機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

 そんなミユキとアクアが大騒ぎをしている頃。

 島の反対側では、一人の男が牢屋の中で途方に暮れていた。

 

「……ちくしょう」

 

 アオイ ジュンである。

 そう、彼はナデシコに置いてきぼりにされた後、アクアに拾われていたのだ。

 

 勿論、助けられるまで鮫と追いかけっこはしていたが。

 

 あの青い世界での鮫との死闘。

 静かに浮かぶ白い雲や青く澄み切った空を尻目に、鮫と生きるか死ぬかの大死闘を繰り広げた。

 

 ナデシコに置いていかれ、途方に暮れる暇すらなくである。

 

 あの時、真空世界を生き抜き、嵐を超え、己の生存本能をフルに稼動させたのだ。

 だと言うのに、今のさして改善されていない現状をジュンは省みて嘆いた。

 

「うぅ……どうしてこんな目に」

 

 ジュンのいる場所は、牢屋である。

 一つしかない簡素な窓には鉄格子が嵌められたせいで灯りがない為、そこは酷く薄暗い。

 

 そこにジュンは仕事を手伝ってくれた報酬にぶち込まれていた。

 

 そう、冒頭でアクアに付き従う黒服軍団に連れ攫われたのはジュンだったのである。

 しかも手伝いはナデシコと一緒で雑用中心であった。

 

「くそっ、助けて貰ったのは感謝しているけど。

 こんな扱いを受けるような覚えはないぞ!!」

 

 あの鮫との死闘の果て、何がどうなったのかをジュンは正確に覚えてはいない。

 気付いたら、この島の布団の上に寝かせられていた。

 

 今や扱いは雲泥の差である。

 

「くそっ、くそっ。

 ナデシコに帰れると思ったのに」

 

 力なく鉄格子を掴む。

 

(このまま出れないということはないよな)

 

 暗い闇は心を沈め、悪いことばかりが頭を駆け巡っていく。

 天井から滴り落ちる水が立てる音が聞こえる程の静けさの中だけに余計に考えてしまう。

 

「いや、そんなはずはないんだ。

 ユリカが今に僕を助けに来てくれるはずだ」

 

 そう、ここにはナデシコがいるのだ。

 今やそれだけが、ジュンに残された希望であった。

 

「あれから……僕がいなくなって騒ぎになっただろうな。

 ユリカも僕がいなくなって悲しんだろうな……くそっ、戻らないと」

 

 やはり報われない愛だとしても、愛は人を強くするのだろう。

 見る見るうちに生気を失っていたジュンの瞳に力が戻っていく。

 

 そして、対策を練る為なのだろう。

 牢屋の中央へと座り込み、脱出の邪魔をする鉄格子を睨みつけた。

 

「なんとかナデシコに戻らないと」

 

 そう呟いた時だった。

 

               かつんかつん――かつん

 

 牢屋へと続く階段を何者かが降りて来る。

 しかも、靴音は間断なく聞こえるのではなく、何度か聞こえたのちに止まり、また進む。

 

(これって)

 

 つまり、誰かが周囲を気にしながら階段を降りているということだ。

 ジュンの心に期待が膨らむ。

 

「ユリカ!! ユリカなんだろう!!」

 

 そこでユリカが出る理由は、ジュンしかわからない。

 だが、そんなジュンの想いとは裏腹に、降りてきたのは男だった。

 

 それも厳つい顔つきの男、ゴートである。

 

「あれ?」

 

 思わずジュンの口から疑問の声がついて出る。

 そんな様子に、ゴートはまったく表情を変えずに不満の声を漏らす。

 

「なんだ、不服か」

 

「そ、そんなことありませんよ。

 助けに来てもらって、嬉しいです」

 

「そうか」

 

               プシュンッ――ギャキィンッ!!

