黒道和也(こくどう かずや)

 元木連軍の秘密部隊『特殊作戦軍』の第四小隊『草薙の剣』のリーダー。五歳くらいの時に生体兵器のインプラント手術を受け、以後個性の強い部下たちを率いて悪戦苦闘する。熱血クーデターの後は地球のオオイソで暮らしていたが、火星の後継者の学校占拠事件を期に再び戦う事を決意する。
 正義と武士道を愛する根っからの木星人。それゆえ民間人をも平気で巻き込む現在の火星の後継者のやり方に強い憤りを覚えるが、決して地球連合への反感を捨てたわけではない。その一方オオイソで四年間暮らし、澪を初めとする地球人の友人にも恵まれたために親近感も持っており、地球と木星の狭間で揺れ動く事になる。
 細身の体格に黒髪、メガネという至って普通の外見。優柔不断で女にうだつが上がらないヘタレた面が目立つものの、根は真面目な性格。
 体術全般に優れ、木連式近接戦闘術を一通り習得。中でも剣術、抜刀術が得意。それに加えて体の中に埋め込まれた補助脳によって脳をオーバークロックし、全てをスローで知覚する能力『ブースト』を持っているため、戦場では常に先頭に立ち、仲間たちを鼓舞する。
 部隊でのコールナンバーはブレードリーダー。



 立崎楯身(たてざき たてみ)

 大柄で肩幅が広く、角刈りという前世紀の番長のような外見をした、『草薙の剣』ナンバー2。オオイソにいた頃の学年が楯身だけ三年生であった事からも解るように、メンバーの中では最年長である。
 常に冷静沈着で知識も豊富であり、和也からは副長兼参謀として頼りにされている。下手をすれば和也より隊長に向いているのではと思われるが、彼自身にその意思はなく和也を補佐する事を己の信条としている。
 12話で地球の現状を憂いていたように、地球と木星の将来を真剣に考え、和平を望む想いが隊内で一番高い。しかし木星にいた頃は火星への無差別攻撃に喝采を上げるほど地球を憎んでいた反地球主義者であり、和也をして変わったと言わせるほど。何が心変わりの理由となったのか、彼は多くを語らない。
 カーボンナノチューブで作られた防弾繊維を全身の皮膚に織り込んであり、小口径の弾丸や刃物程度は容易に受け止める。いざとなったら仲間の楯となるため、和也の隣で先陣を切ることが多い。
 部隊でのコールナンバーはブレード2。



 田村奈々美(たむら ななみ)

 身長180センチを超える長身の少女。地球に来てから赤く染めた髪は怒ると炎が燃えているように見えるという。
 幼少時に父親の商売を理由に忌み嫌われ、『攻撃』という苛めを受け、やがて家にあった重火器を持ち出して父親と自分を苛めていた連中を大量虐殺し、矯正施設に入れられたところを軍に拾われ生体兵器の被験者に――――というなんとも悲惨な幼児体験をしている。好戦的な性格で、「あたしは強い」というのが口癖だが、それも幼少時の苛めによる、精神的な弱さの発露とも言える。
 人工筋肉によって腕力を強化されており、パンチ一発で人間を殺す事が出来る。人工筋肉の駆動に多くのエネルギーを消費するため極度の大食漢となっているが、本人は苦にしていない。当然ながら戦場でも前衛役を好む。
 部隊でのコールナンバーはブレード4。



 山口烈火(やまぐち れっか)

 巨漢の大男。十代ながら白髪で、ゴリラのようなごつい顔つきから老けて見えることも多い。
 奈々美と同じく好戦的な性格で、ウマが合うのか何かと二人でつるむことも多い。しかし対称的に貧しい大家族の中で助け合って暮らしてきた事もあり、仲間思いな一面もある。実は美佳に惚れているが、その想いは届いていないようだ。
 戦争中に先輩たちの部隊が全滅する様を眼にし、ショックで髪が真っ白になると同時に強くなると誓った。その時の想いが影響してか武器兵器への愛着が強く、地球へ彼にしか扱えない怪物マシンピストル二挺を隠し持ってきたほど。他のメンバーからは兵器オタクと呼ばれる。
 人工筋肉で筋力を強化されているが、格闘に特化した奈々美とは逆に重火器の扱いに特化した構成となっている。人工筋肉の駆動に必要なエネルギーは食事よりも栄養カプセルで取るようにしているが、おいしそうな料理を前にすると戒律を破る事もしばしば。
 戦場では重火器を使った火力支援を担当するが、ミスも多い。
 部隊でのコールナンバーはブレード3。



 真矢妃都美(まや ひとみ)

 一言で言うなら絶世の美少女。均整の取れた肢体に流れるように長い黒髪、光芒五里に及ぶと称される美女である。
 母親が軍人で、母から聞かされた木星の歴史に誇りを持つ愛国心の強い人間。それゆえ熱血クーデターで見殺しにされかけた時のショックは大きく、以来和也を初めとする仲間と地球で出来た友人を大切にしている。また父親との確執に加え、言い寄ってくる男が後を立たなかった事から男性を嫌っているところがある。なのでサブロウタに気に入られた事を非常に嫌がっている。
 左目に眼帯で覆い隠された状態で収まっているのは、望遠スコープとしての機能を持つ、灰色に光る『鷹の左目』。右目は暗視機能を持つ『猫の右目』に挿げ替えられ、両腕にも人工筋肉をインプラントされているため安定した長距離狙撃をこなす。しかし両目共に色を判別する機能がないため、色盲である。
 戦場では専らスナイパーとして活躍するが、銃剣術を会得しており格闘線でも他のメンバーに引けはとらない。
 部隊でのコールナンバーはブレード5。



