機動戦艦ナデシコ
        あした
〜懐かしい未来〜 


第20話 “Is It'Me'? Or・・・”

荒れ果てた、かつての工業地帯。
朽ち果てた戦車や、どことなく寂しげに飛ぶカラス。
廃墟と化した街に現れたナナフシは、街をさらに破壊していく・・・

「と言うわけで今回の任務は、クルスク工業地帯に配備された木星蜥蜴の新型兵器、ナナフシの破壊よ!」

ブリッジにて。
どうやってかは知らないがテニシアン島から生きて帰って来られたらしいムネタケが、
モニターの周りに集まったクルーを前に命令を下す。

「因みに軍の特殊部隊が今までに2回破壊に向かったわ、2回とも全滅」

前回より1度少ない。
8ヶ月跳んでいないこともあり、前回よりもナナフシが現れてから時間が経っていないのだろう。
しかし、木星の方もこちらに合わせたかのように、前回より技術の進歩が早いようだ・・・

・・・と、何だかんだ言ってもつい前回と比べて考えてしまうアキト。
隣では、プロスが「不経済な・・・」とか呟きながら宇宙そろばんを叩いている。
軍の被害によるネルガルの利益でも計算しているのだろうか。

「で、そこでナデシコの登場! グラビティブラストで決まり! ぶいっ」

いつものことだが、無意味に明るくブイサインのユリカ。
周りも、遠距離射撃、というユリカの意見に賛成のようだ。
アキト達としてもこの時点で異議を唱える理由はなく、とりあえずユリカの作戦が実行されることになった。



「こんにちは」

「ああ、コウジ君、いらっしゃい」

コウジが医務室に現れることは既に習慣になっている。
入ってきたコウジを、当たり前のように迎えるイネス。

「ナナフシの分析ですよね、僕も手伝います。一応僕も科学班ですからね」

コントロール部で準備をしていたイネスに、自分もコントロール部に入っていきながら言う。
科学班ではあるが結局ナデシコに乗ってからまともに科学班の仕事をしていないコウジ・・・
今回こそはまともに科学班の仕事をしようと、密かに決意していたりした。

「そう、ありがとう。ところで、この前のジャンプの話、あれはどういうこと?」

コウジの申し出に適当な返事を返して、即座に気になっていた話題を持ち出すイネス。

「ああ、あれですか・・・もう少し落ち着いたときにしません?」

ボソンジャンプに関しては、イネスは専門と言ってもいい。
何しろ、最初にジャンプと遺跡の関係を解明したのはイネスなのだから。
そのジャンプについての話題ということもあり、イネスはかなり気になっていたのだが・・・
しかしコウジの言い分はもっともだ。今は、いつナナフシの砲撃が来るかわからない。
落ち着いて話すには、少し無理のある状況である。
とにかく、現在のボソンジャンプの状況を少し調べてみようと考えて、
イネスはコウジの提案を受け入れ、その話題を先送りにした。



「エネルギーチャージとともに、山陰から出てグラビティブラスト発射!
 ど〜んと決めちゃって下さい!」

「予定作戦ポイントまで17000」

ブリッジに、ユリカの明るい指示とルリの冷静なカウントダウンが響く。
相転移エンジン異常なし、フィールド出力ダウン、最終セーフティ解除・・・
メグミの声が作戦の順調な進行を伝える中、カウントダウンは続く。
ルリの声が1500を数えた頃ナナフシのセンサーが反応したことには、まだ誰も気付いていなかった。
そして、ルリのカウントダウンは800まで進み・・・

「敵弾発射」

唐突に、ルリが冷静な声で報告する。

「えっ?」

きょとんとしたユリカが状況を把握する暇もなく・・・
ナナフシから発射された重力波砲は、ナデシコのディストーションフィールドをあっさりと破り、
ナデシコを貫通して宇宙へと抜けた。あちこちから火を噴き、傾くナデシコ。


その頃、医務室では。

「うわっ!?」

唐突な衝撃で、立っていたコウジは体勢を崩し、床に尻餅をつく。
イネスの方は、座っていたのでそれほどダメージはなかったようだ。

「ナナフシが動いたわね・・・じゃあ、早速ナナフシについて説明しないとね♪」

墜落していくナデシコ、その状態の中でも嬉々としてブリッジへ通信を繋ぐイネス。
それを見たコウジ、傾いた医務室の床の上で体勢を立て直そうとしながら、苦笑いして一言・・・

