かつて未来と呼ばれる過去の中で彼はナデシコと呼ばれる戦艦に乗っていた。
 けっして楽しいことばかりではなかったが、彼にとってそこは
 かけがえのない場所であった。

 そして戦うことを終えた後、彼は自分の夢を家族と一緒に叶えようとした。  
 
 しかし、その夢は叶うことなく家族は引き裂かれていった。

 そして彼は復讐のために闇の王子に姿を変える。
 
 復讐が終わった後に居場所を感じることが出来ず、愛しい者から逃げていたとき
 
 奇跡は起こった。
 
 彼の精神は過去へ逆行し、また一握りの者も彼と共に跳んだ。

 そして彼は未来で起きた惨劇を繰り返さぬために、彼は戦い抜いた。
 
 新たな仲間との出会いと別れ。新たな敵との出会い。

 そうして、ようやく終わろうとしていたときにそれは起きた。
 
 世界を変えた代償だったのか、彼は別世界に跳ばされてしまった。
 
 彼の名はテンカワ=アキト、漆黒の戦神と呼ばれた者である・・・・・・・



融合せし世界の中で


 
 第五話 What a Heartful World


『人は何が幸せなのか死ぬ間際まで誰にも分からないと言う。
 ――――――しかしそれは私にとって大した問題ではない。
 何故なら私は一度死んでいるからな、けれども未だに分からない。』





〜前回のかなり大まかなあらすじ〜


 地球からの植民者の一部が辿り着いた砂漠の星を見つけた融合戦艦。

 しかし、その星は既に謎の敵に滅ぼされていた。


 
 星を襲った敵の名は【刈り取り】

 その異様な名を持つ敵の目的は名の通り人体組織の刈り取り。

 砂漠の星【デザーツ】から刈り取っていった物は血液。

 恐らくは砂漠という特殊環境の中で血液が発達していたのであろう。



 それらの事実を知った融合戦艦はアキトの進言によって

 ヴァンガードによっての降下作戦を実行することに決定する。

 それに伴い、ヴァンガードの搭乗訓練を行うパイロット達、


 だが一人だけ訓練を拒んだ者がいる。

 名をメイア・ギスボーン、戦闘隊のリーダーである。

 彼女は先の戦闘からアキトに対しての不信感を持ち始めていたのだ。

 
 そして彼女は一人で練習することを決意する。

 だが、そこにはアキトの優しさが見える心遣いがされてあった。

 それを拒むメイア。

 
 そのとき変化が起こった。 


 突然謎のシステムが起動する、そして謎のエスコートナビ【伊耶那美命】

 これらはメイアを主と呼び、彼女の力になると言った。

 更にこれらは【天河明人】を知っているとも言った。

 それらの言葉を聞き、システムを起動するメイア


 しかし伊耶那美命はこうも言った、

 メイアの知るテンカワ=アキトは関与していないと。

 それはどう言った意味なのかは掴みがたい。


 今、メイアに最大の危機が迫っている。 



 と言うのが前回までのあらすじであるのだがその頃のアキトはと言うと。




〜テンホウの部屋にて〜

「「ご馳走様でした!!」」


 そんなことが起こっているとは露知らずテンホウとの夕食を終えていた。
 
 食後の紅茶を飲み終え、食器を洗っているとテンホウが話しかけてきた。


「あの・・・・アキトさん、一つ良いでしょうか?」

「ん・・・・何だい?」

「先程のヴァンガード搭乗特訓の時に・・・・メイアさんがいませんでしたが・・
 ・・メイアさん、大丈夫なんでしょうか?」


 テンホウの気遣いであった。
 
 彼女にとってメイアは自分をここに連れてきてくれた恩人でもあるのだ。



 それを聞いてアキトはと言うと・・・・・・・




「ああ、メイアちゃんのために練習用プログラムを組んでおいたんだけど・・・
 意固地なところが有るみたいだから拒否してるかもしれないな。
 うん、後でテンホウちゃんが寝たら一度覗きに行ってみるよ。」



 このぐらいの返事が妥当だと思った。本当にそれだけの内容だったら・・・・・・

 しかし、今現在彼女はアキトが予想すらしていない事態になっている。






〜シミュレーションルーム〜



『後方より敵が攻撃を仕掛けてきます。回避は不可能です、盾によっての防御を。』

「そのくらいは分かっている!!」


 敵の放ったミサイルを全て右腕のシールドで受けるメイア機

 ドガッ ドゥォォォォォォォォォン


「ぐっ、腕が・・・まだ動かせると言うことは大破はしてないみたいだな・・・
 ならば!!」



 シュッ・・・・・ドグゥゥゥゥゥゥゥン!!!!


 たった今自分を攻撃した【サバクワタリバッタ】と【サソリ】に槍型を突き刺す。

 その槍型は共の腹部を貫き炎上させる。辺りに飛び散るその残骸。
 


「【伊耶那美】!後どれだけ敵が存在している、教えろ!!」



 爆発の反動もそのままにエスコートナビに尋ねるメイア。
 
 その声には余裕の一つも見あたらない。

 だが、エスコートナビ【伊耶那美】は冷静で落ち着き払っていた。




『はい、メイアさん。今現在マップに表示されている敵別信号を
 放っている機体は残り17です。
 尚、それらの機体についての詳細はこちらです。』



 そう言ってモニター横に新たなモニターを出現させる。

 内容を読みとると・・・・・・・・・


 オオスズメ アリジゴク ジョオウバチ1

 カブト カマキリ2

 クワガタ サソリ4 

 そしてクロツヤ2


 並のエステバリスライダーなら確実に遺書書く匆々たる面々である。

 さて、早速ですが機体の解説と行きますか。


『オオスズメ』
       対大型艦船攻撃用 敵艦船に取り付きフィールドの中和が可能
       たいていはヤンマなどの重力波砲搭載艦と共に行動する。            全長はおよそ50〜70M 最大で100Mが確認されている。
       
       蜥蜴戦争時にはミャンマーなどの密林地帯他,ナデシコ等
       時空歪曲場搭載艦の登場以降は宇宙へも送り込まれた。

『ジョオウバチ』
       
       全体指揮 敵の周囲に飛んでいる機体とリンクし、戦場の把握、
       攻撃箇所を指定するなど演算能力では木連兵器随一である。
       尚、武装は触覚(歪曲場部分中和可能型メイス)のみであり、
       基本的にその機動性を生かし、戦線からデータを持って
       離脱するのが目的の機体である。
       全長およそ5M       

『カブト』 
       その硬い外殻と小型艦クラスの時空歪曲場による味方機の防御が
       目的として作られたクワガタと対になる機体である。
       蜥蜴戦争中盤からは複数が連結することにより歪曲場の力場の増加、       範囲の拡大が出来るよう改良された。
       尚、その使用目的から武装は付けられていない。
       (フィールドアタックは可能)
       全長およそ8M〜10M
       木連の技術士官が趣味でヘラクレスオオカブトなる全長25Mにも
       なる超巨大なのを作ったのは別の話。

『クワガタ』 
       カブトを攻撃的にして歪曲場弱めたらクワガタになる。

『カマキリ』
       対機動兵器戦用を想定された実践的な機体である。 
       武装には鎌と呼ばれている木連式のイミディエットナイフが
       搭載されている。     
       それだけならば問題はないのだが、優人部隊の乗り込む艦から
       射出されるカマキリには木連式鎌術の型が学習されている機体が
       多く、エステバリスとて苦戦させられる機体となっている。
       全長およそ9〜14M
       尚、技術士官の美的感覚の相違により非常に前衛的なフォルムと
       なっているのがまたどうしようもなく特徴である。


『クロツヤ』
       密かに木連兵器で密林に送り込まれた兵器の中では
       恐らく最強である。  
       本来元になった昆虫は標高1000M前後の山などに生息するのだが       木連の偏った知識によって密林に送り込まれた。
     
       頭部に扇形をした一対の角を持っており、小型ながらもその機動性、       そして角からの熱線、その特異なフィールドなどで最強の地位を
       奪っている。
       全長およそ7〜8M




 はっきり言って怒濤の布陣である。

 更にこの上にまだアリジゴクがいるのだ、辛いことこの上ない。

 そして、それらは全てメイア機に向かっている。




『メイアさん、直ちに上空への回避運動を。アリジゴクが迫っています。』




 未だに冷静な伊耶那美。そして・・・・・


「分かった。だが、すぐにクワガタとカブトが襲って来るぞ、それはどうする?」

『バックパックより対半自立型兵器用のチャフを取り出して下さい、
 そしてそれを・・・・・・・』

「上空より自機の周囲に散布する訳か」

『その通りです。流石ですね、メイアさん』



 今までの戦果もあってか、伊耶那美のナビを素直に受け取るメイア。

 だが、彼女は気付いているのであろうか?

 程良く自分が手駒に取られていると言うことが。




ゴゥォォォォォォォォォ




 地表から40Mと言ったところまで上昇するヴァンガード。

 そして、限界高度に達したところで一気にチャフを散布する。

 散布されたジャムはジョオウバチの指示を歪ませ、指揮を曖昧にする。


 この後のことは結果のみを報告しよう。

 単機の実力が凄くても統制が取れていない無人兵器など恐れるに足らなかった。

 いや、それどころか同士討ちすら始める始末であった。 


 アリジゴクがオオスズメのレールカノンによる長距離攻撃により沈黙し、

 カブト、クワガタ、カマキリはクロツヤによって全て墜とされた。 


 ジョオウバチなどは既に存在の意義が無く、これはメイアによって破壊される。

 生き残ったクロツヤとオオスズメの戦いがクロツヤの勝利にて終わったとき、

 
ズシュゥゥ


 メイアが背後よりクロツヤの腹部を貫き、全てが終結する。



 そして密林には白色の九十九式しかいなくなる。



「はぁッはあっ・・・・・・これで・・・・終わったのか?」



 メイアが心身共に疲労困憊しながら振り絞って声を出す。

 腕には既に感覚がない、神経は繋がっているはずなのだが・・・・・・

 しかし返ってきた声はそれを否定した。



『お疲れさまですメイアさん、これにて【密林蜥蜴の章】を終了します。
 この章のクリアによってお荷物から用無しにランクアップされました。
 それではこれより【優人部隊の章】を始めます。
 この章をクリアすれば補欠へのランクアップが出来ます。
 ちなみにテンカワ=アキト殿なら今の数十倍でも楽勝です。』


「なっ!?」


 愕然とするメイア、さんざん手こずってそれこそ死ぬ思いでクリアしたのだ。

 しかしそれでもまだ用無しレベルだというのだ、一瞬意識が遠くなる。



『戦闘での怪我は次の章に行くまでに回復させていただきます。
【大穴牟遅神】、メイアさんの疲労箇所、損失箇所の治療よろしく。
 申し訳有りませんがこの作業には数分かかります、しばしのお待ちを。』



 それを聞いたときにメイアはやるせないような思いが湧いた。

 このナビは自分のことを何かロボットのように接していると思ったからである。


 作業? 損失箇所? 治療ではなくてまるで修理である。

 消耗品よりはましと言うことか?

