機動戦艦NADESICO

時空を越えて 集う者たち

 

 

 

 

 

《第2話:『「緑の地球」は任せとけ』・動いていく歴史》

 

 

 

 

 

エステバリス格納庫。

 

アキトが帰艦すると、プロス、ゴートが出迎えた。

 

ゴートがアキトに近づいてくる。

 

「お手柄だった、テンカワ。本来ならロボットを勝手に動かした事など問題行動は山済みである為、何らかの罰を与えるべきなのかもしれないが、我々は軍人ではない。また、見事に我々ナデシコのクルー達を守ってくれた。そこで、今回の事に関しては、刑罰は無いものとする。これからは臨時パイロットとして待機していてくれ。」

 

「分かりました。」

 

それだけ告げると、ゴートはブリッジの方に去って行った。

 

「さて、アキト君。ちょっと聞きたい事があるんですけどねぇ〜。よろしいですか?」

 

「いいですけど・・・」

 

そして、一番問題のプロスが話し掛け始めた。

 

「あなたは今回がエステバリスに乗るのは初めての筈です。なのに何故あのように素晴らしい動きが出来るんですか?」

 

(流石だな、プロスさん。早くも俺の違いに気がついたか。)

 

「あれは偶然ですよ、偶然です。つい調子に乗ってしまいました。かなり危険でしたね。心配をかけてすいませんでした。」

 

(今はまだ正体を知られるわけにはいかない!)

 

「そうですか・・・分かりました。次からは気を付けて下さいよ。」

 

少し腑に落ちないようであったが、プロスは納得をし、その場から去って行った。

 

アキトは自分の部屋に向けて歩き出した。

 

(さて、ラピスに連絡を取るか・・・ラピス、ラピス・・・)

 

(・・・アキト。本当に連絡してくれたんだね。)

 

(約束しただろ。ところでラピス、何か変わった事は無かったか?)

 

(変な男の子がついさっき来たよ。)

 

(そういえばまだラピスには伝えていなかったな。その男の子はハーリーといって、俺がラピスの側に居てくれるようにと頼んでおいた子だ。)

 

(えぇ〜。そのハーリーって子、今ここに縛り上げちゃってるよ。)

 

(今すぐ解いてあげるんだ。)

 

(うん、分かった。)

 

(で、ラピス。ブラックサレナの件だが、早急に作って欲しい。資金の方はハーリー君と共に何か良い案を考えて自分たちで何とかしてくれ。頼むよ。)

 

(うん、分かった。幾つか案があるからそれでやるよ。アキトも頑張ってね。)

 

(ああ、分かった。今日はそろそろ切るよ、ラピス。)

 

(分かった。じゃあね、アキト。)

 

(じゃあね、ラピス。)

 

アキトはラピスとのやり取りを終えた時、部屋の前に来ていた。

 

(ラピス、少しだが感情が豊かになったみたいだな。どうやらハーリー君に頼んだのは正解だったみたいだな。)

 

ラピスの成長に喜びながら、アキトは部屋へと戻り、食堂に行く準備をする。

 

部屋の中は必要な物しか置いて無く、いたってシンプルなものだった。

 

(さて、ムネタケ達の方はどうするかな。あいつら程度なら今の俺でも倒す事が出来るだろう・・・まあ、食堂に行った後の事だな。)

 

シャワーを浴びて、服を着替える。

 

暫くすると、ノックの音が聞こえる。

 

「ア〜キ〜ト〜(は〜と)」

 

やって来たのはユリカだった。

 

(さて、どうやって切り抜ける。・・・やはりあの方法で・・・)

 

「おいおい、ブリッジでの仕事はいいのか?」

 

「うんっ。ジュン君に頼んでおいたから、もう大丈夫。」

 

「おいおい、自分の仕事はちゃんと自分でやるもんだぞ!」

 

「うん・・・それにしても、久し振りだね。私、アキトに会えて嬉しかった。あれから何度も連絡を取ろうとしたんだよ。でも連絡は取れなくて、お父様からテンカワの家は皆死んだって聞かされてたから・・・私、凄く嬉しかった。ねえ、アキト。アキトは今まで何処で何をしてたの?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

