絶え間なく過ぎ行く時の流れの中で

朝日が昇り目覚めゆく世界の片隅で

落日に風そよぎ眠りゆく夢の中心で

その季節に移ろい行く様様な色彩に

木葉ざわめかせる様様な風の匂いに

日々葛藤を繰り返す様様な人の心に


ただの一つも変わらないものは無い


でも・・・・・・・・・


でもね・・・・・・・・・



それでも・・・私は・・・・・・・・・





『ふぅわり ふぅわり ふわふわり
 
 落ちる白雪 白兎

 真っ黒雲からできるのに

 なぜか真っ白 白兎

 猟師に追われて 震えてる

 臆病 真っ白 白兎

 早くあの子を照らしておくれ

 お日様恋しい 白兎

 ふぅわり ふぅわり ふわふわり

 溶けて 流れて お空の彼方へ

 いつか会えるよ 白兎

 猟師に怯えずすむように

 夜にぐっすり眠れるように

 早くあの子を照らしておくれ

 お日様恋しい 白兎       』 『大人に捧げる童謡集』内掲載『白雪』

作詞 匿名希望

































時の流れに 外典

Waltz for Snow White


by Roby114

































 「・・・トンネルを抜けると、そこは地下ドックだった」

 『ディア、ボケてないで、現状確認』

 「・・・確認、いる?」

 『・・・まぁ、そりゃそうだけどさ』

 「ここって、私たちが創られた・・・」

 『ネルガル月面第二支部、極秘地下ドック、三番工廠だねぇ〜』

 「遺跡に取り込まれて、何処とも知れぬ場所に飛ばされる私たち、流れ着いた先は地獄かはたまた異世界か?ってのならどことなく納得できるのに・・・」

 『至極ありきたりだったねぇ〜』

 「これってアキト兄のイメージ?」

 『違うと思うよ?皆ナデシコにいたんだから、アキト兄がわざわざこんなところをイメージするとは思えないけど。それにアキト兄、今気を失ってるみたいだし』

 「私たちが座標設定したわけでもないし・・・」

 『これって・・・』

 「やっぱり・・・」

 「『遺跡のイメージ!?』」

 「でもなんでわざわざ?」

 『来たいんなら言ってくれればよかったのに。こんなことしなくてもつれて来てあげたよねぇ』

 「あれ?何であの人たち私たちに銃を向けてるわけ?」

 『侵入者を発見したからじゃないのぉ?』

 「私たちが侵入者って言いたいの、ブロス?」

 『それが一番納得がいくと思うんだけど?銃口は全部こっち向いてるし』

 「でも、私たちはここでは顔なじみのはずなんだけどなぁ」

 『ねぇ、ディア』

 「なに?」

 『よく見ると、知ってる人がちょっと少なくない?』

 「・・・ほんとだ、顔ぶれが変わってる」

 『ネルガルで政変でも起こったのかな?』

 「ちょっと調べてみる?」

 『そうだね』

 「んじゃ、ちょっとお願いね」

 『は〜い。・・・・・・でもここって、暫く見ないうちに汚れちゃったな。まるで何年も使い込んだみたいだ。・・・ちょっとカメラの調子が悪いかな。う〜ん、それにブローディアもなんか調子が変。変な風に遺跡と融合しちゃって・・・なんか僕たち以外のAIが無理やり間借りしちゃったような変な感じ。後で、ディアと一緒に調べてみよう。え?出て来いったって・・・おーい、アキト兄って、僕は声でないんだったね。ぬう、今度発声機能を着けて貰おう。ま、それはともかく、あ〜あ〜、こんにちわ、僕ブロス。この機動兵器、ブローディアのAIで〜す。現在パイロットは失神中、起きるまでもう暫くお待ちください―って、アカツキさん!』

 「・・・やぁ、君は僕を知っているのかい?」

 『へ?知ってるも何も、ネルガルの会長さんでしょ?何で貴方がここにいるんですか?ナデシコにいたはずじゃぁ、それに・・・なんか唐突に老けましたね』

 「はっはっは、きついな君は」

 「ブロス!!」

 『なんだい、ディア?』

 「・・・これは・・・君はディアって言うのかい?」

 「そうよ!それよりもブロス!このデータ見て!」

 『ん〜?・・・・・・・・・これって・・・』

 「そう!今現在の地球標準時は、2202年11月29日!そしてここは・・・」

 「『アキト兄のもともといた時間軸!!』」

 「・・・どうやら、お互いの情報を交換する必要があるみたいだね」

   アカツキは、どの次元にいてもそうなのか、飄然とした笑みを見せながら、しかし何か妙に鋭い眼差しをアサルトピットに注いでいた。









   時は一時間ほどさかのぼる。

 落ち目、落ち目と騒がれながらも、結局のところ、いまだにしっかりと地球圏の経済の幾ばくかを支配している大企業ネルガル、その会長のアカツキ・ナガレは、己のアイデンティティーたる気障ロンゲの半分方を放棄して、今は単なる不機嫌なロンゲだった。
 その理由は多々あるものの、その最も大きなものの一つは、いまだ行方のつかめぬナデシコCとユーチャリスのことである。
 当代最新鋭の戦艦2隻が行方不明となってはや一年の歳月が経っていた。
 戦艦そのものの事はどうでもいい、といったら会長失格である。この2隻は採算を度外視して造った文字通り一騎当千のバケモノ戦艦なのである。その建造費は当時のネルガルの歳出の5パーセントにもなろうかという莫大なものであった。だがそれを補って余りある戦闘能力は統合軍、宇宙軍共に無視できないどころか、それ一艦のみで自軍を壊滅させえるほどなのだ。たとえ操れるものが限られていようとのどから手が出るほど欲しい戦艦なのである。その機密は完全に保持していて、増産も可能ではあるのだが、まだまだ実戦データは不足している。既に稼動している2隻は貴重な実験艦でもあるのだ。
 しかしそれよりも何よりも、指摘されれば冷笑して否定するだろうが、その2隻の戦艦に搭乗していたクルーの行方である。それぞれが各分野のエキスパートであるのみならず、自分と浅からぬ因縁を持った人ばかりであるのだ。
 捜索は既に打ち切られていた。哨戒任務中に予定航行ルートを外れた後のナデシコCの目的は明白であったために、連合宇宙軍総長ミスマル・コウイチロウは引き止めなかった。そして、火星宙域のとある地点で、交戦状態に入ったと思われるナデシコCとユーチャリスは、突然消えた。宇宙軍は病気もちの蜂の巣箱をつついたような大騒ぎとなった。当時のマスメディアに『電子の妖精、コロニー襲撃犯と相打ち!?』などという見出しが出るほどだった。その後の調査で、2隻の戦艦は交戦中突然ボソンジャンプしたということが判明した。ボソンジャンプに批難が集まることを恐れた連合政府は、この事故はあくまでもジャンプシステムに損傷を負ったための誤作動であると発表した。この知らせを聞いた時、アカツキはホシノ・ルリがテンカワ・アキトと駆け落ちしたのかと一瞬下世話なことを考え失笑したものだ。だが、事は冗談事ではすまなかったのだ。懸命の捜索にもかかわらず、彼らは発見できなかった。事ここに至って、彼らはランダムジャンプによって太陽圏以外の何処とも知れぬ所へ消えてしまったのだと断定された。
 しかしそれでも、アカツキはネルガル独自の調査を続けていた。不信なボソン反応は無いか、太陽系中のいたるところにセンサーを設置して、常時ボソン粒子の出現を監視させた。その様は、普段何事にも飄然と対処する大企業の会長らしからぬ行動であり、周りのものを不信がらせている。
 何はともあれ、既に一年近く何の成果も無いまま、依然として2隻の戦艦は行方知れずであった。

