ
 ディータ、アキトさん押さえて、さぁ脱がすわよ〜(はあと)」

「わぁぁぁ脱がさないでぇ〜〜〜」

 バサッパサパサ

「「男って胸無いのねぇ・・逞しくて素敵かも・・でもとりあえずパットもってきて!!」

「しかしこのスカートと言うことは・・・特注ですね!!(キラーン)」

「もっちろんよ〜〜!!着せ替えは女の浪漫よ〜〜〜〜!!!」

「班長!!胸のサイズはどうしますか、その指示を仰がないことには・・・・・」          
「Cカップのに決まってるでしょう!!フフフフ・・・・似合うわよ〜〜〜〜〜〜」

 訂正・・・・・・この人達自分の趣味でやっとるわ。誕生会の準備すっぽかしてる。

 阿鼻叫喚の時間が過ぎて(笑)・・・・・・・・・・・

「ふ〜〜、良し!これで完成だわ、ってやば・・・・すっごい綺麗。」

「うっわ〜〜アキトさん綺っ麗ぇ〜〜!!ディータびっくり!!!」

「ク・・・・・負けた。」

 そこに立っていたのは黒い王子様でも漆黒の戦神でもなかった・・・・・・・・・
 いわゆる・・・・・・・・・

 【メイド・オブ・ダークネス】、漆黒のメイドであった。(ポイントに白色がある)

 全体的に黒で出来ているメイド服、白いひらひらしたカチューシャ、膝丈下までしかない
 スカート、白いカフス、ウィッグを着けて長くした髪をアップのきつきつにして、
 トドメに黒いハイヒールのブーツが素晴らしくコケティッシュといった
 最強のメイドさんであった。

「ちょっと待って・・・今の俺の格好って?ッ!!何で声が高いんだ!?」

「ああ、それは首に着いている変声機のおかげ・・・・・(ぽー)」(惚)

 説明しようとしたクルーがすぐに赤くなる・・・・・此処はメジェールの艦、あくまで恋愛対象
 は女性なのだ。だから例え女装とはいえ見惚れるのは当然と言えることである。

「アキトさん、うん、すっご〜くよく似合うよ。トップモデルにだってなれるよ!!」 

「頼むから言わないで・・・・男としての何かが崩れそうだから(泣)」

 そして落胆しているアキトの横で必死にイベントクルーが物理・科学担当のクルーに連絡を
 取っていた。

「・・・・・で、それで何とかして男を女に出来ないかしら?なんとしてでも!!」

「そう言われても・・・・・男の体について知識はないし・・・・・・」

「それならこれを見なさい!!此処まで綺麗になれるのよ!!女にしなきゃ損よ!!」

ピッ ウィィィィィィン

「こ、これは・・・・・・・・・・(ぽーー)」

「・・・・どう?・・・・・」

「・・・・すぐこっちに連れてきて、調べるから・・・・。あ、もちろんその格好のままでね。」


 そしてその後イベントクルーの暗躍によって物理・科学クルーに連れていかれたアキトであった。


「ちょ、ちょっと待って下さい!!何で下を脱がそうとするんですか!?」

「もちろん生殖器の確認のためよ。男の生殖器は私たちとは違って何か管があるって聞いているから それの確認をするの、はい、皆で押さえて、科学のためよ(建前)」

「「「「「「は〜〜〜〜い!!!!」」」」」」

「ディ、ディータちゃんまで!?」

 その後何とか逃げ切って男についての資料提供と言った形に落ち着いた。

 結果としては遺伝子レベルで弄くれば子宮なども出来て完全に女になれるといったアキトに
 とってえらく不吉なモノだった。


「じゃあ次行ってみようかアキトさん・・・どうしたの?」

「(シクシク)だって、ディータちゃんまで・・・・俺のを・・・・」

「アキトさんのアレだったら記憶の中で何回も見てるから慣れっこだよ、でもアレってどうして
 大きくなったりするの?」(無邪気PartU)