 

 消音機サイレンサーのついた拳銃で鍵穴を射抜く。

 音が出ないようにしているが、弾丸が衝突した際に発生する金属音で台無しに近い。

 

 だが、その代わりに、扉は開くようになった。

 

「ほら、出ろ」

 

               キィ。

 

 扉を開き、外へ出るように指示を出す。

 そんな無愛想な指示に、ジュンは慌てて言う通りに行動した。

 

「良くここが分かりましたね」

 

「ついでだ。お前がいると知ったのは偶然だからな。

 どうしてこの島にいる? いつ降りた」

 

「お、降りたぁぁ!?

 知らないんですか!?」

 

「……なんのことだ」

 

「あ、あの……僕がナデシコから宇宙を漂流するはめにあったのは」

 

「そんな事件は耳にしていない。

 ……良く生きていたものだな」

 

 その言葉を聞き、がっくりと両膝を地面につけた。

 さらに信じられないとばかりに口を半開きにしながら呻き始める。

 

「そ、そんな」

 

「おい、どうした?」

 

 訝しげにゴートが聞いてくる。

 しかし、その問いに対して返答するような余裕はジュンにはなかった。

 

(誰も知らない?)

 

 とても信じられないことである。

 

(なんでだ? なんで、こんなことになっているんだ?

 いや、わかってる……ふふっ、わかってるぞ、テンカワ……お前の仕業だということはな!!)

 

「くくくっ」

 

 そんな声を漏らしながら立ち上がる。

 そして、すぐさまジュンは次の行動へと移った。

 

 

「くそっ、くそっ! テンカワめ!!」

 

 

               ガンガンガンガンッ!!

 

 近くの壁をぼかすか叩いて八つ当たりをする。

 その音は牢屋という場所の性質上、かなり響いた。

 

「おい、見つかるぞ」

「あ、すいません」

 

 

 

 

 

 手を振ってみる。

 

 ジャラリと鎖が音を鳴らした。

 さらに赤い手錠がされた手を揺らし、ミユキはもっと音を鳴らしてみる。

 

               ジャラジャラジャラ

 

 断続的に元凶と繋がっている鎖が音を鳴らす。

 だが、その行動に特に意味がないということはわかっていたらしい。

 

               ジャラ…

 

 直ぐに手を振るのをやめてしまう。

 そんな無為な行動を取っているミユキの隣では、この手錠をつけた元凶が突っ立っている。

 

 しかも相変わらず嬉しげに、にこにこ口元を緩めていた。

 人に手錠をつけていながら、その態度なので良い度胸と言える。

 

                ちらり

 

 さらに視線をもう一方へと向ける。

 その視線の先には、ウクレレを持ちながらにやにや笑っているイズミの姿があった。

 

 どうやら係わり合いになるよりは、遠くから見ていることを選択したらしい。

 

 そんな孤立無援な状態に、ミユキはさらに溜息を漏らす。

 そして、意を決したかのようにパンッと頬を叩いてからこう言った。

 

「これ、いつ外してもらえます?」

 

 ハァと溜息混じりにそうミユキが提案する。

 

「いえいえ、遠慮なさらないでください」

 

「いや、遠慮してないですから。

 むしろ、外してもらったら嬉しいかなあ、なんて」

 

 その言葉にアクアは暫し黙考すると、こう答えた。

 

「でしたら、勇者様という自覚を持っていただけますか?

 私が見初めし、宇宙の危機に対し、敢然と立ち向かう勇者としての」

 

「それ、なんなんです?」

 

「はい?」

 

「だから、勇者ですよ。

 そんなのいるわけないじゃないですか。今時」

 

「いますよ。

 私が決めたんです」

 

「……あの、もしかして。

 個人的に決めたんですか?」

 

 

「はい(はぁと)」

 

 

 曇りない笑顔でそう答えられる。

 しかも心底嬉しいとばかりに、目を輝かせていく。

 

 その為、ミユキとしては、手を顔に当てて覆うしかなかった。

 

「………………ハア」

 

「でも、当然理由はありますよ?

