ハーリー君の声を聞いているあの人達を私はじっと見ていた。
 
「アリスさんこれはどういう事ですか?」

私はその質問に答えることが出来ない。

だから逃げるように自分の用件を言った。

「それより、約束してください。」

「何をですか?」

「どんなことがあってもハーリー君を信じると、

彼はあなた達のためにこんな事をやっているんですから。」

「一体何が起きているんですか?」

(今すぐ全てを言いたいそしてハーリー君の手助けをして欲しい。)

そう私は思った。

でも出来ない、それを私がしてしまったらハーリー君のやってきた意味が無くなる。

「それは・・もうすぐわかります。」

私は一呼吸入れてジャンプの準備をした。

「確かに伝えましたよ。

そして今のこと忘れないでください・・・・・ジャンプ。」

そうして私は逃げるかのようにナデシコFにジャンプした。

        新たなる道筋への序章
             第6話
           五本の牙
   


       


(は〜わかっていたけどこの役目辛いな〜)

私はナデシコFの通路を歩きながら考えにふけていた。

(でもハーリー君、まだルリさんのこと想ってるのかな?

さっきのテープレコーダの内容もそうだけど、

この前1人ブリッジで写真見てたし・・・・・・

でもそれでも私はハーリー君についていくって決めたんだ。

それを今更ルリさんを見た位で折れそうになるなんて、

しっかりしろアリス!

・・・・よしOK 。)

くよくよした自分を元気づけた私は格納庫に向かって歩いていた。

そこでハーリー君は最後の調整をしている。

ブローディアMK-3通称ファングを。 






音と共に格納庫の扉が開いた。

私は周りを見渡すとすぐに目的の人がいた。

しかし・・・

「あ〜〜〜〜ルカ抜け駆け」

そばにはもう1人ルカがいたのだ。

「アリスさんそれは言いがかりです。」

私はすぐにルカの近くまで寄った。

「何が言いがかりなのよ。」

私はさっきまで真剣に悩んでいたのを忘れていた。

「私はハーリーさんに・・その・・・・お弁当をと思いまして。」

そう言ってルカは少し大きめの弁当箱を私に見せた。

「へ〜〜それは抜け駆けではないと。」

その言葉を聞いたルカは不敵な笑みをだして。

「そう思いになるんでしたら

アリスさんもご自身でお弁当作ってみたらどうです?

出来たらの話ですが。」

と言ったのである。

(くやし〜〜)