 その思いは瞬時に憤りに代わり伊耶那美命へ反論する。
 


「待て・・・・お前は本当に私のことを思っているのか?
 作業だの修理だのまるで私のことをロボットか消耗品扱いだぞ。」



『はい、私はマスターを守ることを第一としています。』



「ならば、何故このような応対を!?」


 
 当然の怒りを向けたメイア・・・・しかしそれは藪蛇であった。 

 しかもその藪より飛び出した蛇は猛毒を持っている。

【自己嫌悪】という猛毒を・・・・・・・・




『はい、私は先程も言いましたが言語・思考プログラムともに緊急事態以外は
 メイアさんと同じになるようしています。
 即ちこの応対はメイアさんが一番守るべきモノに対する応対と一緒です。
 メイアさんが一番守るべきだと言っているモノ、そう、チームに対する応対と。』



「!?どういう意味だ!?」



『はい、メイアさんが今現在チームメンバーに対する応対と一緒のこと・・・・・・
 即ちチームメンバーへ対する健康面、衛生面の管理の施行・・・・・
 しかしながらチームメンバーに対して精神面の管理、ケアを施行しないといった
 私の中の辞書と照らし合わせてみると

“大変不条理な扱い”

 が尤も守るべきモノに対する応対だと解釈し、実行しています。
 多少差しがましいですが、殿方が敬遠されますよ。』


「!!」



 冷や水をかけられたような気分であった。

 自分を冷静に分析されるとこのような人物・性格像になるのだ。

 いつも自分が言っている言葉

『クルー全体のことを考えて』

 とんだお笑いである、自分は何も考えてはいなかった。

 こんなリーダーは願い下げだ。



 現に今目の前にいる【自分】を見て不快感が出てくる。

 自分はただ人よりドレッドが上手く扱えて少し戦略面についての知識が

 あるだけだったのだ。



「私が・・・・不条理な存在・・・・」


 強烈な自己嫌悪に陥るメイア。


『メイアさん、治療が完全に終了いたしました。これより【優人部隊の章】を
 起動させます。』


 しかしその伊耶那美命の声は聞こえていない。

 ひたすら自分に対しての自問自答と自己嫌悪に陥っている。


『それでは敵を出現させます。敵はデンジンが三体です、それでは御武運を。」


 そう言った後に画面が変わる、しかしそれは見えてない。

 出現したデンジンがこちらに迫ってそれをナビが危険信号を出して知らせる。

 だがそれすらも・・・・・・・・・




『メイアさん、デンジンが重力波砲を撃とうとしています。
 このままでは完全に命中します、回避運動を。』

「私は何だったのだ、私は必要とされていないのか、私は、私は・・・・」


 そしてデンジンがメイア機に重力波砲を撃つ。黒き闇の閃光がメイア機を襲う。


『メイアさん、このままでは死にますよ。』




「・・・・死!?」




 ようやくメイアが気が付いた、しかし気付かぬ方が幸せだったのかもしれない。

 既に重力波砲は回避不可能である。

 三位一斉放射だ・・・・避けられるはずがない

 純白のヴァンガードの周りが一瞬一瞬毎に黒い重力に染まっていく。



 迫ってくる闇・・・・・それはメイアの精神にさらなる揺さぶりをかけた。


「イヤ・・・だ。怖いよ・・・やめて・・・やめて・・・・・」

 心に幾重も重ねた鎧は完全に剥がされた。

 
 リーダーシップを持ったメイア、自分を強く持ったメイア、全てを客観に見られる

 メイア、何事にも対処できるメイア、etc,etc・・・・・・・・・


 全てが剥がれたときに存在する素顔の彼女。




「暗いよ・・・怖いよ・・・母さん・・助けて・・・・」




 既に威厳あるドレッドリーダーのメイアはそこにいない。

 そこに存在しているのは過去のトラウマから閉所・暗所恐怖症になった力弱気少女

 その少女は恐怖に犯されて表情は泣いて歪んでいる。

 だが・・・・モニターの中にある【自分】は笑っていた。



『くすくす、あ〜あ、これで貴女はゲーム・オーバーです。
 肉体的なケアは私は幾らでも出来ます、しかし精神的なケアは出来ません。
 だって私は・・・・【貴女】なのですから。
 ですが貴女のデータは大変役に立ちました。感謝します。 
 それでは・・さようならマスター=メイア。』 



 そして黒い重力がメイア機を包もうとしたときいきなり変化が起きた。



ドグワァァァァン!!



 ポッド全体がシミュレーションのモノではない揺れに襲われた。

 外部からの干渉である。何者かがこのポッドに対して物理的に衝撃を

 与えているのである。


ブゥゥン


 間一髪の所でモニター並びにリンクシステムが切れる。

 もし後一瞬遅かったら確実にメイア機は消滅していたであろう。

 消滅=死を意味する。まさに九死に一生である。


『い・・・一体何が起きたというのですか。【高御産巣日神】外部映像を!!』



 この事態に【伊耶那美命】が反応する。

 電源システムが完全に途絶えたはずなのにその姿はホログラフィティのように

 三次元的に映っている。そう、まるでコミュニケのように・・・・・・

 そして超高性能自立回路が外部映像を映す。そこに映っていたのは・・・・・・




「クッ、一体なんだこのポッドの堅さは、何か力場でも発生しているというのか!?
 それに共通モニターに映っていたあれは・・・・デンジン。
 俺はあんなモノをプログラミングした覚えはない、早く救出しなきゃ!!
 これは・・・・異常すぎる!!」




 アキトであった、その手にはDFSを握りしめている。

 テンホウが寝付いたので様子を見に来てみたらどうも様子がおかしいことに

 気が付いたのだ。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃・ まず一機しかポッドに明かりがついていないこと。           ┃
┃                                    ┃
┃・ 続いて中に入ろうとしたところ内側よりロックがかかっていたこと。   ┃
┃                                    ┃
┃・ 更には共通モニターにプログラミングした覚えのない敵が映っていること。┃
┃                                    ┃
┃・ そしてポッド中のメイアの様子が異常なほどに取り乱していること。   ┃
┃                                    ┃
┃ 止めにポッドの周りには何か得体の知れない力場が発生しているときている。┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 
 これを異常と呼ばない人間はまずいない。 





『あそこにおられるのはテンカワ=アキト殿、この世界における【作動錠】。。
 やはり短時間での工作では穴が大きくできるモノなのですね・・・・・・・ 
 アキト殿に今見つかるのは避けたいですし・・・・仕方有りませんね。』


 伊耶那美命がアキトを確認して数瞬考えた後、

どうやら撤退することにしたようだ。

 ポッドに残された非常用動力を使いシステムを立ち上げ何処かへ転送する。

 その一連の作業はまるで電子の妖精を思わせる。

 既に姿はメイアのモノではなく女神のモノへと戻っている。

 最後に履歴を消して・・・・・・



『私はあくまで創造するだけ・・・・天つ神様が御出になられるまで・・・・・
 この世界と別の世界では伊那耶岐命も働きかけている・・・・・
 テンカワ=アキト殿、必ずやその御身捧げん事を・・・・・・』



 全てが謎に包まれた台詞を残して文字通り消えていった。

 それより数瞬後に・・・・・・・・・・・




バキャキャキャ




「メイアちゃん、無事か!!」



 アキトがようやくハッチをこじ開け終わった。

 疲れた素振りも無しにすぐさまにメイアの元に向かい必死に呼びかける。 

 しかしメイアのその瞳には既に光が失われつつあった。

 アキトの呼びかけにも何か譫言のようなモノを繰り返すだけである。


「暗いよ・・・怖いよ・・助けて・・・助けて・・・」


 それはあまりにも弱々しい声であった。

 アキトはメイアのこの状態に思い当たる節があったことに気付く。





 北欧に出向したとき民間病院の医療室で植物状態になった人と同じなのである

 その人は木星蜥蜴の存在自体にトラウマを持っていた人だったが

 日頃はそんな態度を押し隠して生活していた人であった。

 Moon Nightの活躍もあってか、それは人に気付かれることはなかった。

 だが、ある日彼は毎年恒例として森へ果物を取りに行った。

 その森は彼が昔から行っていた森でさほど大きい森でもなかった。

 だから安心していたのだろう、銃の一丁も持たずに入ってしまった。

 結果だけを報告すれば生き残っていたバッタに運悪く会ってしまって失神。

 命こそは助かったモノの発見されたときには精神が崩壊する寸前であった。

 そしてそのまま懸命の帰還手段も空しく精神崩壊、植物状態である。




 今現在、メイアがその状態になりかけているのである。

 この状態を直す方法は一つ、現実世界との接点を見つけるのである。



「メイアちゃん、戻って来るんだ!!そこにいてはもう戻ってこれなくなる!!」



 アキトが懸命に帰還を呼びかける。しかしメイアは虚ろなままである。

 これは時間との勝負である。早くしないと戻ってこれないのだ。


「メイアちゃん!!メイアちゃん!!」


 その事を十分理解しているために更に呼びかけるが効果はない。

 既にポッドをこじ開けてから数分が経過している。

 そしてどんどんメイアの声が弱く弱くなっていくところで・・・・・・・・




「こうなったら・・・・・ナノマシン、強制放出!!頼む、上手くいってくれ!!」


 アキトが最終手段を使った。

 運良くまだ付いている非常用電力を使いポッドとメイアを繋いでいる

 謎のシステムに強制的に入り込み、直接メイアとリンクを繋げるという方法だ。



パァァァァァァァァ



 アキトの体全体からナノマシンが大量に放出される。

 それはポッドを照らし、一つのケーブルに集中しその中に入り込もうとする。

 しかし、




ピィィィン←水色




「何、弾かれた!?このシステムは一体!?」


 光の粒子が文字通り弾かれた。システム自体が弾いたのだ。

【ナノ・コーティング】とでも言うべきなのか、

 ナノマシンが進入できないようになっている。

 融合しているペークシスも同様である。全て弾かれた。




「くっ、でもまだ!!」



 もう一度アキトがコネクトを試みる、しかし・・・・・・・・



ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン フッ



 無情にも電力が尽きてしまった。

 これだけ大がかりなシステムを駆動するには過負荷が大きすぎたのであろう。

 これで強制コネクトは出来なくなった。

 そうしている間にもメイアの様子は更に危険な領域に刻一刻と踏み込んでいる。

 アキトの出来ることも・・・・・もう無い。



 アキトは拳を血が出るほどに握っていた。




「俺は・・・たった一人の命も救えないのか・・・・・・・
 何が【漆黒の戦神】だ、何が【ナデシコの守護者】だ・・・・・
 俺の存在が・・・・彼女の周りを崩したのにも気付いていた。
 ・・・・気付いておきながら、それを自身のために無碍にして。
 やはり俺は・・・・大切な人を不幸にさせてしまうんだ。
 今度も守りきれないんだ、あの時のように!!
 メティちゃんのように!!!」



 既に口を動かさなく瞳の光が消える寸前のメイアを抱きかかえながら叫ぶ。

 しかしメイアは答えない、だが、別に答えた人がいた。


「それ・・は違う・・よアキト、それ・・にまだ・・・助け・られ・・る。」



 今まで姿を消していたヒスイであった。

 しかしその様子はいかにも疲労困憊している。

 一体何があったというのであろうか・・・・・・・



「・・・助かる?本当に助けられるのかヒスイ!?」

「うん・・・私が直接入り込むの・・・今の彼女は恐怖に苛まされた心を・・・・
 逃げることで・・・・過ごそうと・・している。だから・・・説得・し・・・
 に行・・く・の。」




 そう言ってメイアのそばへ近づこうとする、しかし・・・・・・・



バタッ




 床に倒れ込んでしまった。目に見えるほどの疲労なのである。

 今まで立っていたと言うこと自体が奇跡のようなモノだ。

 だが、この状況でのそれは最悪である。

 今は人一人の命がかかっているのだ。



「ヒスイ、大丈夫か!?一体何があったっていうんだ!?」

「大・・丈・・・夫だ、と、思う。でも・・今の・・私だったら・・入り込めない。
 だから・・・・アキト・・・アキトが私の代わりに・・・・・・」




 そう言ってヒスイが意識を手放すと共にアキトのIFSが輝き始める。

 どうやらこれで行くことが可能になったらしい。


 
「ああ、任せてくれ・・・・必ず助ける!!」

「後・・・で・・私・・・も・・行くから」


 そう言い残した後、ディータの時同様意識が遠のいていった。









〜メイアの意識内???〜





『ここがメイアちゃんの意識の中か・・・だが、これは本当に意識の中なのか!?』



 無事、メイアの意識内に入り込むことが出来たアキト。

 身体もいつの間にか男にしっかり戻っている。

 しかし、そこはディータの意識の世界とは全く異なっていた。

 ディータの世界は【記憶】だけで構成されていて、容易に辺りが見て取れた。

 一方この世界はと言うと・・・・・・・・・・




『まるでこれでは草原だ・・・・しかも地平線が見て取れるほどの・・・・・・』




 アキトの言うとおりここは辺り一面の草原であった。

 辺りが来て取れるどころではない、見渡してもお釣りが来る。

 生命あふれる青々とした緑、広く晴れ渡った青空。


 しかし何処を見渡してもメイアは見つからない。

 
『クッ、早く見つけださないと危ない・・・・・急がなくては!!』

 そして昴気を使って跳躍しようとしたとき突然に背後より声がかかった。



「あらあら、お客様とは最近多いですね。いらっしゃいませ。」



 驚愕し振り向くと、少し離れた木陰に一人の女性が立っていた。

 白いワンピースに白くて大きな帽子、見事に景色に合っている人物である。

 年の頃は二十代の半ばと言ったところか。

 その人は母性に溢れた優しい眼差しでアキトを見つめていた。



(馬鹿な!?気配を感じなかっただと・・・・
 それにどうしてこの人には俺が見えるんだ・・
 ・・ここはメイアちゃんの意識の中なのに・・・)


