機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

 

ゴートの魔の手(ヲイ)がガスマスクに伸びる。

しかし、そんなこともあろうかとアキトはちゃんと用意をしているのだった。

 

食らえ!!新開発のくしゃみガス!!」

 

     ぷしゅー…。

 

ガスマスクの側面から勢い良く黄土色のガスが勢い良く噴出する。

この前は目隠し用のガスだったが、今回は違う!!

なにしろ元々がガスマスクという特性を生かし卑劣なガスを使うことにしたのだ!!

 

「は、は、は、は、くしゅん」

 

何故か、イネスが可愛らしいくしゃみをしながら苦しんでいた。

とても非人道的な人体実験などをするMADな博士には見えない。

しかもその後、またしても似合わないクマの刺繍がされた

ハンカチを白衣のポケットから素早く取り出しガスを吸わないように抑えている。

その横では、他の連中もそれぞれ男らしいのやら不気味なのをしていたりする。

 

「しかももはや定番化してきた音声入力だ!!」

 

アキトはガスマスクをつけているので効果が無いので説明しているが…。

誰も聞いちゃいなかった。

ガスが強力なのか、くしゃみで苦しんでいてそんな余裕が無い様子だった。

 

『空気が汚染されたので清浄化します』

 

「はっくしょん!!あ、ハイ、ルリさんよろしくお願いします」

 

ルリがコミュニケでプロスのところへとウインドウを開いてそう言った。

プロスが返事を言うと同時に天井に備え付けられている通気口から一気に空気を吸い出す。

ミナトが扉をブチ破っていたので空気の枯渇を招かずに済んだ。

 

「嘗めたマネをしてくれたものだな」

 

「はい、ストップ!!皆手を上に上げて下さいね」

 

「何!?」

 

ゴートが見ると手を上に上げたパイロット4人と艦長のユリカがいた。

そして、その背後からミユキが銃を構えながら入ってきた。

 

「捕虜になっちゃいました♪」

 

「いや、艦長…明るく言われてもこっちが困るのだが…、

 しかし、お前が最近行動がなので放って置いたのは失敗だったか」

 

「(ふっ、久々の出番)さあ、大人しく皆手を上げないと…(ドキュン!!)」

 

     パリーン!!

 

弾丸が放たれてコーヒーが入っていたカップが割れる。

それを見て大半の連中はピキッと凍りついた。

割れたのがイネスのお気に入りのカップだったというのが理由だ。

その証拠にわなわなと怒りに震えているイネスがいた。

しかし、ミユキはそんなこと気付かずにのほほんと言い放った。

 

「こうなる訳なのよ」

 

しかし、そんな恐怖(?)に負けない神経が通ってない男がいた。

 

「ちっ、仕方ねえなぁー!!

 この俺様がいっちょあの幸薄そうな女を止めてやるぜ!!」

 

     BANG!! BANG!! BANG!! BANG!! BANG!!

 

ミユキは無言で持っていた銃を乱射した。

血の気が多いので常人より余分にり血を上げながら銃弾がガイに当たる。

そのスプラッタな光景にほとんどの人が気分を悪くしていたりする。

某スピード狂の女性はその光景を見て逆に興奮していたりするが…。

意外にもユリカが真っ青な顔をして、今にも倒れそうになっている。

やはりこういうところは、良い所のお嬢さんであった。

 

「(カチカチカチ)――チッ!!もう弾切れなの!?」

 

「形成逆転だな!!

 自爆男には役に立つこともあるものだな!!」

 

「あっ!!」

 

ガイに銃を乱射した所為で弾切れになったので一気に形成は逆転した。

しかし、ホントにお間抜けな奴である。

さらに捕虜にしていた人達も命の危険が無くなったということで襲いかかろうとしていた。

もちろん、ビビらせた分だけ怒りメーターはUPしている。

 

「ふはははははっ!!

 というかお前等俺を無視して話しを進めるとは良い度胸だ!!」

 

「あっ!?あそこ!!まだ生きている」

 

見るとガイから生えているアキトは無事だった。

どうやらミユキがちゃんと照準を外していたらしい。

弾丸は腹以外の手や足などの部分に当たっていた。

しかも今度は笑い声をあげながらズブズブと競りあがって来たりする。

 

「いやはや、すっかり忘れてましたな」

 

「ウンウン、おめぇがそんなところに生えているのが悪いんだぞ?

 だいたいもっとマシなところに出ろよ、例えばミナトさんの乳の谷間とかにだな」

 

その後、ウリバタケは瞬殺されてしまった。

それはともかくアキトは完全に出てくるとミユキは素早くそちらの方へと移動した。

それを見てプロスがやはりといった感じの表情をする。

 

「やはり、あなたはクラウンの関係者ですか、

 ミユキさんとあなたが知り合いということで大抵予想はついてましたが…」

 

プロスがそう言ったが無視されていた。

 

「おぉ!?