「・・・タフですよね、イネスさん」



そして、相転移エンジンが停止し、地面に墜落したナデシコ。
ブリッジに主要クルーを集め、再び作戦会議である。

「こうなると、やっぱりエステバリスの出番かなぁ」

次の作戦を考えるユリカに、控えめに自分の意見を述べるジュン。
それを聞き流して、ムネタケがモニターに映った映像を見ながら言う。

「対空攻撃システム。軍の迎撃部隊はコイツに全滅させられているの。
 現在のナデシコの位置でも、向こうは攻撃可能よね」

「つまり、空からエステバリスを向かわせても同じって事ですね」

珍しく、積極的に発言するジュン。前回の事件で、影の薄さに危機感を抱いたか?

「空からがダメ、となると・・・」

ユリカがそう呟いた所に、イネスのウィンドウが乱入する。

『ナナフシのマイクロブラックホール弾の生成には12時間かかるわ。
 17時に攻撃を受けたから、次の攻撃は明朝5時。急いで破壊部隊を送らないと・・・』

「はいはいわかりました、ご苦労様〜」

『ちょっと、ちゃんと聞きなさいよ、私だって無意味に説明してるわけじゃないんだから・・・』

『まぁまぁ、イネスさん、落ち着いて・・・』

「それじゃあ、陸からかなぁ」

ウィンドウの向こうの騒ぎは無視して、作戦会議を続ける面々。
ミナトの方を見ながら、メグミが発言する。
そして、そのメグミの言葉通りに作戦は纏まったらしく。


「と言うわけで、エステバリスを地上から接近。ナナフシの破壊を行なう」

何故か食堂で、パイロットを前に作戦の説明をするゴート。
あくまでも予備であるコウジはいない。
そもそも、「補充パイロットが来るまで」という条件で臨時パイロットをやったのだから。
因みに、ヤマダはちゃんといる。

「作戦開始は1時間後。砲戦3機、陸戦3機のフォーメーションで行なう。
 作戦指揮は、アカツキ、君に担当してもらう」

どうでもいいが、ナデシコの中ではアカツキは単なるパイロット。
ゴートは上司を呼び捨てにし、命令する事が出来るわけである。
そしてアカツキは素直に返事をする。
・・・実は結構快感だったりするのは、ゴートだけの秘密だった。


作戦の説明が終わり、自販機前で何やらのんびりしているパイロット達。
何となく、アキトも加わっている。

「アカツキさん、作戦うまくいくといいですよね〜」

自販機でジュースを買いながら、アカツキに話し掛けるヒカル。

「君達が協力してくれれば、勿論大丈夫さ!」

「そうとも! どんな苦難も、仲間と力を合わせれば乗り越えられる!
 いや〜、わかってるじゃね〜か、アカツキ!!」

「いや、その・・・そうだね、ははっ・・・」

ここぞとばかりにアピールするアカツキだったが、あっという間にヤマダに熱血にされてしまう。
ヤマダにばしばしと肩を叩かれ、そこはかとなく哀愁を漂わせて答えるアカツキ。

「仲間、って・・・。なんか、ヤマダ君が言うと似合っちゃうよね〜」

「俺はダイゴウジ・ガイ!」

(俺の時はこれでもかってほど思いっきり大爆笑したくせに・・・)

ヤマダの台詞をあっさり受け入れるヒカルに、そんな事を思うアキト。
しかし、その後アカツキによってヤマダが補給物資担当に任命された事で、多少納得するのだった。



作戦開始時刻の少し前。
ウリバタケが、大きな荷物を持ってブリッジに現れた。
そして。

「ビシッ!」

何故か口で効果音をつけながら、入ってきたエリナ達に敬礼するユリカ。
他のメンバーもそれに従う。
各国の軍服を着た一同に、一瞬ぽかんとするエリナ、ゴート、プロス。
ルリだけは日本の戦国時代の水軍風コスチュームだが。
しかも、何故か全員サイズがぴったりである。
ただ、さすがにラピスのサイズはなかったらしく、帽子だけかぶってサブオペレーター席に座っている。
頭が完全に帽子の中に納まっているのが可愛らしい。