 色々と考えるべき事はあったが礼儀として返事は返すことにした。


『ええ、こんにちは。良いお日柄ですね。』


 するとその女性も丁寧に帰してきた。


「はい、こんにちは。本当に良いお天気・・・・
 私はこの場所が凄く気に入っているんです。
 貴女はどう思われますか、ここを?」


『あ、はい。俺は初めてここに来たのですが・・・・一体ここは何処なのですか?』



 今一番知りたいことを問う、返ってきた言葉はある意味意外な物であった。


「ふふふ、ここは私の娘、メイアの意識の中です。分かって入られたのは
 ないですか?」

『ああ、やっぱりここは・・・・って娘!?』

「はい、申し遅れました。私の名前はエリーザ・ギスボーン。メイアの母です。
 いつも娘がお世話になっています。」

『!!・・・ッ!?』


 そしてこの世界に来てアキト初の硬直状態になる。






〜メイアの意識の中枢部〜


「あの日・・・・母さんが私を脱出カプセルに乗せて助けてくれた日・・・・
 私は弱かった。何も出来ない子供だった・・・・何も分かっていなかった。」

 
 メイアであった。


【素晴らしき世界】の曲が入ったオルゴールの旋律を聴きながら

 膝を抱えて座っていた。

 そして、自分に話しかけるように呟いていた。

 周りの情景が変化していく、これは彼女の過去の記憶なのか・・・・・




“とうとう母さんの髪飾りを取っちゃって・・・・・” 
“お前は優秀な子なんだぞ!何たってこの二人のDNAを持っているんだから・・”
“まあまあ!こんなに汚して!あなたはオーマになるのね・・・・・・”




 恐らくこれは彼女の幼少期の記憶であろう、断片的だがそう取れる。

 女性の星メジェールでは当然男が居ない、だから男と同じく

 遺伝子操作で互いの子供を作るのである。

 だがしかし男とは違って女性だけが持つ【子宮】を使って【出産】するのである。

 遺伝子提供する方を【オム】と呼び、生む方を【ファム】という。

 我々が父親を【パパ】、母親を【ママ】と呼ぶようにメジェールでもまた

【オム】を【オーマ】と呼び、【ファム】を【ファーマ】と呼んでいる。




 メイアの記憶は忙しなく切り替わっていく。

 幼少期の記憶から少女期に行ったかと思うと幼児期まで戻る。

 まるで関連性という物がないように見て取れる。



“どうだいメイア、オーマのお仕事もなかなかの物だろう?”
“どうして貴女は暴力ばかり振るうの、何か嫌なことでもあるの”




 ・・・・・・・・・・・いや、あった・・・・・・・・・・・



 彼女の記憶には必ずオーマ、もしくはファーマが映っている。

 この事に彼女のトラウマが関係しているのか。

 
“すまないエリーザ・・・・・メイアを、私たちの娘を頼む・・・”
“母さんね・・・・この大地を緑でいっぱいにしたいの・・・・・・・”


 そしてまたメイアの表面とは違った葛藤を表し、周りが変わっていく。
 今度は一つに繋がって・・・・・・・・・・



 そこはまるで火星のようであった。しかし火星ではない。


 あくまでここはメイアの記憶の中なのである、彼女は火星に入ったことがない。

 それではここは何処なのか?答は簡単【メジェール本星】である。

 大変馴染み深い光景のはずのその光景はメイアに衝撃を与えた。



 
 それは今から十三年前、メイアが六歳の時の出来事であった。



 壁には雄々しく翼を広げた鷲をモチーフとしたメジェールのシンボルが見える。

 彼女はこの日、メジェール放送本局による記者会見会場にいた。

 しかし主役は彼女ではない、主役は彼女のオーマである。

 メイアのオーマはがっしりとした体格とショートカットにより見る者に

 男性とはまた違った力強さを感じさせる。
 
 彼女のオーマは有名な俳優で、周囲の推薦により事業改革に乗り出したのだ。



「皆さん、喜んで下さい!我々の提案するプロジェクトが稼働することで、
 遅れているメジェール母星のテラフォーミングが飛躍的に―――――
 そう、流星の如くスピードアップするのです!!!」



 自信に満ちたオーマをメイアは誇らしげに見つめる。そして、その横には

 ファーマがプロジェクトのチーフエンジニアとして寄り添っている。

 マスコミはその姿を我先にと群がり、絶え間ないフラッシュが三人を包んだ。

 無数のファインダーの中には、幸せの絶頂にあるのメイアの輝くような笑顔が

 クローズ・アップされていた。




“メジェールの大スターが、今度は母星の開発にスポットを〜(中略)〜
 会見に居合わせた御二人の愛娘、メイアちゃんもすっかりご機嫌のようです。”


 そのニュースを豪邸の中で三人が仲睦まじく眺めている。

 ちょうど記者会見の様子が報道されている様子であった。 


“マーディさん、こっちを向いて下さい!!”“エリーザさん、お言葉を!!”


 自信満々にポーズを取るオーマと慎ましげに答えるファーマ。そして・・・・


“メイアちゃん、オーマとファーマ、どっちがメイアちゃんは好きなのかな?”

“えへへ、どっちもだいすきなの。”


 天使の如く輝く笑顔【メイアスマイル】(核爆)を持ったメイアがそこにいる。

 大勢のカメラマンに囲まれても全く動じることなく笑顔を振りまいていた。 


“まあまあ、しっかりおすましして。” 
“スターの素質十分じゃないか!”


 この両親の言葉は親ばかなどではない、メイアにはスター性が輝くほどにあった。

 そしてその事はメイア自身も幼いながらに理解していた。

 マスコミもまた格好のアイドルとして食いつき、メイアをとことん持ち上げた。

 その結果メイアはマスコミを信用し、世界全てが自分を愛しているという事を

 信じることになった。



 その後、ギスボーン一家はプロジェクトのために母星に移住することになった。



 船団国家であるメジェールにとって惑星の土の上に住むというのは

 一種のステイタスシンボルである。

 そのためにメイアの周りに住む人達は全て格式高い人達ばかりであった。

 
 そう言った環境のためかますますメイアは社交性がついていった。

 しかし彼女たちは知らなかった、プロジェクトが全然進んでないことに。

 結果としてはメイアは何も知ることなくのびのびと育っていったのである。

  





〜メイアの意識内、永遠の草原〜



『・・・・で、話をまとめるとここはメイアちゃんの意識の中であって
 メイアちゃんの物ではない。 いわば独立した箇所に当たるんですね。』

「はい、そのとおりです。」

『それで貴女はメイアちゃんのお母さんで、数年前亡くなられたはずなのに
 気付くとここにいたという事でよろしいですか?』

「はい、しかしよくこんな突拍子もない話をすらすらと理解できますね。」

『慣れてますから(苦笑)』

「ついでに年も若返った上に老いないんですよ。理想ですね(はあと)」



 とりあえずアキトはメイアの母、エリーザからここの詳しい話を伺っていた。

 いわばここはナデシコの時にもあった【記憶麻雀】と同じ様なところらしい。

 人間の意識で使われてない部分はしっかり利用されているわけだ(笑)



『それではありがとうございました。俺はこれから行かなければならないところが
 あるので。』


 礼を言って立ち去ろうとするアキト、しかし・・・・・・・


「もう少し一緒にお話ししていきませんか。何しろどんなに気に入った場所でも
 本も無ければ人もいないんでずっと暇を持て余してたんです。」


 回り込まれてしまった(笑)


『いえ、そうしたいのはやまやまなんですが、何分貴女の娘さんの命がかかっている
 もんで時間が惜しいんです。』


「大丈夫、私の娘のことですから何か在れば私が教えいたしますよ♪」


 逃げられないこと確定(爆笑)




 数分後・・・・・




『いやぁ・・・・お茶が美味しいですねぇ・・・・採れたてはやっぱり違う。』

「アキトさんがお茶の分かる方で良かったですわ、とりあえずと言っては何ですが
 ここは娯楽施設こそ無くてもお茶っ葉や果物、野菜が豊富ですから。
 それに赤土などもありますから・・・・ほら、このカップ手作りなんですのよ。」


 
 すっかり和んでいた(ヲイ) 

 黒マントをシートにしてピクニックだ!!(こらこら)


『いやぁ、俺も結構アウトドア派なんですがこういった経験はあんまり無いですね、 ・・・何て言うか、こう、ゆったりと《幸せだなぁ》って気分になりますね。」

「ふふふ、そう言っていただけて嬉しいですわ。本当、気持ちいいですわね。」

『ええ・・・ですが、メイアちゃんの他の意識の部分はどうなっているんですか?
 まさかこの世界が延々となっているとは思えないのですが・・・・・』



 アキトがさりげない話の中に探りを入れる。

 自分はこれからそこへ行くのである、情報は多いに越したことはない。


「あの娘の他の部分ですか・・【自戒】そして【収容所】と言ったところでしょうか
 ・・・・・・あの娘の心には闇が占めている部分が多いです。」

『【自戒】!?』


 あまりにも此処とかけ離れた単語のためにやや驚いて聞き返す。


「はい、あの娘は許せないのです・・・・自分を・・・・・」

『何故そんな事が!?』

「あれはそう、五年前から始まりました・・・・・・・・・・・」








〜メイアの意識の中枢部〜



 メイアは思春期前から徐々に男性的な性格へと変わっていった。

 それは、華やかな場で余裕を持って振る舞うオーマへの尊敬の念に

 端を発していたが、一方でアイドルとして育てられていたために

 傲慢なところが出てきていたのである。


「傲慢・・・・いや、あれは何も知らない子供の我が侭だったんだ・・・・・」


 意識の中心のメイアが自戒の念を持って自分に言う。

 しかし、それは事実だったのである、周りの風景はそれを映していた。



 思春期を迎えた頃、ある時メイアはエリーザの宝石箱を勝手に開け、中にあった

 貴重な宝石が幾つも填め込まれた髪飾りを取り出した。

 ・・・・それは今、彼女が付けているたった一つの装飾品である。・・・・

 鏡の前で顔のほぼ半面を覆う髪飾りを見つめ、様々なポーズを取っている

 ところをエリーザが見つけた。

 少女には高価すぎるアクセサリーである。

 しかし、その事を咎めず、半ば呆れるように言った。



“オーマからのプレゼントなのよ。大事なものだからしまっておいて”



 しかし、メイアはそんなエリーザの言葉を聞かなかった。



“いいじゃん!これあたしがもらうからね。母さんよりあたしの方が似合ってる!”


 突き放すように言ってそのまま外へと見せびらかしに行ってしまった。

 しかし、そんなメイアをエリーザは叱らなかった。



 強気な【オーマ】マーディに比べ【ファーマ】エリーザは大人しい性格であった。

 余り表に出ることを好まない彼女はどちらかと言えば、よく言えば落ち着いた。

 悪く言えば地味な印象の人物だったのである。
 


 そんな彼女をメイアは【振り回されてばかりの弱い人間】として映していた。


 
 再び意識の中心のメイアが口を開く。




「・・・・・・・・・心の何処かで軽蔑していた・・・・・・弱い母を・・・・・
 自分はもう、十分な大人だと思ってた・・・・・。
 あんな母なら自分が守れると思いこんでいた・・・。」



 
 辺りにはメイアがエリーザを振り回し、マーディがそれを笑いながら見ていると

 言った光景が映っている。

 それはどんどん大きくなって、どんどんメイアの周りを包み込む。









「でも、最後に分かったんだ・・・。本当は、守られていたのは、
 ・・・・自分の方だったって・・・・。」








パリィィィィィィン


 周りの光景全てが砕け散った。そして新たな光景が出てくる。

 その光景は正に今までとは一転した光景であった。


 爆発する工場、囃し立てるマスコミ。

 それに、彼女の周りを取り囲む誹謗中傷の山、山、山!!
 


“地表開発の現場で大事故発生”
“水増し請求!もみ消しに奔走するメジェールのスター!”