  ミユキちゃん!!そんなに俺のことが恋しかったのかい!?」

 

「ち、違います!!1人で戦うよりはマシになると思ったからですよ!!」

 

それにイラついた奴が叫んだ。

 

「一人が二人になろうと関係無いだろう、さっさと投降しろ!!」

 

黄色いナデシコの制服を着たアキト(黄アキト)がそう叫ぶ。

追い詰めたというシチュエーションが彼を燃えさせているのだろうか?

おまけに指まで指しつつの宣言だった。

そんな彼をアキト(黒アキト)は何やら感慨深い様子に見ていた。

 

「……あんな感じだったんだな

 さ!とりあえず……目当てのものを捕らえて帰るぞ?」

 

すっと、ケンが指差した方向にいたのはユリカだった。

自分が指差されたことを知って周りをキョロキョロと見まわしてから声を上げた。

 

「わ、私!?」

 

「オイ!!ユリカをどうするつもりだ!!」

 

「何って?誘拐かな

 ちょっと彼女に俺が用事があってね」

 

「させるか!!」

 

ミユキ達の近くにいたクルーが二人に襲いかかる。

が、アキト(黒アキト)とミユキは落ち着いてその場に突っ立っている。

 

そして、頭を打ち付けた。

 

アキト(黒アキト)の個人用のディストーションフィールドが発生したのだ。

その結果、全力で突撃してきた奴は頭を抑えて転げまわっている。

他の余り勢いが無かった連中も痛そうにしている。

 

「さーって…捕まえた」

 

「え?ちょ、ちょっと」

 

ユリカを壁際まで追い詰めて抑えつける。

その様子にアキト(黄アキト)が顔を真っ赤にして怒鳴った。

 

「オイ!!何してるんだ!!」

 

「あぁ〜、安心しろよ、

 別に取って食う為に抑えつけた訳じゃないんだからさ(ニヤリ)」

 

「誰が信用できるか!!

 この変態野郎が!!さっさとユリカを離せ!!」

 

「ふっ、その言葉はそっくりそのまま返してやるよ」

 

「意味がわからんぞ、この野郎!!」

 

アキト(黄アキト)が怒りに顔を真っ赤にしながら言ってくる。

ユリカをアキトは登山用のロープでグルグル巻きにして抱えた。

ちょっと自分の姿が情けないことに涙目のミユキが後ろの方から支えていたりする。

 

「じゃ!!またな」

 

「アキト〜ー―……ッ!!」

 

・・・。

 

沈黙がその場を支配する。

全員、登場シーンと違い余りに普通に逃亡されたので反応ができなかったのだ。

そこでプロスが一言。

 

「いやはや、逃げられましたな」

 

「くそっ!!追うぞ!!」

 

またまた鬼ごっこが始まった。

 

 

 

 

 

その頃、木連にある白鳥家ではアキト(黒アキト)について話していた。

主にユキナが愚痴って九十九がなだめようとしたり、話題を変えようと試みている。

 

「だいたいあいつはどうして家に居座っているのよ」

 

「いや、な、なんか行く場所も無いというしな、

 それにユキナとも仲が良さそうに見えたので―――――」

 

「ちょっとお兄ちゃん?

 その顔についているお目目はなんの為にあるの?」

 

「ん?そりゃお前の顔を良く見るためさ(キラッ)」

 

どっかのCMのように歯を光らせる。

しかもクサいセリフを軽く言っていることに気付いていなかったりする。

 

「どこをどう勘違いしたらそう見えるのよ!!

 あいつと私は天敵よ!!仇敵なの!!いつかやっつけるんだから!!」

 

「……冗談で済まされる程度にしとけよ」

 

「え?どうしたの?」

 

「殺されるかもしれないからな…、

 俺はユキナがあいつばかりを構うのは面白くないからだ(キッパリ)」

 

ユキナは頭がイカれてないかと疑ってしまう。

このまま、ボケられても困るのでどうにかしようとした時だった。

いつもはメシを食べに来る奴が来なかったのだ。

 

「あれ?そういえば昼時を過ぎているのに来ないわね…」

 

時計を見ると12時を過ぎていた。

すると、ユキナは何だか気になってしょうがなかった。

 

(むぅー、どうして来ないのよ?

 も、もしかして事故にあったのかしら?……ふ、ふん!!