 私も資格がない人に、むやみやたらに勇者様になってもらうように薦める気はありません」

 

「そうですか」

 

 返事もおざなりになってしまう。

 

「それでは、これを御覧ください。

 このオーブ、これこそが勇者様を選んだ理由です」

 

 ひょいっと懐から掌サイズの球形の物体を取り出す。

 何気なく出されたが、その球形をした物体は懐から出されると同時に輝きを周囲にばら撒く。

 

 それは、金色に輝いており、幾可学模様が施されていた。

 

 その模様、見る人が見れば、目を見張ったことであろう。

 何故なら火星の極冠遺跡に存在する模様と瓜二つなのだから。

 

「それ、なんなんですか?」

 

 だが、ミユキには覚えがなかったらしい。

 ぽりぽり頭をかきながら、その物体を不思議そうに見詰めている。

 

 出発前までに詰め込まれたボソンジャンプ関連の知識は綺麗スッパリ抜け落ちているようであった。

 

「これは、クリムゾンが回収したものです。

 元ネルガルの社長派の方達からリークしていただいた情報を元に」

 

「何かできるんですか?」

 

「色々できますよ。

 勇者様を驚かせるようなことも」

 

 とても楽しそうに語っていく。

 まるで宝物を人に見せる時のように、瞳を輝かせながら話してくる。

 

「こちらの能力の方は、制限されてしまっていますけど」

 

「?」

 

               ヒィン

 

 そんな音が辺りに木霊する。

 その音と同時に、アクアが持っていた球形の物体が輝き始める。

 

 そして、球形の物体は辺りに眩しい白金の輝きを放ちながら、その機能を発揮させた。

 

                ―――キィン―――

                    ゴンッ!!――ガランガラン

 

 

「うぉぉぉ!! タライが振ってきたぁ!!」

 

 

「だ、大丈夫か!?」

 

 そちらへとミユキが視線を向ける。

 すると、そこには砂浜に転がったタライと直立不動のままでぷるぷる悶絶しているガイの姿があった。

 

 その隣では、アキトがガイの容態を心配している。

 

 そこで先程の機能とやらが齎した結果なのだと、ようやくミユキは思い至った。

 ちらっとアクアへと視線を向けると、にこにことミユキの反応を待っている。

 

「ふ、ふーん」

 

 それに対してミユキは、そっぽを向きながらそう答えた。

 タライを降らすことができるという能力にどう反応したら良いのかわからないのだ。

 

「―――あ」

 

「?」

 

 と、どこかから小さい呟きが聞こえた。

 

 またもや視線を動かすと、遺跡がぼんやりと突っ立っている。

 いや、一瞬ミユキは遺跡だと気付かなかった。

 

 何故ならヌイグルミの輪郭が変わっている。

 どうやら両頬がパンパンになる程の料理を口の中に含んでいるようだ。

 

 しかもまだ足りないとばかりに、手にはたくさんの料理を抱えている。

 

「え、えっとぉ」

 

 食い意地が張ったヘンテコなヌイグルミにミユキが戸惑いの声を漏らす。

 やはり明らかにブリッジでミユキが見た時とは形が変わっているからだろう。 

 

「―――あ」

 

 さらに遺跡は小刻みにぷるぷる震えながら、こちらにゆっくりと歩いてくる。

 

               ダッ!

 

「ど、どうしたんじゃあ!?

