やあ、みんな!!

もう俺の素顔を忘れた頃かな!?

え?お前は誰だって?

俺だよ、俺、テンカワ アキトだよ。

違うって?アキトはそんなに軽くない?

それはこの馬鹿な小説を書いてる作者に文句を言ってくれ。

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

ユーチャリスが火星を旅立ってから二日目のある日のことだった。

ブリッジでは、アキトがいつにも増してだらけた姿で椅子に座っており、

ラピスは寝巻き姿で眠そうにユーチャリスを操っている。

 

「……暇だな」

 

「……もう二人で遊べる遊びはもうほとんどやっちゃったね」

 

「またあいつら出して遊ぶか?」

 

「反乱鎮圧ごっこするの?

 もう7回目だから飽きてきちゃった……」

 

「それもそうだな……」

 

こんな風なやり取りを2人はずっと繰り返しながら航行を続けていた。

 

何故、こんなに2人には時間があるのか?

 

それは火星で捕獲した火星の生き残りの中には、

元々火星に住んでおらず後から移住してきた人が数人混じっている。

その所為でボソンジャンプは出来ず地道に目的地へ行くしかなくなってしまったのが原因だった。

 

その為、やる事もなくなり時折聞こえるのは、

ダッシュが2人に定時報告をする音声がブリッジに響くぐらいだった。

 

『ただいまユーチャリスは順調に航行中です』

 

「あ〜、そう、ご苦労さん……」

 

『それでは、良い旅を』

 

アキトの返事があったのでダッシュは定時報告をやめた。

そのときには、ラピスは抱き枕を抱きしめながら夢の世界へと旅立っていた。

 

ビーッ!!ビーッ!!ビーーーーーッ!!

 

ラピスはユーチャリス内で鳴らされたサイレンの所為で、

夢の中でアキトが北辰をボコボコにした後に右足でゲシゲシ踏みながら、

ニヒルな笑いをラピスに向けて歯を光らせたところで夢の世界から引き戻された。

 

「……せっかく良い夢を見ていたのに」

 

「そりゃ残念だったな、

 どうやらお客さんが来たみたいだ」

 

ラピスがレーダーを見ると10機の機影がこっちに向かっているのが分かった。

 

「……どうやって俺達がいる場所が分かったんだ?」

 

「……木連からのお客さんじゃない?」

 

「え?

 どうしてそんなことが分かるんだ?」

 

するとラピスは困ったような顔をアキトに向けた。

そしてため息をつきながら言ってきた。

 

「……こんなの完璧に再現するの木連しかいないよ」

 

ピッ!

 

モニターに映った映像を見てアキトは自分の目を疑った。

飛んでる機体はどれも同じ機体なのだが、

その機体のフォルムが原因でアキトは自分の目を疑ったのだ。

 

「……ゲキガンガー3?」

 

「…しかも1/1サイズだよ」

 

「どこのどいつだよ…。

 こんな……こんな、素晴らしい物を作った奴は!!」

 

アキトは興奮しているのか、

ガスマスクの隙間からナノマシンの発光して出た光がもれている。

 

「山崎……かな?」

 

「いいな〜、俺も一台欲しいな〜」

 

「新品同然のフラクタルがあるからいらないよ」

 

「……ま、とりあえずお客さんがちゃんと来てくれたようだな」

 

「あ……爬虫類だ……」

 

ラピスは顔色が途端に悪くなった。

 

「おい?

 どうした、ラピス」

 

「あのゲキガンガー3に乗ってるパイロットの中に

 北辰がいるの……この交渉はやっぱりやめようよ」

 

「違う未来を見るには、

 木連にも介入して歴史を変更しないといけないんだ」

 

「……それでも北辰とは……ヤダよ」

 

アキトはラピスが俯いたのを見ながら言ってきた。

 

「アイツには、いろいろ借りがあるけど中身が違うからな。

 それにどうもこの世界は、俺達の元いた世界の過去ではないらしい」

 

「……え?」

 

「ラピスを研究所から助けたんだが……あ、この世界のだが、

 その影響を全く受けずに行動しているラピスがいるということは……」

 