それから暫くアキトはわざとユリカを無視する。

 

「ねえアキト、アキト!どうして無視するの?何があったって言うの?教えて!!」

 

「分かった。教えてやるよ。・・・俺の父さんと母さんは殺されたんだ。」

 

「えっ?アキトのご両親は事故で死んだんじゃ・・・」

 

「ユリカが火星を発ってからすぐに爆発があったんだ。走って行って見たもの父さん達の殺された姿だった。俺は真相を知りたい!真相次第によってはユリカ、お前も殺すかもしれない。」

 

(本当の所は違う。だからユリカ、本当はお前には関係のない事なんだ・・・嘘をついてすまない。)

 

「殺・・・す・・・?」

 

ユリカの中にはアキトの思っているようなことは無く、妄想モードに入っていた。

 

その様子を見たアキトは立ち上がり、こっそりと部屋を出て行く。

 

「・・・そんなのまだ私達には早いわ、アキト。・・・アキト?」

 

ようやく妄想モードから現実に戻ってきたユリカの目の前には、アキトの姿は無かった。

 

アキトは食堂に来ていた。

 

厨房の倉庫には地球の各国の調味料などが所狭しと詰まっている。

 

(・・・昔のまんまだな。・・・ま、当たり前の事なんだが、嬉しいな。)

 

中を見ているアキトに厨房に立った1人の女性が話し掛けてくる。

 

「あんただね。今度ここに配属になったって子は・・・」

 

それは、コックの姿が似合う、ホウメイさんだった。

 

「はいっ。ここに配属になった、テンカワ アキトっていいます。これから宜しくお願いします。」

 

「あたしはリュウ ホウメイっていうんだ。ホウメイでいいよ。こちらこそ宜しく。ほら、あんた達も自己紹介しなきゃ。」

 

『宜しくお願いしま〜す。ホウメイガールズで〜す。』×5

 

アキトはホウメイガールズの5人との再会も終わり、ホウメイの方を向いた。

 

「あの、ホウメイさん。いきなりですみませんが、俺の料理のテストをして貰えませんか?」

 

「あんたの実力を見るいい機会だ。いいよ。作ってみな。で、何を作るんだい?」

 

「本当はラーメンを食べて貰いたかったんですが、今はまだ仕込んでないので炒飯を作ります。」

 

アキトはホウメイから許可を得ると、炒飯を作り始めた。

 

(もう俺は何年もまともな料理を作っていない。果たして上手く作れるだろうか・・・)

 

・・・十数分後・・・

 

「出来ました。食べてみて下さい。」

 

そこには美味しそうな炒飯が6人分出来ていた。

 

『いっただっきま〜す。』×5

 

まずはホウメイガールズが試食を始める。

 

「わぁ〜、おいし〜。」

 

「うん、これならお店でも出せるね。」

 

どうやら気に入って貰えた様だった。

 

そして、問題のホウメイが試食を開始する。

 

(ほぉ〜、ちょっと味が濃いめだけれど、なかなかよく出来てるじゃないか。コック見習いと聞いてたけれど、十分お店を持つことが出来るほどの力を持ってるよ。・・・・・・しかし、なんだかあたしの味付けの味と似ているような感じがするのは気のせいなのかねぇ〜・・・・・)

 

「どうでしたか?」

 

緊張した面持ちで、アキトがホウメイに尋ねる。

 

「ああ、合格だ。ちょっと味付けが濃いかったけれど、あたしの採点じゃあ十分だよ。」

 

「有難う御座いました。」

 

そう言ってアキトはペコリとお辞儀をする。

 

(やはり、少し腕が落ちていたみたいだな。)

 

「さあ、皆。今晩の料理の仕込みを始めるよ!」

 

こうして、アキトのコックの道が再び始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、暫くの時が経った。

 

アキトの目の前に小さなコミュニケが現れる。

 

