機動戦艦ナデシコ
アナザーストーリー
〜天使の導き〜










眼をあけると、一面真っ白な空間。

どこだ?ルリはどうした?

あたりを見渡すために立ち上がる。

少し離れた場所にユーチャリスが見えた。

だが、ルリの姿はない。

リンクを通じてルリに呼びかけようとするが、リンクを感じない。


「お目覚めですかテンカワアキト」


いつの間にか俺の背後に一人の少女が立っていた。

少女の頭には犬のような耳がある。

歳は...十代半ばあたりだろうか。


「ああ。つかぬ事を訊くがここはどこで、君は誰だ?」


少しでも情報が必要だったから訊いた。


「ここはどこでもなく、どこでもある世界」


「どういうことだ?」


説明しましょうか?」


背筋を何かが走り抜ける。

これは、イネスの説明と同じ...


「いや、必要ない」


咄嗟に出た言葉だった。

条件反射だったと思う。


「そうですか」


少し残念そうに少女がうつむく。


「ならいいです」


少女が顔を上げる。


「私はここの管理を任されている...監査庁 時空課 西方世界管理 辺境空間管理八班主任の沙羅と申します」


どこか誇らしく、少女――沙羅――は言った。

もっともアキトは理解していない。


「...監査庁だったか?その組織はなんだ?少なくとも俺がいた所にはそんな組織はない」


「監査庁は全ての世界を監視 調査 管理する組織で今のところ2,489,987世界から成り立っています。監視対象の世界が898,875,421世界で、調査している世界が2,115,844世界で、管理している世界が1,222,458,768世界あります。さらに、まだ監視していない世界は9,889,754,216,457世界もあります。また監査庁に所属しているのは――っと、これ以上の情報は必要ないですね」


わけがわからなかった。


「わかりやすく
説明してくれ」


沙羅と名乗った少女の眼が光ったような気がした。


説明します」


地雷を踏んだ事にようやく気付いた。

遅すぎたがな......

「世界はひとつではありません。10兆を超える世界が今まで確認されています。監査庁に所属している世界は世界間を移動できる技術を確立して他世界に干渉することのできる世界です。そもそも監査庁の始まりは僅か4つの世界だったと言われています。いまでは当時の明確な資料は残されていません。なぜなら監査庁が設立されてから今年で54,897,541年経っているからです。わかりますか? 5千万年ですよ? そんな昔の事覚えている人は当然いませんし、存在していません。またコンピュータだって永遠に情報を保存しているわけではありません。今までわかっているだけでも8,775,846,854,001件の事故が報告されています。8兆件ですよ? あなたの頭で覚えきれますか? 不可能ですよね。そもそもコンピュータは常に進化し続けています。ハードが変わればソフトだって変わります。今までに何度もあったそうです。ここ数百年は変わっていませんけれど...違うハードへの移し変えでデータを損失したり、移し損ねたデータも多々あると聞き及んでいます。......脱線しましたね」


ええ、始めから。


「疲れていますか?」


当然です。


「わかりやすく言うとですね。監査庁とは幾つもの世界を束ねる組織だって事です。監査庁はあなたの世界も調べていました。ちなみに調べていたのは監査庁 時空課 調査分課の第2,689班が担当していました。あの班の班長であるクレイバー氏は今年で78歳になられる方なんですけど、まだまだ現役といって進んで未知の世界の調査をなされるんです。すごいですよね。ちなみに監査庁に定年退職という考えはありません。自分でやめるか、仕事ができないと判断されない限り所属し続けられるのです。これは2485年前に定年で辞める方々がとても優れた能力や勘が研ぎ澄まされているからそんな貴重な人材を失うのは痛いという意見が当時の時空課 実行班 第289大隊所属 第4中隊の中隊長が進言したそうです。凄い方だったと聞き及んでいます。ああそれと、あなたの居た世界は18年まえから調査されていました。ボソンジャンプはすごいですね。時空移動でしょ、そんな技術は監査庁すら持っていません。今は監査庁 管理本部 中央管理室の第24研究班が解析を行っていますが、まだ4割ほどしか解析できていないそうです。どん??な技術なんでしょうね。もっともかなり危険な技術という事は解っています。イメージに失敗すればどうなるかわからない。そんな技術は使えないとの判断がでていますけど。一応遺跡の停止用プログラムはできているそうです。必要ですか?」

長い。イネスに比べればかなり短いが...それでも長いものは長い。

しかし、遺跡を停止させることができるプログラムか。


「そのプログラムを貰っても俺には何もできないぞ」


そうだ。俺はルリとユーチャリスごとランダムジャンプであの世界から離れたんだ。

今更戻れない。

「ここはどこでもなく、どこでもある世界。

要するに過去だろうが未来だろうが現在だろうが繋がっているとういことです。

もっとも過去に戻っても大して未来はあまり変わりませんけど

要するに平行世界ができるだけですから」


なに?

