「あきと・・・」
ユーチャリスの自分の部屋でラピスは大切な人を思い出していた。そう、今はもうこの世にいない『テンカワ・アキト』を・・・・。


「アキトどうして、どうしてなのラピスを一人にしないって約束したのに・・・」
ラピスの金の瞳から一滴の涙が流れた。

ピーッ

オモイカネダッシュのパーソナルウェアにメールの着信を告げる電子音がなった。
「?・・・だれからだろ」
『ラピス、メールきたよ。見る?』
ダッシュが教えてくれました。
「うん」
メールの相手はわかっています、アキトが死んでしまってから毎日メール送ってくれるからです。

フォン。

軽い電子音がしてウィンドウが表示されました。
『ラピス、元気にしてますか?今日はあなたをスカウトしようと思いましてね。アキトさんが死んでしまって悲しいのはあたしも一緒なんですからね、それは、いつもそばにいたあなたの悲しみはあなたにしか分かりませんから。でもねここにはアキトさんが愛した人もいます、それにあたしもいますからね、あたし達もあなたが寂しくないように心を配りますよ?よかったらエリナさんやイネスさんに相談してみてください。』
メールはいつもの伝言モードだ、ルリの能力ならユーチャリスのプロテクトを解析しラピスの表情を見ながら話すことも可能だがルリはあえてそうしようとはしない。いつもそうだ。
「姉さん、いつもありがとう」ラピスはひとりごちる。

アキトが死んで情報収集が最近の趣味になっていた私は、ふとした事からネルガルのデータベースにハッキングしてみた、そしたらある社外秘のデータに私に遺伝上の肉親がいることが分かった。
 それが『宇宙軍最年少少佐・ホシノ・ルリ』だって事がわかった。
ルリとは、火星で少し話しただけ、ルリは知らない、ただアキトの大切な人といった感じだ。そしてあたしにも家族を教えてくれようとしている優しい人。
「ルリは、エリナかドクターに相談してみてっていったっけ」
トン、とラピスはベッドから下りた。
「エリナのとこいってみよ」

パシュー。 ドアが開く心地よい音が響いた。
コツコツコツ。ユーチャリスの廊下に足音が響く。
ピッ ユーチャリスのセキュリティが一時的に解除された。同時に出入り口も開いた。
「ダッシュ、お留守番お願いね」
『はい、いってらっしゃいラピス』
ラピスはユーチャリスをおり月ドックの最高責任者エリナ・キンジョウ・ウォンの所へとむかった。理由はもちろんルリのスカウトに関してだ。

こんこん。中から明るい声がした。
私は、ドアを空け部屋の中に入った。
「エリナ、ちょっと相談したいことがあるんだけどいいかな?」
突然の訪問にもかかわらず、エリナは快く迎え入れてくた。
「まぁ、ラピス立ち話もなんだから座って」
私は、言われたとおりそばにあった椅子に腰掛けた。
「ラピス、ジュースでいい?」
私はこくんとうなずいた。
「はい、でラピス、人にはあんまり聞かれたくないことかな」
私はジュースをうけとると、話し始めたルリから宇宙軍に来ないかと誘いがきている事を。
私は話し終えると、エリナ子表情を伺ったエリナは真剣な顔をしていた。うれしかった、エリナもアキトと一緒に私のことを心配してくれることが。
「いいお話だと思うわ、ラピス。いきなさいルリちゃんのもとへ。行くときは教えてね、ユーチャリスの能力ナデシコにつけてあげるから」
エリナは、にっこりと笑って答えた。
「え、あ、いいの?いってもでも、そしたらアキトとの思いでなくなっちゃう」
「何、ラピス、アキト君との思いでなくしたくなかったの」
「そう、アキトの思い出大切にしたいから」
「大丈夫よ、そりゃユーチャリスはなくなっちゃうかもしないけど、ダッシュはナデシコに移植するわ、それにバッタシステムやユーチャリスから導入できるシステムはナデシコに導入予定だから大丈夫!!それからユーチャリス自体のこしておくから」
エリナは、いったん言葉を切って私の顔をみてこうきりだした。
「それに、貴女の命との言えるべき人もナデシコに乗艦予定だから。でも、ちょっと最初のうちは戸惑うかもね」
私は、その言葉を聞いても何のことだか分からなかった。
「さ、早く準備しなさい明日にでもいけるようにするからね」
私はその言葉を聞いて、ユーチャリスに戻ろうとした。そしたらエリナ呼び止められた。
「ラピス、私たちのこと嫌いにならないでね」
その言葉を聞いてなんのと事だかわからなかったけど後になって意味が分かるような気がする。
「じゃ、エリナまた明日ね」
「また、あした」
私は、エリナの部屋を後にした。そして、その後のこと、エリナの部屋で何が起こっているか知ることがなかった。