 そして・・・・・・・


“すまないエリーザ・・・・・メイアを、私たちの娘を頼む・・・”


 家の裏口から背中を丸めて情けなく夜逃げしていくオーマ。

 その後プロジェクトの債権者達までもが彼女の家に殺到することになる。



“責任者を出せ!!あんたのおかげで会社が傾いているんだ!!”


 涙を流しながら幼いメイアにも罵声を浴びせる大人の山、山、山。



“大丈夫よメイア、母さんが何とかするから、ね。”


 彼女をいつも庇っているエリーザの姿。


「母さん、ごめんね、母さん・・母さん・・ひっく・・ごめんね・・・・」


 メイアは悔いている、母の存在を無碍にしていた自分に、

 母に反発ばかりしていた自分に。



 それは既に贖罪されていることをまだ彼女は知らない。

 もう既に・・・いや、エリーザはそんなことを最初から気にしていないのだ。

 ただメイアの幸せだけを祈って今も尚・・・・・・



 仮に知っても彼女の【自戒】の念は消えるのであろうか・・・・・・・ 








〜メイアの意識内 永遠の草原〜



『そんな事が・・・・・・』



 アキトは一通りのことをエリーザから聞かされた。

 内容は今メイアが見ているモノとその後のことである。


「はい・・・マーディが姿を消したことでますます世間が私たちを責め立てて・・
 ・・・ふぅ・・・・」


 当時のことを思いだしてか、やや疲れたような口調で言うエリーザ。

 その目元にはうっすらと光るモノが・・・・・・・・・

 エリーザにかける言葉を捜すアキト。


『エリーザさん・・・・・・・・』


「うう・・・・・・」


 やはりこういうときにかける言葉は見つからない。

 そう思い、見なかったことにしようと目をつむったとき。




「やっぱり・・・やっぱり、芸能スターとなんか・・・
 逆境に弱いのと結婚するんじゃなかった〜〜〜〜〜」



 エリーザの心からの絶叫が耳に入った。

『はい!?』

 思わず聞き返すアキト。




「あの時・・・私がラボにいたとき、所長の思惑に気付いて
 お見合いなんかしなければこんな事には・・・・・
             いえ、
 それでは私の可愛いメイアはこの世にはいなかった・・・・
 じゃあ、やっぱりメイアが生まれた早々離婚すべきだったのかしら!!」



 なにやら幾分かトリップした言葉を連ねるエリーザ。

 その姿は悪巧みを思いついているときの舞歌をも戦慄させるであろう。

 ・・・・・それだけ迫力がある白いワンピース姿の女性って・・・・・・



『あ・・・・あのぅ、エリーザさん。それって一体・・・何とも!?』



 アキトが怯えながら口を出す。

『何とも言えないのですが』と続けようとしたのだが、

 邪気はそんな軟弱な物を物ともしないようだ。




「戸もドアもありますか!!聞いて下さいますか、本当にもう!!
 マスコミがちょっと騒ぎ立てるとぎゃーぎゃーぴーぴー騒いで暴れて喚いて、
 俳優としても食べていけなくなるわ、後ろ指刺されるだの
 そんなどうだって良いことばかり話すような軟弱者なんてもう知りませんわ!!」



『イヤ・・・食べていけないのはどうかト・・・・』



「私の研究の特許権があります!!」

『さいですか・・・(怯み)』


「その研究も後少しで完成だったのに・・・見て下さいよ、このお花畑・・
 これがメジェール本星の何処までも広がるはずだったのに・・・・・・
 あのど畜生が見栄張るしか脳無いくせして他人の研究に口を挟んで・・・・・」



 ちょっと待て。

 痛い。

 かなり痛い発言だぞ、エリーザさん。




「挙げ句の果てに勝手にスイッチ入れてクレーン落ちて、偶然忍び込んでた
 他社の諜報部にぶち当たって死なせて、ああ、それは良かったんでしたね。」 


 良くない。

 断じて良くありません。



「その後が問題でしたわね、黙っておけば良かったのに勝手に錯乱して
 警察に電話なんかしてくれちゃって、それのおかげでマスコミが嗅ぎ付けて
 全く、人が死ぬのなんか一日どれだけか数えてないってのに。」


 どういった研究なんだ?

 確か彼女が担当していたのは環境部だったような。

 いや、それ以前に「してくれちゃって」って!?しないのか、日頃は!?


「全く・・・そんな小さな事件のおかげで色々と表に出せないような物まで
 出さなくてはいけなかったし・・・・あれとか、ああ、あれもあったわね。
 グラン・マに秘密で建造していた研究所までばれたし。タラークとの交渉も。
 本当、何も知らない馬鹿のせいで・・・・」

 
 知らないって言うか・・・・・ 

 知っていたら消されちゃうんじゃないのかそれ(汗)





 此処まで聞いてふと考える。

 メイアちゃん・・・・自分を許しても良いと思うよ。 

 多分この人が死んだ原因自業自得だと思うし(爆)

 っつ〜以前にこの人、君が考えてるような【弱い母】じゃないよ。



 そんなこんなで中心人物がトリップしているその頃・・・・・・






〜メイアの意識中枢部〜



「母さん・・・母さん・・・ひっく、ひっく・・・えぐ、母さん・・・」


 メイアは己の過去を見ている。

 それらの情景は決して色あせない自分の通ってきた軌跡。

 どんなに悔やんでも、どんなに自分を蔑んでも変わらないモノ。

 だからこそ、人はそれを直視したくないモノとして認識するのだ。


 しかし、今、彼女はそれを半強制的に見せられている。

 己が尤も悔やみ、己を蔑む場面を。

 但し、エリーザは当社比300%増で聖母になっているが(爆)

 途中途中台詞が都合良く解釈(ねじ曲げ)されているのも愛嬌である(核爆)



〜上記の記憶〜


 
 柔らかな光の中に、静かな母の声が響く。


“オーマを憎んでは駄目よ。・・・オーマは立派な人。
 不器用だけど、いつも呆れるくらい単純だけど・・嘘の付けない正直な人なの。
 困っている人を見ると放っておけなくて、それでいつも自分が損をして・・・
 でもね、母さんはそんなオーマが大好きになったの。
 ・・・だから・・・、お前が生まれたのよ”
 
(あんな馬鹿の事なんか憎むどころかもう忘れても良いのよ・・・
 性格がジャ○アンな○ネオなんだから・・・・ノ○タも入るかしら。 
 だから簡単にマルチ商法に引っかかって、私に泣きついてくるの・・・
 でもね、そんな屑でもメイアの片親だからと言うことで我慢してたの。
 ・・・だけど、今、あいつは自分から出ていってくれたのよ(はあと))



 それはオーマを逃がした後、エリーザが人々から避難の矢面に立たされた

 ある日の言葉であった。

 ちなみに( )内が本音であるのは言うまでもない。



 重くのし掛かるような夕日が射し込む中、心無い者の投石がメイアの部屋の

 窓硝子を粉々に砕いた。

 手のひらを返したように離れていく人の心にメイアは大きなショックを受けた。 

 硝子の破片が夕日を反射し、きらきらと光る。

 そのオレンジ色の光がこぼれ落ちた涙でにじむ、それは拭えない。

 長い沈黙は、まるで時の刻みが停止したかと思えるほどである。



 硝子が散らばる部屋の中、メイアは力無く座り込んだまま身じろぎもしない。

 エリーザは彼女の背中を見つめ、静かに言葉を続けた。
 


“貴女にも分かる・・・。貴女に大切な人が出来たときにね・・・”
(メイア、私が今一番大切なのは貴女なのよ。ファーマ?忘れて良し。)


 硬く結んだ唇に涙の滴が流れ込み、乾ききったメイアの口元を潤した。

 すると、目を伏せたまま掠れ声で彼女は呟いた。



“・・・・そんなモノ、要らない・・・。自分のせいで、他の誰かに
 こんな辛い思いをさせるくらいなら・・・・大事なものなんか要らない!”




 やるせない憤りがメイアの心に渦巻き、深い嗚咽となって漏れた。

 そんなメイアの背に向かい、母は更に言葉を続けた。



“メイア、人を好きになるのは素敵な事よ。大事な人がいるから強くなれるの”
(私は貴女のために強くなったわ、メジェールの裏世界で発言できるほど)



 しかし、このときの母の言葉をメイアは受け止めることが出来なかった。

 受け止めていたらそれはそれである意味問題であろうが(笑) 

 そして、この時以来、彼女は頑なに心を閉ざしてしまったのである。



 悲しきことかな、人を信じられなくなってしまったメイアは、
 それまでの自分と決別するかのように 強く、そして大声で叫んだ。



“違う!そんなモノがあるから弱くなるんだ!まだ分かんないの!?
 誰のせいで、こんな辛い思いしてるのよ!!”





 メイアの言葉にエリーザの握りしめた拳が震えた。彼女の中で、張りつめた

 糸が切れたように表面上はそう見えた。

 メイアの決定的な一言を聞いたエリーザは、がっくりと肩を落とした。

 込み上げる悲しみ(憎悪ともいふ)が彼女の穏やかだった顔を歪ませ、

 深い失望(?)が唇を振るわせた。

 忘れていた(感じてもいない)疲労が一気に母の体にのし掛かり

 途方に暮れた面持ちでファーマはぽつりと呟いた。




“・・・・ごめんね・・・・。貴女を巻き込んでしまって・・・・・・・”
(あの糞畜生の処分は何時だって出来る。問題はマスコミ関係ね、
 恐らくはグラン・マ達やあの会社の事業部の息がかかっている。
 事業部め、設立前の建設利息紛いの賄賂、ばらされたいのかしら?
 あの糞婆共畳みかけてくるとはいい度胸しているではありませんか。
 メイアをこんなに悲しませるなんて・・・・・・・・・
 労って接してあげようかと思ってたけど、どっちが偉いか思い知らせてあげるわ)


 
 そこまで言うとエリーザは手で顔を覆いながら外に出ていてしまった。

 恐らくは報復のためであろう、覆っている手こしに殺気が感じられる。
 


 しかし、メイアはまた別の具合に曲解していたりなんかする。


“あんな事言うつもりじゃなかった・・・。辛さは十分すぎるほど分かっていた・・ それなのに労うどころか、追いつめてしまって・・・・・ 
 何時か、謝りたかった・・・・。でも、もう・・・・・・・・・伝えられない・・
 ・・・・・何を言っても・・・・届かない・・・・・・・・。




 自責の念がメイアの心を揺さぶり、頑なな彼女の胸を締め付けている。

 既にメイアの意識はいずこへと遠のき、彼女の心と体は過去によって

 引き離されようとしていた。




 ・・・・・・・・・・・もう、嫌だ・・・・・・・・・・もう・・・・・・




 胸の奥にしまい込んでいた忌まわしい過去がメイアの心を締め付ける。

 何時しか彼女の意識は、自分との戦いを放棄するように白くにじみ、

 薄れ・・・・る前にまた画面が変わる。






〜メイアの意識内 永遠の草原〜


「あの後は大変でしたわ・・・・・メイアを陰口する子供とそれを見て見ぬ振りする 親と学校を徹底的に殲滅して、そうそう火を放ったこともありましたわね。」
 
『・・・・・・色々あったんですね(汗)』




 ようやく話が何とかトリップ前に戻ってきたようだ。

 多少危険発言があるが、まだ先程に比べてましである。




『しかし、メイアちゃんもかなりの波瀾万丈な人生を歩んでいますね。』
 
「あら、アキトさんにはかないません事よ。(ニコ)」




 間 (13,3秒)


 恐る恐る尋ねるアキト。

『な・・・何で俺の人生知ってるんですか(脂汗)』
「この間ここを訪れたヒスイちゃんと一緒に見ました(にこにこ)」 


 即答ですか。


『な!?・・・いや、ち・・ちなみにどの辺りを・・・・・?』



「過去から今まで全てですわ(にこにこにこ)」



 間(9,8秒) 



『ぜ・・・全部と申されますと厳密に言えば・・・・・?』

「そうですわね、ファースト(ディープ)キスがユリカさんと言う人のことから
【漆黒の戦神】、火星の最終決戦ぐらいは(微笑)」



 無茶苦茶全部じゃないですか、エリーザさん。

 俺のプライバシーって一体何処に行ってしまったの?(謎)