「・・・新手のコスプレかね?」

「セイヤさんが、これを着た方が」

「作戦司令部みたいな気分が出るからって〜」

「コレクションから、持ってきたそうです・・・」

ゴートの質問に、割台詞で答えるメグミ、ミナト、ジュン。
ビシッ、と再び敬礼で決める一同。

「まぁ♪」

・・・何故そこで喜ぶ、エリナ。

「・・・こちらの作業も始まった。
 ドクターとウラバが、観測衛星から送られてくる情報を分析中だ。
 いずれ新たな情報が得られるだろう」

頭を抱えるプロスと、嬉しそうなエリナを尻目に、動揺すらしないゴート。
実はゴートもかなりナデシコに染まっているのか、それとも無視しているのか・・・。

「ビシッ!」

ユリカの号令に、更に敬礼のブリッジクルー。

「エステバリス隊、エネルギーライン有効範囲内から離脱します。
 ・・・ホント、バカばっか」

本当は乗りたいルリだが、お得意の一言でそれを誤魔化す。
隣のラピスは無反応。しかし時々帽子を気にしている辺り、実は気に入っているのかもしれない。



さて、とにかくナデシコを出発したエステバリス隊。
グラカーニャ村、スベイヌン鉄橋、カモフ丘、イールと続くルートを、何事もなく進む。
モアナ平原を通過したところで、一旦休憩となる。
前回同様、全員分の食事を作るアキト。
大量の食材と調理道具を運んできたのは、今回はヤマダだが。
手際よく料理するアキトを、パイロット達は不思議そうに見ていた。

「ねえ、私前から思ってたんだけど。
 アキト君って普段はクールだけど、料理してる時はなんか楽しそうだよね」

リョーコとイズミに向かって、ヒカルが声をひそめて言う。

「ああ、食堂でコックの仕事をしてるときとか、いつもと違う感じするよな」

「艦長といる時も、冷静じゃない・・・」

「・・・結構見てるんだな、イズミ」

シリアスなのか何なのか、ぼそっと呟いたイズミに、呆れた声を出しながらも感心するリョーコ。

「えっ、アキト君って艦長が好きなの!?」

驚いたように発せられたヒカルの言葉は、アキトが料理を持って近付いてきた事によって、
誰にも答えられることのないまま流された。


「よ〜し、45分後に出発だ! それまでは休憩・・・って、イズミ君は、さすがだね」

とっとと寝ているイズミを見て、苦笑いのアカツキ。
ヤマダも、いつの間にか自分のエステに寄りかかって寝ている。
ヒカルは、ささっとリョーコの方へ寄っていった。

「ね、リョーコ、さっきの話だけど」

「何だよ」

「リョーコ、どう思う? アキト君って、艦長の事好きなのかな」

「俺が知るかよ、そんな事」

他人の色恋沙汰を面白がる表情そのままで聞いてくるヒカルに、リョーコはそっぽを向いて答える。
その様子に、悪戯っぽく笑うヒカル。

「そんな事言っちゃって、気になるくせに〜」

「ち、違うよっ!」

赤くなって怒鳴るリョーコ。
その声にアカツキとアキトがこちらを振り返ったため、慌てて声をひそめる。

「何言い出すんだよ、ヒカル!」

「え〜、だって〜」

「俺は別にテンカワのことそんな風に思ってないって!
 そりゃ、不思議な奴だな、とは思うけどさ・・・」

自分では自覚がないにしても、リョーコには王子様願望のようなものがある。
確かに火星で助けてもらった時、一瞬アキトにそういうものを見た。
とはいえリョーコにはその自覚はないし、アキトに対しては疑問が勝っているのも、また事実だった。


