「・・・テンカワアキト・・・」

「え?」

千沙さんはぼそりと言いました。

「だめだ千沙。」

アカツキさんは問いただすように千沙さんに話しています。

「でも!」

そう言っていた時。

『仕方ありませんよ、アカツキさん』

私たちの聞き覚えのある声が聞こえてきました。

そうハーリー君の声が



        新たなる道筋への序章
             最終話後編
      そして新たなる道筋へ(後編)
   


       

「みなさんお久しぶりです。」

(こういう時に会わなければよかったのにな・・・)

そんなことを思いながら僕は映像に映っているみんなを見ていた。

「アカツキさん・・・・僕があなたに話した事をみんなに話してくれませんか?」

『・・・いいのかい?』

アカツキさんの声からは戸惑いの色があります。

「しょうがないんですよ。

このまま知られずにいけるとは思っていませんでしたから。」

僕はシャフトのフェザーをかわしながら話していた。

今は何とか避けているが当たるのは時間の問題だろう。

(そうなら・・・あの手段を使うしかない。でも・・・・・)

今だ僕は何も決断していなかった。

しかしその前にルリさん達の疑問を解かなければならない。

もしあれを行えば僕はここにいられなくなる。

そして僕がいなくなった時あの人達は自力で真実を知ろうとするだろう。

しかしその時の僕にそれを防ぐ手はない。

だから今は嘘の真実を教えなければならないのだ。

「それじゃあ、これからアカツキさんが話すこと。

それは全て真実だと思ってください。

これを・・・・嘘だと決めつけないでください。」

そうして僕は通信を切った。



「それじゃあいいかい?」

僕は周りにいるみんなに了解を取った

「そもそもこの事件の発端は山崎にある。」

「「!」」

アキト君とルリ君は相当驚いている。

でもこの話は全て嘘だ。

僕はハーリー君に大体の真実を聞いた。

でもその仲間がアキト君や北辰であることは知らなかった。

この事から彼は僕に、いや僕たちに本当の事実を教えたくなかったのだろう。

そして僕はハーリー君から最後の通信の時にあることを言われていた。

それはもしルリ君達が真実を聞こうとしたら今僕が話をしている

話をしてくれというものだった。

そして今僕はその通りに話している。

僕がハーリー君に聞いた真実を話したのはジュンと千沙の2人だけだ。

それはこの2人なら彼の気持ちをわかってやれると思っているから。

現に2人は僕の話に対して何も言わず聞いていてくれている。

そういうことを思いながら僕は偽りの真実を話していた。





ブリッジ内は静まりかえっていました。

たしかに納得のいく説明でした。

でも私は何か引っかかるのです。

それが何なのかがわからないのです。

『それが事実だと思っているのかい。

みなさん。』

突然私たちの知らない声がブリッジに響き渡りました。

その声に私はなぜか聞き覚えがありました。

しかし今の私にはそれを考えている余裕はありません。

『な・何が言いたいんだ!』

突然入ってきたハーリー君は狼狽えています。

(やはり、私たちに何隠しているの?)

私にはそう感じました。

信じたくはありませんが本当の事なのでしょう。

『君はそんなことで騙せると思っていたのか?』

『!』

ハーリー君とその人の話をみんな静かに聞いています。

『全てを話せばいいじゃないか。

そうたとえば僕の生まれた原因とかさ』

『!・・だまれ、シャフト』

ハーリー君は何か呟くと戦っている相手に突っ込んでいきました。

私はただ見ていることしかできません。

『お〜と。

知られるのが怖くなって僕を倒そうと思ってもだめだよ。

君の機体の損傷は君が思っている以上に酷いんだから。

どんなに頑張っても今のままじゃあ僕の話を止めることは出来ないよ。

現に他のみんなの結果を見てごらんよ。』

『!・・まさか』

その声と共に4つの物体がジャンプしてきました。





「南斗!ユリエ!。」

『・・・・すまない』

『ゴメンネ・・ドジっちゃった。』

僕の目の前でブラックセレナと夜天光に二機の

ボロボロになったファングが。

「アリス!ルカ!」

『ゴメン・・ハーリー君』

『みっともないね・・私ったら』

そしてナデシコBの横には無傷のナデシコFがいた。

多分ルリさんが火星でやった時のように完全にシステムを掌握されているのだろう。

『どうだい?これでも君は戦うのかな〜』

シャフトは完全に僕のことをからかっている。

「君は・・・・何を望んでいる。」

たしかルカが言っていた

『俺はこれから色々な世界でお前達テンカワアキトに関わる奴ら不幸にしてやる。』と

しかし

『ミスマルユリカを裏切ったテンカワアキトを絶望の底に叩き落とす事』

彼が言った事はルカのいったこととは違っていた

そして、それまで余裕を持っていたシャフトがその瞬間怒りを露わにしている。

(何かおかしい・・・・でも)

今シャフトには隙が出来ている。

そして他は皆南斗達の方に注意がいっている。

そう。

「チャンスは今しかない!