 あいつがいなくなったからって何だってゆうのよユキナ。

 そ、そうよ…。

 あんな奴が別にどこで野垂れ死にしようが……)

 

ユキナの頭の中に嫌なイメージが思い浮かんでくる。

なにせ服装、言動、行動などなど怪しさずくめの男だ。

後ろから撃たれて殺されたり、奇襲を受けて大怪我を負っても不思議じゃない。

10分ほど自己問答を繰り返してからスクッとその場に立ちあがった。

 

「あれ?ユキナ出かけるのか?」

 

「ちょ、ちょっとね(アセアセ)」

 

出かけようとするユキナを見て九十九が問いかけた。

しかし、歯切れの悪い言葉を返して何だか焦りながら出かけていった。

 

そして九十九はその様子を誇らしげに見ている。

 

「ユキナは優しい子だからなぁー…(ズズッ)

 ちょっとしか会ってない奴でも世話を焼こうとするし……良い子に育ったなぁー」

 

茶をすすりながら彼はそう言った。

だけど分かっていても決して手伝おうとしないとは、良い根性した奴であった。

 

 

 

 

 

あとがき……という名の座談会

 

 

Sakana(以下 S):「どうも、どうも、『影(シャドウ)』をお読みになってくださいまして…、

            今回でアキトが生えてきたことなどを書こうと思いましたが次話へ持ち越しと相成りました」

 

メグミ:「ちょっと待って下さい……私の出番は!?私の出番はどこですか!?

     無い!!無い!!無い無い!!!!!きぃー!!さっさと私を出しなさいよ!!」

 

S:「うわっ!!ナタ包丁で切りかかってこないで下さいよ。

   大丈夫です、きっと他の作者さんが大活躍させてくれる筈ですよ……他の作品でね」

 

メグミ:「というより私の存在を忘れてたんじゃないでしょうね?」

 

S:「ギクッ!!」

 

メグミ:「死にますか?あの寒いギャグを放つマキ イズミですら出番があったというのに……、

     全く……容姿端麗、才色兼備…etc…etcと呼ばれ続けてきたこのメグミ様の出番が無いとは何事ですか!?」

 

S:「うわっ、ちょっと!暴力的だな、もぅ。

   だいたいそれは盲目的な某信者達毎日朝日に向かって勝手に言っているだけじゃないですか」

 

メグミ:「違います、世界中誰もが言っていることです

     それと思ったのですけどあなたは私をここに出しているから出番が無いんでは…(じーっ)」

 

S:「(アセアセ)そんな馬鹿な!!

   と、とにかくその話は後でするとしてちゃんと『影(シャドウ)』の話をしましょうよ」

 

メグミ:「(コロッ)それもそうですね、

     それじゃあ、この資料を……えっと、ラピス ラズリの声優さんが大好きです?なんじゃこりゃ!!」

 

S:「あぁー…違います(ビクビク)それじゃなくてこっちのラピスの資料です」

 

■ラピス ラズリ

中学生なりたての癖にもう社会では、一目置かれるという訳のわからん未成年。

絶対に未●年の主張では、労働基準法について叫んでくれるだろう。

トラウマは完全には、治ってはいないがお風呂の水には一人入れるぐらいには回復した。(爆)

だが、遊びのふざけ方少し(?)過激になってきている、これもアキト(ガスマスク)がラピスにハッキングをさせていたから。

ラピスもこれをゲーム感覚楽しんでいたのでその所為で普通の遊びの感覚がマヒしてしまったという。

しかも入手する情報はいつも裏社会の情報…そりゃ誰だって人格変わるわ…。

さて、彼女が一番ここへランダムジャンプして喜んでいる人物です、何故ならここにはラピスからアキトを奪う人がいないから。

ナデシコCを無断使用して追っかけてくる養子のホシノルリもいないし、いつも電波ってる奥さんのミスマル ユリカもいないから。

 

メグミ:「嘗めてますね、この子はきっと社会人生を嘗めきってます。

     しかもそれで優秀なハッカーだから余計にタチが悪いときていますよ、私がいつかお仕置きをしてあげましょう(ニヤソ)」

 

S:「よだれ、よだれ!!……そういえば、メグたんはそっち方面の噂の煙も立っていま―――(グシャッ)」

 

 

 

頭がカチ割れた作者を置いて去るメグミ、その後、静かに幕が引かれる。

 

 

 

 

代理人の感想

 

一寸待て、「逆に興奮」って・・・・・・(爆汗)

黒アキトや白鳥兄妹もそうだけどこの話、特にミナトさんの壊れ方が凄い!

大抵の場合はホウメイさんと並ぶナデシコ最後の良心なのに・・・・・

つまり、この話ではナデシコにはストッパーがいないとゆー事ですな(笑)。

 

 

それにしても・・・・・・・Sakanaさんって某親衛隊に全面的に宣戦布告してます(笑)?