「(シクシクシクシク)・・・・・・・」

 そんなこんなで続いて回ったのはクリーニングスタッフという部署であった。
 ・・・・・まぁいわゆる掃除・洗濯部署である。

 そこにて・・・・・・

「ちょっと待ったぁ!!何で俺の服が此処にあるの!?」

「え?さっきイベントクルーの人がもってきて丸一日コースで洗ってくれって
 言ってたからお洗濯してるんだけど・・・・それが何か?」

 イベントクルーの暗躍は密かに続いている・・・・このままで言ったらこの日一日は確実に
 この格好のままであろう。

「いや、洗濯はもう良いですからとりあえず乾かしてそれに着替えさせて・・・・」

 その事実に気がついたアキトが洗濯物に手を伸ばそうとする・・・・しかし・・・

「駄目です!!一度引き受けたお洗濯モノは何が有ろうと完璧に洗い上げる!!それが私たちの
 モットーです!!!ねぇみんな?」

「「「「「「「うんうん」」」」」」」」

「そ・・・そんなぁ」

 アキト君、この日一日メイドさん姿確定、そして艦内見学は続く・・・・

 広報部署にて・・・・・・

「「「「「「きゃ〜〜〜可っ愛いぃってゆ〜か綺麗〜〜〜〜!!!」」」」」」

「今日の特報は決まったわね!!」

 警備部署にて・・・・・・

「・・・・体験は良いんだが、本当に警備が務まるのか?・・・・安全を守るというか・・・・」

「「「「私たちが守りた〜〜〜〜〜い!!!!」」」」

 機関部署にて・・・・・・

「あ〜〜駄目駄目!!そんなに綺麗な格好をしているのにこんな所に来ちゃ!!あ、そういえば
 あたし自己紹介してなかったけどパルフェって言うのよろしくね!!」

「パルフェちゃん・・・・予備の制服あったら貸して欲しいんだけど・・・・・・・
 俺だって好きでこの格好してるわけじゃあないし・・・・・・」(切実)

「あ、それは無理。さっきクリーニングスタッフの人達が来て全部クリーニングに
 出しちゃったから。」(あっけらかん)

 医療部署にて・・・・・・

「この人が新しい男・・・・・女にしか見えないけどとりあえずパイチェック!!」

パシャリ!!

「パイウェイちゃん、頼むから・・写真取らないで・・・・・・」

 こういった具合に職場見学というか殆どアキトが見学される側になっていた。

「う〜〜〜ん、次どこ回ろうかアキトさん?」

「とりあえずこの格好から離れられる場所だったら何処でも良いよ・・・・・・・・ふっ」

 何かもう既に諦めが見えるアキトがそこにいた。流石にディータもそれを気の毒に思ったのか
 少し考えてからある部署を口に出した。

「体験するのに着替えなきゃいけない部署だったらレジクルーがあるけど・・・・・行ってみる?」

「行く!!絶対に行く!!!着替えられるんだったら〜〜〜〜〜」

 ・・・・てな訳でレジクルーの見学に行くことになった。

 此処でレジというモノの概念について説明しておこう。

 レジと呼ばれる場所は融合戦艦の最下層、つまりもとは海賊船だったエリアにある。

 この場所は入り口から一直線に伸びた通路に沿って両側に長いカウンターが設置されており、
 それぞれのカウンターには五つずつの入力システムがある。 
 そしてそれぞれの入力システムには、先程バーネットが着ていたウエイトレスのような
 コスチュームをまとったクルーが取り付いている。

 メジェールの主力兵器のドレッドは本来、コクピットと推進器のみの素体がベースとなっており、 用途に応じてビーム兵器、ミサイル等を換装できるのである。

 そのためレジは通常メイア達ドレッドのパイロットが出撃に際し、装備する兵器をオーダーする
 場所であった。その際、個々に持っているIDカードの登録されているポイントを使って装備を選ぶ 決まりとなって おり、更に自分の選んだ装備で手柄を立てるとポイントが増えると行った仕組み になっているのだ。