ルリだった。

 

「アキトさん。あのムネタケさん達がある部屋に集まり出しています。」

 

「分かった。ルリちゃん、俺と合流するまでは行動は起こさないでくれ。」

 

「分かりました。」

 

それだけ言うと、ルリのコミュニケは閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジではその頃、プロスにより今回のナデシコの計画の説明が始まっていた。

 

「・・・以後、ナデシコは、スキャパレリプロジェクトの一端を担い、軍とは別行動を取ります。」

 

「我々の目的地は火星だ。」

 

「では、現在地球が抱えている侵略は、見過ごすというのですか?」

 

ジュンがプロスに抗議をする。

 

「多くの地球人が火星と月に植民していたというのに連合軍はそれらを見捨て、地球にのみ防衛線を引きました。火星に残された人々や資源はどうなったのでしょう。」

 

「で、ですが・・・」

 

「どちらにしても、確かめる価値は・・・・・」

 

「ないわね、そんなものは。」

 

突然コミュニケが現れた。

 

映し出されたのは、ムネタケだった。

 

それと同時に銃を持った兵士達が入って来る。

 

「ムネタケ!血迷ったか!!」

 

「提督、この艦を頂くわ。」

 

「その人数で何ができる。」

 

「わかったぞ!てめえら、木星のスパイだな!!」

 

カチャッ!!

 

周りの兵士達に銃を向けられると、いきなりガイは静かになった。

 

「勘違いしないでね。ほら、来たわよ。」

 

ムネタケがそう言って間もなく、戦艦トビウメが現れた。

 

 

 

ルリは自分の目の前に小さなコミュニケを映し出す。

 

「アキトさん。トビウメが来ました。じきにそちらに行きます。」

 

「分かった。」

 

「アキトさん、皆が厨房に閉じ込められた後、どうするつもりですか?」

 

「その事はこっちに来てからにしよう。」

 

「分かりました。」

 

 

 

そんな会話がされている間に、ユリカは作動キーを抜く所だった。

 

「艦長、奴等の言いなりになるつもりか!!」

 

「ユリカ、ミスマル提督が正しい。これだけの艦をむざむざ火星に・・・」

 

「いや、我々は軍人ではない。従う必要は無い。」

 

ガイ、ジュン、フクベがそれぞれ意見を述べる。

 

「フクベ提督、これ以上生き恥を晒すおつもりですか。ユリカ〜(涙)。私が間違った事を言った事などないだろぉ〜。」

 

ユリカは少し考えた後、作動キーを抜いた。

 

これによって、ナデシコは全くの無防備になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからブリッジにいた主な人たちは食堂に監禁され、ユリカとプロスとジュンだけはトビウメに連れて行かれた。

 

「アキトさん。一応予定通りに進んでいますね。」

 

ルリがアキトへと話し掛ける。

 

「ああ、そうだな。」

 

「どうするつもりですか?」

 

「もう暫くの間おとなしくしておこう。まだ出る時じゃない。」

 

「分かりました。」

 

アキトとこの後の打ち合わせをしたルリはミナト達のところに戻った。

 

「ねえ、ルリちゃん。テンカワ君と何話してたの?」

 

メグミが興味深そうに聞いてくる。

 

「秘密です。」

 

ルリはさらりとかわす。

 

「ま、いいわ。それにしても、ああぁぁあ、戦艦に乗ったらかっこいい人いっぱいいると思ってたのに、この戦艦変な人ばっかり。」

 

「ま、世の中そんなもんよ。」

 

「でもさぁ、ホントに私達大丈夫なのかなぁ?なんかあのヒゲ眼鏡の人頼りないしぃ。」

 

「人は見かけによらないって言うよ。きっと大丈夫だよ。」

 

メグミの一言に、ミナトが的確に答える。

 

「お〜い、みんなみんな。元気出せよ。よぉぉぉし、俺が元気が出るビデオ見せてやっからよぉ。」

 

そう言ってガイはなんとも古そうなビデオとそのカートリッジを取り出す。

 