 悲観に暮れるアキト、しかし次のエリーザの言葉は身を堅くさせた。



「ですが先程こられた伊耶那美さんのアキトさん像からは外れますね。
 確かあの人はアキトさんのことを【須佐之男命】と呼んでいましたから。」


『な!?』


「おかしいですわね。確か・・・・・・・・・・

  《【草薙の劔】をもつ【撫子の守護者】が【天河=明人】である。》

 って言ってましたから。ですがそうするとヒスイちゃんの記録とは違いますね。  でも、どちらも私好・・・こほん、素直な子で嘘は言ってないと思うのですが。」 


 そう言って過去を振り返り逡巡するエリーザ。

 頬に手を当て首を傾げる様はかなり絵になっているのだが

 関係無しにアキトが詰め寄る。



『待って下さい・・・・それはどういうことですか、伊耶那美というのも?』


 思わず【漆黒の戦神】状態の殺氣全開で話しかけるアキト

 だが、それを歯牙にもかけずに返事が出来るエリーザもなかなかの者であろう。


「ええ、アキトさんがこられる少し前に来られた方が見せてくれたことです。
 名前は伊耶那美命さん。容姿は、そうですねルリちゃんを大人にした感じでした。
 とても可憐な容姿で・・・・・やはり和服美人というのも・・・・・・」



『そんなのはどうだって良いです。それで一体何を見たのですか!?』

「・・・せっかちな方ですね。よいしょっと、私が見たのはこれです。」



 そう言ってエリーザが右手を突き出す。

 それは空間の中に入り、歪ませ、大型のスクリーンのような物が出来る。

 スクリーンに映像が入る。




〜スクリーンの映像〜



 まず、何処かの祭壇のような場所が映し出される。

 但し、協会のような西洋的な物ではなく古来の日本にあったような祭壇である。

 画面は祭壇の隅から中心へと動き、そしてあるところにて止まる。

 そこには・・・・人が居た・・・・しかも、アキトの知る・・・・



『ユリカ!?イヤ・・・違う。』



 思わずアキトが声を出した通り、映ったのはミスマル=ユリカであった。

 だが、顔造りは一緒でも、身に纏っている物が彼の知らない物になっている。

 そして、一番違うのはその身から出される【氣】であろうか。

 とても万年脳内お花見シーズン真っ盛りには出せない氣を出している。


 
 そこに映っているユリカ(仮)は巫女のように祭壇の前の炎を見つめている。

 いや、この【氣】からして本物かもしれない。

 そうして櫓の上の炎を見つめ続けていると何処かより声がする。



“卑弥呼様、須佐之男が月読と共に謀反を翻しました!!何処におられますか!?”




『!?まさか・・・・この声は、いや、だが・・・・』


 
 その声もまた聞き覚えがあった、忘れもしない戦友の声だ。

 だが、それをアキトは認めたくなかった。偶然が必然に変わりそうで。 



“此処です、天手力男神。いえ、今は【大豪寺=凱】でしたね” 


 炎を見ていた女性・・・卑弥呼が静かに声を出す。

 そして、その細い声を聞きつけ、扉を開き部屋の中に入ってくる男


 その姿は彼の戦友でもあり親友でもあるダイゴウジ=ガイであった。

 但し、今のその姿は何処か海賊めいた衣装をしているが。

 画面越しに伝わる気配も違う、だが、別人とは思えない。



“卑弥呼様、直ちに神殿から御出になって下さい。
 既にきゃつらめの軍勢が迫っております。
 恐らく理由は・・・いや、語るまでもありませんな。
 兎も角、既に高天原は戦場と化しています、お支度を!!”



“分かっております・・・支度は整っています。出ましょう。”

“御意”




 そして画面の画像がぶれ、別の画像に変わる。




 そこは紛れもない戦場であった。

 但し、我々の知る戦場とは大きくかけ離れた・・・・・

 と言うかあり得ないような物があちらこちらに点々と存在しているが。


フィフィフィフィ
    ブォゥゥゥゥゥゥゥゥ




 それらが双荷重力波砲を撃つ、だがそれはジンタイプでもなければ戦艦でもない。



               土偶である




 ごく一般的に【遮光型】と呼ばれる土偶が旗艦内部の神殿に重力波砲を撃つ。

 但し、神殿には空間歪曲防壁とでも言おう力場があって跳ね返す。

 すると今度は一般的に火炎式と呼ばれる縄文土器型戦艦が主砲を撃つ。

何とこの縄文式にはグラビティブラストが十六門搭載されているぞ!!




 冗談でも巻き込まれたくない戦争である。

 そしてその土器と土偶がどんどん増えていっている。

 何故か!?時空跳躍しているからである。

 何で、チューリップ?外れ、モノリス(石版)で。




 そんな糞馬鹿馬鹿しくも真剣な戦場で、突如爆発する土偶・土器達。

 誰が一体!?おおっと何と我らが無敵のナデシコだ〜〜!!

 何か色々と僕たちの知らないパワーアップがされてるぞ〜!!!

 広範囲型のスーパーグラビティブラストで敵なんかいちころだ〜〜!!!!

 だけどナデシコもなんでか知らないけど何か土器っぽいぞ〜〜〜(血涙)
 



『・・・・・・・(ぴくぴく)・・・・・』

「アキトさん、どうなさいました?大丈夫ですか?」





 アキトの苦悩もそのままに画面が変わる。



 そこは何処かの戦艦の中なのであろう。

 複雑な計器類が所狭しと並び立てられ、その全てが起動している。


 また画面が動き出す、但し、どんどん画像がぶれていっているが・・・・

 画面はどんどんブリッジの上部へと向かっていっている。

 大概の戦艦の場合、艦長席になっている部分へと・・・・


 そうして画面が動いていく中にもその戦艦の中にはアキトの知る顔が在った。


 通信・オペレート兼用席にはカグヤと一緒にいたムラサメ=カオル。

 操舵席には同じくカグヤと一緒にいたリサコ=タカチホ

 艦長席下の副長席にはカグヤの唯一無二の親友エマ=ホウショウ



    ・・・・・・・・・そして、艦長席に・・・・・・・・・




『何でだ、何でカグヤちゃんがこんな所に、何でこんな事を!!』



 アキトのもう一人の幼なじみ、そして明日香・インダストリー社の跡取り。

     火星の決戦前にアキトを助け、激励してくれたその人、


      【カグヤ=オニキリマル】の姿がそこに在った。



 そのカグヤ(仮)が口を開く。 



“大戸或女神、主導神・・・卑弥呼様の乗られておる
【大和撫子】に最後通告をしなさい。
《既に夜之食国・海原が高天原を包囲しています、御降伏を》と。
 これは我が迦具夜 鬼切丸・・いや【月読】、須佐之男様の意志による命だ!”



 カグヤ・・いや月読がムラサメもとい大戸或女神に命を出す。

 そしてそれを丁重に承り、実行に移す。

 それを見ながら月読が鼻を鳴らす。



“ふ・・・例え天照大神様が乗られていた【大和撫子】であろうが
 我が【夜之食国】と須佐之男様の乗られている【海原】の二隻が敵ではない。
 何せこちらは改良式だからな、フフホホホホホ ホーッホホホホホホホホ”




 月読の笑い声と共に画面がまた変わる。



 そこもまた戦艦内であった、但し、今度は擬視感が先に出た。

 自分はこの戦艦を知っている、いや知っているどころでは無い気がする。 


 
 見慣れた通信席がある。そしてそこにはメグミ=レイナードが座っている。

 見慣れたオペレート席がある。そこにはマキビ=ハリが座っている。

 見慣れた操舵席がある。そこにはハルカ=ミナトが座っている。

 見慣れた副長席がある。そこにはゴート=ホーリーが座っている。


 ああ、どうして気が付かなかったのであろうか、此処はナデシコである。

 自分の追い求めてやまない自分が存在して良い場所である。


 そして、艦長席には・・・・・・・・・・・



『!?』



“フ・・・・俺の可愛い婚約者卑弥呼、いや、【御統 百合花】
 もう君には逃げ場所がない・・・大人しく**を渡してもらおう。”



 
 艦長席にいるのは男であった。

 しかし、彼の戦友ではない。ついでに言うならば決して対面したこともない。

 彼は今何かを卑弥呼から奪う気であるがそれが何か聞き取れなかったようだ。

 しかし、構わない。

 それどころではないからである。




“何故このような事をするのですか、須佐之男。
 戦は天照大神様が望む物ではない、それは貴方とて知ってのことでしょう。”


 卑弥呼が【彼】に対して通信を送る。



“須佐之男!!貴様は一体何を企んでいる、何故“海原”を!!
 それは天津神様より与えられた神艦が一つ・・・・・・
 貴様・・・・この世界を滅ぼす気か!?”


 大豪寺 凱も【彼】に対して通信を送る。



“ふ・・・貴様には分からぬ事よ大豪寺 凱・・・・
 所詮貴様は海賊になり切れぬ宮仕え、馴らされた猛者に用は無い。
 くくく、それに【海原】だけではなく【夜之食国】がいるのをお忘れなく。”


 月読が大豪寺 凱に言う、そして【彼】が全てに対して言う。



“その通り、少し黙っていてくれないか我が親友、天手力男神。
 我々はもう君のぬるま湯な政策には耐えられないのだよ百合花。
 もう、後がない。既に我々【大和神族】は死のうとしている。
 しかし、我々は滅ぶ気など毛頭ない、
 だからもう一つの可能性を我が手にしようとした、そう、新たな地球を。”




 アキトには【彼】のいわんとしている事が少しも理解し得なかった。

【大和神族】そして【新たな地球】、不明な単語が在る。

 アキトの疑惑もそのままに彼は言葉を更に紡ぐ。



“我々の提案を君に話したとき、君は何と言った?
《我々が滅び行く運命ならばそれは甘んじて受け入れるべきです》?
《命は何時しか費える物、だから他の生命を巻き込むべきではない》?
 愚かだよ、全くもって愚かだよ【主導神】卑弥呼様。


 君・・いや貴女様は我々にとってもう必要がありません。

 だから俺は貴女様を力ずくでも降ろそうと思うんだ。

 新しい【主導神】には天照大神様を迎えようと思う。”
 


 あまりにも勝手な言い分である、必要ないから切り捨てると言っているのだ。

 だが、アキトは【彼】に対して憎しみを抱くことが出来なかった。

 何故なら・・・・・・・・・・・




“そう言ったわけで安心してお眠り下さい卑弥呼様・・【大和】は生まれ変わる。
 我が須佐之男・・・・いや、【天河 明人】の手によって!!”




【彼】はもう一つの自分自身であったからである。

 須佐之男の言葉と共に、アキトの目の前が暗転し、遠のいていく。







〜メイアの意識 中枢部〜
 


 そこは再びメジェール本星であった、ただし所々煙が出ている。



「やめて・・・・嫌・・・私にこれを見せないで・・・嫌だよ、嫌だよ」



 突然人形のように座っていたメイアが顔を苦痛にゆがめて泣き出す。

 嗚咽混じりにその光景を否定しようとする。

 一体彼女にこの地で何があったというのか、それは次の瞬間分かった。




ドゴォゥゥゥゥン!!!←二回り大きく




 眩い閃光と共に突如大爆発が発生した。

 そして次々に爆発する大地から離陸しようとする脱出カプセル。

 それに群がる人々、その中にはメイアの姿も見られる。


 けたたましい轟音と共に激しい炎が葺き上がる。天への怒りのように聳え立つ

火柱は周辺の施設に飛び火し、新たな火柱を作り上げる。

 人々の悲痛な叫び声が聞こえる。着の身着のままで逃げ惑う群衆の中、

 メイアを含む数十人の【子供】だけが脱出カプセルへと誘導された。



 定員を倍にオーバーして無理矢理押し込まれる子供達。

 それを誘導するのはメイアの母であった。



‘早く!一人でも多くの子供を逃がすのよ!!私たちはどうなってもいから!!!’
(メイア、誰が乗らなくてもメイア!あ、何メイアに密着してるのよ!!)


 普段は【大和撫子】といった表現が似合うエリーザが毅然とした物に変わる。

 メイアが最初で最後に見た強い母の姿であった。
(元々強かったのだが・・・・しかも、かなり)

 悲痛な表情で何かを叫ぶ少女姿のメイアが見える。



“待って、母さんも一緒に!!”