 火星におらずに、こんなところにいるなんて!!」

 

 そう叫びつつ遺跡が二人の間に割り込む。

 いや、割り込むというよりは、アクアの持つ球形の物体に突っ込むような勢いであった。

 

 食い物をめいっぱい含んだヌイグルミの為、アクアが困ったように眉を下げる。

 

「なんですか、これ」

 

 そんな唐突の登場にも関わらず、きっちり頭を抑えて対応するアクア。

 遺跡を頭を抑えられているせいでアクアへと近づくことができない。

 

「えっと、ほのぼのかつファンシィな機械グマというか」

 

 抽象的な説明にすらなっていない。

 だが、そんな説明にもなっていない説明であったがアクアはピンときたらしい。

 

「あ、つまり遺跡ですか。

 なるほど、せっかく宇宙にバラまかれた災厄の種を刈り取る回収者ですか」

 

「なぬ?(ピタッ)」

 

 その言葉に遺跡の動きがピタリと止まる。

 一瞬後、パンパンに膨れていた頬がごくりという飲み干す音と共に元に戻っていく。

 

「災厄? そんなものは、この宇宙の予定には組み込まれていないはずじゃが。

 そもそもお前さんのような奴がワシのコピーを持っているという事実が信じられん」

 

「感謝します」

 

「おい、話を聞かんか」

 

「さあ、勇者様。この宇宙を混乱させる魔王を退治しにいきましょうか。

 私のアイテムとクリムゾンの施設を使えば、どこに魔王がいようとも」

 

 

「ワシの話を聞かんかあ!!」

 

 

「……あのぅ、私、勇者じゃないんですけど」

 

 遺跡の大声に耳の穴を指で塞ぎながら抗議する。

 隣では遺跡がまだ大声をあげて抗議をしているが、アクアは気にしていない様子だった。

 

「いえ、勇者様は大宇宙の意志が与えた神秘の能力をお持ちのはず。

 それを使えば、どんな災厄が降りかかろうとも、切り抜けることができます」

 

「私にそんな力が?」

 

 ちょっとだけノってくる。

 耳を塞いでいた指を抜いて、目の前に持ってきてニギニギしてみた。

 

 だが、どちらにも無視されているので、遺跡は顔を真っ赤にしながら怒鳴る。

 

 

「だから、ワシの話を聞けというに!!」

 

 

「なんですか」

 

「ワシの質問に答えろ。

 何故、こんなところにいる」

 

 アクアが手に持っている球形の物体を指差しながらそう言う。

 この球形の物体がここにあるという事実は、遺跡にとって都合が悪いらしい。

 

 その質問に対し、相変わらずの態度でアクアは答えた。

 

「遺跡が乗っ取られたからですよ。

 この遺跡の端末に入っていた情報を解析したんですから間違いありません」

 

「……えっと、嘘じゃろ?」

 

「いいえ、本当です」

 

「マジか」

 

「ええ、大マジです」

 

「……」

 

「……」

 

 場に沈黙が訪れる。

 シーンとした空間の中、ミユキは訝しげに二人の様子を伺う。

 

 そして、

 

 

「なんじゃとー!!」

 

 

 遺跡が驚いて飛び上がる。

 

「一体、誰じゃ!! 誰がそんなことを!!」

 

「貴方が失敗して送り込んできたものですよ。

 貴方のおかげです、こうして物語が幕を開こうとしているのわ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、遺跡は納得できたようだ。

 腕組みをしながらブツブツと頭の整理を始めてしまう。

 

「あ、あいつか。

 くぅ、だったら面倒臭いと思わず、さっさと奴を捕まえに動くんじゃった」

 

「ご愁傷様です」

 

 そんな二人のやり取りは続く。

 だが、繰り広げられる二人の会話についていけていない者が一人いた。

 

「あの、私にも分かるように説明してもらえないでしょうか?」

 

 ミユキがジャラリと鎖を鳴らしながらそう呟く。

 そんなミユキに対し、二人は一旦会話を中断してこちらへと顔を向ける。

 

「そうじゃなあ、火星にある遺跡のことは知ってるかの。

 ボソンジャンプを管理するものでな。それが乗っ取られたんじゃ」

 

「あー、あの瞬間移動ですか。

 それのどこが困ったことなんですか」

 

「ふん、ワシの凄さを知らんらしいの。

 今の戦争はボソンジャンプの利権争いなんじゃぞ?」

 

「え、そうなんですか」

 

 遺跡の言葉にミユキが驚く。

 

