機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

「俺達が乗りこんだのはサツキミドリ2号にナデシコが寄ったときだ」

 

そうアキトが言うとルリはびっくりしているようだ。

あの昔話が終わった後しばらく話題をはぐらかしていたが、

ルリにアキトの下手な嘘が通じる筈もなく結局話す羽目になった。

 

「今までそれに気付かなかったなんて

 どうやったのですか?」

 

今ナデシコはサツキミドリ2号からもう随分離れた所を飛んでいたから

ルリやオモイカネにばれずにナデシコに潜んでいたのが信じられなかったのだ。

 

「私がオモイカネの記憶をすりかえたんだよ」

 

「ナデシコのクルーにはもちろん気付かれず

 オモイカネの抵抗も封じ込めてそれをやってしまうなんて……」

 

「まあ内部でこの子がいれば大抵の事はできてしまうからな

 それに隠れる場所はこれでも苦労したんだからね」

 

アキトとラピスは隠れている間ミユキの部屋に入り浸っていたのだ。

くつろぎすぎて泣かれた時には、さすがに2人とも慌てた。

 

「あなた達があの騒ぎを起こしたのですか?」

 

「サツキミドリ2号を占拠した事かい?

 まあ、確かに俺達がやったことだよ。

 でも何で俺達がやったと思ったんだい?」

 

「そうでもしないといくらバカばっかのナデシコでも侵入者に気付く筈ですから」

 

「この他にもあれを起こした理由はあったんだけど……

 まあ、まだ君には関係のない話だったな」

 

「でもそんなにここのクルーはバカばっかには見えないよ」

 

ラピスがそんな事を言いながら

回りを見渡しているとイズミとヒカルにリョーコが近づいてきた。

 

「どうしてコスプレしてるの?」

 

ヒカルがこっちに近づいて言った第一声はかなり嫌な質問だった。

いや、ホント、マジで。

 

 

 

 

 

 

アキトに向かってそう言っているのを聞いて私は気になった言葉があった。

 

「コスプレって何?」

 

聞こえないようにつぶやいたつもりだったけど

聞かれてしまったようだこっちに顔を向けている。

 

「コスプレっていうのは、

 そう……自分をその人物に投影してなりきることをいうのよ!!」

 

……いわゆる一種の自己投影かな?

 

「でもこの格好は趣味みたいな者だよ」

 

それを聞いてヒカルはちょっと引いていたりする。(笑)

 

「もうちょっと考えて服は選んだ方が良いよ

 これからずっと一緒に乗って戦う仲間なんだから」

 

どうも私達をナデシコのクルーと勘違いしているらしい

まあそっちの方がこっちにとっては都合が良いけど

 

しかし、ルリが言った言葉によって総て台無しとなった。

 

「あ、この人達は侵入者ですよ」

 

「「ええぇぇぇぇ!!」」

 

言わないで欲しかったんだけど……。

あ、アキトの方を見ている私は論外?。

 

「一体この戦艦に何しに来たの

 さっさと出ていってもらいたいんだけど」

 

「とりあえず座りなよ」

 

アキトの実力を見ぬいた?

それにしては落ち着いて相手をしているけど……

気付いたと言うよりはアキトの実力の一端を感じたと言う方かな。

 

「俺の目的はいろいろあってね

 それにこう見えても多忙な日々を送っているんだよ」

 

「その格好で言われても説得力ないよね」

 

ヒカルの言葉にくじけずに(?)言い返す。

 

「そんな格好をしている奴に浸入されたナデシコはどうなるんだ?」

 

「く、こっちが油断してなかったらお前なんかすぐに見つけれたさ」

 

「そうか……それじゃあまた油断したな」

 

プシュウウウウウウウゥゥ

 

そう言うとガスマスクからガスが勢い良く出てきた。

そのガスを吸い込んだ近くにいた人達は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

気が付いたらイズミさんが笑いながら

どこに持っていたのかウクレレをかき鳴らしていた。

 

「逃げられてしまいましたか……

 オモイカネ、2人はどこに行ったの?」

 

『ちょっと、待っててね』

 

「ウケケケケケケッ」

 

イズミさん……怖いですよ。

 

時が動き出したのを確認したのかヒカルとリョーコが戻ってきた。

 

「あれ?

 いなくなっちゃったよ」

 

「変な小細工しやがって」

 

その様子を見ているとオモイカネが話し掛けてきた。

 

『ルリ、2人は医療室に向かっているよ』

 

「医療室?」

 

 

 

 

 

本当にこのガスマスクはいろんな仕掛けがあって面白いな

 

医療室に向かいながらそんな事を考えていると。

ラピスが話し掛けてきた。

 

「このガスマスクって結構役に立つんだね」

 

「ああ、顔を隠すだけでなく

 荷物を少なくするという事も考えて作ったからな」

 

これからどこに行くかラピスが聞く。

 

「一体どこに向かっているの?」

 

「……会えなくなった筈の奴に会いにいくのさ」

 

医療室の前のドアを開けるとベッドにいた。

 

「……ガイ……」

 

「何だか……暑っ苦しい男だね」

 

 

 

 

 

 

俺は医療室に入ってきた2人を見て驚いた。

いや、何がって格好が……。

 

ガイが驚いているうちに2人はあっという間にベッドの横へとくる。

 

「な、何か用か?」

 

「わからないのか?

 お見舞いだよ、お見舞い」

 

「優しいでしょ」

 

俺の知り合いにこんな奴らいたか!?

 

「ちょ、ちょっと待て

 俺はお前ら何か知らないぞ!!」

 

「気にするな(ニヤリ)

 人の好意はありがたく受け取っておく物だぞ」

 

「そうだよ(ニヤリ)

 私達がせっかくお見舞いに来たんだからさ」

 

や、やだーーーーーーー!!