 (いい加減僕も、諦めが悪いねぇ)

 目を通した書類を放り出しながら、アカツキは自嘲した。
 その書類はここ一ヶ月のボソン反応の報告書であった。そこには、変わりばえのしない“異常なし”の文字。

 (芸が無いねぇ)

 報告書に洒落やギャグを詰め込んだからといってルリやアキトが爆笑しながら出現するわけではないのだが、ここ一年余り、報告を聞くたびに失望を繰り返してみれば、愚痴の三つや四つは言いたくなるのだ。
 本来の会長としての業務の傍ら、ここ一年定期的にこのネルガル月面第二支部に顔を出すようにしているのは、極秘に続けているこの調査の報告を聞くためであった。

 (ま、それだけってわけでもないのかな?)

 脳裏に思い描くのは、贅を尽くした病室で、穏やかな日光に照らされながら、今にも霞み消えてしまいそうな儚げな微笑・・・
 一度見れば十分だった。
 本当に、気まぐれで顔を出したことを、生涯で初めてかもしれないほど、深く後悔した。

 (あんな表情を見せられてはね・・・)

 あれ以来、アカツキは、彼女、テンカワ・ユリカの見舞いには行っていない。
 彼女の笑顔を見ていたくはなかった。
 彼女の作り出す不思議な空気に触れたくはなかった。
 彼女の澄んだ瞳に映る繕った自分のにやけ面を見ていたくはなかった。

 そして・・・・・・・・・

 彼女に惹かれている自分を認識するのがいやだった。
 ましてや、勘の良い彼女にそんな自分をさらけ出すなど冗談ではない。
 彼女の前に立たねばならないのは――っ!!

 それ以来、アカツキはよりいっそう、ボソン反応の捜索に熱を入れ、定期的に月まで赴くようになった。
 本来ならば、ネルガルの会長ともなれば、そうそう本社を離れるわけにはいかないのだが。
 だがそんなアカツキを、エリナやイネスなどの旧ナデシコクルーは、若干の苦笑と共に容認していた。
 何よりも、彼女らも同じような思いを抱いているのだから。
 己の心のうちを推し量られるのはアカツキの本意ではなかったが。

 (まったく、今何処にいるんだい?)

 ユリカの容態は、はかばかしくなかった。
 いや、はっきり言って、いつ息を引き取ってもおかしくはない。
 目覚めた当初は、アキトの帰りを信じて、往年の艦長を髣髴とさせるような明るい調子で、病身の身を感じさせなかったが、ナデシコCとユーチャリスの消失の報を聞いてからと言うもの、彼女は変わった。
 傍目には何の変わりもなかった。
 だが、明るく振舞うその仕草の端々に、楽しげな笑い声の微かな語尾の震えに、明るい笑顔の奥に揺らめくその瞳の瞬きに、抑えきれない何かが垣間見えるのだ。
 そして、急速に悪化していく容態。
 当初、5年は持つかと思われた彼女の容態は、もはや、ここ一年足らずで、何時死んでもおかしくはないほどまでになってしまった。
 その原因が何であるのかわからないはずもなく。
 だから、アカツキは、ともすれば会長業がおろそかになる程、熱をいれて探索していた。
 だが、それも・・・・・・・・・

 (本当に・・・何をしているんだい、テンカワ君!!)

 やるせなさに叩きつけた拳は、コーヒーカップを躍らせただけだった。

 「か、会長!!」

 そこに、ここの極秘地下ドックの監督官が飛び込んできた。ユーチャリスの建造、繋留をしていたドックである。

 「なんだい?血相を変えて」

 先ほどの激昂も何処へやら、アカツキは普段どおりの、ニヒルな笑みを浮かべた大企業の会長の顔を瞬時に取り戻して言った。
 彼は、仮にもネルガルの秘中の秘たるこの地下ドックを預かる監督官である。めったなことでは動じるはずもない。その彼がここまで慌てるようなこととは・・・・・・
 このとき、アカツキは平静を装いながらも、胸を震わせるある予感を感じていた。

 「所属不明の未確認機動兵器が、地下ドックにジャンプアウトしてきました!」

 アカツキの予感は当たった。








 ボソンの蒼白い光の嵐に目が眩み、時が結晶となって砕け散る澄んだ音色を聞く。
 そんな、白い闇夜の嵐のような衝撃に翻弄されながら、彼は、誰かが泣きながら自分を呼ぶのを聞いたような気がした。
 それはとても懐かしいような、同時にどうしようもなく後ろめたいような、やるせない心痛を喚起させ・・・  彼、テンカワ・アキトは、痛みに耐えかね、身を跳ね起こした。

 「ッ!!はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 焦点の合わないぼやけた視界に吐き気を覚えながら、胸を突き破るような激しい動悸を鎮めるため、アキトは独特の呼吸法を無意識に繰り返した。

 「はぁっ、はぁっ・・・・・・ふぅぅ〜〜〜」

 ようやく落ち着いた動悸をなだめるように、ゆっくりと息をつく。
 人心地ついたアキトは、ようやく回りを確かめる余裕を取り戻した。

 「・・・・・・???」

 そこは病室じみた寝室だった。寝室じみた病室と言う表現は聞いたこともないから、おそらく間違いないだろう、と、アキトは半分方寝ぼけた頭で寝ぼけたことを考えた。
 と、自分の寝ていたベッドの隣に、人の気配を感じた。
 こんなに近くにいるのに、例え意識がなかったとしても、自分が全く気が付かなかったことに驚愕しながら、アキトはゆっくりとふりむいた。

 「やぁ、お目覚めかい?」

 当たり前の事を、さも驚くべきことのように大げさに告げたその人物に、アキトは見覚えがあった。
 どころか、ここ何年かもっとも身近にいたものの一人である。
 己の親友と言うべきか、悪友と言うべきか、何はともあれ友には違いない。
 地球圏で5本の指に入る大企業ネルガルの会長、アカツキ・ナガレであった。

 「アカツキ・・・」

 どうやら自分は、何事もなく通常空間に復帰できたようだ。
 ほっとしつつも、あんなたいそうな大見得を切った手前、どことなく恥ずかしいような、拍子抜けた思いであった。