いくぞ!

次元流、縛の章奥義!

瞬・縛・陣!

いけー!」

その瞬間僕とシャフト達がいる場所に僕の作った見えない陣がひかれたのであった。





急に機体が何も動かなくなっていた。

(ついにファングが止まったのか?)

そんな風に俺は考えていたが。

『南斗〜ファングが止まっちゃったよ〜』

『こちらルカ。ナデシコFがなぜか停止してしまいました。』

「みんな揃って・・・・・・!

オイ、ハーリー!あれを使ったのか?」

俺はすぐにハーリーに通信を開き問いつめた。

『・・・・使った。』

「と言うことは、あのプランを使うんだな?」

俺は確認するように問いつめた。

『・・・・・すまない。』

「そんなことより。

俺たちに言わなければいけないことがあるだろ。」

『・・・・・・・そうだね。

南斗ありがとう。

おかげで決心が決まったよ。』

「そうか、それならいい。」

そう言って俺は通信を切った。





南斗との通信が終わると、

僕は直ぐにある作業に取り掛かっていた。

今、シャフト達は驚いているだろう。

しかし今の僕にそれを確認する時間は無い。

この瞬縛陣はある一定の領域に見えない陣を引く技

でもかけてる間ファングのエネルギーはほとんど無くなってしまう。

そのため大技は何一つできない。

(たとえ大技ができたとしても今の状態で奴らに勝てるかどうかわからないけどね。)

だから瞬縛陣をかけたときのために僕はこの戦いの前から考えていた。

その答えが。

(ジャンプ、しかもルカ達がやった時間移動をね。

そして僕はそれを使うかどうかこの戦いが始まる・・・・

いや、さっきまで悩んでいた。

でも、)

そう思いながら僕はナデシコCを見ていた。

その後の思いを僕は考えなかった。

考えてしまったら、止めてしまうかもしれないから。



そして準備が整った時、僕は通信を開いた。




ハーリー君と相手との通信が切れた後、

現れた4機の機体と2隻の戦艦。

そのすぐ後に全ての機体が停止してしまいました。

「オモイカネ、早く開けなさい」

「ダッシュ!早く開けて。」

『・・・・・・・』

私とラピスが何度目かのを説得も失敗に終わりました。

(どういう事?なぜ急に止まったの?)

『どうもみなさん』

そんな疑問を思っていた時急にハーリー君の声がまたブリッジに聞こえてきました。

「ハーリー君、何が起こっているんだい?」

アキトさんの疑問は私の疑問、いえ私たちの疑問でもあります。

『それについてもう時間がないので言えません。』

(時間がない?)

『もし知りたいと思うならもう僕に止める力はありません。』
 
「どういう事なんだ?」

アキトさんの疑問の答えは何も返ってきません。

『アキトさん、ルリさんやみんなを幸せにしてください。

それがあなたの最後の仕事です。』

(この言い方・・・まさか!)