「おい、テンカワ。何か始まるみたいだよ。何かのビデオだってさ。」

 

(今回もやはりゲキガンガーか・・・もう俺には必要の無い物・・・)

 

接続が終わり、画面に映し出されたのはやはりガイの好きなゲキガンガー3だった。

 

「なんなのだ、これは。」

 

「幻のアニメ、ゲキガンガー3!!いやぁ、全33話は燃え燃えっすよ〜〜〜!!!」

 

「ゲキガンガーか・・・・・・・・・・」

 

「おいっ、貴様にゲキガンガーを見る資格はないっ!」

 

「ああ、ゲキガンガーは俺にはもう必要の無いものだ・・・」

 

「大体なんでコックがエステバリスに乗っているんだ?ロボットが好きならパイロットになればいいだろう!」

 

「エステバリスに乗るのは俺の大切なものを守る為だ。そして、それを絶対に失わない為だ。俺はそのものの為にのみ今はここにいる。ガイ、いつかお前にも分かる時が来るさ。」

 

「・・・・・・・・・・」

 

そう言ってアキトは再び料理の仕込みに取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからガイ達はゲキガンガーを見始め、幾らか時が経った。

 

(そろそろ行くか・・・)

 

アキトは仕込みを止めて立ち上がり、見張りの方に近づく。

 

「なんだ、貴様。何処へ行くつもりだ。」

 

「いや、ちょっとな・・・」

 

それだけ言うと、油断している見張りを手刀によって一撃で倒す。

 

『おおぉぉぉ〜〜〜』

 

「一体何をするつもりだ、テンカワ。」

 

ゴートがアキトに尋ねる。

 

「俺はこれからユリカを連れ戻しに行く。」

 

「おい、無茶だ。死にに行くつもりか?」

 

「大丈夫だ。俺、昔実戦的な格闘術を習っていたからあの程度なら倒す事が出来る。それに、あいつらを倒して行かないと、俺たちの未来は無くなってしまうし・・・俺はそんなの嫌だ。未来は自分の手で切り開くものだからな。」

 

そう言うと、アキトは食堂を出て行った。

 

アキトが出て行って暫くはみんな、唖然としていた。

 

しかし、この沈黙を破ったのは、ガイだった。

 

「おい、皆。」

 

「なんですか、ヤマダさん。」

 

「ダイゴウジ ガイだ!!」

 

「何だというのだ!!」

 

ゴートが話を進めるよう促す。

 

「なあ、あいつだけ行かせちまってもいいのか?これじゃあアイツだけヒーローだぞ!!だがな、俺様は違う!!!俺様こそがヒーローなのだ!!!!!俺はゲキガンガーに誓って悪を許さん!!皆、俺達も自分達の手でナデシコを取り戻すために行こうぜ!!!」

 

「ふっ・・・そんなこと、分かっている。」

 

そう言って、ゴートは食堂を出て行く。

 

それに続いて他の皆もそれぞれ武器を持って食堂から出て行った。

 

(ヤマダさん・・・・時にはいい事言いますね。)

 

こうしてナデシコ内では自由を取り戻す闘いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜トビウメ内応接室:十数分前〜

プロスと共にトビウメに来たユリカはプロス、ジュンと別れ、父親との2日ぶりの再会をしていた。

 

「ジュン君たち遅いなぁ〜。」

 

「落ち着きなさい、ユリカ。それより暫く見ない内にやつれたんじゃないか。」

 

「まだお別れしてから2日しか経っていませんわ、お父様。」

 

「まあそれはそれとして。ユリカ。お前の好きなケーキばかりだ。た〜んと食べなさい。」

 

ユリカの目の前には様々なケーキが食卓の上に所狭しと並べられていた。

 

「ところでお父様。テンカワ アキト君、覚えてます?」

 

「テンカワ・・・テンカワ・・・ハテ?誰だったけなぁ?」

 

「火星でお隣だった子ですわ。」

 