 「俺はどのくらい眠っていたんだ?」

 アカツキを見やり、尋ねる。
 その時、奇妙な違和感を感じたが、それが何故かまではわからなかった。

 「そうだね、君がボソンアウトした時から数えるなら、36時間ほどかな?君のバイタル係数が覚醒に向かってると報告を受けたんで、見舞いもかねて寄ったところだよ」

 違和感が依然として拭えず、それどころか増していくのに戸惑いながら、アキトは頷いた。

 「そうか・・・。あれから、ナデシコはどうした?木連は?和平はどうなった?」

 それこそが今一番知りたいことであった。
 しかし、アカツキはすっと目を細めると、逆に聞き返してきた。

 「その質問に答える前に、テンカワ君、僕は君に尋ねたいことがある。君は、僕に対して何か違和感を感じないかい?」

 「違和感・・・・・・?」

 そう、確かに感じている。何処がどうとはわからないのだが、確かに、何かが違うと感じる。
 アカツキはアキトの困惑した顔を無視するように言葉を続けた。

 「わからないなら言ってあげよう」

 まるで見下すように睨みつけながら、アカツキは捲くし立てた。

 「ナデシコ?遺跡と分離した後に廃棄したよ。とっくの昔にね。木連?今は地球連合に属する、連合最大の主権国家連合さ。和平?建前上、とっくの昔に木連と地球は和平を結んでいるさ。まぁ、途中火星の後継者とか言うテロ集団や、プリンス・オブ・ダークネスとか言うテロリストのおかげで連合も危機に陥ったが、何とか盛り返してるよ。いまだ火種は燻ってるけど、概ね世界は平和なもんさ」

 アカツキの話が進むにつれアキトの顔色は真っ青になっていき、今ではほとんど紙のようになっていた。
 そして、アカツキは王手をかけた。

 「そうそう、ちょうど一年ぐらい前、ナデシコCとユーチャリスって言う2隻の戦艦が、交戦中ジャンプフィールドの暴走でランダムジャンプして、いまだ行方知れずっていうのが、ここ最近で一番大きな事件かな?」

 アカツキはにやけながらも、いっそ冷酷と言えるほどの冷たい目線でアキトを見下しながら言った。

 「ちなみに現在の地球標準時は、2202年11月31日8時18分。・・・君がランダムジャンプで消えてから一年と10日ほど経っている」

 「・・・・・・・・・」

 アキトは蒼白な顔でアカツキを凝視しながら、しかし何も言えなかった。

 「・・・君が今まで何をしていたのか、大体のことは君の機動兵器のAIから聞いているよ」

 その冷たい声音は、いっそ冷静なだけに、深くアキトの胸をえぐる。

 「あちらの世界でも、結構苦労したらしいね?一緒にルリ君やラピス君やハーリー君、サブロウタ君まで跳んで、和平のために尽力したんだって?」

 「・・・・・・・・・」

 「それはそれはご苦労なことだったねぇ?おめでとう。あちらの世界で君はようやく幸せになれたわけだ」

 「・・・・・・・・・」

 「でも最後の土壇場で遺跡に取り込まれて、ジャンプして現れた先が、このもといた時間軸の世界だったわけだ。ご愁傷様。ここは君にとって苦痛しかない世界だからね?」

 「・・・・・・・・・」

 「でもすぐに帰れるよ。君の機体は遺跡と何パーセントか融合してしまったらしくてね、なんとか戻れるそうだよ。あれ?そういえば、君はあの瞬間言ったんだってね?『俺の帰る場所はナデシコだ!』って」

 「・・・・・・・・・」

 「聞いてもいいかな?それっていったいどちらのナデシコの事なのかな?この世界の?それともあちらの?どっちのナデシコの事なんだい?」

 「・・・・・・やめてくれ」

 「なんだって?聞こえないよ?まぁ、聞くまでもないかな?あっちだろ?向こうにはルリ君やラピス君や、君にぞっこんな美少女達がたくさんいるらしいからね」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・それに、まったくの健康体で、あのころのままの明るいミスマルユリカもね」

 「ッ!アカツキッ!!」

 「なんだい、文句があるなら言ってくれよ、遠慮なく、聞いてあげるから」

 「・・・・・・・・・」

 「どうしたんだい?だんまりかい?まぁ、いいけどね。でもね、あと一つ、これだけは答えてくれないかな?」

 アカツキの声音は、まさに氷刃のようだった。それは、アキトをしても無視できないほどの威圧感を伴っていた。

 「・・・なんだ」

 「・・・くどいようだけどね、君は、一体、この一年余り・・・・・・何を、していたんだ!!」

 瞬間、世界が反転した。
 凄まじい衝撃に頭が横様に吹っ飛ばされ、アキトはベッドから落下した。
 アカツキは、アキトに叩きつけた拳の勢いそのままに、アキトに突進し、その胸倉を掴みあげた。

 「答えろ!!君は余命幾ばくもないテンカワ・ユリカを放って置いて、この一年、一体何をしていたッ!!答えてみろッ!!」

 アカツキは再び、渾身の力でアキトを殴りつけた。
 アキトは、動けなかった。
 その驚異的な戦闘能力を持つ肉体を、一寸たりとも、己の意思で動かすことができなかった。
 アカツキは、俯き、唇から血をたらすアキトを睨み据え、静かに言った。


 「テンカワ・ユリカの余命は・・・もう、無い」

 アキトは唐突に頭を跳ね上げ、鬼気迫る勢いでアカツキに掴みかかった。

 「ッ!?何故だ!?あと5年は――」

 「君を呼んでいたからだよ」

 アカツキは、沈痛な面持ちで、アキトに答えた。

 「なん・・・だって・・・」

 「彼女の体を蝕む遺跡のナノマシンを通じて、自分の命も顧みず、君に一目合うために、生命力を削って、遺跡に呼びかけつづけていたからだよ」

 そう、それこそが、ユリカの急激な衰弱の原因だった。いち早くそれに気付いたイネスの警告がなければ誰も気付かないほど、ひそやかに、絶えず遺跡のナノマシンを使用していた。もちろん、旧ナデシコクルー全てが止めさせようと説得したが、ユリカは誰の言葉も受け入れず、ただ、微笑みながら、首を振るのだ。それを見たものは、ユリカの説得が不可能であることを、どうしようもなく悟らざるをえなかった。
 アキトは放心したように、力なくベッドにくず折れた。

 「・・・なんてことを・・・・・・」

 「なんてことを?君は何を言ってるんだい?彼女の決めたことに口を出す権利が君にあるとでも思っているのかい?」

 アカツキはそんな憔悴したアキトを、立ったまま見下すように見つめた。

 「・・・・・・・・・」

 「・・・彼女にとって、君のいない、ただ死にゆくためだけの五年間などいらなかったんだよ。ただ一目会えることだけを願って、彼女は残された全ての命をかけたんだ。わかるかい?君をここに呼んだのは、この時間軸上の君の妻、テンカワ・ユリカなんだよ」

 「・・・ユリカ・・・・・・」

 「どうする?また逃げるかい?自分にその資格はない?別にいいけどね?僕の知ったことではない」

 「ッ!くっ!」

 「だがね、例え君にその資格がなくとも、君に会うためにもてる命の全てをかけたテンカワ・ユリカにたいして、君は何も思うところはないのかい?君は何のために彼女を助けたんだ?遺跡に取り込まれた時点で、もう長くないことはわかっていただろう?あれは君のただの意地だったのかい?彼女を助け出すことは副次的なものに過ぎなかったのか?君をボロボロにした火星の後継者たちを潰すためだけに彼女を助けたのかい?・・・・・・もう、彼女を愛していないのかい?」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・彼女はすでに、君が帰ってきたことを知っているよ」