 騒音の中、必死に涙を流しながら母に向かってメイアが叫ぶ。

 しかし、母は煤だらけの顔をゆっくりと左右に振ると、答えの代わりに     
 小さな箱を手渡した。

 それは【素晴らしい世界】のオルゴールであった。

 唖然としたメイアが一瞬気を抜く、その瞬間カプセルの扉が閉じられる。



 そして、ハッチ越しに母の最後の(裏表のない)言葉が聞こえた。




“メイア・・・貴女の大切な人はきっと見つかる。そう必ず。
 だから人を憎まないで、好きになって・・・そうすれば未来が作れるから。
 友達でも仲間でもいい・・・それが私の生涯で最後の願いよ・・・・・・”






 
         その数秒後、カプセルは飛び立った。




 ・・・・・・・・・そして、大陸全てを呑み込む炎上・・・・・・・・・・





「ひっく・・えぐ、ごめんね母さん、私・・母さんの・お願い聞けそうにないよ。
 最後の・・親孝行・・・・出来そう・・えぐ・・・にないよ・・・・・・・・」




 メイアは再び泣いていた。

【追憶】という魔物に襲われて・・・・・・




 その後、彼女を含む脱出カプセルに乗せられた子供達は、衛星都市に回収された

 後、孤児として施設に収容された。

 マーディの失踪以来、メイアに対する人々の視線は冷たく、いつも道の真ん中を

 歩いていた彼女とは別人の如く、隠れるように隅の方を歩くようになった。



 ・・・・それでも【世間】という物は計り知れない厳しさであった。

 例え隅の方を歩いていてもすぐに後ろ指を指されるのである。




 彼女は有名になりすぎていた。




 国家後押しの腐れプロジェクトの発足である馬鹿達の娘。

 そして、調子に乗り周囲にアピールだけをした元チャイドル。 

 何処に行ってもこれらは彼女にまとわりついてきた。


 罵声を浴び、時には石を投げられたりもした。

 だが、尤もこたえるものがあった。

 一緒にカプセルに乗ってきた子供達からの呪詛に近い罵声である。

 彼女たちにとってメイアはまさしく親の敵である。

 何度か命を狙われたりもした。




 そうした日常とは遠くかけ離れた日常を生き抜くためにメイアは

 強くならなければならなかった。



 肉体的にも、精神的にも。



 怒り、失望、後悔、ありとあらゆる感情が混濁してもそれを押し込め、

 前へ踏み出せるように。

 刃が襲ってきてもその刃を押し返し、自らの身を守りつつ敵を減らせるように。



 そして、マグノに拾われてからもそれは続いた・・・・・・・・

 続いた結果はどうであったか?

 結局誰からも近寄りがたい人間になってしまったのではないか?

 心から話せる友達など作れないようになってしまったのではないか?






 周りの情景が海賊になってからのものに変わる。






“ちょっとメイア・・・・ドレッドの操縦が上手いからって
 いい気になるんじゃないわよ!この冷血女!!”


 今は別の艦にいるパイロットが現れてメイアに言う。

 しかし、メイアの対応は・・・・・・・・・・・


“ふ、弱い犬ほどよく吠える・・・次の戦闘ではお前を外そう、
 感情が高ぶって制御できない奴など使い物にならない。”


 あまりにも突き放した応対である。

 成る程、伊耶那美が言っていたことがよく分かる。

 



「私は思い上がっていた・・・自分が全て正しいと・・・だから他人を考えずに
 ・・・えぐ・・・でも、もう今ではどうにもならない!!!」





 画面は変わる・・・・アキトの登場まで・・・・・・・

 そして想う、彼に会ってからのことを・・・・・



“ふっ、どうやらせっかく貴様がしたことも無駄になりそうだ・・・・
 もう時間が無い。我々の仲間はもう脱出に入った。
 我々は此処で終わりだ・・・・・・・・・・”


 タラーク正規軍が発射した大型弾【村正】が既に回避不可能と言うことを知り

 諦め果てた私はアキトにたいして言った。 だが、アキトは諦めてなかった。




“何だって!?く・・・こうなったらボソンジャンプで・・・だめだ・・・・
 ・・・この娘達がB級ジャンパー以上だという確証がない!!”



 
 それを見て私は愚かだと思った。脱出など出来ようはずがないのだ。

 なのにアキトは必死に考えている。

 だけど・・・・・・・



“何を考えているかは知らないがもう数十秒とない。もう諦めろ・・・・
 男という生き物は潔いと聞いていたが、そうでも・・「馬鹿野郎ッ」・・ッ!?”


“そう簡単に生きることを諦めるな!
 まだ生きて何かをしなければいけないはずだっ!!
 諦めた瞬間にすべてが終わる!だから俺は・・・・
 俺は・・・いかなる状況でも決して諦めたりはしない!!”



 彼は諦めなかった。

 結果としてはその後ヒスイのおかげで助かったのだがこの時から

 アキトは私の中で細々とした一角を占めるようになった。

 本当に細々としていた・・・・が。



“私の名前はメイア。メイア=ギスボーンだ。メイアでいい。”

“うん。よろしくメイアちゃん”(ニコ)

“え!?いや、その、メイアちゃんって?”




 彼と共にいる内に・・・たった一日にも足りぬ時間の中で

 どんどんアキトの存在は大きくなっていった。

 だから・・・・・・・・・・




ドォォォォォォォォォン



“敵キューブタイプ、タラークの蛮型とディ・・ディータ機を巻き込んで
 自爆しました・・駄目、このエネルギーだとドレッドは耐えられない・・・・・”


“アキト――っっっっ、ディータァ〜〜!!!!!”



 彼が死んだと思ったとき、感情を押し込めずに叫んでしまった。

 その後、彼が大丈夫だと分かったとき、久しぶりに涙が出た。

 不思議だった、アキトと一緒にいると元々の自分が取り戻されるようであった。

 周囲の人とも溶け込めたような気もした。



 そして何より彼は私を受け入れてくれそうであった。

 彼は私と普通に話してくれた、私を一人の女として認識してくれた。

 だから・・・・・私もアキトに好感を抱いていた。

 母さんが言っていた【大切な人】にしたいとも思った。




 それなのに、




“・・・・した、だけど操縦するのが下手なんだったらイメージすれば良いんです。
 それなら得意です!!”

“イメージ・・・?一体それとドレッドの操縦に何が関係有るというのだ?”



 その後、ディータがIFSを付けていることを私は知った。

 アキトと一緒のものを・・・・私の知らぬ間に何の知らせも無しに。

 それは嫉妬だったと今なら分かる、たった一日前なのにもう遠い昔のように

 感じられる。



 だから私はその嫉妬のはけ口をディータにそのまま向けてしまった。

 チームから外すと言った最悪な形で・・・・・

 そのときはそれが最善の手段だと思った。いい気味とさえも想った。

 だからその後の戦績が気にくわなかったのであろう。


“いくよディータちゃん!!フォーメーション・金鳳花(キンポウゲ)!!!”
“まっかしてアキトさん!!!”



 いや、此処まで来て誤魔化すこともあるまい。

 アキトとディータが仲睦まじく連携しているのが見たくなかったのだ。

 別にアキトは誰のものでもない、だけど私は認めたくなかった。
 
 



 アキトは私よりディータの方を気にかけている事実を。






 そして私は取り返しの付かないことばかり彼にしてしまった。





“異常だ・・・・アキトの戦闘力はあまりにも異常すぎる・・・・・・”

“所詮は男が作ったヴァンガードだ”

“ふざけるなっ!!”


 周りの画面がアキトに直接言ったものから間接に言ったものまで、

 私がアキトに対していった暴言を集めたものに変わる。

 それらは他人を自分から遠ざける行為であった。



“友達を疑うなんてエレガントでは無い真似はしたくないわ・・・”
“それじゃあね。”
“これからは認識を変えなきゃいけないかねぇ、メイア?”


 ジュラが、バーネットが、ガスコーニュが私の周りから去っていく。


 そして、


“殿方が敬遠されますよ。”



 伊耶那美の言葉が何度も何度も私の耳に入ってくる。

 殿方・・・・即ち男の事。

 やはり私はアキトにも嫌われてしまったのか・・・・・・・


 そう理解したら何か体が軽くなった、そうか、私は死ぬのか。

 もういいよ、私が生きている意味など何処にももう無い。 



「じゃあね、今行くから・・・母さん・・・怒るだろうな・・・」



 そして虹色の光に包まれながらメイアは呟いた。









      「でも、出来るなら最後にアキトに――――」








     その呟きと共にメイアの体は光と共に消えていった。







〜メイアの意識内 永遠の草原〜




「え〜と・・・・これはどうしたらいいんでしょうかねぇ。」



 この間の抜けたような言葉はエリーザのものである。

 彼女は正直困っていた・・・・これでもかっていう程に。

 その原因になっている目の前にいる人物を眺める。



ジーーーーーーーーーッ



 その視線を受けている人物はその視線をびくともしない。

 当たり前である、意識がないのだから(笑)

 それでももうちょっと眺めてみることにしてみよう。



ジジーーーーーーーーーッ ポン!  プニプニ


『う・・・ううん』
「あら、可愛い(はあと)」




 どうやら眺めるだけではなくて触りたくなってきたらしい。 

 幸せそうな恍惚とした表情で頬をつつき始めた。

 言うまでもないがその問題の人物は我らがアキト君である。


 行をとばしていない方なら分かると思うが今アキトは失神に近い状態にある。

 原因は先程見た映像にある。

            プニプニ

 それは漆黒の戦神と言えども衝撃が強い映像であった。

 いや、彼だからこそ衝撃が強かったと言うべきであろう。

 その映像は彼がかつて婚約者であったユリカに対して総力戦を挑むと言った

 映像だったからである。

           プニプニプニ

 しかも、その映像はあくまでもノンフィクションに近い。

 だからこそプニプニ・・・って煩い!!もう良いわ。



 ぷにむにゅうぷにむにゅう θ\(・∇・)ヒギ、スリッパクラッシュ(理解不能)



 アキトが気が付かないまましばらくそうしていたら突然空気が震え始めた。

 尋常な揺れでないことから風の類ではないことが分かる。

  
         そして・・・・・・光が現れた。



「あらあら、やっと自分の大切なものに気が付いたみたいね・・・メイア。
 でも・・・どうしようかしら、アキトさん未だに目が覚めてくれないし。
 まあ、どうにかなるでしょう!」



(なるんかい!?) ※突っ込みたい方はこの通りにどうぞ(はあと)



「とりあえずアキトさんはこの辺りに隠しておいて・・・・と。
 うん、この様子だと後一時間ぐらいは気絶していてくれるでしょう。」



 あんた・・・・・今度は一体なにを企んでいるねん(汗)





〜メイアの意識内 永遠の草原 光の中心〜





 永遠に続くかと思われた光は徐々に失われていく。

 その光が生命の象徴というのならばその消滅は何を表しているのだろうか?



 ・・・いや、別に何も表してないんだけどね(作者の本音)・・・



 そして光が完全に失われたとき、そこにはメイアがいた。




「・・・・・アタシ・・・・・・・・死んだの?・・・・・・・・」



 何処か虚ろな表情でメイアが呟く。

 それもそうであろう、目の前にはお花畑があり、川も流れている。

 光景の上では黄泉地への出発点一直線である。



 メイアが何処か悟ったような顔をしていると後ろから声が聞こえてきた。





「いいえ、違います。貴女は死んでなんかいませんよ・・・私の可愛いメイア。」






 ずっとその声が聞きたかった。

 でもそれはもう聞けないものだと思っていた。

 
 だけど・・そう、だけど・・・今聞こえるのは間違える事なき・・・・・




「母さん!!」

「ふふ・・・久しぶりねメイア。まだ私を母さんって呼んでくれるのね?」



 ずっと会いたかった母の声。

 メイアの両の瞳からポロポロと涙が溢れた。

 するとエリーザがそれを拭いつつメイアに話しかけてきた。 




「どうしたのメイア?貴女は心の強い娘でしょう、どうして涙が出るの?」

「だって・・・エグ・・・だって・・母さんに・ヒク・・」



 メイアの言葉は嗚咽となり言葉にならなかった。

 だけどしっかりとエリーザに抱きつき、母の胸で子供のように泣きじゃくった。

 母と娘の感動的な再会。

 そして、母の心境はと言うと!!