 念のためにもう一度言っておこう、ウエイトレスのような格好をしたクルーがである。

「良し、ここがレジクルーか、さあ、いざ!!」

 アキトが部屋の前に立つと自動なのでドアがスライスして開く。そしてそこには・・・・・・

「「「「「いらっしゃいませ〜〜〜〜〜〜!!ガスコ・ガールズで〜す!!!」」」」」

 意識が遠のいていくような光景がそこにあった。

「やったぁ、艦内を見学しているって本当だったのね!」

「うっわぁあ、メイドさんの格好すっごくよく似合うわ〜。」

「いっそのことヴァンガードにもコスチューム着せちゃおうか?」

「それすっごいいい案ね。ガスコさんに相談しよっか?」

「お姉様・・・・(ぽ〜)」

 五人組のウエイトレスの格好をした女の子達がいた。まるで・・・・・・

「ホ・・・・ホウメイ・ガールズ・・・・・?・・・な、何なんだここは」

「聞いての通りレジクルーさ、しかしなんだいそのホウメイ・ガールズとやらはさ?」

 半ば放心して呟いたアキトの背後から声がした。振り向いてみるとそこにはレジクルー店長、
 つまりは統括役のガスコーニュがそこに立っていた。

「あ、あぁガスコーニュさん気にしないで下さい。しかし此処がレジなんですか?」

「そう、仲間の出撃を笑顔で見送る。ここがレジさ、しっかし男ってのもすごいもんだねぇ。
 こりゃ力仕事だけじゃなくてカウンターも手伝ってもらおうかねえ。」

(あれ、そういやディータちゃんは?)

「よっしゃ、それじゃあとりあえず表仕事の方を手伝ってもらおうかね、それじゃあ、そこの奥に
 ある店長専用席の方に座っておくれ、仕事の説明をするから。」

 そう言ってアキトの背中を押してこうとする。

「ま、待って下さい、ディータちゃんからここに来たら着替えられるって聞いていたんですけど・
 ・・・・・・・」

 アキトがここに来た一番の理由を尋ねてみる、すると返答は、

「あぁ、(ぽん)あんたここの制服が着たかったのかい、いやぁそのメイド服があんまりにも
 似合ってたからさ、よし、それじゃぁ代えの制服を・・・・・・」

 そしてヒラヒラでフリフリな制服を出してくる。そう、つまりは着替えると言ってもこれに
 着替えるしかないのだ。 

 その事実に気付いたアキトが最後の望みを託して尋ねる。

「・・・・・・あの・・・・・もしよろしければ整備用のジーパンなどがあると大変に
 ありがたいのですが・・・・・・・」

「「「「「何言ってるんですか!!!そんなに可愛い、いえ、綺麗なのにそんな力仕事をさせて
     たまるもんですか!!!萌え萌えですよ!!!!」」」」」


 どうやら無理らしい・・・・今になってどうしてディータちゃんが此処にいないのか理由が
 分かった気がするアキトであった。

 そ・し・て (は・あ・と)

「はい、いらっしゃいませ!お客様どうぞこちらのカウンターまで。
 メニューはこの通りになっています。
 はい、ホーミングセットのBでございますね、ありがとうございます。
 お客様のドレッドの場合、予備のシリンダーとシールドもおすすめいたしますが。
 分かりました、オーダーに追加しておきます。
 それではポイントのカードの方をお願いいたします。はい、確かに。
 毎度ありがとうございました!またのご来店をお待ちしています、
 それでは行ってらっしゃいませ!」

「「「「「おおおおおおお〜〜〜〜〜完璧〜〜〜っっっっっ」」」」」

 アキトは接客訓練に取りかかっていた、職場体験を施行することになって初めて実際に
 体験しているのだが・・・・・・・・・・・・・

「ふっ・・・・・何で俺は一体この格好を・・・・・(泣)」

 そう言いながらも、元々ラーメンの屋台をしていたこともあって基本の指導を一通りした後
 接客訓練を行ってみたところ完璧にこなしてしまっている。

「ほらほら、あんたはメジェールになりきってるんだから俺じゃなくて私だろ。」

「ガスコーニュさん、それは流石に勘弁して下さい・・・・」

「駄〜目!!これは義務なんだからさ、そうだろ皆?」

「「「「「もちろんです!!!!」」」」」

「あうぅぅぅぅ(泣)」


フィィィィィィン フィィィィィィィィン


 そんなことを続けていたら突然艦内全域に警報が鳴り響いた。
 少し置いた後ベルヴェデールの声が聞こえてくる。

「全館に第一級警戒態勢発動、繰り返す、全館に第一級警戒耐性発動。
 本館の進路上約距離3800の位置にピロシキ並びにキューブタイプを確認。
 既に敵はキューブタイプの展開などから我々を攻撃目標にしていると思われる。
 ドレッドチームは・・・と、ドレッドチーム並びにアキトはこれの迎撃にあたって下さい。
 後・・・捕虜!!呼びたくないけどお頭命令!!来なさい!!」

