ここは日本の何処かにある雪谷食堂。

そこには一人の不幸な少年が、

「ゾっさん!あんかけチャーハンカラメル風味上がりました!」

・・・とことん無意味に元気な少年がおったそうな。

名を『テンカワ・アキト』という。

 

 

 

 

 

 

伝説の3号機

その1

 

 

 

 

 

 

「アキト!んなもん誰も頼んじゃいねえぞ!!それといい加減その『ゾっさん』てのやめろ!!!」

「やだなーその場のノリってやつですよ」

アキトと呼ばれた少年は我かんせずといった風であんかけチャーハンカラメル風味を食べていた。

「・・・もういい」

『ゾっさん』こと『ユキタニ・サイゾウ』は半ばあきらめた感じで呟いた。

何故『ゾっさん』なのかはアキトのみぞ知るである。

 

 

 

店もようやく終わり翌日の仕込みを始めようとしたらサイゾウがアキトを呼び止めた。

「アキト」

「なんすか?」

「わかってるかとは思うがお前がココに来てから何時の間にか『雪谷食堂』は世間から『ちゃれんじゃあ食堂』なんて不名誉きまわりない名前で呼ばれるようになっちまった」

「そんなに誉めないでくださいよ、照れるじゃないですか」

「誉めてねえ!」

「わかってます」

いけしゃあしゃあと言いきる。

「・・・はぁっ」

「ゾっさん、ため息つくと桶屋が儲かりますよ?」

「それを言うなら運が逃げるだろう・・・」

「ええ、わかってます」

「もういい」

「はいな」

すっかりアキトのペースだ。

「あ〜とにかく、かなり話が脱線したが今日でお前はクビだ」

「そうっすか」

何故か納得しているアキト。

「まあこれは餞別だ、とっとけ」

「ごっつあんです」

餞別のカードを受け取るアキト。

顔は何故か晴れやかだ。

「・・・・・・最後にコレだけは言っておく」

「へい」

「二度と戻ってくるなよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっ」

「おい、今『ちっ』って言わなかったか?『ちっ』って?」

「それはきっと目の錯覚です」

「それを言うなら空耳だろう」

「そうとも言います」

「言わねーよ!」

「そうなんですか?」

 

 

 

 

 

まあ、こんなやりとりがありアキトはマイチャリに乗り込みひたすら山道を失踪・・・疾走していた。

「むう、ココは何処だ?」

失踪で正しかったのかもしれない。

しかし今まで迷ったことに気づかなかったのか・・・。

しかも何故山道にいるのかも謎だ。

「とにかく来た道戻れば何とかなるだろ」

アキトが振り返る・・・が、

「・・・道が無いな」

確かに今通って来た筈の道が消えている。

「やはり獣道はダメだな」

獣道って時点でダメだろう。

「ん?」

ふと、何処からか爆音が聞こえてきた。

「なんだ?この音は?何処かでトリッキーなマジシャンが大脱出でもやってるのか?」

そんなバカなことを言ってる間にソレはやってきた!

ズドゥ!!

「ぬお?!」

ギュラアアァァァア!!!!

突然ベンツが山道を爆走してきたかと思ったら目の前で盛大なドリフトをかまし始めた!!

「なんだなんだ?こんなところで曲芸の練習か?」

そんなことは絶対に無いがこの状況ではどうすることも出来ない。

つーか逃げろ。

と、突然車からアタッシュケースがアキト目掛けてぶっ飛んできた!

「なんの!」

ソレをいともたやすく、

バカン!

顔面にぶち当てる。

「ぐはっ」

鼻血をキレイに飛び散らせながら10m程吹っ飛びようやく止まる。

「すみません!すみません!大丈夫ですか?!」

やっと止まった車から白い制服を着た女性が下りてきた。

後ろには同じ制服の男が頭を下げて立っている。

運転手だろうか?

そんなことより全然大丈夫じゃないと思うが。

「ふっなんのこれしき」

マジか!?

「わ〜丈夫なんですね〜」

女性がのほほんと言い返す。

見事だ。

「ユリカー!やっぱり荷物減らそうよ〜」

何時も間にか男が車の方で何か叫んでいる。

「だめ〜!3日かけてお気に入りの物を選んだんだから全部持っていくの!」

アキトそっちのけでいきなり痴話(?)喧嘩を始める二人。

「まったくしょうがない」

ブツブツ言いながらアタッシュケースから飛び出した衣服を鼻血をたらしながら詰め直すふりをするアキト。

あくまでふりだ。

「すみません・・・・・・・ところであなた私と何処かで会ったことありませんか?」

「ん?ん〜覚えが無いな」

「そうですか・・・あ、ありがとうございました」

「ユリカーそろそろ行くよー急がないと遅れるよー!」

「今行く〜それでは」

ペコリと丁寧にお辞儀をしてユリカと言われた女性は車に乗り込んだ。

「いくぜええぇぇっ!!!」

2人の乗り込んだベンツは再び爆走しながら去っていった。

どうやらあの運転手はハンドルを握ると性格が変わるようだ。

 