(アア・・・日頃とのギャップが何とも言えなく萌えるわ・・・可愛い〜!!!)



 娘の泣きじゃくる姿に果てしなく萌えていた。(笑)

 よく見るとエリーザさんは既にとろけきったように顔を崩している。

 よっぽど抱きつかれたのが嬉しかったのであろう。表情の緩いこと。

 
 だが、不思議なものである。

 メイアにはそれが慈悲深い母の表情に見えているのだから(をいをい)

 そして、しばらくした後・・・・・・・・・・・





「ごめんね・・・・母さん。」


 突然メイアが謝った。その表情には悲しみがありありと取れる。

 どうでも良いことであるが泣き続けていたために目が腫れていて

 それはそれで萌えと言うものがある。



「・・・・どうして謝るの、メイア?」
(泣き腫らしてそれでいて棄てられた子犬のようなその表情〔以下略〕)


 メイアの突然の言葉に少し逡巡(脳内妄想ともいふ)した後に

 エリーザが優しく尋ねる。

 ちなみに今度こそ本当に慈母の仮面を被っている。(ペルソナ!?)




「だって、母さんのお願い・・・【大切な人】・・・見つけられなかった。」


 母を抱きしめる腕が震え出す。

 やはり心の底から申し訳ないと思っていたのであろう。

 母の胸に顔を埋めながら再びメイアの嗚咽が聞こえ始める。

 怒られると思うより母が悲しむと思って胸が痛む。
 

 だけど、母の言葉はメイアが予想していたものとは違っていた。



「いいえ・・・貴女には自分が大切にしたいと思っている人がいるでしょう?」
(やっぱりあの時は周りが良くなかったのね、こんなに素直なメイアが〔以下略〕)



「え!?」


「貴女には自分の中で一番にしたい人がいる。それを表に出してないだけ。」
(でもやっぱり私がメイアの【大切な人】になりたかったな〜)


 その言葉には確信が籠もっている。

 大切な人がいるからこそ此処に来られたのである。

 この草原は【大切な人】が在る人のみ来られる意識の草原。

 そう、例え人であろうが無かろうが。




「でも・・・・私には・・・・・・」



 それでも否定しようとするメイアにエリーザは呪文を唱える。


「テンカワ=アキト」

「えっ!?」


 驚くメイア、まさか母がアキトを知っているとは思っていなかったようだ。

 だが、驚いているメイアを尻目にどんどん話し続けるエリーザ。 
 


「アキトさんは私の目から見ても及第点を遙かに越えているわ!!
 まぁ、周りはタラークとメジェールの関係について厳しいけど
 って、まだ自覚が足りないかしら・・・・・」

「ちょ、ちょっと待って、何で母さんがアキトのことを!?」


 至極当然のことを聞くメイア。

 で、相手の反応はと言うト・・・・・・ 




「だって、ここに来ていますから♪」


ピシイッ





 さらっと爆弾投下、単刀直入すぎる。

 たっぷり一分ほど経過した後・・・・・・・



「母さん・・今、何て?」

「ですから、ここに来ているんですよ。アキトさんが(はあと)」

「何でアキトが私の意識の中に!?」


 今度は間髪入れずに問い返すメイア。

 しかし、母は強し!!(意味は微妙に違うが)

 たっぷりと時間をおいて、感慨深げに語り始める。





「分からないの、メイア?アキトさんは貴女を連れ戻しに来てくれたのよ。」

「え!?」

 


 方法を聞いたはずなのにいつの間にか理由を答えているのは大人の事情(汗)

 だが、メイアにはそんなことは気にもとまらない。

 今、彼女には自分のためにアキトが此処まで来たと聞こえたからである。




「アキトが・・・・私の為に?」



 自分で確認の意味を込めて呟くメイア。

 そして、エリーザが頷き、続きを話し始める。



「そうよ、メイア。アキトさんは貴女に戻ってきて欲しいからここに来たの。」

「そんな・・・・どうしてアキトが私なんかのために!?
 私は・・・アキトに非道いことを言ってしまった、
 アキトを否定してしまったんだよ!?それなのにどうして!?」」



 日頃の冷静な彼女からは想像もできないような、そう、まるで・・・・

【子供】のように母親に尋ねるメイア。


 しかしそれも無理はない。

 彼女自身がアキトに嫌われたと思っていたのである。

 
 アキトを否定した自分がそこにいる。

 アキトの一挙一動が癪に障った自分がそこにいる。

 アキトを畏怖した自分がそこにいる。

 
 だからこそ、アキトが自分を迎えに来てくれた事実が信じられずにいた。



「そんな、分からない、どうして・・・どうして・・・?」
 



 う〜〜む、たっぷりとパニック中。

 いや、メイアは只知らないのではなく忘れているのだ。

【人の優しさ】というものを。


 いくら人情溢れるところとはいえ、彼女がいるのは海賊船である。

 基本のお仕事は略奪、時には徹底的な戦闘が伴う。

 それでいて戦闘隊の隊長となれば人の優しさを見つけられなくても

 悲しいことであるが当然かもしれない。

 アキトがメイアを助けようと思うのに理由は要らない。

『助けたいと思ったから助けた』、これが根本なのである。




 さあ、メイアがループに走らない内にエリーザさん、教えてあげなさい。

只でさえ考えたらどんどんはまってしまう性格してるんですから。



「あら、私がですか?」
(私が教えるのは浪漫がないんだけどな〜〜)


 あんた、母親でしょうが、四の五の言わずに・・・・


「こういうのは普通本人が気付くのを待つべきでは?」
(此処で「はっ!」と気付いて悶えるメイアちゃんが見たいのに〜〜)


 金輪際出番無くしちゃいますよ(はあと)





「まぢですか?」\(・∇\ソノハナシオイトケナイ?(/∇・)/





 顔文字使ってまで表現せんでいい!!まぢだ!!(−_−メ;)



「・・・・・・・」

 ・・・・・・・





「それでメイア、何故アキトさんがここに来たかなんだけれど・・・・・」



 異常に晴れやかな笑顔でメイアに話しかけるエリーザ。

 どうやらようやく分かってくれたらしい、全く手間をとらせて・・・



「それはね・・・・・・」

「それは・・・・・?」


 
 凄くもったいぶって話すエリーザ、そして、ゆっくりと口を開く。





「そこにおられるアキトさんに直接聞くのはどうかしら?」

「えっ!?」





 視線をメイアの後ろに投げかけるエリーザ。

 そして、恐る恐る自分も同じ視線に向くメイア。

 振り向いた先にいたのは、今、自分が尤も心を痛めている相手。





『メイアちゃん、ようやく逢えた・・・俺と一緒に帰ってくれないかな?』




 テンカワ=アキトがそこにいた。

 成る程、エリーザは計っていた訳か、ちょうどこうなる時間を。

 そして彼女の目論見通りに二人は巡り会えた。

 しかも、ちょうどいいタイミングで(はあと)






〜メイアの意識内 永遠の草原 〜



 今、アキトはメイアと二人きりでいる。

 理由は言わずとしれたエリーザお母様の所行だ。


「うふふ、後はお若い二人にお任せしちゃいます。
 ―――――邪魔者は消えますので!!」


 と言う台詞を残し、何処かへ文字通り消えていってしまった。

 あの人、本当に精神体だけなのか?本当はまだ健在なんじゃ・・・



「失礼な、しっかりと享年XX歳でしっかりと死んでいます。」



 いきなり現れるな、って言うか、X取って見ろ、特に二桁目。


「そんな細かいことよりも私たちがすることは
 若い二人の青春を見届けることです!!」(断言)



 人、それをデバガメと言う・・・・ハイ、本編に戻します。




「アキト・・・・」

『ん、何だい、メイアちゃん?』



 静寂を破ってメイアが口を開く、それはとても弱い少女の声。

 何かに耐えているような、そんな何かを押し込めた声。



 そんな気持ちを知ってか知らずか(知らないだろうけど)

 ごく自然体で返すアキト。

 その自然さに後押しされたのか、メイアが続きを紡ぐ。



「どうして・・・・どうしてアキトは、私を・・連れ戻しに来てくれたんだ?」




 メイアが今一番知りたいことを聞く。

 何故自分なんかを連れ戻しに来てくれたのか・・・・・・・ 

 全くもって理解不能であった。


 だからこそ知りたい、彼の理由を。

 彼が前人未聞の意識内という領域に入ってまで

 私を助けに来てくれたという確固たる理由を。


 もしそれが私ではなく、私の中にある何かに理由があったとしても。

 もし、これが私とは関係のないところで動いていた話といえども・・・・・

 だからこそ、次のアキトの言葉には拍子抜けすることになった。



 

『別に理由なんてものはないよ』(天然)


             

 間(3,2秒)



「え!?」


『・・・と言うか、理由だなんてそんな大層なものじゃなくて、
 俺がただメイアちゃんを助けたかったんだよ。それに・・・・』 


「それに?」


『もし、他の皆がいても絶対に俺と同じ事をすると思うよ。
 だって、皆メイアちゃんのことを大切に思っているから。』 


「!!・・・・そんな事!?」

 

 思わず否定しようとするメイア。 

 自分は人に思われているわけがないと思っていた最中だけに

 それは否定するしかなかった。  

 だけど、アキトは微笑みながら話す。 




「メイアちゃん、そもそも俺がメイアちゃんの危険に
 気付けたのもテンホウちゃんのおかげなんだよ。
 あの娘は搭乗訓練に参加しなかった君をすごく心配していた。」


「テンホウ・・・が?」


『ああ、あの娘は君のことをお姉さんのような存在だと思っている。
 メイアちゃんのことを話すとき、凄く嬉しそうな顔をして話すんだ。
 まるで自分のことを話すように笑顔で、だからこそ今は凄く心配していた。』




 その話を聞いたときにメイアの記憶の中に蘇るものがあった。

 テンホウがブリッジクルーになりたいと志願してきたときのことである。

 始めは誰もが反対していた。

 仕方がないのでメイアが事情を聞きに行ったとき、テンホウは言った。


《私にも出来ることが在るんだから・・それでメイアさんの役に立ちたい》


 何で忘れていたんだろう、こんなに素敵な思い出を。

 知らず知らずに人のぬくもりを封印していたのであろうか。


『もちろんテンホウちゃんだけではない、バーネットちゃんやジュラ、
 ガスコガールズ、お頭、副長、ガスコーニュさん、それに他のクルーの皆、
 そして、ディータちゃんも君のことを心配していたよ。』

「皆が・・・私を?」

『ああ、だから、さっさと帰ろう。もう夜も深いはずだし、
 明日は・・・ッて言うかもう今日なのかな、デザーツへの降下もあるから
 よく休息はとった方がいいよ。』



 そう言ってアキトはメイアの手を取ろうとする、しかしメイアは・・・・・・





「だけど・・・やっぱり、私は行けない・・・行けないよアキト。
 私は・・・もう戻れない、みんなに会わす顔がない。」




 手を取らず俯いてしまう。

 知ったからこそ余計に戒めは深くなるものである。

 皆様には経験がないであろうか?一旦自分の存在してもいい場所を
 
 否定してしまうと、その場所の大切さが分かったときに肯定しにくくなる。


 今の彼女の心境が正にその極致である。


 周囲の人を全て必要ないと思っていたのに周りからは必要であると思われていた。

 自己嫌悪此処に極まれり、戻れない、みんなにすまなく思うからこそ戻れない。

 それが最善の策だと彼女は思っている。



 だからこそ、アキトはその言葉に純粋に怒ることが出来たのであろう。

 帰ることの出来る彼女を見て、帰りたくても術がない彼は。 
  




『・・・・・それが、どうしたんだい・・・・・・?』




 溢れださんとする感情を押さえ込みながら返すアキト。   

 しかし、悲しいかな。
 
 この世界ではメイアの前では一度たりとて【漆黒の戦神】になっていない。

 そのため、それに気が付かずに彼女は更に言葉を続ける。 




「だって、私は皆を否定してしまった!!
 アキトを、ディータを、ジュラを、バーネットを・・・・・」
 
『・・・・・・・・』

「私を拾ってくれたお頭も、副長も、ガスコーニュさんも・・・
 ドレッドチームの皆にもいつも不快感ばかり与えていた・・・
 それに・・・テンホウに対しても私は何も返すことが出来なかった。」