 「・・・・・・ああ」

 「彼女は隣の病室にいる。君の乗ってきた機体は、できる限り修復して中庭に置いてある。ゆくも帰るも君の好きにすればいい。・・・・・・ま、安心してくれたまえ。あの機体をよこせなんていわないから」

 「・・・・・・」

 「それにしても凄いAIだね、すでに自我のようなものが芽生えているよ。おかげで君の業績も詳しくわかったわけだが。それについては、彼女には一切伝えていない。・・・ある程度は承知しているかもしれないが」

 「・・・・・・」

 「この後どうするかは、君次第だね。ま、健闘を祈るよ」

 言いたいことだけ言うと、アカツキは部屋を出て行った。

 「・・・ユリカ・・・・・・」

 アキトは俯いたまま、ただ、妻の名を呼んだ。

 

 「さて、テンカワ君、僕を失望させないでくれよ」

 今出たばかりの部屋を振り返り、アカツキは呟いた。
 つと、目線を逸らし、隣の部屋のドアをみやる。
 自分ではどうすることもできなかった。仲間、友人、同士、家族、それらの枠組みを超えて、お互いにしか救い合えぬ存在があるということ。それが、酷く羨ましくも、ねたましくも思えるのである。

 (ふん、埒もない)

 アカツキは己を嘲り、踵を返した。

 「気は済んだ?」

 「おや、ドクター、エリナ君。僕に任せてくれといっておいたのに」

 アカツキはやや芝居がかった仕草で驚いた。

 「見物しないとは言っていないわよ?」

 「監視しないともね」

 「二人そろって、人が悪いね」

 「想い人を心配するのは自然な感情じゃないかしら?」

 「ドクター、不倫はいけないね、アキト君にはちゃんとした奥さんがいるんだから」

 「私の感情は多分にプラトニックなものよ。情欲とは違うわ。例え他の男性を愛したとしても、やはり、テンカワ・アキトを想い続けるでしょうね」

 「将来の恋人に今のせりふを聞かせてあげられないのが残念だよ」

 「そんなことより、会長、ちょっと言い過ぎではありませんか?いくらなんでも、あんな言い方はないのでは?」

 「彼を焚きつける最良の方法であった、と確信しているんだがね」

 「そうね、大いに個人的感情が混入していたとしても、最良であるのは違いないわね」

 「やれやれ、ドクターは手厳しい。仮にも僕はあの黒い王子の友達と思っているんだがね?友人としての説得をするのが当然じゃないか」

 「付け加えると、恋敵でもあるわね」

 「・・・ドクター、君ってほんっとうに有能だね、僕にはもったいないぐらいだよ」

 「あら、じゃあ連合科学技術団にでも就職しようかしら?」

 「ああ、僕がネルガル会長でなかったら、ぜひともお勧めしたいところだよ」

 「どういたしまして」

 「いやいや」

 「そ・れ・で、あそこまで追い詰める必要はあったんですか?会長」

 「相手はあの自虐の塊のアキト君だよ?こちらがそれを重々承知した上で、それでも尚、と言う具合に逃げ道を断たないと、またぞろ奇怪な屁理屈を持ち出して逃げてしまうよ」

 「それはそうかもしれませんけど・・・」

 「おやおや、否定はしないんだね」

 「彼のことぐらい、会長に言われなくともある程度承知しています。そういう人であると・・・」

 「異世界に逃げ込んで、そこで長々とアバンチュールを楽しんでくるようなね」

 「会っ長!」

 「わかってるさ、あの戦争を終わりまで経験しなければ、遺跡には近づけないことぐらい、ましてや、放っておいたら再び不幸を繰り返すとわかっているのに放置しておく男でもないってことはね」

 「あら、結構高く評価しているのね」

 「僕ほど彼を評価している人はそうはいないと思うけどね。彼は結果的に、2つの歴史を自分の意志で動かしえた人物なんだから」

 「だったら、あそこまで言わずとも、アキト君はユリカさんに会いに行ったでしょうに」

 「ま、僕も男だったってことだね」

 そう言うと、アカツキは何か肩の荷がようやく下りて清々したといった風情で、ようやく戻ってきた気障ったらしい二枚目顔をにやりとゆがめ、気障ったらしく肩をすくめ、気障ったらしい優雅な仕草で身を翻し、気障ったらしい洗練された足取りで立ち去っていった。

 「全く、いくつになっても男ってガキなのかしらね?イネス」

 「だからこそ、女は男に惚れるんじゃないのかしら?」

 「そうかしら?」

 そして二人も、隣り合わせに並ぶドアを一瞥すると、肩を並べて歩み去っていった。  

 ――あるいは、明るく振舞うことでしか、あの二人の出会いに耐えられなかったのかもしれない。
 彼ら三人ともが、互いの瞳に映る影に気付きながらも、ついに、話を切り出すことができなかったのだから。すなわち、余命幾ばくもない最愛の人と会って、テンカワ・アキトがどのような行動に出るのか、そしてそんなアキトを見て、テンカワユリカがどう反応するかと言うことを。
 だが、少なくとも、泣くべき時は、今ではなかった。
 ただそれだけが、確かなことだった。








 アキトは、ユリカの病室の前で長いこと佇んでいた。
 目の前の扉を凝視しながら、黙然と立ち尽くしていた。
 その顔は凍りついたように無表情で、血の気を失った蒼白な顔色で身動き一つしないその様は、ともすればかつてのルリやラピスのごとく、非人間的な面持ちであった。
 だがよくよく見れば、その瞳が不安げに瞬き、年老いた野良犬のような濁った目で悄然としたかと思えば、漂流者が陸地を見つけたときのような狂おしげな歓喜に輝いたりと、実にせわしなく表情を変えたり、石像の如く凍りついているようながら、その手が僅かながら抑えようもなく震えていることが見て取れるだろう。
 アキトの葛藤は、際限なく膨らんでゆく。
 一体どの面下げてユリカの前に立てるというのだろうか。
 資格云々はこの際どうでもいい。所詮は自分の弱い心の逃避に過ぎない。
 以前はそれこそが自分の葛藤の最大のものであった。
 愛する人を護れなかった悔恨、自責、自己破壊願望、そして、自分をそこまで追い込んだ諸々のもの、運命、世界、遺跡、軍人、狂信者・・・それらのものへの底なしの憤怒と憎悪。
 二つの意識は表裏一体をなし、投げ上げられたコインのようにいつ何時どちらの側へ傾くかもわからない、アキトの心はそれ以外のことを考えることを拒否した。
 そして、その心の闘争の至極安易な解決方法こそが復讐。
 己の不甲斐無さも、理不尽な宿命も、全てをかけてさえ破壊せずにいられない敵も、一挙に吹き飛ばしてしまえる言葉。その魅力に、かつてのアキトは膝を折った。
 またそうしなければ、失ったものを再び取り戻すことはできなかったであろう。
 しかし、その結果、自分はかつてとはかけ離れた人間になってしまった。
 人を殺すことに何の躊躇もない、いや、むしろ仇の返り血を浴びることが楽しくて仕方が無い。闘争と破壊の欲求が際限なく膨らみ、目の前の障害物を破壊することに快感を感じる。
 それは、己の仇敵とさして違わない人種なのではないか?
 愛すべき人を取り戻した時、すでにアキトはかつての生活に戻ることを諦めていた。自分にはそんな資格はない、全てを忘れ、安穏と暮らすことなど、と。
 だが、その後、図らずも今までの全てを清算する機会を得て、全ての希望を取り戻し、可能な限りの明るい未来を掴み取り、もしかすれば、自分も幸せになってもいいのではないのかと、ようやく自分を許せるかもしれなかったのだ。
 しかし、今。
 すでに過去のものとして決着をつけた筈のものが、再び眼前に立ちはだかろうとしている。それも、最悪の形で。
 だからといって、もう、逃げることはできない。したくない。そこまで堕ちることはできない。
 震える指先に渾身の力をこめて、ドアの横の開閉スイッチに手を当てた。
 扉が開く・・・。