 それを聞いてアキトが格納庫の方へ向かおうとする・・・・・が・・・・・・

「おおっと、ちょっと待ったアキト、まだあんたは一応レジクルー見習いなんだよ。せめて皆の
 オーダーくらい取ってから出撃しな♪大丈夫、家の娘達は強いから。」

 ガスコーニュによってふさがれた。

「し、しかし・・・・・・・・」

「はいはい、しかしもかかしも無いんだよ、ほ〜らお客様が団体でお到着だよ!!」

シュィィィィィィィン

 ガスコーニュの言葉を待っていたかのように、アキトの向かうはずだった入り口から、
 リーダーのメイアを始めとするドレッドのパイロット達が次々とレジへ流れ込んできた。

 そして各々がカウンターに行き己の装備を調えるのだが・・・・・・・・

「あ・・・アキトなのか?」「うわぁ、綺麗・・・・」「むむむ・・・・ジュラの方が・・・・」

「・・・・・・・・・・・・(絶句)・・・・・・・・・・・・」(ぽー)

「ね、ほらね、ディータの言ったとおりでしょ!!」

 今回ばかりはそれどころじゃ無さそうだった(笑)

「はいはい、惚気てるのはそこまで。とりあえずカウンターの方を先に済ましちまいな。
 分かってると思うけどSPドレッドの方はそこのエレベーターを上に行った男の格納庫の
 方にあるから。」

 ガスコーニュの声を聞いて我に返りカウンターに急ぎ込むパイロット達!!

 但し、アキトの所一点集中で(爆)何故かメイア達まで(核爆)

「アキトさん、レーザーバリューにホーミングセット一つずつ!!」「押さないでー」

「リーダー達のは違うでしょう!!」「ビームとシールド、後はミサイルを・・・・」

    「@☆★∞♀#¢%§」「▼▲£¢>∴§≦′@′@」


 何かすごい状況である。それをさばききっているアキトもアキトだが・・・・・・・

「「「「「あの〜お並びのお客様、こちらのカウンターが空いておりますが・・・・」」」」」

 本来のレジクルーが自分達の仕事意識から声をかける・・・が・・・・

  「「「「「「「「「煩いわね!!今立て込んでるの!!!」」」」」」」」」」

 ・・・・・・・・既にアキトの周り以外見えていないようだ・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・まぁでも、そんなことをしていたら当然・・・・・・・

ズドォォォォォォォン

「敵艦、既に目測が出来る距離に到達!!みんな一体何してるの!!!早く出撃して!!!」

              まぁ、こうなるわな(爆)


「アキト・・・・前言撤回・・・・もう出撃しておくれ・・・流石に
 これは予想してなかったわ」

 ガスコーニュが疲れ切った声でそう言ったことで何とか事を終えることが出来た。


タタタタタタタタタタタタタ
 
 そして自分のヴァンガードに向かってディータ、メイア、ジュラと一緒に走るアキト 

 ちなみにアキトは変声機を取って服はとりあえずマントを出現させて隠した。
 するとディータが走りながらメイアに提案を申し上げてきた。

「あの〜リーダー今回の出撃はアキトさんと組ませて下さい。そうしたらこんな戦い楽勝です!!」

 その言葉を聞いたメイアは即座にそれを拒否した。

「それはダメだディータ、おまえは私のチームの一人だ。
 それにまだドレッドに乗り始めてから日が浅い。
 昨日の戦いではペークシスの働きでどうにかなっていたが
 まだ本質的に操縦に無駄が多い。昨日の惨事を忘れたのか!?」

 昨日までのディータなら此処で諦めてメイアの言うとおりにしていただろう、しかし

「いえ、確かに今までのディータだったらろくに操縦もできませんでした、
 だけど操縦するのが下手なんだったらイメージすれば良いんです。それなら得意です!!」

「イメージ・・・?一体それとドレッドの操縦に何が関係有るというのだ?」

 メイアがそう言うとディータは誇らしげに自分の手の甲を見せた。 

「これは・・・・・タトゥー・・・刺青か?」

 メイアが訝しげにそれを見る、そう、それはアキトの世界にしか本来無いモノ。

「イ・・・I(イメージ)・F(フィードバック)・S(システム)。どうしてナノマシン処理を
 受けてないディータちゃんがそれを・・・・・・」

 アキトが驚いてそれの名称を言う。

「イメージ・フィードバック・システム?ナノマシン?いったい何なのだそれらは、アキト、説明
 できるか?」



(何処かの世界の某研究所内にて)