私は心の底からそう思った。

私は料理だけは大の苦手で全然作れなかったのであった。

「そうね・・・・・(怒)」

「ええ(怒)」

もし漫画か何かだったら、

私たちの間には火花が散っていることであろう。

それ程私たちの間には怖い物があった。

「あの〜もうそろそろ止めたら(汗)?」

一触即発の私たちを止めたのはやっぱり近くにいたハーリー君だった。


何とか2人をなだめて一緒に食べることになった

僕らはルカのお弁当を食べ終わって一息ついていた。

「ところでどうだった、みんなの様子は?」

その瞬間僕にはアリスが睨んだような気がした。

「みんな元気そうだったわよ。

特にラピスとキョウカは私をすごい剣幕で睨んでたもの〜。」

その言葉には何か含みがありそうだったが僕はあまり気にしなかった。

「え!ラピスとキョウカちゃんがまずいな〜帰ったら殴られるどころじゃないな。」

そう言って僕は笑ったけどそれが本当に来るのかどうかわからなかった。

「ところでアリス、ルカ、

これからアルとゼロのステルスモードを強くしといて欲しいんだ。

今聞いた限りだと僕たちの捜索をもっと強化するだろうから。」

「わかったわ。」

「わかりました。」

このナデシコFは今までのナデシコシリーズとは違い、

周りの目を欺くステルスモードを持っている。

そしてオモイカネとダッシュに探られないように、アルとゼロがいる。

アルとゼロはオモイカネやダッシュと処理速度などの殆どの能力は変わらない。

しかし自分の位置や情報を知らせない能力だけはあの二機に負けない自信がある。






「で調整はどうなったの?」

アリスは自分の仕事に行く前に聞いてきた。

「ああ、何とか今日中には完成できるよ。」

「そうそれ聞いて安心した。」

そう言ってアリスは格納庫から出ていった。

「では私も、それではハーリーさん頑張ってください。」

「ああ、ルカもね。」

ルカはその言葉を聞いて僕に微笑んだ後格納庫から出ていった。

そうして格納庫には僕だけが残った。



それから数時間後。

「ふ〜やっと調整が終わった」

そう1人で呟いて僕は横になった。

「やっと終わったか。」

「え?」

その声のする方に僕は振り向いた。

「南斗か、やっとってところだよ。」

そこにいたのは南斗だった。

南斗は僕の隣に座って。

「これ飲むか?」

そう言って南斗が差し出したのはコーヒーだった。

「ああいただくよ。」

僕はコーヒー貰った。

「どう何だお前のファングは?」

「う〜ん、この出力はモンスター並だからね。

調整はシビアだったけどもう大丈夫だよ。」

「そうか、俺やユリエの方も何とか終わった。」

「そう、でどうなの3Bモードにはいけそう?」

「いや、あれになると周囲の味方機まで壊してしまいそうだ。

地球ぐらいの大きさなら近くにあっても大丈夫なんだが。」

「そうだね、僕の方も同じ計算だった。出来て2Bモードまでが限界だね。」

「そうだな。」

それから僕たちは何も言わず、ただ見つめていた。

五機のファングを。




このファングいやブローディアMK−3はそもそも作られるはずのない物である。

アカツキさん達ネルガルはブローディアMK−2を

アキトさんの手助けのために作ったのを最後にするつもりだった。

そこに僕たちは頼みに言ったのである。




ネルガルの会長室、そこに今僕とアリスとアカツキさんだけがいた。

「いや〜どうしたんだい、君がこんな可愛い子と一緒に来るなんて。

それにルリ君に辞表を出したそうだね。

ルリ君言ってたよ。」

アカツキさんはお気楽そうに言ってくる。

隣でアリスは「いやです可愛いなんて」とぼそぼそ言っていた。

しかし僕はわかっているアカツキさんは僕の話次第では、

僕をルリさんの元に返す気であることに。

「で、話とはなんだい?僕も忙しい身なんでね。」

「・・・・わかりました。」

そう言って僕はアリスに目で合図すると、

アリスはアカツキさんの目の前にある図面を広げた。

「なんだいこれは?」

「これを作るのに協力して欲しいんです。

そしてこれの開発のことはルリさん達には内緒にして欲しいんです。」

僕の話を聞いてアカツキさんは図面を詳しく見ていった。

少しするとアカツキさんの顔に笑顔が消えた。

「これを作れっていうのかい?」

「はい。」

「しかしこれは・・・」

そう言ってアカツキさんは黙ってしまった。

それもそうである。

これは今アキトさんが乗っているブローディアMK−2の後継機

ブローディアMK−3の設計図である。

そもそもブローディアMK−2の後継機自体ルリさん達は考えていない。

ルカ達の時代の技術と僕の昔見たブラックセレナそしてブローディア

の技術を使って設計図までこぎつけた物である。

しかしそれを作るお金と技術者が僕たちにはなかった。

そこで僕たちはアカツキさんを頼ってきたのであった。




「しかし・・このAMSはなんなんだい?」

少ししてアカツキさんは呟くように言った。

「ブローディアのガイアを基本コンセプトして、

ある程度変化をつけたのがAMS、アーマードモジュールシステムです。」

「それは多少は理解できる。だが何なんだこのスペックは?