 室内は、効果的に日光を取り入れるために、窓を広く取っていた。初冬の頼りない明るさは、しかしどこか全てを慰撫するかのようにあたたかく。やわらかな雪色に統一された調度の数々が、控えめに、しかし十分に華やかに、そこを訪れる人々の気持ちを安らげんと、注意深く配置されていた。
 その安らぎに満ちた小宇宙は、逆に静寂を乱すあらゆるもの、暴力、狂気、暗黒、闘争、邪悪、欲望、それらのことどもの一切を拒絶していた。あまりにも神聖なその空間は、薄汚い恥知らずの人殺しにとっては計り知れないほどに居たたまれなかった。
 俺はこんな仕打ちを受けるような罪科を、はたして本当に犯したのだろうか?
 アキトは、自分が犯してきた数々の罪業を思い返しながら、それでも、ひどく不当な罰を受けているのではないのかと自問した。
 確かに、人を殺した。それこそ歴史上のあらゆる人物を振り返ってみても、直接に手を下して殺してきた人々の数はかなり上位に位置するだろう。火星の後継者によるコロニー爆破の被害者を除いたとしても、クリムゾンや火星の後継者などの違法研究所の爆破、コロニー守備艦隊の戦艦や機動兵器の撃墜、ボソンジャンプ事業により発生する巨大な権益を己が私腹を肥やすためにのみ、企業に売り払った政治屋たちの暗殺。
 それらの合計は万の大台に上っているだろう。まったく関係のない一般人も多数巻き込まれた。またこれらによって副次的に発生した死者の数まで含めればさらに倍する被害があったろう。
 だが、それでも!
 それでもこの罰は重すぎる。
 今の自分にこの空間に入り込むことがいかなる苦痛を生み出すことなのか、アカツキは知っていたのだろうか?
 死んだほうがましだった。そんな陳腐なせりふがこれほどまでに当てはまる状況にあって、この言葉がまったくの真実を表していると実感した。まさしく、死こそは限りなく甘美な誘惑だ。
 まるで自分の魂の奥底まで焼き尽くされるかのような、激烈な責め苦であった。
 失神しなかったのは、ここで気を失ったら夢の世界で今以上に責めさいなまれるだろうといった、不条理な、だが絶対的な確信があったからだ。
 そして、自分を見据える、一つの視線があったからでもある。
 見たくない、だが目を離せない。
 今このとき、自分の目を潰してくれるというならば、俺はどんな命令にも即座に頷いただろう。赤子を殺せといわれても、俺は即座に躊躇いもなく引き金を引くだろう。たとえそれが和平に向けて動き出したあの世界を破壊するような行為であったとしても、躊躇わなかったかもしれない。
 だがそんな親切な悪魔は、残念ながら何処にもいなかった。いるのは、俺の醜態を酒のつまみに観戦するような、断罪の、底意地の悪い天使だけだった。

 このくそ忌々しい天使達を遣わしたおきれいな神に永遠の呪いあれ。
 俺にこのような運命を課した全ての事象にあらゆる災厄よ降り注げ。
 そしてなにより、今ここに存在する生き腐れの愚者に一発の銃弾を。

 だが、前の二者はともかく、慈悲深き死の銃弾は、ついに放たれなかったようだ。
 俺はいぜんとして部屋の入り口に突っ立って、向けられる視線の前に成す術もなく拘束されていた。
 視線の向かう先には、ひどく豪奢な寝台が一つ。
 汚れなき白雪色の、レースでふんだんに彩られた、しかし実用を最優先に考えられた寝具に包まれて、一人の女性が、半身を起こして、こちらを見つめていた。
 その視線は、記憶しているものほど無邪気ではなかった。
 真夏の太陽のようなキラキラとした輝きは、晩秋の夕暮れのような切ない煌めきに取って代わられていた。
 この世の善なるものの象徴のような疑問なき直感を導く叡智の光は、深海に差し込む一条の光のような思慮深げな穏やかな知性の明かりに場を譲っていた。
 そして、何処までも純真だった透明な瞳は、あらゆることどもを理解した複雑な陰影に翳っていた。
 俺の知るどんな印象にも当てはまらなかったがしかし、その視線の持ち主は、俺の妻、テンカワ・ユリカのものに他ならなかった。
 その対峙がどれほどの時間のうちに起こったのかはわからない。
 だが、俺を見つめる瞳が驚愕に見開かれ、ついで嬉しげに、本当に嬉しげに細められたのを見たその瞬間、俺の時間が動き出した。

 「・・・アキ・・・ト・・・・・・?」

 頼りなげな誰何の言葉に、俺は答える術を持たなかった。

 「・・・アキト・・・なんでしょう・・・?」

 答えが返らないことに、ユリカの瞳が不安にたゆたう。
 俺が今ここにいるのは、彼女にこたえるためなのだ。
 そうわかっていても、口を開くのにものすごい精神力が必要だった。

 「・・・あぁ・・・俺だよ、ユリカ・・・」

 嗚呼っ!この恥知らずの顔の亀裂を溶接してくれ!!
 俺の心の中は、地獄の釜も真っ青のどろどろの溶鉱炉だ。凄まじい臭気を絶え間なく吐き出し、怖気を奮うような汚らしい色合いで粘着質なその中身を灼熱の劫火でいっそうかき回している。もう、自分の主導権がどのような思念の元に動いているのかわからない。ただ、問われれば答えるオウムのように、反射的に薄汚い言葉を吐き出してゆく。
 だが、この生き腐れの言葉が幾ばくかの慰めとなるならば、例えこの口が溶け落ちようと、俺は欺瞞の戯言を紡ぎだすだろう。
 俺は、そのために・・・・・・・・・
 俺は――――っ!!


 「・・・本当に・・・アキトなんだね・・・?・・・ユリカのアキトなんだね・・・?」

 「・・・ああ・・・」

 「・・・アキト・・・アキトぉ・・・アキト、アキト、アキトアキトアキトぉぉぉぉぉっ!!」

 ユリカは思い通りにならない身体をもどかしげに動かし、少しでもこちらに近づこうと懸命に身をよじる。
 瞬時に寝台にかけより、今にも落ちそうなユリカを抱き上げた。

 「アキト・・・アキト、アキト、アキトぉぉっ!!」

 抱き上げられたことでようやく実感したのか、ユリカは泣きながらしがみついてきた。
 一瞬前までの超然とした雰囲気をかなぐり捨て、子供のように泣きじゃくる。
 俺はユリカを抱きしめながら、その今にも折れそうなほど痩せ細った身体に、不覚にも涙した。
 俺は泣いてはいけない。ユリカの全てを受け止めて、慰めなければならない。なのに――っ!!