「はっ、誰かが説明を求めているような気が、いつでもいらっしゃい!!コンパクトにスムーズに
 説明してあげるから〜〜〜」




「はっ、(一瞬イネスさんの叫びが聞こえたような)
 あ、ああメイアちゃん、イメージフィードバックシステム、通称IFS は簡単に言えば頭で考えた
 ことをマシンにダイレクトに指示するシステムのこと。
 そしてナノマシンは名の通りナノサイズの機械でIFS による膨大な情報量を処理するための
 補助脳のことだよ。」

 アキトがイネス仕込みのしかしそれでいて簡潔な説明を終える。
 するとジュラがそれに対してもっともなことを尋ねてきた。

「ちょっと待ってよアキト・・・それって自分の体を改造しちゃうの!?」

「いや、そんなことは無いよ。実際俺もつけているし、ほら。」

 そう言って自分の中のナノマシンを浮き上がらせるアキト。
 しかしメイアが珍しく感情を荒げてディータに問う。

「そんなことはどうだっていい!!何故ディータがそれをつけているのだ、何時、何処で、
 どうやってだ!?」

 ディータの答えはあっけらかんとしたモノだった。

「えと、さっきヒスイちゃんに頼んでつけてもらいました。あ、もちろん私のドレッドも
 それ専用にしています。」

 そう微笑みながら言った。

 その言葉を聞いたときメイアは不自然なモノに気がついた。
 今此処にいるディータは昨日までのただ笑っているだけのディータではないと。
 何処か自分の知らない何かを持つようになってしまっていると・・・・・・・・
 そう、今現に自分の知らないモノすらも自然につけているのだ・・・・・・

「ディータ・・・・おまえ・・・・・・・」

 その何かを問おうとしたとき格納庫全体が揺れた。どうやら敵の攻撃が激しくなってきたらしい。

「わっと、リーダー、もう時間がありません。私をアキトさんと組ませて下さい!!」

 その言葉にメイアは苦々しく許可するしかなかった。

「くっ、分かった許可する・・・・但しディータ、おまえのかわりには別のを入れておく。
 もし途中でチームに戻ろうとしても無理だと言うことを覚えておけ。」

 しかし、その威圧感漂う言葉にも笑顔でディータは答えた。

「はい、もちろんそれは承知の上です。さ、アキトさん行こう!!」

 そう言って自分専用のドレッドに乗り込むディータ。それを見たジュラがメイアに問う。

「ねぇ、本当に良かったの?いくらアキトが強いって言ってもディータが重りになるようじゃ・・
 ・・・・・・・」

 メイアの反応は淡々としていた。

「構わん・・・・・」

「でも!!

「あのディータは私たちの知っているディータではない・・・・・・・」

「!? ちょっとリーダーそれって一体!?」

 しかしメイアは最後の質問には答えずに自分の機体に乗り込みキャノピーを閉鎖した。
 不満に思いつつもジュラも自分の機体に乗り込む。
 そしてバーニアを入れ、膨大なる漆黒の宇宙に飛び出していった。



 その頃ブリッジはというと・・・・・・・

「おかしい・・・・・どうしてこんな結果に・・・・・」

 テンホウが機体の状況を表すパネルを見ながら四苦八苦していた。
 珍しく悩んでいるテンホウを見てブザムが声をかける。
 
「どうしたテンホウ、何処か艦内に異常が発生しているのか?」

 しかし横に首を振って返してきた。

「・・・・違います・・・・異常が無いのが異常なんです・・・・・・」

「一体どういうことだ?」

「はい、先程から敵によるレーザー攻撃、並びにビームによる攻撃をこの艦はうけています。
 それなのに何処も破損してないんです・・・・・・」

「この艦には高出力のバリアーが付いている。それによって全て防がれているのではないのか?」

 ブザムが思いついた尤もな答えを口に出す、しかしまたテンホウが横に首を振った。

「いえ・・・・そのバリアに到達する前に反れているんです。まるで、バリアの前に目に
 見えない力場が発生しているように・・・・・・・・」

 その言葉には流石にブザムも驚いた、自分の知らない何かによって守られているというのだ。 

「馬鹿な・・・・・一体それは何だというのだ・・・・・・」

 するとその答えがすぐ横から返ってきた。

「ディストーション・フィールド(次元歪曲場)で防いでいるの、副長。」

 いつの間にかブザムの横に立っていたヒスイの言葉であった。
 それを見たマグノが思わず慌てる。

「ヒ、ヒスイ、どうしてブリッジに?ちゃんとお部屋にいなさいって言っておいたろう。」

「ごめんなさいお頭、言わなければいけないことがあったから・・・・・・」

 そう言って謝るヒスイ、そう言われたらマグノも責めにくい。
 そしてブザムがその言わなければいけないモノを聞く。

「それでヒスイ、今言ったディストーション・フィールドとは一体何なのだ、どうしてそんな
 モノがこの艦に付いている?」

「うん・・・・今から説明する・・・・ディストーション・フィールドって言うのは読んでの通り
 次元を歪ませる力場のこと、これのおかげで敵のビーム・レーザーとかの攻撃は反らすことが
 出来るの。で、どうしてそんなモノがこの艦に付いているかというと・・・・・・・・・・」