各BモードでブローディアMK−2より0.5倍、

各2BモードでブローディアMK−2の2倍、

そして3Bモードに至ってはブローディアMK−2の最終ロック解除した時の

1.4倍のスペックの上昇これじゃあ化け物だよ。」

たしかに化け物じみたスペックである。

しかしそれでもあいつらに勝てるかわからない。

「ええ、そうです。そうする必要があるんです。」

そう言った僕にアカツキさんは真剣なまなざしで見ていた。


少ししてアカツキさんは普通の顔に戻った。

「ふ〜わかったよ。協力しよう。」

「あ・ありがとうございます。後ついでにこいつも一緒に作ってください。」

そう言って僕はナデシコFの設計図を出した。

「これもって、ああわかった。

それでいつ頃完成させるんだい?」

「2年後です。」

「2年後・・・・わかった、何とかしてみよう。

そのかわり君がルリ君やラピスのかわりに電子系統をやるんだよ。」

「ええ、でも僕だけじゃないですから。」

「どういうことだい?」

聞いてくるアカツキさんに僕はアリスの方を見た。

「彼女、アリスはマシンチャイルドなんです。

それにもう1人います。」

「それはどういうことだい?

たしかマシンチャイルドはもう君たちしかいないはずじゃあ。」

「それは追々話していきます。」

そう言った僕を見ていたアカツキさんはため息を吐いた。

「わかったよ、追々聞いていくよ。」

「ありがとうございます。そのついでにこれから僕たちにエステバリスの操縦と、

格闘を習わせて欲しいんです。」

「ふ〜しょうがないな。ここまで来たら良いよそれも飲もう。」

「すいません。アカツキさんには迷惑かけて。」

「いいって、君は兄弟みたいだからね。」

そう言って微笑んだアカツキさんはなぜか格好良かった。





「良いんですか?そんなことしても。」

そう言ってこのごろ僕の秘書になってくれた千沙が聞いてきた。

「良いんだよ。多分最後の願いになると思うからね。」

「え?」

「いや何でもないよ。」

(ハーリーの眼、あの眼を見ているとそんな気がする)

僕は心の中でそう思った。




僕はナデシコFの通路を歩いている。

(あれから二年僕らは5本牙・遺跡の後継者の力と知識を得た。

それは僕らに何を教えてくれるのだろうか?

そしてこれからどうなるんだろうか?

そんな疑問もある。

でも1つ言えることがある。)

僕の目の前の扉が開く。

(僕はこいつらと共に頑張っていくということだ。)

ブリッジにいるみんなを見て僕はそう思った。




第7話へ 


作者の部屋の座談会 
アカツキ:やあ、みなさん元気かな?
     今回は作者がテスト勉強して忙しいとふざけた理由から僕と
千沙:私千沙が行います。
アカツキ:でもさ〜今回初めて僕ら出てきたから何を話すんだかわからないんだよね。
千沙:仕方ないです。作者が急に逃げたんですから。
聖:は〜わかりました、出ますよ。
アカツキ:お!大丈夫なのかい?
聖:全然。でもこれぐらいは何とかするさ。
千沙:そうですか、ところで今回出てきたナデシコFとファングについては?
聖:それは僕が2〜3話辺りで思いついた物なんだよ。
  特にファングのAMSは色々考えてるからこれから徐々にあかしていくつまりです。
アカツキ:それともう1つ、僕と千沙の関係は?
千沙:・・・・・(赤面)
聖:う〜ん、考えてない(爆)
千沙・アカツキ:へ?
聖:一応秘書になっているけど結婚してるかどうかはまだ考えてないんだ。
  誰かから「千沙はアカツキと結婚するべきじゃない。」
  とか言われれば変えるかもしれないけど、基本的に僕は
  アカツキと千沙はくっつける気でいるから安心してよ。
アカツキ・千沙:ふ〜〜
聖:でも何でアカツキだけじゃなく千沙まで安心してるの?
千沙:へ?・・・・・・それではまた次回。
聖:逃げたな。
千沙:何ですか(怒)?
聖:いえ(汗)それでは〜〜  

 

 

代理人の感想

兄弟か・・・・・確か時ナデ設定ではハーリーは「前会長の精子」で作られた子でしたよね?

前会長はアカツキの父親ですから「兄弟」なんですが、

どこかで「前会長=アカツキの兄」とした話を見た事があるような・・・どこでしたっけかねぇ。