「……平行世界」

 

「大正解!!」

 

「それでも北辰と関わりを持ちたくないよ!!」

 

「あ、おい!!」

 

ラピスはそのまま走って格納庫に向かって、

そこにあったシャトルに乗ってユーチャリスを出ていってしまった。

アキトは黙ってブリッジの通信をシャトルに繋げる。

 

「……晩御飯までには帰れよ〜」

 

「馬鹿ッ〜〜〜〜!!」

 

『あのぅ〜〜』

 

「なんだ!?」

 

『通信が周囲の機体にも流れていますが……』

 

「え?」

 

見るとあの北辰があきれた顔をしてモニターに映っていた。

 

「あの表情を見れただけでも得したかな?」

 

『あきらかに損してます』

 

それからようやくユーチャリス内で秘密の会談が始まった。

 

 

 

 

 

その頃、家出したシャトルでは……。

 

「あ、もしもし?

 うん…そう…株の値段を逐一連絡してね」

 

今まで溜まっていた会社の仕事をしていた。

特に落ち込んでいる様子も外見からは見られない。

 

「イツキ、

 会社の仕事には、慣れた?」

 

「あのね!?

 私は軍人なの、どうしてこんなところで事務しないといけないの!?」

 

イツキ カザマはその後軍に入って巡り巡ってナデシコに来る筈だった。

何故、クラウンで事務をしているかというと。

アキトが軍から引き抜いてさせているのだ。

軍も目立つ抗議もしてこないところを見るとイツキは軍から見放されたようだ。

 

「しょうがないよ、

 うちの会社が引き抜いて会社員にしちゃったんだもん」

 

「お願い!!

 せめて部署を変えて!!」

 

「……どこが良いの?」

 

「営業にして、まだ体を動かして考えないほうがマシかもね……」

 

イツキの顔は前髪が垂れて良くは見えないが、

軍人としてこれからの人生を生きていく筈がこんな風に変わるとは思ってもいなかったのだろう。

 

この人ってアキトの知り合いなんだよね…。

ナデシコには、短期間しか乗ってない…。

まあ、ボソンジャンプに巻きこまるのを防ぐためとはいえ……。

アキトも会社に引き込まなくても良いのに。

 

「……あ、営業への配属は2年後になるよ」

 

「……私も学生時代はそれなりに期待とかされてたんですよ

 なのにいまでは、上司に怒られて、男の同僚にはセクハラをされる日々(仕返しはしてる)……」

 

確かに体を動かしてストレスを発散させないと、

そのうち駄目になってしまうかもしれないね。

 

「一軒だけ無理やりにだったら入れるよ」

 

「ほ、本当!?」

 

イツキは目を輝かせてラピスを問い詰めた。

 

「うん、間違いないよ」

 

「よ、良かった〜〜、それでどこなの?」

 

喜んで聞いてくるイツキにラピスも嬉しくなりながら言った。

 

「北極支部が人材募集し「やっぱりやめとくわ」

 

北極で何を相手に営業しろというのだろうか?

イツキはラピスを睨みながら(でも涙目)言ってくる。

 

「お願い、軍隊に戻して」

 

イツキの願いが聞き入れられるのはいつの日だろうか……。

 

 

 

 

 

あとがき

 

 ようやく書き上げました。

 北辰とイツキが登場です。

 でもアキトと北辰は悪巧みをしてるし、

 ラピスは家出をしてしまったし、

 イツキは上司にセクハラされてる?

 

 山崎に感謝……。

 アイツがいないとアレが出せなかったから。

 イネスさんに勝てるかもしれない。

 その頭脳で生み出したのが……アレです。

 後編だけでいろいろ変わってしまいました。

 

 でわ、でわ。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第十三弾です!!

いや〜、話だけど見ていると忘れているんですけど。

・・・まだ、ガスマスクをしてるんだな、アキト(爆)

すっかりお気に入りかよ(苦笑)

しかし、北辰が乗ったゲキガンガー3・・・素晴らしい(笑)

でも、今回の一番の被害者はイツキでしょう!!

ラピスに顎で使われてるし。

セクハラは受けてるし(苦笑)

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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