「「「「「「というと?」」」」」」」

 話を聞いていた他のブリッジクルーも一緒になって聞く。

「私が付けたの♪。」


ピシッ




 ・・・・・・・・一瞬戦闘中に関わらずブリッジの時が止まった・・・・・・・・・・


 その後、悲鳴に近い叫声が鳴り響く。(テンホウの以外)

「「「「「「えぇぇぇぇぇぇっ、ヒスイ(ちゃん)が!?!?!?!?」」」」」」

「うん、そうだよ♯♪。」

「一体どうやってそんな高度な技術を・・・・・・・・」

 唯一落ち着いているテンホウがヒスイに問う、しかしヒスイの答えは的を射ないモノであった。
 そう、今の時点では・・・・・・・

「技術というモノは自分が知らなくても勝手にどうにかなってくれるモノだよ、
 それに私はこの艦を誰よりも知っている。だから付け加えるなんて簡単だよ・・・」

 そのヒスイの答えにテンホウが首をひねっている間に既にドレッドによる戦闘は始まっていた。


「こちらメイア機、Cグループに属している内の一機はこちらのグループに入ってくれ。」

 キューブタイプに接近しつつメイアが通信を送る。

「あれ、リーダー、ディータはどうしたんですか?」

「ディータはアキトと組むと言って私より先に出ていった。それよりも早く
 こちらとの合流を果たせ、攻撃にうつる。」

「了解!!」

「私のSグループからDグループまでは右舷にいる群を、残りは左舷の方を各個撃破せよ!!」

シュンッ シュシュシュシュ  ズドォォォォォッォンッ!!!!
 
 そして攻撃にうつろうとしたとき突然左舷にいたキューブ数十機が爆発した。

「何、一体何が起きたというのだ?」

 そして炎の中から二つの影が現れる。

「よぉぉぉし!!(コンビだけど)フォーメーション・鳳仙花(ホウセンカ)成功!!
 やっぱりコンビ攻撃だと撃破が楽だね、アキトさん、DFもついてるし♪」

「一回見ただけで出来るとは・・・・・俺が見てきた中でもトップクラスのイメージングの
 持ち主だなディータちゃんは・・・・(それだけなら北斗レベルだな)」

 アキトのヴァンガードとディータのSPドレッドであった。

 但しスピードが洒落になっていない早さである、アキトの乗るヴァンガードはもとより
 ディータのSPドレッドまでアキトと同じスピードを出しているのだ。 
 体が負担するGはGキャンセラーがきくスピードだがその速さでの戦闘は熟練した
 パイロットでも危ういモノがある。

 それをあの二人は喋りながら楽々行っているのだ。

 それを見たパイロットクルーの皆様はと言うト・・・・・・・・・

「夢じゃなかったのね・・・・・」「しかも昨日より上手いし・・・・・」「どうして・・・・」

 昨日に引き続き自信喪失の波に打たれちゃってます(笑)