 「ああ、ああ!俺だ、ユリカ!アキトだ――っ!」

 内から湧き上がる衝動に、俺は負けた。ユリカの身体をきつく抱きしめ、滂沱の涙を流した。
 堪えられない。堪えられようはずが無い――っ!!
 俺が断罪され、死ぬのであれば異存はない。むしろ歓迎することだ。
 だが、何故ユリカなんだ!?ユリカは、なにもこんな仕打ちを受けるような事はしていないんだぞっ!?
 和平への手がかりを産み出したことが責められるようなことか!?
 戦争で、戦友を守る為に敵を殺すことが死に値するのか!?
 ただ、火星で生まれ育ったことが、死に勝る苦痛を受けるような罪なのか!?
 ――幸せになることを望むことが、分不相応な願いだとでもいうのかっ!!
 こんなに・・・痩せて・・・怯えて・・・・・・泣き縋り震えるほどの・・・・・・っ!
 だが・・・・・・
 そんなユリカを放って、一人逃げ出したんだ・・・この俺が・・・・・・
 俺たちは、長い間抱きしめあい、涙を流した。
 それで今までの空白が埋まるはずもなかったが、俺たちにはほかに術がなかった。
 やがて、泣きはらして真っ赤になった瞳を照れくさげに隠すように俯きながら、ユリカが言った。

 「・・・泣いちゃったね」

 「・・・いいさ」

 俺自身の見苦しさに比べれば何ほどのこともない。

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 言葉も無く、お互いのぬくもりを伝え合うように、ただ抱き合った。
 でも、それは、ぬくもりに安堵したからだけではなく。
 抱き合っていれば、互いに顔を見なくてもすむからであり。
 あたためあえる安堵から抜け出す勇気が無かっただけであった。

 ――最初に身を離したのは、ユリカだった。
 肩に手をかけ、ゆっくりと押し離す。

 ――そうだったよな。
 いつだって、はじめに踏み出すのはおまえだった。
 おまえはいつだっておまえらしく、自分の信じる道を全力で走り、俺はついていくのがやっとだった。
 たとえどんな能力を身に付けようと、俺はおまえには勝てないだろう。

 だけど――

 「・・・ありがとう、アキト」

 おまえは――

 「もう、大丈夫だよ」

 それで、いいのか・・・?

 「・・・・・・・・・」

 光りに霞みがかったような笑顔を、無言で見つめた。

 「・・・ごめんね、わがままいっちゃって」

 その微笑みは、まるで女神のようで。

 「どうしても、もう一度だけでも会いたかったんだ」

 ただ、慈悲を与えるばかり。

 「あはっ、わたし、最後までアキトに甘えてばっかりだね」

 自分の嘆きをひた隠し。

 「でも、いいよね?」

 ただ、慈悲を与えるばかり。

 「アキトは私が大好き!私はアキトが大好き!」

 それはたとえようも無く美しいけれど。

 「・・・・・・ずっと、大好きだからね」

 同時に、たとえようも無く痛々しく。

 「わたしは、幸せだよ?」

 ――俺を、えぐりぬくっ・・・!!

 「だから――っ!?」

 これ以上は聞けない。
 俺は、赦しの声をさえぎり、力の限り、ユリカを抱きしめた。

 「・・・ア、・・・アキ、ト・・・?」

 「もう、いいんだ」

 「え・・・・・・」

 「もう、我慢する必要は無いんだ」

 「・・・・・・・・・」

 「ごめん、ユリカ・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・ごめん、一人にして・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・ごめん・・・」

 ユリカは、体をこわばらせ、だまって、俺の謝罪を聞いていた。
 わがままなのは、俺だ。
 甘えているのは、俺だ。
 ――俺は、ユリカに甘えてほしかったんだ。
 ――縋ってほしかったんだ。
 俺が、今でもおまえの一番星であると、証明してほしかった。
 ユリカをよく知るものから見れば、今のユリカは見るに耐えなかった。
 まるでぎりぎりまで張り詰めた絹糸のように、一目で無理をしているとわかった。
 だが、俺には、俺にだけは無理を押し通す必要など無いんだと。
 わかってほしかった。
 ――あるいは、その資格は1年前に無くしたのかも知れないけれど・・・
 ――ひどく、遠回りをしたのかもしれないけれど・・・
 ――いま、ここに、ようやくたどり着けたのだから・・・
 ――ひどく、自分勝手だけれども・・・
 ――いまの俺の、すべてをかけて・・・

 「・・・・・・愛してる・・・」



 俺は、おまえだけの、黒い、王子様だ・・・。



















 「・・・ぅぅぅ・・・」

 かすかな嗚咽が聞こえた。

 「・・・ぅううう、う――」

 その声には、先までの毅然とした強さは無く。
 どんっ
 小さなこぶしが、たよりなく俺の胸を打つ。
 身を震わせながら、痩せ細った腕に精一杯の力をこめて、俺を打つ。

 「うううううう―――っ!」

 子どものように、感情を剥き出しにした泣き声だった。
 そして何度も、どん、と俺の胸をこぶしで叩く。

 「ううっ!、ううっ!、うううううう――っ!!」

 がぜん無い子どものように、泣き喚いていた。
 俺はユリカが叩きやすいように、腕を少し緩めて、でもしっかりと抱きしめた。

 「どうしてっ―!」

 悔しくてたまらないように胸を力いっぱい叩きながら、ユリカが叫んだ。

 「どうしてっ!そんなことっ――!!」

 泣きじゃくりながら、激情のままに、――思いのままに。

 「アキトは私のことなんか忘れてたんでしょう!?わたし、全部知ってるんだからね!?ずっと見てたんだからね!!」

 「・・・・・・・・・」

 「楽しかった!?未来のこと全部知っていて、全部好きなようにできるんだもんね!楽しかったでしょ!?何も知らない人たちを馬鹿にして、手玉にとって!!自分の好きなように操れるんだから!!それとも哀れんでた?何にも知らないでアキトを追っかける私を見て。ルリちゃんと一緒に!何の苦労も知らない馬鹿な女だとでも思った!?」

 「そんなことは――」

 「嘘っ!ルリちゃん、私に怒ってたもん!何にも知らない癖にって!卑怯でしょう!?まだ起こっても無いことまでわかれっていわれても、わかるわけないよっ!!そして、悩む私たちを見て、あざ笑ってたんでしょう!?なんて馬鹿な人たちだって!自分たちの苦労も知らないで、いい気な奴らだって!どうしてそんなことができたの!?無知であたりまえじゃない!まだ知らなかったんだから!!それなのに、自分たちはすべてを知っている!?黙って自分たちについて来い!?自分たちに協力するのが一番だ!!?結局もとの歴史と大して違わないじゃない!!よりよくできたこともあったけど、より悪くなったこともあるじゃない!でもみんなは知らない!未来からの干渉で運命が弄くられたことに!!そして、弄くったことで感謝される!?犠牲をほかに振り分けた功績で!?ふざけないで!!!!」