「おお、思い出したぞ。で、そのテンカワがどうしたんだ?」

 

「そのアキトのご両親、殺されたというのは本当ですか?お父様。」

 

「なに?それは初耳だぞ。確かテンカワ夫妻とその息子さんは事故で死んだはずだぞ?」

 

「私、アキトに会いました。そして、アキトからこの事を聞いたんです。」

 

「ふぅぅぅむっ・・・」

 

それから暫く2人の間に沈黙が訪れた。

 

その沈黙を破ったのは、ドアの開く音だった。

 

「やあ、お待たせ。」

 

入ってきたのはプロス達だった。

 

「結論は出たかね。」

 

「はい、いろいろ協議いたしまして。ナデシコは・・・あくまで我が社の私有物であってその制限受ける必要なし・と。」

 

プロスが言って間もなく、艦内に非常警戒音が鳴り響く。

 

「どうしたのだ?」

 

コウイチロウはすぐにコミュニケを開き、状況を報告させる。

 

「艦長、チューリップです。チューリップが活動を再開しました。」

 

「チューリップだと?」

 

ブリッジに着いたコウイチロウ達の目の前にあったのは、バンジー、クロッカスがチューリップに吸い込まれる所だった。

 

「生きていたのか。」

 

「ただちにナデシコ発進。さぁ〜ユリカ、作動キーを渡しなさい。ユリカ?」

 

その場にユリカはおらず、部下とジュンしかいなかった。

 

「ここですわ、お父様。」

 

「おお、ユリカ。さあ、こっちへ戻ってきて作動キーを渡しなさい。」

 

「そんな事よりお父様。もう一度伺いたい事があります。アキトのご両親の件です。」

 

「こんな時に何を言ってるんだよ、ユリカ。」

 

「私には大切な事なんです。答えて下さい。お父様!!」

 

「い、いや。そのだな、そんな事を話すのはユリカに忍びないと思ってだな・・・」

 

「分かりました。行きましょう、プロスさん。」

 

「おいっ、ユリカ!何処に行くんだ!!」

 

「何処にって、ナデシコに戻るんです。」

 

「んなあにぃ〜!!!すぐに戻るんだ、ユリカ。」

 

「そうだよユリカ。ミスマル提督の言う事が正しい。大体ユリカ、この艦は提督に譲り渡すんじゃなかったの?」

 

「え?私はただアキトの言う事が本当かどうか調べに来ただけですわ。それに艦長たる者、たとえどのような時でも艦を見捨てるようなことは出来ません!!そう教えてくださったのはお父様ですわ!!それに・・・あの艦には私の好きな人がいるんです。」

 

「な、んなぁにぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

すぐにユリカはコミュニケを閉じる。

 

ユリカ達を乗せるヘリコプターの向かう先にはナデシコの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜再びナデシコ艦内〜

アキトはエステバリスに乗り込んでいた。

 

アキトはコミュニケをルリに繋ぐ。

 

「ルリちゃん、今何処のいる。」

 

「エステバリスの格納庫です。いつでもOKですよ。」

 

「分かった、すぐに出撃だ。囮にでる。」

 

今回はきちんと空戦フレームに乗り込んでいた。

 

「では、マニュアル発進準備。よ〜い、ドン。」

 

「よし、発進!」

 

アキトの乗るエステバリスが発進する。

 

「行くぜ!」

 

「アキト、また囮になってくれるのね。この隙にユリカはナデシコに乗り込みます!!」

 

「ああ、早くいけ!」

 

ユリカを乗せるヘリコプターはアキトのエステバリスとすれ違い、まっすぐにナデシコに向かう。

 

「超特急でお待たせ〜!」

 

「やっほ〜!」

 

ブリッジの端の方にはムネタケが縛られていた。

 

「電圧正常、相転移エンジン始動開始。」

 

「システム回復。」

 

「オールキャスト完璧。」

 

ナデシコが始動した。

 

「それでは早速全速前進!」

 

「待って下さい、艦長。その前にヤマダ ジロウさんが発信許可を求めています。」

 