 しかしバーネットがふとしたことに思い立った。

「ちょっと待って・・・・・あの二人一緒に戦闘するのは二回目でしょ?どうしてあそこまで
 息を合わせて戦えるの?」

 それはメイアも気付いていた。昨日よりも格段に上回っている操縦、タッグを組むのが
 二回目だと思えないようなコンビプレー、あまりにも不自然すぎる。


 そう思考を巡らせていると目前にキューブタイプが現れた。

「クッ、戦闘中に考えなどするモノではない!!」

 そう言ってキューブタイプにレーザーを撃ち込み沈黙させるメイア。

 しかしメイアがこうやって撃墜数一を記録する間にもアキトとディータは、

「いくよディータちゃん!!フォーメーション・金鳳花(キンポウゲ)!!!」

「まっかしてアキトさん!!!」

 そう言って敵の集団の中に入ってたちまち撃墜数を二桁以上加算していく。


 ブリッジにもその映像は届いていた。

「嘘・・・・でしょ・・・・・」

 アマローネが認めたくないのも仕方のないことである、ブリッジにいるヒスイを除く
 全員が認めるのを拒否しようとしているのであるから・・・・・・・

 しかし現実は現実である。キューブをあらかた片づけた後、前回あれほど手こずったピロシキに
 肉薄していく。

 ディータが正確な射撃で触覚部分を切り離したと思うとその間にアキトがDFSを
 充填させる。

 そして、

「よし、なかなかいいタイミングだ。全てを噛み砕け!!必殺 竜王牙斬!!!!」


ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 真紅に染まった竜がピロシキタイプに絡みつき、ディータが離脱した後


ドォォォォォォォォォォォ!!!


 すごい衝撃波が周りにいたピロシキタイプまでをも飲み込みその場の空間を揺らした。

 後に残ったモノはアキトの乗ったヴァンガードのみとなった。

 ブリッジは戦慄を禁じ得なかった、アキトのヴァンガードは例え戦艦クラスであろうと
 一撃で葬るのである。
 それを知らなかったとはいえ一応アキトの乗るイカズチに喧嘩をふっかけてしまったのである。
 今更ながら思いだして背筋に寒いモノを覚える。

 それはパイロットクルーも一緒であった。

「嘘でしょ・・・・一撃で・・・・」「昨日のは一体何だったの・・・・」
「あり得ない・・・・こんな事はあり得ない・・・・・・」エトセトラエトセトラ

 信頼という点より畏怖の方が強くなったパイロットの声がする。

「メイアより各機へ、何を呆けている!!まだ戦闘は続行しているのだぞ、全機残存する
 ピロシキ並びにキューブタイプの撃破に移れ!!」

 メイアも正直戦慄を覚えていたのだが全体の志気を回復させるために敢えて厳しく通信を送る。
 今更ながら出撃前のディータの言葉が思い出される。

 『そうしたらこんな戦い楽勝です!!』

 あれはこのことを見通してのことだったのか、それだったらどうしてアキトの力を・・・・・・


 そして戦闘はそれから数分もしない内に終了した。

「よし、それではこれより全機、帰艦する。ム・・・アキト、一体何をしている。」

「ああ、敵の残骸を回収しておこうと思ってね、これから何かが分かるかもしれないし。」

 そう言いながらアキトがキューブタイプにアンカーを付けて宇宙空間を引っ張っていく。 
 そしてそれから導き出される事実はアキトにとっても驚愕な真実を伝えることになる。

「そうか・・・・それでは私たちは先に行かせてもらう・・・・・・」

プツッ

 そう言い残すと一方的にメイアは通信をきってしまった。
 しかしアキトはそのメイアの行動に落胆も憤りも覚えなかった。
 全て予測していたとおりであったからである。

「ふぅぅ、やっぱり怖がられるか・・・・・ま、仕方のないことだけど・・・・・」

 そう言うアキトの顔は普段と全く変わらない、いや、変わらないように見えるだけかもしれない。
 するとディータが通信をつなげてきた。

「アキトさん・・・・・無理しないで・・・ディータがいるから・・・・・」

「ああディータちゃん、無理なんかしてないよ。こんな戦闘ぐらいなら・・・・・」

 アキトが問題無いと言おうとしたが、ディータが遮った。

「違う!!アキトさんの心を!!皆がどう思っても絶対にディータが付いているから・・
 ・・だから悲しまないで・・ディータならどんな事があっても一緒にいるから・・・・」

 ディータはアキトの心を全て覗いた。記憶ではない、心の全てを見たのである。
 だから、アキトがどれだけ表面を取り繕うと心が分かるのである・・・・・・

 今現在アキトが抱いている喪失感、そして孤独感を・・・

「ディータちゃん・・・・・・・」

 アキトがディータに対して何かを言おうとしたが再びディータの方が先に続けた。

「それに、イベントクルーの皆も歓迎してるよ♪」

「ほぇ!?」

 そしてアキトの所にイベントクルーより通信がつながる。

「アキトさん!!素晴らしいです!!戦場に咲く華の如くその美しくも完璧な戦い!!
 メイドさんも良いですがやっぱり女剣士の方がいいですよね!?
 まっかせてください、イベントクルー一同の力で完璧なコスチュームを仕上げますから!!
 ふふふふふふふふふ、さあ皆!!早速創作開始よ(萌)!!」