そう、それは起こった。ソファーに光が集まってきたのだ、まるで座っているかのように。そしてその光が実体をもってきてその人物が現れた。
「あーびっくりした、ここにラピスがいきなり来るんですもの」
「そうねぇ、けどラピスがアキト君を思っている心ってルリちゃんやユリカさん達よりすごいわ、だってユーチャリスから下りようとしないんですもの」
「そうね、それは私も思ってることね、だから私はミスマルコウイチロウに頼んだのよ。しかし、あの人ホントいい仕事しているわ」
「ねぇ、ところでなんて頼んだの、あの人そう簡単に動く人じゃないことはあなたも分かっていることでしょ」
「ああそれね。それは簡単、ユリカに私の正体を明らかにしないことを条件に地球圏、木星圏の人間に『コロニー襲撃犯』の死亡とそれ以降のテンカワ・アキトへの調査の一切の禁止をお願いしたの、そしたらいい返事をくれたわ。それにコウイチロウおじ様ユリカにあまいからねぇ。だからなんじゃないかな、ルリちゃんがラピスにスカウトのメール送り出したのは」
「うーん、たしかにそうみたいね。でも乗るんでしょ、ナデシコに」
「それはもちろん乗るわよ、その代わりあなたも乗るのよ。いいことエリナ私あなたのこと頼りにしているわ」
「あなた、もしかして女性化してから性格変わった?」
「ふふ、そうかもしれないわ。でもいいじゃないあなたは望みかなったんだから」
「そ、そうね」
エリナは言葉の意味がわかったのか真っ赤になってうつむいてしまった。そこからは自信満々の表情はなく愛すべき人を見つけた『女』の顔をしていた。
「じゃこれからのこと、話しましょ」
最初に口火を切ったのは金色の瞳そして自らの顔半分を隠すバイザーをした女性、かつてテンカワ・アキトもしくは黒い王子様と『呼ばれていた』人間だ。

そう、今の格好はというと。髪は大体腰のあたりまで伸び、スタイルもよくなっている(これは、日々の鍛練の賜物といっても過言ではない)、だがそのスタイルのよさは女性化してしまった段階でもうすでに決まっていたのだ(そのことはおいおい説明するとして)。その姿をたとえるなら『ミューズが作った奇跡』と表しよう。そして、服装だ。彼女が着ているものは防弾防刃処理を施した白いインナーにジャケット、足元はというとこれまた防弾防刃処理を施した白いスラックスをはいている。いわゆる白ずくめといったやつだ、もちろん戦闘用の装備もあるが色は白い。

「これからのことねぇ」
エリナはうーんと考え込んでいる。
「あら、エリナあなたいろいろ仕事あるんじゃないの?例えば新造艦のチェックにラピスの準備そして私たちの身の回りの準備もね」
「あなたねぇ、いいたい事いってくれるじゃないのよ。まぁ船のチェックはドクターに任せてあるわよ、ラピスはあなたの躾がいいからもうほとんど準備といっていい準備は終わっているわ。後は私たちだけ、私たちの準備がひと段落ついたらあなたに関する情報操作をしなきゃなんないからね」
そう言ったエリナの口元は心なしか微笑んでいた。


―――そして新しき旅立ちが始まった。




あとがき
うーん、ラピスの想い。というタイトルにしてはそれほど感情表記が多くないな。
まあ、アキトが死んでいること自体彼女にとっては大事件だ。自ら死を選んでもおかしくないはず。
でも、それをとめたのはルリみたいだね。ラピスもきちんと聞いてるみたいだし、まぁよしとしましょう。
単発ネタになるかは、未定ですので。
感想下さい。

 

 

代理人の感想

ん〜。単発ネタとしてはオチがついていないので、ややまとまりが悪いですね。

最後でラピスのことについてある程度のけりをつけるべきだったかなと。

 

後、よく勘違いされるようですがプロローグだけではそうそう感想は来ません。

来るのを期待してかくのではなく、「来ないのが当然」と思って書くべきでしょう。

作品によって書き易い書きにくいはありますが、基本的に感想の量は作家の腕に比例します。

感想が欲しければ腕を磨きましょう。