『ヤマダぁ〜〜?』

 

「ダイゴウジ ガイだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「さぁ〜、準備は万端。行こうかぁ!!」

 

(ヤマダさん。出ても意味無いのに、お疲れ様です。)

 

ガイがエステバリスで出たが、もうそこに手助けは必要なかった。

 

丁度アキトが攻撃を仕掛けるところだった。

 

「行くぞっ!」

 

アキトのエステバリスのスピードが上がり、チューリップに突っ込んで行く。

 

アキトが突き出した拳はチューリップから伸びる触手のような物を次々と突き破っていく。

 

「うわぁおぉ〜!すっご〜い!」

 

「ディストーション・フィールドによる高速度攻撃ですな。」

 

「流石ですね、アキトさん。」

 

「こちらも負けずに全速前進!」

 

「・・・やっぱやるの?」

 

「行きます!!」

 

ナデシコはチューリップの中に向けて前進する。

 

「おい、艦長。何やってんだ。引き返せ!!」

 

今回叫んでいるのはガイの方だった。

 

「グラビティ・ブラスト発射準備。」

 

「はい、エネルギーチャージ。」

 

ナデシコを取り込んだチューリップはその入口を閉じていく。

 

「みんなぁぁぁぁ!!!」

 

チュドォォォォォォォォォォン!!

 

その瞬間、ナデシコから放たれたグラビティ・ブラストによってチューリップが破壊された。

 

「内側から大砲か。・・・すごいな、うちの艦長は・・・」

 

ガイは空中で呆然としている。

 

「おい、ガイ。ナデシコに戻るぞ。お前、足がヤバイんじゃないのか?」

 

ガイはアキトに話し掛けられてようやく我に返った。

 

「あ、ああ。戻ろう。それにしても、アキト。お前は今のにあまり驚いていないみたいだな。」

 

「二度目だからな。」

 

「ん?今なんて言ったんだ?」

 

「いや、なんでもない。」

 

アキト達が帰艦すると、ナデシコはその場から移動を始めた。

 

 

 

 

 

「追わなくてよろしいのですか、提督。」

 

「追った処でこの艦ではあの艦は捕まえられん。作戦は失敗だ。ところでジュン君。ユリカの好きな奴とは一体誰なんだ?」

 

「ユリカ・・・・・・・・・・」

 

何処までも広がる海の上を、ナデシコは飛び去って行った。

 

 

 

To Be Continued・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告!

 ナデシコを襲う危機!危機!!危機!!!

 

 これから宇宙へとナデシコ!

 

 そこに立ちはだかる連合軍!!

 

 アキト達はどうやって切り抜けるのか?

 

 次回、

 

《第3話:『早すぎる「さよなら」!』・新しき歴史の幕開け》

を皆で見よう!!

 

 

 

 

 

作者より一言

 

 どうも、シゲです。

 

 僕の駄作を読んでくださって、本当に有難う御座います。

 

 今の所は僕の作品はあまり目立った変化はありませんが、次回より、劇的に変化していくと思います。(なんせ・・・ヒ・ミ・ツ)

 

 さて、次回は外伝を作ろうと思っています。

 

 題は「コウイチロウの日誌」の予定です。

 

 楽しみにしてて下さいね。

 

 それではこれからも頑張って書いていきたいと思うので、応援のほど、宜しくお願いします。

 

 ではこの辺で・・・

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

シゲさんからの投稿です!!

おお、今回は大人しいですね、アキト(笑)

しかも、ガイを諭してるし(苦笑)

ラピスは何時もの如く、ハーリーを生け捕りにしてるし(爆)

でも、ラピスに金策を任せたら・・・

世界恐慌をおこしかねんぞ、アキトよ・・・

善悪の判断がついてないと思うし(汗)

 

さて、次からは大きく話が動くそうです。

楽しみにですね!!

 

それでは、シゲさん投稿有難うございました!!

 

さて、感想のメールを出す時には、この シゲさん の名前をクリックして下さいね!!

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