 

 

「・・・しまった脱出路聞いときゃよかった」

後の祭りである。

「ん?」

と、足元に何か落ちている。

写真立てだ。しかも今時珍しい紙の写真だ。

「これは・・・このナイスガイは間違いなくオレだな」

何かほざいているが、そこに写っているのはアキトの小さい頃の姿ともう1人。

また、ナイスガイの部分で何処かの熱血バカが反応したがそれはどうでもいいことだ。

「それにこの隣に写ってるのはさっきの・・・ん?ユリカ?」

と突然何かを思い立ったかのように先ほどの車の後を追いかけ始めるアキト。

よくよく考えれば車の通った跡は残る訳だからそこをたどれば間違いなく後を追いかけられる。

「そうだ!思い出したぞ!アイツは!!」

これでもか、これでもか、えいえい!という位マイチャリは漕ぎ車を追いかける。

「待ってりゃああああぁぁ!!!!」

この時のアキトはちょっと目がやばかった。

 

 

 

 

 

ここは佐世保の何処かにあるドック。

で、ここはドック入り口にある警備室。

「ふああ〜ぁ、暇だな〜」

「だな〜」

警備員2名がだれていた。

と、そこへ、

ぬおおおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉ・・・・

雄叫びような声が聞こえてきた。

「な、なんだ?」

「さあ?」

よくよく見ると遠くから土煙が舞い上がっている。

つーか何キロ出してんだ?それ以前にこんな整備されたところで土煙なんぞ上がるのか?という疑問はこの際ナシだ。

当の問題の雄叫びはどんどん近づいてくる!

「おいおいおいおい」

「・・・」

二人が戸惑っているうちに問題の発生源は目の前だった!

「ココかああああぁぁぁぁっ!!!!!!」

どがしゃああああぁぁぁっ!!!!!

「のわーーー!!!」

「ひゃああああああ!!!」

問題の発生源こと『テンカワ・アキト』はマイチャリごと警備室に突っ込んでいた。

 

 

 

カラカラ・・・・

「ふ〜チャリをチタニウム合金製にしておいて正解だったな」

「「・・・・・・・」」

色々な意味でメチャクチャだった。

「さてあんたら・・・っておいおい寝てんのか?職務怠慢だな」

自分でやっといてひでぇ言いぐさである。

「さて他に誰かいないのか?」

勝手に探索に乗り出したようだ。

 

 

 

 

10分も歩いただろうか建物の入り口に誰かを見つけた。

「すいませ〜んそこのちょび髭の人〜!」

「は?」

初対面の人に向かって凄い発言だ。

それに反応する方もする方だが。

「あなたは?」

「いや〜すんません。すっかり道に迷っちゃって」

「いやですから」

「人探してるんですけどココ広すぎますよね〜全く金の無駄遣いもいいとこだ!」

「だからね」

「あ、んなことよりこいつこいつ」

全然人の話を聞く気無しな上さっさと目的を果たそうとしている。

「コイツ、この写真の女、今は二十歳位になってる筈だけど何処かで見なかった?」

「・・・・・・・・」

「ねえ、知らない?ん〜知らなそうだな、よし次を当たるか。そんじゃ失礼しました〜」

バキャッ!

「げぴ!」

謎の悲鳴を上げてアキトは倒れた!

「年長者として言っておきます。人の話は聞くものですよ?そもそも最近の若い方は・・・」

人を殴って気絶させたかと思いきやいきなり説教をたれ始めるちょび髭オヤジ。

というより気絶した相手に向かって言っても無駄だろうに。

手には何故か角材が握られていた。

 

 

 

 

 

「ん〜・・・はっ!ココは?」

「気がつかれましたか?」

「むっ、お前はさっきのちょび髭オヤジ!オレをどうするつもりだ!まさか海外に売とばすつもりじゃないだろうな!!確かにこの健康でピチピチした肉体を求める輩はごまんといるだろうが生憎オレの身体は・・・・・待て、悪かった俺が悪かった。だからその手に持っている鉄パイプを下ろして
くれ。頼むから!」