私にはこれから彼がなにやるかわかりません。

でも彼がそれをやったとき何が起こるのか大体予想できました。

そしてその時彼がどうなるかも。

「ハーリー君!」

『ルリさん、今までありがとうございました。

どうかアキトさんとお幸せに。』

「ちょっとこの言い方って、嘘でしょ?」

ラピスは泣きそうになりながら聞いています。

「おいおい、冗談にしてはきついぜ。」

軽い調子で言いながらもサブロウタさんの手は震えていました。

『ラピスそれにキョウカちゃん、今までの生活楽しかった。』

「嘘・・・よね?ハ・・リー君。」

キョウカちゃんは途切れ途切れになりながら必死にハーリー君

がやろうとすることの結果を否定していました。

『アカツキさん、ウリバタケさん。

ナデシコでの生活、面白かったです。』

ウリバタケさんは何も言わずただ見ていました。

「ああ、僕もだよ。」

『そして他のみなさん時間がないのですいません

でもみなさんには色々迷惑を掛けて申し訳ありませんでした。』

「いいさ、別に。」

「そうよ、そんなこと。」

アカツキさん、千紗さん、そしてアオイさんだけが

どうにかこの場で自分を見失っていません。

他のみんなも何が起きようとしているのかはわかっています。

しかしそれを受け止められませんでした

そして私もその内の一人です。

『オマエこの反応は・・』

急に聞こえてきた声はさっきまで私たちに話しかけていた人です。

『それ以上言うわないでくれ』

ハーリー君はとても優しい声で話していました。

『そんなことしたらこの世界に返れなくなるんだぞ。』

『そんなこと、承知の上さ』

ハーリー君の声には悲しみや恐れはなく、

ただ、たしかな決意がありました。

『・・・・・なぜそこまでする』

『この人達・・・そうナデシコに逢う前の僕は

ただ人の言うことばかり聞いてた人形のようだった。

何もかもが嫌になって人生を止めようかとも思った。

でもそんな僕にナデシコのみんなは、

優しさや勇気・人としての暖かさを教えてくれた。

人間の心をくれた。

だから僕はこの人達を助ける。

例え・・僕がそこにいなくてもね。』

そんなことを思っているなんて

私は何も知らなかった。

一番知っていると思っていた。

『・・・面白い奴だよお前は。』

その声にはもう怒りや悲しみと言った負の感情は無かった。

「ハーリー君!」

私はいつの間にか声を精一杯出してハーリー君を呼んでいました。

『そう言うことなんで僕がいなくなっても今まで通りにやっちゃってください。』

彼はそう言っています。

でも私たちには誰かがいなくなるのは一番の悲しみです。

そして私にとってそれが本当の弟みたいに思っていた彼ならなおさらです。

「そんなこと出来るはず無いだろ!」

アキトさんの言葉はこの場にいる全員の言葉そのものです。

『大丈夫ですそのための2年間ですから。』

アキトさんの言葉さえも今の彼にとっては引き留める言葉とはなりませんでした。

「でも!」

ラピスの声がブリッジに響きます。

でもそれが最後まで言われることは出来ませんでした。

『時間みたいです。

それじゃあみなさん。運がよければまた会えますよ。』

そう言ってハーリー君の通信が切れました。

次の瞬間彼らのいたところは光に包まれ。

そしていなくなってしまいました。

「嘘・・・・でしょ、ハーリー

返事ぐらいしなさいよ。

わかってるんだから。

どうせなんかの余興でしょ?

そんで少ししたら『驚きました』って現れるんでしょ。

ねえそうでしょ、何か言いなさいよ!」

ラピスの叫びに答えを返す者はこの中に誰もいませんでした。

誰しもがその言葉が真実であると望んでいるのですから。





その時

誰もが声を失っていました。

誰もが信じられませんでした。

でも・・・誰もが彼らの帰りを信じました。

それが私たちに出来る全てでなくとも。




『さて皆さん

この世界の彼らの話はここでひとたびの終幕となります。

しかし彼らのお話はここで終わりにはなりません

なぜなら彼らは新たなる道筋を歩む者達なのですから。

さあ始まりです。

彼らの新たなる道筋が。』



新たなる道筋への序章  完


そして彼らは道を進み出す・・・・・


作者の部屋
聖:終わりました。
ルリ:ってなんですかこれは?
ラピス:そうよ何よこれは?
聖:へ?何って序章の終わりですよ。
ルリ:何が終わりですか何も終わっていません。
聖:そうです!だからこれから次の章が始まるんです。
ラピス:私たちはどうなるのよ?
聖:でません!
ただ今聖竜は殴られています。
聖:・・つまりこれ・・からは・他の時代の・人達がでてくるんです。
ラピス:つまり逆行ね。
聖:そうなります。
ルリ:安直ですね。
聖:そうですね、最初からそう考えていたんですが
最後の方はこのまま続けようかなとも思いましたけどね。
ラピス:でもこの話は何時送信するつもりなの?
聖:ギク!
ルリ:そうですね、3月までに終わるつもりが
終わらず、4月から寮に完全に住んでいてパソコンのない生活
をして、ゴールデンウィークに帰ってみたものの終わらず、
どうするつもりですか?
聖:何とか6〜7月には送信したいと思います。
ラピス:まあ期待していないけど、それではみなさんまた。
ルリ:作者の気まぐれにおつき合いしてくれてありがとうございます。
聖:そんなわけでパソコンが寮に着き次第この話を完成させたいと思います
それでは

 

代理人の感想

・・・なんとはなしに時ナデの序章ラストを思い返してしまったり(爆)。

ここからどーなるんだか。