 この様子では、アキトのレクチャーは全部無駄に終わったようだ。

 ボソンジャンプ、蜥蜴戦争の概略などの授業内容が頭の中にチリ一つ残っていない。

 

「でも、どうするんですか」

 

「ワシが助けに向かうわい。

 さっきの話の内容からして、こいつはお前さんを差し向けたいようだがの」

 

「はあ? そんなの無理に決まってるじゃないですか」

 

 あっさりとアクアの希望を否定する。

 やはり戦争の根源を抑えている大人物と聞くと、ミユキとしては尻込みしてしまう。

 

 と、そんな話をしていると、

 

「いやいや、話は聞かせていただきました。

 私も及ばずながら手をお貸し致しましょう」

 

 どこで聞いていたのか、プロスがそう話しかけた。

 相変わらず胃をキリキリ痛むのか、手で抑えている様子が痛々しい。

 

「プロスさん」

 

「お任せください。

 まずは艦長の説得からいきましょうかな」

 

「はい?」

 

「いやいや、言わずとも分かっております。

 遺跡の奪還、これを達成したならば皆さんの株も上がることでしょう」

 

「私はやりたくないんですけど」

 

「何も貴方に全部押し付けませんよ。

 それに……ある人に対する嫌がらせになるかもしれせんので……」

 

「?」

 

 その場にいる三人を残して、そそくさとユリカの元へと歩いていく。

 プロスが歩いていく先では、ユリカがホウメイが話し込んでいる。

 

「大丈夫なのかな」

 

 

 

 

 

「それでは、パーティ会場の設置は完璧ですね」

 

 ほっぺを桜色に染め上げながらそう言う。

 鼻息も普段に比べて、ふんふんと少し荒いぐらいである。

 

 ついでにウェディングドレス姿であった。

 

 そんなユリカの様子を少し困ったような様子でホウメイが見守る。

 やはり先走り過ぎであった。

 

「やれやれ。

 仕込みも終わったことだし、休憩に入ろうかね―――ん?」

 

「どうしました?」

 

「いや、あれ」

 

「?」

 

            くるっ

 

 ホウメイが指差す方角を見ると、そこには一人の男が立っていた。

 それはジュンである。

 

 あの牢屋から無事にここまで歩いてこれたらしい。

 後ろの茂みからは、熊のようにガサゴソと葉を揺らしながらゴートが出てきている。

 

「えっと」

 

 だが、ユリカは逆光で見えていないようだ。

 眩しそうに目をしかめながらそこにいる人影を判別しようとしている。

 

 と。

 

 

「ユリカぁぁ!!」

 

 

           どばーっ!!

 

 感極まったのか、ジュンが漢泣きした。

 しかも後方へと大量に砂浜の砂を撒き散らしながらユリカへと疾走してくる。

 

「へ」

 

 思わずユリカから気の抜けた声が漏れ出る。

 しかも、

 

「ユリカゆりかユリカゆぅりぃかぁゆりぃか!!」

 

 相手は自分の名前を連呼しながら疾走してきていた。  その姿にユリカは、思わず言ってしまう。

 

「い、いやだ!!

 なんですか、貴方はッ!!!!!」

 

 

 

「ぐぶぅほおあぁぁ!!」

 

            ズシュゥゥゥゥ――――……!!

 

 

 ユリカの言葉は弾丸となり、ジュンの胸へと穴を穿つ。

 あれほど躍動感に満ちた走りを見せた足は力を失い、ジュンは砂浜を滑っていく。

 

 そして、うつ伏せに倒れて動かなくなる。

 

「え、えっと」

 

 そんなジュンの様子にユリカが戸惑いの声を漏らす。

 いきなりの変な展開に脳がついていっていない様子であった。

 

「まあ、なんだ。

 妙にハイテンションみたいだけど、おかえり」

 

 と、ホウメイが冷静に出迎えの挨拶を送った。

 

 

 

 その3にジャンプ!