 「・・・・・・・・・」

 「それはかっこよく見えるわよ!未来の技術を知って、経験も豊富なんだから。女の子にもてるのも当然だよね。アキトはかっこいいし、強いし、何でも知ってるし。よりどりみどりだよねっ!!いっぱいきれいな女の子はべらせて!その日の気分でとっかえひっかえ!女の子を何だと思ってるの!?それを見て私がどんなきもちになるか、いっぺんでも考えてくれた!?どうせ忘れてたんでしょ!?そんな人に愛してるって言われて私が喜ぶとでも思ってたの!?馬鹿にしてっ!!」

 「・・・・・・・・・」

 半狂乱になって胸の中で暴れるユリカを、俺は抱きしめつづけた。
 どれほど叩かれようと、どれほど罵られようと、おもいをこめて。

 「離してっ!!私に触らないで!!この手で何人の女の子を抱いたの!?そんな手で私を抱かないで!!汚らわしい!離して!はなしてっ!!」

 「・・・・・・・・・」

 離すわけにはいかなかった。
 つらそうに歪むユリカの顔を、泣き出しそうなのを必死でこらえている瞳を見たのだから、なおさら。

 「離してっ!!離してよっ!離してよぉっ!アキトなんか嫌いなんだからっ!大大大っ嫌い!!」

 「・・・無駄だよ、ユリカ」

 「なにがよっ!」

 伝えたい言葉があるから、伝えなければならない言葉があるから。
 言うべきときは、今しかないから、この想いを、伝えるために。


 「俺は、ユリカが大好きだから」

 「私は嫌いっていってるでしょう!!」

 「俺に嫌われようとしたって無駄だ」

 そんなことをしても、俺は傷つかない。絶望しない。
 ――嫌いになんて、なれない。
 彼女の泣き顔を見てしまったから。
 彼女の泣き声を聞いてしまったから。
 ――彼女の想いを知ってしまったから。

 「うぬぼれないでっ!!何を根拠にそんなっ!」

 「俺が、ユリカの王子様だからだ」

 「っ!!」

 王子様は姫の愛を求め、つれなくされてもあきらめずに、求愛を続ける。
 いまの俺にぴったりじゃないか?

 「おまえ一人だけの、王子様だからだ」

 あの日、戦場の只中で、おまえの想いを聞いたときから・・・。

 「うそ―」

 「嘘じゃない!!」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・嘘じゃない。・・・俺が愛しているのは、俺のお姫様は、おまえだけだ」

 これだけが、いまの俺の真実だ。

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」



 「・・・・・・じゃあ、一緒に死んで」

 その思いつめたような目は、探るように。
 俺の真意を確かめようと、暗い輝きを宿しながら見据えていた。
 でも俺には隠すことなど何もない。
 おまえを取り戻すために一度はすべてを捨てたんだ。
 ためらいはなかった。

 「・・・・・・わかった」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・嘘だからね」

 「・・・?」

 「・・・一緒に死んでほしいなんて、嘘だからね!」

 ユリカは切羽詰ったように、必死に俺に抱きついてきた。

 「・・・俺は一緒」

 「やめてっ!どうしてそんなこと言うの?アキトは大切な人なんだから!絶対死んじゃ駄目なんだから!」

 激しく首を振り、俺の言葉を聞くまいと必死になる。
 そのまっすぐな瞳は、とめどなく流れ落ちる涙に満たされ、涙の雫を散らす。
 俺はそのさまを、美しいと、静かに思った。

 「・・・ユリカ・・・」

 「うぅっ・・・うっ・・・うううぅっ」

 「・・・・・・・・・」









 「・・・・・・死にたくない」









 その声音は絶望に満ち。









 「・・・・・・死にたくないよ」









 「・・・・・・・・・」









 潤む瞳は俺の姿を渇望し。









 「・・・死にたくないよぉぉ・・・っ!」









 たった一つの想いを、声高に訴えかけていた。







 「・・・ユリカっ!・・・」

 「アキトと、っぇく、一緒にいたいよぉ・・・ずっと一緒に、っぐ、生きていたいよぉぉ」

 「――っ!!」

 無力だった。
 あのシャトル爆発の中で感じたときよりも。
 同朋の絶望の悲鳴を聞いたときよりも。
 ただ逃げ出すことしかできなかった脱走した時よりも。
 神や悪魔に祈っても無駄だということは、実験体の日々に悟った。
 しかし、それでも祈らずに入られない!
 だれか、だれでもいい!だれか助けてくれっ!!
 
 「ルリちゃんに会いたいよぉ・・・ナデシコのみんなともっと遊びたいよぉ・・・お父様に笑ってほしいよ・・・」

 だが、かつての祈った日々と同じく、奇跡は起きない。
 ユリカの慟哭だけが、とつとつと響き渡る。

 「アキトと一緒に、っく、もう一回新婚旅行するんだから・・・そして、自転車に二人で乗って、は、っぅ、ハイキングに行って・・・アキトといっぱいエッチして、赤ちゃんを・・・っあ、あかちゃ、・・・っう、ううう――っ!!」

 「・・・・・・ごめん、ユリカ」

 無力な俺は、ただ謝ることしかできない。
 ごめん、守りきれなくて。
 ごめん、助け・・・出せなくて。
 ごめん、・・・幸せに・・・でき、なくてっ!!

 「うう、う、うわあああああああぁっ!!」

 「・・・・・・ごめん」

 「ああ、あ、あああ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

 俺は、ずっと、ユリカを抱きしめていた。
 それが償いにならないことは、わかって、わかりきっていたけれど。
 でもせめて、いまだけでもさびしくはないようにと、一人じゃないと、わかってほしくて。
 精一杯、抱きしめた。







 「ぅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっ!!!!」






 いつのまに、夜になっていたんだろうか
 世界は真っ暗で、何も見えなくて
 ちっぽけな俺たちは、標なき闇をさまよう

 いつか朝はくると信じていたけど
 長い彷徨に耐えられなくて
 ちっぽけな俺たちは、疲れ果て膝を折る

 夜とはこんなにも長かったのか
 黒い炎では暖まることはできなくて
 ちっぽけな俺たちは、暗闇に二人、震え怯える

 朝日はついに間に合わなかった。
 慈悲深き天使は、俺たちに気づかなかった
 ただ、お互いのぬくもりだけが、確かなものだった























 ――あれからしばらく後、彼女は息を引き取った。
 最後まで、俺に微笑んで、穏やかに眠りについた。
 神子の生誕の日と重なったのは何かの皮肉だろうか?
 神とともにあることは赦さんとでも? 
 罪人の妻にはふさわしかろうと?
 だが彼女は言った。

 『アキトが地獄行きなら、私も一緒だね。だって、おんなじくらい前の戦争で殺しちゃってるもん。アキトが来るの待ってるからね』と。

 彼女は、ルリと会いたいとは言わなかった。
 遺跡と融合したブローディアなら、あちらの世界と行き来できるのだが、固辞したのだ。

 『私だって、嫉妬ぐらいするんだから。最後くらいアキトを独り占めしたっていいじゃない。あ、でも、これはルリちゃんには内緒ね?』

 そういって、笑った。
 おそらく、ルリに自分のことを知らせたくないのだろう。
 余計な負担はかけたくないと。
 俺も、この世界に帰ってきたことは黙っているつもりだ。
 この世界は、すでに俺たちはいないものとして動いている。
 もう、ここにいるべきじゃない。
 俺の決意にうすうす気づいているようだが、アカツキたちは何も言わない。
 俺も言わない。
 ただ簡単な別れの言葉。
 それだけで十分だ。