 神目美佳(しんめ みか)

『草薙の剣』の年少組の片割れ。といっても一つしか違わないのだが、背が低いことと生まれつきの童顔も相まって実年齢より幼く見られる事も多い。ちなみに髪型は短い黒髪を後ろで結っている。  生まれてまもなく病気によって視力を失い、当時軍事最優先だった木星では役立たずと白眼視される事が多かった。唯一の居場所だった両親は事故死し、親戚の家をたらい回しにされた挙句軍に通じていた親戚の手によって生体兵器の被験者に……と相当に波乱万丈な幼少期を経て、『草薙の剣』そしてオオイソという居場所を手に入れる。そんな生い立ちからオオイソで暮らした時が一番幸福だったと感じており、火星の後継者を倒したら木星ではなくオオイソに帰ろうと決めている。
 戦争中に仲間を失った悲しみから地球の原始宗教に手を出し、聖書などを読んでいる。また歌や音楽が好きで、ホウメイ・ガールズのファンでもある。
 失明した両目は現在美佳が『神の目』と呼ぶソリトン・レーダーの装置に換えられており、戦場ではそれを使って索敵・電子線を担当する。個人での戦闘能力はメンバーの中では劣るため、虫型兵器を操って戦闘に参加する事も多い。
 部隊でのコールナンバーはブレード6。



 影守美雪(かげもり みゆき)

 美佳と並ぶ年少組。ボブカットの茶髪をした一見すると可愛らしい少女であるが、その内面は小悪魔的な性格で、真性のサディストかつ猟奇趣味の持ち主。人間をいたぶって楽しむ恐ろしい性格。
 生体兵器として軍に入る以前の出自については多くを語らず、和也たちとも比較的付き合いが短いためいまいち掴みきれていないところがある。彼らの教官長を勤めた北辰が自ら拾って連れてきたらしいなど、和也たちも知らない謎の多い人物。
 常に飄々とし、ハーリーにちょっかいを出すなど気まぐれな言動の多い彼女であるが、任務には一応従う。彼女の戦う原動力となるものが何なのか、知っている者はそう多くない。
 戦闘能力は『草薙の剣』の中でも群を抜いて高い。両足にバッテリー駆動の旧式人工筋肉を、両手の指の中に『暗殺者の爪』と呼ばれる隠し武器をインプラントされた隠密行動・暗殺に特化した能力を生かしての撹乱戦法を得意とし、『草薙の剣』の秘密兵器的な役割を果たす。
 部隊でのコールナンバーはブレード7。



 露草澪(つゆくさ みお)

 第一オオイソ高校に通う高校三年生。地球人。ロングヘアーが似合うごく普通の女子学生。ユキナの友人で、ルリとも面識がある。
 人当たりがよく、誰とでも仲良くなれる性格のため移民としてやってきた木星人たちにも偏見なく接し、両者の架け橋的存在となった。特に和也たちとは仲がよく、一緒に家に泊まりこんでは皆で同人誌を書いたりしていた。ちなみに好きな漫画家は『天ノ川 光』。
 澪が和也に想いを寄せている事は和也を除くほぼ全員にとって周知の事実であるが、口に出せないでいる。
 統合軍のクーゲルドライバーだった父親を『シラヒメ』襲撃事件で亡くし、以来テロや戦争を嫌っているが、火星の後継者による学校占拠の時暴走した一部のテロリストに殺されかけ、和也たちが戦うきっかけになる。その後ユキナと共に、戦いに向かう和也たちを泣いて見送ったが……
 なお、ナデシコ世界において木星人は名前を漢字、地球人はカタカナで書くのが一般的のようだが、澪が漢字表記なのは彼女も実は木星人の工作員……でもなんでもなくて、単に作者が失念していただけである。



 湯沢翔太(ゆざわ しょうた)

 元木連軍少佐。現在は火星の後継者・湯沢派を率いる首班。
 テロという陰険な手段を使い、地球連合に不満を持つ地球人を扇動して地球連合妥当を目論む。戦前火星への無差別攻撃を立案するなど狂信的な反地球主義者。



 ふかくていめい・てき?

 便宜上『彼』と呼ばれる、湯沢の下で火星の後継者の兵を率い、テロを扇動しているらしい謎の人物。
 目の前での殺し合いを楽しげに眺め、口封じのために味方をも殺すなど、そのやり方は冷酷非情。爬虫類然とした風貌で、その言動には奇行が目立つ。
 和也たちの事を知っているようだが……



 甲院薫(こういん かおる)

 元木連軍少佐。現在は火星の後継者・甲院派の首班。
 今現在は湯沢の陰に隠れ、表立った活動を見せていないが、その一方で武器を軍から強奪するなど密かに力を蓄えている模様。また湯沢に知恵を貸してもいる。
 戦中は草壁の近くで幕僚を勤め、和也たち生体兵器の事も知っているようである。