「話を聞く気になりましたか?」

がっくんがっくん

椅子に座らされて後ろ手に手錠をかけられているので首しか動かせず壊れた人形のように頷くしかないアキト。

ちなみにちょび髭オヤジの目は結構ヤバ気だった。

「さて、あなたは何者ですか?聞いたところによると警備室を襲い、そこに居た警備員を亡き者にしたとか?」

死んでません。

「それに人を探していると言っていましたが一体これ程の騒ぎを起こしてまでどのような人物を探していらっしゃるのでしょうか?」

「え〜と?」

どうやら頭を殴られたせいで肝心の目的を忘れているようだ。

「・・・仕方ありませんね。ちょっと失礼」

「な、何を?言っとくが俺にソッチ系の趣味は全くコレッぽっちも無いぞ?!・・・・・わかりました、わかりましたからその木槌を置いてください」

とことん弱いアキトだった。

「全く、疲れるかたですね。さて、あんたは一体何者ですかっと」

ピッ

なにやら刺したかと思ったらソレに繋がっているディスプレイに個人情報が表示された。

「ふむふむ、名前は『テンカワ・アキト』さん。ほう火星のユートピアコロニーの方ですか。しかし全滅したあの地からどうやって地球に?」

「ん〜よく覚えてないんだよな〜コロニーのシェルターに居たところまでは覚えているんだけど何か気がついたらコッチに居たんだよね〜」

やけに軽い口調だがもう脅されるのが嫌なのかペラペラと喋りだす。

「なるほど、なるほど」

何故か妙に納得しているちょび髭オヤジ。

「で、探しているという人物はこの方ですか?」

「そう!その女!そいつを探してたんだ」

先ほどの写真を見ながらアキトの話を聞きちょび髭オヤジは何かを考えている。

「ふ〜む。残念ながらこの方に会わせる訳にはまいりません」

「ど、どうして?ま、まさか・・・・・・いえ何でもありません

「賢明な判断です。さて何故かと申しますとこの方はある事情により特別な立場におられるのです。ですから関係者以外に会わせる訳にはいかないのです」

後ろ手に釘バットを持ちながら理由を述べるちょび髭オヤジ。

さっきのモノといい何処から持ってくるのだろうか?

「さて、テンカワアキトさん。あなたは何故この方に会いたいのですか?理由次第では何とか出来なくもないですよ?」

「・・・・・・真実を知るため」

「真実、ですか?」

こくりと頷くアキト。

珍しく真面目だ。

「ふむ・・・・・・・・・わかりました!ではこういうのはどうでしょう?あなたを雇いましょう!そうすれば貴方も関係者です!多少の制限は有りますが話くらいは可能ですよ?」

「え?で、でも・・・」

「信用出来ませんか?ですがネルガルは信用に値する会社だと思われますが?」

「う〜ん・・・・・でもなぁ」

「ほぉう。ネルガル、いや私が信用出来ないと?」

「・・・いえ、職に就かせてください。お願いします。もう是非とも!」

もうアキトは泣きそうだった!

「はい、宜しいでしょう!貴方はココに来る前は食堂で働いていたようですね。では今日からはこの『ナデシコ』でコックさんをやってもらいます!」

ちょび髭オヤジは妙に嬉そうだ。

「『ナデシコ』?」

「そうです、『ナデシコ』です。あ、申し送れましたが私こういうものです」

スッと何処からともなく名詞を出すちょび髭オヤジ。

「『プロスペクター』?」

「はっはっはっ、まあペンネームみたいなものですよ。さあ参りましょうか!」

意気揚々と先に行ってしまうちょび髭オヤ・・・もといプロスペクター。

「・・・・・・・・・あのーその前にこの手錠外してくれない?ねえ?おーい・・・・・・」

アキトは何気に置いてけぼりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキト運命はどっちだ!?続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。

 

あとがきです。

皆さん!始めまして!こんにちは!彼の狽ナす。

今までSSはいっぱい読んでましたが何を思い立ったか自分で書いてみちゃいました。

なんだか無性に書きたくなったんですよね、何かを受信したんでしょうか?

さてこの物語ですがアキトが壊れてます。

それだけです(汗)

このアキトは銃も撃てませんし、格闘技も出来ませんし、ボソンジャンプも使えないし(今は)、もちろんのこと昴気なんて当然使えません。

ほとんどTV版アキトとタメです。

まあ後は色々と考えているんですが何処までこの巨大サイトについていけるか不安タラタラです。

・・・とにかく!このようなどうしようもない文章を読んでくれた方に感謝致します(ペコリ)

それでは何時かまたお会いしましょう!

 

 

 

 

ああ、まだTV版の1話の半分にも至ってない(大汗)

 

 

管理人の感想

彼の狽ウんからの初投稿です。

いやー、初期状態のアキトですか・・・ある意味、希少価値ですねぇ

でも微妙にいい性格してません?このアキト?(笑)

何か方向音痴の部分に、共感を持ってしまいましたよ。

 

 

 

・・・・とゆーか、全員どっか壊れてるなぁ(笑)