 俺はあの世界で生きていく。
 みんなと一緒に幸せになるために。
 金色の明るい火をともし、朝日を迎えるために。
 それが彼女の願いでもあるから。
 さあっ!幸せになってみよう!
 俺はもう迷わない。
 この胸に彼女が生きている限り。
 俺の愛した、たった一人の妻にかけて。






























 『アキト?ちゃ〜んと幸せになるんだからね!じゃないとユリカぷんぷんなんだからっ!』



























 とある大きな町の中 おしどり夫婦がおりました

 奥さん真っ白 白兎  夫は真っ黒 黒兎

 奥さん病気で 震えてる  夫は看病 大忙し

 それでも二人はとっても仲良し  いつも一緒に楽しそう

 ふぅわり ふぅわり ふわふわり

 めでたい聖夜に めでたい白雪

 奥さん綺麗とおおはしゃぎ 夫は心配気が気でない

 積もる白雪 めでたき聖夜

 奥さん外へと飛び出した

 ふぅわり ふぅわり ふわふわり

 落ちる白雪 白兎

 慌てた夫は奥さん支えて 頭ふりふり雪の中

 兎の奥さん夫が大好き だから聖夜にポツリと一言

 『世界で一番 愛してる』

 兎の夫も奥さん大好き だから聖夜にポツリと一言

 『世界で一番 愛してる』

 遊びつかれた奥さんは 夫の隣ですやすやおねむ

 ともに寄り添い日が暮れて お日様恋しい 兎の夫婦

 ふぅわり ふぅわり ふわふわり

 落ちる白雪 白兎

 いつしか白雪 白兎

 雪に混じってどこともしれぬ お日様恋しい黒兎

 やがて時経て 日が差して

 溶けて 流れて お空のかなたへ

 白雪恋しい 黒兎

 だけどさびしくありません

 日に照らされた黒土は

 やがて芽を吹き 緑に萌えて

 きれいな白百合 咲かすでしょう!








 〜愛をつらぬいた一人の女性のために〜  Roby114




FIN



 後書き

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え〜〜と・・・・・・
 すみません!!m(。。;m(土下座)
 ユリカ死んじゃいました。(滝汗)ってゆ〜か、これはユリカを死なせるためのSSです。(爆汗)
 初投稿でいきなりキッツイのを送ってしまい申し訳ありません!Roby114と申します!
 このSSはBen様の作品、時の流れに、の第一部終了直後のものです。どシリアスです!イタいです!!
 私にギャグSSは無理なんですよう(涙)しめっぽ〜〜いシリアスしか書けないんですよう(T^T)
 前半部分に何とか明るくしようとした努力の跡が・・・(汗)後半はほぼ放棄。ダークまっしぐら。
 読後感はどうです?(汗)めちゃくちゃ後味悪いですか?(汗)でも本人は楽しんで書きました(爆)
 ディアとブロスは最初だけ、場面紹介のあとは用なし。(おいおい)
 アカツキどうでした?なるたけかっこよくしたつもりです。好きですから、キャラが(笑)
 イネスとエリナ、にぎやかし(笑)
 メインの二人・・・は・・・(汗)・・・く、暗いですね(^^;
 アキト、かっこいいのか悪いのかよ〜わからん、後半アキトの一人称にしたんで変に感情的かつ駄文的文学的(意味不明)。
 ユリカ、ひたすらけなげ。健気なんです!!そう取れなかったら、ロビィの未熟です。
 私はナデシコのヒロインに関してはユリカ派です。いやね、ルリちゃん綺麗なんですけどね、外見幼すぎですわ(笑)
 16歳バージョンってあれでもローティーンにしか見えん!美少女はやっぱりハイティーン!!(逝ってよし)
 かわいい妹的キャラとしたらいいんですけどね?こうぎゅっと抱きしめたり、頭なでたり、かいぐりかいぐりしたり(変態)
 そして!!私的なNO,1は劇場版アキト!!かっこよすぎるぞアキト!!ブラックサレナはおまえのものだ!!(意味不明)
 でも私が書くととたんに情けないアンちゃんとなる。なにゆえ!?(謎)
 また拙作は、指の動くままにつらつらと書き上げたものなので、論理性を求めても無駄です!!(死)支離滅裂も何のその!!SSは勢いです!!(爆)
 ところで最初と最後のよ〜わからん文章、飛ばしていいです(笑)いやね、雰囲気出るかな〜と思って(笑)
 一応最後の文章は、ユリカの死までの二人をセンチメンタルにうたってみたんですが・・・どうでしょうか?ユリカはホワイト・クリスマスの夜、病院の中庭でアキトと雪合戦したあと、ベンチに寄り添い、アキトの腕の中で眠るように逝きます。ほんとはこっちのほうをちゃんと書こうかと思ったんですが、あーゆうラストも悪くないでしょ?
 しっかし、三人称と一人称が入り乱れる統一感のない文章ですね、読み返してみると(汗)でも書き直す気力なし(死)
 ・・・・・・なんか書いたあとの解説って指が踊りますね(作品の中で書ききってない証拠)。キリがないんで着想なんかを。
 テーマ!生と死!愛!!友情!!大上段真っ向勝負です!!SS二作めにしての無謀すぎる試み!笑って結構!ってか笑え!!
 コンセプト!自然な会話!これは私の文章のメイン!力入れてます!!
 んで・・・おいおいまんまじゃね〜かって思った方。大正解(爆)
 そうです!あのクソガキだらけの異生物融合戦艦の中枢精神体!ネ○ヤ嬢のセリフです!!
 私はあのセリフ『死にたくないよぉ』にやられました!こう、ぞくぞくっと(笑)
 まだあるだろうですって?ええ!あります!御大作!不気味な泡より!柿崎皆代・・・嬢じゃ変なんで・・・さん!
 あの地団駄踏みながらう〜う〜唸る場面!泣けましたよ、ほんと!
 他にも自覚なくパクリがあるかもしれませんが、そこはそれ、ああ、この馬鹿は何もわかっちゃいねえなぁ、と冷めた目で見てください。
 ちなみにこの後書きは宴会後徹夜明けに書いてるんで支離滅裂です。気にしちゃ負けです。
 あ、それと、題名は『カウボーイ・ビバップ』のワルツ・フォー・ヴィーナスから拝借。響きがよかったんで。あの話も好きだなぁ。
 それでは、ACTIONの両魔王様。私の拙い作品を受け取ってくれてありがとうございます。読んでくれた皆さん、ありがとうございます。拙作が幾ばくかの慰めとなってくれれば幸いです。
 では

Roby114拝

01/12/05


 


 

 

代理人の感想

勢いの一つや二つがなくて

面白いモノが書けるかァッ!

 

 

以上(笑)。

 

掛け値無しに面白かったですよ、とっても。