過去に戻れる?


「もっとも戻ったら戸籍を作り直さなければなりませんけど、

同じ時間に二人の人間は存在できませんから」


「......」


「あなたが過去に戻るというなら、あなたに協力してくれる方々を呼びますけど、どうします?」


「ルリと話したい」


「ルリはあなたについてく。そう言っていました。決めるのはあなたですテンカワアキト」


過去か...やり直しができるのか......


「あなたが戻っても歴史は大して変わらないでしょう。歴史は修正しようとしますから。

変えようとするなら修正が効かないほどかえてやればいいんです。

そのために協力してくれる方が3人います。体内の有害なナノマシンも除去します。

もっとも体に影響が出るかもしれませんけど」


変えてみせるさ。

あんな未来は変えてやる。

変えることが今の俺には出来るのだろう。

なら変えてみせる。


「過去に戻る」













過去に戻ると言った俺は沙羅に連れられ協力者に会わされた。

三人の...真っ黒なフードを被り

真っ黒なサングラスを掛け

真っ黒なマントを羽織った

真っ黒な......

とにかく全身真っ黒な服装の三人の人間が立っていた。

怪しさ満点である。

人の事言えないけどな。


「ディアナでーす。歳は14。特技は会社経営と株の空売り〜」


一番背の低い黒ずくめが言った。

女の子だ。

14歳で特技が会社経営と株の空売り...どんな子だよ。


「リンだ。歳は17。特技は辻斬りと機動兵器の操縦」


一番背の高い黒ずくめが言った。

これまた女の子だ。

辻斬り...殺人鬼か。

俺よりマシか......辻斬りなら万の人間を殺す事も無いだろう。


「レンと申します。17歳になります。特技は......そうですね...

悶絶するほどおいしい料理を作ることと戦艦の設計でしょうか」


最後の黒ずくめが言った。

三人目も女の子だ。

悶絶するほどおいしい料理か...悶絶...ね...


「テンカワアキトだ。よろしく頼む」


「テンカワルリです。よろしく」


いつの間にかルリが俺の横に立っている。服装は俺と一緒。

真っ黒だ。周りから見たら異様な集団だな。

ん?


「ルリ。今なんていった?」


となりに立つ蒼銀の髪と黄金の瞳を持つ

もっとも大切な人に尋ねる。


「テンカワルリといいましたけど?」


何か問題でもありますか。

そんな感じに言ってきた。


「いやですか?」


バイザーを外し、上目遣いに潤んだ瞳で俺を見る。

かわいいな...


「そんなこと無い。でもいいのか?」


「はい」


迷うことなくルリは言った。


「さて、あなた方が過去に戻ってどう行動するのかを決めて起きましょうか」


沙羅が言った。

確かに、決めておくべきことだな。

その後しばらく五人で話し合った。

沙羅は呼び出しを受けたらしくどこかへ消えた。









決まった事は

ユーチャリスはジャンプのときにディストーションフィールドの

出力が弱かったのか

破損が酷く修復も時間がかかる事から沙羅に預けることになった。

ブラックサレナは三人が改造するそうだ。

あとは過去に着いたら火星に会社を設立して、

火星で地球、木連と対等に戦えるだけの戦力を整える事。

遺跡の演算ユニットは沙羅から停止プログラムを貰い

戦争が終われば遺跡を停止させる事などが決まった。

それと...ルリと俺は結婚している事になるらしい。





そして、戻ってきたやけに上機嫌な沙羅の案内の元。

俺たち五人は過去へと旅立った。

                                             























〜〜〜あとがき〜〜〜

初めまして、劉嘉と申します。

授業中に考えてようやく形になってきたので投稿させていただきました。

なにぶん素人ですので

誤字 脱字 文法がおかしいなど、間違いがありましたらおしえてください。



 

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

良く逆行ものに無条件で主人公を支援してくれて過去に送ってくれるような親切な超越者が出てきますが、

彼らは一体何を考えてアキト達を助けてくれるんでしょうねぇ。

そこらへん、ひとひねりはあってもいいと思いますが。

 

後、表組みはやめたほうがいいですね。

脇にスペースを作りたいだけならHEADにスタイルシートを仕込めば済みますし、そっちの方がスマートです。