「「「「「「「「「えい、えい、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」」」」」」」」」」

「ね、アキトさん♪」

「・・・・・・・・・・(汗)」

「「「「「あ〜〜ずる〜い!!それ私たちも混ぜて〜〜〜〜」」」」」 
 ガスコガールズまで加わったようだ。


 そんなこんなでこの世界二度目の戦闘は終わった。
 前回とは違い、ディータとアキトの力によって圧勝に終わることが出来た。

 しかしそれはアキトの力に対する畏怖とディータに対する不信が生まれることになった・・・・
 まだこの航海は始まったばかりである、それらはいずれか払拭できるのであろうか

 否、それは誰にも分からない・・・・・・・・

 しかし言えることが二つある。

 一つはこの先何が有ろうとディータはアキトに付いていくこと。

 一つはこの先何が有ろうとイベントクルーその他諸々のクルーはアキトを玩具に
 すること(笑)

 この融合戦艦は彼がかつて・・・・いや、今でも愛してやまない心の揺りかご
 【ナデシコ】
 そう、第二の故郷になるのであろうか・・・・・


「「「「「「「「「「アキトさん、お待ちしておりますわ♪」」」」」」」」」」」」」
           
           「・・・・・・・・・・・(汗)」

 少なくとも彼は今現在ナデシコにいた状態とさほど変わらぬ状況に陥っているが(笑)


 メイア、ジュラ、バーネット、そして艦内の多くのクルーが抱いたアキトに対する不安をのせつつ 融合戦艦は進む・・・・まだ、本来の目的を知らず・・・・・

 あ〜まわりくどい言い方はもうやめる!!とりあえず次回に続きます!!!


 後書きと言う名の謝罪兼次回予告

 すみません、何だかとりあえず訳の分からないものを書いてしまいました(平身低頭)
 突然宇宙の意志が私に届いてディータをメインで今回はいけと言っていました。

 イタ・・・イタタタタ物を投げないで下さい!!ディスプレイを揺らさないで下さい!!

 今のは冗談です!!本当はメイアの性格を元々の性格に戻すための伏線でも有るんです!!
 ふ〜、いやようやく落ち着いた・・・・・
 メイアの性格をあまりにも漫画版ベースに柔らかくしすぎたら感想メールが減る減る!!
 これでは流石にいけないと言うことでメイアにアキトへの不信感を持ってなるべく態度を
 しばらくの間きつくしてもらうことにしました。

 ジュラ、バーネットには何とかそれを受け入れてもらいますが・・・・・・・

 いや〜〜それにしてもディータの性格を少し大人に近づけてしまいました。
 来るメールの殆どにディータはユリカに似ているから嫌いというのが書かれてたのでつい。
 今回はナデシコクルーも結構出せましたしユリカとディータの共演もできました。
 これでアンチディータの人が減ってくれればよいのですが・・・・・・

 さて、駄作品を振り返るのはこれくらいにして置いてこれからのことを書きます。

 次回からはメイア三部作に移ろうと思います。但し、時間軸をずらしていこうと思います。

 甘い罠の方を先に出して初合体の時と一緒にWhat a Wonderful Worldの回想シーンを
 入れようと思います。

 さ〜てメイアの性格がきつい方が好きな皆様お待たせしました!!
 次回に続きます!!!(91,5キロバイトは疲れた)




































「あぁ、貴方アキトさん!!朝ご飯とっても美味しかったです、ごちそうさまでした。」

「いや、別にそんなお礼を言われるほどのことはしてないよ。」

「ところでどうしたんですか、こんな所で?」

「それが、取りあえ「アキトさん、今艦内の職場見学してるの。だから此処の見学をさせて欲しい
 んだけど。」ッてちょっとディータちゃん!!」

「うっわ〜そうだったんですか、もちろん歓迎しますよ。ねぇ皆ぁ、アキトさんが私たちの
 職場見学に来てくれたよぅ!!!」




管理人の感想
ピョロ弐式さんからの投稿です。
どこに行っても、本当に女難なんだなぁ・・・アキトよ(苦笑)
今回は過去を知られるは、女装はさせられるは。
いと哀れなり(笑)
この世界では、男性は料理をしないのですか?
現代でも男性コックが多い事を考えると、一概に男性社会に料理が流行らないとは思えませんけどね。
ま、そこは設定の話ですし。
何処でも料理さえ出来れば幸せみたいだし、この男は(苦笑)