誰か助けてくれーーーーー!!

 

「まあ、冗談はともかくこれをやるよ」

 

「?」

 

そういって渡されたのはゲキガンシールだった!!

 

「こ、これは俺が無くしたとばかり思っていた。

 ゲキガンシールじゃないか!!」

 

「ふ、甘いな

 それはお前のじゃない」

 

「な、何それじゃあこれは誰のだ」

 

「だからお見舞いの品だと言っただろうが、

 それはこちらでお見舞いの為に用意した物だ」

 

ば、バカなほとんど幻に近いと言われているゲキガンシールを

しかもキラじゃないか!!

 

呆然としているガイを見てアキトは勝手に喜んでいると勘違いした。

 

「気に入って貰えたようだな」

 

その間ラピスはガイの横でじ〜っとガイの周りを見渡していた。

 

「何だか特に何も無い部屋だね」

 

「そりゃ、医療室だからな」

 

興味を失ったのか用事も終わったので外へ出ようとする。

 

「それじゃあ、バイバ〜イ!!」

 

そういって医療室のドアを開けて

出ていこうとするとゴートとジュンにメカニック達がこっちに銃を向けていた。

銃を向けているのがゴートとジュンだけでメカニック達は銃を持っていなかった。

 

「一体何が目的でナデシコに乗りこんだ?」

 

ゴートが聞いてくる。

 

「ルリちゃんに教えたんだけどな」

 

「そうか……とりあえずお前を捕まえる事にする」

 

「できるものだったらしてみろ」

 

そう言うのと同時にラピスを後ろに下がらせて手近にいたメカニックの1人を

銃を持っているゴートとジュンの方に放り投げる。

そして間合いを一気につめてジュンの鳩尾に拳をいれる。

ジュンが苦しんでいる間にぶつけられたメカニックをどけて銃を構えようとしているが

引き金を引く前に後ろの壁へとふっ飛ばした。

 

「どうした?

 全然相手にならないぞ」

 

「……やはり民間のとはいえ戦艦に乗りこんでくるだけあるか」

 

ゴートが立ちあがって言ってくる。

ジュンはまだ苦しんでいる。

 

「とりあえず用事は

 ほとんど終わったからもう帰らせてもらうぞ」

 

「この人数相手に何ができる

 おとなしく捕まってもらおうか?」

 

「そっちこそこんな人数で俺を捕まえれると思っているのか?」

 

後ろの医療室ではメカニック達が

ラピスのガスマスクから噴射されたガスを吸って倒れていた。

ついでにガイの入院はさらに延びた。

 

「俺を捕まえたいなら本気で掛かってくるんだな」

 

 

 

 

 

 

それからは苦しんでいる僕は完全に

無視されてゴートさんや整備班のみんながあっというまにやられてしまった。

相手は結果に満足したのか鼻歌混じりにブリッジへと向かっていった。

 

ジュンは急いでコミュニケを開いてブリッジに連絡を取る。

 

「ブ、ブリッジ!!

 大変だ!!そっちに侵入者が向かっている」

 

出てきたのは通信士のメグミだった。

 

「それより後ろに見えているゴートさん達は大丈夫何ですか?」

 

「幸い医療室が隣だから……」

 

チラっと医療室の方を見る。

メグミは一応納得したようでコミュニケを閉じる。

 

「……とりあえずゴートさんを運ぼうかな」

 

そういってジュンはゴートを医療室へと運び始めた。

ジュンが完全に気を失っているゴートを運び終わるのは時間が掛かった。(笑)

 

 

 

 

 

「艦長大変です!!

 ブリッジに侵入者がやってきます」

 

「え!!わ、わかりました。

 直ぐに行きますのでよろしくお願いします」

 

メグミのコミュニケが消えると同時にルリが通信を開いてくる。

 

「艦長、相手は整備班を吹き飛ばしつつブリッジに向かっています」

 

「あ!!アキトは大丈夫かな?

 ルリちゃん、どこにいるかわかる?」

 

「テンカワさんは食堂にいます」

 

「ありがとう今行くから」

 

「あれ?

 艦長、侵入者はブリッジへの道を通らずにトイレに行きました」

 

「ト、トイレ〜〜〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

「お、ここだ、ここだ

 ここに仕掛けを頼んでおいたんだよな」

 

「ミユキに何をしてもらったのトイレに」

 

「ここだけ外と遮断するためだよ」

 

そういってボタンを取りだし押す。

 

   ポチッ

 

「これで外からは見えなくなった筈だ」

 

「ま、疲れたしユーチャリスに帰ろうか」

 

「はいはい

 まだやりたい事あったけど今回は保留か……」

 

2人を中心に光が溢れるとそこにはもう人影は無かった。

トイレの中に整備班が踏み込んだのはこのやり取りの20分後だった。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

あとがき

 

 やっと書き上げたって感じがします。

 それにアキト(未来)は活躍というよりは遊んでいたような(汗)

 アキト(過去)とミユキは名前がちょこっとでただけだし……

 やっぱり思うように動いてくれないな。

 しかも第五話でつけていたガスマスクが意外な活躍を見せてくれた。

 ガスマスクのくせに勝手に自己主張を始めてしまいました。

 火星に行く事ができるのはいつの日だろう?

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第八弾です!!

何だか・・・性格が明るくなってるな、アキト。

いや、ラピスの受けている影響を考えると、変になってるのか(爆)

ガイがまともに見えるあたり、かなりキてますね(苦笑)

ミユキさんは部屋で黄昏ておられるようだし(笑)

しかし!!

今回の話の主役はガスマスクでしょう!!

もう、某女性の専用武器と化した、某赤い物体なみですね(爆笑)

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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