一方、アカツキとアキトの方も、ひそひそと秘密の会話をしていた。

「そう言えば、この前君に頼まれた新型機体だけどね」

「ああ、どうなっている?」

「ドクターが設計を手伝ってくれたお陰で、予定より少し早く仕上がりそうだよ。
 君がドクターに話したのかい?」

「ああ」

さらっと答えるアキトに、アカツキはふ〜ん、と少し意外そうな表情をした。

「どうも、君とドクターの関係は単なる知り合い、という感じではないね。
 実は、本命はドクターだとか?」

ふざけた様子で尋ねるアカツキ。
お前までそんな事を言うのか、とアキトが溜息をつきそうになると・・・

「ち、違うよっ!」

ちょうどいいタイミングでリョーコの叫びが聞こえる。
あまりのタイミングの良さに、思わずそっちを振り返る2人。
アカツキは、軽く笑ってから改めて尋ねる。

「で、どうなんだい?」

「違う。まぁ、単なる知り合いでないのは認めてもいいが」


アキトとリョーコがそれぞれに更に突っ込まれそうになっていた時、突然砲撃の音がした。
驚いて、思わず着弾地点を見る4人。ヤマダとイズミも、咄嗟に飛び起きる。

「な、なんだぁ!?」

「敵襲だよねぇ・・・」

飛び起きて大声を出すヤマダに、冷静に答えるアカツキ。



ブリッジのスクリーンに映る、闇夜の大戦車軍団。

「戦車か。2世代前の陸戦主力兵器だな」

「なるほど、戦車で地上の守りとは、考えたわね」

「現地調達、有効利用といったところですな」

後ろで何やら興奮しているウィンドウのウリバタケは無視して、淡々と話すゴート、ムネタケ、プロス。


エステバリス隊は、ラピッドライフルで応戦中。

「砲戦の3人は今のうちに行け!」

「すまない!」

リョーコの言葉に従い、アキト、アカツキ、ヤマダの3人は素直に先を目指す。


その様子をモニターで見ていたブリッジに、イネスとコウジから通信が入った。

『艦長、一大事よ』

『やっぱり、状況は悪いです』

「やっぱり?」

『あ、え〜っと、その・・・とにかく、悪い知らせです』

この期に及んでもぼろを出すコウジ、イネスにジト目で睨まれながら慌てて誤魔化す。
幸い、ユリカはそれほど疑問に思わなかったらしい。

「悪い知らせって・・・どのくらい?」

『かなりね』

ユリカの質問には、イネスが苦笑いして答えた。


通信をエステバリス隊にも繋げ、話を続けるイネス。

『ナナフシがマイクロブラックホール弾の生成を始めたわ。
 いつ攻撃してくるかはデータ不足だから不明だけど、
 いずれにしても次の被害はもっと大きくなるでしょうね。
 ナナフシのマイクロブラックホールが大気中で蒸発すれば・・・』

『膨大な放射熱で都市は蒸発、それを免れても強力なガンマ線で・・・・・・
 事実ですけど、それはあまりに悲観的ですよ、イネスさん』

イネスの説明を奪ったコウジは、再びイネスに睨まれる。それでも気にせず笑っているが。
・・・コウジも実は説明が好きなのだろうか。

「・・・アキト、信じてるからね」

2人の説明を聞いているのかいないのか、
ユリカはエステバリス隊の状況が映されたスクリーンを見ながら、そう呟いていた。


そして、その直後。

「敵、ナデシコを包囲」

「えっ、ホントに、ルリちゃん」

「はい。敵戦車、数は約80台、増援の来る様子もありませんが・・・」

「でも、今のナデシコはフィールドも張れないし、放っておく訳には行かないわよね」

「エステバリス隊はもう遠くに出ちゃってるし・・・」

ミナトやメグミが不安げな発言をした直後、ブリッジに大きくウィンドウが開いた。

『僕が出ます!』


その発言をしたコウジを、イネスは少し驚いたように見つめていた。
コウジの出撃要請は、すぐに受け入れられる。

「確かに動けるパイロットは、副長を除けばあなたしかいないけど・・・」

「とんでもない数でもありませんし所詮無人兵器です、大丈夫ですよ」

そう言って笑うコウジ。
別に相手を侮っているわけではなく、ただイネスを安心させようとしているのだろう。
イネスは微かに寂しげに微笑む。

「あなたは、そうやってすぐに戦う決意をしてしまうのね」

「守りたいものがありますから」

コウジはイネスに向かって優しく笑うと、医務室を出て、廊下を走っていった。
自分も廊下へ出て、その後ろ姿を見送るイネス。

さっきのコウジの笑顔は、純粋に優しいものだった。
しかしイネスは、どこか落ち着かないものを感じていた。
それは、コウジが逆行者だとわかって以来、時々感じるものだ。
なぜコウジが逆行者だということをギリギリまで確かめたくなかったのか、今ならわかるような気がした。
彼が、『自分』を見ていないのではないかと・・・
自分に良く似た、別の誰かを見ているのではないかと思うと、何となく不安になる。
相手が『自分』を見ていないということに対する不安は、今までにも感じた事のあるものではあったが・・・