『・・・・・・・・』

「そんな私が皆のとこるに帰ることなんか!!」



                ぷつん

         何かが切れるような音がした気がする。





          『ふざけないでくれないかな?』




 突然アキトの口から紡がれる否定の言葉。 
 
 その口調は暖かみも冷たいも無い淡々としたものであった。

 最早、怒りというものを通り越してしまったように見える。




「え!?」


『・・・・・・・巫山戯ないでくれるかなメイアちゃん・・・・・・
 皆を否定だの、もう戻れないだのとそんな屁理屈ばっかりこねないでくれよ。
 聞いてるだけで虫酸が走る、君が死ねばハイ終わりという訳ではないだろう?
 勝手に初めて勝手に終わる、そして周りに迷惑だけを振りまいていく。
 迷惑にも程がある、そんな迷惑の為だけに今までの人生使ってきたのかい?』


「―――え!?、え、あ、あああ・・」


 真実すぎる意見にメイアの両の瞳から涙がぼろぼろ零れる。
 
 今までこれ程の辛辣な言葉は受けなかっただろう。

 だけど、アキトはやめない。


『駄目すぎるよ―――全くもって駄目すぎる生き方だ。
 いや、【逝き方】かな?まあ、どちらにしても畜生以下の人生だね。
 何とも戦わずに自分が嫌になったから只死んでいく。
 本当にやるべき事を見つけても目を逸らして、言い訳して自分を正当化して
 誤魔化して、それで卑屈ですらない―――本物の馬鹿だよ、君は。』



 アキトが元いた世界でも此処までの言葉は使わなかったであろう。
 
 これは鬱憤だのそんなものを含まない。

 それ故に、静かに燃えている矛は燃えたまま相手に突き刺さる。



『以前も言ったが最後まで諦めるな、この程度はまだ絶望じゃない!
 そして背筋を伸ばした生き方をしろ!自分を見限るな!そしてそれを
 自分の都合で終わらせるな!どうでも良いことばかり内面にしまうな!
 自己陶酔するな!自分の駄目な生き方に他人様を巻き込むな!
 簡単に他人を否定するな!肯定するにしてもぐちゃぐちゃと阿呆みたいに
 ねじまがったな肯定をするな!味方に吼えるな敵に吼えろ!
 同情されようと思うな!自分を引きずって人生全うしようとするな!
 少なくとも―――少なくとも今の君に欠けているモノがこれだけある。』


「・・・う、うるさいっ!五月蠅い五月蝿い煩い!!!!!
 やっぱり、やっぱりアキトは私のことを理解できてない!!
 アキトには分かるの!?―――私が味わった苦しみが!!!!!!
 周りに見捨てられて、両親がいなくなって、避難される苦しみが!!」」


 震えながら悲痛に叫ぶメイア。

 最早感情などと言うものは飾りにしか過ぎない。

 心の底に堪っていた憎しみを全て吐き出している。

 だけど、彼女一人如きの憎しみなど【漆黒の戦神】にはかすりもしない。


『両親がいなくなった、ああ、それは確かに同情するね。
 だけどさ俺の両親は殺された、それも一企業の利益の為だけに。 
 しかも、表向きはテロリストに巻き込まれた形でずっとそれを知らなかった。
 まぁ、知らなくてもそのまま俺は故郷で人間らしく育って友達も作った。
 だけど、その友達は全員死んだ。馬鹿な戦争のおかげで全滅だ。
 見捨てられるどころの騒ぎじゃない、今さっきいた人が次の瞬間に肉塊だ。
 その後俺は生き残りを助けに行くために戦艦に乗った。
 表向きはコックとして、本当はモルモットとして見られていたんだけどね。 
 そんな中で人の生き死にもたっぷりと見てきて、大切な人も死んでいった。
 ―――どうだい、俺の方が君より同情されるべき人生送ってると思うけど。』 


「あ・・・・あ・・・・あ・・・・・」



 茫然自失だった。

 何でそこまでされてまともに生きていけるのだ。

 普通なら壊れていても可笑しくはない、いや、既に壊れているはずだ。


『もちろんこれは俺に限った話じゃない、
 俺の知る限りディータちゃんも似たようなものだ。
 彼女は元々上流階級の家庭に生まれたんだけど事故で両親を失っている。
 それで孤児院に入って今までの半生を過ごしてきたんだ。
 けれども彼女の住んでいたブロックはメジェールの為だけに見放される。
 彼女は目の前で数百人単位の人が死ぬのを見て、実感してきた。
 それでも彼女は笑って過ごそうとしている、もう繰り返さないために。
 ――――――うん、立派な娘じゃないか、好感を覚えるよ。』


「ディータが!?、そんな、そんな話聞いて・・・・」


『彼女なりの気配りさ、この際なら教えて置くけど
 ディータちゃんは幼少メジェール本星に住んでいた。
 しかもプラント地区近くのコロニーの辺りに。もう分かるよね、
 ―――彼女の両親が亡くなって彼女が孤児院に入ることになった理由。』

「・・・まさか・・・まさか・・・そんな・・・
 ・・どうして・・どうしてディータは・・・私を・・・
 何でディータは《親の敵》である私を憎まなかったんだ!!??」



 繋がる人と人との過去と記憶。
 
 今此処で私たちが出会ったことは必然であったのか偶然であったのか。

 だが、それもまた関係ない。そのとき相手にどうするかで間柄は決まる。



『ご名答、彼女の両親は君の母さんが亡くなったときに同時に亡くなっている。
 だけど彼女は決して君を憎まない、それどころか誰にも憎しみを覚えない。
 彼女は過去に対して振り返ることがあっても決して憎悪を抱かない  
【罪を憎んで人を憎まず】、この言葉が意味を持てる娘なんだよ彼女は。』


「―――でも・・・それだったら、余計に帰れない。
 私は・・・・・私がディータのご両親を・・・・・・」


       
『ふぅ―――、別に君が直接殺したって訳じゃないだろう。
 間接的に、しかも親のごたごたに巻き込まれたって形だ。
 更に君も立派な――被害者だし、決して地表事故の責任は問われない。』 


「――――!?」

 
『確かにメイアちゃんは一般の人からすれば
 常識を逸したほどに過酷な人生を送ってきたと思う。
 だけど、世の中には恐らく君より非道い人生を送ってきた人がいる。
 ――人体実験の材料にされたり、目の前で家族が引き裂かれたり。 
 自分だけが苦しい思いをしているなんて思っちゃ駄目なんだよ。』


「それは・・・・アキトがされたのか?」


『ああ。――』


 短い返事、だけどその中には一体どれだけの重みが詰まっているのか。

 メイアが考えるだけでも途方な生き方。

 だけど、アキトは更にその言葉を続けた。

 

 
『――しかも、それは未だに終わっていない。』

「え!?」



 そこでアキトは表情を曇らせて、瞳から焦点を無くし、淡々と語る。



『終われないんだ・・・終わらせようともした、だけど――終われない。
 どんなに頑張っても、血反吐を吐いても、結局は大切な人を失う。 
 同じ事をしても、必ず何処かが違う、そのズレでまた人が死ぬ。
 叫ぼうが、泣こうが・・・・俺の絶望は決して終わらないんだよ。』

「え?、アキト!?」


 メイアが異常を感じて声をかける。

 だけど、それはアキトには届いていない。


『【漆黒の戦神】と呼ばれて【Moon Night】と共に戦い
 結果的には史実より何千人もの人名が救われた。
 ―――だけど、本当なら生きていたかもしれないメティちゃんが死んだ。
 【ナデシコ】を自分の居場所を守るために必死になって戦いを終結させた。 
 ―――だけど、守りきっても、俺はそこから【遺跡】に遠ざけられた。』

「・・っ!一体何を!?」


 アキトは既に自分の内面を語っていることに気が付いていない。 

 この世界に来てからの色々なことのフラストレーションが一気に出たのか

 口調こそ淡々と、己の闇を吐き出すように言う。


『それで、この世界に来ても――異世界に来ても終わることが出来ない。
【大和】、【須佐之男】、【伊耶那美命】、そして【天津神】。 
 どうしてだ、どうして俺が行くところ行くところに災いが及ぶんだ・・』



 そして最後に、とても苦しくて堪らないような顔で言う。

 人の温かさを見つけ、心の安らぎを見つけ、自分を休ませ、

 でも、それでも、そんなに素晴らしい世界であっても―――





『俺の所為でこの世界は――――既に崩壊への道を歩んでいる。』





 確固たる意志を持ったイレギュラーによっていとも簡単に崩れてしまう。

 世界は決して抗おうとしない、その流れの元に過ぎゆかせるだけ。

 全てが終わったときに人はそれを必然として認めてしまうのであろう。


             何の疑いを持つことなく



               第六話へ続く。




 後書きという名の反省文並びに懺悔の時間

 
 続きを楽しみにしてくれていた超少数派の皆様、すみません。
 はっきり言って訳の分からないモノ――駄作中の駄作になってしまいました。

 前半からかけてギャグとも言えなく何処か停滞したようになってしまい・・・
 後半の最後の部分なんかアキトの性格が多少壊れてしまいました。
 しかもシリアスにすらなりきっていないです(泣)


 やば(大汗)


 折角皆様より頂戴したアイディアの方も上手く活用できず終いになって

 シロ様、音威神矢様、謎様、蒼空改様、振り子様、黒鋼の巨神様、
 エアリエル様、黒サブレ様、maryuw様、くーがー様、TWINサーバー様
 ファウスト様、匿名希望様、永遠のバッチグー様、年金生活様

 本当に皆様すみません、もうしばらく出番に時間が掛かりそうです(平身低頭)
 ですが、必ず、絶対に出しますのでそのときはまた微調整をお願いいたします。


 さて、更に駄作の分からない部分を書かせて頂くのなら・・・・・・

【大和】は原作(?)版が遊撃宇宙戦艦の敵の【大和】です。
 こちらの方はアニメ版とストーリーもキャラクター描写もタッチも違うので
 読んでいただかないと【須佐之男】や【月読】は分からないと思います。


>何でそんな分かり辛い物材料にするのか!? 


 ネタがなかったからです、流石にアキト最強主義で書いてるとつまりませんし。
 はい、言い訳です、本当に申し訳ございません、どうか御割愛の程を。


>オリジナルまで出てくるともう訳わかんねぇよ!!


 申し訳ございません、私の表現能力のおろそかさ故にです。
 何とかして分かり易く説明できるよう頑張っていこうかと思っています。



 ―――そんなこんなで駄目野郎執筆まっしぐらですが
    お目汚しな連載は続けていこうと思っております。

 住井様、外川様、カイン様、タルスメフィー様、ナイツ様、逆獏様
 信様、ぺどろ様、zerosan様、1トン様、、kcc様
 oono様、イチモンジ速人様、Mixture様、「リン」様、森井様
 覇竜王様、礒野様、匿名希望様、isoemon様、タカシ様、揶揄様、ウルズ様
 御剣様、ツクヨ様、HM霞守様、橋本様、菜奈史様、サザエぼん様、三島様
 そして掲示板に書いて下さるノバ様、先程前述したSSBBSの皆様。



 こんな作品を読んで下さって―――――本当にありがとうございます、
 皆様のおかげで私はこのまま連載を続けようと言う気になれます
 まだまだ連載の方は続けて、完結させようと思っていますので、
 これからもお世話になると思います。その度はどうかよろしくお願いいたします。
 
 もちろん、今まで感想を出したことがないと言う方も
 遠慮など地平線の彼方に飛ばして気軽に送っていただけると幸いです。


 最後になりますが、まだまだ皆様からの御感想は受け付けております。
 別に感想だけとは言わずに、苦情、要望、不満、御意見、アドバイス、
 小ネタ、自分の知っている知識等も有りとあらゆる範囲で受け付けております。
 何かお気づきの点が在れば是非とも私にお聞かせ下さいませ。
 すぐにでも修正いたしまして、いずれか改訂版として出させていただきます。

 それでは、後書きなのに長々と申し訳在りませんでした。
 この辺で失礼させていただきます、ピョロ弐式でした。



代理人の感想

「ごめんなさい・・・・・こういう時どう言う顔すればいいのか分からないの」

「笑えば・・・・・いいと思うよ」

 

ってことですか?(爆死)