「私は今ここにいるコウジ君以外を見ようがないのに、不公平だわ」

そんな事を呟いてしまう自分に多少驚きながら、イネスは仕事に戻った。



コウジが単機で戦車を相手に奮戦している頃、砲戦の3人の前には、多砲塔戦車が現れていた。

「ちょっとばかりヤバイ展開になってきたね〜」

『もう少しでこっちは片付く、そしたら合流するから待ってろ!』

戦車軍団を相手にしているリョーコが、いくらか焦った様子のアカツキに通信を送る。

「とにかくとっととナナフシを片付けないと、
 ナデシコではウラバ君が1人で戦車の相手をしているらしいしね」

『何っ、1人でだと!』

「まぁ今となっては戻る事も出来ないしね・・・おっと」

戦車の砲撃を避けながら言うアカツキ。

「そういうわけでテンカワ君、君は1人でナナフシに向かう係だ、OK?
 ナナフシさえ止まれば、後はどうにでもなるからね」

そう、一番の問題は、ナナフシに対するタイムリミットだ。
次にナナフシが動いたら、確実にナデシコは沈む。

『了解! 悪いが、後は任せた!』

『頑張れよアキト! 成功すればお前を天空ケンと認めてやる!』

答えると同時にナナフシの方へ走り出すアキトに、ヤマダが激励を送る。
アキトがその称号を喜ぶかどうかは、まぁ別として。



夜が白み始めた。発光するナナフシ。
そこへ、アキトの砲戦フレームが到着する。

「全砲発射!」

肩のミサイルを一気に発射し、間髪入れずカノンも連射する。
前回と違ってここまで全くと言っていいほど無駄弾を使っていないため、弾は十分ある。

  ドォン ドォン ドォン

暫く連射を続けると、ナナフシは煙を出して、活動を停止した。
エネルギーの増大を表す発光も止まっている。

「間に合った、か・・・」



「何とか凌ぎ切った、ってとこかな・・・。
 テンカワさんも、成功したみたいですね」

脇のウィンドウには、作戦成功の連絡が表示されている。
沈黙した戦車を前に、シートに寄りかかってホッとしたように微笑むコウジ。
そこへ、イネスのウィンドウが開く。

『お疲れさま、コウジ君』

イネスの言葉に、コウジは嬉しそうな笑顔を向ける。

『ゴートさん達が感心してたわよ。予備とは言え、ナデシコのパイロットにふさわしい腕だって。
 ・・・当たり前だけどね』

実際コウジは一度ナデシコのクルーとして蜥蜴戦争を戦い抜いているのだ。
それを考えると、イネスは何だか可笑しくなった。
コウジも、少し苦笑い気味に笑う。

「光栄ですよ」


そして、パイロット達もナデシコに戻り、今回の任務は大成功に終わる。
帰還後、アキトは約束通りヤマダに天空ケンと認められた。
しかし、それについてきた賞品、ゲキガンガー全話マラソン視聴は、丁重にお断りされたのだった。



TO BE CONTINUED・・・




〜あとがき〜

――戦車80台・・・ってどうなのでしょう? 多いのでしょうか? それとも少ないですか?

イネス「徹底的に機動兵器絡み苦手なのね、あなた」

――ううっ、だから、最初からそう言ってるじゃないですかぁ・・・。
  ・・・にしても、何やら私、アキトの恋人候補を端から切り捨てている気がします。

イネス「今回はリョーコちゃんね」

――まぁ、落ちない、と断言しているわけではありませんが・・・。

イネス「内容の話はその辺にして、言うことがあるんじゃないの?」

――あああ、すみません〜。非常〜に、遅れましたっ!
  いやその、暫くは余裕があるかと思ったのですが、思ったより忙しくなってしまいまして・・・。

イネス「毎回同じような事ばっかり言って・・・終わるんでしょうね? こんな調子で」

――それは何としても! ラスト辺りの展開は考えてありますし!

イネス「どこかで聞いた話ね。ラスト辺りの展開は、って、それ以前の話は?」

――あはははは・・・。

イネス「・・・よっぽど実験台になりたいようね。久し振りに医務室に行く?」

――そ、それはご勘弁をっ! 私には実験台になって寝込んでる余裕はないんですよ〜!

イネス「それでは、今回もお付き合い有難うございました。
    掲示板に感想を頂けると、作者は喜びの舞を踊ります」

――どんな舞ですか・・・って、あの、イネスさんっ、その穏やかな笑みと注射器が怖いんですけどっ・・・!

 

 

管理人の感想

やっぱりナナフシに撃墜されるんだ、ナデシコ(笑)

これだけは変えようの無い事なんでしょうかね?(苦笑)

ゴートはゴートで、アカツキに命令が出来て喜んでるし。

イネスさんはコウジ君に興味津々、と・・・

 

さてさて、今後はどうなりますかね?